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資料6‐1 理科の現状と課題,改善の方向性(検討素案)

現状と課題

1.現状

  • 理科においては,自然に親しみ,自然の事物・現象に対する関心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に調べる能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養うことをねらいとしている。
  • このねらいを実現するため,1.小学校では,「生物とその環境」「物質とエネルギー」「地球と宇宙」,2.中学校では,「第1分野」(物理的領域及び化学的領域),「第2分野」(生物的領域及び地学的領域)から内容を構成している。また,3.高等学校では,「理科基礎」「理科総合A」「理科総合B」「物理1」「物理2」「化学1」「化学2」「生物1」「生物2」「地学1」「地学2」の11科目を設けている。

2.課題

  • 理科の学習に対する意欲は他の教科と比較して高いといえるが,それが大切だという意識が高くないという両者の乖離が課題である。また,国際的に見ると,我が国の児童生徒の理科の学習に対する意欲は低い状況がみられる。
  • 国民の科学に対する関心が低いことを踏まえ,理科教育については生涯にわたって,科学に関心を持ち続けられるようにするという観点から,見直す必要があるのではないかという指摘がある。
  • 子どもの体験の状況については,過去に比べて,理科の学習の基盤となる自然体験,生活体験が乏しくなってきている状況がみられる。
  • 教育課程実施状況調査において,過去同一問題の比較から全体としては上昇傾向がみられたものの,てこのつり合いや衝突,人体の構造や働き,物質の状態変化や化学変化における質量の保存,植物の生活と種類などの内容の基礎的な知識・理解が十分ではない状況がある。
  • 教育課程実施状況調査において,地層のでき方を推論する問題,意味付けや関係付けを伴う説明活動に関する問題,グラフを読み取り考察する問題,実験の途中経過を考察する問題などにおいて,科学的な思考力・表現力が十分ではない状況がある。また,PISA調査において,科学的に解釈する力や表現する力に課題がみられる。

小学校

  • 現行の内容の3区分は,昭和43年以来のものであるが,子どもの学び方の特性や環境教育などの新しい動向に対応した内容の区分が必要との指摘がある。また,中学校の内容との一層の整合性が求められている。

中学校

  • 日本列島は南北に長く,同じ植物でも開花期が異なったり,冬に地層を観察しようと思ったときには,すでに地層が雪で覆われるなど,地域によっては学習内容の順序が全国一律に規定されていることによる課題が指摘されている。また,気象や天体の観測,動植物の観察などは季節ごとに行って年間を通しての変化を生徒に実感させることができないなどの課題がある。

高等学校

  • 高等学校における理科教育については,将来いずれの進路を選択する生徒についても必要と思われる基礎的な科学的素養や科学に対する関心を持ち続ける態度を育てるとともに,能力・適性,興味・関心,進路希望等の多様な生徒に対応できるようにすることが求められている。
  • 現行の高等学校理科は,物理,化学,生物,地学の4領域のうち,3領域以上の学習をすることが望ましいという考え方に立って科目構成がなされているが,実際には,例えば「理科総合A」と「化学1」を履修するなど,2領域の学習に留まっている例もみられる。

改善の方向性

1.目標について

 理科においては,自然への親しみや関心を高め,見通しや目的意識をもって観察,実験などを行い,問題解決や科学的に調べる能力や態度を育てるとともに,自然を愛する心情や自然の事物・現象についての理解を図り,科学的な見方や考え方を養うことを目標としている。
 このような特徴は引き続き踏襲した上で,「実社会や実生活との関連」,「科学への関心を高めること」,「科学的な認識の定着」などの視点を踏まえて,理科の目標を見直してはどうか。

2.科学的な概念の理解など,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着

 科学的な概念の理解など,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図ることができるよう,「エネルギー」,「粒子」,「生命」,「地球」などの科学の基本的な見方や概念を柱として,児童生徒の発達の段階に応じて,小・中・高等学校を通じた理科の内容の構造化を図る方向で改善してはどうか。

(例)例えば,次のような整理が考えられるがどうか。

エネルギー ※( )(かっこ)内は例を表す。
  • エネルギーの見方
  • エネルギーの変換と保存(力学的エネルギー,光や音のエネルギー,熱エネルギー,電気エネルギー,化学的エネルギーなど)
  • エネルギー資源の有効利用,環境問題
粒子
  • 粒子の存在(原子,分子など)
  • 粒子の結合変化(化学変化(酸化と還元など))
  • 粒子の保存性(質量保存(物の溶け方など))
  • 粒子のもつエネルギー(状態変化(水の三態変化など))
生命
  • 生物の構造と機能(体のつくりと働き,細胞など)
  • 生物の多様性と共通性(葉;形は多様だが,働きは光合成で共通しているなど)
  • 生命の連続性(植物の発芽・成長,生物のふえ方など)
  • 生物と環境の相互作用(生物と環境のかかわりなど)
地球
  • 地球の周辺(月や星など)
  • 地球の表面(天気の変化など)
  • 地球の内部(大地の変化など)

