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幼稚園教育の現状

幼稚園数・幼稚園児数・教員数

(平成18年度5月1日現在:学校基本調査速報)

幼稚園数 1万4,000園 (私立 約60パーセント、公立 約40パーセント)
幼稚園児数 合計 173万人 (私立 約80パーセント、公立 約20パーセント)
3歳児 42万人 (私立 約90パーセント、公立 約10パーセント)
4歳児 63万人 (私立 約80パーセント、公立 約20パーセント)
5歳児 67万人 (私立 約75パーセント、公立 約25パーセント)
教員数(本務者) 11万人 (私立 約80パーセント、公立 約20パーセント)

設置者別幼稚園数の割合

 設置者別幼稚園数の割合

設置者別在園児数割合(3~5歳児)

 設置者別在園児数割合(3~5歳児)

 3歳児
 3歳児

 4歳児
 4歳児

 5歳児
 5歳児

1幼稚園当たりの在園児数

 1幼稚園当たりの在園児数

幼稚園就園率(該当年齢人口に対する在園児数の割合)

 幼稚園就園率(該当年齢人口に対する在園児数の割合)

  • ※ 在園児数は平成16年度5月1日現在 学校基本調査より。
  • ※ 該当年齢人口は、総務省統計局による推計人口を換算したもの。

幼稚園制度の概要

法的根拠

 学校教育法(昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号)
 第一条 この法律で学校とは、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園とする。

目的等

目的・目標

  • 幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。(学校教育法第七十七条)
  • 幼稚園は、前条の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。(学校教育法第七十八条)
    1. 健康、安全で幸福な生活のために必要な日常の習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること
    2. 園内において、集団生活を経験させ、喜んでこれに参加する態度と共同、自主、自律の精神の芽生えを養うこと
    3. 身辺の社会生活及び事象に対する正しい理解と態度の芽生えを養うこと
    4. 言語の使い方を正しく導き、童話、絵本等に対する興味を養うこと
    5. 音楽、遊戯、絵画その他の方法により、創作的表現に対する興味を養うこと

対象

満3歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児(学校教育法第八十条)
 ※ 構造改革特区において、満3歳になる年度の初めより入園できる特例を措置。

教育内容

教育時間・週数

  • 1日4時間を標準(幼稚園教育要領)
  • 年間39週以上(学校教育法施行規則第75条)、夏期休業・冬季休業有り(学校教育法施行令第29条)
    ※ 地域の実態や保護者の要請により、教育課程に係る教育時間の終了後に希望する幼児を対象に「預かり保育」を実施。

教育課程

 幼稚園教育要領(文部科学大臣が定める)によるものとする。

幼稚園教育の基本

 幼稚園教育は,学校教育法第77条に規定する目的を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする。
 このため,教師は幼児との信頼関係を十分に築き,幼児と共によりよい教育環境を創造するように努めるものとする。これらを踏まえ,次に示す事項を重視して教育を行わなければならない。

  • (1)幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して,幼児の主体的な活動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
  • (2)幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して,遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。
  • (3)幼児の発達は,心身の諸側面が相互に関連し合い,多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること,また,幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して,幼児一人一人の特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること。

 その際,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,教師は,幼児一人一人の活動の場面に応じて,様々な役割を果たし,その活動を豊かにしなければならない。

(幼稚園教育要領第1章総則より)

設備・編成等

設備、編成その他設置に関する事項

 幼稚園設置基準(文部科学省令)の定めるところによる。

  • 園運営に関する規定(自己点検・評価、情報提供、改善努力義務等)
  • 編成に関する規定(一学級当たりの幼児数(35人)、教職員配置等)
  • 施設・設備に関する規定(園舎・運動場の面積基準、備えるべき施設・設備等)

教職員の資格・配置 (学校教育法第81条等)

種類
  • (必置)園長、教頭(注)、教諭(助教諭/講師)
  • (努力義務)養護教諭(養護助教諭)、事務職員

(注)特別な事情のある場合は、教頭を置かなくてもよい

教諭の資格
  • 幼稚園教諭普通免許状
    専修(大学院(修士)修了)/1種(大学卒)/2種(短大卒など)
服務
  • 公立幼稚園教員は、教育公務員特例法の適用を受ける。
    • 新規採用教員研修、10年経験者研修等の実施義務、待遇の確保など

