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6.教育課程の基本的な枠組み

 以上の学習指導要領改訂の基本的な考え方を踏まえ、小・中・高等学校の教育課程の基本的な枠組みについては、次のように改善する必要がある。
 なお、幼稚園については、教育内容の改善は行うものの、教育課程の基本的な枠組みについては変更は行わない。また、幼稚園、小・中・高等学校に準じた教育を行う特別支援学校、中学校教育と高等学校教育を接続し、6年間の計画的・継続的な教育課程及び学習環境の下で一貫した教育を行う中等教育学校は、それぞれ小・中・高等学校の教育課程の基本的な枠組みの変更を踏まえることが必要である。

(1) 小・中学校の教育課程の枠組み

1  小・中学校の授業時数の現状と国際比較

(年間授業週数及び授業の1単位時間)

 現在、我が国の小・中学校は、概ね年間200日(40週相当)にわたって授業が行われている(注1)。200日という年間の授業日数は、学校週5日制という世界的趨勢の中で、国際比較においても標準的な水準である。
 このように小・中学校においては、200日(40週相当)にわたって授業が展開されているが、学校教育法施行規則が規定する標準授業時数(注2)は、小・中学校におけるすべての学校教育活動に要する時間を定めているものではない。すなわち、学校教育活動は、教育課程内の活動と教育課程外の活動とに分かれ、前者は、
1 教科、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動(学級活動のみ)
2 学級活動以外の特別活動(クラブ活動(小学校)、児童会・生徒会活動、入学式・卒業式、遠足、集団宿泊活動、運動会、文化祭、ボランティア活動等)やそのための準備、生徒指導
に分類される。これ以外に、
3 教育課程外の学校教育活動(長期休業期間中の任意参加の補充教室や水泳スクール、中学校における部活動等)
がある。
 この中で、国として、すべての小・中学校に共通するものとして標準授業時数を規定しているのは、(1)の教育活動に係る授業時数のみであり、(2)及び(3)は学校(及び設置者)の裁量に委ねられている。

(注1)  教育委員会や学校によっても異なるが、年間365日のうち、概ね、長期休業日が70日程度、祝日が12日程度、土曜日・日曜日が83日程度それぞれあるため、授業日は年間200日程度となる。
(注2)  学校教育法施行規則に規定する「標準授業時数」については、災害等の事情により結果として標準授業時数を下回ることはあり得るものの、各学校において年度当初の計画段階から標準授業時数を下回って教育課程を編成することは通常考えられない。他方、標準授業時数を上回ることは、子どもの負担過重にならない限度において可能である。

 学校教育法施行規則及び学習指導要領は、(1)の教育活動について、年間35週以上(小学校第1学年は34週以上(注3))にわたって行われることを前提に、標準授業時数を計算している。例えば、小学校第6学年の年間の標準総授業時数は、週27コマを35週以上にわたって行うことから、945単位時間と規定されている。集団宿泊活動やボランティア活動といった前述(2)のような教育活動の教育的な効果を踏まえれば、学校等の裁量によってこれらの活動を実施する時間の確保等を図るため、学習指導要領上の年間授業週数(35週以上)を増やすことは適当ではない。

(注3)  小学校の入学当初1週間程度は、学校、学級生活への円滑な適応に関する指導のための期間となっている。このため、第1学年は、他の学年とは異なり教科等の授業など(1)の教育活動を行うのは年間34週以上とされている。

 また、授業の1単位時間については、学校教育法施行規則の標準授業時数に関する規程において、「この表(標準授業時数表)の授業時数の1単位時間は、45分(中学校は50分)とする」と規定した上で、学習指導要領上は、「各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は、各学校において、各教科等の年間授業時数を確保しつつ、児童生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して定めるものとする」とされている。このように、授業時数の計算上は45分(50分)とし年間総授業時数を確保しつつ、各教科等や学習活動の内容の特質に応じて授業時数の区切り方を変えるなど、創意工夫を生かして弾力的な時間割を編成できる枠組みについてもこれを維持することが適当である。

(小・中学校の授業時数の現状)

