ここからサイトの主なメニューです
資料6−1

小学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)

1  基本的な視点

 今回の学習指導要領の改訂に当たっては、教育課程が、子どもたちの成長の過程を踏まえ、それぞれの学校段階や学年に応じたものとなるよう工夫することが大切である。

 子どもたちの成長の過程における主な特徴としては、次のように捉えることができる。
(幼児期)
 幼児期は体験活動が中心の時期であり、その特徴として、手で触れたり全身で感じたりして身体ごと関わること、活動と場が密接に結び付いていること、体験と感情が切り離せないこと、体験活動から学びの芽生えをとらえることができることなどが挙げられる。

(小学校低学年)
 小学校低学年の時期は、このような幼児期的な特性を残しながらも、言葉と認識の力が広がり、ある程度、時間と空間を越えた見通しがもてるようになる。例えば、算数の時間なら、数の問題に集中できるというように、数や言葉についての発達が進み、半具体物(タイルなど)を使って抽象的に考えていくことも多少は可能になる。

(小学校中・高学年)
 小学校中学年以降になると、幼児期を離れ、物事をある程度対象化して認識することが可能となっていく。対象との間に距離をとって分析できるようになり、知的な活動も分化した追求が可能になる。自分のことも距離をもってとらえられるようになることから、自分と対象との関わりが新たな意味を持つようになる。

(中学生)
 中学生になる頃に、思春期に入り、親や周りの友だちと異なる自分独自の内面の世界があることに気づいていく。
 また、内面の世界が周りの友だちにもあることに気づき、友人との関係が自分に意味を与えてくれると感じる。さらに、未熟ながらも大人に近い心身の力をもつようになる。大人の社会とかかわる中で、大人もそれぞれ自分の世界をもちつつ、社会で責任を果たしていることへの気づきへと広がっていく。

 小学校の教育課程については、幼児教育や中学校教育との円滑な接続を図るためにも、このような子どもたちの発達の段階を踏まえた検討が必要である。

2  これまでの審議について

(1) 小学校教育の改善の方向性

 これまでの教育課程部会や小学校部会の審議においては、小学校教育の改善として以下の方向性が示されている。

発達の段階に応じた教育課程編成
  (低学年から中学年)
 体験的な理解や反復学習などの繰り返し学習といった工夫による読み・書き・計算の能力の育成を重視
(中学年から高学年にかけて以降)
 体験と理論の往復による概念や方法の獲得、討論・実験・観察による思考や理解の重視
体験活動の重視
小学校生活への適応、基本的な生活習慣の育成、教科等の学習への円滑な移行など幼児教育との円滑な接続
体力低下への対応

(2) 教育内容の改善(基礎的な知識・技能の確実な定着の重視)

 教育課程部会の審議経過報告において、具体的な教育内容の改善の方向として示されていたとおり、全ての教科の基本となる国語力の充実を図ることや、科学技術の土台である理数教育の充実を図ることは極めて重要である。また、国家・社会の成り立ちや機能、地域構成などの理解に必要な基本的事項の定着を図ることも、国家・社会の形成者としての資質の育成の観点から必要である。

 こうした内容のうち、小学校において着実な定着を図るべき基礎的な知識・技能としては、実生活との関連やその後の学習の基盤としても重要な事項を重視する。
1  国語の美しい表現やリズムを身に付けるといった観点から小学校における易しい古文や漢文の音読や暗唱を重視、漢字指導の充実(国語)
2  都道府県や世界の主な国々の位置と名称などの確実な習得(社会)
3  学年間等で反復(スパイラル)する教育課程を構成することによる計算能力などの確実な習得(算数)
4  エネルギー、粒子、生命、地球などの科学の基本的な見方や概念を柱とした教育内容の充実(理科)

 さらに、特に中学年から高学年にかけて以降は、これらの知識を活用し、探究型の学習へと発展させる観点が重要である。
(具体例)
1  日常生活に必要とされる技能としての対話、記録、要約、説明、感想などの言語活動を発達の段階に応じ体系的・継続的に指導、読書活動を充実(国語等)
2  言葉や数、式、図、表、グラフなどの相互の関連を理解し、それらを用いて説明・表現する指導の充実(算数)
3  科学的な思考力・表現力の育成を図る観点から考察・説明・探究を充実するとともに、観察・実験や自然体験、科学的な体験を一層充実(理科)