管理・運営

設置主体・管理運営 (学校教育法第2条、第5条)

  • 国、地方公共団体、学校法人が設置することができる。注1
  • 設置者が自ら幼稚園を管理し、その経費を負担する。注2
    • 注1 当分の間、学校法人以外の主体(宗教法人、社会福祉法人等)による設置も認められている。(学校教育法第102条)
    • 注2 学校法人立幼稚園に対して、都道府県が経常費の一部を補助。

所轄庁 (学校教育法第4条、私立学校法第4条等)

  • 公立(市町村立)幼稚園 …都道府県教育委員会が認可等を行う。(注)
  • 私立幼稚園 …都道府県知事が認可等を行う。
    • (注)指定都市立の幼稚園の設置等は、認可ではなく届出

保育料 (学校教育法施行規則第3条、第4条)

  • 設置者が定める。
    • ※ 市町村が、家庭の所得に応じて保育料の一部を減免する就園奨励事業を実施。

幼稚園教育要領(平成10年12月告示)

第1章 総則

1 幼稚園教育の基本

 幼稚園教育は,学校教育法第77条に規定する目的を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする。
 このため,教師は幼児との信頼関係を十分に築き,幼児と共によりよい教育環境を創造するように努めるものとする。これらを踏まえ,次に示す事項を重視して教育を行わなければならない。

  • (1)幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して,幼児の主体的な活動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
  • (2)幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して,遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。
  • (3)幼児の発達は,心身の諸側面が相互に関連し合い,多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること,また,幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して,幼児一人一人の特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること。

 その際,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,教師は,幼児一人一人の活動の場面に応じて,様々な役割を果たし,その活動を豊かにしなければならない。

2 幼稚園教育の目標

 幼児期における教育は,家庭との連携を図りながら,生涯にわたる人間形成の基礎を培うために大切なものであり,幼稚園は,幼稚園教育の基本に基づいて展開される幼稚園生活を通して,生きる力の基礎を育成するよう学校教育法第78条に規定する幼稚園教育の目標の達成に努めなければならない。

  • (1)健康,安全で幸福な生活のための基本的な生活習慣・態度を育て,健全な心身の基礎を培うようにすること。
  • (2)人への愛情や信頼感を育て,自立と協同の態度及び道徳性の芽生えを培うようにすること。
  • (3)自然などの身近な事象への興味や関心を育て,それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うようにすること。
  • (4)日常生活の中で言葉への興味や関心を育て,喜んで話したり,聞いたりする態度や言葉に対する感覚を養うようにすること。
  • (5)多様な体験を通じて豊かな感性を育て,創造性を豊かにするようにすること。

3 教育課程の編成

 各幼稚園においては,法令及びこの幼稚園教育要領の示すところに従い,創意工夫を生かし,幼児の心身の発達と幼稚園及び地域の実態に即応した適切な教育課程を編成するものとする。

  • (1)幼稚園生活の全体を通して第2章に示すねらいが総合的に達成されるよう,教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織しなければならないこと。この場合においては,特に,自我が芽生え,他者の存在を意識し,自己を抑制しようとする気持ちが生まれる幼児期の発達の特性を踏まえ,入園から修了に至るまでの長期的な視野をもって充実した生活が展開できるように配慮しなければならないこと。
  • (2)幼稚園の毎学年の教育週数は,特別の事情のある場合を除き,39週を下ってはならないこと。
  • (3)幼稚園の1日の教育時間は,4時間を標準とすること。ただし,幼児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮すること。

第2章 ねらい及び内容

 この章に示すねらいは幼稚園修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情,意欲,態度などであり,内容はねらいを達成するために指導する事項である。これらを幼児の発達の側面から,心身の健康に関する領域「健康」,人とのかかわりに関する領域「人間関係」,身近な環境とのかかわりに関する領域「環境」,言葉の獲得に関する領域「言葉」及び感性と表現に関する領域「表現」としてまとめ,示したものである。
 各領域に示すねらいは幼稚園における生活の全体を通じ,幼児が様々な体験を積み重ねる中で相互に関連をもちながら次第に達成に向かうものであること,内容は幼児が環境にかかわって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることに留意しなければならない。
 なお,特に必要な場合には,各領域に示すねらいの趣旨に基づいて適切な,具体的な内容を工夫し,それを加えても差し支えないが,その場合には,それが幼稚園教育の基本を逸脱しないよう慎重に配慮する必要がある。