 文部科学省が毎年度実施している調査(注4)では、9割程度の公立小・中学校において、前述の(1)の各教科等の授業が標準授業時数を上回って行われている。そのうち、標準授業時数を年間35単位時間(週1コマ相当)程度以上上回っているのは、公立小学校(第5学年)で63.1パーセント、公立中学校(第2学年)で53.9パーセント、同様に年間70単位時間(週2コマ相当)程度以上上回っているのはそれぞれ16.1パーセント、10.4パーセントとなっている。

(注4)  公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査(文部科学省が毎年度実施)。
 なお、同調査では、集団宿泊活動といった(2)の教育活動の実施状況も調べており、小学校第5学年では、年間76〜90単位時間行っている学校が28.3パーセント、91〜105単位時間行っている学校は23.2パーセントに及ぶ。

 これらの多くは、標準授業時数が想定している一週間の授業時間数に授業時間を上乗せしたり、長期休業期間を短縮したりして授業時数を確保しているのではなく、災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により年間の授業時数が標準授業時数を下回ることにならないように留意しつつ、年間200日(40週相当)のなかで、36週以上にわたって(1)の各教科等の教育活動を行った結果、年間の総授業時数が標準総授業時数を上回ったものである。

 このように、多くの学校においては、年間200日(40週相当)にわたって教育課程を編成し、集団宿泊活動といった(2)の教育活動のための時間を確保しつつ、(1)の各教科等の教育活動について標準授業時数を上回る授業を実施している。さらに、部活動などの(3)の活動については放課後や土・日曜日等を活用して行われているのが現状である。

(授業時数の国際比較)

 2.のとおり、学校の教育課程の国際通用性がこれまで以上に意識される中で、授業時数を国際的に比較する視点が提起されている。これについては、OECDのPISA調査などでも明らかなとおり、国際的に授業時数が少ないフィンランドの子どもたちが高い水準の読解力等を有するなど学力の水準と授業時間には明確な因果関係があるとは言えないことを踏まえる必要がある。また、学校の授業時間に関する国際比較については、平成14年度に文部科学省が委託した研究の結果があるが、これについても、
 我が国の学校教育は、前述の(1)の教科等の教育だけではなく、知・徳・体の調和のとれた発達のため様々な体験活動等を(2)の特別活動として学校が提供しているといった点に大きな特長があり、教科の時数のみでは比較し難いこと、
 他国のデータについても我が国と単純に比較できない要素があること(注5)
などが指摘されている。

(注5)  平成14年度文部科学省委託研究「学校の授業時間に関する国際比較調査」は、各国の教育制度において定められてる授業時数(我が国であれば学校教育法施行規則で定めた標準授業時数のうち教科、道徳及び総合的な学習の時間に関する授業時数を合計したもの)の国際比較をしている。そのうち、例えば、我が国の小学校相当の各学年(第1学年から第6学年)の授業時数の合計では、上位5カ国は、イタリア(5,780時間)、インド(5,760時間)、フランス(5,094時間)、カナダ(ケベック州)(5,076時間)、アメリカ(ワシントンDC)(4,968時間)となっている。
 しかし、
 イタリアは、第4学年(小学校第4学年相当)の子どもが一日に395分(45分授業で換算すると8.7コマ)学習することとなっている(第8学年(中学校第2学年相当)は320分)が、イタリアの学校の実態と乖離しているとの指摘がある。
 インドは、同調査でも指摘されているとおり、地域によっては2部制の学校があるため、子どもたちが規定の授業時間のすべてを受けているとは考えにくい。
 カナダ(ケベック州)は、同調査でも指摘されているとおり、基準として示されている授業時間に休憩、移動、食事の時間などが含まれている。
 アメリカ(ワシントンDC)は、ガイドラインであって実態と乖離しているほか、授業時数が上限と下限で定められている教科の一部を上限の時数で計算していたり、選択教科となっている複数の教科の時数をすべて算入したりしている。
といったように、単純には比較できない側面が指摘されている。

