戻る


「英語が使える日本人」の育成のための行動計画

平成15年3月31日
文部科学省

2.英語教育改善のためのアクション

1. 英語の授業の改善

目標】
「英語を使用する活動を積み重ねながらコミュニケーション能力の育成を図る」
英語の授業の大半は英語を用いて行い、生徒や学生が英語でコミュニケーションを行う活動を多く取り入れる
中・高等学校等の英語の授業で少人数指導や習熟度別指導などを積極的に取り入れる
地域に英語教育に関する先進校を形成する

 「英語が使える」ようになるためには、文法や語彙などについての知識を持っているというだけではなく、実際にコミュニケーションを目的として英語を運用する能力が必要である。このため、英語の授業においては、文法訳読中心の指導や教員の一方的な授業ではなく、英語をコミュニケーションの手段として使用する活動を積み重ね、これを通して、語彙や文法などの習熟を図り、「聞く」「話す」「読む」「書く」のコミュニケーション能力の育成を図っていく指導の工夫が必要である。
  こうした指導を効果的に行っていくために、教員は、普段から主に英語で授業を展開しながら、生徒や学生が英語でコミュニケーションを行う場面を多く設定することが重要である。その際、こうした授業を通じて、学習者が、自分を表現し、相手を理解することができた成就感や学ぶ楽しさを味わうことができ、さらに、英語ができることの意義、必要性や、そのことによって広がる世界や可能性に興味や関心を持つことができるよう、指導を工夫することも大切である。
  また、ALT(外国語指導助手)や特別非常勤講師制度1などを活用して少人数指導や習熟度別指導などを積極的に取り入れるとともに、先進的な英語教育を推進し、優れた授業実践を普及することが求められる。
このため、下記のような施策を通じて、上記のような英語の授業が各学校段階を通して一貫して行われることを推進する。


新教育課程の推進】
新学習指導要領の趣旨の実現
 平成14年度から順次実施されている新しい学習指導要領においては、国際化の進展に対応し、外国語による日常的な会話や簡単な情報の交換などの基礎的・実践的コミュニケーション能力がどの生徒にも必要になってきているとの観点から、中・高等学校の外国語科を必修とし、中学校段階については、「聞くこと」「話すこと」の音声によるコミュニケーション能力の育成に重点をおいて、高等学校段階については、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4つの領域を有機的に関連付けて、実践的コミュニケーション能力の育成に重点をおいて、内容の改善が図られている。その際、外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成も重視している。
  この新学習指導要領の趣旨の実現のため、教育委員会や学校関係者等を対象とした各種会議等を通じて周知等を図り、各学校における学習指導の改善に資する。

目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)の推進
 中学校についての「評価規準の作成・評価方法の工夫改善のための参考資料」及びその解説書の作成に続き、高等学校外国語についても検討を進め、これらを参考にしながら、目標に準拠した評価の一層の定着を推進する。

先進的な英語教育等の推進】
スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール事業の推進
 平成17年度までに計100校を目標に、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール2を指定し、高等学校及び中等教育学校における先進的な英語教育を推進し、その成果の普及を図る。
  (平成14年度;16件→平成15年度;50件)

研究開発学校制度の推進
 研究開発学校制度3の中で、引き続き、小・中・高等学校等の英語教育に関する教育課程や指導方法などを開発する。

「特色ある大学教育支援プログラム」の推進
 平成15年度から「特色ある大学教育支援プログラム」を実施し、英語教育の改善を含む、大学教育の改善に資する種々の取組のうち特色ある優れたものを選定し、今後の大学教育の改善に活用する。

英語による特別コースへの参加の促進
 外国人留学生を対象として大学で実施されている英語による特別コースへの日本人学生の参加を促す。

指導方法、教材等の改善】
教職員定数改善計画の推進
 英語など教科に応じて20人程度の少人数指導や習熟度別指導を行うことを可能とする教職員定数改善計画(平成13年度〜)を推進し、きめ細かな指導を実現する。

教科書及び教材における工夫の促進
 教科書や教材において、英語を実際に使用する活動を積み重ねながら言語の習熟を図ることができるよう配慮し、実際の言語の使用場面や言語の働きに配慮したものとなるとともに、その際、生徒の心身の発達段階及び興味・関心に即して適切な題材を取り上げるよう、会議等を通じて一層の取組を促進する。

