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資料5‐1 算数・数学科の現状と課題,改善の方向性(検討素案)

現状と課題

1.現状

  • 算数・数学科のねらいは,算数的活動・数学的活動を通して,知識・技能の定着を図り,数学的な思考力・表現力を育成するとともに,それらを進んで活用する態度を育てることにある。
  • このねらいを実現するため,小学校においては「数と計算」,「量と測定」,「図形」,「数量関係」の4領域,中学校においては「数と式」,「図形」,「数量関係」の3領域を設け,児童生徒の発達や学年の段階を踏まえて内容を構成している。また,高等学校においては「数学基礎」,「数学1」,「数学2」,「数学3」,「数学A」,「数学B」,「数学C」の7科目を設け,数学学習の系統性と生徒選択の多様性の双方に配慮した内容で構成している。

2.課題

  • 教育課程実施状況調査や国際調査によると,基礎的な計算技能の定着については低下傾向は見られなかったが,計算の意味を理解することなどに課題が見られた。また,身に付けた知識や技能を実生活や学習等で活用することが十分にできていない状況が見られた。
  • 教育課程実施状況調査や国際調査によると,事柄や場面を数学的に解釈すること,数学的な見方や考え方を生かして問題を解決すること,自分の考えを数学的に表現することなどに課題が見られた。
  • 特定の課題に関する調査によると,具体的な場面を設けて問題解決の指導をすることや,計算などで複数の学年で継続して指導することの重要性が明らかになった。
  • 算数的活動・数学的活動については,数量や図形についての作業的活動や体験的活動などを取り入れる授業が学校現場において次第に増えてきているが,より多くの実践例を工夫したり,活動のねらいをより明確にしたりすることが必要である。
  • PISA調査では,数学で学ぶ内容に興味のある生徒の割合が国際平均値より低く,数学の学習に対する不安を感じる生徒の割合が国際平均値より高かった。また,TIMSS調査では,算数・数学の勉強を楽しいと思う児童生徒の割合が国際平均値より低かった。このような現状に対して,ねばり強く考え抜き問題を解決することによって得られる達成感や自信をもとに自尊感情や主体性を育むことが重要である。
  • 算数・数学の好き嫌いについては,国内調査において小学校第6学年から中学校第1学年にかけて,「好き」と回答する児童生徒の割合が低下している状況が見られる。
  • 算数・数学を学ぶことの意義や有用性,社会全般における数学の果たす役割についての認識を高めることが課題という指摘もある。

改善の方向性

1.目標・内容について

目標・内容については,次のような観点を踏まえて改善を図る必要がある。

  1. 生活や学習の基盤となる基礎的・基本的な知識・技能を定着させること
  2. 根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えるなど数学的な思考力を育成すること
  3. 事柄や場面を数学的に解釈したり表現したりする能力を育成すること
  4. 身に付けた知識・技能を実生活や学習等で活用できるようにすること
  5. 算数・数学を学ぶことの意義や有用性を実感させること
    そのため,以下のような視点から目標・内容を検討してはどうか。
    • 学年間や学校段階間での学習の接続に配慮するという視点
    • 他教科等の学習との関連に配慮するという視点
    • 数量や図形などについての豊かな感覚を育成し,実感を伴った理解を深めるという視点
    • 算数的活動・数学的活動を一層充実させるという視点
      また,上記の理念を具現化するために,目標や内容の示し方を工夫する必要があるのではないか。

2.基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着

 算数・数学における数や計算,図形などの基礎的・基本的な知識・技能は,生活や学習の基盤となるものである。このため,作業や体験を取り入れた実感的な理解,実生活や学習等への活用を重視しつつ,学年間や学校段階間でスパイラルな教育課程を構成し,丁寧な繰り返し指導ができるようにすることにより,児童生徒が基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付けられるようにしてはどうか。

小学校
  • 低学年や中学年において数量や図形についての素地的な体験をしたうえで,上級学年で意味理解を深められるようにする取扱いをしてはどうか。
  • 知識や技能の確実な定着を図るため,複数学年にわたるスパイラル的な学習指導を教育課程上に位置付けてはどうか。
中学校
  • 小学校で基本的な概念を学び,中学校でそれを活用するといった教育課程上の位置付けを明確にしてはどうか。
  • 一度指導した内容であってもその後の学習内容と関連付けて再度学習することができるような学び直しの機会を設けてはどうか。

