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机上資料 到達目標、学習評価について(加藤専門委員配付資料)

教育課程部会 提案資料 平成19年6月25日

京都ノートルダム女子大学
加藤 明

1.評価からみた現状認識

 指導と評価を切り離してとらえ、評価は通知表の資料取りのため、つまり総括的評価のためにのみ行うものという位置づけがまだまだ根強い。

  • 指導のための評価ではなく、評価のための指導になっている例
    • 1時間に4観点すべて(関心・意欲・態度、思考力・判断力、表現・処理、知識・理解)を評価するのはたいへんである。
    • 活動中に座席表をもってまわり、進んで取りくんでいるかどうかをチェックし、し終えてから授業を再開する。

 指導要録の改訂においても強調された「指導と評価の一体化」、つまり指導の成果を確かめるために評価を行うこと、そして十分な成果が上がっていないようなら教え直しやその後の指導の軌道修正を行わなければならない。

  • どの子にもここまではといった、最低限の学力を保障するための到達評価、いわゆる絶対評価の導入であり、説明責任だけでなく、指導の結果責任が問われていることの理解を徹底する必要がある。
    • 評価規準は、目標としてめざしたものについての指導の成果を確かめるためのものでもあり、「進んで○○(まるまる)にとりくもうとしていない」(関心・意欲・態度)ならそれは場の設定やゆさぶりも含めて指導のあり方に改善の余地があるということである。
    • 「関心・意欲・態度」の観点からの評価については、単元の導入時よりもプロセスでの高まりを経て、単元の終了の時点または学期ごと程度の長いスパンでの成果を評価すべきである。その理由は、終わってからも続けてみたい、広げたり深めてみたいといった主体的に学習に取り組む態度を育てることが教育のねらいであるからである。
       「思考力・判断力」等の「○○(まるまる)力」についても同様である。
    • 単元末直前にこの単元で学んだことの理解、定着を確かめるテスト(形成的テスト)を行い、その結果に基づいて補充指導または発展学習を行うことを予め単元計画に位置づけておくことを奨励する。
    • 成果を確かめる評価を切り離しては効果的な指導が展開できないという認識を徹底させるために、学習指導要領や解説書に評価及び指導と評価の一体化の大切さについて記述する。

2.到達目標と観点別評価、評価規準について

評価からみた教育改革の流れ

  • 学習指導要領は、最低基準
     ↓
  • 学習指導要領の目標・内容を具体化した教科書は、どの子にも到達させなければならないレベルを示したもの
     ↓
  • 到達したかどうかを評価するために、各学校が評価規準(注)を設定して指導
     ↓
  • 評価規準によって評価を行い、到達が不十分なら教え直しや補充指導
     ↓
  • 必要に応じて発展学習の奨励
     (注)評価規準は、目標の裏返しであり実現を目指した目標の成果を見取るためにも、到達目標(化)が望ましい。

到達目標と指導要録の観点別評価

現在の教育の目標

  • 「生きる力」確かな学力(知)、豊かな心(徳)、健やかな身体(体)を統合し、調和
  • 「確かな学力」…自ら学ぶ力と、観点別目標のバランスの取れた学力

到達目標、到達目標化の意義

 目標が明確で具体的であれば、その実現のための指導の見通し(単元計画)も立てやすく、効果的な指導とともに成果を評価することも容易になる。

現行の指導要録の観点と類型

 豊かで幅のある学力の育成のために、本来は統合され総合的な学習活動を4つの観点から分析し、その実現をめざし、成果を評価するため。

向上目標(方向目標)…一人一人の向上や成長を大切にする目標
  • 関心・意欲・態度
     ややもすると後回しにされがちな観点、前回の指導要録の改訂から「新しい学力観」として提示の順序を入れ替えて強調。
  • 思考力・判断力
     見通しをもっての指導の積み重ねによって成果が上がる目標である。短期間で成果が上がりにくく、客観的に評価しにくい。しかしながら、教育の目標として重要!
到達目標(達成目標)…共通にここまではといった到達点をめざす目標
  • 表現・処理(技能)
     単一または少ない要素で目標が構成されているため、短期間で成果が上がりやすく、客観的な評価も容易
  • 知識・理解

到達目標化に向けての方策

 評価の観点を次の3観点とし、到達目標化を図る。

学習に取り組む意欲・態度

 評価の方法としては、望ましい方向に情意が高まった場合に現れるであろうシンプトム(兆候、兆し)を到達目標群として予め複数設定し、それに基づいて内面的な高まりを外面から評価する。これに作文やレポート等の内面が表現されたものからの評価を加える。

知識・技能の習得

 例えば、筆算の仕方を知る(知識・理解)と、筆算ができる(表現・処理)を現行の観点では分けていたが、筆算の仕方を理解していても筆算ができなければ意味がなく、また筆算ができてもアルゴリズムとしての計算手続きだけを身に付け計算原理の理解との連関が保持されていなければ間違えたり、つまずくことも多く、新しい計算方法を考え出すことも難しい。このような理由からも、知識・理解と技能(表現・処理)を分離せず、相補的に作用する一まとまりのものととらえるのが指導上も現実的で効果的である。

知識・技能の活用力(思考力・判断力・表現力など)

 学んだこのような知識や技能をこのように活用して問題解決を図る、表現する、といったように思考力や判断力、表現力などを知識・理解の活用力ととらえ、到達目標化して表す。

3.知識・技能の活用力(思考力・判断力・表現力など)を到達目標化し、系統的に育成するために求められる基礎作業-目標の系統化と、内容の系統化との摺り合わせを-

例 小学1年の算数科の系統 数と計算の並進性

 小学1年の算数科の系統 数と計算の並進性

小学1年の算数科の系統 数と計算の並進性

 以上のように内容の系統によってカリキュラムを構成し、その内容に即して思考力や判断力の育成をめざしてきたのが、わが国の教科指導であるといえる。
 したがって、内容の系統については確立できているものの、思考力をはじめとする活用力の系統については明らかにされていない。このような力を系統的に育成するためには、各単元の内容に即して活用力を洗い出して到達目標化するだけでは不十分であり、一方で活用力を育てる系統を明らかにし、内容の系統との摺り合わせを行った上で教科内容を再構成、再編成してのカリキュラム化が求められる。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

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