健康

 〔健康な心と体を育て,自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。〕

1 ねらい
  • (1)明るく伸び伸びと行動し,充実感を味わう。
  • (2)自分の体を十分に動かし,進んで運動しようとする。
  • (3)健康,安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。
2 内容
  • (1)先生や友達と触れ合い,安定感をもって行動する。
  • (2)いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
  • (3)進んで戸外で遊ぶ。
  • (4)様々な活動に親しみ,楽しんで取り組む。
  • (5)健康な生活のリズムを身に付ける。
  • (6)身の回りを清潔にし,衣服の着脱,食事,排泄など生活に必要な活動を自分でする。
  • (7)幼稚園における生活の仕方を知り,自分たちで生活の場を整える。
  • (8)自分の健康に関心をもち,病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
  • (9)危険な場所,危険な遊び方,災害時などの行動の仕方が分かり,安全に気を付けて行動する。
3 内容の取扱い

 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。

  • (1)心と体の健康は,相互に密接な関連があるものであることを踏まえ,幼児が教師や他の幼児との温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として,しなやかな心と体の発達を促すこと。
  • (2)様々な遊びの中で,幼児が興味や関心,能力に応じて全身を使って活動することにより,体を動かす楽しさを味わい,安全についての構えを身に付け,自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。
  • (3)自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶことにより,体の諸機能の発達が促されることに留意し,幼児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。その際,幼児の動線に配慮した園庭や遊具の配置などを工夫すること。
  • (4)基本的な生活習慣の形成に当たっては,幼児の自立心を育て,幼児が他の幼児とかかわりながら主体的な活動を展開する中で,生活に必要な習慣を身に付けるようにすること。

人間関係

 〔他の人々と親しみ,支え合って生活するために,自立心を育て,人とかかわる力を養う。〕

1 ねらい
  • (1)幼稚園生活を楽しみ,自分の力で行動することの充実感を味わう。
  • (2)進んで身近な人とかかわり,愛情や信頼感をもつ。
  • (3)社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
2 内容
  • (1)先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
  • (2)自分で考え,自分で行動する。
  • (3)自分でできることは自分でする。
  • (4)友達と積極的にかかわりながら喜びや悲しみを共感し合う。
  • (5)自分の思ったことを相手に伝え,相手の思っていることに気付く。
  • (6)友達のよさに気付き,一緒に活動する楽しさを味わう。
  • (7)友達と一緒に物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
  • (8)よいことや悪いことがあることに気付き,考えながら行動する。
  • (9)友達とのかかわりを深め,思いやりをもつ。
  • (10)友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き,守ろうとする。
  • (11)共同の遊具や用具を大切にし,みんなで使う。
  • (12)高齢者をはじめ地域の人々など自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。
3 内容の取扱い

 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。

  • (1)教師との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人とかかわる基盤となることを考慮し,幼児が自ら周囲に働き掛けることにより多様な感情を体験し,試行錯誤しながら自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう,幼児の行動を見守りながら適切な援助を行うようにすること。
  • (2)幼児の主体的な活動は,他の幼児とのかかわりの中で深まり,豊かになるものであり,幼児はその中で互いに必要な存在であることを認識するようになることを踏まえ,一人一人を生かした集団を形成しながら人とかかわる力を育てていくようにすること。
  • (3)道徳性の芽生えを培うに当たっては,基本的な生活習慣の形成を図るとともに,幼児が他の幼児とのかかわりの中で他人の存在に気付き,相手を尊重する気持ちをもって行動できるようにし,また,自然や身近な動植物に親しむことなどを通して豊かな心情が育つようにすること。特に,人に対する信頼感や思いやりの気持ちは,葛藤やつまずきをも体験し,それらを乗り越えることにより次第に芽生えてくることに配慮すること。
  • (4)幼児の生活と関係の深い人々と触れ合い,自分の感情や意志を表現しながら共に楽しみ,共感し合う体験を通して,高齢者をはじめ地域の人々などに親しみをもち,人とかかわることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにすること。また,生活を通して親の愛情に気付き,親を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。

