資料2 前回会議における有識者ヒアリングの主な概要

【食育】(服部幸應・学校法人服部学園服部栄養専門学校理事長・校長、医学博士)

  • 本来、食は家庭で教えるべきものであるが、家庭のしつけや伝承が崩れており、学校教育で食べ方や食文化についても教えることが必要となっていることから、食育は学校教育、家庭教育、社会教育すべてで充実することが必要。
  • 義務教育期間中に、1.どのようなものを食べたら健康、安全等につながるのか自分で食品を選択する能力を身に付けさせること2.はしの持ち方、しつけなどのマナーを身に付けさせること3.食料を無駄にしない心を育んでいくこと、食文化を伝えたり伝統食を見直すことなどが必要ではないか。
  • 学校教育だけでなく家庭でも食育に取り組んでもらう必要があり、学校と家庭が連携して食育を行う体制等が必要。
  • 調理ができない子どもたちが増えており、現在は家庭科が小学校5年生から行われているが、もう少し早くから行ったらどうか。

【キャリア教育】(玄田有史・東京大学社会科学研究所助教授)

  • キャリア教育とは、「道」「路」「途」など「みち」の教育。人が一生を歩んでいく上で具体的にどのように生きればよいのか、事実に基づく話や実体験を通じて、実感をもって教えることが大切。
  • 子どもたちに小さな挫折体験、失敗体験をさせ、生活習慣の中に埋め込んでいくことが大事。早寝早起きなどの生活リズムも大切。
  • キャリア教育には、苦しんでいる若者を大人が助け、社会をともに生きるという「共生」の理念が必要。「個別的」「持続的」「包括的」がキーワード。例えば、就業・福祉・医療の分野の人が包括的に相談にのり、学校を離れた後も個別的・持続的に、相談できることが必要。
  • 中学生の多感な時期に1週間連続して職業体験を行う「キャリア・スタート・ウィーク」は非常に効果的。事業所の確保など地域の協力を得るため、全国一斉に開催するなど、イベント性を持たせて社会全体に驚きを与えるようにすべき。

【金融を含む経済教育】(高橋伸子・生活経済ジャーナリスト)

  • 人生において自己責任で意思決定する必要ある場面が増大。生活設計や金銭管理だけでなく、金融・経済の仕組み、仕事や職業への理解、消費者保護やトラブルの未然防止などを教えることが必要。
  • 「金融教育」、「金融経済教育」、「金融を含む経済教育」などいろいろな定義があるが、要は社会でよりよく生きる能力。金銭教育だけでなく、消費者教育、環境教育、起業家教育、投資教育など様々な教育分野と関わり。
  • 学校現場からは、学校や教師により差がある、社会や市場で行動できる能力を育むべき、学習指導要領の記述と現場の実践とのギャップを埋めることが必要との声。
  • 教師対象セミナーや副教材・指導書・実践事例集の作成・提供などは、東証アカデミーや金融広報中央委員会等において行われている。わが国の実情に即した金融教育プログラムの体系化が重要であり、多くの教科のあらゆる場面で実践が可能ではないか。

前回会議で配付した資料

現代的な課題に対応した教育について

  現代的な課題、現状 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(骨太の方針2005)における記述(抜粋) 国における最近の主な動向
食育
  • 栄養バランスの偏った食事や不規則な食事・朝食欠食
    • 小・中学生のうち約20パーセントが1週間のうち朝食を食べないことがある
       (平成12年度児童生徒の食生活等実態調査より)
  • 肥満傾向の児童生徒の割合の増加
  • 食品の品質や安全性について正しい知識・情報に基づいて判断できる能力
  • 食を通じた地域の理解や文化の継承
   等
食育基本法に基づき、食育推進基本計画を作成するとともに、関係行政機関等が連携し、国民運動として食育を推進する。
  • 栄養教諭制度の開始(平成17年4月)
  • 食育基本法の制定(平成17年7月15日施行)
    国民が健全な心身を培い、豊かな人間性を育む食育を推進するため、施策を総合的かつ計画的に推進すること等を目的として、食育推進基本計画の作成のほか、家庭、学校、地域等における食育の推進を図る。
キャリア教育
  • 少子高齢社会の到来、産業・経済の構造的変化や雇用の多様化・流動化
  • 若者の勤労観、職業観の未熟さ、職業人としての基礎的資質・能力の低下
  • いわゆるフリーターやニートの増加
    • フリーターの人数
       2004年 213万人
    • ニートの人数
       2004年 64万人
       (平成17年度 労働経済白書より)
   等
若者の働く意欲を喚起しつつ、その職業的自立を促進し、ニート・フリーター等の増加傾向を反転させるため、(中略)キャリア教育等の一層の推進(中略)など、「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」を強化・推進する。
  • 若者自立・挑戦プランの決定
    (平成15年6月 文部科学大臣,厚生労働大臣,経済産業大臣,経済財政政策担当大臣合意)
    高い失業率、フリーターの増加等の現状の中で、若年者を中心とする人材に焦点を当てた対策の一環として、勤労観・職業観の醸成を図るため、学校の教育活動全体を踏まえた組織的・系統的なキャリア教育を実施することとした。
  • キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書(平成16年1月 文部科学省)
金融を含む経済教育
  • 高齢社会の到来、終身雇用・年功制の変容の中で、個人が金融資産の運用等について自己責任で意思決定する機会が増加
  • ペイオフ解禁や様々なリスクとリターンを含んだ金融商品等の多様化等の金融環境の変化
   等
金融を含む経済教育等の実践的教育(中略)を推進する。
  • 金融経済教育に関する論点整理
    (平成17年6月 金融庁)
    バブル崩壊後の経済・社会の構造変化や、これに伴う金融環境の変化を踏まえて、金融経済教育の今日的な意義・必要性を確認するとともに、金融経済教育の現状と課題について整理した。

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初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

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