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教育課程部会(第107回) 議事録

1.日時

平成30年10月1日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループの検討状況について
  2. Society5.0時代を見据えた総合的な学習(探究)の時間の在り方について
  3. 教育課程の改善に係る研究事業について
  4. その他

4.議事録

【天笠部会長】  それでは,ただいまから第107回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催させていただきます。
 関東地方は,未明の台風の通過ということがあり,今朝は交通等々がいろいろ乱れる中,足元が大変悪い中お集まりいただいたことに対しまして,心からお礼を申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。
 また,本日の部会につきましては,報道関係者より会場の撮影及び録音の申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきください。
 それでは,本日の配付資料について,事務局から説明をお願いいたします。
【白間大臣官房審議官】  それでは,失礼いたします。資料の御説明を差し上げる前に,大変恐縮でございますけれども,少し時間を頂きまして,私から一言申し上げさせていただきたいと思います。
 初等中等教育局の白間でございます。冒頭,貴重な時間を頂きまして,本当に申し訳ございません。今回,文部科学省の幹部職員が国家公務員倫理法及び倫理規程違反ということで,処分をされました件について,一言,お詫びを申し上げさせていただきたいと思います。
 本件,7月に文部科学省幹部職員が収賄容疑で逮捕,起訴されるという,大変重大な事案が発生いたしました。これを受けまして,文部科学省では調査,検証チームを立ち上げまして,職員の服務規律の遵守状況等に係る調査を実施いたしました。その結果を受けまして,幹部職員3名について懲戒処分,1名について行政措置を講じたところでございます。その中で,戸谷前事務次官及び高橋前初等中等教育局長から当該処分を非常に重く受け止め,これを機に身を引きたいという申出がなされ,21日付で辞職をいたしたところでございます。
 これら一連の事案によりまして,教育行政に対します信頼を著しく損ないましたこと,国民の皆様,とりわけ教育関係の全国の皆様,学校現場の皆様に対しまして大変申し訳なく,心よりお詫びを申し上げさせていただきます。
 今後,文部科学省といたしまして,事実解明に引き続き努めるとともに,再発防止策を講じ,職員の服務規律の遵守の一層の徹底を図りたいと思います。そして,学校における働き方改革をはじめまして,今まさに取り組んでいる,本日の部会でも御審議いただく議題をはじめ,文部科学行政の重要課題への対応,日々の業務,これを一瞬も遅滞なく執り進めてまいりたいと,一生懸命に頑張ってまいりたいと思います。
 引き続き先生方の御指導を賜りますよう,心よりお願い申し上げます。
 失礼いたしました。
【天笠部会長】  それでは,改めまして,本日の配付資料につきまして説明をお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  本日の配付資料は,お手元の議事次第にございますとおり,資料の1から資料の3まででございます。不足等がございましたら,事務局にお申し付けください。
【天笠部会長】  それでは,本日の議題に入らせていただきます。
 まず,議題(1)に入ります。現在,本部会の下に設置しております,児童生徒の学習評価に関するワーキンググループにおいて,新学習指導要領下での学習評価の在り方について議論を重ねておりますので,その検討状況について,事務局から説明をお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,まず資料1-1を御覧いただきたいと存じます。児童生徒の学習評価に関するワーキンググループにつきましては,昨年7月のこの教育課程部会におきまして,設置をお認めいただいているところでございます。それ以来,8回にわたりまして,精力的に委員の先生方に御議論いただいてきたところでございます。
 今回,論点ということで,ある程度まとまりましたので,この教育課程部会に一旦,御報告させていただきたいと考えてございます。
 資料1-2が,今回,一番御説明したいところでございますけれども,その前提として資料1-3「学習評価に関する資料」というものがございます。こちらを簡単に触れさせていただきたいと存じます。
 資料1-3の,まず1ページ目でございます。「学習評価の種類」とございます。現在,行っておりますのは一般に絶対評価と言われておりますけれども,目標に準拠した評価ということで,学習指導要領に示す目標に照らして,その実現の状況を見るということでございます。
 具体的には,観点別の学習状況の評価ということで,観点ごとの分析的な評価を行っているということと,また,同時に総括的な評価としての評定を行っております。5段階での数字による評価ということになります。
 具体的な記述というのが通知表であるとか,指導要録,調査書等に書かれるわけでございますけれども,次の3ページ,4ページに,具体的な指導要録の様式を掲載してございます。指導要録の参考様式を国からお示しをして,各教育委員会において,この具体的な要録を定めていただく方式になってございます。
 指導要録には大きく二つの部分がございまして,3ページが学籍に関する記録。何年に入学したであるとか,具体的な氏名,生年月日等の事実的な情報を記載するものでございます。
 4ページが指導に関する記録ということでございまして,各教科の観点別の評価,それから特別の教科「道徳」,外国語活動,総合的な学習の時間等については,文章による評価,それから,一番下にございますけれども,評定ということで,観点別学習状況の評価を踏まえた評定を記述することになってございます。また,右側には行動の記録や,総合所見,出欠の記録といったものを記載する形になってございます。
 次の5ページです。先ほどのものは小学校の指導要録の様式でございますけれども,高等学校ついては教科数,科目数が多いということもございまして,現行では,左側にございますように,各課目の評定と修得単位数を記述するというシンプルな形になってございます。総合的な学習の時間,特別活動,それから総合所見,出欠の記録,右側については小学校とおおむね同じになってございます。
 次の6ページですが,観点別学習状況評価につきまして,従来4つの観点,現行では「関心・意欲・態度」,「思考・判断・表現」,「技能」,「知識・理解」という4観点に基づく観点別評価を行ってまいりました。今回,中教審の答申におきましては,学力の3要素に従った形で,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「主体的に学習に取り組む態度」,この三つの観点に整理をすべしということで,答申を頂いているということでございます。少し参考になりますけれども,御紹介させていただきます。
 それでは,資料1-2にお戻りいただきたいと存じます。資料1-2は,9月20日に行われました学習評価に関するワーキンググループの資料で,今回,「検討を要する論点(たたき台)」ということで,これまでの御議論を踏まえて,論点を整理したものでございます。
 まず,1ページから御説明させていただきます。「基本的な考え方」でございます。指導と評価は学校教育の根幹である。新指導要領が目指す資質・能力を育成するためには,その趣旨を踏まえて,指導と評価の充実を図ることが必要であるということを基本として,書かれています。
 一方で,評価については,例えば学期末,学年末の通知表等における事後的な評価が中心になって,具体的に児童生徒の側としても,例えば算数が4であると言われても,どのように改善していったらいいのかがなかなか分からないのではないか。現行の観点の一つですが,「関心・意欲・態度」については,挙手の回数やノートのとり方など,一時的に児童生徒の性格,行動面が表示された場面を捉える評価であるという誤解が,いまだに根強いのではないか。先生方が評価のための記録に労力を割かれて,指導に注力できていないのではないか。指導要録は先生方が大変な労力を掛けてお書きいただきますけれども,これがなかなか次の学年や学校段階で活用されていないのではないか。評価の方法については,かなり学校の先生方の裁量が大きい部分でございますけれども,それらは各学校,先生方によって異なるにもかかわらず,例えば公立の高校入試などにおいては,中学校による評定を重視した選抜が行われているのではないかという御指摘もございます。