環境

 〔周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもってかかわり,それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。〕

1 ねらい
  • (1)身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
  • (2)身近な環境に自分からかかわり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようとする。
  • (3)身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。
2 内容
  • (1)自然に触れて生活し,その大きさ,美しさ,不思議さなどに気付く。
  • (2)生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
  • (3)季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
  • (4)自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。
  • (5)身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。
  • (6)身近な物を大切にする。
  • (7)身近な物や遊具に興味をもってかかわり,考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。
  • (8)日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
  • (9)日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。
  • (10)生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
  • (11)幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。
3 内容の取扱い

 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。

  • (1)幼児が,遊びの中で周囲の環境とかかわり,次第に周囲の世界に好奇心を抱き,その意味や操作の仕方に関心をもち,物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。
  • (2)幼児期において自然のもつ意味は大きく,自然の大きさ,美しさ,不思議さなどに直接触れる体験を通して,幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎が培われることを踏まえ,幼児が自然とのかかわりを深めることができるよう工夫すること。
  • (3)身近な事象や動植物に対する感動を伝え合い,共感し合うことなどを通して自分からかかわろうとする意欲を育てるとともに,様々なかかわり方を通してそれらに対する親しみや畏敬の念,生命を大切にする気持ち,公共心,探究心などが養われるようにすること。
  • (4)数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし,数量や文字などに関する興味や関心,感覚が養われるようにすること。

言葉

 〔経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。〕

1 ねらい
  • (1)自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
  • (2)人の言葉や話などをよく聞き,自分の経験したことや考えたことを話し,伝え合う喜びを味わう。
  • (3)日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,先生や友達と心を通わせる。
2 内容
  • (1)先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち,親しみをもって聞いたり,話したりする。
  • (2)したこと,見たこと,聞いたこと,感じたことなどを自分なりに言葉で表現する。
  • (3)したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。
  • (4)人の話を注意して聞き,相手に分かるように話す。
  • (5)生活の中で必要な言葉が分かり,使う。
  • (6)親しみをもって日常のあいさつをする。
  • (7)生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
  • (8)いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
  • (9)絵本や物語などに親しみ,興味をもって聞き,想像をする楽しさを味わう。
  • (10)日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。
3 内容の取扱い

 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。

  • (1)言葉は,身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものであることを考慮して,幼児が教師や他の幼児とかかわることにより心を動かすような体験をし,言葉を交わす喜びを味わえるようにすること。
  • (2)絵本や物語などで,その内容と自分の経験とを結び付けたり,想像を巡らせたりする楽しみを十分に味わうことによって,次第に豊かなイメージをもち,言葉に対する感覚が養われるようにすること。
  • (3)幼児が日常生活の中で,文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい,文字に対する興味や関心をもつようにすること。

表現

〔感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。〕

1 ねらい
  • (1)いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
  • (2)感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
  • (3)生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。
2 内容
  • (1)生活の中で様々な音,色,形,手触り,動きなどに気付いたり,楽しんだりする。
  • (2)生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする。
  • (3)様々な出来事の中で,感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
  • (4)感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりする。
  • (5)いろいろな素材に親しみ,工夫して遊ぶ。
  • (6)音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう。
  • (7)かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりする。
  • (8)自分のイメージを動きや言葉などで表現したり,演じて遊んだりする楽しさを味わう。
3 内容の取扱い

 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。

  • (1)豊かな感性は,自然などの身近な環境と十分にかかわる中で美しいもの,優れたもの,心を動かす出来事などに出会い,そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して養われるようにすること。
  • (2)幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて,幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。
  • (3)生活経験や発達に応じ,自ら様々な表現を楽しみ,表現する意欲を十分に発揮させることができるような遊具や用具などを整え,自己表現を楽しめるように工夫すること。

第3章 指導計画作成上の留意事項

 幼稚園教育は,幼児が自ら意欲をもって環境とかかわることによりつくり出される具体的な活動を通して,その目標の達成を図るものである。
 幼稚園においてはこのことを踏まえ,幼児期にふさわしい生活が展開され,適切な指導が行われるよう,次の事項に留意して調和のとれた組織的,発展的な指導計画を作成し,幼児の活動に沿った柔軟な指導を行わなければならない。

1 一般的な留意事項

  • (1)指導計画は,幼児の発達に即して一人一人の幼児が幼児期にふさわしい生活を展開し,必要な体験を得られるようにするために,具体的に作成すること。
  • (2)指導計画作成に当たっては,次に示すところにより,具体的なねらい及び内容を明確に設定し,適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにすること。
    • ア 具体的なねらい及び内容は,幼稚園生活における幼児の発達の過程を見通し,幼児の生活の連続性,季節の変化などを考慮して,幼児の興味や関心,発達の実情などに応じて設定すること。
    • イ 環境は具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し,幼児が自らその環境にかかわることにより様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにすること。その際,幼児の生活する姿や発想を大切にし,常にその環境が適切なものとなるようにすること。
    • ウ 幼児の行う具体的な活動は,生活の流れの中で様々に変化するものであることに留意し,幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をすること。
    その際,幼児の実態及び幼児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての反省や評価を適切に行い,常に指導計画の改善を図ること。
  • (3)幼児の生活は,入園当初の一人一人の遊びや教師との触れ合いを通して幼稚園生活に親しみ,安定していく時期から,やがて友達同士で目的をもって幼稚園生活を展開し,深めていく時期などに至るまでの過程を様々に経ながら広げられていくものであることを考慮し,活動がそれぞれの時期にふさわしく展開されるようにすること。特に,3歳児の入園については,家庭との連携を緊密にし,生活のリズムや安全面に十分配慮すること。
  • (4)長期的に発達を見通した年,学期,月などにわたる指導計画やこれとの関連を保ちながらより具体的な幼児の生活に即した週,日などの指導計画を作成し,適切な指導が行われるようにすること。特に,週,日などの指導計画については,幼児の生活のリズムに配慮し,幼児の意識や興味の連続性のある活動が相互に関連して幼稚園生活の自然な流れの中に組み込まれるようにすること。
  • (5)幼児の行う活動は,個人,グループ,学級全体などで多様に展開されるものであるが,いずれの場合にも,幼稚園全体の教師による協力体制をつくりながら,一人一人の幼児が興味や欲求を十分に満足させるよう適切な援助を行うようにすること。
  • (6)幼児の主体的な活動を促すためには,教師が多様なかかわりをもつことが重要であることを踏まえ,教師は,理解者,共同作業者など様々な役割を果たし,幼児の発達に必要な豊かな体験が得られるよう,活動の場面に応じて,適切な指導を行うようにすること。
  • (7)幼児の生活は,家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりをもつものであることに留意し,家庭との連携を十分に図るなど,幼稚園における生活が家庭や地域社会と連続性を保ちつつ展開されるようにすること。その際,地域の自然,人材,行事や公共施設などを積極的に活用し,幼児が豊かな生活体験を得られるように工夫すること。
  • (8)幼稚園においては,幼稚園教育が,小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し,幼児期にふさわしい生活を通して,創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。

2 特に留意する事項

  • (1)安全に関する指導に当たっては,情緒の安定を図り,遊びを通して状況に応じて機敏に自分の体を動かすことができるようにするとともに,危険な場所や事物などが分かり,安全についての理解を深めるようにすること。また,交通安全の習慣を身に付けるようにするとともに,災害時に適切な行動がとれるようにするための訓練なども行うようにすること。
  • (2)障害のある幼児の指導に当たっては,家庭及び専門機関との連携を図りながら,集団の中で生活することを通して全体的な発達を促すとともに,障害の種類,程度に応じて適切に配慮すること。
  • (3)幼児の社会性や豊かな人間性をはぐくむため,地域や幼稚園の実態等により,盲学校,聾学校,養護学校等の障害のある幼児との交流の機会を積極的に設けるよう配慮すること。
  • (4)行事の指導に当たっては,幼稚園生活の自然の流れの中で生活に変化や潤いを与え,幼児が主体的に楽しく活動できるようにすること。なお,それぞれの行事についてはその教育的価値を十分検討し,適切なものを精選し,幼児の負担にならないようにすること。
  • (5)幼稚園の運営に当たっては,子育ての支援のために地域の人々に施設や機能を開放して,幼児教育に関する相談に応じるなど,地域の幼児教育のセンターとしての役割を果たすよう努めること。
  • (6)地域の実態や保護者の要請により,教育課程に係る教育時間の終了後に希望する者を対象に行う教育活動については,適切な指導体制を整えるとともに,第1章に示す幼稚園教育の基本及び目標を踏まえ,また,教育課程に基づく活動との関連,幼児の心身の負担,家庭との緊密な連携などに配慮して実施すること。

