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資料7−1

中学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)(修正版)

1  これまでの審議について

(1) 中学校教育の改善の方向性

 これまでの教育課程部会や中学校部会の審議においては、中学校教育の改善として以下の方向性が示されている。

すべての教科等にわたって学習スキル(方法)の確実な習得
国語を基礎としながら、すべての教科等におけるコミュニケーション能力の育成
道徳的価値に関する討論や法に関する学習、人間関係についての理解、キャリア教育などを通した人間としての生き方の指導の充実、体験活動の推進
教師の相互交流、小学校との間で反復する教育課程の構成など小学校との円滑な接続

(2) 教育内容の改善(知識・技能を活用することで、習得型と探究型の学習とを統合する)

 このように中学校段階では、基礎的な知識・技能の着実な定着(例えば、外国語の文法指導や習得すべき語彙数の充実等)とともに、これらの知識を活用し、探究型の学習へと発展させる観点を重視する必要がある。また、特に、思考力、判断力、表現力等の育成、学習意欲の向上や学習習慣の確立、豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実が重要である。
(具体例)
1  日常生活に必要とされる技能としての対話、記録、要約、説明、感想などの言語活動を発達の段階に応じ体系的・継続的に指導、読書活動を充実(国語を基礎として全ての教科等)
2  言葉や数、式、図、表、グラフなどの相互の関連を理解し、それらを用いて説明・表現する指導の充実(数学)
3  科学的な思考力・表現力の育成を図る観点から考察・説明・探究を充実するとともに、観察・実験や自然体験、科学的な体験を一層充実(理科)

 この他、
 道徳教育の改善・充実(中学校では、道徳的価値に裏打ちされた人間としての生き方の指導を充実するとともに、道徳性の育成に資する体験活動を推進。その際、法に関する学習やキャリア教育との関連を図るとともに、道徳的価値に関する討論や人間関係についての理解などを重視。職場体験活動を推進。)、
 改正教育基本法の趣旨を踏まえ、社会科において、納税や勤労の義務、世界の各地域における宗教の特色などについての指導の充実
を行う必要がある。

 総合的な学習の時間については、必要性・重要性を前提とした上で、教科や道徳、特別活動との関係を見直し、仕事や自己の将来を考える学習活動、義務教育の修了段階での卒業論文など中学校段階に応じた学習活動を例示することが必要である。

 選択教科については、選択教科に加え、総合的な学習の時間が導入され、教育課程が複雑化しすぎていることから、必修教科の時間を充実することが適当である。

2  今後の教育課程の枠組みについて

 以上のような、これまでの審議の成果を踏まえると、今後の教育課程の基本的な枠組みについては、次のような方向で検討してはどうか。

(1) 必修教科と選択教科等とのバランス

 現行の中学校学習指導要領では、
生徒の選択能力の育成や個性の伸長を目指し、選択教科の授業時数を増加
自ら学び自ら考える力の育成の核となる総合的な学習の時間を創設
その一方で、
必修教科の教育内容・授業時数については削減した。

 しかし、実施後の子どもの学力や学習状況を見たとき、国語、社会、数学、理科及び外国語といった必修教科について、基礎的・基本的な知識・技能を身に付けさせ、総合的な学習の時間と相まって自ら学び自ら考える力を育成するというねらいが十分に達成できていない。このことは高校関係者からも指摘されている。

 さらに、選択教科に加え、総合的な学習の時間が導入され、教育課程が複雑化しすぎているという指摘もある。

 また、現在の選択教科の授業時数のうち全体の6割以上が国語、社会、数学、理科、外国語といった教科に充てられており、その中でも補充的な学習に取り組まれている割合が高いことも踏まえつつ検討する必要がある。

 現在、中学校の選択教科は、平均すると3学年合計で225単位時間実施されているが、そのうち国語、社会、数学、理科、外国語に充てられているのは64パーセント、144単位時間。

 こうした観点から、選択教科の授業時数を縮減し、必修教科の教育内容や授業時数を増加することで、カリキュラムの共通性を高める必要がある。

(2) 各教科等の授業時数

 各教科等の教育内容の在り方については、各教科等の専門部会で検討が行われているが、それぞれの検討状況を踏まえ、授業時数については次のように考える。

 中学校段階で求められる国語力の育成については、小学校段階でしっかりと国語に関する基礎的な知識や技能を身に付けさせることを前提に、中学校入学段階から国語力の確実な定着を図るため、国語について特に第1、2学年における指導を充実する必要がある。既に、現在、授業時数の上では、第1学年を重視しているが、これに加え、第2学年を中心に授業時数を増加するとともに、言語力育成協力者会議の提言を踏まえ、各教科等において、発達の段階を踏まえつつ、それぞれの特質に応じた様々な言語活動にしっかりと取り組むことで育成を図ることが必要である。

 社会科については、近現代を中心とした歴史に関する学習、法に関する学習や宗教などについての指導の充実のため、第3学年を中心に授業時数を増加する必要がある。

 数学については、中学校第1学年でつまずき、嫌いになってしまう生徒が多いため、小学校と中学校の学習の円滑な接続を図る観点から、第1学年を中心に時間をかけて指導することができるようにするとともに、中学校と高等学校の学習の円滑な接続を図る観点から、義務教育の最終学年となる第3学年を中心に授業時数を増加する必要がある。

 理科については、学年が進むにつれて学習が深化していくため、観察・実験の時間を十分確保し理科のおもしろさに触れさせるため、第2、3学年を中心に授業時数を増加する必要がある。

 外国語については、文法指導や習得すべき語彙数の充実等を図るとともに、中学校修了段階で簡単な外国語でコミュニケーションができるように、中学校3年間を通して、教育内容や授業時数を充実することが必要である。

 また、子どもたちの体力が低下する中で、中学校段階は生徒の体の発達も著しい時期であるため、保健体育については、中学校3年間を通して、授業時数を増加する必要がある。

 これらの教科の具体的な教育内容については、引き続き各教科の専門部会で検討を深める必要があるが、基礎的な知識・技能の定着を図るとともに、実験・観察、レポートの作成、論述といった知識・技能を活用するための学習活動を充実させる観点から、これらの教科全体を通じ概ね200単位時間(これらの教科の現在の必修教科と選択教科の合計の約1割)を目途に増加させる必要がある。

 上記以外の教科等については、これまでの成果を踏まえ、授業時数を現行どおり確保した上で教育内容の改善を図る。特に、道徳教育の充実については、豊かな心をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会の審議を踏まえ、更に検討する必要がある。

(3) 総合的な学習の時間

 総合的な学習の時間については、体験的な学習に取り組むことや各教科等で身に付けた知識・技能を総合化し、課題解決能力を育成することは今後とも重要であるため、一定の授業時数を確保することが適当である。
 一方、教職員の中には知識・技能の確実な定着のために教科の授業時数の充実を求める声が強いことや、これまで総合的な学習の時間で行われることが期待されていた教科の知識を活用して考える力を育成する指導は各教科の中で充実する検討がなされていることなどから、総合的な学習の時間の授業時数については各学年において35単位時間(週1コマ相当)程度縮減することが必要である。

 なお、現行の中学校学習指導要領が目指した、生徒の選択能力の育成や個性の伸長、自ら学び自ら考える力を培うことなどが重要であることに変わりはない。ただし、これらは、すべてを学校教育で担うのではなく、地域の教育力との連携・協力を重視してこそ高い教育効果を期待することができる。

 そのため、例えば、土曜日や長期休業期間などを活用して、地域の教育力を生かしつつ総合的な学習の時間を展開することが考えられるのではないか。その場合、どのような条件が必要か。特に、学校週5日制の下での土曜日の活用についての留意点は何かを検討する必要がある。

 合わせて、地域の自治体や企業、NPOなどが、様々な体験活動や芸術・文化・スポーツ活動、教科の補充・発展的学習の機会などを提供し、生徒の選択能力の育成や個性の伸長を図ることも考えられ、将来的には、そのための仕組みの構築などについて検討することが必要である。

(4) 総授業時数

 以上の授業時数を増加する教科の増加時数や総合的な学習の時間及び選択教科の縮減時数などを踏まえれば、中学校の各学年の総授業時数は、年35単位時間(週1コマ相当)程度増加させる必要がある。

 現在、公立中学校(第2学年)では、約9割の学校において標準授業時数を上回って教育課程を編成。このうち、年35単位時間(週1コマ相当)程度上回っている学校は5割程度。
 始業前などに全校一斉のドリル学習や読書活動に取り組んでいる学校は、8割程度。

 なお、こうした授業時数の増加は、主として子どもたちがつまずきやすい内容等について確実な習得を図るための学年間での反復学習などの繰り返し学習や、実験・観察、レポートの作成や論述などの知識・技能を活用する学習活動を充実させることを目的とするものであることから、学習習慣や生活習慣の確立に向けた指導と相まって、学校への不適応を減らし、子どもたちの自立に資するものとするとの観点も重要である。

(5) その他

 現在年間35週以上にわたって教育課程を編成することになっているが、各教科の標準授業時数は必ずしも35の倍数ではなく、各学校の創意工夫による弾力的な教育課程の編成を促している。しかし、生徒の学習や生活リズムの形成の観点からは、週単位で固定した時間割で教育課程を編成し学習するほうがより効果的であるとも考えられる。このため、授業時数を見直す際には、上記の教科の標準授業時数は極力35の倍数にすることが望ましい。

 「生きる力」をはぐくむという理念を実現するに当たっては、きめの細かい教科指導、実験・観察、レポートの作成や論述といった学習活動、体験活動などの充実に学校全体で取り組むことが求められる。そのためには、教師が子どもたちと向き合う時間を確保する必要があり、教職員定数の改善や外部人材の活用、事務負担の軽減などが求められる。また、教員の資質向上も重要である。

 生徒の自発的・自主的な活動として行われている部活動について、学校教育活動の一環としてこれまで中学校教育において果たしてきた意義や役割を踏まえ、教育課程に関連する事項として、学習指導要領に記述することが必要である。

(6) 教育委員会や学校の裁量

 国として示す標準授業時数を増加するにあたって、増加した授業時数をどのように確保するかについては、教育委員会や各学校の裁量でそれぞれの学校や生徒の実態等を踏まえ、多様な取り組みにより増加させることが考えられる。

 例えば、
 週当たりの授業時数の増加のほか、
 教科教育の一環として朝の10分間を活用した読書活動、ドリル学習などの実施、
 1単位時間を変更したモジュール学習の活用、
 長期休業日の短縮、
 2学期制の実施
などの方法が考えられる。また、同様の取り組みにより、各学校の裁量で標準授業時数を上回る授業を実施することも可能であることを明示することも考えられる。

 このように授業時数の増加を図る場合、次のような留意点を踏まえて検討する必要がある。
 部活動等の放課後の学校教育活動の重要性
 各教科等の授業週数を35週以上としている規定の在り方
 学校週5日制の下での土曜日の活用についての留意点
 朝の10分間を活用した読書活動やドリル学習の授業としての質の確保


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