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資料16

算数・数学科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)(教育課程部会等の審議を踏まえて再整理したもの)

1. 現状
 
 算数・数学科のねらいは,算数的活動・数学的活動を通して,数量や図形に関する知識・技能の定着を図り,数学的な思考力・表現力を育成するとともに,それらを進んで活用する態度を育てることにある。
 このねらいを実現するため,小学校においては「数と計算」,「量と測定」,「図形」,「数量関係」の4領域,中学校においては「数と式」,「図形」,「数量関係」の3領域を設け,児童生徒の発達や学年の段階を踏まえて内容を構成している。また,高等学校においては「数学基礎」,「数学1」,「数学2」,「数学3」,「数学A」,「数学B」,「数学C」の7科目を設け,数学学習の系統性と生徒選択の多様性の双方に配慮した内容で構成している。

2. 課題
 
 教育課程実施状況調査や国際的な学力調査によると,基礎的な計算技能の定着については低下傾向は見られなかったが,計算の意味を理解することなどに課題が見られた。また,身に付けた知識や技能を実生活や学習等で活用することが十分にできていない状況が見られた。
 教育課程実施状況調査や国際的な学力調査によると,事柄や場面を数学的に解釈すること,数学的な見方や考え方を生かして問題を解決すること,自分の考えを数学的に表現することなどに課題が見られた。
 特定の課題に関する調査によると,具体的な場面を設けて問題解決の指導をすることや,計算などで複数の学年で継続して指導することの重要性が明らかになった。
 算数的活動・数学的活動については,数量や図形についての作業的活動や体験的活動などを取り入れる授業が学校現場において次第に増えてきているが,より多くの実践例を開発したり,活動のねらいをより明確にしたりすることが必要である。
 PISA調査では,数学で学ぶ内容に興味のある生徒の割合が国際平均値より低く,数学の学習に対する不安を感じる生徒の割合が国際平均値より高かった。また,TIMSS調査では,算数・数学の勉強を楽しいと思う児童生徒の割合が国際平均値より低かった。
 算数・数学の好き嫌いについては,国内調査において小学校第6学年から中学校第1学年にかけて,「好き」と回答する児童生徒の割合が低下している状況が見られる。
 算数・数学を学ぶことの意義や有用性,社会全般における数学の果たす役割についての認識を高めることが課題であるという指摘や,ねばり強く考え抜き問題を解決することによって得られる達成感や自信をもとに自尊感情や主体性を育むことが必要であるという意見もある。

3. 改善の方向性
 
 小・中・高等学校を通じて,算数的活動・数学的活動をより一層充実させ,基礎的・基本的な知識・技能の定着と数学的に考える力の育成を総合的に実現し,児童生徒がそれらを進んで活用する態度を育てることを目指す。また,学年間や学校段階間における学習の接続や,他教科等の学習との関連に配慮しつつ,児童生徒が算数・数学を学ぶことの意義や有用性を実感できるようにする。
 数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・技能は,生活や学習の基盤となるものである。このため,作業や体験を取り入れるなどした実感的な理解や,実生活や実社会,その後の学習等への活用を重視しつつ,学年間や学校段階間でスパイラルな教育課程を構成する。これによって,複数学年にわたる指導や学び直しの機会などを設けて学習できるようにし,児童生徒が基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付けられるようにする。
 論理的な思考力やコミュニケーション能力を高めるために,根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えることや,言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを用いて自分の考えを分かりやすく説明したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりすることなどの指導を充実する。そのために,数学的な思考力・表現力を育成する内容や指導場面をより明確に示すようにする。
 知識・技能を確実に定着させたり,実生活や実社会,学習等に活用したりできるようにするために,およその数を見積もるなど,数量や図形についての豊かな感覚を育成する指導を充実する。
 算数的活動や数学的活動を生かした指導が一層行われるようにするために,これまでの内容に関する記述に加えて,活動に関する記述を充実する。