平成16年度全国的かつ総合的な学力調査の実施に係る研究指定校事業分析の経過(幼稚園)

国立教育政策研究所教育課程研究センター

調査結果のポイント

 指定校の調査結果からは,幼稚園教育要領のねらいの実現状況において,各領域とも,おおむね実現している状況が示されている。

  • 領域「健康」では,戸外で体を十分に動かして繰り返し挑戦する,友達とアイデアを出し合って活動したりするなど,自己の存在感をもって行動する姿がみられる。基本的な生活習慣の習得は,危険を避けて安全に行動したり,自分でできることは自分の力でやり遂げようとする姿がみられる。
  • 領域「人間関係」では,友達や教師とかかわる中で自分の感情や意思を表現しつつ,他の人々と共に活動する楽しさや,思いやりの気持ちをもつようになってきている。集団とのかかわりの中で自己実現を図ることについては,トラブルを自分からはうまく解決ができずにいる,注目を浴びると緊張して行動できなくなるなどの姿もまだみられている。
  • 領域「環境」では,身近な環境に好奇心や探究心をもってかかわり,予測や試しを行い,発見や気付きを遊びや生活の中に取り入れたりしている。自然とのかかわりに関しては,主に飼育栽培を通して動植物とかかわる中で,命あるものとのかかわりを大切にしている姿がみられる。
  • 領域「言葉」では,感じたことや考えたことを言葉で表現したり,教師や友達の話に関心をもって聞き,自らも話すことで伝え合ったり,日常生活に必要な言葉が分かり使えるようになるなど,人とのかかわりの中での言葉の育ちがみられる。また,絵本や物語を喜んで聞いたりして,想像の世界を広げている。
  • 領域「表現」では,イメージを豊かにもち自分なりに表現を工夫して楽しんだり,友達と発想や表現を共有したりして相談しながら表現活動をしている姿がみられる。また,美しいものや自然等に触れた時の心の動きを,素直に表現して友達と共有したり,様々な表現を出し合い高めていこうとしたりすることもみられる。
  • 一部の幼児からは,運動的な遊びに自らすすんで取り組まない,身近な環境にあまり興味・関心をもたない,はじめての体験なので自分は直接触れずに友達の様子を見ている等,遊びや生活とのかかわりが消極的な姿もみられる。

1.事業の概要

1.趣旨

 現行の幼稚園教育要領に定めるねらいの実現状況等について実践的な調査研究を行い,今後の教育課程や幼稚園における指導の改善に資することを目的として実施。
 各指定校においては,調査担当者(主として学級担任と園長)が,調査指導員とともに,日常の保育の中で幼児が生活や遊びを進める姿から幼児の発達の実情を捉える観察調査を実施し,幼稚園教育要領に定めるねらいの実現状況を把握。
 調査協力園の調査結果の分析を学識経験者及び実際に調査に従事した調査指導員からなる企画委員会において検討。

2.概要等

  • (指定期間)平成15年4月1日~平成17年3月31日
  • (指定校)学校法人山王学園 山王幼稚園(秋田県),学校法人中沢学園 会津若葉幼稚園(福島県),学校法人大恵会 石川幼稚園(栃木県),榛東村立南幼稚園(群馬県),文京区立明化幼稚園(東京都),東京学芸大学附属幼稚園(東京都),学校法人安見学園 板橋富士見幼稚園(東京都),学校法人京急学園 京急幼稚園(神奈川県),名古屋市立猪高幼稚園(愛知県),学校法人嵯峨学園 嵯峨幼稚園(京都府),広島市立矢野幼稚園(広島県),北九州市立足原幼稚園(福岡県),長崎大学附属幼稚園(長崎県),学校法人中九州学園 画図幼稚園(熊本県)