 こういったことを踏まえて,今後の評価については,児童生徒の学習改善につながる,それから先生方の指導改善につながる,またこれまで慣行として行われてきたことでも,もし必要性,妥当性が認められないのであれば,それを大胆に見直していくべきではないかということを,基本的な考え方としてまとめさせていただいております。
 2ページにお進みいただきたいと存じます。
 まず,最初の論点が,先ほど御紹介させていただきました指導要録の改善についてという点でございます。高等学校については,先ほど御覧いただきましたように,観点別学習状況の評価については,指導要録の参考様式上は特に欄がございませんでした。評定値と修得単位数のみを書くということでございましたので,これについても観点別学習状況の評価に係る欄を設けるということでよいのかどうかというのが,一点目でございます。
 それから,二点目です。指導要録の取り扱いですが,こちらについては,現在,働き方改革の文脈の中からも,指導要録を大幅に簡素化すべしという御提案を頂いているところでございます。具体的に,例えば総合所見及び指導上参考となる諸事項など,文章記述による記載欄が多々ございます。これらについても大幅に簡素化をして,逆に通知表や面談など,児童生徒や保護者に直接評価をお伝えする機会を充実する方が重要ではないかという御意見です。
 それから,通知表と指導要録は内容的にはかなり似たものになってまいります。仮に通知表が指導要録の指導に関する記録の記載事項を全て満たす場合には,通知表を指導要録とみなすということも,可能としてはどうかという御意見もございます。
 2ページの下の方です。「観点別学習状況の評価について」です。先ほど御紹介いたしましたように,今回の答申においては,観点別学習状況について,3観点に整理をするということを御意見として頂いております。
 次の3ページでございます。このうち特に主体的に学習に取り組む態度の評価の在り方について,御意見が多々出ております。3ページの中段の四角の枠囲みでございますけれども,「主体的に学習に取り組む態度」について,中教審答申ではどのように書いているのかというと,挙手の回数,ノートのとり方などの形式な活動ではなく,児童生徒が,子供たちが自ら学習の目標を持ち,進め方を見直しながら学習を進め,その過程を評価し,新たな学習につなげるといった学習に関する自己調整を行いながら,粘り強く知識,技能を獲得したり,思考,判断,表現しようとしたりしているかどうかという,意思的な側面を捉えて評価することが求められるとありまして,メタ認知的な要素もここに入っているということでございます。
 3ページの中段の丸のところですが,具体的な評価として,例えば児童生徒が学習に関する自己調整を行えたのかどうか,どのような方法で評価するのが望ましいのか。
 また,次の丸のところです。「知識・技能」,あるいは「思考・判断・表現」から切り離して,表面的な態度を評価することはちょっと違うのではないかという御意見でございます。仮にこれらを連動させて考える,相互関係を考慮して考える場合には,例えば,括弧の中にありますけれども,「知識・技能」がC,「思考・判断・表現」がC,「主体的に学習に取り組む態度」はAという状況が本当に想定されるのか,されないのではないかという論点があろうかと思います。端的に言いますと,非常に熱心に取り組んでいるんだけれども,知識,技能の面での成果がなかなか出てこないという生徒,その生徒に対してどのような評価をするのか。仮に態度をAにしてしまいますと,そのまま引き続き取り組んでいけばいいというメッセージにもなりかねませんので,この辺りをどのように評価していくのかということが,一つ論点としてございます。
 また,3ページの一番下のところです。この「主体的に学習に取り組む態度」については,ほかの「知識・技能」,「思考・判断・表現」とは少し質的に異なるのではないかという御意見もございました。そのため,これらについては単純にA,B,Cと,同じような評価の表示方式でいいのかどうか。あるいは,特別活動の記録と同様に,顕著な場合に丸を付すといったようなこともあるのではないかという論点も出てございます。
 4ページにお進みいただきたいと存じます。これまでのワーキンググループの審議の中でも,先生のみが評価をするということではなくて,生徒による自己評価であるとか,児童生徒同士,あるいは地域の方に入っていただく場合には,そういった方からの情報,そういった自己評価,総合評価の機会を,先生方が評価する上での材料として,適切に取り入れることが大事ではないかという御意見がございました。それらを具体的にどのように取り入れていくのかが,次の論点になります。
 4ページの中段です。評価を行うタイミングや頻度についてという点です。中教審答申におきましても,毎回の授業でこの4観点,新しい評価の仕組みにおいては3観点になると思いますけれども,三つの観点全てを見取るということではなくて,単元,題材などのまとまりの中で,評価をしていったらどうかということが言われています。
 ただ,実際には先生方が全ての観点について,毎回の授業で評価をしようとする傾向もなきにしもあらずということがございますので,こういった評価については一定の場面,タイミング等について,精選していくべきでないかといった論点が出てございます。
 4ページの下の方です。「評定の必要性について」という論点でございます。
 現行では,先ほど御案内したとおり,観点別学習状況の評価と,それからそれらを総括的に捉えた評定の両方がございます。このうち評定の必要性について,御議論がございました。まず,評定はなくすべきという御意見です。日常的な学習改善に生かすという観点からは,分析的に学習状況を捉えた観点別学習状況の評価が重要であると。一方で,評定が存在するために,生徒,保護者がこちらの数字に注目をしてしまって,せっかく観点別学習状況で評価をしても,それが学習改善にうまくつながっていないのではないかという御意見。先生にとっても,評価の結果を評定に総括することで,どの生徒にどういう指導のポイントがあるのかということが,ぼやけてしまっているのではないかという点。
 また,次の5ページです。高校入試においても,きめ細かく生徒一人一人を評価するためには,全体をならした評価である評定というよりも,観点別学習状況評価の方が有効ではないか。観点別学習状況評価については,その結果を評定にまとめる,付け換えるという作業を先生方は行っていますけれども,そのこと自体が先生方の負担になっているのではないかという御意見がございました。
 一方で,この評定については引き続き,位置付けるべきという御意見もございました。例えば児童生徒,保護者,観点別学習状況の評価ということではなかなか捉えにくい部分もあるかと思います。これらを総合して数値で表した評定を併せて伝えてもらうことで,学習状況を全体的に把握できると,生徒や保護者も考えているのではないか。現行の高校入試,大学入試,奨学金の成績基準等で,こういった評定が現に用いられている状況があるのではないか,その辺りも配慮しなければいけないのではないかというような御意見もございました。
 5ページの下です。「学習評価を外部証明に活用する場合の信頼性・妥当性の確保について」という点でございます。
 現状,入試,特に高校入試等で学習評価の結果が重視されておりますけれども,ただ,評価については必ずしも統一の基準が存在せずに,先生方の裁量,学校の裁量がかなり大きい部分でございます。こういった厳格,公平性が求められる入学者選抜において,学習評価をどのように信頼性,妥当性を確保して用いていくのかという点が,一つ目の点でございます。
 一方で,評価について仮に統一性,公平性を重視して,統一の基準を作る場合には,逆に指導,評価が一面的になってしまうのではないか。評価の方法や基準については,むしろ地域や学校の実態に応じて,先生方の裁量を広く認めるべき必要があるのではないかという御意見もございました。ただ,その場合には現行の高校入試等の在り方についても,よく考えていかなければいけない部分が出てくるかと思います。
