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教育課程部会(第109回) 議事録

1.日時

平成31年1月21日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館13階 13F1~3

東京都千代田区霞が関3‐2‐2

3.議題

  1. 2019年度予算案について
  2. 児童生徒の学習評価の在り方について(報告)(案)
  3. 今後の教育課程の改善について
  4. 新学習指導要領の広報について
  5. その他

4.議事録

【天笠部会長】  おはようございます。まだ,一,二委員おいでになっていないようですけれども,これからおいでになるのではないかと思います。定刻になりましたので,ただいまから第109回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催いたします。
 本日も大変御多用の中,御参加いただきまして,誠にありがとうございます。
 また,本日の部会につきましては,報道関係者より会場の撮影及び録音の申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきいただければと思います。
 それでは,本日の配布資料について事務局から説明をお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  本日の配布資料は,お手元の議事次第にございますとおり,資料1から資料4-3までとなっております。不足等ございましたら,お申し付けください。
【天笠部会長】  よろしいでしょうか。もしありましたら,よろしくお願いします。
 それでは,お手元にあります議事次第のとおり,本日は議題が4つございます。特に議題2では,前回の教育課程部会において取り上げました児童生徒の学習評価の在り方について,任意の意見募集の結果を踏まえ,修正案を作成しておりますので,皆様に御確認いただき,本日,教育課程部会の報告として取りまとめたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 また,次に議題3では,今後の教育課程の改善についてということでありまして,研究開発学校を中心に御議論いただきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,まず議題1につきまして,2019年度予算案について,事務局より説明をお願いいたします。
【常盤木企画官】  失礼いたします。久しぶりに常盤木でございます。
 それでは,初等中等教育関係の2019年度の政府予算案について,簡単に御説明申し上げます。私ども初中局全体といたしましては,約2兆116億円の予算を政府予算案に計上することができたところでございます。これは文部科学省全体の予算5兆5,000億余のおおむね約4割弱ということになってございます。概要につきまして,本日議題が大変盛りだくさんとなっておりますので,ごくごく簡単にはなりますが,資料1を使いまして御説明させていただきたく思っております。
 説明の前提といたしまして,このたびの初中局の予算につきましては,大きく申し上げて,我々3つの柱から成り立っているところと考えております。すなわち1つ目が,教育の質の向上と働き方改革。2つ目が,幼稚園段階から高等学校段階まで子供たちの学びを一貫して支えるための予算。それから3つ目が,次の時代の転換を見据えた布石とも言える予算。そういう柱だと思っております。
 まず資料1の13ページを御覧いただければと思います。1つ目の柱から御説明申し上げたいと思います。教職員定数の関係でございます。このページの上の方,太字になっておりますが,この政府予算案では,1,456人の改善を計上しているところでございます。これは一昨年の義務標準法の改正に伴いまして,基礎定数化分246人を含んでおりますので,これを除きますと引き算で1,210人の増ということになりまして,この数字は昨年度同様,第2次安倍内閣成立以降最も高い水準での加配の定数増を政府予算案に盛り込ませていただいたところでございます。
 内訳でございます。下の左側の青い枠になります。1,110人と書いてあるところの下,小学校専科教員の充実,小学校英語教育に係る専科教員でございます。こちらの要求どおり1,000人ということで認められたものでございます。それ以外にも右側になりますが,発達障害,通級指導の充実,あるいは外国人児童生徒に対する日本語指導の充実などの加配定数の基礎定数化ということで246人。それ以外にも貧困等に起因する学力課題の解消に50人。こういった形で,合計1,456人の改善が認められたというものでございます。これをしっかり生かしまして,働き方改革と教育の質の向上の両立に取り組ませていただきたいと思っております。
 1ページおめくりいただきまして,14ページでございます。教職員定数の改善と同時に多彩な人材の学校における活用についても大きなポイントでございます。これまで行ってまいりました,いわゆる学力向上を目的とした学習指導員が7,700人。右側になりますが,スクール・サポート・スタッフについては600人増の3,600人。中学校における部活動指導員につきましては,本年度の4,500人から倍増の9,000人ということで,今回予算案として計上しているところでございます。子供たちの部活動の機会の確保と先生方の働き方改革を両立させる上で大変重要な予算だと思っておりますが,こうした人材の確保合計で2万人分以上計上しているところでございます。
 下の15ページでございます。スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーでございます。これにつきましては,ニッポン一億総活躍プランという閣議決定に基づきまして,2019年度までに,スクールカウンセラーについては全公立小・中学校2万7,500校に,スクールソーシャルワーカーにつきましては,1万に及ぶ全中学校区に配置することを可能とする予算が,今回組み込まれたということでございます。
 ちょっと飛びまして41ページを御覧いただきたいと思います。SNS等を活用した相談事業ということでございます。本年度から大幅に増額いたしました事業でございます。新しいメディア,SNS等を活用いたしまして,子供たちの相談事業に取り組んでいく予定でございます。2億円余の予算計上となってございます。この新しいメディアを活用して子供たちの相談に応じるという事業につきましては,スタートしてからこの間,大変需要のあるところでございます。これにつきましては,引き続きしっかりと取り組ませていただきたいと考えているところでございます。
 続きまして,2つ目の柱に関しまして御説明申し上げます。発達の段階を通じて,子供たちの学びを支えるための予算案についてでございます。
 こちらにつきましては少し飛びまして,51ページから御覧いただきたいと思います。一番上にございますように幼児教育の振興,その1番目。幼児教育の無償化でございます。701億円計上されております。いよいよ来年度の10月から幼児教育の無償化が実施される予定となってございます。この予算,合計701億となっておりますが,内訳といたしましては,4月から9月までは現在の枠組みでございます幼稚園の就園奨励として141億円,10月以降が幼児教育の無償化の予算として560億円,合計701億円となっているところでございます。
 次に,78ページは,切れ目のない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実というところになってございます。こちらも,例えば左側の一番上の丸。その中で赤字で書いてございますが,医療的ケアのための看護師を本年度1,500人配置しているところでございますが,それを300人増やしまして1,800人とすることとしているほか,同じ流れで,1ページめくっていただいて81ページを御覧いただきますと,これまでにはございませんでした厚労省との連携を新たに行う事業ということで,学校と福祉機関,放課後等デイサービス事業所等との連携支援事業ということで,新たな施策に取り組ませていただきたいと考えているところでございます。
 87ページを御覧いただきたく存じます。義務教育段階の要保護の児童生徒に対する,いわゆる就学援助でございます。これにつきましても,87ページのちょうど真ん中頃にございますけれども,新入学児童生徒の学用品代を増額いたしました。また,その下になりますが,卒業アルバム代等の補助を新たな対象費目に追加するなどの充実を図っているところでございます。
 94ページに飛んでいただければと思います。94ページは,高校生等への修学支援ということでございます。特に資料の左半分になりますが,高等学校の就学支援金に関する予算でございます。これにつきましては,御覧いただいているように2019年度この予算案までは現行の枠組みで予算の充実を図るという取組をしているところでございます。2020年,更に1年先になりますが,2020年度からは,年収590万円未満の世帯に関しまして,私立高校の平均授業料相当,実質無償化をしていくということで,引き続き取組をさせていただくというものになってございます。右側になりますが,高校生等の奨学給付金につきましては,非課税世帯の第1子に対する給付額を増額いたしております。
 以上,駆け足になっておりますが,このように,幼稚園段階から高等学校段階に至るまで,トータルで子供たちの学びをしっかりと支える,学びの意思はありながら学びが続けられないということがないようにする。こういったことで,予算の充実に取り組ませていただきたいと思っております。
 最後3番目の柱に関してでございます。96ページを御覧いただければと思います。新しい時代への転換を見据えまして,最先端のテクノロジーを学校でどのように使っていくのか。いろいろ御議論も頂いているところでございますが,この96ページ,約3億円弱の予算ということでございまして,AIも含めた新しいテクノロジーを公正に個別最適化された学びにどう使っていけるのか。そういう実証研究を来年度行うということで,新規に予算を計上させていただいているところでございます。
 これに関しまして99ページでございますが,特に高等学校の改革につきましては,現在教育再生実行会議の方でも御議論いただいているところではございますが,特に地域との関係をどのように充実していくのかというのも大きな論点となってございます。AI等も含めた予算と同じく3億円弱の予算となってございますが,これまで以上に高等学校が地域との関係,下にプロフェッショナル型,地域魅力化型,グローカル型とありますけれども,こうした分類に沿って,それぞれの学校の立ち位置,地域の特色や状況を踏まえて,高等学校が地域創生の核としてその教育を改めて充実させていく。そのための起爆剤となるような授業ということで,来年度,これもまた新規に立ち上げて推進させていただくということを考えてございます。
 以上,駆け足となりましたが,いずれにいたしましても来年度の政府予算案でございます。学校の働き方改革,教育の質の向上をはじめとして,初等中等教育の更なる充実に向けて取り組ませていただきたいと思っております。重ねて今回までの御尽力に感謝申し上げますとともに,この政府予算案が成立した際には,私ども更にしっかりと取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。簡単になりますが,説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして,御意見がありましたら,御発言いただきたいと思いますけれども,いかがでありましょうか。
 よろしいでしょうか。
 どうぞ。杉江委員,お願いいたします。
【杉江委員】  予算案自体についてはどうのこうのということはないのですけれども,この内容についてお願いをしてもよろしいでしょうか。
 42ページのいじめ対策のところなのですけれども,いじめというのはパワハラなどと同様に加害者を法律で罰するということは非常に難しいことですが,被害者の傷は非常に大きいわけですから,弁護士の先生が法律の判断基準で判断する以上に,法律よりももっと大きな枠で考えなければならない問題だと思っております。
 弁護士の先生をもちろん活用していただくということは,異論は一つもないのですけれども,学校ごとに例えば地域の人格者,人格者というのは定義の仕方もありますけれど,人格者に学校運営に関わってもらいまして,生徒に対する人間教育ですとか,それからいじめが小さな,本当に小さな芽のうちに発見されるような仕組みというのを作っていきませんと,どうしても大きな問題は注目されますけれども,いじめの防止ということにはつながっていかないと思いますので,そのお願いをしたいということが1点です。