2.調査結果の概要

 当センターでは,各指定校からの研究成果報告(平成16年度)をもとに,教育要領に定めるねらい等の実現状況の整理・分析を進め,平成17年度末に分析結果をまとめる予定であり,このたびは,現時点での分析の経過を報告するものである。

1.領域ごとの実現状況

(1)領域「健康」

 自分の目標や課題をもって取り組む,体を十分に動かして繰り返し挑戦したり,友達と共に楽しいことに向かいアイデアを出し合って活動したりすることなど,自己の存在感をもって行動できていることから,健康な心と体の育ちがみられる。
 特に平成10年の幼稚園教育要領改訂におけるねらい及び内容の改訂の要点(以下「改訂の要点」という)として示された,幼児の興味や関心が戸外に向き,しなやかな心と体の発達を促すことに関しては,他の幼児と共に運動したり,ときには競い合いながら戸外で体を動かす楽しさを感じたりして,幼児同士のかかわりを深めている。しかし一方で,体を動かす遊びに進んで取り組まなかったり,身のこなしの柔らかさや多様さに欠けたりする報告もみられる。
 また,基本的な生活習慣の習得については,教師や友達に言われて初めて気付いて行動することもときには見受けられるものの,多くの幼児は生活に必要な行動を自ら行ったり,危険を避けて安全に行動したり,自分でできることは自分の力でやり遂げようとする姿がみられる。
 これらの状況から,領域「健康」のねらいはおおむね実現している。

(2)領域「人間関係」

 幼稚園生活において,友達や教師とかかわる中で自分の感情や意思を表現しつつ,他の人々と共に活動する楽しさや,思いやりの気持ちをもつようになってきている。また,友達と一緒に生活するためには守らなくてはいけないきまりやルールがあることもわかり,社会生活における望ましい習慣や態度を身に付けている。
 特に改訂の要点として示された道徳性の芽生えを培うことについては,他者とのかかわりを深める中できまりや約束を守って行動する姿が数多く報告されている。
 これらの状況から領域「人間関係」のねらいはおおむね実現している。
 しかし,改訂の方針として示された,集団とのかかわりの中で幼児の自己実現を図ることについては,友達とのトラブルを自分からはうまく解決ができずにいる,また学級全体の活動の中で注目を浴びると緊張して行動できなくなるなどの姿もまだみられている。

(3)領域「環境」

 身近な環境に好奇心や探究心をもってかかわり,発見を楽しんだり,試したり,今までの体験をもとに幼児なりに予測を立てたり,さらに発見や気付きを遊びや生活の中に取り入れたりしている。また,数量や文字に関しては,興味や関心のもち方などに個人差はあるものの,全体として興味や関心が高まり,遊びや生活のいろいろな場面で使っている。また,内容の取り扱いに示された自然とのかかわりを深めることに関しては,主に飼育栽培を通した動植物とのかかわりや一連の活動が数多く報告され,動植物とともに生活する中で,命あるものとのかかわりを大切にしている姿がみられる。
 これらの状況から,領域「環境」のねらいはおおむね実現している。
 しかし,改訂の要点として新たに示された,生活の中で様々な物に触れながらその物の性質や仕組みに興味や関心をもつことに関しては,物とのかかわりを楽しむことやその性質や仕組みに気付いて使いこなすという内容の報告は少ない。