3.科学的な思考力・表現力の育成

 科学的な思考力・表現力の育成を図る観点から,学年や発達の段階,指導内容に応じて,例えば,1.観察,実験の結果を考察する学習活動,2.科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動,3.探究的な学習活動を充実する方向で見直してはどうか。

1.観察・実験の結果を考察する学習活動

 (例)グラフをもとに考察を深める指導

  • 小学校: 表に整理したり,グラフ化(棒グラフや折れ線グラフ)して考える。
  • 中学校: 測定結果をもとに,変数間の関係を考察する。
2.科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動

 (例)小学校

  • 電気を通すつなぎ方を調べ,電気の回路についての考えをもつようにし,その上で,「回路」という言葉を使って説明する。
  • 呼吸の働きを,「酸素」,「二酸化炭素」という言葉を使って説明する。
3.探究的な学習活動

 (例)中学校

  • 斜面や水平面上で金属球を転がして物体に衝突させる実験を探究的に行い,力学的エネルギーを決定する要因を見い出す。
  • 唾液の中の酵素の働きについて,対照実験を行う際に,結果を予想して実験を行う。

4.観察,実験や自然体験,科学的な体験の充実

 科学的な知識や概念の定着を図り,科学的な見方や考え方を育成するため,観察,実験や自然体験,科学的な体験を一層充実する方向で見直してはどうか。

 (例)小学校

  • 自然に親しみ,諸感覚をフルに使ったり,簡単な観察器具や機器を使ったりする自然の観察(例:校庭,通学路や地域の自然観察)
  • 身近な自然物の性質や規則性に気付いたり,それを活用したものづくり(例:ゴムやバネの弾性を活用したものづくり)

 (例)中学校

  • 原理や法則の理解等を目的としたものづくり(例:直流モーターを用いた風力発電機の作成,携帯カイロの作成)
  • 理科で学習したことを野外で確認し,野外での発見や気づきを学習に生かす自然観察(例:野外観察や,継続的な観察・観測(栽培・飼育,気象))

5.理科に対する学習意欲の向上,科学技術の発達への対応等

 理科を学ぶことの意義や有用性を実感する機会を持たせる観点から,実社会・実生活との関連を重視する内容を充実してはどうか。また,持続可能な社会の構築が求められている状況に鑑み,理科についても,環境教育の充実を図る方向で内容を見直してはどうか。

 (例)小学校

  • 学んだ学習内容が,日常生活に活用されている場面や身の回りの器具や道具に適用・応用されていることなどを探したり,調べたりする内容を充実させてはどうか。(例:「てこの働き」が,はさみや栓抜きに活用されていること等)

 (例)中学校

  • 第1分野の「科学技術と人間」(科学技術の発展と人間や自然とのかかわり)や第2分野の「自然と人間」(自然がもたらす様々な恩恵や災害)の内容の充実を図る。

6.小学校理科の内容区分

 子どもの学び方の特性や環境教育的視点から,現行の小学校理科の内容区分を見直すこととしてはどうか。

(例)

  • 現行の内容区分(A区分:生物とその環境,B区分:物質とエネルギー,C区分:地球と宇宙の3区分)を新たに,
  • 第1区分:物質・エネルギー(仮称)
  • 第2区分:生命・地球(仮称)の2区分に見直してはどうか。

7.中学校理科の指導内容の順序

 中学校の指導内容の順序に関する規定については,内容の系統性に配慮しつつ,地域の特性等に応じた学習ができるよう,各学年ごとに標準的な学習内容を示すこととしてはどうか。

 (例)

  • 〔現行〕第1分野,第2分野とも,3年間を通じて
    内容(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6)→(7)の順序で指導
  • 〔改善例〕
    例えば,第1学年で内容(1)及び(2)を指導することを示し,学年の中での指導順序については,地域の特性等に応じて適宜扱うことができるようにする。

8.高等学校理科の科目構成

 高等学校において,1.将来いずれの進路を選択する生徒についても必要と思われる基礎的な科学的素養や科学に対する関心を持ち続ける態度を育てるとともに,2.能力・適性,興味・関心,進路希望等の多様な生徒に対応するためには,高等学校理科の科目構成をどのように見直せばよいか。

<参考>現行の高等学校学習指導要領(平成11年告示)における科目構成

 <参考>現行の高等学校学習指導要領(平成11年告示)における科目構成

9.その他

 観察・実験を重視するために,外部人材の活用,実験器具等の整備など人的・物的・時間的な面での充実が必要ではないか。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --