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資料6−1

特別支援教育の現状と課題、改善の方向性(検討素案)(教育課程部会等の審議を踏まえて再整理したもの)

1. 現状
   障害のある幼児児童生徒については、一人一人の能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するための基盤となる生きる力を培うため、一人一人の教育的ニーズに応じて、適切な指導及び必要な支援を行うことが重要である。
 このため、特別支援学校の教育課程は、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校に準ずる各教科(知的障害者を教育する場合は独自の教科)等のほか、障害に基づく種々の困難の改善・克服を目的とした領域である「自立活動」で編成されている。さらに、障害の状態等に応じた教育を行うため、種々の教育課程の特例が設けられている。
 小・中学校の特別支援学級の教育課程は、小・中学校の学習指導要領によることとなるが、特に必要がある場合には、特別の教育課程を編成することができる。その場合、特別支援学校の学習指導要領を参考として、実情に合った教育課程を編成することとしている。
 また、通級による指導は、障害の状態に応じた特別の指導(自立活動の指導等)を特別の指導の場(通級指導教室)で行うもので、通常の学級の教育課程に加え、又はその一部に替えた教育課程を編成することができる。その場合、特別支援学校の学習指導要領を参考として編成することとしている。
 幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の通常の学級に在籍する障害のある幼児児童生徒については、その実態に応じ、指導内容や指導方法を工夫することとされている。
 幼児児童生徒の障害の重複化に対応した適切な教育を行うため、平成19年度から、従前の盲・聾・養護学校は、複数の障害種別を教育の対象とすることのできる「特別支援学校」に転換された。

2. 課題
   特別支援学校の小・中学部では、平成18年度において、42.8パーセント(肢体不自由者を教育する特別支援学校では75.4パーセント)の児童生徒が重複障害学級に在籍するなど、障害の重度・重複化、多様化が進んでいる。複数の障害を教育の対象とすることができる「特別支援学校」の制度を生かし、一人一人に応じたきめ細かな指導が一層求められている。
 地域における特別支援教育を推進する上で、「特別支援学校」がその専門性を生かしながら、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の要請に応じて支援などを行う特別支援教育のセンター的機能を果たすことが求められている。
 特別支援学校卒業者の企業等への就職は依然として厳しい状況にあり、障害者の自立と社会参加を促進するため、企業や労働関係機関等との連携を図った職業教育や進路指導の一層の改善が求められている。
 特別支援学校では、福祉、医療、保健、労働等の関係機関との連携を図り、障害のある幼児児童生徒一人一人のニーズに対応して適切な支援を行う計画(個別の教育支援計画)を策定することとされており、その効果的な活用が課題となっている。
 小・中学校の通常の学級において、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)等の児童生徒が約6パーセント程度の割合で存在する可能性が示されている。これらの児童生徒も含め、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等における障害のある幼児児童生徒に対し、適切な指導及び必要な支援を行うことが求められている。
 障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習について、今後一層の促進を図るとともに、その効果的な実施が求められている。

3. 改善の方向性
   特別支援教育については、1社会の変化や幼児児童生徒の障害の重度・重複化、多様化、2複数の障害種別に対応した教育を行うことのできる特別支援学校制度の創設、3幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等における特別支援教育の制度化などに対応し、障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応した適切な教育や必要な支援を行う観点から、教育課程の基準の改善を図る。

4. 改善例
  1  特別支援学校における教育課程の改善
(1) 教育目標について
 学校教育法における特別支援学校の目的の改正を踏まえ、特別支援学校の学習指導要領等の目標を見直す。

(2) 自立活動について
 自立活動の内容は、5区分(健康の保持、心理的な安定、環境の把握、身体の動き、コミュニケーション)の下に22項目が示されているが、社会の変化や幼児児童生徒の障害の重度・重複化、自閉症、LD、ADHD等も含む多様な障害に応じた適切な指導を一層充実させるため、他者とのかかわり、他者の意図や感情の理解、自己理解と行動の調整、集団への参加、感覚や認知の特性への対応などに関することを内容の項目に盛り込む。
 現行の5区分に加え、新たな区分として「人間関係の形成(仮称)」を設け、それぞれの区分と項目の関連を整理する。
 自立活動の指導に当たっては、実践を踏まえた評価を行い、指導の改善に生かすことを明確にするとともに、指導計画の作成の手順がより理解されやすい示し方とする。
 幼児児童生徒の主体的な活動を一層進めるとともに、幼児児童生徒が活動しやすいよう、自ら環境を整えたり、必要に応じて周囲の人の支援を求めたりするような指導についても配慮することを明確にする。

(3) 重複障害者等の指導について
 二つ以上の障害を併せ有する者(重複障害者)等については、一人一人の実態に応じ、より弾力的な教育課程を編成することができるようにする。
 学校全体の組織的な対応の下で、複数の教員等の協力により適切な指導を行うことはもとより、必要に応じて、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理学の専門家等の助言や知見などを指導に生かすことを明確にする。
 家庭や病院等に教員を派遣して教育を行う訪問教育については、個々の実態に応じて、指導内容・方法等の工夫・改善を図ることを明確にする。

(4) 知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科について
 各教科の内容等について、社会の変化や児童生徒の実態を踏まえた見直しを行うとともに、より分かりやすい表記とする。
 高等部において、生徒の実態や卒業後の就労の状況等を踏まえた職業教育を一層進める観点から、福祉に関する基礎的・基本的な内容で構成する新たな専門教科として「福祉」を新設する。
 指導に当たっては、児童生徒が習得した知識・技術等を、実際の生活の中で活用できるよう工夫する旨をより明確にする。

