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10.家庭や地域との連携・協力の推進と企業や大学等に求めるもの

 4.(1)で述べたとおり、現在の子どもたちが学習意欲や生活習慣、自分への自信や自らの将来や職業についての関心、体力などについて課題を抱えている背景・原因には、家庭や地域、社会の変化がある。

(1) 家庭や地域との連携・協力の推進

 これまで、家庭や地域の教育力の低下を前提に、学校教育がそれにどのように対応するかについて述べてきたが、本来、家庭や地域で果たすべき役割のすべてを学校が補完することはできず、仮にできたとしても、子どもの心の満足は得られないなど、家庭の教育力は学校で代替できる性質のものではないと考えられる。

 このため、特に、豊かな心や健やかな体の育成については、家庭が第一義的な責任を持つものであり、その自覚が強く求められる。「早寝早起き朝ごはん」といった取組を通して、家庭教育の充実を求めていく必要がある。

 なお、平成19年度予算において「放課後子どもプラン」事業が計上され、土曜日も含む放課後の学習や体験の場の整備が進んでいる。さらに、地域全体で学校教育を支援するため、学校と地域との連携体制の構築を図ることも重要である。また、平成19年2月の内閣府の調査では、平成12年9月に比べ、近所のお祭り、子供会・町内会等の行事、清掃・避難訓練、児童館・公民館の講座や教室といった地元の活動への子どもたちの参加率はそれぞれすべて上昇している(注1)。このような親や教師以外の地域の大人とのかかわりの充実などの取組が引き続き着実に進展することを期待したい。

(注1)  内閣府「低年齢少年の生活と意識に関する調査報告書」(平成19年2月)

 さらに、現在、学校教育は、勤労観・職業観の育成や道徳教育、環境教育、伝統文化に関する教育、体験活動の充実など多岐にわたる課題に直面している。
 このため、まず、時代の変化等により共通に指導する意義が乏しくなった内容を見直したり、教職員定数といった教育条件の有効な活用を考慮する必要があるが、それとともに、すべてを学校で抱え込むのではなく、学校の教育活動と家庭や地域、企業、NPOなどによる学校外の教育活動の役割を明確にした上で、例えば、職場体験活動の実施などを連携して行う必要がある。

 また、「放課後子どもプラン」事業により、土曜日も含む放課後の学習や体験の場の整備が進んでいるが、このような学校外の教育活動を活用することによって、学校や教師の負担を大きく増加させることなく、子どもの学習や体験活動の機会の質・量両面にわたる充実を図ることが考えられる。
 そのためには、学校や教育委員会等が子どもに学習や体験活動の機会を提供する学校外の教育活動との連携を積極的に行うことが必要である。

 なお、将来的な課題として、子どもに対する学習や体験活動の提供についての教育委員会等の責任を明確化することや、地域、企業、NPOなどによる学習や体験活動の提供といった取組を奨励する仕組みの構築などについて検討することが必要である。

(2) 企業や大学等に求めるもの

 4.(1)で指摘したとおり、非正規雇用が増大するといった雇用環境の変化は、子どもたちの学習意欲などにも大きな影響を及ぼしている。企業等にあっては、子どもたちが将来を見通して希望をもって学習に取り組むことができるよう、人材を育てることを重視した雇用環境の整備を強く求めたい。

 また、メディアは子どもたちに大きな影響を及ぼしている。メディアを通じ提供される情報の中には有害なものも含まれており、その弊害は計り知れない。企業等が、子どもたちをはぐくむという立場に立って、メディアの有害情報の除去や子どもたちに触れさせない方途の確立など子どもたちを取り巻く環境に配慮した行動をとることを強く要請したい。

 (1)で示した職場体験活動の実施には、企業等の協力が欠かせない。さらに、大人が家庭や地域で子どもたちの教育や安全の確保に十分役割を果たせるようにするためには、大人の働き方の問題がかかわっており、この点についても企業等の協力が必要である。男女共同参画社会において、子育てと職業が両立できるようにするための行政や企業等の取組や環境づくりが求められる。

 次に、大学については、子どもたちの学習だけではなく、社会の在り方にも大きな影響を与える大学入学者選抜の改善に取り組むよう強く求めたい。
 第一に、入学者選抜において、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、思考力・判断力・表現力等についてもバランスよく問い、これらの力を高校教育と大学教育が連携してはぐくむことが重要である。このことは大学教育の改善にとっても極めて重要であると考える。記述式など思考力・判断力・表現力等を問う出題の充実を求めたい。
 また、学校教育において子どもたちの社会的な自立を重視する観点から、志願者のボランティア活動などの社会参加の状況を評価するなどの取組も重要である。
 第二に、18歳人口の減少による「大学全入時代」における大学入学者選抜の現状は、高校生の学習意欲などに大きな影響を及ぼしている。中央教育審議会全体で、高等学校の教育課程、大学入学者選抜、学士課程教育を見通し、学力の水準を確保するとともに、生徒・学生が目標を持って学習に取り組むことができるような改善・工夫について検討することが必要であると考える。

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