3.数学的な思考力・表現力の育成

 論理的な思考力やコミュニケーション能力を高めるために,根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えるなどの数学的な思考力を育成したり,言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを用いて分かりやすく説明するなど,自分の考えを表現し伝え合う力を育成したりする指導を充実してはどうか。

  • 数学的な思考力や表現力を育成する内容や指導場面をより明確に示すようにしてはどうか。
    • <小学校> 四則の計算法則を用いて,簡単に計算の答えを求める方法を考えたり,その方法を分かりやすく説明する。
    • <中学校> 実験などから得られた二つの数量の関係を一次関数とみることで,二つの数量のおよその変化の様子をとらえ,それをもとに判断して,分かりやすく説明する。
    • <高等学校> 数学のテキストを読んで理解し,理解した事柄を自分の言葉で具体例をまじえながら分かりやすく説明する。

4.数量や図形についての豊かな感覚の育成

 知識・技能を確実に定着させたり,生活へ活用したりできるようにするために,およその数を見積もるなど,数量や図形についての豊かな感覚を育成する指導を充実してはどうか。

小学校
  • 整数,小数,分数の大きさを表したり,比較したり,見積もったりする作業的・体験的な活動を取り入れるなどして,数についての感覚を育成することを重視してはどうか。
  • 身の回りの量を実際に測定したり,図形を構成したりする作業的・体験的な活動を取り入れるなどして,量の大きさや図形についての感覚を育成することを重視してはどうか。
中学校
  • 空間図形の学習において,例えば立体の模型を作り,触れ,分解するなどの作業的・体験的な活動を取り入れるなどして,空間概念を養うこととしてはどうか。

5.算数的活動・数学的活動の充実

 数量や図形などについて実感的な理解を深めたり,数学的な思考力を高めたり,算数・数学の学習の楽しさや学ぶことの意義を実感したりできるようにするために,児童生徒が主体的に取り組む算数的活動や数学的活動を生かした指導を一層重視してはどうか。

  • これまでの「内容に関する領域」に加えて「活動に関する領域」(仮称)を設けるなどしてはどうか。
  • 例えば,実生活・実社会の考察に算数・数学を生かす活動,ものごとを筋道を立てて論理的に考え,判断する活動,自分の考えや判断を評価し改善する活動,自分の考えを数学的に表現したり解釈したりする活動などを「活動に関する領域」(仮称)に例示してはどうか。

6.統計に関わる内容の指導の充実

 資料から必要な情報を読み取って判断することができるよう,実社会・実生活や他教科等の学習との結び付きが深い統計に関する内容の指導を充実してはどうか。

中学校
  • 統計に関わる内容(確率を含む)をまとめた領域「資料の活用」(仮称)を新設し,集団の傾向をとらえたり,将来を予測したりすることを内容として取り入れてはどうか。

7.高等学校数学の科目構成

 高等学校において,将来いずれの進路を選択する生徒についても必要と思われる数学的な思考力・表現力等を育成するとともに,能力・適性,興味・関心,進路希望等の多様な生徒に対応するためには,高等学校数学の科目構成をどのように見直せばよいか。

  • 数学学習の系統性や生徒選択の多様性の双方に配慮した科目で構成するという現行の考え方は踏襲してはどうか。
  • 必履修科目については,数学学習の果たす人間形成の側面も重視し数学を学ぶことの意義や有用性を実感できるようにするとともに,将来いずれの進路を選択する生徒についても必要と思われる数学的な思考力・表現力等を育成することをねらいとした内容で構成してはどうか。その際,中学校の内容との接続や他教科の内容との関連にも十分配慮すべきではないか。
  • 「数学基礎」については,現行の「数学基礎」を発展させ,学習において数学的活動や自分の考えを言葉や数式などで表現することを一層重視する科目としてはどうか。さらに必要があれば数学を学び直すことができたり,他科目を履修した後,より深く探究することができたりする科目として位置付けたらどうか。
  • 現在,数学は実社会や実生活の様々な場面で活用されており,必要に応じ数学に関わることが求められている。そのため,各学校において,生徒の進路等に応じたより適切な教育課程が編成できるよう,必要な内容を選択して履修することが可能な科目を含め,現行の科目構成や内容等を見直してはどうか。

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初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

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