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資料2−1

幼児教育と小学校教育との連携・接続について

検討課題

 幼児教育と小学校教育の連携・接続をより確かなものとするため、主に以下の事項について検討する。
(1) 幼稚園教員等と小学校教員との人事交流の促進
(2) 法令上の位置づけ
(3) 幼小一貫教育

注)  上記については、他の学校種においても同様の課題があるため、中央教育審議会の他の関係分科会(部会)での総合的な観点からの検討が不可欠となるが、幼児教育部会としては、「これらにどのような提案が考えられるか」との観点から検討を行う。

1. 幼児教育部会におけるこれまでの議論の概要

  (総論)
 公立・私立、幼稚園・保育所の区別を問わず、すべての就学前施設と小学校との緊密な連携を進めるべき。
 これまでの幼小連携に係る研究開発学校の取組について、その進み方を見ると、まず、幼児・児童の交流からはじまり、次に、教員同士の研修やティーム・ティーチング、人事交流が行われ、最後に教育課程が編成されるという流れとなっている。

(人事交流)
 市町村教育委員会が研修などを通じて、幼稚園と小学校の教員同士が互いに幼小の教育内容や指導方法について理解を深める機会を提供することが必要ではないか。
 幼稚園、小学校双方からのバランスのとれた教員の人事交流が必要であり、それを促進するためには小学校側から幼稚園側に積極的に働きかけることが有効ではないか。
 幼小の免許の併有の機会を拡大するため、免許法認定講習を実施する主体を、幼稚園数の約6割を占める私立幼稚園の関係団体にも広げるべきではないか。

(教育課程)
 幼稚園で活発な子どもが、小学校で問題児扱いされる場合がある。幼稚園の「遊び」や生活を通じた学び、小学校の教科学習等、双方の教育を取り入れるべきではないか。
 幼稚園教育を漠然と「遊び」と言うのではなく、小学校の教諭とも共通の認識を共有できる表現で説明し直す必要があるのではないか。

(法令上の位置づけ)
 幼小連携の取組状況は、各々の教育委員会や幼稚園による地域差が大きい。子どもの発達の連続性を踏まえれば、幼小連携の推進の取組は、全国的・組織的・継続的なものでなければならないことから、制度的に位置づけることが必要ではないか。
 幼小連携の推進に地理的な距離は問題ではない。公立・私立、幼稚園・保育所の区別を問わず、すべての就学前施設が小学校と接続するのであるから、その推進の役割を市町村教育委員会が積極的に担うべきではないか。

(幼小一貫教育)
 現在の子どもの育ちの課題にかんがみれば、3年保育の成果を確実に生かし、特に、小学校低学年の教育に引き継ぐ上で、幼稚園の教育活動の発展を取り入れて、総合的な活動を充実していくことも意味があるのではないか。
 現在、中教審は、多様な学校間連携の在り方(幼小・小中などの学校間連携等)について諮問している。平成10年に創設された中等教育学校の例にならい、今後、幼小一貫学校(「初等教育学校」)の創設も期待されるのではないか。

2. 現状

 
(1)  人事交流

  1 幼稚園教員と小学校教員の合同研修会等
 幼小連携を推進している教育委員会や幼稚園・小学校等においては、幼稚園教員と小学校教員、あるいは保育所保育士が、合同で幼児及び児童理解や教育内容・指導方法の相互理解のための研修会や相互参観、情報交換等を行っている。

  2 幼稚園・小学校等への経験者等の配置
ア) 学校生活協力員
 ある教育委員会では、平成16年度から、小学校生活への適応を図り学級経営の安定と学校教育の充実に寄与するとともに幼児教育と小学校教育の連携を図ることを目的として、原則として31人以上の児童数の多い小学校1学年の学級に、担任の指導もとに、学習や生活の指導の補助をする「学校生活協力員」を置いている。

対象: 幼稚園教諭や保育士等幼児教育経験者を優先
期間: 原則として、新学期開始から2ヶ月の範囲内1日5時間以内
身分: 臨時職員

イ) 幼小連携アドバイザー
 ある教育委員会では、幼児教育と小学校教育の一層の連続性を図るため、平成16年度から、小学校教員の経験者等を、幼稚園や保育所等を対象として、5歳児等の発達段階を踏まえた指導や家庭教育の在り方についての巡回指導等を行う「幼小連携非常勤アドバイザー」として活用している。

対象: 小学校教諭や子育てに関する知識・技能に優れた者
身分: 非常勤講師
活動内容: 小学校における学習活動にスムーズに移行できるための幼児の活動の支援、保護者へのアドバイス、小学校と幼稚園等の合同研修会等の支援 等

