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資料5‐1 道徳教育の現状と課題、改善の方向性(検討素案)

現状と課題

1.現状

  • 道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて行うこととし、小・中学校では、それを補充、深化、統合するため、道徳の時間を設けている。
  • 道徳教育の目標は、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を具体的な生活の中に生かすことなどを通して主体性のある日本人を育成するため、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの道徳性を養うこと。
  • 道徳の時間の目標は、道徳教育の目標に基づき、各教育活動における道徳教育と密接な関連を図り、計画的、発展的に道徳的価値(及び人間としての生き方:中学校)の自覚を深め、道徳的実践力を育成すること。
  • 道徳の内容は、主として「自分自身」「他の人とのかかわり」「自然や崇高なものとのかかわり」「集団や社会とのかかわり」の4つの視点から捉え、小学校第1、2学年15項目、第3、4学年18項目、第5、6学年22項目、中学校23項目で整理して示している。
  • 高等学校においては、公民科や特別活動のホームルーム活動を中心に「人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うこと」としている。

2.課題

  • 子どもがもつ力を十分に発揮できるようにする必要があるが、子どもを取り巻く環境の変化、家庭や地域社会の教育力の低下、体験の減少等の中、生命尊重の心の不十分さ、自尊感情の乏しさ、基本的な生活習慣の未確立、規範意識の低下、人間関係を形成する力の低下など、子どもの心の活力が弱っている傾向がある。
     また、社会参画への意欲や態度の形成が求められている。
  • 道徳の時間の指導が形式化して実効が上がっていないとの指摘や、学年が上がるにつれ児童生徒の受け止めがよくないことから、発達に即した適切な指導が行われるよう改善することが課題。
  • 学校・学年の段階等を踏まえた道徳教育の重点がみえにくく、教育活動全体を通じた指導や、道徳の時間を含めた相互の関連が十分ではない。
     教師が理解しにくい内容や指導しにくい内容があるとの指摘がある。
  • 高等学校の道徳教育(在り方生き方教育)は、教育活動全体を通じて行うこととされているが、そのことを意識した指導が十分なされていない。
  • 道徳教育に取り組む体制を一層充実し、家庭や地域社会と一体となって推進すべきとの声がある。

改善の方向性

1.高等学校における道徳教育の改善

 (1)高等学校においては、小・中学校と異なり道徳の時間は設定されていない。社会の急激な変化に伴い、人間関係の希薄化、規範意識の低下が指摘される中で、高等学校でも、知識等を教授することにとどまらず、その段階に応じて道徳性を養い、人間としての成長を図る教育の充実を進める必要があるが、どのような改善を図ればよいか。

 例えば、生徒が人間としての在り方生き方に関わる問題について議論し考えるなどしてその自覚を一層深めるようにする観点から、「倫理」や「現代社会」(公民科)、「ホームルーム活動」(特別活動)などについて、改善してはどうか。
また、「産業社会と人間」(総合学科で必履修)のような自己の在り方生き方を考えさせる科目等を普通科や専門学科でも開設できるようにすることはどうか。

 (2)特定の時間だけでなく、高等学校の全教育活動を通じて道徳教育が効果的に実践されるようにするため、全体計画の作成を必須化し、教科や特別活動、総合的な学習の時間がそれぞれの特質を踏まえて担うものについて明確にしてはどうか。

(例)改善の方向例

 公民科「倫理」:先哲の考え方を手掛かりとして自分自身の判断基準を形成するために必要な倫理的諸価値(公正、正義など)を具体的に示して身に付けさせるとともに、それを用いて様々なテーマや課題について討論などを行い考察できるように改善。

 特別活動「ホームルーム活動」:学校生活の充実、適応や生徒指導、学業や進路指導の視点から内容を焦点化し、特に社会人として生きていく際に求められる態度や能力の育成に重点を置いて改善。

(参考)

 「産業社会と人間」(現行):産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ、社会に積極的に寄与し、生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うことなどを重視。

2.小・中学校における道徳の時間の在り方の改善

 (1)道徳教育に対する児童生徒の受け止めは、小学校と中学校では相当に異なっている。幼児期や高等学校段階での改善を視野に入れつつ、発達の段階に応じて、より効果的な教育を行うためには、小学校段階と中学校段階の道徳教育の目標・内容などを見直すことは考えられないか。

 (2)例えば、(ア)小学校では生きる上での基盤となる道徳的価値観の形成を図る指導を徹底する。(イ)中学校では、思春期の特質を考慮し人間としての生き方、社会とのかかわりを見つめさせる、など学校段階ごとに道徳の指導の特色を明確にしてはどうか。

(例)

  • 小学校:基本的な道徳的価値観の形成を徹底。
    • 下学年では、幼児期からの教育との接続に配慮し、基本的な生活習慣や善悪の判断、きまりを守るなど、日常生活や学習の基盤となる道徳性の指導や感性に働きかける指導を促進。
    • 上学年では、多様な体験を生かし、自分と他者との人間関係や社会とのかかわりに目を向け、夢や希望をもって生きることの指導を促進。
    • 特に高学年段階からの複数時間扱いの指導の積極的取り入れ。
  • 中学校:人間としての生き方の指導の徹底。
    • 道徳的価値に裏打ちされた人間としての生き方について自覚を深める指導を重視。その際、法や社会とのかかわりなどに目を向ける。人物から生き方や人生訓を学んだり、自分のテーマをもって考え討論したりするなど、多様な学習を促進。
    • 教科担任制であり、複数の教員が生徒にかかわることを生かして、学年や学校の協力的指導体制による展開を重視。

3.重点や体系を明確にした道徳教育の改善

 (1)道徳教育について、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を培い、自立し、健全な自尊感情をもち主体的、自律的に生きるとともに、他者とかかわり、社会の一員としてその発展に貢献することができる力を育成するために、基本的な倫理観などその基盤となる道徳性を養うことを重視する方向でよいか。

 (2)子どもの実情等を踏まえると、特に、1.基本的な生活習慣、2.規範意識、3.人間関係を築く力、4.社会参画への意欲や態度などを育成する観点から、各学校で取り組むべき重点を学校・学年段階ごとに示すことが必要と考えるが、どうか。
教科等がそれぞれの特質を踏まえて担うものについても明確にし、可能な限り具体的に示してはどうか。

 (3)道徳教育の指導項目について、各学校において、学校段階間の接続性や発展性を踏まえて、内容を更に分かりやすくする方向で改善してはどうか。

(例)

各学校・学年段階における重点の例

(小学校低学年)

  • 基本的な生活習慣の観点から-規則正しい生活をすること
  • 規範意識の観点から-善悪の判断ときまりを守ること など

(小学校中学年)

  • 規範意識の観点から-集団や社会のきまりを守りマナーを大切にすること
  • 人間関係を築く力の観点から-友達や身近な人々との協力と助け合い など

(小学校高学年)

  • 人間関係を築く力の観点から-相手の立場の理解と支え合い
  • 社会参画への意欲や態度の観点から-家庭・学校・地域社会の一員としての役割と責任 など

(中学校)

  • 基本的な生活習慣の観点から-望ましい生活習慣の確立(第1学年)
  • 規範意識の観点から-法やきまりの意義の理解と遵守
  • 社会参画への意欲や態度の観点から-郷土・国・国際社会への積極的参加 など
どの段階でも取り組む内容の例
  • 自立・自律、自他の生命の尊重 など

4.道徳教育の推進体制等の充実

 学校全体で取り組む道徳教育の実質的な充実を図る視点から、道徳教育主担当の設置、実際に使える具体性のある全体計画の作成、小・中学校における授業公開の促進を図ることとしてはどうか。
 また、道徳性の育成に資する体験活動を一層推進してはどうか。
 さらに、道徳教育は、家庭や地域社会と共通理解を図って一体的に推進することが重要であり、学校と家庭や地域社会が共に取り組む体制や実践活動の充実を図ってはどうか。

(例)

  • 乳幼児等と触れ合う体験、生命の尊さを感じる実体験などを通した実感的な理解の重視。
  • 小:自然の中での集団宿泊活動、中:職場体験活動、高:社会奉仕体験活動
  • 家庭や地域社会と連携を図った、「早寝早起き朝ごはん」など生活習慣や礼儀やマナーなどを身に付けることを重視した活動 など

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初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

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