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資料5−2

評価基準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料(中学校)
−評価基準,評価方法等の研究開発(報告)− (抜粋)

第3節 数学

1 教科目標及び観点の趣旨等

 教科目標

 数量,図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習得し,事象を数理的に考察する能力を高めるとともに,数学的活動の楽しさ,数学的な見方や考え方のよさを知り,それらを進んで活用する態度を育てる。

 観点の趣旨
数学への関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 数学的な表現・処理 数量,図形などについての知識・理解
数学的な事象に関心をもつとともに,数学的活動の楽しさ,数学的な見方や考え方のよさを知り,それらを事象の考察に進んで活用しようとする。 数学的活動を通して,数学的な見方や考え方を身に付け,事象を数学的にとらえ,論理的に考えるとともに思考の過程を振り返り考えを深める。 事象を数量,図形などで数学的に表現し処理する仕方や推論の方法を身に付けている。 数量,図形などに関する基礎的な概念や原理・法則などについて理解し,知識を身に付けている。


 内容のまとまりごとの評価規準の設定
 数学科においては,学習指導要領の内容領域「A数と式」,「B図形」,「C数量関係」を内容のまとまりとして,そのまとまりごとに評価規準を作成した。

2 内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例

1  第1学年

 学年目標
(1)  数を正の数と負の数まで拡張し,数の概念についての理解を深める。また,文字を用いることの意義及び方程式の意味を理解するとともに,数量などの関係や法則を一般的にかつ簡潔に表現し,処理できるようにする。
(2)  平面図形や空間図形についての観察,操作や実験を通して,図形に対する直観的な見方や考え方を深めるとともに,論理的に考察する基礎を培う。
(3)  具体的な事象を調べることを通して,比例,反比例の見方や考え方を深めるとともに,数量の関係を表現し考察する基礎を培う。

 第1学年の観点の趣旨
数学への関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 数学的な表現・処理
数量,図形などについての知識・理解
さまざまな事象を数量や図形などでとらえたり,それらの性質や関係を見いだしたりするなど,数学的に考えることに関心をもち,意欲的に問題の解決に活用しようとする。 数学的活動を通して,数量,図形などについての基礎的な知識と技能を確実に習得するとともに,それらを活用しながら,数学的な見方や考え方を身に付け,事象を見通しをもって論理的に考察する。 正の数・負の数の四則計算や基本的な図形の作図ができ,数量の関係や法則を方程式などを用いて表現し処理したり,図形の計量に用いたりするなど,図形や数量関係を的確に表現したり数理的に処理したりする。 正の数・負の数,文字を用いることの意義,一元一次方程式,平面図形についての性質や関係,空間における図形の位置関係,比例・反比例の関係などを理解している。

2  第2学年

 学年目標
(1)  文字を用いた式について,目的に応じて計算したり変形したりする能力を伸ばすとともに,連立二元一次方程式について理解し,それを用いる能力を養う。
(2)  基本的な平面図形の性質について,観察,操作や実験を通して理解を深めるとともに,図形の性質の考察における数学的な推論の意義と方法とを理解し,推論の過程を的確に表現する能力を養う。
(3)  具体的な事象を調べることを通して,一次関数について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を養う。また,具体的な事象についての観察や実験を通して,確率の考え方の基礎を培う。

 第2学年の評価の観点の趣旨
数学への関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 数学的な表現・処理 数量,図形などについての知識・理解
さまざまな事象を数量や図形などでとらえたり,それらの性質や関係を見いだしたりするなど,数学的に考えることに関心をもち,意欲的に問題の解決に活用しようとする。 数学的活動を通して,数量,図形などについての基礎的な知識と技能を確実に習得するとともに,それらを活用しながら,数学的な見方や考え方を身に付け,事象を数学的な推論の方法を用いて論理的に考察する。 文字を用いた四則計算ができ,数量の関係や法則を方程式などを用いて表現し処理したり,図形の性質について推論の筋道を簡潔に表現したり,数量関係を的確に表現したり数理的に処理したりする。 文字式のはたらき,連立二元一次方程式,平面図形の性質,円周角と中心角の関係,図形の証明の意義と方法,一次関数の特徴,確率の意味などを理解している。