  3 幼稚園教員と小学校教員の長期派遣研修・相互人事交流
ア) 長期派遣研修
 ある教育委員会では、小学校教諭及び幼稚園教諭の資質向上を図るとともに、幼児児童のきめ細かな教育に資するため、公立小学校と公立幼稚園の間で教員を相互に派遣し研修させることによって、小学校と幼稚園の研修交流の推進を図っている。

  位置づけは、教育公務員特例法第22条第3項(「教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を行うことができる。」)の長期研修
 公立小学校の教諭として5年以上の経験、かつ3年以上現在勤務する小学校に在職する者で、異なる校種の研修に意欲を有す者であること(公立幼稚園教諭も同様。)。
 研修の期間は1年以内、期間終了後は、それぞれ研修前の職務に復帰させる。

イ) 相互人事交流
 ある教育委員会では、平成16年度から、幼稚園から小学校における育ちを間断なく適切に引き継ぐとともに、指導内容の系統性及び指導方法の一貫性の確立に資するため、公立小学校と公立幼稚園の教諭を相互に異動させることによって、同一市町村内の幼稚園と小学校との連携の推進を図っている。

 幼稚園教諭及び小学校教諭の双方の免許状が必要。
 公立幼稚園(公立小学校)教諭に一定期間その職を免じて、公立小学校(公立幼稚園)に勤務させる(退職採用の仕組み)。
 異動の期間は、都道府県教育委員会と市町村教育委員会と協議の上決定。
 期間終了後は、それぞれ異動前の校種の職に復帰させる。
 異動する教諭の給与、勤務時間その他の勤務条件については、協定書により、採用した都道府県又は市町村の条例その他の規定に基づく。

  4 教育職員免許法改正(平成14年5月)
 隣接校種の免許併有を促進するため、普通免許状を有するものが3年の教職経験により、要取得単位数を軽減して、隣接校種の普通免許状を取得できることとした。

(参考)幼稚園教諭と小学校教諭それぞれの免許併有率
幼稚園教諭 8.4% (私立教諭4.7%、公立教諭21.8%)
小学校教諭 21.2% (出典)平成13年度学校教員統計調査報告書より


  5 教育公務員特例法改正(平成15年7月)
 従来、地方公務員である公立幼稚園の教員の給与の額については、国立幼稚園の教員に適用される給与の額(教育職俸給表)を基準として各市町村において定めることとされていた。

 現実には、国公立幼稚園の教員の62.2%が行政職給料表を適用。また、教員にのみ支給される教職調整額及び義務教育等教員特別手当の支給を受けている教員のいる園の割合についても、それぞれ24.3%、12.5%にとどまっている。
(平成15年9月「全国国公立幼稚園の現状と課題」全国国公立幼稚園園長会)

 本改正は、16年度からの国立大学の法人化により、国立学校準拠制が廃止されることを契機に、地方の権限と責任の拡大という教育行政の改革の方向性に沿ったものとするため、教員の給与の額について地方公共団体が主体的に決定できるものとした。(法第13条「公立の小学校等の校長及び教員の給与は、これらの者の職務と責任の特殊性に基づき条例で定める。」)。

(2)  法令上の規定

 
1 幼小連携の推進に係る規定
ア) 幼稚園教育要領
幼稚園においては、幼稚園教育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。」

イ) 小学校学習指導要領
「また、小学校間や幼稚園、中学校、盲学校、聾学校及び養護学校などとの間の連携や交流を図るとともに、障害のある幼児児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けること。」

(別紙1)幼少連携の推進に係る規定

2 「協同的な学び」、「遊び」に係る幼稚園教育要領における規定
ア) 「協同的な学び」
「人への愛情や信頼感を育て、自立と協同の態度及び道徳性の芽生えを培うようにすること。」

イ) 「遊び」
幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して、遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。」

(別紙1)「共同的な学び」、「遊び」に係る規定

(3)  学校間連携

 
1 中央教育審議会(答申)「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興計画の在り方について」(平成15年3月)
 義務教育制度をできるだけ弾力的なものにすべきとの観点から、「学校区分について、小学校6年間の課程の分割や幼小、小中、中高など各学校種間の多様な連結が可能となるような仕組み」について意見が出され、これについては、「今後、関係分科会等において検討し、実現可能なものについては、学校教育法等の改正などにより対応することが適当である。」とされている。

(別紙2)新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について(答申)―義務教育に係る部分の抜粋―

2 中央教育審議会(諮問)「今後の初等中等教育改革の推進方策について」(平成15年5月)
 「義務教育など学校教育に係る諸制度の在り方について」の当面の検討事項として、義務教育の目的、目標を踏まえた多様な学校間連携の在り方(幼小、小中、中高の学校間連携等)が示されている。

