ここからサイトの主なメニューです

資料8 前回改訂時の答申と「第3期教育課程部会の審議の状況について」

『幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について』(答申)
 (平成10年7月29日教育課程審議会)
『第3期教育課程部会の審議の状況について』
 (平成19年1月26日中央教育審議会教育課程部会)
1.教育課程の基準の改善の方針
 1 教育課程の基準の改善の基本的考え方
1.教育課程部会の審議の経過
  • 第3期教育課程部会における学習指導要領の見直しに当たっての基本的な考え方については、審議経過報告に示している。
     具体的には、現行学習指導要領に対する評価として、基礎的・基本的な知識・技能を身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむという現行学習指導要領のねらいは今後とも重要であるが、その実現のための具体的手立てを講じることが必要であるとした。
  • また、基礎的・基本的な知識・技能の育成(いわゆる習得型の教育)と自ら学び自ら考える力の育成(いわゆる探究型の教育)とは、対立的あるいは二者択一的にとらえるべきものではなく、この両方を総合的に育成することが必要であり、そのための手立てとして、言葉と体験などの学習や生活の基盤づくりを重視することが必要であるとした。
  • さらに、教育課程の枠組みの改善として、国語力や理数教育の充実が必要であり、授業時数の見直しを総授業時数の在り方と併せて検討する必要があるとした。学校週5日制については、これを維持しつつ、家庭や地域社会との連携を促進する方向で、土曜日や長期休業日の活用方策を検討することが必要であるとした。
  • 審議経過報告で指摘しているとおり、言葉は、「確かな学力」を形成するための基盤であり、生活にも不可欠である。言葉は、他者を理解し、自分を表現し、社会と対話するための手段であり、家族、友だち、学校、社会と子どもとをつなぐ役割を担っている。言葉は、思考力や感受性を支え、知的活動、感性・情緒、コミュニケーション能力の基盤となる。国語力の育成は、すべての教育活動を通じて重視することが求められる。
  • 他方、体験は、体を育て、心を育てる源である。子どもには、生活の根本にある食を見直し、その意義を知るための食育から始まり、自然や社会に接し、生きること、働くことの尊さを実感する機会を持たせることが重要である。生活や学習の良い習慣をつくり、気力や体力を養い、知的好奇心を育てること、社会の第一線で活躍する人々の技や生き方に触れたり、自分なりの目標に挑戦したりする体験を重ねることは、子どもの成長にとって貴重な経験となる。
2.教育基本法改正を踏まえた検討
  • 教育基本法改正を踏まえた検討については、教育基本法に教育の目標(第2条)や義務教育の目的(第5条第2項)が規定されたことを踏まえ、これらの規定と教育課程部会で議論してきた学習指導要領の改訂の基本的な考え方との関係を整理する必要がある。
  • 教育課程部会では、実社会とのかかわりの中で、「生きる力」をより具体化し発展させるという観点から、「人間力」という考え方を用いて検討を行っている。審議経過報告では、その構成要素の例として、
    • 主体性・自律性
       (例)自己理解(自尊)・自己責任(自律)、健康増進、意思決定、将来設計
    • 自己と他者との関係
       (例)協調性・責任感、感性・表現、人間関係形成
    • 個人と社会との関係
       (例)責任・権利・勤労、社会・文化・自然理解、言語・情報活用、知識・技術活用、課題発見・解決
    に整理できるのではないかとの検討状況を示した。
  • このように、学習指導要領の見直しの検討に当たっては、社会的な自立(主体性・自律性)や社会参画(自己と他者、個人と社会との関係)を重視している。このような方向性は、教育の目標・目的として、「社会において自立的に生きる基礎を培」(第5条第2項)うことや「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」(第2条第3号)などが新たに規定された教育基本法と軌を一にしている。
    このため、今後、このような方向性を踏まえ、学校教育においてどのような力をはぐくむことが必要なのかについて審議を深めるとともに、例えば、納税や勤労の義務や法についての理解など社会的な自立や社会参画の促進のために必要な教育内容について、更に具体的な検討を行う必要がある。