(4)領域「言葉」

 いろいろな場で感じたことや考えたことを言葉で表現したり,教師や友達の話に関心をもって聞き,自らも話すことで伝え合ったり,日常生活に必要な言葉が分かり,使えるようになるなど,人とのかかわりの中での言葉の育ちがみられる。また,絵本や物語を喜んで聞いたり,言葉のリズムを繰り返し楽しんだりして,想像の世界を広げている。
 改訂の要点として示された文字に対する興味や関心については,文字に興味や関心を示し,文字の機能に気付き,遊びや生活の中で使うなどの姿がみられる。また,相手の言葉や話に関心をもち,注意深く聞いたり,相手の状況を読み取って自分の気持ちや考えを表現したりするなど,伝え合いのなかで言葉に対する感覚や表現力が身に付いている。
 これらの状況から,領域「言葉」のねらいはおおむね実現している。
 しかし,読み聞かせの場面や学級全体で話を聞くときなどに注意を持続できない姿も一部にみられる。

(5)領域「表現」

 イメージを豊かにもち自分なりに表現を工夫して楽しんだり,友達と発想や表現を共有したりして相談しながら表現活動をしている姿から,感じたことや考えたことを自分なりに表現しようとする意欲をもち,その態度も身に付いてきているといえる。特に改訂の要点として示された,表現しようとする意欲や,幼児らしい様々な表現を楽しむことに関しては,一人一人が豊かな感性や心情をもち,その幼児らしい表現をして楽しんでいる姿が多くみられている。
 また,美しいものや自然等に触れた時の心の動きを,素直に表現して友達と共有したり,様々な表現を出し合い高めていこうとしたりすることもみられる。
 これらの状況から,領域「表現」のねらいは,おおむね実現している。
 しかし,他者と表現を伝え合う喜びが十分に味わえなかったり,周囲の状況を取り入れて豊かに表現することがまだ十分にはできない姿もときにはみられる。

2.分析から見える主な課題

 今回の調査からは,幼稚園教育要領のねらいの実現状況は,各領域とも,おおむね実現しているといえる結果が得られた。このことは,指定校において平成10年の幼稚園教育要領改訂の基本的考え方がおおむね理解され,幼稚園教育要領のねらいを実現しようとする取り組みがなされてきているといえる。今後一層の幼稚園教育の充実を目指すために,以下の課題を示す。

  • 一部の幼児からは,自ら遊びに進んで取り組まない,身近な環境にあまり興味・関心をもたない,自分は直接触れずに友達の様子を見ている等,環境とのかかわりが消極的な姿もみられる。その背景の一つとして,幼児の家庭・地域社会における生活経験の不足によることが考えられる。このため,教師は幼児一人一人の実態に合わせてさらにきめ細かく応じていくことが必要であるとともに,幼稚園生活において豊かな体験が得られるような指導計画や環境の構成を工夫する必要がある。
  • 平成10年の幼稚園教育要領改訂の基本方針の一つに,集団とのかかわりの中で幼児の自己実現を図ることが示され,各領域のねらい及び内容についてこの視点から見直しが図られた。このことにより,指定校において,幼児同士が集団の中でかかわりを深める姿が多く報告されている。しかし一方で,学級全体の活動では思うように自己表現できなかったり,教師や友達以外の人へのかかわりが消極的になったりするなど,集団の大きさやつながり,状況の変化により自己発揮しきれない姿もまだみられる。また,友達とのトラブルが起こるとうまく解決ができなかったり,自分本位になってしまったり,いったん守れた約束でも,周囲に友達や教師がいなくなると守れなくなったりして,他者と調和をとって行動することや自分の気持ちを抑えることがうまくできない姿もみられる。各領域のねらいや内容との相互関連を図り,幼児同士がかかわりを深め,育ち合うための指導を充実させる必要がある。
  • 平成10年の幼稚園教育要領改訂では,第1章総則1幼稚園教育の基本において,幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成することが明示された。各指定校において,計画的に環境を構成することについては,指導計画においても明確に示され,物的・空間的環境の構成の工夫もみられてきた。しかし,一部の指定校では,実際の活動に表れてきた具体的な幼児の活動の姿からは,幼児がかかわる対象が限定されていたり,環境とのかかわり方に偏りがあったりすることもみられた。それには既有経験が少ないなど,幼児の生活経験の問題もあると考えられるが,環境が固定していたり,教師が環境を狭くとらえていたりするため,幼児が物とのかかわりを楽しむことができないなど,環境の構成の在り方の問題もあると考えられる。環境を通して行う教育については,引き続きその在り方についての理解を深めていく視点をもつことが必要である。

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初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

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