4.確固とした教育条件を整備する

義務教育費国庫負担制度について

1.同制度を堅持すべき

堅持すべき理由 ・教育の質の向上

  • 比較的多く寄せられた意見 40人学級の維持や学校の施設、設備の充実に悪影響を及ぼし、地域間格差が生じる。
  • 比較的多く寄せられた意見 離島でも山間部でも、日本全国同じ条件で教育を受けられるようにするべき。
  • 比較的多く寄せられた意見 教育の機会均等、水準維持に不可欠な制度。多くの県では財源が確保できずに40人学級の維持も危ぶまれかねない。
  • 比較的多く寄せられた意見 全額税源移譲した場合、都道府県、市町村において教育に使用されず地域格差が起きるのは必至。
  • 比較的多く寄せられた意見 地方の財政の厳しい都市では、教育の機会均等など、ほど遠いものとなってしまう。
  • 比較的多く寄せられた意見 国庫負担制度は、憲法で保障された教育の機会均等を法的に裏付けるものである。
  • 本制度は子どもたちが成長し、社会人となるためのセーフティーネット。こうした義務教育の基盤を作ることは国の責務。
  • 地方の子も都市部の子と同じように教育水準を維持した中で、教育を受けることができる。
  • 現在に至るまでの日本の発展の基盤は、教科書の無償や、安価な給食等を提供できた義務教育の平等性に負うところが大きい。
  • 義務教育が一度だけ地方に渡された時があったが、地域で教育の格差を生んだ。
  • 「地域住民の学校に対する意識高揚」・「地域人材による総合的な展開」などは、現行の制度でも十分可能である。
  • 国庫負担制度の廃止は日本の教育の荒廃をまねく。
  • 現在各地方自治体の考え方の相違で教育予算がちがっているが、本制度があるからこそ基本的なことは守られている。
  • 教育に関しては、国が責任を持って執行していかなければ、今さかんに言われている学力格差が大きくなる。
  • 教育に地域差が生じるということは、その子の能力は生まれたところ、住んでいるところで決まるというような偏見も生みかねない。
  • これからの未来を背負う子どもたち、私たちのためにも、もっと教育や福祉にお金をかけるべき。
  • 少人数教育や教育内容の均一化を保障するためにも不可欠である。
  • 今日の日本の平和と繁栄は、明治の学制により教育の根幹を国が担ってきたためであり、今後も地域格差のない教育を保障すべきである。
  • この制度は義務教育を守る生命線。廃止になれば、教育基本法に定められている第1条・第3条・第6条・第10条の達成難が考えられる。
  • 一般財源化は、必ずしも教育に活用されるとは限らない。結果的に教育水準の低下を引き起こすものと思われる。
  • 国庫負担制度により、国と地方の共同責任で「教育」を推進することができる。
  • 現在でも地方では複式学級のために充分に教育が受けられない子供がいる。
  • 都会から田舎に移り住む人がいるのは、どこに行っても同じ勉強ができるからである。
  • 現状以上の条件整備ができなければ、少人数学級やティーム・ティーチング、地域住民のニーズに応える教育も、質の低下したものに他ならない。
  • 教育の機会均等の理念を生かし、すべての子供が平等に自分の人生にチャレンジできるような教育制度にしてほしい。
  • 学力低下を改善するなら、国際的学力調査で高位だったフィンランドやオランダの教育に学ぶべきだ。「教育の平等性」「助け合い学習」など。
  • 教育の機会均等を崩し、特に地方の教育に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。
  • 日本のように資源に乏しい国が発展できたのは明治以後の学校制度によるものであり、今後も全国で最低限の教育を受けられるようにすべき。
  • 中国では日本の制度を真似し、国が義務教育費を補償しようという動きが出ている。世界の国から認められている制度を廃止しようとするのは明らかに逆行している。
  • 国による財政負担があった上で、地方の自由度が高まるような形での地方分権を望む。
  • 一般財源化により教師が削減された場合、教師の仕事がさらに増えることになり、充分な教育が実施されなくなる。
  • 振り返ると、昭和25年、前年のシャウプ勧告に基づいて、義務教育費国庫負担法が廃止されると、1教育条件の全国的な低下2小学校費における東京と茨城の差が100対53となり、地域間格差の拡大が生じた。
  • 教育が均等に受けられなくなるということで、今の息苦しそうな子どもたちは、更に夢も希望も生き抜く手段を学ぶことさえも奪われてしまう。
  • 大都市圏でも、広い地域に900校もの小・中学校がある県の離島でも、教育は全ての子ども達に機会均等でなくてはならない。
  • 離島へき地が多く、広い地域に小規模校の多い県においては、本制度があったからこそ教育の機会均等が守られてきた。
  • 国庫負担制度は、教育だけでなく、技術・科学・経済など日本の国家の基盤を支えている。
  • 現行の国庫負担制度を堅持し、これまでに削減された教材費等についても復元すべき。
  • 各自治体の財政力によって子供たちが受ける教育の中身に格差が生じるということは、行政・国が差別を公然と行うに等しいことになる。