2 各学校段階等を通じる教育課程の編成及び授業時数等の枠組み 4.(2)授業時数の在り方と学校、家庭及び地域の役割分担と連携
  • 審議経過報告は、国語力や理数教育については充実が必要であり、全体の見直しの中で、授業時数の在り方についても具体的に検討する必要があるとしている。現在、このような観点から、国語や算数・数学、理科について内容を充実する方向で具体的な検討を行っている。
  • これらの教科については、基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着させるとともに、知識・技能を活用して考えさせる授業を展開する必要がある。
     特に、今回は、国語において対話、記録、要約、説明、感想などの言語活動を発達の段階に応じ体系的・継続的に指導したり、算数・数学で言葉や数、式、図、表、グラフなどの相互の関連を理解し、それらを用いて説明・表現する指導を行ったりするなど、知識・技能を活用し考える過程を教育課程において具体的に示すことを検討している。このような考えるための時間が必要不可欠であるとの意見があった。
  • また、理科において、自然事象や科学的な概念についての体験的・実感的な理解を深めるためには、観察・実験や自然体験、科学的な体験の充実のための時間や条件整備が必要との意見があった。
  • このように、国語力の育成や理数教育、英語教育の充実の観点から必要な授業時数を確保すべきとの意見が多いことを受けて、具体的にどのように見直すかについては更に検討を深める必要がある。
  • この場合、1週間当たりの授業時数の見直し、朝の10分間などを活用して行われている読書活動、音読、計算といったドリル学習の時間の授業時数への計上、長期休業日の活用などの具体的な方途について、子どもや学校の実態等を踏まえて検討することが求められる。
  • これに関連して、我が国の授業日数は実態として約200日と国際的な状況と同水準となっているが、学習指導要領上、総授業時数とは別に、年間35週(小学校第1学年は34週)以上にわたって授業を計画すると定めている規定を、各地域の実態に応じた柔軟な教育課程編成の観点から見直すべきとの意見も出されている。
  • 他方、学校教育に対しては、国語力の育成や理数教育、英語教育の充実だけではなく、前述のとおり、道徳教育、職業観・勤労観の育成、体験活動、環境教育、伝統文化に関する教育など充実が求められている課題は多岐にわたっている。
     このため、まず、時代の変化等により共通に指導する意義が乏しくなった内容の見直しが必要である。その上で、授業時数や教職員定数といった教育条件の有効な活用を考慮するとともに、社会的な自立や社会参画の促進といった教育の目標の達成の観点からも、すべてを学校で抱え込むのではなく、学校の教育活動と家庭や地域、企業、NPOなど学校外における教育活動の役割を明確にした上で、それぞれの分担と連携を具体的に推進することが必要である。
  • このような観点から、例えば、地域等の協力を得ながら行う就業体験や体験活動を、学期中あるいは長期休業期間中に一定期間(例えば、1週間(5日間)程度)にわたって連続して行うことなどが考えられるとの意見があった。
  • また、平成19年度予算案においては「放課後子どもプラン」が計上され、土曜日も含む放課後の学習や体験の場の整備を政府として行うことが構想されている。このような学校外の教育活動については、公的な主体の認定などを受けることにより、学校の教育活動と同様の活動とみなし、学校や教師の負担を大きく増加させることなく、子どもの学習や体験活動の機会の質・量両面にわたる充実を図ることが考えられる。
  • そのためには、学校や教育委員会等が子どもに学習や体験活動の機会を提供する学校外の教育活動との連携を積極的に行うことが必要である。また、教育課程外の学校の教育活動と位置付けられている部活動については、その役割の重要性に鑑み、上記のような観点をも踏まえた検討が求められる。
     なお、将来的には子どもに対する学習や体験活動の提供についての教育委員会等の責任を明確化することや、民間団体等による学習や体験活動の提供などの取組を奨励する仕組みの構築などについて制度的に検討することが必要である。
3 各学校段階等ごとの教育課程の編成及び授業時数等 3(1)各学校段階の教育内容の改善
  • 小・中・高等学校の各部会においては、審議経過報告で指摘した、学習指導要領の改訂の基本的な考え方である言葉と体験などの学習や生活の基盤づくりをそれぞれの学校段階でどのように図るかといった観点のほか、発達の段階に応じた指導の重視などについて検討を行った。
(小学校)
  • 中学年までは体験的な理解や具体物を活用した思考や理解、反復学習などの繰り返し学習といった工夫による読み・書き・計算の能力の育成を重視し、中学年から高学年にかけて以降は、体験と理論の往復による概念や方法の獲得、討論・実験・観察による思考や理解を重視するといった発達の段階に応じた教育課程編成や指導の工夫が必要である。
  • このような工夫の中で、小学校段階では、低・中学年においては、朗読、漢字の読み書き、古典の暗唱などに取り組み、高学年からは読解力の育成などを重視してはどうかとの意見があった。また、規範意識や道徳的な判断の育成についても、小学校の各学年でここまでは育てたいといった系統性や見通しが必要との意見が出された。
  • 体験活動については、当該活動の価値付けや意味付けなど事後指導を適切に行うことが必要である、すべてを学校のみで行うのではなく、土曜日などに学校と家庭、地域が協力して実施することも考える必要があるとの意見があった。
  • 特に、幼児教育と小学校の円滑な接続の観点では、1.幼児教育では、規範意識の確立などに向けた集団とのかかわりに関する内容や小学校低学年の各教科等の学習や生活の基盤となるような経験の充実が、2.小学校低学年では、幼児教育の成果を踏まえ、体験を重視しつつ、小学校生活への適応、基本的な生活習慣等の育成、教科等の学習への円滑な移行などが重要といった議論を行った。
(中学校)
  • 中学校段階については、増加する教育内容に適切に対応するためにはすべての教科等にわたって学習スキル(方法)をしっかりと身に付けさせることが重要である、公の場での説明や討論に必要なコミュニケーション能力の育成は、国語を基礎としながらも国語以外の教科等で取り組むことが有効、社会的自立の基礎を培うためには、最低限のルールとして法があることを認識した上で道徳を学ぶようにすることや働くことの意義や尊さを体験を通じて理解させることが重要といった意見があった。
  • また、選択教科に加え総合的な学習の時間が導入され、教育課程が複雑化していることから、必修教科の時間を充実させることが適当との意見が大勢であった。
  • 中学校は、小学校段階に比べ低下する授業の理解度やいじめなど多くの教育課題を抱えており、そのことを踏まえた中学校教育全般にわたる検討を深めることが必要との意見があった。
     特に、生徒が順調に中学校生活を始めることができるよう小学校と中学校の円滑な接続を図ることは極めて重要である。このため、小学校段階では、高学年における教科担任制などを検討するとともに、中学校段階においては、小学校段階で身に付けた知識・技能の活用といった観点から、単元に応じて小学校段階の教育内容を中学校教育の観点から再度取り上げて指導するといった工夫や教師の相互交流の一層の促進を通し、学習と生活の両面にわたる小・中学校を見渡した効果的な指導が求められる。
(高等学校)
  • 高等学校段階に関しては、生徒の実態は多様化しているが、国民的な教育機関としての共通性は何かという議論が行われた。
     自ら将来の進路を決定させることを目標とする高等学校段階では、生徒の社会的自立を促すという観点を踏まえ、実生活との関連をもって学ぶことや知識・技能を活用すること、コミュニケーション能力や論理性、想像力の育成、歴史や文化、自然や科学への理解を深めること、人間としての生き方や人生論を議論し考えさせること、キャリア教育(勤労観・職業観を育成する教育)、市民生活や職業生活を営んでいくための基本を学ぶことなどが重要といった議論を行った。
  • このような観点から高等学校における必履修科目についても検討が行われた。生徒の実態の多様化に応じて教育課程を柔軟に編成することを可能とするため、必履修科目を同一教科の複数の科目の中から選択することができる「選択必履修」の考え方が適当との意見が多かった一方で、高等学校教育としての共通の内容を充実すべきとの意見もあった
  • なお、中学校と高等学校との円滑な接続の観点からは、義務教育の内容を十分身に付けていない生徒については高等学校でそれを補うべき、中学校までの道徳教育との接続の観点から高等学校の公民科やホームルームなどの特別活動の充実を図ることが必要、中学校での職場体験と一貫性・連続性を持ったキャリア教育が必要との議論があった。