 この他、
 道徳教育の改善・充実(小学校では、善悪の判断など基本的な道徳的価値観の形成を重視、集団宿泊活動といった道徳性の育成に資する体験活動を推進)、
 1、2年次に配当されている生活科の改善(科学的な見方・考え方の基礎を養う指導の充実等)、
を行う必要がある。

 総合的な学習の時間(3年生以上)については、必要性・重要性を前提とした上で、教科や道徳、特別活動との関係を見直し、地域の文化や伝統に関する学習活動など小学校段階に応じた学習活動を例示することが必要である。

 小学校段階の英語教育については、小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーションなどの活動を通じて、言葉への自覚を促し、幅広い言語力や国際感覚の基盤を培うことができるよう共通に指導する内容を更に具体的・専門的に検討することが必要である。

3  今後の教育課程の枠組みについて

 以上のような、これまでの審議の成果を踏まえると、今後の教育課程の基本的な枠組みについては、次のような方向で検討してはどうか。

(1) 各教科等の授業時数

 各教科等の授業時数の在り方については、これまでの審議から、発達の段階に応じて、国語、社会、算数、理科といった教科について基礎的な知識・技能の確実な定着を重視し、指導するとともに、考えたり、観察・実験を行ったりする時間を確保する必要があり、国語、社会、算数、理科の授業時数を増加することが必要である。

 また、子どもたちの体力が低下する中で、運動の楽しさや基本となる体の動きを重視した体育の授業時数の増加も必要である。

 これらの教科の具体的な教育内容については、引き続き各教科の専門部会で検討を深める必要があるが、基礎的な知識・技能の定着や考えるための時間の確保の観点から、これらの教科全体を通じ概ね350単位時間(これらの教科の現在の標準授業時数の合計(3,481単位時間)の約1割)を目途に増加させる必要がある。

 特に、低学年では、学力の基礎を培う国語、算数、体づくりの基となる体育を増加する。中学年では、国語、算数、体育に加え様々な観察・実験を行うため理科を増加する。高学年では、算数、理科について確実な習得とともに活用・探究の時間の充実を図ることを重視する。社会についても中・高学年で授業時数を若干増加する。

 上記以外の教科等については、これまでの成果を踏まえ、授業時数を現行どおり確保した上で教育内容の改善を図る。特に、道徳教育の充実については、豊かな心をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会の審議を踏まえて更に検討する必要がある。

(2) 小学校段階の英語(外国語)活動

 小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーションなどの活動を通じて、言葉への自覚を促し、幅広い言語力や国際感覚の基盤を培うことを目的とする英語活動については、現在、各学校における取り組みに相当ばらつきがあるため、教育の機会均等の確保や中学校との円滑な接続等の観点から、国として各学校において共通に指導する内容を示すことが必要である。その場合、目標や内容を各学校で定める総合的な学習の時間とは趣旨・性格が異なることから、総合的な学習の時間とは別に高学年において一定の授業時数(週1コマ程度)を確保することを検討する必要がある。
 その際、国として、教員研修の充実、指導者の確保や共通教材の提供などの条件整備が必須である。

(3) 総合的な学習の時間

 総合的な学習の時間については、体験的な学習に取り組むことや各教科等で身に付けた知識・技能を総合化し、課題解決能力を育成することは今後とも重要であるため、一定の授業時数を確保することが適当である。
 一方、教職員の中には知識・技能の確実な定着のために教科の授業時数の充実を求める声が強いことや、これまで総合的な学習の時間で行われることが期待されていた教科の知識を活用して考える力を育成する指導は各教科の中で充実する検討がなされていること、英語活動を行うための時間を別途確保する必要があることなどから、総合的な学習の時間の授業時数については、各学年において35単位時間(週1コマ相当)程度縮減することが必要である。

