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資料3−1

国語科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)(教育課程部会等の審議を踏まえて再整理をしたもの)

1. 現状
   国語科は、国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし、国語を尊重する態度を育てることをねらいとしている。
 このねらいを実現するため、「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の各領域と〔言語事項〕から内容を構成し、児童生徒の発達段階を踏まえた具体的な言語活動を通して国語の能力を育成している。

2. 課題
   国際的な学力調査の結果から、読解力において低下傾向が見られる。具体的には、文章や資料の解釈、熟考・評価や、論述形式の設問に課題がある。
 教育課程実施状況調査においては、全体として正答率は高くなっているが、記述式の問題については低下するなどの課題が見られる。比較的自由に自分の気持ちを表現する設問は正答率が上昇しているのに対し、文章を深く読んで分析的に理解してその上で論理的に記述する設問では正答率が低下している。高等学校では、古典に親しむ態度や読む能力、文語や訓読のきまりの理解に課題がある。
 特定課題に関する調査結果から、漢字の習得については、実生活や学習場面での使用頻度が高い漢字は定着しているが、使用頻度が低いものや使用範囲が狭い漢字については定着が十分でないという課題がある。
 敬語については、文化庁の世論調査において、敬語の使い方に間違いが多くなってきていると回答した者が80パーセントを超えており、子どもたちが敬語を生活の中で適切に使うことができるようにする必要がある。

3. 改善の方向性
   小学校、中学校及び高等学校を通じて、言語の教育としての立場を一層重視し、国語に対する関心を高め、国語を尊重する態度を育てるとともに、実生活で生きてはたらき、各教科等の学習の基本ともなる国語の能力を身に付けること、我が国の言語文化を享受し継承・発展させる態度を育てることに重点を置いて内容の改善を図る。
 特に、言葉を通して的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成することや、我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視する。
 そのため、現行の「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」からなる領域構成は維持しつつ、基礎的・基本的な知識・技能を活用して課題を探究することのできる国語の能力を身に付けることに資するよう、実生活の様々な場面における言語活動を具体的に内容に示す。また、現行の〔言語事項〕の内容のうち各領域の内容に関連の深いものについては、実際の言語活動において一層有機的にはたらくよう、それぞれの領域の内容に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。
 また、〔言語文化と国語の特質に関する事項〕を設け、我が国の言語文化に親しむ態度を育てたり、国語の役割や特質についての理解を深めたり、豊かな言語感覚を養ったりするための内容を示す。
 児童生徒の発達段階を踏まえた学習の系統性を重視し、学校段階・学年段階ごとに、具体的に身に付けるべき能力の育成を目指し、重点的な指導が行われるようにする。その際、小学校においては日常生活に必要な国語の能力の基礎を、中学校においては社会生活に必要な国語の能力の基礎を、高等学校においては社会人として必要な国語の能力の基礎をそれぞれ確実に育成するようにする。
 古典の指導については、我が国の言語文化を享受し継承・発展させるため、生涯にわたって古典に親しむ態度を育成する指導を重視する。
 漢字の指導については、実生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資するため、確実な習得が図れるよう、指導を充実する。
 書写の指導については、実生活や学習場面に役立つよう、内容や指導の在り方の改善を図る。
 敬語の指導については、人間関係を円滑にし、日常の言語生活を豊かにするため、相手や場に応じた言葉遣いが適切にできるようにすることを重視する。
 言葉のきまりの指導については、実際に文章を書いたり読んだりするときに役立つよう、指導の改善を図る。
 読書の指導については、読書に親しみ、ものの見方、感じ方、考え方を広げたり深めたりするため、読書活動を内容に位置付ける。
 教材については、我が国において継承されてきた言語文化に親しむことができるよう、長く読まれている古典や近代以降の作品などを、児童生徒の発達段階に応じて取り上げるようにする。