  • また、高等学校の教育内容は大学入試に大きな影響を受けるため、常に入試制度を改善していく視点が大切であるとの意見があった。
  • 専門高校における職業教育に関しては、産業社会や生徒の意識の変化に対応した教育内容の改善等について検討を行っている。
(特別支援学校)
  • 本年4月からは盲・聾(ろう)・養護学校の制度を弾力化し、設置者の判断により複数の障害種別を教育の対象とすることができる学校制度として特別支援学校が創設されるなど、特別支援教育を推進するための制度改正がなされる。
  • 特別支援教育については、社会の変化、幼児児童生徒の障害の重度・重複化や多様化等に対応するための特別支援学校における教育内容の改善等について検討している。
(幼稚園)
  • 平成18年10月に、小学校就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を推進するための措置として「認定こども園」制度が創設されるなど、幼児教育に関しては大きな制度改正がなされたところである。
  • このような状況の中で、幼稚園教育については、小学校との円滑な接続の観点からの教育内容の改善や、幼稚園における子育て支援や預かり保育の充実等について検討している。
  • 以上が、学校段階に応じた教育内容の改善に関する検討状況である。学校段階の間の円滑な接続を図るためにも、課題を次の学校段階に先送りするのではなく、それぞれの学校段階でその教育目的を達成するように努めることが重要である。
     なお、高等学校の必履修科目の在り方など、個別の教科の検討とあいまってなお議論を深めなければならない(後述)。その上で、小・中・高等学校の教育内容の体系性や一貫性を分かりやすく示す工夫が必要である。
     
4(3)高等学校の必履修科目の在り方
  • 前述のとおり、高等学校の必履修科目については、現在の選択必履修の考え方を維持すべきという考え方と高等学校教育としての共通の内容を充実すべきとの意見が出されている。
  • 前述のとおり、必履修科目の在り方については、未履修問題に関連して国会審議でも指摘がなされた。大学入試の実態に合わせて必履修科目を見直すことは本末転倒であるが、高校生にとって最低限必要な知識と教養とは何かという観点から必履修科目を見直すことが求められる
  • このように、必履修科目について、教科や科目の範囲といった幅の広さについて検討を深める必要があることは勿論であるが、同時に、その履修や単位修得の水準確保についても併せて検討しなければならない。高等学校教育の水準を確保するとともに、高校生が目標を持って学習に取り組むことができるようにするといった観点から更に審議を深める必要がある。
4 各教科・科目等の内容 (教育基本法改正を踏まえた具体的な教育内容)
  • 教育基本法の国会審議においては、次のような課題について学習指導要領の改訂によって学校教育における指導を充実すべきとの質疑が行われた(別添5「教育基本法改正に関する国会審議における主な議論例(学習指導要領関係)」)。
     基礎学力の定着、国語力の育成、理数教育、情報教育、道徳教育、職業観・勤労観の育成、生命を尊重する態度の育成、体験活動、環境教育、伝統文化に関する教育、我が国と郷土を愛する態度の育成、宗教教育 等
  • また、国会審議では、いじめを原因とする自殺の問題に関連して、規範意識の確立や生命尊重の態度の育成の充実が、高等学校の必履修科目の未履修の問題については、高校生に必要な知識と教養とは何かという観点からの学習指導要領の見直しの必要性がそれぞれ議論された。
  • これらの課題については、国語力の育成や理数教育の充実など、既に教育課程部会において具体的に検討を行っているものも多い。他方、例えば、宗教が個人の生き方にかかわるものであると同時に、社会生活において重要な意義を持っていることを踏まえるとともに、国際関係の緊密化・複雑化の中で、宗教に関する知識の一層の理解が必要との観点から、中学校の社会科における世界の各地域における宗教の特色や宗教の社会生活における役割に関する指導の充実など、今後更に検討することが必要なものもある
     
3 (2)各教科等の教育内容の改善
  • 各教科等の教育内容については、審議経過報告を踏まえて専門部会で検討を行った上で、教育課程部会において審議を行った。