 もう一つは,65ページのキャリア教育なのですけれども,私も前に働いていた会社で,理科実験教室というのを小学校で実施していまして,やっぱり生徒が体験して興味を持って理解するという,こういう喚起をする教育というのは非常に大事なので,このこと自体には大いに推進していただきたいということなのですけれども,それに加えて,ほかの省庁と共同でということで載っていましたので,例えば地方創生との関わりでキャリア教育を考える場合に,私はちょっと田舎の育ちなので,やっぱり小さい頃に都会ということで非常に憧れていたわけですけれども,都会の生徒に地方を体験させて1次産業を都市の生活の中から見るということも,都市に住んでいる子供たちが将来1次産業,地方の創成に新しいアイデアか何かを持ち込んで,そういう資質を養うということにつながってくると思いますので,そういう体験教育も必要でないかと思いました。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】  ということで,よろしくお願いいたします。
 ほかによろしいでしょうか。
 それでは,この件につきましてはここまでにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,次2つ目になります。児童生徒の学習評価の在り方について(報告案)に移りたいと思います。先月,児童生徒の学習評価に関するワーキング・グループにおいて,児童生徒の学習評価の在り方について,これまでの議論の整理が取りまとめられ,1月上旬まで任意の意見募集を実施いたしました。その意見募集で寄せられた意見等を踏まえ,事務局で修正案を作成していただいておりますので,まずは事務局より報告の修正案について,説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,資料2-1と2-2,学習評価に関する資料がございますけれども,初めに資料2-2に基づきまして,意見募集についてどのような意見があったのかを簡単に御紹介させていただきたいと存じます。
 資料2-2は,任意の意見募集に対する主な意見というものでございます。12月18日から1月9日までの間に意見募集を行いました。全体としては181の御意見を頂戴したところでございます。ごく簡単に触れてまいりたいと存じます。
 まず評価全般に関してでございます。学習指導要領等の趣旨を踏まえた適切な評価を行われることが重要であるという御意見を頂いております。また,この全体の考え方としまして,どこまで詳細な記述をするのかについては,学校の自由度を残してほしいというような御意見も頂いているところでございます。また,今回,評価の規準を評価側と共有する,児童生徒,保護者とも共有するということを打ち出しておりますけれども,そのような点については,サポートの御意見を頂いているところでございます。
 1ページの中段からです。指導要録,通知表に関するところでございます。やはりこのあたりは,このレポートの中でも打ち出しておりますけれども,先生方の負担軽減あるいは簡略化といったところについて,御要望の声がいろいろ見受けられたところでございます。
 2ページにお進みいただきたいと存じます。2ページの最初の論点が,評定に関するところです。前段の方ですけれども,この評定については,現実的な状況を踏まえて,観点別学習状況の評価と,それぞれの役割分担を踏まえながら活用していくということを最終的に記載しておりますけれども,そういったことについてサポートを頂いている意見,その一方で,やはりこの評定についてはなくすべきではないか,あるいは不要でないかといったような御意見も頂戴しております。
 2ページの下の方です。観点別学習状況の評価という欄です。この観点別学習状況の評価については,質的なものであって,観点ごとに1点刻みで値踏みをするということではなくて,少なくともこのBの状況を目指して指導を行うという考え方を大切にしてほしいという御意見がございました。
 2ページの一番下です。高等学校における学習評価についてです。今回,高等学校でも指導要録の参考様式に観点別学習状況の評価の記載欄を設けるということを打ち出しております。これについては賛成というサポートの御意見がある一方で,こういったことが負担になるのではないかといったようなことからの反対の御意見というものも一方ではございました。
 また3ページの一番上の方になります。特に高等学校では教科・科目が多いということについての配慮が欲しいというような御意見もございました。また,通信制高等学校においても学習評価の在り方について明記する必要があるのではないかという御意見も頂戴しております。
 3ページの中段,主体的に学習に取り組む態度です。ここでもレポートの中でも書いてございますけれども,特定の型に沿ったような学習の調整の仕方の一律の指導がないように配慮する必要があるのではないか。また,ノートの取り方などについて,単に形式的な態度としてよいのか。その点,疑問があるのではないか。また,集団での学びに貢献するような態度も必要ではないか。さらに,主体的に学習に取り組む態度の評価がなかなか難しい部分があるということで,教師,生徒,保護者にも説明できるような評価方法を示してほしいというような御意見も頂戴しております。
 3ページの一番下です。条件整備に関する部分です。学習評価の充実に対応できるような研修,教職員の配置をお願いしたいという御意見がありました。また,4ページに進みますけれども,先生方が学習評価をしやすいような校務支援システムなどの整備が必要でないかというような御意見を頂戴しております。
 4ページの中段からが大学入試等に関する論点になります。全体としては,高等学校・大学のアドミッション・ポリシーに基づいて評価を行うという観点から,調査書の活用ということをレポートに盛り込んでおりますけれども,そのことには賛成であるというサポートの御意見。また,その際には,評定,観点別学習状況の評価,それぞれ併用して,役割分担を考えていくべきではないかというような御意見もございました。
 ただ,一方では,観点別学習状況の評価を高等学校などで入れても,大学入試で活用することがなかなか難しいのではないか。先生方の負担が増えるのではないか。また,大学側としても,それらについて客観的な把握はなかなか難しいのではないかといったような御意見も頂戴しております。
 5ページの一番上からになります。また,この調査書に関する更に細かい御意見としまして,調査書にそもそもどういった情報を記述していくのか。2点目になりますけれども,客観性,公平性が求められる調査書においては,どのように客観性を担保していくのか。さらに,このeポートフォリオなどのシステムの構築が必要ではないか。大学が実際にどのように使っていくのか,大学入試改革との整合性をしっかりと図っていってほしいといったような御意見を様々頂いておるところでございます。
 5ページの中段から,障害のある児童生徒の学習評価という点です。今回,知的障害者である児童生徒に対する教育課程について,観点別で学習状況評価の考えに基づいて行っていくということを明記しております。これについては,小学校等との学びの連続性を担保するという観点が重要ではないかという御意見を頂いております。一方では,知的障害を持つ児童生徒の学習評価について観点別評価を行うことについては,固定的な観点で子供たちを評価してしまうのではないかという慎重な御意見も一方では頂いています。
 5ページの一番下が,国立教育政策研究所が策定している参考資料に関するところです。評価規準の設定例というものがございますけれども,これについては今後も設定例を出していってほしい。また先生方の評価の参考になるような,分かりやすい資料,評価方法等をお示しいただきたいというような御意見も頂いております。
 6ページの2番目の論点になりますが,外部試験というところがございます。外部試験については,これもレポートにおいて,それぞれ試験の実施の目的,意図が異なることに留意が必要であるというふうに書いてございますけれども,活用ということはちょっと慎重にやるべきではないかという御意見も頂いております。
 周知のところでは,国民全体に対してしっかりと周知をお願いしたいというような御意見を頂いており,以上が全体的な状況になります。
 それでは,続きましてこういった御意見を踏まえながら,資料2-1の方でどのような修正を行ったかという主な論点について御説明させていただきたいと存じます。若干修正が赤字で入っているところがございますけれども,文言の修正等も含んでおりますので,本日は内容に関する論点のみ御説明させていただきたいと存じます。
 まず最初に2ページ目でございます。今回平成30年6月,昨年夏にさかのぼりますけれども,書面での団体ヒアリングというのをさせていただいておりますので,各団体から頂いた団体の名称等を記述させていただきます。またパブリックコメントを行ったということで,2ページの注釈4にも今回の件を記載しております。
 続きまして,6ページにお進みいただきたいと存じます。6ページでは,図1ということでカラーの図をお入れしております。この中で一番上の方に目標準拠評価と,それに続く「目標準拠評価とはいわゆる絶対評価であり」というくだりがございました。これについて,いわゆる絶対評価という表現については,先生方の主観に基づく判断になりがちであるというような誤解が生じているということがこれまでも指摘されたところでございます。あえて,いわゆる絶対評価という表現を使わなくてもいいのではないかという御指摘がございましたので,ここではこの文言を削除するという修正を行ってございます。
 続きまして17ページ,注釈の23というところでございます。先ほどのパブリックコメントの中でも頂いた御意見でありますけれども,知的障害を持つ児童生徒に対する教育を行う特別支援学校に関する場合についてですけれども,今回,観点別学習状況の評価の考えを踏まえた評価を取り入れるということをお示ししております。その際大事になるのが,小・中学校等との学びの連続性ということでございますので,この注釈の23番の方にその趣旨を追記させていただいているといった修正を行ってございます。
 続いて,その次の19ページの注釈の25番というところにお進みいただきたいと存じます。こちらもちょっと細かい修正になりますけれども,観点別学習状況の評価と,それから評定の考え方についてお示ししているところでございます。これについて,観点別学習状況の評価について,これまでの説明ですと数値的に評価しているというふうに説明してございました。ただ,数値的にとありますと,どうしても1点刻みで,例えば69点だからBとかですね。そういった評価をするような誤解が生じるのではないかといった御指摘も頂いておりますので,この観点別学習状況の評価等について,段階別に評価を行っているというふうに修正させていただいております。
 23ページにお進みいただきたいと存じます。見出しの(9)番というところで修正を行っております。外部試験や検定等の学習評価への活用についてというふうに,以前の小見出しはございました。これについてはパブリックコメントでも御意見を頂いておりますけれども,外部試験,検定等については,もちろん学校の先生方にとって参考になる重要な情報ではございますけれども,それぞれ目的・趣旨等が違うと。必ずしも学習指導要領の目的・趣旨とは同一でないということがあることから,それについては留意しながらお使いいただきたいということをレポートでも記載しております。その意味では,活用とありますと,積極的に使っていくというような雰囲気が強過ぎるのではないかということで,適切な利用という趣旨から,利用という表現に修正させていただいているところでございます。
 主な修正点については,以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 御承知のとおり,本件につきましては,昨年度からワーキング・グループからの報告を頂きながら議論してまいりました。本日は,本修正案を確認いただき,この教育課程部会の報告として決定をお諮りしたいと思っております。その上でということですけれども,この間精力的にワーキング・グループの取りまとめ役としまして,市川委員にいろいろ御尽力いただいたわけですけれども,市川委員からコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【市川委員】  このたびワーキング・グループの方で,12回にわたる検討をしてまいりました。今回,一方では授業改善あるいは児童生徒の学習の改善ということのために,充実した評価をということが一方ではありました。ところが一方では,やはり教員の負担軽減ということで,簡素化を図るということもあったわけでして,これをどのように両立させていくかという議論が展開されたと思います。
 比較的早くから何とか合意が得られたのは,従来の四観点を三観点にする。これは,学力の3要素に合わせて三観点にしていこうと。これは簡素化につながることかと思います。一方では,この観点別学習状況の評価というのを高等学校にも求めていく。これまで小・中でやっていましたが,高等学校にも求めていく。これは高等学校の先生にとっては御負担になることだと思いますが,初等中等教育としての一貫性ということからして,この学力の3要素に対応した三観点の観点別学習状況の評価を高等学校でもお願いしたいということになりました。これは,大変ではあるけれどもということで,了解を比較的早くから得られたことかと思っています。
 一方では,最後までかなり議論を要した点というのが2つありました。1つは,主体的に学習に取り組む態度というのをどのようなものと捉えて,具体的にどうやって評価していったらいいのかということについては,かなり議論もありました。実際これまで小学校・中学校においても,関心・意欲・態度ということが評価が難しいと言われていました。ただし,これまでの関心・意欲・態度とはちょっと違う形で,具体的に主体的に学習に取り組む態度ということが議論されて,いろいろな学問的知見,あるいは既に先進的な学校では試みているということで,これを何とか一般化していきたいということで,いろいろな議論がなされました。これは,今後も追加資料等が出されるものと思います。
 それからもう一つ最後まで割と議論になりましたのは,特に高等学校において評定というのを残すかどうか。小・中も含めてなのですけれども,これまであった三観点を総括した評定ですね。これを残すのがいいのか。あるいはもうこの際観点別というのが小・中・高と一貫してなされるのであれば,これを総合した評定というのはなくてもいいのではないかという議論はかなり最後までなされました。
 これも最終的には学校側からの御意見もありまして,一応総合的な評定を残すということにはなりました。ただ,残すにしても,児童生徒あるいは保護者が総合的な評定のみにとらわれてしまわないように,せっかくの観点別の評価ですので,観点ごとにきめ細かく評価されてフィードバックされるものを生かしていただきたいという趣旨は十分に伝えた方がよろしいだろう,これは強調するべきであろうということで,一応残すという形になった次第です。
 そのようないろいろな議論があった末,何とかおまとめいただいたということで,委員の方また事務局の方々,本当にありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 委員の皆さん,何か御意見おありの方いらっしゃいますでしょうか。
 ありがとうございました。それでは,本報告案を教育課程部会の決定ということでお図りしてよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。これをもちまして,この案を本部会の報告という形で決定したということにさせていただきたいと思います。
 それでは,本議題につきましてはここで終わりにさせていただきまして,続いて,今後の教育課程の改善についてに移らせていただきたいと思います。
 本議題については,昨年の10月1日のこの教育課程部会で取り上げる予定でありました。しかし,当日は台風の関係で,これを十分に取り上げることができなかったという経過があります。そこで,本日は研究開発学校を中心に,本議題について意見交換ができたらということで考えております。
 それでは,その点を含めまして事務局から本議題についての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,資料3-1から説明させていただきたいと存じます。天笠部会長からも御説明がございましたけれども,一度この部会でも御審議いただこうとしているところでございますけれども,ちょっと時間が足りないということで,本日に先送りさせていただいたところでございます。
 資料3-1でございます。今後の教育課程の改善についてということで,これも一度は御説明させていただいているところもございますけれども,もう一度,日が経っておりますので,簡単に御説明させていただきたいと存じます。
 平成30年6月,昨年でございますけれども,Society5.0に向けた人材育成というレポートを文部科学省の方で出させていただいております。そこからの抜粋が1ページ目でございます。その中で教育課程に関する論点についてもいろいろと提示されております。
 例えば児童生徒一人一人の能力・適性に応じて公正に個別最適化された学びの実現に向けて,スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオを活用していく。これに基づいたような実践的な研究・開発を行っていくことが必要ではないか。異年齢・異学年集団での協働学習についても実践的な研究・開発を行っていくべきではないか。また,主に大学,高等教育の方がターゲットでございますけれども,例えばアドバンスト・プレイスメント,高校生が大学の授業を受けて,それが単位にカウントされるような仕組みであるとか,飛び入学,早期卒業といったようなものについても活用していくべきではないかといったようなことが提案されてございます。
 次の3ページにお進みいただきたいと存じます。こちらの方でも,文理分断からの脱却という大きな論点の中で,文理両方を学ぶ人材育成をしていくという観点から,例えば高校生にとっては,当然数学や理科,社会科等で必修,必履修科目というのがあるわけでございますけれども,より高度なことを学びたい高校生,例えば高校生でも微分方程式であるとか線形代数等を学びたいという子供たちの学ぶ意欲・ニーズを吸収できるような形の仕組みが必要ではないかということで,ワールド・ワイド・ラーニング・コンソーシアムといったようなものを作っていってはどうかということを御提案いただいているわけでございます。
 また同時に,下の方になりますけれども,高校と自治体,高等教育機関,産業界と連携したようなコースで,例えば福祉,農林水産,観光などの分野で学習できるような環境整備を行って,地域を担っていけるような人材,地域人材の育成を推進するということで,こちらの方も地域キュービック高校の創設といったようなことが提案されているということでございます。
 これらについては,この予算の中でも反映されているところがございますけれども,こういった提案が行われているという状況です。
 また,3ページの下の方でございます。働き方改革答申の中でも教育課程に関することとして,特に小学校における効果的な指導,教師の1人当たりの指導時間の改善の両立の観点から,小学校の教科担任制の充実,年間授業時数,標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方の見直しが必要なのではないかといったようなことが御提案されているという状況でもございます。
 また,4ページの上になります。これも1月18日に出たばかりのものでございます。教育再生実行会議の11次提言中間報告というものが出されています。その中でも最近言われているSTEAM教育,科学,技術,工学,芸術分野,それから数学といったような各教科の学問分野の専門性に基づくものを横断的に使っていくような形の教育が必要ではないか。その観点から,総合的な学習の時間,探究の時間,理数探究といったものが新しく高校の学習指導要領にも入っていますけれども,課題解決的な学習活動の充実を図っていく必要があるのではないかといったような御提案を頂いております。
 スライドの5ページになります。そちらの方は,教育課程の改善に関して,今後考え得る論点ということで,例えば多様化,複雑化する現代的な諸課題に対応した教育課程をどう作っていくのか。また,教科の学習と教科横断的な学習,総合的な学習でありますとか理数探究など,それを効果的に関連付けた教育課程をどのように作っていくのか。また,先ほどのスタディ・ログでありますとか学習ポートフォリオのようなEdTechの活用など技術革新に対応した教育課程をどのように作っていくのか。また,その際には特に大切になるのが,公正に個別最適化された学びをどのように推進していくのかといった論点を考えていく必要があるだろうということが考えられます。
 新しい教育課程を開発するための制度としましては,スライドの6ページ以降で,研究開発学校制度など多様な制度がございます。特にその核となるのがこの研究開発学校,いわゆる研発校と言われていますけれど,研発制度ということになります。この研発制度については昭和51年から始められていまして,学校側の主体的な申請に基づいて教育開発に関する企画評価の会議,主に教育の専門家の先生方の会議でございますけれども,そちらの方で審査しているというようなやり方をしています。
 7ページになります。研発のこれまでの成果としましては,例えば小学校一,二年生における生活科,総合的な学習の時間,高校の情報,福祉。それから小学校高学年の外国語活動。中等教育学校や中高一貫教育に関する特例の創設といったようなことで,研発で行っていただいたものが実際にその後制度化されるということもこれまで多く見られているという状況でございます。
 また,この研発と類似している制度として,8ページ以降詳細な説明は割愛させていただきますけれども,国立教育政策研究所が行っている教育課程研究指定校事業。これについては現行の特例と,研発校については現行の学習指導要領の特例を作って,実際に実験をしていただくということになりますけれども,特例を特に用いずに現在の教育課程をいかに良くしていくのかということを考えていただいている事業が,8ページの教育課程研究指定校事業ということになります。
 また9ページではスーパーサイエンスハイスクール事業,10ページには,スーパーグローバルハイスクール。最後のページでは,新しく検討しているワールド・ワイド・ラーニング・コンソーシアム構築支援事業といったようなものがございます。これらについてはいずれも教育課程上の特例を使って,それぞれの分野について,より専門的な学習をしていただくと。子供たちにしていただくという趣旨で行っているというようなことになります。
 本日は,研発校の実践をされている学校の方にもお越しいただいておりますので,特にこの研発校の在り方,またどのような課題,今後の教育課程の改善に関して,どのような課題があるのか。どういったことが必要なのかといったことについて,意見交換をしていただければ幸いでございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 今もありましたように,これから2つ研究開発学校に取り組まれているケース,御発表をお願いしたいと思っております。それからその後,貞廣先生の方から今後の研究開発学校等々の在り方を含めて,この種のことにつきまして御意見を発表していただくという予定にしております。その後,委員の皆さんから御質問,御意見等々お願いしたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,熊本県大津町立大津小学校から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【熊本県大津町立大津小学校】  よろしくお願いします。本日の資料の資料3-2を御覧ください。ただいまより,熊本県大津町立大津小学校の生活数理研究・開発について御説明申し上げます。
 生活数理とは,実生活の中にある課題を解決していく際に,算数で学んだことを活用して数理的に考え,生活経験や価値観を加えて判断したことを生活に生かしていく教科です。この表のように,幾つかの教科から効果的,関連的扱いができる内容を中心に時間を確保し,各学年,時数の設定を行いました。
 生活数理は,そもそも全国学力・学習状況調査や熊本県学力調査による本校の児童の課題,全国的な課題を踏まえ,本校がこれまで行ってきた算数科研究とつなぐ新たなものとして生まれました。学習したことを日常生活につなぎ,算数の有用性を実感させることが,学ぶことや社会のつながりを意識させ,未来を切り開く力を育成することになります。そのために生活数理が開発されました。
 生活数理は算数を活用する教科ですが,リアリティーのある課題から学びが始まることが特徴です。総合的な学習の時間でも実生活の課題を取り扱いますが,数理的な内容が中心とは限りません。また,算数では架空の生活場面が設定され,考えやすい数値にされています。実生活と密着し,数理的な処理を伴い,かつ生活経験を裏付けとして,1つの答えでない,多様な意思決定ができるのが生活数理と他教科との違いです。つまり,算数においては1つの正解をゴールにしますが,生活数理におきましては,納得解を児童自身が導き出しているところに大きな違いがあります。
 よって,生活数理では,このような目標を立て,算数で習得した知識・技能を活用し,実生活で生かすことができる思考力・判断力・表現力の育成を目指しており,算数の習得内容とともに数学的な生活経験が生かされ,思考・判断・表現する活動を重視しています。この生活数理の特徴の1つ目として,学習課題があります。下級生にプレゼントする種の分け方,限られた予算の中での買い方など,児童の生活にあるリアリティーを大事にし,実生活の中で生かしていける課題設定を行います。これらが最終的に実生活に反映されることで,自分たちの考えを検証する場を持ちます。児童の生活や行事とリンクし,意欲が高いだけでなく,算数で学んだことを十分使うことができるとともに,多様な選択・分析ができる題材が効果的であることが明らかになっています。本日は,6年の修学旅行での班別行動を考える「満喫!アトラクションツアー」を中心に実践を紹介していきます。
 2つ目の特徴として,学習過程を挙げます。つかむ過程でリアリティーのある課題が設定され,解決に向かうための条件として,予算や限られた時間など,数量の条件やみんなが楽しめるためにや喜んでもらえるようになどの価値観を引き出す条件が提示されたり,児童から引き出されたりします。このことにより,切実感やこだわりが持てる学びになります。
 6年の修学旅行での班別行動を考える「満喫!アトラクションツアー」では,行動できる時間帯が数量の条件として示され,班のみんなが満喫できることが価値観を引き出す条件として共有されました。4時間内で昼食を取り,チェックポイントを通るという条件を踏まえ,満喫できるためにどうしたらいいか。班の中で価値観を出し合い,行きたい場所や通るルートなど折り合いを付けるという活動が生まれます。
 やってみる・広げる過程では,四則計算,分数や小数,長さや重さ,単位量当たりの大きさ,速さなど習った算数を使い,数理的な根拠にして学び合うことで,算数が役に立つという学びになります。
 6年実践では,園内マップから見付けた手掛かりとなる情報を基に移動時間を見積もっていきました。アトラクションを回るルート,行くアトラクションの数だけでなく,待ち時間などをどう見積もるか。複数の選択肢がある中での意思決定を学習活動で行いました。自分たちが立てた計画で間に合うのかという視点で見直す中で,移動時間や通るルートが重要になります。このような思考・判断・表現する学習活動が,学んだことだけでなく,生活数理で考えたことを今後に生かそう,生かしたいという意識を育てることにつながるということが生活数理の3つ目の特徴です。さらに,まとめる過程では,数理的処理をして,学び合ったことを基に,条件と照らし合わせて意思決定し,振り返る過程を大事にしています。
 こうした一連の学習過程を経ることによって,主体的に算数を活用し,数理的な根拠を基に学び合うこととなり,そのことを振り返ることが算数の有用性を実感することになります。生活数理実施の効果として,生活数理で身に付けさせたい4つの力,数理的な処理を必要とする課題を見付け,見通しを持つ力。数理的な処理を基に,情報を選択・分析する力。数理的な根拠を基に主張する力。数理的な根拠や生活経験を基に意思決定する力に関する意識調査では,若干の増減はあるものの,これまでの4年間で全体的に増加傾向にありました。
 これらのことに加えて,主体的・対話的で深い学びになるポイントもまた見えました。それは,1,課題解決過程で数量の条件,価値観を引き出す条件が教師から提示されたり児童から引き出されたりすること。2,リアリティーのある課題によって,切実感を持ち,解決しようとする中から,様々な算数で学んだことが自発的に引き出され,使われていくこと。3,広げる・まとめる過程で,複数ある条件と照らし合わせることができる発問などによって,最適解や納得解を決めることです。
 次に教師への効果としては,年を追うごとにおおむね増加傾向にあり,題材・教材については,高い値を示しています。毎年異動があり,そのたびに戸惑う声もありましたが,児童の表情,学びに出合う中で,迷うことが多かったがおもしろかったとの声が複数聞かれました。学年部で何度も検討を重ねながら,授業を改善していったことが要因の一つであると考えます。
 これまで述べてきたように,生活数理の題材開発を行う中で,以下のようなことが明らかとなりました。例えば,1年では身近なものからの形探しを行い,未習の内容にも自然に触れることができました。また,1年の買物学習はPTA行事で,3年の買物学習では商店街で予算や場を変えた系統的な学習もできました。
 題材開発過程では,意思決定の際の数理的な根拠の明確さが重要であるという認識が持てました。例えば5年実践の「廊下の歩き方を考えよう」において,速度が未習であるため,5段階で歩く速さを考えていきました。ただし,基準となる3の決め方が客観的ではなかったため,その後の段階を決める際の根拠が曖昧な実践でした。この題材は,速度が既習となる6年で実践することも可能ですが,たとえ未習であっても,一定の長さを歩く秒数を基準にすることで数理的根拠が持てるという展望が実践を通すことによって明らかになりました。
 このように,児童の生活の中から課題を見付けてくる場合,数理的根拠をどのように持てるか留意する必要があります。加えて生活や行事との関連を考えた題材開発により,教師のカリキュラム・マネジメント力が向上したことが,副次的な効果だったと言えます。
 本年度は,研究開発学校の指定を1年間延長し,教育課程上の特例が終了する次年度に向け,新たなカリキュラム作りに取り組んでいます。単に戻すということではなく,生活数理の良さを生かし,他教科等の授業,カリキュラムを見直しているところです。
 最後に今後の課題として次の3点を挙げます。1つ目に,今回高等学校に新設された理数の小・中学校での新設の可能性。2つ目に,生活数理を中心とした教科横断的なカリキュラム実施のための柔軟な教育課程の編成。3つ目に,算数においてリアリティーのある学習課題の設定ができるような環境作りです。
 以上で大津小学校の発表を終わります。御清聴ありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,信州大学教育学部附属松本学校園の発表をお願いしたいと思います。
【信州大学教育学部附属松本学校園】  それでは,よろしくお願いいたします。信州大学教育学部附属松本にございます幼稚園,それから小学校・中学校の実践を発表いたします。座っていたします。
 本学校園では,学びの総合化を実現する幼小中一貫校を目指しています。一貫校というと,学校間の接続をどうするかということが話題になることがありますが,私たちは12年間という長いスパンで子供たちの育ちを支える,その要件を探ってまいりました。
 本日は,その要件として見えてきたことを大きく3つお話しします。1つは,本学校園の子供に共通して見られる強みを全教職員で共有することです。2つ目は,幼・小・中のどの学校段階の子供の学びにも,思い・願い・問いから発する探究のプロセスがあるということを教職員が認識しているということです。学びの主体者である子供にとっては,学校種が変わっても学び方が同じであるようにしようとしていることです。3つ目は,子供が働かせている見方・考え方に着目し,それを言語化しながら概念形成を促すということです。
 以上のことを踏まえて,教育課程の編成を行っています。幼稚園の遊びから,下の方ですけれども,そこから小学校に行くところで,4つの領域を作成しています。それを教科化し,さらに中学校で学んだことを総合化しようという学習過程です。
 以上のことを,御覧のようなタイトルを付けてお話しいたします。
 私たちが学びの総合化を推進する必要感を持った背景には,校種を超えて共有できるビジョンがあるということを共通認識した喜びがありました。日常的に校種を超えて,同じ授業を参観し,語り合ったり,授業作りや困り感などを話したりするうちに,例えば遊びに打ち込むというふうに幼稚園で使う言葉がありますが,それは子供が何をどうしていることなのかということを考えたりします。それを子供の学びの姿を真ん中に,他の言葉で置き換えて考えられないかということを語り合いながら,子供のやりたいという思いや願い,問いを基に探究していることではないかと,お互いの認識を深めたりしていきます。
 そうしたことを繰り返す過程で,子供の学び方や強みが認識されていきます。本学校園の子供たちの特徴として,自己表現する力,課題探求する力,社会参画する力という強みがあるというのがそれです。この強み,良さを生かして教育実践を充実させることで,資質・能力を総合的に養っていこうというビジョンが明らかになってきています。
 一言で資質・能力といっても様々な要素があります。全ての要素を狙おうとすると総花的になって,評価に基づいた支援が曖昧になって,研究や実践がムードに流れてしまうことがあります。そこで私たちは,本学校園の子供たちの強みである自己表現する力,課題探求する力,社会参画する力の3つの資質・能力を基に,子供の育ちを捉え,この3つの入り口で子供たちの実態を把握し,他の要素を巻き込みながら,私たちの学校の目標であるたくましく心豊かな地球市民としての資質・能力を養おうというイメージを共有してきました。
 そのイメージを踏まえ,どのように教育課程を編成するのかということですが,その鍵の一つが,人はどう学ぶのかということについての認識の共有です。先ほどもちょっとお話ししたことです。本学校園の教師が子供の学び方を共有することで,遊びに打ち込むとか探究とか問題解決の過程などについての概念の理解を耕して実践しているところです。
 もう一つの鍵が,子供が働かせている見方・考え方を自覚できるようにしていく支援です。
 最初の鍵,子供の思い・願い・問いに発し,その質の変容を促す授業作りについてです。例えば問題解決の過程とか探究のプロセスについては,様々に表現されることがありますが,どれもよく似た過程が示されています。これは,私たちが今持っている子供の学び方についての認識とも一致しています。こうした過程を基に,自分たちの日常の授業の実践を振り返ると,私たちの授業は,どうもこの過程の真ん中あたり,この部分のところで終始しがちであることに気が付きます。子供たちの学び方とすると,思いや願いや問いから発する探究的な学び,そうした学びの物語を成立させるためには,この前の部分を子供たちに返す努力を私たちがすることが欠かせないというのが,現在の認識です。
 また,それぞれの過程で働かせている見方や考え方の言語化を促すことが2つ目の鍵です。この支援を確かにするために欠かせないのが,学校種や経験年数や教科等の枠を解いて編成するグループによる事例研究です。幼・小・中の教員合同の事例研究を年間を通じて継続的に行っています。各学校園においても,経験年数や在職年数,教科等の枠を解いた事例研究会が行われています。
 以上のように取り組んできた学びの総合化に向けた実践ですが,現状について,その概略を研究主任からお話しいたします。
【信州大学教育学部附属松本学校園】  本年度,幼稚園では遊びに打ち込む子供を育むための教育課程について,日々の子供の思いや姿,発達段階などを意識しながら,教育課程の編成,また援助の在り方を見つめ直してきました。これまで大切にしてきた子供のやりたいという思いに加えて,身に付けてほしい事柄やその時期にしか味わうことのできない経験などの適時性を加味しながら保育を行うことで,援助の幅が広がり,子供の思いをこれまでよりもより豊かに支えることができるようになってきました。
 続いて小学校低学年ですが,いわゆる幼稚園の出口と小学校の入り口をつなぐという考え方ではなく,先ほどの話にもありましたが,子供の中から見られた良さや学び方をつないでいくことを大切にするために,従来の教科ではなく,領域というものを設定しております。遊びの領域化では,言葉,科学,暮らし,表現の領域の中で,子供たちが幼稚園での学び方を生かしながら,次第に領域の特性を通じて3つの力を育み,教科へとつながる見方・考え方を働かせていることが見えてきました。
 自分のやりたいことを自分で見付け,自分なりのやり方で思いを深めながら探究していく1年生。自分の願いの実現を目指して,集団としてより長期的になっていく2年生。問いと答えのより長い探究をしている中で,探究の仕方自体がより精緻になっていく3年生。このように,同じ思いや願い,問いから始まる学びのプロセスにおいて,探究の質の高まりが見られています。
 また,教師も子供の願いに柔軟に応じるために,今まで以上にダイナミックな単元構想を考えることができました。教師が長いスパンの中で子供の育ちを見るために,縦のつながりを意識したこと。領域同士の特性を理解して,横のつながりで見たことによる成果だと考えています。
【信州大学教育学部附属松本学校園】  小学校の高学年です。小学校では,領域の教科化ということに取り組んでおります。保護者から寄せられた声を1つ御紹介します。子供ができないことを前向きに捉えて,粘り強く取り組むようになってきたことを感じますという言葉です。この言葉は,子供が学校で見出した問いを家に持ち帰り,自分なりの探究を続けている姿を保護者が見ていたからであります。子供たちは,時として遠回りとも見える探究をしています。しかし,その中で教科の見方・考え方を働かせて,教科の本質を見出そうとしています。その探究そのものを意識的に行い,楽しんでいる子供たちの姿があります。
 私たちは,このような子供たちを支えるために,より教科の特質に応じた見方・考え方を鮮明に働かせている子供の姿を捉え,より子供が意識的に教科の見方・考え方を働かすことができる授業を意識し,小学校高学年段階で領域の教科化ということに取り組んでおります。
 中学校になります。中学校でも問い,生徒の思い,願い,問いを大事にし,教科の見方・考え方を働かせて,教科の本質を見出そうとする。そして,その探究を楽しんでいる子供たちの姿を支えていきたいと願い,取り組んでおります。加えて,学んできたことを総合化するということを目指しております。見方・考え方を明確にするために,各教科の領域の特有の見方・考え方を十分に働かせて言語化をすること。こういったことを通して行えるのではないかと考えております。