(5) 職業に関する教科等について
 高等部の専門教科については、社会の変化や時代の進展、近年の障害者の就業状況などを踏まえ、必要な見直しを行う。
 職業に関する教科については、現場実習等の体験的な学習を一層重視すること、地域や産業界との連携を図り、企業関係者など外部の専門家を積極的に活用することを明確にする。
 進路指導に当たっては、関係機関との連携を図りながら、生徒が自分に合った進路を主体的に選択できるよう、早い段階からの進路指導を充実する。

(6) 指導方法等の改善について
 情報機器の活用などによる効果的・効率的な教科指導や、個別の指導計画に基づき、授業形態や集団の構成などを工夫した一層の効果的な指導の必要性を明確にする。
 幼稚部の留意事項や小・中・高等部の各教科の配慮事項について、障害の特性や幼児児童生徒を取り巻く社会の状況の変化等を踏まえた見直しを行う。

(7) 個別の指導計画について
 現在、自立活動及び重複障害者の指導に当たっては、個別の指導計画を作成することとされているが、個々の幼児児童生徒の多様な実態に応じた適切な指導を一層進めるため、各教科等における配慮事項なども含めた個別の指導計画を作成することを明確にする。
 個別の指導計画については、実践を踏まえた評価を行い、指導の改善に生かすことを明確にする。

(8) 個別の教育支援計画について
 現在、家庭、児童福祉施設、医療機関等との連携を密にし、指導の効果を上げるよう努めることとされており、これを更に進め、家庭や、福祉、医療、保健、労働関係機関等との緊密な連携を図り、一人一人のニーズに応じた適切な支援を行うための個別の教育支援計画の策定やその活用を図ることを明確にする。
 個別の教育支援計画の策定に当たっては、家庭との連携を図った取組を一層進めることを明確にする。

(9) 特別支援教育のセンター的機能について
 現在、教育相談に係る地域の特別支援教育のセンターとしての役割を果たすよう努めることとされており、これを更に進め、地域の特別支援教育のセンターとしての役割を果たすよう次のような改善を図る。
 幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の要請により、障害のある幼児児童生徒又はその教員に対し必要な助言、援助を行うことを明確にする。
 地域における特別支援教育のセンターとしての役割を果たすよう努めること。その際、障害のある幼児等の保護者に対する早期からの相談など、関係機関とも連携しつつ、早期支援にも努めることを明確にする。
 組織的に取り組むための校内体制を整備することを明確にする。
 他の特別支援学校や幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等との連携を図ることを明確にする。

(10) ICFの視点について
 ICF(国際生活機能分類)の考え方を踏まえ、自立と社会参加を目指した指導の一層の充実を図る観点から、幼児児童生徒の的確な実態把握、関係機関との効果的な連携、環境への配慮などを盛り込む。

2  幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等における特別支援教育に係る教育課程の改善
(1) 小・中学校の特別支援学級及び通級による指導について
 小・中学校の特別支援学級や通級による指導は、小・中学校における教育の一形態であることを、すべての教職員が十分認識し、その指導が学校全体で行われるようにするため、次のような改善を図る。
 特別支援学級、通級による指導に係る特別の教育課程の編成に当たっては、特別支援学校学習指導要領に定める事項を取り入れた教育課程を編成することができることを明確にする。
 学校内の支援体制を整備するとともに、学校全体で取り組むこととする。
 個々の児童生徒の実態を的確に把握し、それに応じたきめ細かな指導を行うため、個別の指導計画の作成に努めること。
 一人一人に応じた適切な支援を行うためには、家庭や関係機関などとの連携が重要であることから、必要に応じて、個別の教育支援計画の策定やその活用を図ること。

(2) 幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の通常の学級における指導の充実について
 小・中学校の通常の学級において、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)等の児童生徒が約6パーセント程度の割合で存在する可能性が示されており、これらの児童生徒の障害特性などを十分に理解し、各教科等において適切な指導を行う必要がある。そこで、幼稚園、高等学校等も含め、障害のある幼児児童生徒に対する理解と適切な指導を充実するため、次のような改善を図る。
 通常の学級に在籍する障害のある幼児児童生徒に対し、必要に応じて、個別の指導計画の作成や個別の教育支援計画の策定を行うこと、特別支援学校や特別支援学級における指導方法を参考とした指導を行うようにすることなど、個々の障害に応じて必要な配慮が適切に行われるようにすることを明確にする。
 早期からの適切な指導を実施することは、その後の教育を進めていく上で大きな効果が期待できることから、幼稚園段階における障害の状態に応じた指導の充実方策について、更に検討する。
 後期中等教育段階において、障害のある生徒に対する適切な教育や必要な支援を行うことは重要な課題であることから、高等学校における障害の状態に応じた指導の充実方策について、更に検討する。

(3) センター的機能の活用について
 特別支援学校が、地域の特別支援教育のセンターとしての機能を生かし、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の要請に応じて支援などを行うことは、幼児児童生徒のニーズに応じた教育を進めていく上で、大きな効果が期待される。そのため、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等においても、特別支援学校のセンター的機能を活用し、障害のある幼児児童生徒への適切な指導及び必要な支援を行うための校内支援体制の整備に努める。

3  交流及び共同学習について
 障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習については、双方の幼児児童生徒の教育的ニーズに対応した内容・方法を十分検討し、早期から組織的、計画的、継続的に実施するよう努める。
 障害のない幼児児童生徒が、障害のある幼児児童生徒についての理解と認識を深めることが重要であることから、理解・認識を深めるための指導を充実する。

4  教員の専門性の向上について
 特別支援教育担当教員の専門性の向上を図るため、特別支援学校教諭免許状の取得の促進、国や都道府県等における研修や校内研修の充実などの施策を一層推進する。
 すべての教員の特別支援教育に対する理解と一定程度の専門性を定着させるため、教員養成段階における特別支援教育に関する内容の充実を図ることなどの施策を推進する。


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