1 都道府県教育委員会への届出により、教員免許状を有しないが、優れた知識や技術を有する社会人や地域住民が、小・中・高等学校などの全ての教科等について、非常勤の講師として、その教科等の領域の一部を担任することを可能とする制度。
2 英語教育を重視したカリキュラムの開発、一部の教科を英語によって行う教育、大学や海外姉妹校との効果的な連携方策等について、実践的な研究開発を行う学校。
3 教育実践の中から提起される諸課題や、学校教育に対する多様な要請に対応した新しい教育課程(カリキュラム)や指導方法を開発するため、市町村教育委員会等が主体的に設定した研究課題に基づき、学習指導要領等によらない教育課程の編成・実施を認める制度。

英語教育改善に関する情報の積極的提供】
英語教育の改善実施状況調査の実施
 平成15年度から、中・高等学校を対象に英語教育に関する改善実施状況調査を実施し、英語による指導や少人数指導、習熟度別指導の実施状況や英語の授業時間数、先進的指導事例など、英語教育に関する各学校の取組状況を調査・公表し、英語教育の改善のための一層の取組を促す。

大学英語教育実施状況調査の実施
 各大学における英語教育の達成目標の設定状況などを調査・公表し、大学における英語教育の改善のための一層の取組を促す。

英語の優れた実践事例等の共有化の推進】
英語教育に関する先進的取組事例集の作成
 平成15年度中に、国立教育政策研究所教育課程研究センターにおいて、先進的な英語の指導事例等に関する事例集を作成し、研修等を通じた普及を図る。

英語の特色ある授業実践の共有化の推進
 平成15年度から、国立教育政策研究所教育情報ナショナルセンターを通じ、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールの研究成果や特色ある英語教育の実践事例の共有化を推進し、よりよい授業づくりを支援する。


2. 英語教員の指導力向上及び指導体制の充実

目標】
概ね全ての英語教員が、英語を使用する活動を積み重ねながらコミュニケーション能力の育成を図る授業を行うことのできる英語力(英検準一級、TOEFL550点、TOEIC730点程度以上)及び教授力を備える
地域レベルのリーダー的教員を中核として、地域の英語教育の向上を図る
中・高等学校の英語の授業に週1回以上はネイティブスピーカーが参加する
英語に堪能な地域の人材を積極的に活用する

 「英語が使える日本人」の育成は、日々子どもに接する教員の実践を通して実現されるものであり、教員の指導力の在り方は極めて重要なものである。英語をコミュニケーションの手段として使用する活動を積み重ね、これを通して、語彙や文法などの習熟を図り、「聞く」「話す」「読む」「書く」のコミュニケーション能力の育成を図っていく授業を、普段から主に英語で展開するためには、英語教員に一定の英語力及び教授力が必要となる。このため、後述(「7.実践的研究の推進」参照)のとおり英語教員が備えておくべき英語力及び教授力の内容を具体的に分析する研究を実施するとともに、外部検定試験である程度測定が可能な英語力については当面の具体的な目標値を設定し、英語力及び教授力を向上させるため、下記のような施策を通じて、教員研修の充実等の取組を推進する。
  また、ネイティブスピーカーの活用は、生きた英語を学ぶ貴重な機会であるとともに、外国語や外国文化等に親しみ、自分の英語がネイティブスピーカーに通じたという喜びと英語学習へのモティベーション(動機づけ)を高めるなどの意味で、大きな意義を有する。さらに、海外生活経験等により英語に堪能な社会人など地域の優れた人材の協力を得ることは、英語の指導体制の充実を図る観点のみならず、社会の中での英語の必要性や、英語ができることによって広がる世界などについて、子どもたちが直接学ぶ貴重な機会となる観点からも、大きな意味を有する。このため、指導体制の充実のため、下記のような施策を通じて、ネイティブスピーカーの効果的な活用や地域の優れた人材の活用を推進する。

採用・評価の際の考慮】
教員採用の改善の促進
 英語担当教員の採用選考に当たっては、現在、ほぼ全ての都道府県・指定都市教育委員会が、リスニング、英会話などの実技試験を行っており、このような選考を一層推進する。また、学力試験の改善や直近の英検、TOEFL、TOEIC等のスコアの考慮により、選考の際に目標とされる英語力の所持を確認することを求め、英語によるコミュニケーション能力に関する評価を一層重視した採用を促す。
教員評価の改善の促進
 英語教員には、英語の教授力や意欲・情熱などに加え、一定の英語力が求められることを踏まえ、研修成果の評価や勤務評定などの中で、英語力の所持を考慮することを求める。

英語教員の集中的研修の推進】
5カ年計画による集中的研修の推進
 平成15年度から平成19年度までの5年間に、全ての英語教員が、実践的コミュニケーション能力育成のための指導力向上を図る研修を受けるよう、国レベルの研修と合わせ、都道府県等教育委員会が行う集中的な研修を支援する。また、研修の受講状況は、先述の英語教育の改善実施状況調査により把握する。

地域のリーダー的教員育成の推進】
英語教育指導者講座の実施
 独立行政法人教員研修センターにおいて、英語教育指導者講座を引き続き実施し、実践的コミュニケーション能力の育成のための効果的な指導法などを習得し、地域における研修講師となるなど地域の英語教育を推進するリーダー的教員の育成を図る。
  平成15年度予定人数 1,000人

優れた英語教員への海外研修の充実
 独立行政法人教員研修センターにおいて、上記集中的研修等を通じて優れた教授力や英語力を有する中・高等学校の英語教員に対して、それぞれの必要性に応じた海外研修の機会を提供することを通じて、英語力、教授力とも優れた英語教員の育成を図るとともに、周囲の英語教員の意欲向上を促す。
  平成
15年度予定人数
12ヶ月派遣   15人
6ヶ月派遣   85人
2ヶ月派遣(新規)   200人

大学院修学休業制度を活用した海外の大学院への留学の促進
 平成15年度から、英語教員の受け入れ可能な大学院に関する情報提供などにより、秀でた熱意と英語力・教授力を有する中・高等学校の英語教員が、大学院修学休業制度4を活用して海外の大学院で英語教育に関する課程を修得することを促進する。

ネイティブスピーカーの活用促進】
ALT(外国語指導助手)の活用促進
 JETプログラム5によるALTの勤務年限の弾力化(最大3年から5年に拡大)や、単独での授業が可能な特別非常勤講師としての活用などを通じて、ALTの有効活用を促進するとともに、地方公共団体の配置要望に可能な範囲で応え、ALTの活用を促進する。また、活用状況は、先述の英語教育の改善実施状況調査により把握する。

優れたALT等の正規教員への採用促進
 平成15年度からの3年間で中学について教員定数の加配等も活用し300人、将来的には、中・高等学校について教員定数の加配等も活用し1,000人の配置を目指し、ALT等として優れた経験等を有するネイティブスピーカーを正規教員として活用することを促進する。

英語に堪能な地域人材の活用促進】
英語に堪能な地域人材の活用促進
 一定以上の英語力を所持している社会人等について、学校いきいきプラン6や特別免許状、特別非常勤講師制度により英語教育への活用を促進する。


4 国公立学校の教員が、任命権者の許可を受けて、専修免許状を取得するため、1年を単位とする3年を超えない期間、国内外の大学院へ在学し、研修を行うため休業することができる制度。
5 地方公共団体を事業主体として、文部科学省、総務省、外務省の協力の下に推進している事業。我が国における外国語教育の充実を図るとともに、地域レベルでの国際交流の進展を図ることを通じて、我が国と諸外国との相互理解を増進し、もって我が国の国際化の促進に資することを目的とする。
6 平成16年度までの3年間で、約5万人を目標に全国の学校に多様な知識や経歴を有する社会人を教員補助者等として導入する構想(特別非常勤講師制度や緊急地域雇用創出特別交付金を活用)。



3. 英語学習へのモティベーションの向上

目標】
毎年10,000人の高校生が海外留学する
授業以外で英語を使う機会が充実する
英語を用いて世界へ情報発信するなど、国際交流を一層活発にする

 英語によるコミュニケーション能力の育成のためには、コミュニケーションの手段として活用する経験を積み重ねる必要がある。しかし、我が国においては、日常生活の中で英語に接する機会は少なく、多くの子どもたちは教室で学習したことを日常生活の中で試してみることが困難な状況の中、子どもたちの学習意欲を如何に高めるかが重要な課題である。
  このためには、英語学習へのモティベーション(動機づけ)を高めることが必要である。様々な機会をとらえて、異なる文化や生活への理解と関心を深める教育を推進し、英語によるコミュニケーション能力を身に付けることの意義や面白さを理解させるとともに、授業以外で英語を使う機会をできるだけ多く設けたり、挑戦すべき具体的目標を設定したりするなど、英語が使えたという喜びや成就感を与える取組が重要である。
  このため、下記のような施策を通じて、英語学習へのモティベーションの向上を推進する。

