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資料16

国語科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)(教育課程部会等の審議を踏まえて再整理したもの)

1. 現状
 国語科は、国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし、国語を尊重する態度を育てることをねらいとしている。
 このねらいを実現するため、「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の各領域と〔言語事項〕から内容を構成し、児童生徒の発達段階を踏まえた具体的な言語活動を通して国語の能力を育成している。

2. 課題
 国際的な学力調査の結果から、読解力において低下傾向が見られる。具体的には、文章や資料の解釈、熟考・評価や、論述形式の設問に課題がある。
 教育課程実施状況調査においては、全体として正答率は高くなっているが、記述式の問題については低下するなどの課題が見られる。比較的自由に自分の気持ちを表現する設問は正答率が上昇しているのに対し、文章を深く読んで分析的に理解してその上で記述する設問では正答率が低下している。高等学校では、古典に親しむ態度や読む能力、文語や訓読のきまりの理解に課題がある。
 特定課題に関する調査結果から、漢字の習得については、日常生活や学習場面での使用頻度が高い漢字は定着しているが、使用頻度が低いものや使用範囲が狭い漢字については定着が十分でないという課題がある。
 敬語については、文化庁の世論調査において、敬語の使い方に間違いが多くなってきていると回答した者が80パーセントを超えており、子どもたちが敬語を生活の中で適切に使うことができるようにする必要がある。

3. 改善の方向性
 小学校、中学校及び高等学校を通じて、各教科等を貫く基本としての言語の教育としての立場を一層重視し、実社会・実生活で生きて働く国語の能力を身に付けるとともに、国語の役割や特質を理解したり、我が国独自の言語文化に対する関心を深めたりしながら、国語を尊重する態度を育てるようにする。その際、「話す」、「聞く」、「書く」、「読む」という言語活動を通して、言語についての基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得を図り、習得した知識・技能を基礎として自らの課題や目的に応じて言語を多様に活用するようにする。また、多様な情報を活用し、互いの立場や考えを尊重しながら言葉で伝え合ったりする体験や、論理的な思考に基づいて豊かに自己を表現しながらまとまった課題を探究する力の育成を重視し、それぞれの能力の育成の有機的な関連を図るようにする。
 学習の系統性や児童生徒の発達段階を踏まえ、小学校においては日常生活に必要な言語能力の基礎を、中学校においては社会生活に必要な言語能力を、高等学校においては社会人として必要な言語能力を確実に育成することとし、学校段階・学年段階ごとに、具体的に身に付けるべき能力を明確にし、重点的な指導が行われるようにする。
 内容構成については、以下のような改善を図る。
基礎的な知識・技能を習得し、実社会・実生活で活用できるようにする能力を育成する〈国語の知識・技能と活用の視点〉から「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の領域を構成する。
我が国において継承し創造されてきた国語の文化や国語の特質を理解し、活用できるようにする能力を育成する〈国語の文化と特質の視点〉から〔国語の文化と特質に関する事項〕及び〔文字及び書写に関する事項〕を構成する。
 我が国の言語文化を享受し、継承・発展させるために、生涯にわたって古典に親しんだり、国語の特質について理解したりする指導を充実する。
 漢字の指導については、日常生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資する視点から、読むことを重視して指導内容を見直す。
 書写の指導については、実生活や学習場面に役立つよう、内容や教材、指導の在り方の改善を図る。
 敬語の指導については、人間関係を円滑にし、日常の言語生活を豊かにする観点から、相手や場に応じた言葉遣いが適切にできるような指導を充実する。
 言葉のきまりの指導については、実際に文章を記述したり読解したりするときに役立つように、指導の在り方を改善する。
 ものの見方、感じ方、考え方を広げたり深めたりするとともに、言語感覚の育成や日常の言語生活の質の向上を目指して、内容に読書活動を位置付けることとする。
 教材については、継承されてきた言語文化に親しむことができるように、我が国で長く読まれ親しまれている古典や近代以降の作品などを、児童生徒の発達段階に応じて取り上げるようにする。

4. 改善例

【小学校】
 実社会・実生活で生きて働くとともに、各教科等を貫く基本としての言語の教育の立場に立ち、日常生活に必要な基礎的な国語の能力を身に付けるとともに、読書や言語文化に親しむ態度を確実に育成することを重視して、次のような視点に立って目標・内容の改善を図る。
(ア)  〈国語の知識・技能と活用の視点〉から「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の三つの領域では、必要な文章や資料等を取り上げ、言語を活用し、相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく能力を重視する。また、日常生活に必要とされる技能としての対話、記録、報告、要約、説明、感想などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるように継続的に指導する。
 例えば、低学年では、見たことや知らせたいことを記録し説明や紹介をしたり、体験したことを報告したり、まとまった文章に書くことができるようにする、中学年では、調べたことや観察・実験したことを記録・整理し、説明や報告にまとめて書き、資料を提示しながら発表することができるようにする、高学年では、目的に応じて自分の立場から解説や意見、報告を書き、理由や根拠を示しながら説明することができるようにする、など具体的に身に付けるべき能力を明確にする。
 〔国語の文化と特質に関する事項〕及び〔文字及び書写に関する事項〕では、物語や詩歌などを読んだり、書き換えたり、演じたりすることを通して、言語文化に親しむ態度を育成することを重視する。また、認識や思考及び伝え合いなどにおいて果たす言語の役割や、日常生活で使用されている相手に合わせた言葉の使い方や方言など、言語の多様な姿についての基礎的な知識を理解することを重視する。なお、発音・発声、文字、表記、書写、語彙、文章構成、言葉遣いなどについては、実際の言語活動で有機的に働くように、関連する領域の指導事項に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。
(イ)  言語文化としての古典に親しむ態度を育成するため、易しい古文や漢詩・漢文の文章について音読や暗唱を重視した指導が行われるようにする。
(ウ)  漢字の指導については、日常生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資する視点から、上の学年に配当されている漢字や学年別漢字配当表以外の常用漢字についても、必要に応じて振り仮名を用いるなど、早い段階から児童が読む機会を多く持つようにする。また、日常生活において確実に使えることを重視し、実際の文章や表記の中で繰り返し学習させるなど、児童の習得の実態に合わせた指導をする。
(エ)  ローマ字の指導については、総合的な学習の時間の学習活動等との関連を考慮し、より早い段階から指導することとする。
(オ)  書写の指導については、手紙を書いたり記録をとったりするなどの実際の日常生活や学習活動に役立つよう内容や教材、指導の在り方の改善を図る。
(カ)  敬語の指導については、基本的な知識の理解を深めるとともに、実際の場面において使い慣れるようにすることを重視する。
(キ)  言葉のきまりの指導については、実際に文章を推敲したり、表現の工夫をまとめたりするときに役立つよう、記述や読解の指導と関連付けた指導に改善を図る。
(ク)  読書の指導については、児童が日常的に読書に親しむようにするために、図書館の利用の仕方や、目標をもって読書する方法など、内容を明確に位置付けるようにする。
(ケ)  教材については、継承されてきた言語文化に親しむことができるように、長く親しまれている和歌・物語・俳諧、漢詩などの古典や、物語、詩、伝記、民話などの近代以降の作品が取り上げられるようにする

【中学校】
 実生活・実社会で生きて働くとともに、各教科等を貫く基本としての言語の教育の立場に立ち、社会生活に必要な国語の能力を身に付けるとともに、読書や言語文化を享受する態度を確実に育成することを重視して、次のような視点に立って目標・内容の改善を図る。
(ア)  〈国語の知識・技能と活用の視点〉から、「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の三つの領域では、小学校で習得した能力の定着を図りながら、発達段階に即した文章や資料等を取り上げ、主体的に社会に参画していくための能力を確実に身に付けるようにすることとし、自ら課題を設定し、言語を活用したり、他者と相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく過程を重視する。
 例えば、社会的な事柄を含む広い範囲から課題を見つけ、自分の考えを簡潔にまとめて記述したり、多様な文章や資料の形にまとめ、分かりやすく発表したりすることができるようにする、など具体的に身に付けるべき能力を明確にする。
 〔国語の文化と特質に関する事項〕及び〔文字及び書写に関する事項〕では、古典をはじめとする伝統的な言語文化を享受し、創造する態度を育成することを重視するとともに、他の言語と比べた国語の特徴や、社会生活で使用されている敬語の特質など言語の多様な働きについて理解することを重視する。なお、文字、表記、書写、語彙、文法、文章構成、言葉遣いなどについては、実際の言語活動で有機的に働くように、関連する領域の指導事項に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。
(イ)  古典の指導については、言語の歴史や、作品の時代的・文化的背景とも関連付けながら、古典に親しむ態度を育成することを引き続き重視する。
(ウ)  漢字の指導については、日常生活や他教科等の学習における使用や読書活動の充実に資する視点から、常用漢字の大体を読めるように指導するとともに、書きの指導については、学年別漢字配当表に配当された漢字を使い慣れるように指導する。また、日常生活において確実に使えることを重視し、実際の文章や表記の中で繰り返し学習させるなど、生徒の習得の実態に合わせた指導をする。
(エ)  書写の指導については、日常生活や社会生活に役立つことを引き続き重視するとともに、文字文化に親しむようにするため、教材や指導の在り方の改善を図る。
(オ)  敬語の指導については、社会生活において使用されている敬語の働きを知り、体系的な知識を得ながら、適切に使えるようにすることを重視する。
(カ)  言葉のきまりの指導については、国語の特質を理解したり、実際に文章を書いたり読んだりするときに役立てられるように、指導の改善を図る。
(キ)  読書の指導については、生徒の日常的な読書をより豊かなものにするために、目的に応じた図書の検索の仕方や図書館の利用の仕方を知るとともに、自分の読書生活を振り返って一層の充実を図ることなど、内容を明確に位置付けるようにする。
(ク)  教材については、継承されてきた言語文化に親しむことができるように、長く親しまれてきた古典や近代以降の代表的な作品が取り上げられるようにする。

【高等学校】
 実社会・実生活で生きて働くとともに、各教科等を貫く基本としての言語の教育の立場に立ち、中学校までに培われた国語の能力を更に伸ばし、社会人として必要な国語の能力を身に付けることができるよう、次の点を重視して、科目の内容や構成等について改善を図る。
  1文章や資料を理解し、論理的に考え表現する能力を育成すること。
  2古典をはじめとする言語文化に親しむこと。
  1については、社会人として必要な国語の能力を確実に育成する観点から、例えば次のようなことを重視する。
  様々な話や文章の内容を叙述に即して的確にとらえること。
様々な表現についてその特色や効果をとらえ、自分の表現に役立てること。
様々な話を聞いたり、文章を読んだりして、ものの見方、感じ方、考え方を広げたり深めたりして、それを表現すること。
  2については、伝統と文化を尊重する態度を確実に育成する観点から、例えば次のようなことを重視する。
  古典や近代以降の文章や作品を読み、国語や日本文化の特質についての理解を深めたり、日本文化と中国文化等との関係について考えたり、創作的な活動をしたりすること。


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