 最後,6ページ目でございます。
 国立教育政策研究所が従来から,評価の参考資料という資料を作成してございます。少しテクニカルな内容になりますけれども,この参考資料の内容について,参考資料自体は現場の先生方にとっては,非常に影響の大きいものでもございます。それについて,どう改善していくべきなのかという点でございます。今回,参考資料については評価の規準,どのような観点から評価をするのかについては,学指導要領の目標においてかなり明確化されておりますので,余りそれについて,従来はかなり細かく書いておったんですけれども,これについてはどのように評価の規準,「規準(のりじゅん)」と呼んでおりますけれども,を作成する際の手順を示すことぐらいで足りるのではないか。
 また,現行の参考資料では,かなり細かく単元,題材ごとに,どのような評価を行っていくのかという事例を掲載してございます。一方では,特に中長期的に単元,題材を超えた評価が重要であるという御指摘もございます。そのような観点から,中長期的なスパンに立った評価の事例を掲載していったらどうか。
 また,参考資料に示す評価の方法についても,どの程度具体性を持たせた方法の事例を掲載するのかということが,最後の論点になります。余り細かく書いてしまうと,先生の裁量を狭めてしまいかねないという部分もございますので,このあたりのバランスをとっていくことが,最後の論点になります。
 こちらからの報告は以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,本ワーキンググループの主査を務められていらっしゃいます市川委員からも,ワーキンググループについての検討状況について,一言お願いできればと思います。
 よろしくお願いいたします。
【市川委員】  ワーキンググループの主査を務めております市川です。今,白井室長からかなり詳しく,また全体的な論点についてお話しいただきましたので,私からは特にポイントに当たることだけを二点,お話ししようかと思います。
 一つは,指導要録の改善についてです。おおむね合意が得られていることとしては,従来4観点と言われていたものを,学力の3要素を踏まえた3観点にするということ。これを高等学校にも求めたいということがおおむね合意されているように感じられます。高校にもこれを求めていくことは,かなり大きな変更となり得るかもしれませんが,学校教育法にもあるこの3要素にしっかり立脚していくこと,それから小中との接続という点からいっても,この3観点による観点別の評価を高校にもしていただくことが,望ましいであろうということです。
 それに付随いたしまして,かなり大きな論点となっているのは,評定を残すかどうかです。高等学校ではこれもこれまで評定だけだったわけでありまして,それを観点別の評価にして,評定はなくてもいいのではないかという議論がかなり強く出ています。これはもちろん両論ありまして,評定は残すべきであるという議論と,評定はなくてもよいのではないか。少なくとも指導要録に残すものとしては,なくてもよいのではないかという意見が比較的強く出ているように感じられます。これは今後も議論を詰めていく必要があるかと思います。
 それから,もう一つですが,観点の中の一つに,「主体的に学習に取り組む態度」というのがございます。これが一体何を指すのか,どんな判断材料で評価していくのか,それから,付け方ですが,ほかの二つの観点と同じようにA,B,Cでいいのか,あるいはこれは少し種類が違うものなので,特に優れたものには丸ということは,ブランクと丸になるわけですが,あるいはそれだと2段階になってしまうので,ブランクと丸と,二重丸とか,実質的にはA,B,Cと同じようなものですが,少しほかの2観点とは違うのであるということを意識してもらうためには,付け方が違っていてもいいのではないかという御意見もあります。ただ,このときに重要なのは,どういう付け方をするかということもさることながら,この「主体的に学習に取り組む態度」が,一体どういうものを見ようとしているのかという点ではないかと思います。
 先ほどの御報告のように,「学習の自己調整」という言葉が出てきます。つまり,単にこれまでのように関心,意欲とか,やる気があるかどうかとかいうことだけではなくて,どうやって自分の学習を進めていくか。もともと答申の中でも,「学びに向かう力」という言葉がございました。学習を進めていくための自分の理解状態を診断する力,メタ認知ということもよく言われました。それから,どのように学習を実際に進めていくかという学習計画を立てたり,いろいろな学習方法を知っていて,それを臨機応変に活用していくというスキル面についても,ここの自己調整には含まれてくるわけで,この辺りをどうやって共通理解をとって,また現場にも御理解いただくかということも今後,残された問題かと思っています。
 それから,もう一つの視点としては,評価を学習改善にもっと生かすようにするべきだと,これが大きな論点として出ているかと思います。通知表とか指導要録というと,ついつい最終通告のようなものになってしまって,「あなたはこうでした」ということになりがちですが,一体この評価は何を求められているのかとか,どうすれば自分の評価を上げることができるのかということが,児童生徒にとっては分からないまま,評価が与えられるということになりがちだったのではないか。もともと評価というのが学習改善とか,授業改善の一つの方法,手段という側面があったとすれば,もっと評価を学習改善に生かすようにしていくべきではないか。
 そのためには,教師から生徒へのいろんなフィードバック,日常的な指導場面でありますとか,あるいは評価をめぐるコミュニケーションをもっと充実させること,これは面談のようなものも含まれます。こういうことを通じて,評価を一方的に与えるだけではなくて,児童生徒と評価をめぐるコミュニケーションを充実させながら,学習の改善を図るところに評価をもっと生かしていくべきではないかということが,一つの大きな論点として上がってきたと思います。
 全体としては,一方では簡素化ということが言われながら,一方では充実ということがあるわけで,これまでのどこを簡素化して,そのかわり評価を有効なものにするためには,こういう点はむしろ手厚くしていこうという議論が両方出ている中で,どういうようにまとめていくかというところが,今,議論の途中であるということです。
 以上,報告させていただきました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明いただいた内容につきまして,委員の方からの御意見,御発言をお願いできればと思います。例によって名札を立てていただければと思いますけれども,いかがでありましょうか。
 それでは,笹委員,お願いいたします。
【笹委員】  おはようございます。
 高校の現状をお話しします。その前に観点別評価を取り入れることについては,目指しているところ,そして,その趣旨に対しては賛同していることを,まず最初に,申し上げます。
 多くの高校では,なぜ今まで,観点別評価が実施されていなかったのか。日々の学習活動の中で,小さなことですが,ノート点検をしたり,発表時の様子を評価したり,科目によってはルーブリック評価を折々で付けたり,小テストをしたり,相互評価を生徒同士でさせたり,レポートの添削をしたりということをやっております。
 特にお話ししたいのは,東京都で実施している「生徒による授業評価アンケート」です。このアンケートで,生徒自身が自分の学習の様子を振り返り,この学習によって自分がどれだけ伸びたかということをきちんと考える場面を持っています。これはまさに,生徒が自分の学習の姿勢を自己調整している場面として,非常に有効に使われていると感じております。日常のフィードバックで生徒に実際に返している実態があります。
 これは,学期ごとの年に3回の通知表で返すよりも,もっと頻繁に生徒とやりとりをしているということです。それを基に生徒は,本日,ノートにこういうコメントが書いてあったから,これで自分の学習のここを少し変えてみようとか,この発表のときに総合評価で,仲間からこういう評価をもらったので,次のときにはこんなふうに変えてみようというように,ふだんのこういうやり方の中で,自分を見つめて,自分の学習の姿勢を改善するという,まさに観点別評価で狙おうとしていることを,高校現場では生徒,そして指導者が実際にやっています。