 今回の学習指導要領改訂に当たっては、思考力・判断力・表現力等をはぐくむため、教科において、基礎的・基本的な知識・技能の定着とともに、実験・観察やレポートの作成、論述などの知識・技能を活用する学習活動を充実すべく小・中学校の特定の必修教科の授業時数を増加することとしている。このため、教科で指導する内容事項の増加は厳選し、知識・技能の確実な定着やそれらを活用する学習活動の時間を確保することとしている。このように、重要なのは何のために授業時数を増加し、増加した授業時数を活用してどのような教育を行うかである。
 このため、特定の必修教科において知識・技能を活用する学習活動を充実するという観点から、各国の学校の教育課程においてこれらの教科について、どのような教育が行われているかを参考にしつつ検討を行った(注6)。

(注6)  教育課程部会に審議状況が報告された「言語力育成協力者会議」(文部科学省に設置された有識者会合)の審議の過程では、例えば、ドイツにおける言語に関する教育などが紹介の上検討が行われた。

2  小学校の授業時数

 小学校の授業時数については、5.の学習指導要領改訂の基本的な考え方や7.で示す教育内容に関する学校段階や教科等を通じた主な改善事項などを踏まえ、次のように改善することが必要である。

1 各教科の授業時数

 小学校においては、発達の段階に応じて、基礎的・基本的な知識・技能の定着を図るとともに、実験・観察、レポートの作成といった知識・技能を活用する学習活動を充実させる観点から、国語、社会、算数及び理科の授業時数を増加する必要がある。
 また、子どもたちの体力が低下する中で、運動の楽しさや基本となる体の動きを重視した体育の授業時数の増加も必要である。

 具体的な教育内容の改善については、教科ごとに8.で示すとおりであるが、特に、低学年では、学力の基礎を培う国語と算数、体づくりの基となる体育を増加する。中学年では、国語、算数、体育に加え様々な観察・実験を行うため理科を増加する。高学年では、算数、理科について確実な知識・技能の習得とともに、それらを活用する学習活動の充実を図ることを重視する。社会についても中・高学年で授業時数を若干増加する。

 そのため、これらの教科全体を通じ概ね350単位時間(これらの教科の現在の標準授業時数の合計(3,481単位時間)の約1割)を目途に増加させる必要がある。

 このように、これらの教科の授業時数の増加は、主として、子どもたちがつまずきやすい内容について確実な習得を図るための学年間での反復学習などの繰り返し学習、実験・観察、レポートの作成や論述などの知識・技能を活用する学習活動を充実させることを目的としている。5.(6)のとおり、小学校段階では、特に低中学年における学習習慣や生活習慣の確立に向けた指導と相まって、これらの学習活動が子どもたちに分かる喜びや学ぶ意義を実感させ、学習意欲を高めることにより、学校への不適応を減らし、子どもたちの自立を促すことが重要である。

 なお、1のとおり、学習指導要領上、教科等の教育活動は年間35週以上にわたって行われることと規定されている。このため、各教科の年間の標準授業時数を定めるに当たっては、子どもの学習や生活のリズムの形成や学校の教育課程編成上の利便の観点から、週単位で固定した時間割で教育課程を編成し学習するほうがより効果的・効率的であることを踏まえ、原則として35の倍数にすることが望ましい。

2 小学校段階の外国語活動(仮称)

 また、7.(4)のとおり、小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーションなどの活動を通じて、言葉への自覚を促し、幅広い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培うことを目的とする外国語活動(仮称)については、現在、各学校における取り組みに相当ばらつきがあるため、教育の機会均等の確保や中学校との円滑な接続等の観点から、国として各学校において共通に指導する内容を示すことが必要である。その場合、目標や内容を各学校で定める総合的な学習の時間とは趣旨・性格が異なることから、総合的な学習の時間とは別に高学年において一定の授業時数(年間35単位時間、週1コマ程度)を確保することが適当である。

3 総合的な学習の時間

 総合的な学習の時間については、体験的な学習活動、教科等を横断した課題解決的な学習や探究活動に取り組むことは今後とも重要であるため、一定の授業時数を確保する必要がある。しかしながら、これまで総合的な学習の時間で行われることが期待されていた教科の知識・技能を活用する学習活動を各教科の中で充実することや高学年において外国語活動(仮称)を設けることなどから、総合的な学習の時間の授業時数については、各学年において35単位時間(週1コマ相当)程度縮減することが適当である。

4 年間の総授業時数

 小学校の標準総授業時数については、学校教育法施行規則により、児童の発達の段階等を踏まえ、第1学年は782単位時間(週23コマ相当)、第2学年は840単位時間(週24コマ相当)、第3学年は910単位時間(週26コマ相当)、第4学年から第6学年までは945単位時間(週27コマ相当)となっている。

 上記(3)のとおり、総合的な学習の時間を、中学年及び高学年で各学年35単位時間(週1コマ相当)程度、4年間で140単位時間(週4コマ相当)程度縮減する。
 一方、高学年において、外国語活動(仮称)を創設すると、第5学年及び第6学年の2年間で70単位時間(週2コマ相当)程度が充てられることになる。
 このため、国語、社会、算数、理科及び体育に関して、これらの各科目を通じて6年間で350単位時間(週10コマ相当)程度を増加させるためには、6年間で総授業時数を280単位時間(週8コマ相当)程度増加させる必要がある。

 以上を踏まえるとともに、1で示した小学校の授業時数の現状などを考慮すれば、小学校の各学年の総授業時数は、低学年で年70単位時間(週2コマ相当)、中・高学年で年35単位時間(週1コマ相当)程度増加させることが適当と考えられる。

 なお、年間の総授業時数をこのように増加すると、小学校第4学年から第6学年にかけては週28コマを週35週以上にわたって行うこととなるが、これについては、学校では、一週間の中で、
 各教科等の授業以外にも、特別活動として児童会活動やクラブ活動が行われているほか、個別の児童に対する補充指導や生徒指導といった取組もなされていること、
 9.にあるとおり学校が組織力を高め、教育課題に組織的に対応するに当たっては、校長や副校長、教頭、主幹教諭、教師との間の情報交換や意思疎通のための時間の確保なども必要であること、
などの観点からも妥当であると考える。

 なお、増加した年間の標準授業時数をどのように確保するかについては、教育委員会や各学校の裁量により、それぞれの学校や児童の実態等を踏まえ、
 週当たりの授業時数の増加
 教科教育の一環として朝の10分間等に行われる読書活動、ドリル学習の活用
 1単位時間を変更したモジュール学習(注7)の活用
 長期休業日の短縮
など、多様な取組を行うことが考えられる。

(注7)  モジュールは時間等の「単位」を意味しており、モジュール学習とは、10分、15分などの時間を単位として、取り組む学習形態である。

3  中学校の授業時数【P】

4  小・中学校に共通する教育課程の枠組み【P】

(2) 高等学校の教育課程の枠組み【P】

1  高等学校教育の共通性と多様性【P】

2  必履修教科・科目【P】

(3) 発達の段階に応じた学校段階間の円滑な接続

 平成19年6月の学校教育法の一部改正等において改められた各学校段階の目的や目標等を踏まえ、各学校段階の教育が果たすべき役割は、次のとおりである。
 幼稚園教育は、子どもの基本的な生活習慣や態度を育て、規範意識、思考力、豊かな感性と表現力等の芽生えを養うなど、義務教育及びその後の教育の基礎を培う上で重要な役割を担っている。
 義務教育は、子どもの有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培つとともに、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うという極めて重要な役割を果たしている。このため、義務教育においてはすべての子どもに一定水準以上の教育を保証することが求められる。
 高等学校教育は、義務教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性等を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うという役割を担っている。現在、高校進学率は約98パーセントとなり、生徒の興味・関心、能力・適性、進路等は多様化しているが、このように国民的な教育機関となっている高等学校は、これからの我が国の社会・経済・文化の水準の維持・向上に極めて大きな役割を果たすものである。
 特別支援教育は、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校に準ずる教育を行うとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としている。平成19年度から新しい学校制度と位置付けられた特別支援学校を中心に行われており、その機能の充実が求められている。

 それぞれの学校段階において、その役割をしっかり果たすことが何よりも重要であるが、それに加え、教育課程の改善に当たっては、発達の段階(注8)に応じた教育課程上の工夫の観点から、学校段階間の円滑な接続に留意する必要がある。

(注8)  知的な面での発達の段階については、5.(3)でも述べたが、個人差はあるものの一般的に見られる子どもたちの成長の過程における主な特徴については、
 幼児期は体験活動が中心の時期であり、その特徴として、周りの人や物、自然などの環境に体ごと関わり全身で感じることなど、活動と場、体験と感情が密接に結びついており、体験活動から学びの芽生えをとらえることができることなどが挙げられる。
 小学校低学年の時期は、幼児期的な特性を残しながらも、言葉と認識の力が広がり、ある程度、時間と空間を越えた見通しがもてるようになる。例えば、算数の時間なら、数の問題に集中できるというように、数や言葉についての発達が進み、半具体物(タイルなど)を使って抽象的に考えていくことも多少は可能になる。
 小学校中学年以降になると、幼児期を離れ、物事をある程度対象化して認識することが可能となっていく。対象との間に距離をとって分析できるようになり、知的な活動も分化した追求が可能になる。自分のことも距離をもってとらえられるようになることから、自分と対象との関わりが新たな意味を持つようになる。
 中学生になる頃に、思春期に入り、親や周りの友だちと異なる自分独自の内面の世界があることに気づいていく。また、内面の世界が周りの友だちにもあることに気づき、友人との関係が自分に意味を与えてくれると感じる。さらに、未熟ながらも大人に近い心身の力をもつようになる。大人の社会とかかわる中で、大人もそれぞれ自分の世界をもちつつ、社会で責任を果たしていることへの気づきへと広がっていく。
 高校生になると、思春期の混乱から脱しつつ、大人の社会を展望するようになる。自分は大人の社会でどのように生きるかという課題に出会う。進学や就職といったそれぞれの人生を左右する重大な岐路に立って、進学を過度に意識してその準備に追われたり、自らの将来について真剣に考えることを放棄して目の前の楽しさだけを追い求めたりすることに陥る者もいる。大きく力が伸びる高校生の時期において、例えば体験活動は、その視野を広げ、社会の中で責任を持って生きることへの目を開かせていくものであることが期待される。

 まず、幼児教育と小学校教育の接続については、幼児教育では、規範意識の確立などに向けた集団とのかかわりに関する内容や小学校低学年の各教科等の学習や生活の基盤となるような体験の充実が必要である。他方、小学校低学年では、幼児教育の成果を踏まえ、体験を重視しつつ、小学校生活への適応、基本的な生活習慣等の育成、教科等の学習への円滑な移行などが重要であり、各教科等の内容や指導における配慮のみならず、生活面での指導や家庭との十分な連携・協力が必要である。

 中学校は、小学校段階に比べ低下する授業の理解度やいじめなど多くの教育課題を抱えていることを踏まえ、生徒が順調に中学校生活を始めることができるよう小学校と中学校の円滑な接続を図ることは極めて重要である。このため、小学校段階では、高学年において外部人材も活用した専科教員による教育の充実を検討するとともに、中学校段階においては、小学校段階で身に付けた知識・技能の活用といった観点から、単元に応じて小学校段階の教育内容を中学校教育の観点から再度取り上げて指導するといった工夫や教師の相互交流の一層の促進を通し、学習と生活の両面にわたる小・中学校を見渡した効果的な指導が求められる。

 なお、義務教育で一貫した教育を行う義務教育学校については、平成17年の中央教育審議会答申(注9)において、「設置者の判断で9年制の義務教育学校を設置することの可能性やカリキュラム区分の弾力化など、学校種間の連携・接続を改善するための仕組みについて」検討するとされており、引き続き中央教育審議会において検討することが必要である。

(注9)  中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」(平成17年10月26日)

 中学校と高等学校との円滑な接続の観点からは、【P】

(4) 教育課程編成・実施に関する現場主義の重視【P】

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