(別紙3)「義務教育に係る諸制度の在り方」に関する検討項目の例

3. 基本的考え方

   幼児教育部会におけるこれまでの意見、及び幼小の連携の現状の取組を踏まえれば、以下のような事項について検討が必要になるのではないか。

 幼稚園と小学校の相互の理解を深め、互いの教員の資質向上を図るとともに、幼児児童のきめ細かな教育に資するため、(1)人事交流を促進させることが必要ではないか。
 また、幼小連携・接続の推進を恒常的で確かなものとするとともに、幼稚園の教育活動を明確にする観点から、(2)法令上への位置づけの検討が必要ではないか。
 さらに、将来的な課題として、幼小連携の進展とともに(3)幼小一貫教育についても検討する必要があるのではないか。

4. 具体的検討・方策

   上記、基本的考え方を踏まえ、幼児教育と小学校教育との連携を進め、その接続を明確化するため、例えば、以下のような取組を行うことについてどのように考えるか。

(1)  人事交流

 
1 計画的な合同研修等の実施
 都道府県教育委員会と協力の上、市町村教育委員会が中心となって、公立・私立の区別を問わず、幼稚園教員、保育所保育士と小学校教員による合同研修会の定期的な実施、短期派遣を計画的に実施することが必要ではないか。また、「幼児教育振興プログラム」等においても具体的な実施目標を設定するのはどうか。

2 相互の校種への経験者の配置
 幼児教育と小学校教育の一層の連続性を図るため、幼稚園(主に5歳児学級)に教員とは別に臨時の職員として小学校教員経験者を配置するとともに、小学校(1年生学級)にも同様に幼稚園教員経験者等を配置する等の取組を奨励することはどうか。

3 相互人事交流の促進
 幼小の連携を促進させるためには、幼小の免許を併有している教員相互による人事交流を促進させることが有効であるが、その際、任命権者の相違や処遇の相違が交流人事を実態上阻むことにならないようにすることが必要である。このため、例えば以下のような改善策、実務的な工夫をしてみるのはどうか。

 教育公務員特例法の改正の趣旨を踏まえ、幼小連携を推進する観点からも、地方公共団体に対し、幼稚園教員の「職務と責任の特殊性」に対する理解を促すべきではないか。
 また、相互人事交流により異動する幼稚園教員及び小学校教員双方の処遇や給与等を明確にする観点から、例えば、都道府県教育委員会と市町村教育委員会との間で、あらかじめ協定書等を作成するなど、運用上の工夫をすることはどうか。

 私立幼稚園教員と公立小学校教員との人事交流を促進させるため、例えば、互いの身分を保持したままで実施できる長期派遣研修の形態での交流を促進することも考えられるがどうか。

4 免許併有の促進
 幼稚園・小学校教員相互の人事交流のためには、双方の免許状の併有が必要になる。教育職員免許法の改正により、現職の教諭が隣接校種の免許取得する上での負担が軽減されたことを踏まえ、以下のような促進策を構ずることとしてはどうか。

 都道府県教育委員会と市町村教育委員会が互いに協力して、「幼児教育振興プログラム」等において免許併有の具体的な目標を設定する。

 免許法認定講習の機会の拡大のために、現在は都道府県・指定都市の教育委員会、教員養成大学等に限られている実施主体の緩和(例えば、中核市の教育委員会等)を検討したらどうか。

(2)  法令上の位置づけ

 
1 幼小連携の推進に係る幼稚園教育要領等への記述の明確化
 幼稚園教育要領等では、幼小連携の推進について、必ずしも明確には記述されていないが、幼小連携の重要性を啓発し、その取組をより一層進め確かなものとする観点から、明確に記述することはどうか。

2 幼稚園教育要領における幼小連携に関する教育活動の記述の明確化
 小学校教員との合同の研修の場などにおいて、幼児の自発的な活動としての「遊び」が、重要な学習であることについて理解の促進を行うのみならず、幼稚園教育の本質が「遊びを通じての学び」であることを幼稚園教育要領で明確化するのはどうか。
 「幼小連携推進クラス(仮称)」等において実施が期待される「協同的な学び」の推進を図るため、幼稚園教育要領にその趣旨や目的について位置づけるのはどうか。

3 教育委員会の役割の明確化
 教育委員会、特に市町村教育委員会に、地域の小学校と公立・私立の幼稚園、総合施設及び保育所等との円滑な連携・接続を図る役割があることを明確化することはどうか。

(3)  幼小一貫教育

   幼稚園と小学校の連携の一層の進展は、将来的には、学校のはじまりとしての幼稚園と小学校の一貫教育校の構想にもつながるのではないか。

以上

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