 それから,指導と評価というのは学校教育の基本です。本当に大切なところ,これを論議するところに,働き方改革と結びつけ,教員の勤務実態上の負担から,要録を簡素化するという議論に持っていくのは,ちょっと違うのではないかと思いました。
 それから,現に高等学校は高校入試で受け入れるとき,大学入試で出すときに評定を使っています。保護者や生徒にも実態として浸透している,定着しているものだと思います。まず,指導要録を変えるということも大切ですけれども,その前に,観点別評価,評定の在り方について,生徒や保護者に対する理解,活用ももっと共有していかなければなりません。
 それから,多くの高校は観点別評価を実施していませんので,その評価能力,教員には十分備わっていないのが実態だと思います。その評価能力がない中で変更だけするというのはいかがなものかと非常に不安を覚えています。教員に対する評価能力の育成にも時間がかかるかなと感じています。
 それから,先ほども活用のところで申しましたが,いろいろな場面で現在活用されています。その活用について,評定がなくなった場合,ではどういうふうに活用するのか,ある程度具体的な見通し,システムの新たな構築も道筋をつけていかなければならないかなと思います。非常に危惧しているのは,いわゆる評定というような形で,数字で出てこなくなったとき,数字ではっきり分かるような,例えば模擬試験の偏差値などのようなものが使われかねないとも思っています。それでは全く本末転倒になると思います。理念的には非常に賛成ですけれども,これはいろいろな場面でいろいろ工夫し調整しなければいけないなと思っています。一朝一夕にはいかない,慎重にこれから検討していっていただきたいなと思っております。
 長くなりましたが,以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 今,名札が吉田委員と杉江委員が上がっているんですけれども,吉田委員,その次に杉江委員ということでお願いしたいと思います。
【吉田委員】  今の笹委員のおっしゃることは私もほとんどのところで同意なのですけれども,一つ分かりませんのは,今,評定という問題と観点別評価という問題があると思うのですけれども,評定するに当たって,各先生方はそういった観点別評価等も,これは高等学校の場合ですけれども,考えながらしっかりやっていると思っています。今,笹先生は観点別評価の勉強ができてないとおっしゃっていましたけど,私は,高校の先生はそんなことはなく,一生懸命皆さんそういう見方もしながら評定をしていると思うのです。なぜかというと,今,小中高の連携の意味で評価の考え方というお話がありましたけれど,一番,我々が直接,喫緊の課題としてあるのは,大学での評価だと思います。大学入試において,この評定平均というものが全て言われるわけであって,それとの連携を全部考えていかないと,中等教育以下だけで考えても何にもならない。大学入試において,じゃあこの評定というものをどういうふうに見てくれるのか。通知表だけが基本でもないし,指導要領だけが基本じゃなく,やはり常日頃の子供たちへの指導の中で,振り返り学習というか,それぞれの生徒が欠けていることを,そしてまた良いところを引き出してあげるのが教員の仕事だと思います。
 そういうところで,市川先生のお話の中で,主体的に学習に取り組む姿勢,態度をしっかりと考えていかなくてはいけないということがあるのですが,私が今一番疑問に思っていますのは,これはあくまでも全日制課程というか通学の形のものを考えていると思うのですけれど,通信の学校にどんどん流れていっています。通信の学校では,前はそれこそフリースクール的な要素というか,どうしても学校に通えない子供たちを救うためのところであったところが,大学受験のために一般的な学校の授業というものは,インターネットを使って免除で,5日間スクーリングというか学校に通えば,学年が終了できます。そういう状態の中で,その残りを,通学型とか全日型といって,予備校で授業をやっている,そして東大,京大を目指すということを売りにしている塾通信制にどんどん子どもが流れていっているのですけれど,そういう中で主体的に学習に取り組む姿勢とかいうものを望んでいるのか。それとも,ただ単に大学受験のための,いまだに大学が変わろうとしてくれない暗記型の入試とかもあるわけですので,やはりもう少し広い意味での評価と各学校間のつながり,そして,ただ通知表だけで一つの物事を判断するのではないということを保護者たちにも分かってもらえる,そういう体制が必要なのではないかなと。親は数字の争いしかありません。特に高校3年生ぐらいになって指定校推薦とかの時期になってくると,もう何点何という,0.1の差で取り合いをするようなそういう親もいるわけですので,その辺のところも考えながら,観点別評価というものはもちろん大事だし,三要素の評価も大事ですけれど,それ以上に教員がしっかりとした目を持てるそういう環境作りが必要なのではないかなと思っております。
 ありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,杉江委員,お願いいたします。それで,帯野委員が今札が立っておりますけど,ほかによろしいでしょうか。次の議題もありますので,発言のある方は,帯野委員,善本委員,以上ということにさせていただきますけれども,よろしいでしょうか。
 じゃあ,杉江委員,よろしくお願いいたします。
【杉江委員】  遅れてきまして申し訳ありません。三つの学力の要素を評価することは法律で決まっており,一言で言いますと,知識・技能,二つ目が考える力,三つ目が主体性です。知識・技能の評価は比較的やりやすいと思いますけれども,思考力や主体性は評価が非常に難しいと思います。
 私が本日申し上げたいことは,できるだけ,いろんな資料におきまして「知識・技能の理解」という言葉を入れていただけないかなというのがお願いでございます。
 知識をいっぱい持った勉強できる子がたくさん社会には出てきているわけですけれども,変革だとかイノベーションがなかなか起きないので,もっと想像力を持った子を育てようというのが今回の改訂の主目的でなかったかなと思います。そして,学習評価に関する資料の中の7ページ目に「知識の理解の質を高め」という記述がありますけれども,この資料のほとんどのところに「理解」という言葉がなかなか出てきませんで,もっと知識の理解を前面に押し出していただけないかなと思います。
 理解をしたかどうかを評価するのであれば,比較的簡単になってくると思います。生徒一人一人の目標をそれぞれ立てて,その到達度を評価するということでいいですし,それから,教員は,知識を理解できる教え方をしなければなりません。また,試験問題も,例えばの話ですけれども,明治維新は1868年に起きたということだけではなくて,明治維新はなぜ起きたのかという試験問題を出すことによって,生徒・学生の理解を促すということにつながると思いますので,是非「理解」という言葉をもう少し前面に押し出していただけないかなというお願いでございます。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,帯野委員,お願いいたします。
【帯野委員】  御参考までですけれども,私は,2009年に関西経済同友会で教育に関する提言をまとめました。それまでも幾つか提言をまとめたのですが,これが一番大変な提言でした。と申しますのは,経済界のトップは今の教育に対する知識が余りないことと,その反面,期待が大きすぎてたくさんのことを求めます。その結果まとめ切れなかったので,全発言をばらして,重複するキーワードを探してみますと,一番多かったのは学習する力,学習力。知識ではなく学習力であったということです。経済界ですので,直結する大学教育に対して提言を行ったわけですが,それから約10年,これが小学校,中学校,義務教育にも求められるようになったのだなと感心しています。同時に10年の間に,企業も随分変わりました。一番顕著な変化はフラット化。フラット化した企業の中で求められるのは,中間管理者の力ではなくて現場の力。セールス,製品を作る人,そしてサービスをする人,この人たちが自分で考えて行動する力が求められるわけで,ただ,経済界を取り巻く環境というのは毎年毎年変化しています。ということは,この人たちに一番求められるのは,生涯学び抜く力であって,そういう点で主体的に学習に取り組む態度というのは,大きな大きなエレメントだと思っています。ですから,いろいろ御意見はありますが,やはり大学入試,それから,これは採用にも直結してきますので,やはり評価・評定は必要かなと私は考えています。