3  第3学年
 学年目標
(1)  数の平方根について理解し,数の概念についての理解を一層深める。また,目的に応じて計算したり式を変形したりする能力を一層伸ばすとともに,二次方程式について理解し,式を能率的に活用できるようにする。
(2)  図形の相似や三平方の定理について,観察,操作や実験を通して理解し,それらを図形の性質の考察や計量に用いる能力を伸ばすとともに,図形について見通しをもって論理的に考察し表現する能力を伸ばす。
(3)  具体的な事象を調べることを通して,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を伸ばす。

 第3学年の評価の観点の趣旨
数学への関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 数学的な表現・処理 数量,図形などについての知識・理解
さまざまな事象を数量や図形などでとらえたり,それらの性質や関係を見いだしたりするなど,数学的に考えることに関心をもち,意欲的に問題の解決に活用しようとする。 数学的活動を通して,数量,図形などについての基礎的な知識と技能を確実に習得するとともに,それらを活用しながら,数学的な見方や考え方を身に付け,事象に潜む関係や法則を見いだし,数学的な推論の方法を用いて論理的に考察する。 平方根を含む式の計算ができ,数量の関係や法則を方程式などを用いて表現し処理したり,図形の性質について推論の筋道を簡潔に表現したり,数量関係を的確に表現したり数理的に処理したりする。 数の平方根の意味,単項式と多項式の計算,式の変形の意味とはたらき,二次方程式,図形の相似の意味や直角三角形の性質,二次関数の特徴などを理解している。

 学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例

(3) 「C 数量関係」
学習指導要領の内容】
(1) 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗に ついて理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する。
事象の中に関数の関係を見いだし,表現する。
表,式,グラフを用いて関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の特徴を調べる。
具体的な事象の考察に関数ワイ イコール エイ エックス 2乗を活用する。

「C数量関係」の評価規準】
数学への関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 数学的な表現・処理 数量,図形などについての知識・理解
具体的な事象を調べることを通して,一次関数とは異なる数量の関係があることが分かり,こうした見方や考え方をもとに数学的に考察したり,意欲的に問題の解決に活用しようとする。 具体的な事象の中から関係や法則を的確にとらえ,関数のとる値の変化の割合に目を向けるなど,変化や対応についての見方や考え方を一層深め,事象を数理的にとらえ,見通しをもち論理的に考察することができる。 さまざまな事象の中にある数量の関係を的確に表現したり,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の関係を表,式,グラフなどによって数学的に処理したりする。 関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の意味,変化の割合とグラフの特徴,問題解決への利用の仕方を理解している。


「C 数量関係」の評価規準の具体例】
数学への関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 数学的な表現・処理 数量,図形などについての知識・理解
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の関係】
具体的な事象の中にある二つの数量の関係に関心をもち,観察,実験,調査などを通して,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗について考察しようとする。

具体的な事象の中にある二つの数量の関係を,変化や対応の様子に着目して調べ,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗についてを考察することができる。
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗で表すことができる事象の変化や対応を一次関数などと比較して考察することができる。

関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の関係を式で表すことができる。

事象の中には,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗を用いてとらえられるものがあることを知り,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の意味を理解している。
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の特徴】
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗に関心をもち,表,式,グラフなどを用いて,その特徴を調べようとする。

関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の特徴を表,式,グラフなどを用いて考察することができる。
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗を「二乗に比例する関数」とみることができる。

関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の関係を表,式,グラフなどで表現したり,変化の割合に着目するなどして,その特徴をよみとったりすることができる。

変化の様子,グラフの形,ワイ イコール エイ エックス 2乗のaの意味,変化の割合の意味など,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の特徴を理解している。
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の利用】
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の関係が実生活と深くかかわっていることに気付き,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗を活用しようとする。

具体的な事象を,関数ワイ イコール エイ エックス 2乗を用いて考察し,その結果が適切であるかどうか振り返って考えることができる。

関数ワイ イコール エイ エックス 2乗の表,式,グラフなどを用いて具体的な事象を表現したり,処理したりすることができる。

関数ワイ イコール エイ エックス 2乗を,どのような場面でどのように用いるか理解している。
関数ワイ イコール エイ エックス 2乗を用いると,事象を考察したり,予測したりできることを理解している。



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