国際理解教育の推進】
新学習指導要領の趣旨の実現
 広い視野を持ち、異文化を理解するとともに、これを尊重する態度や異なる文化を持った人々と共に生きていく資質や能力の育成をねらいとする国際理解教育は、英語のみならず、社会科、地理歴史科を中心に各教科、道徳、特別活動の特質等に応じて行うこととしている。また、平成14年度から順次実施されている新しい学習指導要領においては、「総合的な学習の時間」においても横断的・総合的な学習活動の一つとして国際理解に関する学習活動が示されている。
このため、教育委員会や学校関係者等を対象とした各種会議等を通じて、このような新学習指導要領のねらいについての周知と理解を促す。

国際理解教育に関する指導事例集の作成
 小学校編に続き、中・高等学校の各教科等における効果的な国際理解教育の指導事例に関する事例集を、平成15年度中に作成し、研究協議会等を通じた普及を図る。

留学機会の拡大】
高校生留学の促進
 年間10,000人の高校生が海外留学することを目指し、高校生留学交流団体が実施する留学プログラムや、留学先に関する情報提供活動を支援する。
  (平成15年度予定 1,000人程度を対象に、往復航空費の一部を支援)

大学生等の留学促進
 大学間交流協定等に基づく日本人学生の短期留学を推進するとともに、留学に関する情報提供活動の充実を図る。
  (平成15年度短期留学推進制度予定 585人を対象に、奨学金を支援)

英語を使う機会の充実】
地域人材等を活用した取組の推進
 学校いきいきプランを通じた英語に堪能な社会人等の活用や、ALT等の活用によって、学校を中心とした英会話サロンやスピーチコンテストなどの取組を促進する。

外国語長期体験活動の推進
 小学校高学年を対象にネイティブスピーカー等と長期にわたり共同生活をする中で外国語コミュニケーション能力を培うとともに、国際化に対応できる人材を育成するためのモデル事業を実施する。

特色ある取組に関する事例集の作成等
 先述の英語教育に関する先進的取組事例集の中で、英語の授業外における英会話サロンやサマーキャンプ、留学生や海外の子どもたちとの交流、英語放送の積極的活用など、英語を使う機会に関する特色ある取組を取り上げ、周知を図る。
  また、英語の授業外における取組状況については、先述の英語教育の改善実施状況調査により把握する。

国際交流の推進】
国際交流を推進する情報提供活動の推進
 先述の高校生留学に係る情報提供活動の一環として、姉妹校提携や学校間交流活動を推進する情報提供活動を支援する。

英語版学校紹介ホームページ作成の促進
 英語を用いて発信する力や英語学習への意欲を高め、ITを活用した国際交流を促進する観点から、各学校が英語で学校や地域を紹介するホームページを作成する取組を促し、教育情報ナショナルセンターの提供するシステムを通してインターネットで紹介する。


4. 入学者選抜等における評価の改善

目標】
聞く及び話す能力を含むコミュニケーション能力を適切に評価する
大学や高校入試において、リスニングテスト、外部検定試験の活用を促進する

 英語によるコミュニケーション能力の育成のためには、コミュニケーション能力の適切な評価がなされなければならない。特に、日常生活の中で英語に接する機会が少ない我が国においては、成績や受験が最終の目標になりがちであることから、入学者選抜等の在り方は、指導方法の改善やモティベーションや学習意欲に極めて大きな影響を与えているといえる。
  このため、下記のような施策を通じて、評価方法や出題方式、内容等に関する改善を推進する。

入学者選抜における改善】
大学入試センター試験でのリスニングテストの導入(平成18年度からの実施を目標)
 大学関係者と高等学校関係者等の間で行われている協議の結果を踏まえ、平成15年5月中に、大学入試センター試験でのリスニングテストの実施の概要について公表する。また、これに伴う各大学の体制の整備などについて検討する。

各大学の入学者選抜の改善の促進
 各大学が設定する英語力の達成目標などをもとに、入学者に求める英語力を明確にし、特にコミュニケーション能力を重視する観点から、リスニングテストなどコミュニケーション能力が適切に評価される選抜方法の改善に関する各大学の取組を促進する。

高等学校入学者選抜の改善の促進
 音声によるコミュニケーション能力を重視した中学校の学習に配慮し、全都道府県で行われているリスニングテストに加え、例えば、英語による口頭試問の導入など、コミュニケーション能力をより重視した出題方法の改善を促進する。