堅持すべき理由 ・教育財源の確実性、予見可能性

  • 比較的多く寄せられた意見 自治体の財政が厳しい今日の状況では、国による財政負担が絶対に必要である。
  • 比較的多く寄せられた意見 一般財源となれば、多くの県で財源確保が出来ず、地域間格差が生まれてくることは明らかである。
  • 比較的多く寄せられた意見 一般財源化は地域間格差を助長するものであり、教育の根幹にかかわる。
  • 比較的多く寄せられた意見 この制度を廃止し、全額税源移譲したとしても、税源には偏在性がある。
  • 比較的多く寄せられた意見 多くの県では財源が確保できずに40人学級の維持も危ぶまれかねない。
  • 比較的多く寄せられた意見 税源の確保が難しく、せっかく始まった少人数学級事業も中止になってしまう。
  • 比較的多く寄せられた意見 へき地・小規模校が多い地域では、学校統廃合がすすみ、スクールバスの措置など自治体の負担が増すことが考えられる。
  • 比較的多く寄せられた意見 へき地・小規模校が多い北海道では、学校統廃合が進んで遠距離通学などによる保護者や自治体の負担が増す。
  • 比較的多く寄せられた意見 制度が廃止されれば、たとえ税源移譲や交付金で地方への財源が確保されても他の経費へ流用されかねない。
  • 比較的多く寄せられた意見 すでに一般財源化された教材費、旅費は国の基準を下回っていることから、義務教育費も同様のことが予想される。
  • 比較的多く寄せられた意見 10年前、教材費・旅費が同制度から除外され、現実に地方によって格差が生じている。
  • 比較的多く寄せられた意見 30人学級の実現を目指す中、地方によっては40人学級の維持も難しい。
  • 比較的多く寄せられた意見 30人学級を実現するためにも、国庫負担を維持するべきである。
  • 一般財源化しても、絶対に地方ではまかなえない。現在も交付税が少ないとの理由で、学校予算が減額されている。
  • 地方に税源移譲し裁量をもたせれば、教育費はけずられ、別の名目で使われることがある。例えば、図書費やコンピュータの予算など。
  • 小学校の定員も2年生まで30人学級が拡大されるよう義務教育費の確保を願いたい。
  • 教員の給与格差から生じる、教育の質の格差が生まれてくる。
  • 義務教育に必要な公費支出に支障が生じ、学校経費の安易な保護者への転嫁など、憲法が求める無償制の原則に反する事態を招くおそれもある。
  • フリーターである講師でまかなうという安易な方法をとる県もでてくることが考えられる。
  • 昭和25年から27年の3年間国庫負担をなくしたとき、地域により2倍の格差が出たことがあった。
  • 教員が安心して教育ができる環境をつくって欲しい。
  • 一般財源化した場合、予算を教育費以外に回す県が出てくる可能性がある。
  • この制度があるからこそ教職員の定数が保障されている。
  • 地域給与等のことも考えると、教育施策の恩恵は、大都市部に集中することが考えられる。
  • 教育費は費用対効果が低く、政治的宣伝効果が期待できないため、他の財源が不足した場合、教育財源がまわされる可能性がある。

堅持すべき理由 ・地方の自由度

  • 一般財源派は財源と教育論を都合よくつなげているが、本音は教育以外に自由に使いたいところにあるのではないだろうか。
  • 本当の意味で地方分権を考えるのであれば、国庫負担で充分財源を確保した上で、地方の自由度を高めていくべきだ。
  • 国庫負担制度は継続しながら、国の大きなしばりを地方へ移していくことが必要である。