  • 基礎的・基本的な知識・技能の育成(いわゆる習得型の教育)と自ら学び自ら考える力の育成(いわゆる探究型の教育)とは、対立的あるいは二者択一的にとらえるべきものではなく、この両方を総合的に育成する具体的な方策を示すことが必要である。このため、いわば活用型の教育ともいうべき学習を両者の間に位置付ける方向で検討を進めている。
  • すなわち、1.基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着させることを基本とする。2.こうした理解・定着を基礎として、知識・技能を実際に活用する力の育成を重視する。さらに、3.この活用する力を基礎として、実際に課題を探究する活動を行うことで、自ら学び自ら考える力を高めることが必要である。このような過程を各教科等に即して具体的に検討している。
  • 基礎的・基本的な知識・技能の着実な定着については、実生活との関連やその後の学習の基盤としても重要な事項を重視し、具体的には例えば、次のような検討を行っている。
    1. 国語の美しい表現やリズムを身に付けるといった観点から小学校における易しい古文や漢文の音読や暗唱を重視、漢字指導の充実(国語)
    2. 都道府県や世界の主な国々の位置と名称などの確実な習得(社会)
    3. 学年間等で反復(スパイラル)する教育課程を構成することによる計算能力などの確実な習得(算数・数学)
    4. エネルギー、粒子、生命、地球などの科学の基本的な見方や概念を柱とした教育内容の充実(理科)
    5. 文法指導や習得すべき語彙数の充実(外国語)
  • 同時に、これらの知識を活用し、探究型の学習へと発展させる観点から、これまで必ずしも具体的な過程が明確ではなかった思考力や表現力の育成などを各教科等において相互に関連付けながら図る具体的な方法を、例えば次のように検討している。
    1. 日常生活に必要とされる技能としての対話、記録、要約、説明、感想などの言語活動を発達の段階に応じ体系的・継続的に指導、読書活動を充実(国語等)
    2. 言葉や数、式、図、表、グラフなどの相互の関連を理解し、それらを用いて説明・表現する指導の充実(算数・数学)
    3. 科学的な思考力・表現力の育成を図る観点から考察・説明・探究を充実するとともに、観察・実験や自然体験、科学的な体験を一層充実(理科)
  • 創造性をはぐくむ学習体験の充実(音楽、図画工作、美術等)やものづくりを支える能力や技能の育成(技術・家庭等)、家庭の在り方や家族の人間関係などへの理解(家庭等)について各教科等ごとに具体的な検討を行っている。
     また、生涯を通じて自らの健康を管理し改善していくこと(保健)、運動やスポーツに親しむこと、体力の向上(体育)などの健やかな体の育成の具体的な方法についても検討を行っている。
  • 道徳や特別活動をはじめ、学校の教育活動の役割分担を明確にしながら、全体としてどのように豊かな心の育成を図るかについては、例えば次のような検討を行っている。
    1. 善悪の判断など基本的な道徳的価値観の形成(小学校)から道徳的価値に関する討論や法に関する学習、キャリア教育などを通した人間としての生き方の指導の徹底(中学校)へと学校段階ごとに道徳の指導の特色を明確化
    2. 集団宿泊活動(小学校)、職場体験活動(中学校)、社会奉仕体験活動(高等学校)といった道徳性の育成に資する体験活動を推進(道徳、特別活動等)
  • 小学校低学年に配当されている生活科については、幼児教育との連携、科学的な見方・考え方の基礎を養う、安全指導、生命の尊さを実感させるための動植物の飼育・栽培に関する指導を充実することが必要である。
  • 小学校中学年から高等学校に至るまで置かれている総合的な学習の時間に関しては、その必要性や重要性については共通理解が得られているが、学校によるばらつきなどの実施上の課題がある。また、教育課程全体の中で習得・活用・探究の比重を見直す必要がある。このため、教科や道徳、特別活動などとの関係を見直しつつ、授業時数についても見直しを検討する必要がある。
     同時に、1.学習方法に関すること、自分自身に関すること、他者や社会とのかかわりに関することなど育てたい力の視点を例示したり、2.小学校では地域の文化や伝統に関する学習活動、中学校では仕事や自己の将来を考える学習活動といった学習活動を例示したりすることなどにより、内容の実質化を図るとともに、優れた事例の情報提供やコーディネーターの育成などの支援策を充実することが必要である。