4. 改善例
  【小学校】
 日常生活に必要な基礎的な国語の能力を身に付けることができるよう、次のような改善を図る。
(ア)  「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の各領域では、日常生活に必要とされる技能としての対話、記録、報告、要約、説明、感想などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるよう、継続的に指導することとし、課題に応じて必要な文章や資料等を取り上げ、基礎的・基本的な知識・技能を活用し、相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく能力の育成を重視する。
 例えば、低学年では、見たことや知らせたいことを記録し説明や紹介をしたり、体験したことを報告したりすることができる、中学年では、調べたことや観察・実験したことを記録・整理し、説明や報告にまとめて書き、資料を提示しながら発表することができる、高学年では、目的に応じて自分の立場から解説や意見、報告を書き、理由や根拠を示しながら説明することができるとともに、自らの言語活動を振り返ることができる能力などの育成を図る。
 〔言語文化と国語の特質に関する事項〕では、物語や詩歌などを読んだり、書き換えたり、演じたりすることを通して、言語文化に親しむ態度を育成することを重視する。また、認識や思考及び伝え合いなどにおいて果たす言語の役割や、相手に合わせた言葉の使い方や方言など、言語の多様な働きについての理解を重視する。なお、発音・発声、文字、表記、語彙、文及び文章の構成、言葉遣い、書写などについては、実際の言語活動において有機的にはたらくよう、関連する領域の内容に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。
(イ)  言語文化としての古典に親しむ態度を育成する指導については、易しい古文や漢詩・漢文について音読や暗唱を重視する。
(ウ)  漢字の指導については、日常生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資するため、上の学年に配当されている漢字や学年別漢字配当表以外の常用漢字についても、必要に応じて振り仮名を用いるなど、早い段階から児童が読む機会を多く持つようにする。また、日常生活において確実に使えることを重視し、実際の文章や表記の中で繰り返し学習させるなど、児童の習得の実態に応じた指導を充実する。
(エ)  ローマ字の指導については、情報機器の活用等との関連を考慮し、より早い段階から指導する。
(オ)  書写の指導については、手紙を書いたり記録をとったりするなどの実際の日常生活や学習活動に役立つよう、内容や指導の在り方の改善を図る。
(カ)  敬語の指導については、基本的な知識を理解し、実際の場面において使い慣れるようにすることを重視する。
(キ)  言葉のきまりの指導については、実際に文章を推敲したり、表現の工夫をまとめたりするときに役立つよう、書くことや読むことと連付けた指導に改善を図る。
(ク)  読書の指導については、目標をもって読書し、日常的に読書に親しむようにすることや、図書館の利用の仕方などを内容に位置付ける。
(ケ)  教材については、我が国において継承されてきた言語文化に親しむことができるよう、長く親しまれている和歌・物語・俳諧、漢詩・漢文などの古典や、物語、詩、伝記、民話などの近代以降の作品を取り上げるようにする。

【中学校】
 小学校までに培われた国語の能力を更に伸ばし、社会生活に必要な国語の能力の基礎を身に付けることができるよう、次のような改善を図る。
(ア)  「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の各領域では、小学校で身に付けた技能に加え、社会生活に必要とされる技能としての発表、討論、解説、論説、鑑賞などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるよう、継続的に指導することとし、小学校で習得した能力の定着を図りながら、中学校段階にふさわしい文章や資料等を取り上げ、自ら課題を設定し、基礎的・基本的な知識・技能を活用し、他者と相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく能力の育成を重視する。
 例えば、社会的な事柄を含む広い範囲から課題を見つけ、自分の考えを簡潔にまとめて記述したり、多様な文章や資料の形にまとめ、分かりやすく発表したりすることができる能力などの育成を図る。
 〔言語文化と国語の特質に関する事項〕では、古典をはじめとする伝統的な文章や作品を読んだり、書き換えたり、演じたりすることを通して、言語文化を享受し継承・発展させる態度を育成することを重視する。また、他の言語と比べた国語の特質や、社会生活で使用されている敬語の特質など言語の多様な働きについての理解を重視する。なお、音声、文字、語彙、単語、文及び文章の構成、言葉遣い、書写などについては、実際の言語活動において有機的にはたらくよう、関連する領域の内容に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。
(イ)  古典の指導については、言語の歴史や、作品の時代的・文化的背景とも関連付けながら、古典に一層親しむ態度を育成することを重視する。
(ウ)  漢字の指導については、社会生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資するため、常用漢字の大体を読めるようにするとともに、学年別漢字配当表に配当された漢字を使い慣れるようにする。また、社会生活において確実に使えることを重視し、生徒の習得の実態に応じた指導を充実する。
(エ)  書写の指導については、社会生活に役立つことを引き続き重視するとともに、文字文化に親しむようにするため、内容や指導の在り方の改善を図る。
(オ)  敬語の指導については、社会生活において使用されている敬語の役割を知り、体系的な知識を得ながら、適切に使えるようにすることを引き続き重視する。
(カ)  言葉のきまりの指導については、国語の特質を理解したり、実際に文章を書いたり読んだりするときに役立つよう、指導の改善を図る。
(キ)  読書の指導については、自分の読書生活を振り返り、日常的な読書をより豊かなものにすることや、図書・資料の検索に図書館や情報機器を効果的に利用する仕方などを内容に位置付ける。
(ク)  教材については、我が国において継承されてきた言語文化に親しむことができるよう、長く読まれている古典や近代以降の代表的な作品を取り上げるようにする。