 それから,その後,大学で勤務している間に自分なりにいろいろ試みたわけですが,学習に取り組む態度を育成する上で,一番大切なのは明確な目標設定です。明確に目標設置して,そして評価でありますが,これは義務教育であればテストも有効だと思いますし,あるいは作品,感想文,発表,こういったものをポートフォリオ化していって,常に学生が,自分が何割,どれぐらい達成できたのかということを実感できる,そして教員がこれをまたリフレクトして教育計画を改善していく。こういったことが必要だと思います。これは既にワーキンググループの中で十分に議論されたことだと思うのですが,最後に,懸念しますのは,この中に「教員の負担」という言葉が出てきました。これを実行するためには教員の負担というのは避けて通れないという意味で,ここで教員の負担という二つの相反するものを取り扱うのは自己矛盾に陥るような気もしますので,非常に難しいと思います。私個人は,教員の負担というのはアドミニストレーション部分を大改革することで改善していくべきだと思っていますが,それはまた別の場で申し上げたいと思います。
 以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは,善本委員,お願いいたします。
【善本委員】  ワーキンググループの議論は市川先生が大変すばらしく整理をしてくださったので,そのとおりですが,一点だけ,少しお話をさせていただければと思います。
 このことについては小中学校と高等学校の間に多少事情の差があるということもあるのかもしれないんですけれども,指導要録というものが学習指導要領に基づく学びの記録であるということに対して,小中学校の場合には,上級学校へ行くための報告書であるとか調査書というのは,恐らくある特定の学年の特定の時期の学習の記録だけを示したというものであろうかと思います。それに対して,高等学校においては,全学年,全ての学びの記録でもあるというところの違いがあります。そういう意味で,学習指導要領に基づく学びの記録である指導要録と調査書というのは,高等学校においては一体のものであるということが言えると思います。これは様々な高校の校長先生方にお話を伺いましたが,皆さんそれは一体のものであるというお考えでいらっしゃいます。ですから,今回の非常に大きな改革が意味あるものとなって,児童生徒の学びの質的な転換を図って,授業改善に資するものになるという意味では,この評価の改革と高大接続の改革というのは一体的に捉えられるべきではないかと思っていますので,そのことをお話ししておきたいと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  それでは,議題1につきましては,以上ということにさせていただきたいと思いますけれども,ワーキンググループの検討状況についての中間報告ということをこういう形でさせていただきましたけれども,今後とも引き続き,随時ワーキンググループの議論の状況について御報告をお願いしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,次に,前回の部会でSociety5.0についての御報告があったかと思いますけれども,議題2のSociety5.0時代を見据えた総合的な学習(探究)の時間の在り方についてということに移らせていただきたいと思います。この点につきまして事務局から説明をお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  前回の教育課程部会におきまして,Society5.0に向けた人材育成ということで,6月に出されました文部科学省のレポートについて簡単に触れさせていただきました。その資料の中で特にこれからの教育におけるSTEAMの重要性ということがいろんなところで触れられております。STEAMといいますと,余りなじみがない方もいらっしゃると思いますけれども,一般にはSTEM教育ということで,Science,Engineering,Technology,Mathematicsということで,理工系の教育の重要性というのが2000年頃からいろんなところで指摘をされてきた。最近,STEMにAを,Artを加えて,STEAMという呼び名をしております。このAについてはいろんな解釈が,論者によって違うところがあるようでございますけれども,狭いところでは,例えばプロダクトデザインとかに物理の考え方を応用するとか,そういったところから始まりまして,Aを広く捉えるとリベラルアーツ的に考えることもできるようでございます。Aを広く捉えると,STEAMといいますと,一般的には教科横断的に,一つの教科にとらわれずに幅広く学んでいく,より実社会,実生活上の課題を現実的に捉えて,その課題解決を行っていく,そういった力がこれから必要なんじゃないかということが言われているところでございますし,それがこのSociety5.0のレポートの中でも強調されている部分でもございます。
 改めて考えますと,総合的な学習の時間というのは,まさに本来そういったこのSTEAM,今STEAMと言われているような課題に対応するために設けられているような部分もあるかと思いますので,本日,この総合的な学習の時間のこれまでの成果や課題,それから,このSTEAMと言われているニーズに,今後,総合的な学習の時間がどう応えていったらいいのかということについて関係の先生方から,本日お招きしておりますので,御発表いただければと考えているところでございます。
【降籏主任学校教育官】  教育課程課の降籏と申します。よろしくお願いいたします。お手元に資料2-1「総合的な学習の時間の成果と課題について」という資料をお配りしておりますので,こちらをごらんいただきたいと思います。
 総合的な学習の時間につきましては,小中学校は平成10年,高等学校は11年の学習指導要領改訂により導入されまして,平成14年,15年から実施をしております。小学校3年から高校までで導入されており,現行では,小学校,中学校では年間70時間を基本とし,高校では3から6単位で行っているところでございます。そして,学校や地域,児童生徒の実情に応じまして,学校ごとに探究課題を設定し,横断的な総合的な学習を,創意工夫を生かした教育活動を行っております。右下1ページに書いてありますように,探究のプロセスとして,児童生徒が課題を設定し,情報の収集,整理・分析,まとめ・表現,こういった取組を行いながら,自らの考えや課題を繰り返しながら行っていく。この探究のプロセスを繰り返しながら右上の方に,スパイラルのように学びを進めていくというふうにしております。
 横断的・総合的な学習ということで,次のページをおめくりいただきまして,上の方になりますけれども,例えば,国際理解とか情報化の進展といった情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題,この中に先ほど白井室長の方からの御説明にもありましたSTEAMといった横断的なテーマ課題も取り上げられることが期待されていくところでございます。
 下の方に,これまでの成果と課題ということで幾つかお示しをさせていただいております。まず,成果といたしまして,総合的な学習の時間の取組というのが,知識・技能の定着や思考力・判断力・表現力の育成の両方につながっていること。これは,全国学力・学習状況調査結果の中で,総合的な学習の時間に積極的に取り組んでいる学校において結果が良好だといった相関が見られるといったところから挙げております。また,この総合的な学習の時間は導入されて約15年経過しますが,この学習の取組が広まり,各教科等における探究的な学習の根幹になってきているということ。それからPISA調査の好成績につながっているといったことについてOECDのPISA調査の報告書にも挙げられるなど,国際的にも高く評価されております。