4. 改善例
  【小学校】
(ア) 小学校においては,数量や図形を身の回りから見いだしたり,具体物を用いて調べたり,言葉や記号を用いて表現したりする活動や体験を重視する。その際,数学的に表現したものを活動や体験によって確かめたり,活動や体験したものを数学的に表現したりするなどの相互の往復によって,理解を深めたり,数学的な思考力・表現力を高めたりできるようにする。また,数量や図形についての知識・技能の確実な定着や,思考力・表現力の育成を図るため,複数学年にわたるスパイラルな学習指導を進められるようにする。
(イ) 算数的活動を今後も一層重視していくため,各学年の内容において,算数的活動についての記述を位置付けるようにする。数量や図形についての意味を理解したり,知識や技能を活用したり,考える力を高めたりするための算数的活動を具体的に示していくようにする。
(ウ) 「数と計算」では,計算の意味を理解すること,計算の仕方を考えること,計算に習熟し活用することを重視する。また,数の大きさや計算の見積りの感覚を豊かにし,計算の結果などについて適切な判断ができるようにする。
(エ) 「量と測定」では,身の回りにある様々な量の大きさを比較したり測定したりするなどの活動を重視して,量の大きさについての感覚を豊かにする。また,面積については,その求め方を自分で考えたり,説明したりすることを重視する。
(オ) 「図形」では,様々な図形をかいたり,作ったり,敷き詰めたり,形と大きさを比べたりするなどの活動を重視して,図形についての感覚を豊かにする。また,平面図形と立体図形の両者をバランスよく指導できるようにする。
(カ) 「数量関係」では,数量についての事柄や関係を,数,式,表,グラフなどによって表現したり,表現したものを読みとったりすることを重視する。

【中学校】
(ア) 中学校においては,思考の過程を振り返り,考え続けようとする態度を育て,将来にわたって自らの学びの目標を持ち続け,追究する意欲を失わない生徒の育成を目指す。
(イ) 数学的活動については,実生活や実社会で数学を利用する活動や,数学的に伝え合う活動など具体例を示し,内容の指導において実現できるようにする。また,課題学習を数学的活動が実現される場面と位置付け,より一層充実させる。
(ウ) 「数と式」では,文字を用いて一般的に考えることの必要性やよさについての理解を深めたり,身の回りの数量やその関係を数や文字の式で表現したり,式を形式的に処理したり,式の意味を積極的によみとり自分なりに説明したりすることができるようにする。
(エ) 「図形」では,体験に基づく実感的な理解を重視し,身の回りにあるものを図形としてとらえてその性質や関係などを明らかにすることができるようにする。また,図形の性質などを根拠を明らかにして筋道を立て説明することができるようにする。
(オ) 「数量関係」では,身の回りで起こることを関数としてとらえ,表,式,グラフなどを用いて変化や対応の様子を調べてその特徴を説明したり,表,式,グラフなどから新たな関係や特徴をよみとって,それを具体的な場面で解釈したりすることができるようにする。
(カ) 新しい領域として「資料の活用」(仮称)を設け,資料に基づいて集団の傾向や特徴をとらえ,それをもとに判断することができるようにする。

【高等学校】
(ア) 高等学校数学については,数学を学ぶ意義やその必要性が明らかになるよう,数学学習を通してどのような人を育てようとしているかを重視し,その目標等を見直す。
(イ) 科目構成については,数学学習の系統性や生徒選択の多様性の双方に配慮して,現行の科目構成を見直し必要な科目を設ける。
(ウ) 高等学校数学における基礎的・基本的な知識や技能及びそれらを活用する能力などを身に付ける科目を必履修科目として設けることとし,中学校数学の内容との関連や他教科の内容との関連を考慮して内容を設定する。
(エ) 数学と人間とのかかわりや,社会生活において数学が果たしている役割について理解させ,数学への興味や関心を高めるとともに,具体的な事象への活用を通して数学的な見方や考え方のよさを認識し数学を活用する態度を育てることをねらいとした科目を設ける。
(オ) 数学学習の系統性に配慮して数学的な資質・能力の育成を目指す科目や,数学を更に深く学習したい生徒や将来数学を専門的に扱おうとする生徒が履修する科目,生徒の能力・適性,興味・関心,進路等に応じていくつかの項目を選択し履修する科目を設ける。
(カ) 必履修科目を含め多くの生徒の履修が見込まれる科目には,実生活と関連付けたり,生徒の関心や意欲を高めたりする課題を設け,数学的活動を特に重視して行う課題学習を内容に位置付ける。


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