【高等学校】
 中学校までに培われた国語の能力を更に伸ばし、社会人として必要とされる国語の能力の基礎を身に付けることができるようにするとともに、生徒一人一人の能力・適性、興味・関心に応じた多様な学習が行われるよう、各科目の構成及び内容を次のように改善する。
(ア)  「国語総合」は、現行の「国語総合」の内容を改善したものとする。実社会で活用できる国語の能力を身に付けるため、話すこと・聞くこと、書くこと及び読むことの学習が総合的に行われるよう、内容を改善する。
 その際、特に、文章や資料等を的確に理解し、論理的に考え、話したり書いたりする能力を育成することや、我が国の言語文化を享受し継承・発展させる態度の育成を通して、感性や情緒をはぐくむことを重視する。
(イ)  「国語表現」は、現行の「国語表現1」及び「国語表現2」の内容を再構成したものとする。「国語総合」の学習を踏まえ、文章や資料等を的確に理解し、論理的に考え、適切に話したり書いたりする力など、実社会で活用することのできる表現の能力を確実に育成するとともに、進んで表現する意欲や現代の国語の向上を図る態度をはぐくむようにする。
(ウ)  「現代文A」は、近代以降の文章を対象とし「古典A」と対をなす科目として新設する。「国語総合」の学習を踏まえ、生涯にわたって日常的に読書に親しむ態度をはぐくむ。関連して、言語生活の在り方、言語の役割、国語の特質等についても指導し、我が国の言語文化に対する理解ができるようにする。
(エ)  「現代文B」は、現行の「現代文」の内容を改善したものとする。「国語総合」の学習を踏まえ、近代以降の様々な種類の文章や資料を教材として取り上げ、話すこと・聞くこと、書くこと及び読むことの言語活動を通して、読む能力のみならず、読んだことを基にして考え、判断・評価し、それをまとめて論理的に表現する能力を育成するとともに、文字・活字文化に対する理解が深まるようにする。
(オ)  「古典A」は、現行の「古典講読」の内容を改善したものとする。「国語総合」の学習を踏まえ、古典の原文(近代以降の文語調の文章を含む)のみならず、古典についての解説文や小説、随筆なども教材として幅広く取り上げ、古典の世界に親しむ態度をはぐくむ。関連して、言語の役割、国語の成り立ちや特質についても指導し、我が国の言語文化に対する理解ができるようにする。
(カ)  「古典B」は、現行の「古典」の内容を改善したものとする。「国語総合」の学習を踏まえ、古典の原文や、古典についての評論文などを教材として取り上げ、話すこと・聞くこと、書くこと及び読むことの言語活動を通して、系統的に古典に接することができるようにし、古典に対する関心と知識を高め、古典を読む能力を育成する。


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