 総合化あるいは横断的というと,教師が他教科の見方・考え方を働かすことができるような題材の設定や課題設定を行っていくと。そのことによって生徒の学びが深まるということも見えてきておりますが,その一方で,意図的に教科を横断させようとすることによって,カリキュラムや単元作りを難しくしたり,そもそも生徒の思考を狭めさせてしまっているのではないかという課題にも今当たっております。
 中学校12年間の最後ということで,より実社会につながった課題を総合的な学習で題材として扱っています。3年間を通じたスパンでの総合的な学習を行うことにより,より探究のサイクルといったものを保証できるようにしてまいりたいというふうにしてやっております。研究を通じまして,各教科において,その教科の見方・考え方を十分働かせることが大事である。生徒自身が多面的に見たり考えたりすること,見方・考え方を働かせることにより,総合化のイメージを現在大事にして進めております。
【信州大学教育学部附属松本学校園】  最後に課題についてお話しします。課題は,こうした取組をどのように評価するのかということです。子供の強みを生かして,子供の学び方に学びながら進めてきた実践研究の成果を,どんな根拠を基にすると妥当で客観的なのかということについて模索しています。
 昨年度までは資質・能力の要素を表にして,ルーブリックのようなものを作成して,数値化するように目指してまいりましたが,しかし,これには学びを捉える視点を明確にするという良さがありつつも,特定の個別の事例には使えてもほかの場面で使いにくいとか,一度設定すると定型化して,その枠にとらわれたりするというような反省もございます。今,ここにありますような先行実践を基に,その評価方法について検討しております。
 以上で,松本学校園発表を終わります。ありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして貞廣先生,お願いいたします。
【貞廣先生】  失礼いたします。千葉大学の貞廣と申します。大変大仰な題を付けて恐縮ですけれども,意見を述べさせていただきたいと思います。
 私,専門が教育の制度であるとかお金の問題ですので,全くカリキュラムの専門家ではございません。こちらの委員の先生方,正に教育課程の御研究をされている方,また日々実践をされている方,又はこちらの会議で御議論を重ねていらっしゃる。こういう委員の方々の前で意見を述べさせていただくのは大変心もとないところでございますけれども,今年度研究開発学校の審査に関わらせていただいたという経緯から,こちらの席を与えていただいているものでございます。幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
 資料は,本日一枚を追加していただいておりますので,そちらを御覧いただければと思います。
 まず1点目。今後の教育課程の改善に向けた研究テーマに向けてということでございます。正に釈迦に説法で恐縮ですが,大きく3つの柱を本日挙げさせていただきました。適宜資料3-1の3ページ,スライドの5番,今後の教育課程の改善に関して考え得る論点,事務局から出していただいている資料等を参照しながら御覧いただければと思います。
 まず最も重要と思われる1つ目の柱でございます。これは言うまでもなく,新時代の学びに資する教育課程開発の研究であるというふうに考えます。これまでの10年間での社会の変化,又は技術力の変化というのは,我々の予想をはるかに超えているものでありました。ですから,今後はもっと加速化されることが予測されますので,当然のことながら,これまでの研究開発学校の研究を引き継ぐ形で,例えば文部科学省の方で出してくださっているものであれば,多様化・複雑化する現代的な諸課題に対応した教育課程の在り方であるとか,教科学習と教科等横断的な学習を効果的に関連付けた教育課程の在り方であるといったような,教育の内容や学び方を開発していくような研究が重要であることは,もちろん継続して行われるべきものだと思います。
 それに加えまして,3点目のポツで,教材及びツールの開発というのを挙げています。例えばEdTechの導入・活用であるとか,電子教材の活用・開発を行うような,効果的な活用ですね。電子教科書というよりもデジタル教科書も活用されてくるわけですけれども,デジタル教科書をはじめとした電子教材の開発・活用ということを見越したような教育課程開発というのも重要になってくると思われます。
 4つ目として学びの検証システムというのを挙げましたけれども,そこにまず学内の学力検証システムの構築と書きましたが,これは本日議題になっている成績の評価といったものではなくて,子供たちの学力定着・非定着をエビデンスに基づいて手だてを講じていこうとする,短期的なサイクルを学校の中で回していくことによって,成績ということではなくて,どこで定着していなくて,なぜ定着していないのか。じゃあ,手当ては何なのかということを,学内で先生方がしっかりとエビデンスの基づいて考えられるシステムを構築するような研究・開発。又は,その中では公正な個別最適な学習ということを考えるスタディ・ログの活用をしていくような教育課程開発ということも着目されると思います。
 これらの新しい新機軸の研究・開発に当たっては,これまで以上に研究者や産業界など学外者の巻き込みや教育委員会のサポートがなければ成立しないもの,単体の学校だけでは成立しないものであると思われますので,そういうタッグを組んで研究・開発をしていくというような体制もこれまで以上に重要になってくると思われます。
 さはさりながら,働き方改革の問題も大変注目されている喫緊の課題であります。今,教育界は,量を圧縮して質を担保する。若しくは量を圧縮して,それをチャンスにしてむしろ質を上げるというようなことが求められています。そこで2つ目の柱を挙げています。働き方改革や諸リソースの圧縮と,教育の充実とを両立させる教育課程開発に関する研究が重要であると思われます。本日の御報告もそうだったのですけれども,これまでの研究開発学校や特例校は,何らかのリソース,大抵まず予算と非常に優秀な先生方を集めてとか,そこで先生方がすごく頑張ってとか,もう正に先生方の頑張りですけれども,こういうリソースを追加していい成果を出すということだったのですけれども,むしろこういうリソースを追加しないで,若しくは場合によってはむしろ圧縮して,質をいかに担保するかという教育課程の開発がむしろ喫緊の課題になっていると思われます。
 また,こうした視点は,プラスの予算,プラスの人材,頑張りというものが研発の学校ほど可能ではない,通常の公立学校での実装を視野に入れた教育課程研究ということにもつながっていきますので,この2つ目の柱というのは,なかなか現場の先生方,子供たちのためとかいい教育のためというと,もうマジックワードで頑張ってしまわれるわけですけれども,そういう頑張りを伴わず質を担保するという視点が大変重要になってくるのではないかなと考えております。この1つ目の柱と2つ目の柱の両立というのが,今後10年ぐらいの間,教育界に大きく求められてくる姿なのではないかというふうに考えます。
 加えて,3つ目の柱を挙げました。それは,条件整備や学校を取り巻く諸条件を考慮した教育課程開発に関する研究です。先ほど,どの公立学校でも実装できるというふうに申し上げたのとは若干矛盾するのですけれども,それぞれの学校を取り巻く条件が異なっています。そういう諸条件,場合によってはそれが課題になることもあるわけですけれども,そういう条件の課題を克服するような教育課程の開発というのも重要だと思われます。
 1つ目として,まず教員の年齢構成を考慮した教育課程と書きましたけれども,全国的に教員の年齢構成が若干いびつでして,私の大学のある千葉県も大変若年層の教員が増えております。中間層,ミドルリーダーがいないという状態です。こうした経験の浅い先生方で多く構成されている学校で,それでも質を担保するには,どういう学内のマネジメントを伴った教育課程の運用というものができるのかという研究も重要であると思われます。
 また2つ目,学校規模を考慮した教育課程と書きました。これも全国的に,統合しても小規模だという大変学校の小規模化が急速に進行していますが,こうした小規模校の中でも教育を弱体化させないための教育課程の開発。さらに複数の小規模校をネットワーク化して,小規模校のデメリットをメリットに変えていくことが可能になるような教育課程の開発というものも重要になってくると思われます。
 また,最後に学力分布に関する課題を是正する教育課程等と書きました。例えば学内の学力分布が双峰性になっている。フタコブラクダになっているとか,又は低学力層の分布がだらだらっと下に下がっていってしまって多くなってしまっているような学校で,学力定着,底上げを目指すためにはどういう教育過程が必要かということですね。これは文部科学省の方で提供してくださったもので申し上げますと,公正に個別最適化された学びを推進する教育課程ということとも重なる部分かと思われますが,このように学校を取り巻く諸条件をあえて考慮して,教育課程開発,それも全国的に課題となっているような条件をあえて設定することによって,教育課程を開発していくという方法もあろうかと考えております。
 次に教育課程の改善に資する検証についても幾つか意見を述べさせていただきます。研究開発学校などは特にそうですけれども,大変良い実践をしていただくことも大変重要なのですけれども,やはりその先に研究として成立していただきたい。実践そのものが目的というのではなく,その先にちゃんともう研究の姿を伴っていただきたいというふうに考えますと,幾つか配慮,考慮しなければいけない点があるのかなというふうに,審査をしながら感じさせていただいたところです。
 まず,これまでの研究開発学校の課題などを見てみますと,その時代時代にはやりがありまして,並行して複数の学校で,違う言葉は当てているんだけれども同じようなテーマを研究されているという事例が多々見られます。にもかかわらず,他校の実践の中から課題を抽出したりとか,ここはうまくいったけれども,ここが明らかになっていないので,うちの学校ではここでやりますというような学校間での知見の共有。我々研究者は,先行研究のレビューと申しますが,全員がゼロから始める必要はなくて,正に巨人の肩に乗って更に上を目指すというような研究スタイルが必要なのかなと思っております。研究で言うならば先行研究のレビュー,学校間での知見の共有ということが必要かと思われます。
 また,研究をするに当たっては仮説を設定されるわけですけれども,この仮説を焦点化して,検証可能なリサーチクエスチョンにしてある必要があると思われます。先生方,総合的に子供たちを良くしていきたいので,ちょっとふわっとしたような仮説を設定されているように見受けられたのですけれども,もちろん課題に依存するとは思いますけれども,できるだけ焦点化した検証可能な仮説を設定するということも重要だと思います。
 また3つ目でございます。私も仮説を設定して,いつもいつも反証されております。仮説は反証されてもいいものなのですね。反証の中にも反証されたという知見があるわけで,反証も含めたものが研究の蓄積になると思われますが,学校の先生方は大変真面目に取り組まれるので,予算が付いたからには絶対失敗できないといって,反証されないですね。これは,やはり予算が付いたからにはというプレッシャーなんだと思いますけれども,文部科学省の方でも反証されてもいいんですと。それも知見なんですということを是非共有していただき,その上で蓄積を上げていってほしいと思われます。
 そういう意味では,一番最後で挙げていますのは,これは各学校というよりも文部科学省へのお願いです。過去の報告書がアーカイブされていないので,どういう研究がされていて,どこまで課題が検証されているのかということを,各学校の先生方が簡単に見るということがなかなかできないのですね。これをもってして先行研究の検討をしろというのもむちゃな話なのですけれども,是非しっかりと過去の報告書をアーカイブして,検索システムの簡単なものでも結構ですので,検索システムのようなものを作っていただきたいということと,やはり多くの報告書がもう既に出ていますので,そのメタ分析をしっかりとやっていただくべきではないかということです。
 もちろんこれは,事務局の方が自ら手を付けてやるということよりも,どなたか適切な方にお願い,委託をして行うということだと思います。メタ分析をすることで,今どこまで分かっていて,何が課題で,今後何をやらなければいけないのかということが焦点化されてくると思われます。
 以上のような点を審査の中から感じました。大変簡単ではございますが,以上,私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,委員の方々から,ただいまの御説明,御意見等々を踏まえて,御発言をお願いしたいと思います。例によって,御意見,御発言のある方は,名札を立てていただければと思います。今,名札が立っているのは吉田委員と無藤副部会長ですけれども,無藤副部会長,お願いします。
【無藤副部会長】  貞廣先生の御指摘のある意味で敷衍という意味で,加えてということですけれども,貞廣先生の御指摘は全く賛成ですが,その上でなのですけれども,私も研究開発学校とか教育課程のその他の様々いわゆる指定研究の学校に関わることが多かったですけれども,そのときの反省を含めて考えていることです。
 例えば本日の大津小学校,松本学校園の試みというのは,研究開発学校の中でもとりわけ優れたもので,それぞれの目的である実践の改善という方向で,非常にクリアなものを示していただいたと思います。ただ,その2つという具体的なことではなくて,研発学校その他の学校における実践研究全体で言うと,貞廣先生が言われたように,それを積み上げていくということについては,なかなかうまく動いていないと思います。とりわけ,最近の言い方で言えば,いわゆるエビデンスに十分なり得るかということについては,疑問があるわけです。
 それは,私は,そもそもそれぞれの実践研究の計画を立てる段階の問題が大きいし,そこに予算をどう付けるかの問題が大きいと思います。つまりエビデンスとなるためには幾つかの要件が必要だと思いますけれども,1つは,ほぼこれらの指定研究,いわゆる事例研究で,事例研究でその事例に該当するところの改善をするということはもちろんいいことなのですけれど,エビデンス化するためには,必ずその事例に対して他の比較群,ほぼ同じ条件を持ったものの比較で当該のやり方を取らない場合と比べなければ分からないと思いますし,また,何らかの形である程度の人数を追跡調査する必要があるというのが1つです。
 もう一つは,評価の試みもあるわけでありますけれども,子供や教師のアンケートによるものというのは指標としては極めて弱いもので,これだとエビデンスにはならないと考えた方がいいと思います。何らかのもっと客観的な指標が必要です。それは,1つは標準的な様々なテストでありますし,またもう少し踏み込んでパフォーマンス評価,課題を持つということもできると思います。もちろんそれでそれぞれの学校などが目指しているところが全面的に捉えられるとは限りませんので,例えばいじめや不登校がどう変わってきたかとか,様々な補足的資料が要ると思います。
 そういうことと,それからしばしば事例研究を見ていると,いわゆる抽出児という言い方ですかね。何人かのお子さんの様子を取り出して検討しているというのはあります。それは,授業改善のやり方としては非常に深く分析できて良いと思いますけれども,客観的な指標にはならないわけで,客観的指標と言うためには全員を調査しなければいけない。そうじゃないと学力分布は分かりませんので。要するに冷たく言えば,うまくいった場合だけを出しているかもしれないということになります。ということに向けて,計画また予算立てが必要だと思いますね。
 その予算立てで最後にもう一つ申し上げたいのは,実際に研究開発学校等に関わってみて分かるのですけれども,評価のための専門家が関わるような経費というのは,そもそも予算計上されておりません。例えば様々なテストを使うとか,新たなテストを開発するとか,採点するというのはそれなりのお金が掛かりますし,それができる専門家でないとなかなかできないと思いますけれども,それが用意されていないと思いますね。急に話を大きくしていますが,世界的に言えば様々なエビデンスと称されるものがありますが,必ず評価の専門家チームが付いてやっているわけで,カリキュラムを改善するということの専門家と並行して,そのようなチームが必要だというふうに考えております。以上です。
【天笠部会長】  続きまして,吉田委員にお願いしたいのですけれど,その後渡瀬委員,それから市川委員そして大島委員,時久委員ということでお願いします。
【吉田委員】  すいません。ありがとうございます。
 私は,この今後の教育課程の改善についてという3-1の資料に基づいて,ちょっと御質問させていただきたいのですけれども,このSociety5.0と,この学習指導要領の関係がいまだにしっかりと理解できません。と申しますのも,小学校の学習指導要領が2020,中学が21,高校が22と随時学習指導要領がスタートしていくわけですけれども,そこで決まった今回のこの学習指導要領は,これから10年間続くわけです。そして,それがまだスタートする前の段階から,今ここにある例えばスライドの2で言うところの文理分断からの脱却,文理融合というような言葉が出てきているわけですけれど,今回の学習指導要領で高等学校についても結果として理数探究等ができてはきましたけれども,現実に合教科みたいなものはなく,今までどおりの細かな科目編成になっています。
 そういう中で,4のスライドで,この18日に決まったばかりということですけれども,11次提言でSTEAM教育を推進すると。そのために総合的な学習の時間や総合的な探究の時間,理数探究等における課題解決的な学習活動の充実を図るということですが,これは既に新しい学習指導要領に絡んでくるということなのでしょうか。そうなった場合に,5のスライドにあるような教科学習と教科等横断的な学習を効果的に関連付けた教育課程の在り方を,つまりたった週2時間あるかないかの総合的な探究の時間等で含んでやるということが可能なのかどうか。そして,Society5.0で言うところの公正に個別最適化された学びを推進する教育課程の在り方と言うものですが,人的問題をどうやって解決するのでしょうか。費用的な問題を含めて。その辺で,やはりしっかりとしたお話を伺いたい。
 それから,文部科学省で言うところのこのSTEAM教育というのは,推進とおっしゃいますけれど,何をどうやってやるのかが全く見えていません。我々,今回の学習指導要領の改訂に伴って,もう数年前にSTEAM教育,STEAM教育ということで合教科云々でスタートしたので大変喜んでいたところですけれど,それが結局全然かなわないで,今決定した後からまたこういう話が出てきているということも含めて,御説明を頂きたいと思います。
【天笠部会長】  直接事務局からすぐ1対1ということじゃなくて,しばらく委員の方の意見を頂いた後,しかるべきところでお願いしたいと思いますので,よろしくお願いします。
 渡瀬委員,お願いいたします。
【渡瀬委員】  発表のお三方,ありがとうございました。
 まず大津小学校,私はもともと小学校の教員ですから,大変興味深くお話を伺わせていただきました。質問ですけれども,この生活数理の時間の取り方はどのようにしているのでしょうか。学年によって時間数が違いますけれども,例えば修学旅行の前とかに集中的に時間を取ったり,学年によっては,週1回取ったりするのでしょうか。それから時間割の取り方と,課題設定をいつ,誰が行うのかということの関係が大きいと思います。子供たちの生活の中で,生活数理のトピックの決定をいつ,どのように,誰が行うのかということによって,今年は何年生はこの時期にその時間を取りましょうという形になると思いますけれども,そこのところの関係を教えていただきたいというのが1点です。
 それから実施の効果について,児童と教員のアンケート結果がありますけれども,やはり数理的にどのように高まったかということで,統計的な視点をどう持てたかのようなことでの検証ができると,より深まるのではないかと思いました。
 それから信州大学教育学部附属の発表も,私どもは私立で幼小中高の一貫教育を行う学校ですから,大変興味深く伺いました。信州大学教育学部附属は,高等学校はないんですね。分かりました。やはり中学校終了までに,たくましく心豊かな地球市民としての資質・能力が高まったかどうかについては,それが高等学校や社会でどのように生かされるのかというところが,最終的な評価につながると思いますし,そこまでをトータルで考えたときに,テーマであります学びの総合化ということにつながってくると思います。中学校まででどう資質・能力を高めたかということだけで終わってしまわずにその先も見ていくと,更に良い研究になると思いました。
 貞廣先生,ありがとうございました。スタディ・ログを取って,個別最適化されたアダプティブ・ラーニングをするというのは絶対効果があると思いますし,そのためのEdTechが必要ですけれど,お金が必要だと思います。
 それから私たちもいろいろな教育改善をしますけれども,教育改革をしようとすると忙しくなるなというふうに思うことをなくす方策があれば,どんなにすばらしいかと思います。ありがとうございました。
【天笠部会長】  それでは,続きまして市川委員,御発言をお願いいたします。
【市川委員】  貞廣先生のコメント,どれも非常に私ももっともだと思ったのですけれども,特に私が常々大事だなと自分自身も思っていたのは,この公立学校への実装ですね。インプリメンテーションを視野に入れた研究ということです。研発それから多くの附属校,国立大学の附属校でもそうだと思いますが,研発だからできるのでしょうとか,附属だからできるんですよねと言われるのは,恐らく不本意だろうと思います。
 もちろん研究の段階ではそういう開発をしていただいて,その開発されたものが公立学校でも役立てられるということを狙っていらっしゃるとは思いますけれども,これも貞廣先生がおっしゃったように,やっぱり研究段階では確かにリソースがいろいろ掛かっているんだと思いますが,何もそんなにリソースを掛けなくても,それから何も優秀な先生ばかりとか優秀な子供たちでなくても,一般の公立学校でもこれが日常的に実践できるんだというのが目指されるところなんだと思います。その上で,それぞれの実践に関して,ちょっと失礼かもしれませんが,簡単なコメントをさせてください。
 まず,この生活数理ですね。私は,これは狙いとしてはすばらしいと思います。やっぱり算数とか数学は学問的にこういう意義があるということでなされるだけではなくて,生活あるいは自分の将来の仕事などにも結び付いていくという見通しを子供に持ってもらうということは,非常に大切なことだと思います。ただ,恐らくこれは開発するのに相当のエネルギーを要していて,大変なことだと思います。むしろどういう点が大変なのかと。それはどうやって克服できるのかということ自体を,研究の中でかなり表に出していただけるといいなと。
 それから研究が終わったときに,今年も3年を超えて4年目と伺いましたが,4年目は,できれば予算がそんなに付かなくても,それから学校の先生はどんどん異動もあると思いますが,その中でもこういう形で実装ができていくということを示す年。4年目,5年目は,普通の学校でも,これはこういう形でやればできるんですというところまで示していただけると大変ありがたいなと思いました。
 信州大学の学びの総合化なのですが,探究の学習としては,これ,確かにすばらしいと思うのですが,いわゆる習得とか活用のこととどう連続的に結び付いているのかという全体像を是非示していただきたいと思いました。特に探究ですから,これは子供の願いとか思い,問いを大切にする。それに即したテーマを追究していくということでいいと思うのですが,願いとか思いとか問いはどこから出てくるのか。これは,個々の子供が,自分でそれぞれの生活体験をしていれば出てくるだろうというだけではないと思います。むしろふだんの日常的に行われているそれぞれの教科の習得的な学習を受けながら,受けてみるとこんな疑問が湧いてきたとか,こんなことを追究してみたくなったという,かなり質の高い問いが出てくるのではないか。
 そういう教師の働き掛けなしに,子供がただ生活経験から出してくる問いというのはかなり素朴なものだったり,あるいはとても扱いようのないものだったりということがよくあります。これは,大学の卒論のテーマを決めるときも全く同じでして,ふだん授業をきちっと受けていない学生は,自分ではとてもできないような問いを出してきて,結局自分でも不満足なまま終わるということになりがちなんですね。
 すると,やはりふだんの習得の授業を受けながら,そこから,でもいろいろな問いが発生してくるような結び付け方というのが大事だと思いますので,そこでのまた知識・技能が生かされるからこそ高い追究にもなるという形で,全体としてこの習得・活用・探究のプロセスにわたって,どのようなカリキュラムが組まれているのかということを示していただけると,これもまた実装ということに役立つのではないかなと思います。大変すばらしい探究だけれども,それは探究だけがすばらしいのではなくて,やっぱり全体としてうまく動いている。それは普通の公立学校でもできることなんだという形で示していただけるといいかと思いました。以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 今発言を求めている方は,次に大島委員にお願いしたいと思うのですが,時久委員,それから善本委員,大方委員,そして荒瀬委員でよろしいでしょうか。
 それでは,大島委員,お願いいたします。
【大島委員】  ありがとうございます。
 2つの研究発表を聞かせていただいて,本日お話しいただいたのは成功例だということだと思います。授業という場,科目という場の形成, そして,誰が教えるなどの人の面で,うまく形成されて成功されたのではないかと思います。その中で,それらをどのように体系化して,ほかの学校にもこれらを適用していくのに,どうしたらいいんだろうかと疑問に思っていました。貞廣先生からの検証についてのお話を聞いて,非常に参考になりました。その上で,2つほどコメントさせていただきたいです。また,1つ質問させていただきたいと思います。
 私のバックグラウンドは教育ではなくて,機械工学科です。なので,このような問題,特に貞廣先生が最後に挙げられている教育課程の改善に資する検証という点で,例えば共有化するということは,私たち工学系では学会がされています。学会ではこういう共有化ということについて働きかけをされていないのでしょうか。それが質問です。
 2つのコメントについては,私自身は機械工学科のため,製品開発を行います。製品開発と教育と違うところはあるかと思いますけれど,成功する例を見ていると,製品開発という研究と,やはり評価基準というものがパッケージ化しているケースが比較的結構多い。多分それは無藤先生が御指摘されているところにもあると思います。
 なかなか教育というのは個体差,すいません,私はバイオをやっているせいで個体差と言ってしまいますが,個体差じゃなくて人ですね。生徒さんであったり,あと学校という場ですね。集まっている人々は各の異なりますので,それを1つの基準で評価することは非常に難しい問題だとは思います。しかし,やはり貞廣先生がおっしゃっているような,何かケーススタディーが共通でできるような問題設定をして,開発と評価基準という両輪でプロジェクトを立ち上げることによって,それらを基軸に少しずついろいろな体系化していくという観点も大事なのではないかなと思いました。すいません,私,教育分野ではないので,全然違う観点でこういうことを申し上げるのは申し訳ないです。非常に問題なのかなとは思いますけれど,あくまでも参考にということで,少し考えていただければありがたいなと思っています。
 2つは,その観点からもう一つ言いますと,最適化という言葉を多用されていますが,ここで言っている最適化というのは,多分ある時間での,ある場での最適化であって,その最適化は,全体を見たときの最適解では必ずしもないです。そういう観点は非常に危険なので,最初のコメントとも関係するのではないです。けれども,やはり全体設計として,何を教育としてある程度生徒さんに身に付けさせたいか。それは多分学習指導要領で非常にクリアにしていただいているとは思いますけれども,やはりそういう観点から,何を,時間軸とその場を含めて最適化していくかということを考えていかないと,最適解が必ずしも全体の最適解ではないということを,私はそういうことを研究しているので,是非考えていただきたいなと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして時久委員,お願いします。
【時久委員】  どうも御発表ありがとうございました。
 お聞きしていて3つのことを強く思いました。1つは,これからの新しい教育課程に向けていくときに,都道府県の教育委員会,それから区市町村というか,教育委員会の役割がいかに大きいかというところをつくづくと思ったところです。2つ目は,子供たちの育ちを見たときに,一貫教育というか,一貫的に育てていくというそこの大事さ。3つ目は,総合的な学習の時間は絶対に大事という,その3点を強く思っています。
 私が市の教育委員会,人口2万7,000人ぐらいで,小・中学校が10校,あと区域内に保育園,幼稚園,小・中学校,高等学校,大学が全部そろっている町なものですから,それを1つの軸を作ってまとめていくのに,すごく年数が掛かっているということもあって,そこを基に現場サイドからお話をさせていただきたいと思ったのです。
 お聞きしていて元気を頂きました。この新しい次の教育を創っていくという,ここは希望です。本当にうれしく思いました。現実を見たときに,今のこれからの新学習指導要領のこの内容の充実,そして成果に向けていくという取組で,学校現場としたら大変苦労しているというのが現実です。それに新しい言葉,例えば人生100年時代とか,それからSociety5.0とかAIとかEdTechとか。とにかくいろいろなものが入ってまいりまして,学校としては,それを全部含めて,この新しい教育課程をやっていくときに,どういうふうに組み込んでいこうということを,とても悩みながら進んでいるところです。
 それはそれとして,だからこそ次の改訂に向けるというか,新しい教育を創る方向性をこのように実践をしていただきながら示していただけるということは,これからの教育を見通せるということで,大変うれしく本日聞かせていただいたところです。この創造的な営みというものは大変という思いもあるかもしれませんが,次への今の教育の流れを,次へどういうふうに続けていくかというモデルを研究してくださっているというところは,大変うれしく思うところです。
 教育委員会の大事さということは,学校現場はそういう実践で苦労していますので,教育委員会として,新しいところを見通しながら,いろいろなものをどういうふうに組んで,どういうふうに充実させていくかというところで,リーダーシップを取るべきというところで,大変重要だろうと思ったところです。
【天笠部会長】  次に善本委員,それから大方委員,荒瀬委員ということで,御発言をお願いいたします。
【善本委員】  お三方の発表を伺いまして,本当にありがとうございました。
 お話しいただいた内容も踏まえつつ,先ほど来お話も出ております文理分断からの脱却という観点について,中学校,高等学校の現場を預かる者としての意見も述べさせていただきたいなと思っております。
 教育課程の改善というのは常に不断の努力が必要なわけですが,特に学習指導要領の改訂期が当然大改革のチャンスになるということなのですけれども,特に高等学校に関しては,小・中学校と大きく違うのは,学習指導要領の改訂が年度進行になっているということでありまして,新しい今度の学習指導要領が出そろうまで,全日制であと6年,定時制だとあと7年掛かるんですね。かなり時間が掛かります。
 その中で,この文理分断の脱却の問題は,私はスピード感を持ってやっていかなければいけないのではないかなと思っているので,学習指導要領の改訂と,先ほど吉田先生からもお話がありましたけれど,どのような生徒層をターゲットに,どういうスパンでやっていくかということが物すごく大事で,もしかしたらとても急がなくてはいけないのではないか。6年,7年たったら,もう大きく世の中は変わっていますよね。そのときに新しい学習指導要領がやっと出そろうという。小・中学校のように一遍に変えられないので,そこが非常に大事だなと思っています。
 それから少し細かい話になりますが,これ,文理分断の脱却という言葉ですけれども,文脈としては,理にもう少しシフトしていくとか,理がやっぱり弱いという課題意識があってのことだと思います。それに関しては,長年高等学校を見てきた者としては,教育課程の中にやっぱりその原因を見ることができると思っています。
 例えば数学は,教育課程上ほとんど変わりないように思われる方が多いと思いますけれど,実際には数学I,数学II,数学IIIとなっていて,今の前の学習指導要領のときから,数Iと数IIの時間の付け替えが行われて,昨今三角関数は必要かどうかという議論が世間ではあるようですが,それまで全員が学んでいた三角関数は数学Iから数学IIに移行したので,要は必履修ではなくなっているんですね。三角関数は必履修ではなくなっている。
 理科に関して言えば,今の改訂から,理科基礎という科目,それぞれの4領域の基礎科目ができてしまって,かつては物理I,物理IIというふうになっていて,物理Iが4単位で物理IIが2単位だったんです。ですから,下の単位が重かったんですけれど,今,基礎科目とそうではない科目になって,この単位数が逆転していて,みんなが学ばなくてはいけない基礎が2単位。基礎の付かない科目は4単位ということになっているので,要はそういった科目を多くの人たちがやるという環境が,教育課程の中で変わってきている。もちろんそれには合理的な理由があってのことだと思います,全体的なバランスでの。
 それからSTEAMに関して言えば,STEAMのAの部分。これは,私も長年教員をやっていて非常に変化を感じていて,実はかつては芸術科目というのは,高等学校でも高校2年生まで全員が選択して行うのが普通だったんですけれど,今は必履修の2単位だけ。大体高校1年生で2単位やって,それでおしまいという教育課程が非常に多く,また,芸術の専任を特に進学校などでは置かないような傾向が非常に広がっています。
 ですから,このSTEAMに関する課題意識というのは,やっぱり教育課程に一つの原因があると考えるべきだし,その原因の部分は,次の学習指導要領でも変わっていないんですね。ですから,そういう状況の中で,どうやってこれを実現していくか。スピード感を持ってやっていかなくてはいけない。私どもの学校では,もう既に新学習指導要領の教育課程を決めたのですが,この文理分断からの脱却ということが出てきたので,また一からやり直さなければいけないと考えています。そういった意味で,お願いいたします。
最後に理数探究に関しては,非常に新しい可能性のある科目として置かれていて,小学校でも置けるのではないかという話がありました。私もこの科目には非常に期待をしているところですが,一方で,文部科学省の教育課程の全国の説明会なんかでも,これを大学入試の演習科目として総合的な学習の時間の代わりに使えるのではないかみたいな質問が出ているというふうに非常に危機感を持っています。これは,前にも申し上げましたが,是非そのようなことにならないように,手を打っていただきたいなと思っています。以上です。長くなりました。
【天笠部会長】  続きまして大方委員,お願いいたします。
【大方委員】  ありがとうございます。
1つは,この教育課程の改善ということで,先ほどのお三方の発表,ありがとうございました。貞廣先生のお話に基本的に共感するものですが,免許を出していく養成校の教員が,それぞれにおいても本日のような議論及び評価の観点が三観点になっていくようなことを,学んでおかなければ,結局新しく輩出される教員がそれを知らずに,またゼロのスタートになってしまうので,そこの接続を是非お願いしたいということです。もうひとつは,養成課程の教員も,こういう情報を学ぶ研修の場が与えられたら,より良いのではないかと思ったことです。
 熊本の先生の御発表を拝聴していて,本当に興味深く伺いました。生活科の科目そのものが,理科・社会の融合であり,又は幼児教育との接続ということが現在意識されている中で,この生活科の中で本日のことはできなかったのかという比較検討。又は社会もこの中に入り込んでいるので,その辺のところをまた今後御検討いただけたら,より良いのかと思いました。
 それから信州大学の先生の御発表を拝聴していて,本当に興味深く伺いました。遊びの領域化というところでは,4つの領域で,「ことば・かがく・くらし・ひょうげん」としていただいているのですが,現在幼稚園教育要領は5つの領域であり,あえてこの4つにしたことの根拠というもの。又は遊びに打ち込むということで,小学校以上は「探究」という言葉を,先ほど市川委員も「探究」についておっしゃっておられたように使っておられるのですが,幼児教育においても現在「探究」という言葉を使っております。ここでは,あえて幼児期を「探究」としなかった根拠等もお示しいただいたら,より良いのかと思いました。以上でございます。
【天笠部会長】  荒瀬委員,お願いいたします。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。御発表ありがとうございました。
 1つずつ申し上げたいと思います。
【天笠部会長】  次のことがありますので,よろしくお願いいたします。
【荒瀬委員】  すいません。大津小学校で1点お尋ねしたいのは,7ページの実施の効果ということで,児童の意識ということで見ていらっしゃるわけですけれども,大変失礼な言い方になるかもしれませんが,最高が7割程度で止まっている。3割ぐらい,あるいはそれ以上が必ずしも効果が上がっていないかのように見えるわけですけれども,この状況というか原因の分析というか,そういったことについて,もしお時間があればお聞きしたいということが1点です。
 それから信州大学附属については,5ページのところで,下の方で書いていらっしゃる,課題として御発表になったところですけれども,児童生徒の育ちを数値化できないかということをお考えのようですが,どうすれば数値化できるのかなというのは私も思いますけれども,そもそもこの数値化するということの必要性があるのか,ないのかについても,あるいは私はちょっとよく分からなくて,その点についてお尋ねしたいと思っていました。
 最後,貞廣先生のお話,大変ありがとうございました。勉強になりました。ただ,現場の学校というのは,なかなか巨人の肩に乗れないところが現実ではないかと思うんですね。行ったり来たりしながら,少しずつ変わっていくということが,もう十分御承知のことだと思いますけれどもありますので,なかなか現場が動かないということで,それで駄目だということにはもちろんならないわけですし,かつまた普通の学校でもできるような教育課程の研究をということはもちろんそうなのですけれども,普通の学校においても,先生が優秀でなくてよいということにはならないので,それはもう自明のことではありますけれども,養成それから採用・研修といったようなことがしっかりと行われるということが非常に大事だなということを思ったという感想でございます。以上です。
【天笠部会長】  どうも委員の方々にはせかすようなことを申し上げて,恐縮でございます。
 貞廣先生,そして大津小学校と附属松本から一言ずつ,今の全てにお答えというのはなかなか難しいかと思いますので,何か感じられたことについて一言応答していただいて,その後,事務方に受けていただいて,それは本日もう一つ,4つ目の議題と関わらせている部分が出てきている部分があるかと思いますので,併せて4つ目の議題ということをそのときにお願いしたいと思いますので,まず一言お願いいたします。
【貞廣先生】  どうもありがとうございます。評価のお話が何人かの委員の方々から出ました。ここは最も難しいところだったと思いまして,実際にペーパーには載せませんでしたけれども,無藤先生がおっしゃっていたように,もう予算の段階から評価の方の専門家が関わるような計画にするであるとか,大島先生の開発と評価基準をパッケージ化する。正に教育の実践の中には,なかなかこれまでなかった視点ですけれども,大変重要な点かなと考えております。
 また,学会の方でアーカイブというかレビューをしていないのかというお話ですが,カリキュラム学会の件については,恐らく。
【天笠部会長】  そうですね。日本カリキュラム学会という学会があって,そういう点では,一番ここがそれについてのことを取り上げている学会ではないかと思います。じゃあ,よろしいですか。
【貞廣先生】  ありがとうございました。
【天笠部会長】  すいません。大津小学校の関係の方,一言ありましたらお願いします。
【熊本県大津町立大津小学校】  失礼いたします。時間割と課題設定について,渡瀬先生から御質問を頂きましたけれども,大まかな年間計画等ございますけれども,それに応じて,子供たちの状況,他教科等の状況に応じまして,学年部で相談しながら実施していくと。ですので,毎週の時間割の中に生活数理というのが1時間ずつあるというわけではなくて,その単元に応じた時間を設置しております。
 また,課題設定におきましても,それぞれの行事やイベント等々併せまして,学習内容と併せまして状況を見まして,教師の方から話題提示をし,条件等整備し,確認はしますけれども,課題を設定するのは子供たち自身ということです。ですので,クラスによっても年度によっても,例えば価値観に関する条件等につきましては,満喫する言葉ですとか,楽しめるとか,クラスによって少しずつ変わっている様子です。以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして,附属松本学校園,お願いいたします。
【信州大学教育学部附属松本学校園】  よろしくお願いします。
 今,受験期で,子供たちがうちで勉強しているときに,こんなことを言ったという日記がありました。分からない問題があったときに,問題集の解説を見ても全然分からないんだけれども,授業で何をやったかな,あのとき友達が何か言っていたなということを思い出すと分かる。子供たちの習得は,そのようないきさつに裏支えされているという実感は私たちの中に確かにあるのですが,それをどのように表現していくかということは,本日先生方から御意見頂いたことで,また考えてまいりたいと思います。ありがとうございました。
【天笠部会長】  それでは,お願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  吉田委員から,Society5.0のレポートと新しい学習指導要領の関係等について,御質問いただきました。基本的には,この新しい学習指導要領は,このSociety5.0に書いてある記述についても含んで,既に策定されているものだと思っていますので,私どもとしては,まずこれを真摯に遂行していくということが大事かなと思っております。ただ,一方で時代の変化によって,新しいテクノロジーが出てきたり,あるいは新しいニーズが出てくるということもあろうかと思いますので,そういった点については,この学習指導要領もこれから10年ずっと必ずそうなるか分かりませんので,そこについては不断の見直しを随時行ってまいりたいと考えております。
【吉田委員】  STEAMのことは?
【白井教育課程企画室長】  STEAMという言葉が新しくここでは登場してきておりますけれども,ただこれも学習指導要領の中では,既に総合的な学習の時間,理数探究等で入っているところでございます。これから,解説も作成してまいりますし,また教科書もできていく。様々な教材,事例集等もこれから整備していくということで,こちらも着実に学習指導要領の中で進めてまいりたいと考えてございます。
【吉田委員】  いや,できるのですか。それが聞きたい。できると言い切るのか。それも,新しい学習指導要領の中で。
【白井教育課程企画室長】  STEAMをどのように捉えるかということにもよると思いますけれども,この新しい学習指導要領で既に規定しているところについても,これを,着実に進めていくということになろうかと思います。
【吉田委員】  いや,だからSTEAMってどこを求めているのですか。先ほど私が質問させていただいたのは,STEAM教育って,どこを言っているのか分からない。その総合的な学習の時間2時間だけでできるような,そんなものなのですか,STEAM教育って。だから,そこを文部科学省の見解を伺いたい。
【白井教育課程企画室長】  STEAMにもいろいろな考え方があると思います。各教科の中で学んでいくSTEAM的な部分もあると思いますし,またその教科で学んだことをつなげていく,教科横断的な部分,両方があると思っています。これまでの学習指導要領の議論の中で,この総合的な学習の時間の設計であるとか,あるいは理数探究の設計。これは,各教科の,各学校の判断ということになりますけれども,その中でそれぞれニーズを踏まえて,当然学校によって,また児童生徒の状況によって,どこまでのSTEAM教育を実施していくとかでは違うと思いますので,その中で御判断いただくものかと存じます。
【天笠部会長】  それでは。議題3はここまでということにしたいと思います。
 引き続き議題4について,御説明,御報告をお願いします。
【白井教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,資料4-1から4-3までについて御説明させていただきたいと存じます。
 資料4-1は,新しい学習指導要領のパンフレットでございます。前回の教育課程部会で頂いた御意見を踏まえて,若干修正をしてございます。まず,資料の3枚目のところになります。山本委員から御指摘を頂きましたカリキュラム・マネジメントの部分がちょっと薄いのではないかということで,こちらについては,より増強しています。また善本委員からも高校の教科について,表現がちょっと正確でないのではないかという御指摘を頂きましたので,各学科に共通する各教科等ということで,各教科の記載を書いてございます。
 すいません,ちょっと前後しましたけれども,その前のページで,社会に開かれた教育課程の実現ということで,保護者宛てのメッセージ,その下にDATAという部分がございます。こちらについて篠原委員からの御指摘で,例えばスマホ,ゲームの時間であるとか,新聞等の習慣についても触れるべきではないかという御指摘を頂きまして,調査・研究等に基づきまして,こちらについても追記しているという状況でございます。
 これで文部科学省ホームページに掲載して,今後印刷に入りたいと存じます。
 また,今後1月28日から2月3日まで1週間でございますけれども,Yahoo!ニュースモバイル版というものがございまして,こちらの方で政府広報のバナーというものが出てまいります。そちらについては,新しい学習指導要領について掲載の予定でございます。そのバナーの中で,このリーフレットの完成,それから読者がこのバナーをクリックしていただくと,掲載されている文部科学省のホームページに誘導されるようになっているということでございます。なお,Yahoo!ニュースモバイル版の政府広報については,このバナーが登場する確率は4回のアクセスのうち1回程度でございます。委員のお手元には,そのバナーのイメージについて,机上配布資料2として,お配りさせていただいております。
 続いて資料4-2です。新しいウエブサイトについてです。従来から学習指導要領のウエブサイトはあったところでございますけれども,これについて,より分かりやすくする。またリーフレットとも共通のイメージを作るということで,資料4-2にございますようなイメージでウエブサイトを再構成するということで,予定しております。2月13日水曜日から,新しいものに更改する予定ということでございます。
 最後です。資料4-3です。俳優の香川照之さんに,12月25日に,文部科学省として,新しい学習指導要領を含めた教育・文化に関する応援団ということで,こどもの教育応援大使に御就任いただいております。今後香川さんにも学校教育などについてインタビューをして,この学習指導要領に関するウエブサイトにも随時掲載していく予定でございます。
 また,元ハンマー投げの選手で,現在東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会にいらっしゃる室伏広治さんへのインタビューを先日実施したところでございます。そういった方々のインタビュー等についても今後掲載していく予定でございます。
 また,今後も様々な作業を進めておりますけれども,順次教育課程部会の方で御報告させていただきたいと存じます。
【天笠部会長】  これについては,もう時間もなくなりましたので,何かお気付きの点がありましたら,事務局の方に委員の方から,それぞれの方からお伝えいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 なお,先ほどの3つ目の議題,研究開発学校の関わりなのですけれども,一言だけ私の方から感想を述べさせていただきます。先ほど善本委員の御発言の中にもあったかと思いますけれども,スピード感とか時間的な進行状況というのが,かつての時代に比べて御承知のように随分変化してきて,言うなら世の中の動きが速くなっていく。そういう中に従来の研究開発学校のシステムとか,こういう学習指導要領の普及のそれを伝えていく現場へのシステムとか,時間的なそれというのがうまく平仄が合わなくなるようなことが多々出てきています。
 例えば従来の研究開発学校だったら,いわゆる先駆けるということが一つあったかと思いますけれども,世の中の方が先に進行していて,どちらかというとそれとうまく正に先駆けられないような状況等もいろいろ見られるような状況の中で,どうやって変化する時代の中の研究・開発の在り方というふうなことについては,より一段と知恵を絞らなければいけないと思いますし,また,その学習指導要領の改訂の進め方とか伝え方ということと一体的になってそれを考えていかなくてはいけないところというのが今の時点かなと思います。そういう意味では,議題3と議題4をどういうふうに整合させながら進めていくかどうかということについて,より一段と御検討いただければと思います。
 すいません。時間の進行でせかすような発言をさせていただいたこと,いろいろ失礼申し上げたかと思いますけれども,ここまでとさせていただきたいと思います。今後のこと等も含めまして,事務局から御連絡等々お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  来月2月をもちまして,第2期の中央教育審議会の委員の任期が御満了となります。そのため,本日が教育課程部会としては最終回ということになります。事務局を代表しまして,局長の永山から御挨拶申し上げたいと存じます。
【永山初等中等教育局長】  本日は一つの区切りということでありますが,一言御挨拶,お礼を申し上げたいと思います。
 本部会におきましては,本当にいろいろな課題,本日の学習評価の問題も含めまして,大変貴重な御意見を頂きました。私ども,頂いた御意見を踏まえて,しっかり取り組んでまいりたいと思いますし,また,今後ともどうぞ御指導賜りますよう,切にお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
【天笠部会長】  それでは,本日予定しました議題は全て終了とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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