  • 前述のとおり教育基本法改正等を踏まえた検討が必要である。例えば、
    1. 生命を尊ぶとともに、いじめを許さないといった規範意識の確立の根底となる道徳教育の内容・形式両面にわたる見直し(道徳)
    2. 国際社会で活躍する日本人の育成を図る上で必要な我が国の伝統、文化を受け止めそれを継承・発展するための教育の充実(国語、社会、音楽、美術等)
    3. 宗教に関する教育の充実(社会)
    4. 情報教育の推進(国語、技術・家庭、情報等)
    などについて更に検討を深める必要がある。
  • また、食育(家庭、保健等)や安全教育、性教育(保健等)などについて、学校の教育活動全体を通して取り組むべき内容を検討する必要がある。
  • なお、理数教育については、審議経過報告は国際的な教育課程比較なども参考にしながらその充実を図ることが必要としている。また、例えば、生命科学などの近年急速に発展した内容を考慮して教育内容を見直す必要があるとしている。同時に、環境教育の観点から、持続可能な社会の構築が強く求められている状況を踏まえる必要性も指摘した。
     このため、教育内容の具体的な検討に当たっては、学問研究や社会的な人材需要の動向をも考慮し、先端分野での研究者の協力を得るなどの工夫が必要である。
  • 小学校段階の英語教育の在り方については、中・高等学校における改善を見通して、教育条件の整備に関する課題も含め検討を進めることが重要である。旧来の読み書きを中心とした中学校の英語教育を前倒しするのではなく、小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーションなどの活動を通じて、言葉への自覚を促し、幅広い言語力や国際感覚の基盤を培うことができるよう各学校で共通に指導する内容を更に具体的・専門的に検討することが求められる。
  • また、言語力の育成や体験活動の充実のための具体的な方途や道筋についても教科等を横断した検討を集中的に行い、各教科等の具体的な改善方策を導くことが必要である。
     
2.教育課程の基準の改善の関連事項 4 (1)指導方法の改善
  • 審議経過報告では、指導方法の改善の観点から、習熟度別指導や少人数指導、発展的な学習や補充的な学習などの個に応じた指導の充実や特に小学校低学年の段階での学習の習慣付けのための工夫、宿題や予習復習を適切に課すことによる家庭と連携した学習習慣の確立などを提言した。
  • また、審議経過報告では、現行の学習指導要領に至るまでのある一時期において、子どもの自主性を強調する余り、教師が指導を躊躇(ちゅうちょ)する状況があったのではないかと指摘した。学校教育においては、基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着させる上で、教えて考えさせる指導の徹底が重要であることを改めて強調したい。
  • また、今後、知識・技能を活用し、探究型の学習へと発展させる過程を各教科等に即して具体的に明らかにする中で、それに対応した指導方法の工夫・改善についても検討を深める必要がある。
5.学校教育の質の保証のためのシステムの構築
  • 審議経過報告においては、学校教育の質の保証のためのシステムの構築の観点から、
    1. 学習指導要領における到達目標の明確化
    2. 情報提供その他の基盤整備の充実
    3. 教育課程編成実施に関する現場主義の重視
    4. 教育成果の適切な評価
    5. 評価を踏まえた教育活動の改善
    を提言した。
(到達目標の明確化)
  • 審議経過報告を踏まえた審議においては、1.の到達目標の明確化について、義務教育修了の段階で、すべての子どもが必ず身に付けるべき項目の例を分かりやすく示す、これらの項目が身に付いていない子どもに対しては、履修する学年を超えてでも補充指導等により習得を目指す、生活習慣や学習習慣など家庭や社会における取組みを求める内容を含むものとし、学習指導要領とは別に、義務教育の質の保証を図るものとして示すといった議論がなされた。
  • その上で、基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着に関する項目、「自ら学び自ら考える力」の育成に関する項目、豊かな心の育成に関する項目、健やかな体の育成に関する項目のそれぞれにわたって項目例等を検討しているが、知識・技能については目標を示しやすいが、それ以外の心や体に関する部分は抽象的な理念として示さざるを得ないといった意見が出されている。