堅持すべき理由 ・その他

  • 比較的多く寄せられた意見 財源不足になれば、地方は切り捨てられ、ますます子供を育てることが難しい世の中になり、出生率は下がり、国の危機になる。
  • 比較的多く寄せられた意見 学校は多くの人材で成り立っており、事務職、養護教諭、栄養職員なども大切な役割があり、校務分掌等いろいろな部分で関わりがある。
  • 国庫負担に関する審議は、不況経済と財政再建のみに目が向けられ子供達の未来を考えているとは思えない。
  • 「せめて義務教育費ぐらいは国が責任を持って行政サービスをおこなうべきだ」これが多くの国民の声である。
  • 地方6団体では、大丈夫であるといっているが、以前、図書整備費が一般財源化されたとき大きな格差が発生した。義務教育費も同様の道をたどる危険性が高くなる。
  • 資源のない我が国は、人材を育てることこそ、最も重要な施策であるべき。
  • 地方自治は尊重すべきものだが、現状では知事や市長が代わるたびに現場が混乱しかねない。
  • 保護者の経済格差が二極化していく中、公教育の充実は緊急の課題。
  • 県教委の介入統制を排除することが望ましい。すべてを地教委の権限に委譲する制度を確立すべきである。
  • 「勝ち組」「負け組」が居住地によって決まってしまうことになりかねない。
  • 義務教育の根幹について国は責任を持つべきであり、一定の負担を行うべき。
  • 予算のない県で、養護教諭や栄養教諭などは、かけもちやパートのような形になっていく可能性がある。
  • この制度の財源は別途現行通りとし、残りの部分で地方移譲を検討すべき。
  • 事務職員も国庫負担からはずされてしまわないか不安。
  • 少人数学級や少人数指導授業、総合的な学習など時代のニーズにあった新しい教育を進めていくための下支えとなっている。
  • 福井県知事が提唱する「地方教育税」のような代替制度が保障されない限り制度そのものの廃止は反対。
  • 教育は国の将来を左右する最も大切な分野。地方にまかせず、国が責任を持って条件整備をしなければならない。
  • 廃止論は保護者・児童・生徒・学校関係者を全く無視した机上の論理である。
  • 離島をたくさん抱える長崎県においては、死活問題。安心して子どもを通わせそして安心して育てることができるためにも堅持するべきである。
  • 一般財源化された場合、教師の給与などが圧縮され、優秀な人材は民間に流れ、民間の教育産業によりお金のある人には教育が手厚く施され、そうでないものは進路さえ狭められるという階層社会が生まれる。
  • 災害などがおきた場合、一般財源から予算を組まなくてはならず、福祉、教育はその次になってしまう。
  • フランスでは2歳~18歳までの教育費を全て無償とし、費用を国が全額負担。イギリスは2006年から義務教育に関する国の負担を75パーセントから100パーセントにあげることになっている。これらのことから、廃止は世界の流れに逆らうものと言える。
  • 公共事業にお金を費やしておいて、その皺寄せを教育費に持ってくるのはおかしい。
  • 鹿児島は離島、へき地が広く当然小規模校が多く存在している。しかし制度が廃止されると、小規模校の統廃合が一起に進んでしまう。離島やへき地の子供達、地域住人の為にもどうしても必要な制度。
  • 教育水準の偏りに必ずつながり、自治体の首長の思惑や地方財政状況によって、活かされるべき人材がうもれてしまう。
  • 国家が責任を持って地方の教育を支えていかなければ、この国の多様性は失われ、都会育ちの子がますます多数派を占めてしまい、結果的に活力を失わしめるだろう。

改善点がある ・負担対象の拡大

  • 全ての子供を同じスタート地点に立たせるには、国庫負担制度は維持どころか拡充するべきである。
  • 国庫負担の拡大を求める。
  • 義務教育費国庫負担法の適用する費目を増やすことが必要である。

2.同制度を廃止し、一般財源化すべき

一般財源化すべき理由 ・教育の質の向上

  • 今までの文科省の行政自体が信頼を失墜しており、文科省は「最小限の国としての指針を示す」程度にとどめ、義務教育の財源や教職員の人事権などの権限は、全面的に地方自治体に移譲すべき。

3.その他教職員の人件費の全額を国庫負担

  • 地方分権は大切だが、地方の主権を認めつつ、財源は国が保障するのが望ましい。
  • 国庫負担は半分ではなく、100パーセントにするべきだ。

その他

  • 比較的多く寄せられた意見 もっと現場の声を聞いて、現場重視で考えるべきである。
  • 義務教育の経費負担を含めて、最低基準を定め、維持できる制度で。
  • 教育にかかる人件費を削減するためには、教職員の年金制度や福利厚生について厚生年金との一元化の方向に進むべきだ。
  • 教育は、ある程度のスケールで住民の人口構成や人口密度を考慮し、適正に実施するべきである。最低でも都道府県レベル、または道州制レベルで行うなど工夫するべき。
  • 学校の教材費をPTAからの教育後援費でまかなっている現状からみると、今回の経過報告は理想論でしかない。
  • 長く議論されている内容が教師の給与であって教育的な問題ではない事を残念に思う。教師の給与を担保したからといって教育の質の向上を約束した事になるのか。一方的な教師サイドからだけの意見では、なかなか広く国民には理解してもらえない様な気がする。
  • 教育予算は市町村合併で減らされている。これ以上減らすと、次世代を担う世代が育たないのではないか。
  • 学校は様々な職種の人が関り、協力協働して学校教育を推進している。したがって、職種により国庫負担の対象、非対象を作ることは協力協働を阻害し、学校教育に大きな影響を与える。

公立学校施設整備費負担金・補助金について

  • 学校が安全であるための施設設備への対応は急務であり、多額の費用がかかることから施設整備費補助金・負担の制度も堅持する必要あり。
  • 地方六団体の意見には無理がある。

教科書無償給与制度について

  • 教科書の貸与制度には反対である。
  • 教科書は1教科を1年間使う中で、教師の指導の中で自分で書き込みしたりしながら理解を深めていくものであるので貸与制度に反対。
  • 基本的に教科書を有償化し、その代わりに低所得者層に配慮した制度を設けたほうがよい。

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(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --