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資料11


平成16年5月11日
中央教育審議会 初等中等分科会
特別支援教育特別委員会
委員長 高倉 翔 殿

全国LD親の会
会長 山岡 修

「特別支援教育」に関する検討について(意見)


 貴中央教育審議会初等中等分科会、特別支援教育特別委員会において、LD、ADHD、高機能自閉症等の特別な教育的ニーズを持つ児童・生徒に対する教育的支援も含めた特別支援教育の制度や推進体制の整備などについて、精力的な審議に取り組まれていることに心から敬意を表します。特別支援教育への転換につきましては、LD等の子ども達を持つ保護者の会である全国LD親の会にとりまして、悲願として長年にわたり要望してまいりましたものであり、一日も早い実現を望んでおります。また、その実現に向けて私どもの組織を挙げて積極的に参画・協力していく所存ですので宜しくお願い申し上げます。
 さて表記につきまして、弊会の意見を下記の通り申し述べさせていただきます。



 特殊教育から特別支援教育への転換は、「障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人一人の教育的ニーズを把握して、乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援体制を整備する」という極めて高い理念を掲げたものであり、120年の歴史を誇るわが国の特殊教育に大転換を求めたものと受け止めております。
 これまでのわが国の特殊教育は、障害のある児童生徒を障害の種別と程度に応じて特別な場を用意し、手厚くきめ細かな教育により素晴らしい成果をあげてきました。しかしながら、特殊教育対象の児童生徒の比率は、義務教育段階で1.5%程度と先進諸国に比べると極めて少なく、その分、LD、ADHD、高機能自閉症等の特別なニーズを持つ児童生徒への対応は十分ではなかったと言えます。
 平成6年のサラマンカ宣言を受け、世界的にインクルージョン、特別ニーズ教育への対応が進み、さらにノーマライゼーションの進展、ICFの採択など、障害観が大きく変わりつつある中、ここ10年でわが国の特殊教育は世界標準から大きく遅れを取ってしまったと言えます。
 LDについては、平成4年に出された通級に関する協力者会議の審議のまとめにおいて、その存在が認められ対応が必要とされて以来、既に12年が経過しております。こうしたことからLD、ADHD、高機能自閉症等を対象に加えた特別支援教育への転換は、わが国にとって喫緊の課題であると認識しております。特別支援教育への転換は壮大な事業であり、財政状況等を勘案すると、豊富に資源を投入し条件整備を整えて完璧な形でスタートすることは困難だと思います。国・自治体・学校・教員・保護者そして社会全体で、創意と工夫を重ねながら、「障害や困難を持つ全ての子ども達に適切な教育を」という高い理念の実現に向かって、不退転の決意をもって段階を踏みながら取り組んで行くべきだと考えます。

【意見の要点】

1. 盲・聾・養護学校制度の見直し
1  地域の小・中学校を支援する「センター的機能」を備えることが必要
 LD、ADHD、高機能自閉症等を含めた特別支援教育は、全ての学校、全ての学級での対応が必要となります。しかし、小・中学校の教員はLD、ADHD、高機能自閉症等に対する基礎知識・指導方法などの蓄積がなく、学校や教員を地域でサポートする仕組みが必要です。LD、ADHD、高機能自閉症等への指導には、従来の特殊教育で培ってきて指導方法や教具等が有効であり、それらのノウハウを活かして地域の小・中学校に対する情報提供・相談・研修を行うなど、特別支援学校が地域のセンターとして機能することが必要です。
2. 小中学校における特別支援教育の推進体制の整備
1  特殊学級、通級指導教室から特別支援教室への転換が必要
 LD、ADHD、高機能自閉症等の児童・生徒のニーズには連続性があり、現状の通級(週当たり3〜8時間)か、特殊学級(100%固定)という断続的な制度では対応が困難です。個別の指導計画の策定等を通じ個々のニーズを判断し、1〜28時間まで個に合わせた柔軟な「抜き出し」指導が制度として可能な、特別支援教室への転換が必要と考えます。

2  通常の学級における、理解・配慮・支援が必要
 LD、ADHD、高機能自閉症等の児童・生徒は大半を通常の学級で過ごすことが想定されます。通常の学級においても子ども達の特性を理解し、特性に合わせてちょっとした配慮を行うことが求められます。LD等の児童・生徒に対するスモールステップによる指導、きめ細かな指導、認知特性に合わせた指導を心がけることは、教員の指導力向上に繋がり、周囲の児童・生徒の学力向上にも効果が期待できるものと考えます。さらには、いじめ、学級崩壊、不登校等の現在の学校教育が抱える諸問題の解決にも結びつくものと考えます。

3. 教員の専門性と教員免許
1  基礎免許にも軽度発達障害を含む障害児教育の基礎事項・実践を必須とすることが必要
 LD、ADHD、高機能自閉症等を含めた特別支援教育は、全ての学校、全ての学級での対応が必要です。従いまして、全ての教員が軽度発達障害を含む障害児教育全般に対する実践経験、基礎的な知識を習得していることが必要となりますので、教員養成段階での取り組みが必要と考えます。
 また、校長・教頭といった管理職をはじめ現職の教員の理解と対応力向上図っていくために、障害児教育全般に対する実践を含めた研修を拡充させていくことが必要です。

4. その他
1  法令化、最終形・スケジュールを明示して、移行を進めることが必要
 弊会等が47都道府県教育委員会に対し行なった特別支援教育の推進体制に関するアンケートの結果によりますと、特別支援教育への転換の最終形・裏付けが示されない中、各教育委員会はモデル事業等に本格的に取り組むべきか逡巡している様子がうかがえます。
 平成16年1月に、LD等のガイドラインが公表され、自治体、学校、教員、保護者等が行うべき対応が指針として示されました。あとは、法令化、最終形・移行スケジュールの明示等、国自らが役割を果たすことが必要と思われます。
 各都道府県は最終形が示されない中、大規模なモデル事業に取り組んでいます。各自治体での取り組みを生かし、今後の推進をスムーズに進行させるためにも、法令化を急ぎ、最終形や移行スケジュールを明示することが必要と考えます。

2  早期発見・早期療育、一貫した相談・支援体制の確立を
 LD、ADHD、高機能自閉症等の軽度発達障害は、能力にアンパランスがあり一見普通に見えることから、気付きが難しい障害です。早期発見・早期療育が効果的であることは疑う余地もありません。関係省庁とも連携し乳幼児健診の拡充や幼稚園・保育園での相談・支援・療育等の体制整備を図ることが必要です。
 また、乳幼児期から学校卒業後までの生涯を通じた一貫した支援が必要であり、「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」「個別の支援計画」を整備し、計画-実施-検証というサイクルを機能させ、一貫した支援体制を整備することが必要です。

3  専門家の育成・活用を図ることが必要
 特別支援教育を定着させていくためには、通常の学級では学級王国を打破し、学校全体の問題として取り組むことが必要です。そのためには、特別支援教育コーディネーター等をきちんと位置づけ、計画的に養成していくことが求められます。また、医師、心理の専門家、OT、STといった学校外の専門家を学校として活用していくことが大切です。専門家の育成・活用には、多大な労力と期間を要しますので、国が方針を示し、長期的な展望に立って取り組んでいくことが必要です。

4  一般の保護者向け、社会一般に対する理解啓発活動
 現在の特殊教育は、1%強の限られた、隔離された特殊な世界であり、イメージは必ずしも良くありません。LD等の軽度発達障害の子どもを持つ保護者の中には、この特殊な世界に足を踏み入れることに抵抗感を覚える者も多いのが事実です。
特別支援教育を定着させていくためには、このイメージを変えていく必要があります。また、特別支援教育や障害に対する周囲の保護者や社会全体の理解を向上させていくことが必要です。
 弊会としても各種の活動を通じ、社会的理解の向上に積極的に取り組む所存でありますので、国、自治体、学校において、周囲の保護者や社会全体の理解の向上に取り組んでいただきますよう要望いたします。



全国LD(学習障害)親の会の概要

概要 平成2年2月に設立。
加盟団体は54団体,総会員数は約3,000名。全国7ブロックの理事制で運営。
代表者 会長=山岡 修(やまおか しゅう)
住所 〒162-0823 東京都新宿区神楽河岸1-1 東京ボランティアセンター27号
電話 なし FAX :020-4669-0604 (A4一枚以内)
E-Mail jpald@mbm.nifty.com URL :http://www.normanet.ne.jp/~zenkokld/
組織  加盟団体は54団体、総会員数は約3,000名。全国7ブロックの理事制で運営。
入会方法 各地の親の会に直接問合せ(全国LD親の会のHPに各会の連絡先を掲載)

歴史と主な活動--平成2年2月に設立。主な活動として、中央省庁(文部科学省、厚生労働省)への要請活動、日本LD学会等の研究者等との交流、ウェブサイトの開設などを通じた社会的理解の向上に取り組んでいます。また、日本障害者協議会等に加盟し、他の障害者団体や支援団体との交流・情報交換を行っています。会報「かけはし」の発行等により、各地の親の会への情報提供や活動支援に取り組んでいます。

各支部の活動--41都道府県に54団体があります。保護者の勉強会、キャンプ、算数教室、有識者の講演会、子育て報告会、学校・職場見学会等を行っています。また、自治体や関係機関などに対して、LDへの理解を高める要請活動、啓発活動を行っています。

【特別支援教育推進への参画・協力状況】
  1 第2回全国LD親の会公開シンポジウム(2003年6月15日)(ドーンセンター,大阪)
「これからの特別支援教育の在り方」参加者550名のうち教員・教育委が320名 
  2 日本LD学会第12回大会 親の会企画シンポジウム(2003年11月23日)
「特別支援教育の実現に向けて −教員・学校に対するサポート体制を考える−」
  3 47都道府県教育委員会に対する「特別支援教育推進に関するアンケート調査」
えじそんくらぶ、日本自閉症協会との合同調査、今後も毎年実施予定
  4 LD等ガイドライン策定に参加 (2003年8月-12月)加盟団体に配布、HPでリンク
  5 全国の14団体が、モデル事業の運営会議委員として参画
その他、県主催の研修会講師等、各地で参画
<以下、予定>
  6 第3回全国LD親の会公開シンポジウム、NHKハート・フォーラム
さいたま市民会館おおみや・小ホール、2004年6月12日
「特別支援教育の実現に向けて」シンポジウム=通常学級の中の特別支援教育
  7 LD・ADHD・高機能自閉症の理解啓発小冊子(A5,48ページ)を12万部発行し、教育委員会等経由で無料配布予定。独立行政法人福祉医療機構の助成事業
「LD・ADHD・高機能自閉症とは? −特別な教育的ニーズを持つ子ども達」
  8 教育委員会・教育センター主催の研修会講師
群馬県、千葉県・千葉市、長野県、愛知県、大阪府等



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