  • 到達目標の在り方については、後述の学習評価の在り方とともに、集中的に検討を行い、審議を深めることが必要である。その中で、学校だけではなく、家庭教育の役割や取り組むべき目標を明確にすべきとの意見もあった。
(情報提供その他の基盤整備の充実)
  • 教育基本法において家庭教育の規定(第10条)が置かれたことも踏まえ、学習指導要領が規定する教育内容、学校段階や学年ごとの関連や体系をその示し方も含めて検討の上、教師だけではなく家庭や社会に向けて分かりやすく情報発信することが重要である。また、学校や教育委員会等も家庭や地域に対して教育課程に関する情報提供を積極的に行い、各学校の特色を明らかにすることが必要である。
  • また、学習指導要領の改訂についての十分な理解の下、学校や教師の創意工夫を生かした教育活動の改善がなされるためには、責任をもって改訂の背景や内容を説明できる教育課程部会の委員等を中心に、教師をはじめとした関係者や広く社会に対して、積極的に説明をするといった努力が必要である。
  • 教育基本法第9条は教員の使命や職責、待遇の適正等に加え、教員の養成と研修の充実等について新たに規定している。意欲を持った優秀な人材が、教師という職業に魅力を感じ、教職に就くようになるためには、教育条件の整備とともに、教員の養成や研修の改善が求められる。特に、教員の研修等を通じた指導力の向上に当たっては、優れた指導方法の共有化などについて具体的に検討する必要がある。
  • さらに、主たる教材として重要な役割を果たす教科書については、その質・量両面での充実が求められる。子どもが学習内容について十分に理解を深め、基礎・基本を確実に身に付けられるよう工夫され、かつ、特色ある教科書が提供されるための具体的な検討が必要である。
  • 審議経過報告でも指摘したとおり、国と地方が協力して、教職員配置、設備、教材、学校の施設など教育を支える条件整備を確固たるものとする必要がある。この点については、教育基本法第17条の規定により、新たに政府が定める教育振興基本計画の作成に当たって重視すべきとの意見があった。
(教育課程編成実施に関する現場主義の重視)
  • 学習指導要領は、すべての子どもに対して指導すべき内容を示す基準である。このような学習指導要領が国として全国的な教育の機会均等や教育水準の維持・向上のために必要な役割を果たしつつ、同時に、子どもの実態や学校段階の特性などに応じた各学校の教育課程の編成実施上の工夫を生かすための具体的な仕組みについて検討を深める必要がある。
  • また、現場主義の重視には、子どもの実態に応じた効果的な教育課程の編成や実施を可能とする学校のマネジメントの確立が不可欠であり、このような観点からの検討も必要である。
  • なお、今後、各学校における特色ある取組や実践などを十分参考にしながら審議を深めることが重要である。
(教育成果の適切な評価)
  • 子どもの学習評価については、多面的・多角的な評価を確保する、読解力など知識の活用や探究についての評価も重視する、評価者の負担を軽減するといった観点から到達目標の在り方と併せて、集中的に検討を行い、審議を深めることが必要である。
(評価を踏まえた教育活動の改善)
  • 平成19年度から、すべての児童生徒の学習到達度を把握するための全国学力・学習状況調査が実施される。教育成果についての様々な評価は、教師の指導方法の改善や教育条件の整備など教育活動の改善に資するように活用され、教育の質の向上が図られることに重要な意味がある。
(その他)
  • また、少子高齢化といった人口構造など様々な環境の変化の中で、充実した教育活動を行うための学校規模の在り方等についても検討する必要がある。
  • さらに、学校や教師が各教科等の指導をはじめとした本来の職務と使命を十分に果たすことができるようにするためには、審議経過報告でも指摘したように事務負担の軽減が不可欠である。文部科学省の教員勤務実態調査など具体的なデータを踏まえた改善が必要である。
  • また、審議経過報告でも指摘したとおり、大人が家庭や地域で子どもの教育に十分役割を果たせるようにするためには、大人の働き方の問題がかかわっており、企業の協力も必要である。男女共同参画社会において、子育てと職業が両立できるようにするための行政や企業の取組や環境づくりが求められる。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --