ここからサイトの主なメニューです
資料5−1

家庭科、技術・家庭科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)(教育課程部会等の審議を踏まえて再整理をしたもの)

1. 現状
   家庭科、技術・家庭科は、衣食住やものづくりなどに関する実践的・体験的な活動を通して、生活と技術とのかかわりについて理解を深め、生活に必要な知識と技術の習得や生活を工夫し創造する能力を育てるとともに、よりよい生活を築いていく意欲と実践的な態度を育てることをねらいとしている。
 このねらいを実現するため、
 小学校家庭科では「家庭生活と家族」、「食事への関心」などの日常生活に身近な活動を重視した8つの内容について学習を行っている。
 中学校技術・家庭科技術分野では、「A技術とものづくり」の設計、材料、加工に関する内容及び「B情報とコンピュータ」のコンピュータの基本構成、情報通信ネットワークなどに関する内容については、すべての生徒が履修している。これに加えて、エネルギー変換の利用、作物の栽培、マルチメディアの活用、プログラムと計測・制御に関する内容については、興味・関心等に応じて4項目の中から1又は2項目を選択して履修し、製作や実習を重視した学習を行っている。
 中学校技術・家庭科家庭分野では「A生活の自立と衣食住」の中学生の栄養と調理、衣服の選択と手入れなどに関する内容及び「B家族と家庭生活」の幼児の発達と家族、家庭生活と消費などに関する内容については、すべての生徒が履修している。これに加えて、食生活の課題と調理の応用、簡単な衣服の製作、幼児の生活と幼児との触れ合い、家庭生活と地域とのかかわりなどに関する内容については、興味・関心等に応じて4項目の中から1又は2項目を選択して履修し、製作や実習を重視した学習を行っている。
 高等学校家庭科では「家庭基礎」、「家庭総合」、「生活技術」の3科目から1科目を選択履修し、生徒の興味・関心等に応じた学習を行っている。

2. 課題
   家庭科、技術・家庭科家庭分野の学習については、家族、保育や衣食住の学習は大切であり、生活や社会で役に立つという意識をもつ児童生徒が多い。一方、例えば食事や栄養に関することなどについて、学習した知識や技術などが実生活で十分生かされていない状況にあるとの報告がある。
 このため、子どもたちが、自己と家庭、家庭と社会とのつながりに目を向けるとともに、生涯の見通しをもって、よりよい生活を追求できる実践力を身に付けることが必要であるとの指摘がある。
 少子高齢化の進展や家庭の機能が十分に果たされていないといった状況から、家庭の在り方や家族の人間関係や子育てについて学習し、生活における自立とともに、他の人と連携し共に生きるための知識と技術の習得が必要であるとの指摘がある。
 食生活の乱れや消費者トラブルの増加などから、食育や消費者教育の充実が課題との指摘もある。
 持続可能な社会の構築の観点から、資源や環境に配慮した生活の工夫が課題との指摘もある。
 技術・家庭科技術分野の学習については、ものづくりに関する経験や身の回りの技術的な製品の仕組みを知るといった経験が少なくなっており、日本のものづくりを支える能力、技術を安全に活用できる力の育成を目指すべきであるとの指摘がある。
 持続可能な社会の構築の観点から、社会で活用される様々な技術を評価・管理できる力の育成を目指した教育が必要との指摘もある。
 技術に関する学習が生活や産業の発展や、情報社会への対応に有用であるという意識をもつ生徒も多いが、選択して指導する「エネルギーの変換と利用」や「作物の栽培」に関する技術については意識が低い傾向があるため、対応が必要との指摘がある。
 情報通信ネットワーク社会が形成される中、基本的な操作や最低限の情報モラル等は小学校から指導すべきとの指摘がある。一方、技術分野の「B情報とコンピュータ」において選択して履修する項目があるため、卒業時の生徒の能力に差が見られ、これが高等学校の情報に関する教科における指導上の課題となっているとの指摘もある。

3. 改善の方向性
   将来の社会を担う子どもたちには、社会や家庭生活を客観的な視点から理解し、生涯を見通し、よりよい生活の創造に向け主体的に取り組む力が求められている。
 そこで、小学校の家庭科、中学校の技術・家庭科及び高等学校の家庭科については、衣食住やものづくりなどに関する実践的・体験的な学習活動を通して、家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業等についての基礎的な理解と技能を養うとともに、それらを活用して課題を解決するために工夫し創造できる能力と実践的な態度の育成をより一層重視する観点から、内容の改善を図る。
a  小学校の家庭科、中学校の技術・家庭科家庭分野及び高等学校の家庭科については、自己と家庭、家庭と社会とのつながりを重視し、生涯の見通しをもって、よりよい生活を送るための能力と実践的な態度を育成する視点から、学校段階に応じた体系的な目標や内容に改善を図る。
b  中学校の技術・家庭科技術分野については、日本の産業の特徴であるものづくりを支える能力などを一層高めるとともに、ものづくりを通して、技術と社会・環境などとのかかわりについて理解を深め、よりよい社会を築くために、技術を適切に評価し活用できる能力と実践的な態度の育成を重視し、目標や内容の改善を図る。
 社会の変化に対応して、次のような改善を図る。
a  少子高齢化の進展や家庭の機能が十分に果たされていないといった状況に対応し、家庭の在り方や家族の人間関係などの家族と家庭に関する教育と子育て理解のための体験や高齢者との交流を重視する。
b  健全な食生活のための食育の推進を図るため、学習した知識や技術を活用して健全な食生活を実現しようとする能力や態度をはぐくむ視点から、食事の役割や栄養・調理に関する内容を一層充実する。
c  持続可能な社会の構築や消費者トラブルの増加に対応し、社会において主体的に生きる消費者をはぐくむ視点から、消費の在り方及び資源や環境に配慮したライフスタイルの確立を目指す指導を充実する。
d  科学技術の発展や情報化の進展、持続可能な社会の構築、勤労観・職業観の育成への対応が求められる中で、技術と社会・環境とのかかわり、エネルギーや情報、生物に関する技術などの内容の改善・充実を図る。
e  情報通信ネットワークや製品の安全性に関するトラブルの増加といった課題に対応し、安全かつ適切に技術を活用する能力の育成を目指す指導を充実する。
 学習と実生活との関連を図ることが求められており、体験から、知識と技術を獲得し、基本的な概念などの理解を深め、実際に活用する能力と態度を育成するために実践的・体験的な学習活動をより一層重視する。
 また、それらの知識と技術などを活用して、関連する学習や実際の生活において課題を発見し解決できる能力を育成するために、自ら課題を見いだし解決を図る問題解決的な学習をより一層充実する。
 家庭・地域社会との連携という視点を踏まえつつ、学校における学習と家庭や社会における実践との結び付きに留意して内容の改善を図る。

4. 改善例
  【小学校】
 小学校家庭科においては、生活を工夫する楽しさやものをつくる喜び、家族の一員としての自覚をもった生活を実感するなど、実践的・体験的な学習活動を通して、自分の成長を理解し家庭生活を大切にする心情をはぐくむとともに、生活を支える基礎的・基本的な能力と実践的な態度を育成することを重視し、次のような改善を図る。
(ア)  小学校と中学校の内容の体系化を図り、生涯の家庭生活の基盤となる能力と実践的な態度を育成する視点から、現行の8つの内容を整理し、1自分の成長や家族とのかかわり、家庭の仕事などの家庭生活と家族に関する内容、2食事のとり方や調理の基礎などに関する内容、3衣服の着用と住まい方、布を用いた製作の基礎などに関する内容、4金銭の使い方や物の活用など身近な生活と消費・環境に関する内容等の観点から再構成する。
(イ)  社会の変化に対応し、小学校では次のような改善を図る。
a  家族と家庭に関する教育を重視する視点から、衣食住や家族の生活に関する学習を通して、家族の一員として成長する自分を自覚し家庭生活を大切にする心情をはぐくむことを目指した学習活動を一層充実する。
b  生活や学習の基盤となる食育を推進する視点から、食事の役割や栄養を考えた食事のとり方、調理などの学習活動を一層重視する。
 なお、中学校での取扱いとなっていた五大栄養素については、体内での主な3つの働きとのかかわりを中心に、その基礎的事項を小学校において指導することとする。
c  社会において主体的に生きる消費者としての教育を重視する視点から、身の回りの生活における金銭の使い方や物の選び方、環境に配慮した物の活用などの学習については、他の内容との関連を明確にし、実践的な学習活動を一層充実する。
(ウ)  家庭生活を総合的にとらえることができるようにする視点から、家族の生活と関連させながら衣食住などの内容を取り扱うことを一層重視する。
 また、各内容の指導については、実践的・体験的な学習活動を中心として、基礎的な知識と技能を身に付け、生活を工夫する楽しさやものをつくる喜びを体得するとともに、児童が自分の生活に結び付けて学習できるよう問題解決的な学習を重視する。
 なお、小学校第4学年までの学習を踏まえ、2学年間の学習の見通しをもつことができるようにガイダンス的な内容を設定するとともに、他教科等との関連を明確にする。

【中学校】
 中学校技術・家庭科においては、これからの生活を見通し、よりよい生活を創造するとともに、社会の変化に主体的に対応する観点から、次のような改善を図る。
(技術分野)
(ア)  ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して、材料、加工、エネルギー、生物、情報に関する基礎的な知識と技術を習得させるとともに、技術と社会・環境とのかかわりについて理解を深め、よりよい社会を築くために技術を適切に評価・活用する能力と態度の育成を重視する。
(イ)  科学が発達し様々な技術が活用される社会に対応する視点から、現代社会において活用されている多様な技術を1材料や加工、設計などに関する技術、2電気エネルギーの変換と効率や動力伝達などに関する技術、3作物の栽培など生物資源に関する技術、4ネットワークやマルチメディア、プログラミングによる計測・制御、情報モラルなどに関する技術等の観点から整理し、すべての生徒に履修させる。
 なお、課題を解決するためのものづくりなどを通して、基礎的・基本的な知識と技術を習得させるとともに、これらを活用する能力や社会において実践しようとする態度をはぐくむ視点から、各内容は「それぞれの技術に関する基礎的な知識、重要な概念等」、「それぞれの技術を活用した製作・制作・育成」、「それぞれの技術と社会・環境とのかかわり」に関する項目で構成する。
(ウ)  ものづくりを支える能力などの育成を重視する視点から、創造・工夫する力や、活動の中で生じる問題を解決できる力、緻密さへのこだわり、協力・分担して製作することなどを通した協調性・責任感など他者とかかわる力及び他者の知的財産を尊重する態度の育成、ものづくりに関係した職業の理解、勤労の観念の定着などを目指した学習活動を一層充実する。
(エ)  技術を評価・活用できる能力などの育成を重視する視点から、技術を理論的に考える学習だけではなく、ものをつくる過程を通して、地球温暖化防止のためのエネルギー資源や森林資源の有効利用など、身のまわりの技術を適切に判断できる能力の育成、安全・リスク等の問題も含めた技術と社会・環境との関係の理解、技術にかかわる倫理観の育成などを目指した学習活動を一層充実する。
(オ)  技術に関する教育を体系的に行う視点から、小学校における学習を踏まえ、中学校における学習の見通しを立てさせるガイダンス的な内容を設定するとともに、他教科等との関連を明確にする。
 また、小学校や中学校の他教科等における情報教育及び高等学校における情報関係の科目との接続に配慮し、従来の内容「B情報とコンピュータ」の内容を再構成する。

(家庭分野)
(ア)  衣食住などに関する実践的・体験的な学習活動を通して、中学生としての自己の生活の自立を図り、子育てや心の安らぎなどの家庭の機能を理解するとともに、これからの生活を展望し、課題をもって主体的によりよい生活を工夫できる能力と態度の育成を重視する。
(イ)  小学校と中学校の内容の体系化を図り、中学生としての自己の生活の自立を図る視点から、現行の内容構成を見直し、1家庭の基本的な機能や幼児の生活と家族などに関する内容、2中学生の栄養と献立、日常食の調理などに関する内容、3衣服の選択と手入れ、住居の安全、衣生活と住生活の工夫などに関する内容、4消費者としての自覚や環境に配慮した生活の工夫などに関する内容等の観点から再構成し、すべての生徒に履修させる。
 その際、学習した知識と技術などを活用し、これからの生活を展望する能力と実践的態度をはぐくむ視点から、家族・家庭や衣食住などの内容に生活の課題と実践に関する指導事項を設定し、複数の事項の中から選択して履修させるようにする。
(ウ)  社会の変化に対応し、次のような改善を図る。
a  家族と家庭に関する教育を重視する視点から、家庭の基本的な機能などを理解し、これからの生活を展望する学習活動を一層充実する。
b  幼児理解のための体験を重視する視点から、幼児の生活についての理解を深め、子どもが育つ環境としての家族と家庭の役割に気付く幼児触れ合い体験などの学習活動を一層充実する。
c  健全な食生活のための食育を推進する視点から、食生活の自立を目指し、中学生の栄養と献立、調理や食文化などに関する学習活動を一層充実する。
d  社会において主体的に生きる消費者としての教育を重視する視点から、消費者としての自覚や環境や資源に配慮した生活の工夫などに関する学習については、他の内容との関連を明確にし、中学生の消費生活の変化を踏まえた実践的な学習活動を一層充実する。
(エ)  各内容においては、これからの生活を展望し課題をもって主体的によりよい生活を工夫できる能力や態度の育成を重視する視点から、仕事の楽しさや完成の喜びを体得するとともに、子どもが育つ環境としての家族と家庭の役割の重要性を理解し、人とよりよくかかわろうとする能力や態度などの育成を目指した実践的・体験的な学習活動を一層充実する。
 また、生活を工夫し創造する能力や自分の生活の課題を解決しようとする意欲などの育成を目指した問題解決的な学習を一層重視する。
 なお、家庭に関する教育を体系的に行う視点から、小学校の学習を踏まえ、中学校における学習の見通しを立てさせるガイダンス的な内容を設定するとともに、他教科等との関連を明確にする。

【高等学校】
 高等学校においては、人間の発達と生涯を見通した生活の営みを総合的にとらえ、家族・家庭の意義、家族・家庭と社会とのかかわりについて理解させるとともに、生活に必要な知識と技術を習得させ、家庭や地域の生活を創造する能力と主体的に実践する態度を育てることを重視し、次のような改善を図る。
(ア)  家庭を築くことの重要性、食育の推進、少子高齢社会における保育体験を通した子育て理解、高齢者への肯定的な理解や支援する行動力の育成など、社会から求められている課題についての内容を重視する。
(イ)  高校生の発達課題と生涯生活設計、キャリアプランニングなどの学習を通して、次世代を担うことや、生涯を見通す時間軸の視点を明確にするとともに、生涯賃金や働き方、年金などとの関係についての指導を加えるなど、生活を総合的にマネジメントするための内容を充実させる。
(ウ)  生涯生活設計における生活経済や多重債務等の深刻な消費者問題、衣食住生活と環境とのかかわりなどについて、科学的に理解させるとともに、社会の一員として生活を創造する意思決定能力を習得させることを明確にする。
(エ)  子どもの発達や高齢期の特徴など、人間の発達課題や人とのかかわり方、進展する少子高齢社会への対応、日本の生活文化への理解が深められるよう現行の内容を再構成する。
(オ)  家庭科の学習と実際の生活を結び付け、生活の根底にある基本的な原理・原則について科学的に理解し、実践を通して学習したことを身に付けようとする課題解決学習としてのホームプロジェクトや家庭科で学習したことをさらに探究し、学校生活や地域社会の生活の充実向上を目指す学校家庭クラブ活動については、一層充実させる。
(カ)  必履修科目として、現行の「家庭基礎」(2単位)、「家庭総合」(4単位)、「生活技術」(4単位)の内容を改善し、科目の性格を明確にした上で、生徒の多様な能力・適性、興味・関心等に応じて、以下の3科目を設定し、いずれか1科目を選択履修させることとする。

「家庭基礎(仮称)」(2単位)
 青年期の課題である自立と共生の能力をはぐくみ、生活設計の学習を通して、衣食住の科学的な理解を深め、家庭や地域の生活を主体的に創造する能力や態度を育てる。内容は、人の一生やライフステージごとの課題と関連させた基礎的・基本的な事項から構成する。

「家庭総合(仮称)」(4単位)
 生命の誕生から死までの生涯を見通し、親の役割や子育て支援、人間の尊厳や高齢者の肯定的理解、介護、衣食住生活と生活文化や消費生活と資源・環境などについて総合的に扱い、実験・実習を通して科学的に理解を深めるとともに、主体的に家庭や地域の生活をマネジメントする力を育てる。内容は、青年期の自立と生活、生活の科学と環境、家族・家庭と社会、異世代とのかかわり、人の一生と生活設計などから構成する。

「生活技術(仮称)」(4単位)
 生活と文化とのかかわりを考え、生活の技術的、文化的な意味や価値への理解を深めるとともに、実験・実習を通して生活を営む実践的な力や生活を創造する力を育てる。内容は、食育を推進する上で食生活の文化と創造についての実践力を高めることを重視し、衣生活や住生活などの一部の項目については選択して履修できるように構成する。


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