大学入試及び高校入試での外部検定試験結果の活用の促進
 大学や高等学校の入学者選抜においては、各種外部検定試験の内容・程度や受験者の実態等に配慮しつつ、後述の英語教育に関する研究の結果を踏まえ、各種会議等を通じて、英検やTOEFL、TOEIC、ケンブリッジ大学英語検定試験などの一層の活用を促す。

企業等の採用試験における配慮】
 企業等の採用試験において、仕事で使える英語力の所持を重視するよう求める。また、文部科学省においても、職員の採用等の際に英語力の所持も重視する。


5. 小学校の英会話活動の支援

目標】
総合的な学習の時間などにおいて英会話活動を行っている小学校について、その実施回数の3分の1程度は、外国人教員、英語に堪能な者又は中学校等の英語教員による指導を行う

 小学校においては、平成14年度から順次実施されている新しい学習指導要領のもと、新設された「総合的な学習の時間」の中で、国際理解教育の一環として外国語会話等を行うことができるようにしており、新学習指導要領が全面実施となった平成14年度では、およそ5割の公立小学校で英会話活動が行われている。
  「総合的な学習の時間」における英会話活動においては、単なる中学校の英語教育の前倒しは避けるとともに、教員が一方的に教え込むのではなく、児童が楽しみながら外国語に触れたり、外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど、小学校段階にふさわしい体験的な学習活動を行い、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度を育成することが重要である。このため、下記のような施策を通じて、こうした取組の円滑な実施を推進する。
  また、その際には、児童が異なった言語や文化などに触れ、興味や関心を持つことや、音声を使った体験的な活動を行うことが重要であることから、ネイティブスピーカーなど高い英語力を有する者の活用が重要である。このため、英会話活動を行う小学校については、その実施回数の3分の1程度は、ネイティブスピーカーや中学校の英語教員等による指導が行えることを目標に、下記のような施策を通じて、必要な支援を行う。


指導方法の改善】
小学校英会話活動推進のための手引の作成
 効果的な指導法や指導に当たっての配慮、中学校の英語教育を踏まえた指導の在り方など、小学校の英会話活動の指導に関する手引書を作成する。

英会話活動の実施状況に関する調査の実施
 先述の英語教育に関する改善実施状況調査の中で、小学校の英会話活動の実施状況や内容などについて調査・公表し、一層の取組の改善に資することとする。

研究開発学校制度の推進
 研究開発学校制度の下で、引き続き、小学校の英語教育に関する指導方法などを開発する。

指導力及び指導体制の充実】
英会話活動担当教員への研修の充実
 独立行政法人教員研修センターにより、英会話活動担当教員の指導者となる教員の研修を重点的に実施する。
  (平成15年度予定人数 600人)

経験豊かなALTの配置促進
 JETプログラムや特別非常勤講師制度等を通じ、中・高等学校等での指導経験を有するALTの小学校への配置を促進する。

英語に堪能な地域人材の活用促進
 学校いきいきプランや特別非常勤講師制度等を通じ、海外生活経験等により英語に堪能な社会人や留学生等の活用を促進する。

中・高等学校教員の小学校英会話活動への参加の促進
 平成14年5月の教育職員免許法の改正により、中学校又は高等学校の教諭の免許状を有する者が小学校の相当する教科及び総合的な学習の時間の授業を担当することができるようになったことを踏まえ、小学校の英会話活動の支援とともに小・中学校等間の連携を促進する観点から、小学校の英会話活動への中・高等学校教員の活用を促進する。

小学校の英語教育の在り方に関する研究】
教育課程の研究開発
研究開発学校制度の下で、引き続き、小学校の英語教育に関する教育課程等を開発する。

小学校の英会話活動の実情把握及び分析
 平成15年度中に、現行の英会話活動の実施状況について詳細な調査・分析を行う。

今後の小学校英語教育の在り方に関する研究
 平成15年度に調査研究協力者会議を設置し、17年度までを目途として研究開発学校における研究実践の成果・課題の分析、児童の言語習得の特質に関する研究、諸外国の事例等の収集・分析など、今後、中央教育審議会における教育課程の基準の改善に係る審議において小学校の英語教育の在り方を検討する上で必要となる研究等を行う。


6. 国語力の向上

目標】
英語によるコミュニケーション能力の育成のため、すべての知的活動の基盤となる国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成する

 英語の習得は母語である国語の能力が大きくかかわるものであり、英語によるコミュニケーション能力の育成のためには、その基礎として、国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成するとともに、伝え合う力を高めることが必要である。
  また、豊かな人間性や社会性を持ち、国際社会の中で主体的に生きていく日本人を育成するためには、思考力を伸ばし、豊かな表現力や言語感覚を養うとともに、国語への関心を深め、国語を尊重する態度を育てることが大切である。
  このため、下記のような施策を通じ、国語力の向上の取組を推進する。

新学習指導要領の趣旨の実現
平成14年度から順次実施されている新しい学習指導要領「国語」においては、読み書きなどの徹底はもちろんのこと、相手や目的、場面に応じて国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、互いの立場や考えを尊重しつつ言葉で「伝え合う力」を高めることに重点をおいて、内容の改善が図られている。
  この新学習指導要領の趣旨の実現のため、教育委員会や学校関係者等を対象とした各種会議等を通じて周知等を図り、各学校における学習指導の改善に資する。

国語力向上モデル事業の実施
 家庭や地域と連携しながら、児童生徒の国語力向上のための推進校を設け、実践研究に取り組むモデル地域を指定し、国語力向上のための総合的な取組を推進する。

「これからの時代に求められる国語力」の検討
 平成14年2月の文部科学大臣からの諮問「これからの時代に求められる国語力について」を受けて、文化審議会国語分科会において検討し、平成15年1月に審議経過の概要を取りまとめ公表した。
  今後、国民各界各層からの意見等も踏まえつつ、引き続き検討を進め、答申として取りまとめる。

子どもの読書活動の推進
 「朝の読書」の推進などにより、子どもの読書に親しむ態度を育成し、読書習慣を身に付けることを推進する。

言葉に対する意識の高揚
 家庭や地域などが一体となって、相手や場面に応じた適切な言葉遣いや言葉による表現等について考える機会を提供する「『言葉』について考える体験事業」等を実施し、言葉についての意識の高揚を図る。

国語指導力向上講座の実施
 小・中・高等学校の教員(国語科以外の教員を含む)や指導主事を対象として、指導方法等についての研修を実施し、教員の指導技術の向上を図る。


7. 実践的研究の推進

目標】
英語教育の改善のための取組が着実に推進されるよう、中・高等学校・大学の英語教育に関する実践的研究を総合的に実施する(平成15年秋までに一定の結論を得る)

中・高等学校段階で求められる英語力の指標に関する研究
 学習指導要領等を踏まえ、中・高等学校段階で求められる英語力の指標に関し具体的に示すとともに、実際の指導状況などを調査し、いかなる点で指導方法の改善が必要か具体的に研究する。
  また、英検、TOEFL、TOEICなどの外部検定試験でいかなる英語力が測定されるかを分析し、求められる英語力との関係を明らかにし、外部検定試験の入試等での活用方策を研究する。

中・高等学校における英語教育及び教員の研修プログラムに関する研究
 英語による実践的コミュニケーション能力育成のための効果的な指導方法を検討する観点から、国内外の英語教育に関する研究や基礎的データを集約する。
  これを踏まえ、英語による実践的コミュニケーション能力育成のための指導力向上をねらいとする先述の集中的研修のためのモデルプログラムや、効果的な教員養成プログラムを作成する。

英語教員が備えておくべき英語力の目標値についての研究
 英語教員が備えておくべき英語力及び教授力の内容について分析するとともに、英語教員を対象とした調査を実施し、英検、TOEFL、TOEICなどの特性を踏まえ、英語教員が備えておくべき英語力と外部検定試験との関連、各試験の点数互換の妥当性等を研究する。
  また、上記効果的な指導方法に関する研究と連携し、英語による実践的コミュニケーション能力育成のための指導力の測定の可能性について検討する。

大学の英語教育の在り方に関する研究
 高等教育における人材育成の多様性を踏まえつつ、「大学を卒業したら仕事で英語が使える」人材を育成する観点から、教科内容の改善や大学間の協力体制の構築、大学教員養成の在り方等について、具体的なモデル事例を策定する。

諸外国における英語教育の取組に関する研究
 アジア諸国を中心とする諸外国における英語教育の取組状況について調査し、諸外国の指導方法や教材、学習評価の工夫、教員研修の取組等に関する事例をまとめる。


ページの先頭へ 文部科学省ホームページのトップへ