 なお、総合的な学習の時間の教育効果を高めるために、体験活動として特定期間にまとめて実施したり、学校週5日制の下、地域と連携した活動を土曜日に行ったりという工夫も考えられる。

(4) 総授業時数

 現在の各学年の総授業時間数は、児童の発達段階等を踏まえ、第1学年は782単位時間(週23コマ相当)、第2学年は840単位時間(週24コマ相当)、第3学年は910単位時間(週26コマ相当)、第4学年から第6学年までは945単位時間(週27コマ相当)となっている。

 今回の改訂では、上記(3)のとおり、総合的な学習の時間を、中学年及び高学年で各学年35単位時間(週1コマ相当)程度縮減することにより、4年間で140単位時間(週4コマ相当)程度が縮減されることになる。
 一方、高学年において、英語活動を総合的な学習の時間とは別に週1コマ程度行うこととすると、2年間で70単位時間(週2コマ相当)程度が英語活動に充てられることになる。
 このため、国語、社会、算数、理科及び体育に関して、これらの各科目を通じて6年間で350単位時間(週10コマ相当)程度増加させるためには、6年間で280単位時間(週8コマ相当)程度増加させる必要があることになる。

 さらに、これらの各教科等の授業時間外に、児童会活動やクラブ活動が行われていることや、学校が組織的な教育力を発揮する上で必要な職員会議等の時間を確保する必要があることを踏まえる必要がある。

 このように、児童の発達段階や、授業時間外の諸活動の必要性等を踏まえつつ、6年間で280単位時間(週8コマ相当)程度増加させるとすれば、小学校の各学年の総授業時数は、低学年で年70単位時間(週2コマ相当)、中・高学年で年35単位時間(週1コマ相当)程度増加させることが適当と考えられる。

 現在、公立小学校(第5学年)では、9割以上の学校において標準授業時数を上回って教育課程を編成。このうち、年35単位時間(週1コマ相当)程度上回っている学校は6割程度。
 始業前などに全校一斉のドリル学習や読書活動に取り組んでいる学校は9割程度。

 なお、こうした授業時数の増は、子供たちがつまづきやすい内容等について確実な習得を図るための学年間での反復や、実験・観察、レポートの作成や論述などの体験的な学習を可能とするものであることから、学習習慣や生活習慣の確立に向けた指導とあいまって、学校への不適応を減らし、子供たちの自立に資するものとするとの観点も重要である。

(5) その他

 現在年間35週以上にわたって教育課程を編成することになっているが、各教科の標準授業時数は必ずしも35の倍数ではなく、各学校の創意工夫による弾力的な教育課程の編成を促している。しかし、子どもの学習や生活リズムの形成の観点からは、週単位で固定した時間割で教育課程を編成し学習するほうがより効果的であるとも考えられる。このため、授業時数を見直す際には、上記の教科の標準授業時数は極力35の倍数にすることが望ましい。

(6) 教育委員会や学校の裁量

 国として示す標準授業時数を増加するにあたって、増加した授業時数をどのように確保するかについては、教育委員会や各学校の裁量でそれぞれの学校や児童の実態等を踏まえ、多様な取組により増加させることが考えられる。

 例えば、
 週当たりの授業時数の増加のほか、
 教科教育の一環として朝の10分間を活用した読書活動、ドリル学習の活用
 1単位時間を変更したモジュール学習の活用
 長期休業日の短縮
などの方法が考えられる。また、同様の取り組みにより、各学校の裁量で標準授業時数を上回る授業を実施することも可能であることを明示することも考えられる。

 このように授業時数の増加を図る場合、次のような留意点を踏まえて検討する必要がある。
 低学年の特性と幼児教育との連携(低学年における幼小の学びや発達の連続性の確保)
 子どもたちの耐性の低下
 クラブ活動の取扱い
 各教科等の授業週数を35週以上としている規定の在り方
 学校週5日制の下での土曜日の活用についての留意点
 朝の10分間を活用した読書活動やドリル学習の授業としての質の確保

 特に、幼児教育との連携に関しては、いわゆる小1プロブレムが指摘される中で、各教科等の内容や指導における配慮のみならず、生活指導の充実や、家庭との十分な連携協力を図ることなどが必要である。


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