 一方で,課題につきましては,その下に幾つかお示しをしておりますけれども,総合的な学習の時間の取組と,国語,算数といった各教科などの関連が余り意識せずに取り組まれており十分な効果が得られていないといった,教科等との関連が不十分な学校があるという点。また,指導方法が個々の先生任せになったり,学校全体で取り組む体制が整っていないなど,校内体制の整備等に格差があるという状況。また,探究のプロセスであります,課題の設定,情報収集,整理・分析,まとめ・表現のうち,児童生徒が自分の考えを整理し,それを基に分析し,分かりやすくまとめ,発表したり発信したりする取組が弱く不十分であるという点。そして最後に,今後の社会に開かれた教育課程の実現に向けて,実社会,実生活における課題をこの総合的な学習の時間においてはより積極的に取り扱っていることが求められていくことなどが課題として挙げられます。
 こういった観点から,この下のところにもございますように,今回の学習指導要領改訂の際に改定のポイントとして挙げたところでございまして,今回の改訂によりまして,予測困難な時代において,教科などで育成した資質・能力を総動員しながら,主体的に課題に向き合い,解決していく資質・能力を育成していくことを目指していくこととしたところです。
 以下,参考資料として,総合的な学習の時間の設置の経緯や,総合的な学習の時間の目標や単位時間,また,全国学力・学習状況調査の結果などの資料をお付けしておりますので,御参照いただければと思います。
 引き続きまして,小学校,中学校,高校の実践の事例の御紹介ということで,本日は,福岡県久留米市立高良内小学校の四ヶ所校長先生,それから,山梨県立吉田高等学校の廣瀬教頭先生にお越しいただいております。お二人の先生には,今回の学習指導要領の解説における協力者として御協力を頂きました。お二人の先生から事例の御紹介いただきたいと思います。
【四ヶ所校長】  具体的な小中学校の事例について説明いたします。
 まず,4分間ほどの映像を御覧ください。
(映像上映)
【四ヶ所校長】  6年生の児童が実生活の中から課題を見つけ,その解決に向け,友達と考え抜き,20坪の教室から飛び出して,とても主体的に学んでいる姿がお分かりかと思います。
 もう一つ,小学校の事例を御紹介します。これは,盛岡市の5年生の児童が校区を流れる中津川を遡上するサケの秘密を探究しながら,川の未来を展望していく学習です。先ほどの説明にあった探究のプロセスの4つの段階が2回繰り返されています。問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく探究的な学習になっているわけです。
 これは,インターネットで収集したサケの産卵に適した環境のデータを読み取り,仮説を考え,中津川がこの条件に適合するかどうか,パックテストや水生生物調査を行って検証しているところです。データを数値化して実験や観察をする様子がうかがえますが,ちょうど同じ時期に理科ではメダカを育て,観察しながら産卵の条件や餌となる水生生物を顕微鏡などの観察器具を使う学習をしており,その学びを問題解決に生かしているのです。
 これは,サケの産卵の条件と収集したデータを表に分かりやすくまとめ,結論を導き出しているノートです。ここには算数で学習した資料の整理の仕方の学習が生かされています。このように児童の側に切実な課題があると,様々な教科の知識を総動員して総合的に問題解決を行っていきます。
 これは,中津川のすばらしさに感動した児童が,きれいな川を未来に残すために考えた様々なプランを,実現できるかできないか,相手に伝わるか伝わらないかという4象限で整理・分析をしているところです。この座標軸で吟味するというアイデアは,教師の適切な指導助言によって生まれたものです。
 この単元を振り返り,児童は自分の成長について次のようにまとめています。上段の作文からは,サケと人間にはそれぞれ快適な環境があり,共存が大切ではないかといった相互性に関わる概念的な知識を獲得していることがうかがえます。下段の作文からは,サケの遡上は運命の出会いで,もっとほかにこのような偶然が自然界にはないかと表現しており,これは有限性といった概念を獲得していることがうかがえます。
 次に,中学校の事例です。これは,人はなぜ働くのかという課題を持った生徒が,地域の様々な人々と関わりながら勤労観や職業観を深め,自分の生き方や地域の未来を学んでいく学習です。写真左上の生徒は,幼稚園で働く母親にインタビューして生まれた疑問を,グループで交流し,課題を明確化しています。課題意識を明確に持った生徒は,街頭インタビューや職場体験を通して,人はなぜ働くのかということに対する自分の答えを見いだしていきます。
 先ほど紹介した生徒は,母親の言葉を確かめるために,幼稚園で職場体験を行い,やりがい,感謝といった勤労観を深め,これからの生活に自信と意欲を持っていることがうかがえます。また,別の生徒は,働く目的の多様性と共通性に着目し,将来に展望を持っていることがうかがえます。
 以上で,小中学校の事例の紹介を終わります。
【廣瀬教頭】  それでは,高等学校です。高等学校は小中学校における取組の上に,更に高度で自立的な探究を実現することが期待されています。
 まず,SGHとSSHの指定を受けている高校の事例です。1年生では,プレゼンテーションスキル,統計学の基礎を学び,課題解決の手法や表現力を身に付けます。また,実社会の問題を科学技術を活用して解決する思考基礎では,SDGsの観点から,その問題の背景や事実関係を研究します。そのとき公民科と理科,情報科の教員がチームティーチングで指導に当たり,多角的・多面的な探究を支えます。
 1年生後半からは,グローバル課題についてグループで探究をします。フィールドワークや海外大学での発表,意見交換,大学生との交流などをします。段階に応じてキーワードマッピング,イシューツリー,思考ツールなどを使います。教師は時々グループに入り,進捗状況の確認を行うと同時に,行き詰まっているグループには打開するためのヒントを投げかけ,問いかけを行います。場合によっては,研究の甘さなどについて質問を通して気付かせるといった形式で,生徒達の探究活動をサポートします。生徒のグループ編成も必ず文系と理系の生徒が混在することで文理融合を目指します。同じ社会課題に対しても,文理の視点からアプローチをしています。例えば,子供の貧困のような社会的と思われる問題についても,必ず実験による検証や課題解決手段の開発など科学的なアプローチをとることが求められます。
 研究成果は,発表,質疑応答ともにオールイングリッシュで行われます。文理両面の知識から考えることができるとアンケートで答えた生徒は,2015年では46%だったのが,取組を進めた2年後,そのときには70%へと着実に増加しています。この状況を更に推し進めるためには,教科の専門性の高い高校教員がいかに教科横断的な視点を持って生徒の指導に当たれるかが重要であると学校では認識しています。
 次は,普通科と商業科を併設した総合制高校の事例です。多くは専門学校就職という進路で,国公立大学進学者はいない年度もありました。3年間の流れは御覧のとおりです。1年生は,学びの集団作りの意味も込め,新聞を活用した共同的な学習活動をします。興味のある分野の新聞を選び,グループで発表し,お互いに意見を交換します。新聞社への投稿もします。思考ツールなども活用して,全生徒がしっかりした意見文を書けるよう工夫されています。コミュニケーション力に大きな課題があったことから,2年生では,インタビューの仕方を実践的に学び直し,地域に出て活動をします。3年生は,進路や興味関心に応じて,資源エネルギー,福祉,ボランティア,情報,生命,環境,国際,地域創生,地域課題解決など15の講座に分かれて探究を深めます。
 観光に取り組んだ生徒たちの中に,専門家の話やアンケート調査から,観光客が多く集まる施設で地震が起こった場合どうするかが課題であると気付いたグループがありました。具体的な問題解決として,学校の近くにある恵林寺の避難経路について検討したのですが,避難所まで三つの経路を実際に歩いてみて,道幅を測定すると,狭かったりブロック塀が崩れる危険性がありました。そこで,距離と安全性を考慮して,最適な避難経路を考案し,分かりやすく伝えるための看板を作成,そして設置をしました。
 こちらは女子4名の班で,山梨の星の魅力を発信できる冬の旅行計画を作成。これをテーマにしたものです。2月の観光客の減少を改善すること,そして,山梨の魅力である星が美しく見えることを多くの人に伝えたいという思いから探究が始まりました。天文の専門家に取材をし,山梨の星事情について調べるとともに,星にまつわる行事や伝説,文学,さらには武田信玄の軍配についている星など,歴史的な事柄についても幅広く調査をしました。調査結果を基に手書きのパンフレットを作成し,県立科学館で来場する方に配布をし,2月にあったらいいと思う星のイベントについてアンケートに答えてもらいました。アンケート結果を更に分析し,八ヶ岳山麓で星の観察をする銀河鉄道ツアーを提案しました。作成したパンフレットは山梨観光推進機構がリメークして,このように変わります。首都圏を中心に23万部が配布されました。この班の生徒の1人は中学校時代に不登校傾向でしたが,この活動で前に踏み出すことができるようになったと言います。事前事後のアンケート調査でも,自己肯定感が平均46%から73%へと上昇しています。また,受験でも8名の生徒がこの中から国公立大学に入学しました。
 新聞の投稿文を1年生の学習を生かして行いました。全国紙の本社に,ある神奈川の80代の女性からはがきを頂き,学校を通して本人の手にわたり,文通が始まった例もあります。
 そこで,先ほど紹介した不登校だった生徒が現在どうなっているか,先週会いに行ってきました。
(映像上映)
【廣瀬教頭】  というような振り返り等をしてくれました。
 また,総合的な学習の時間に関わった方々からは,このような期待の声も頂いております。
(映像上映)
【廣瀬教頭】  以上,学校における取組の紹介でした。
【奈須委員】  上智大学の奈須でございます。生活・総合的な学習の時間ワーキンググループに関わった立場から,今ほどの御発表を受けて意見を申し上げたいと思います。
 Society5.0を見据えて,教科学習と教科横断的な総合学習とはどんな在り方であるべきかということです。
 今ほどの御報告にもありましたけれども,総合的な学習の時間では,多様な教育的価値が実現されてきた,期待されてきたと思うわけであります。
 「総合」ということを一口に言いますけれども,まずここで少し整理したいと思うのです。総合的な学びというときに,実は二つの側面があると思われます。一つは内容的な側面で,まさにこれが総合的な学習(探究)の時間に当たります。時数を取り,そして領域を作り,内容編成をしていくということです。これは,従来の教科では適切に扱えない様々な教育内容が存在するし,また新たに出てきている。一つは,いつの時代,どの社会でも必要な生活の教育,生命であるとかキャリアであるとか地域ということです。もう一方,社会の変化,あるいは科学・学問・芸術の学際化に伴って,新たに要請されている様々な資質・能力の教育ということもここで担っていくということだろうと思います。いわゆる持続可能な社会の実現に向けての資質,それからSTEMやSTEAMということに関わるものも,ここで関係してくるんだろうと思います。
 その一方で,方法的な側面というのも実はございます。総則で言う合科的・関連的な指導,今回の指導要領で打ち出された教科横断的なカリキュラム・マネジメント,それから前回の指導要領で出ていますが,知の総合化といった考え方,これらは特定の領域や時数ということではなくて,いろんな教育課程の領域が合科的・関連的に,あるいは有機的に結び付いて,より大きな効果を生み出すような方法的な工夫ということであろうと思います。教科の枠を越境する学びを実現する,また実社会・実生活と関連付いた学びにしていくということでございます。
 それの一つは,経験主義の学習観,あるいは脳科学や認知科学,構成主義的な学習観の知見から,子供はそもそも部分的にバラバラの知識を身に付けるものではなくて,相互に関連付けて,有機的な意味として,今回,深い学びと言っていることですけれども,を求めているし,またその方が学習の定着や獲得される知識の質においても優越的である。同時に,時代が求める知識が大きく変化してきたということもあろうかと思います。AI化の振興とか情報環境の変化に伴って,要素的な知識の相対的価値が低下してまいりました。あるいは,精緻化,エラボレーションと言いますけれども,より関連付いて意味化された知識,あるいは自在に活用の効く知識,それによってイノベーションを生み出せるような知識ということが,時代の変化の中で求められているということかと思います。
 そういったことを考えたときに,教科の学びと教科横断的な学びがどういうふうに結び付いていくかということについて,イギリスの経過というのは非常に参考になるかと思います。イギリスでは,1960年代ぐらいから経験主義的伝統と学校を基盤としたカリキュラム開発の理念に立脚して,今日で言う教科等横断的なカリキュラム・マネジメント,いわゆるトピック学習がとても盛んに実践されていました。
 それに対して,88年,サッチャーの改革というのが進んできますが,これは実は当時の日本のカリキュラムに範を得た,教科中心で,ある意味で過密なカリキュラムによって学力保障をしようとしたわけですけれども,もちろん一定の成果もあったわけですが,同時に伝統的なトピック学習が衰退せざるを得なかったということもよく言われております。
 それに対する反省として,ナショナル・カリキュラムの大幅な削減,今日で言うレス・イズ・モアにつながるような削減,それから新たにPSHEという領域を作って,そこを一つの核として,各学校がトピック学習を復活させることが結果的にできた。つまり,PSHEのような教科横断的な内容領域が一つののり代となって,教科との連携,接続ができたということがよく言われています。
 そこから学ぶべきこととして,方法的な側面としてやはり総合ということを充実させていくことが今後とても大事だろうと。そのためには,単に合科・関連指導をやれということでは難しくて,独自な工夫をするための内容の領域,あるいは自由度が必要だということでございます。
 日本の教育課程を,ある見方をすれば,今こんなふうにも位置付けられるのかと思います。つまり,科学・学問・芸術の教育,古い教育学では学科課程などと申しますけれども,多くの教科はこういうことだろうと。縦割り文化に基づく系統的な教科の学習。
 一方で,実は日本の教育というのは,昔から生活の教育というのを重視してきました。道徳や特別活動,更には掃除や給食ということにも価値を見いだしてやってきたかと思います。更に,生活科,総合的な学習の時間というのが平成に入ってから新たに付け加わってきた。この二つの暮らしの学びと文化遺産の学びを知の総合化を図ることによって互恵的な関係を作るというのが,今の教育課程の構造かと思います。
 さて,そう考えたときに,どのように教科学習と教科横断的な学習を結び付けるか。まず,生活の教育を中心として,固有な内容的な特質を持ち,かつ自由度の高い領域,これがまさに総合的な学習に当たるわけですけれども,これをまずしっかり内部的に充実させるということが必要かと思います。更に,これはまだ弱いんですが,合科的・関連的な指導等を使って,各領域の間をもっと方法論的に総合ということを進めていく。これは,政策としては,かなり前から出てきているんですけれども,なかなか進んでいないということがあろうかと思います。
 そうなったときに,じゃあ,各教科はどうあるべきかということなんですが,各教科,今回の改訂では,それぞれの独自の見方・考え方と申しておりますけれども,教科の親学問に,固有な対象に対するアプローチや知識生成,あるいは価値や美の独自な生成の方法ということを大切にし,単なる要素的意識の羅列ではなくて,系統を保持した深い学びを目指すということを各教科等でお取り組みいただいているかと思います。
 一方,総合的な学習の時間では,探究的な見方・考え方と説明していますけれども,それら各教科等における見方・考え方,独自な対象に対するアプローチや方法論を総合的に働かせ,広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉え,実社会や実生活の文脈や自己の生き方と関連付けて問い続ける,そんな学びを実現する,そこに総合的な学習の独自な価値,意義ということを見いだしていく。そうすることによって,各教科ならではの鋭角的な追求の成果を,教科横断的な学習の中で豊かに開花させるということを目指している,そんな教育課程の構造が今後に期待されるのではないかと思いますし,今回の学習指導要領はまさにそういった趣旨で生成されてきたかと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。ここまでのところにつきまして,何か御意見,御質問ありましたら御発言をお願いできればと思います。先ほどと同じように,ありましたら名札を立てていただければと思いますけれども,いかがでありましょうか。
 次の予定もありますので,今名札を立てている方ということでお願いしたいと思います。山本委員,大島委員,市川委員,生重委員,笹委員,今札を立てている方ということでお願いしたいと思います。
 山本委員からお願いいたします。
【山本委員】  山本でございます。ただいま総合的な学習の時間について,成果あるいはメリット,プラス面を中心に御紹介していただいて,これは現場の教員たちの努力によってなし得たものかと,大変ありがたく拝見していました。同時に,何かを強調,取り組めば,どこかひずみが出るのは仕方がないことなんですけれども,デメリットであるとかマイナス面についても,そこは冷静に押さえておくべきことでもあるのかと思います。
 具体的には,教師の役割が当然のことながら増えている。ましてや,そこにこれからの期待を込めてということですので,ますます大変になってくるのかなと。その部分はきちんと見据えなければいけない。
 それから,教科指導を圧迫しているのも事実だと思うんです。かつては中学校の国語でいえば,1年生5時間,2,3年生4時間あったものは,それぞれマイナス1時間になっていて,中学校3年生の国語科,3時間でかなり厚い教科書をこなさなければいけないという実情も現在のところです。
 それから,小学校でいえば英語科の導入に伴って,これを時間割の中にどう組み込んでいくのかというのは,聞こえてくるところの小学校の喫緊の課題になっているということがあります。
 総合的な学習の時間には非常にメリットもあるんですけれども,同時に圧迫しているという事実をきちんと踏まえつつ,教育課程の実施とか工夫とか時間については,少し幅を持たせて考えていくような柔軟性も必要じゃないかと考えております。
 以上です。
【天笠部会長】  それでは,生重委員,市川委員,大島委員,笹委員の順にお願いしたいと思います。
 生重委員,お願いいたします。
【生重委員】  ありがとうございます。また,御発表ありがとうございました。私も全国の小学校,中学校,高校,いろいろな総合の取組に関わらせていただいて,キャリア教育等も関わっている者なんです。とてもすばらしいお取組だなと思って伺いつつ,ただ,先生方の発表の中に,地域等の連携とか,それからコーディネートをしてくれる人材とか,協働なさっている地域の様々な関係諸団体の姿というものが,全く見えないのが残念だなと思いながら伺っていました。
 本日の資料の中にも御説明はなかったんですが,2-3で「総合的な学習の時間における家庭・地域等の連携した学校外学習の位置づけの明確化について」という――もしかして御説明,後半あったのかな,すみません。付いていると思うんですが,私自身も何回も申し上げているんですが,法改正すらあって,コミュニティ・スクール,全国必ずやらねばならぬ,そして地域学校連携推進ということがうたわれていく中で,是非やはりこの学びの,例えばカリキュラム・マネジメントにしてもそうなんですが,それとあと,土曜日の活用ですとか,それの先生たちの御負担を軽減するための地域,人材活用ですとか,そういうところも一度じっくり御検討いただきまして,そういう事例は私の方でもたくさん持っておりますので。なぜこういうことを心配するかというと,よき校長先生,よき先生がいるときにできても,先生たちは異動なさるんですね。継続して行われるものと,新しくお迎えした先生をまた乗せていきながら,学校内でもんで,子供たちが取り組むべきことというものが学校ごとに打ち出されてくるのが,地域性を生かした特色になるかと思いますので,その辺のこともちょっと御協議いただければありがたいなと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,市川委員,お願いいたします。
【市川委員】  総合的な学習の時間が1998年の指導要領改訂のときに入ってきて,私もそのとき一つのワーキンググループでいろいろ調査をしたり,カリキュラムを考えるということをやっておりました。私は,総合的な学習の時間がほかの教科の時間とうまく連携して,むしろ相乗効果を生むようなものとして機能すればいいということを非常に願っておりました。
 本日も大変先進的な事例を見せていただくと,こういうものが増えてきて,ほかの学校もそれがいいモデルにはなると思うのですが,二つの点でやはり調査などを補っておく必要があると思いました。
 一つは,先進的な学校は確かに非常にうまくやっているんですけれども,日本の学校が,特に小中高全体として見たときに,どういう状況なのか。なかなか,これがうまく機能していないところもたくさんあるのではないか。そういうところは,じゃあ,無理だからやめようというのではなくて,どういう支援をしていったら,こういう先進的な事例にも近づくことができるのか。これは行政的な側面,教育委員会でもどういう研修,あるいは学校体制をどういうふうにしていけばいいのかということも参考になると思いますが,その基になるのは,全体としてはどんなふうに動いているのか,これは問題点も含めてということになるかと思います。それを調査の結果などから知りたいなと。先生の意見,子供の意見も含めてですね。
 それからもう一つは,うまくやっている学校というのも,先ほどもありましたように,教科を圧迫することになってはまずいので,最初に狙っていたような相乗効果ということからいえば,教科の時間は確かに少なくなるけれども,非常に教科の学習もよくなっている。総合的な学習の時間があることで教科も生きてくるというようになれば,これはすばらしいことなわけですけれども,じゃあ,こういう事例を見るときに,確かに総合的な学習の時間の中ではすばらしくやっている。同時に,全体としてのカリキュラムはどうなっていて,年間どのように動いているかという,教科も含めた全体像というのを見せていただけるといいのではないかと思いました。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 大島委員,お願いいたします。
【大島委員】  ありがとうございます。STEM,STEAM教育の教育コンテンツの開発に携わっている者としては,本日の例題も含めていろいろ見せていただいてありがとうございました。
 幾つか観点があるんですけれども,三つ申し上げたいと思います。この次期学習指導要領にもうたわれている三つの観点を養うということで,こういうSTEM,STEAM教育は非常に有効だと思っています。特に,本日の例にもありましたように,チームで協働して自己調整能力を養うということでも非常に効果的だと思っています。あともう一つ,これも次期指導要領でうたわれているんですけれども,社会に開かれた教育課程ということで,いろんなところ,地域の方々と連携する,そういう点でも効果的なのではないかと思っております。
 ただ,その中で,先ほどの三つなんですけれども,一つは学習している教科,科目と単元との対応付け,いろんな観点が入ってきますので,それを教育効果としてどうやって定着させているか。そうしながら総合的な観点というのを付けるという,いわゆるカリキュラム・マネジメント,これが成功しているところはいいんですけれども,なかなか成功しづらいというところもありますので,先ほど市川先生の御指摘にもありましたけれども,調査をしていただく必要があるのかと思っています。
 あと,二点目は,ICTとかの実験,これをハンズオンでやりながら,自分で体験しながらやっていくというプロセスが入ってきますので,どうしても理解を促すための技術的な習得というのも必要になってくるんです。先ほどの例でもコミュニケーションが足りないということで,それが必要だということがあったと思いますけれども,そういう自分に足りないということを気づいたときに,それをどうやって提供するかというのが結構大事になっていて,それを提供できる環境が学校にあるのか。それとも,そうでなければ,それをどこかに求めないといけないんですけれども,それをどうしていくかということも一つ課題かと思っています。
 最後に,先ほどの二点目とも関係しているんですけれども,学校の中だけでは閉じられないということと同時に,やはり学校の中での連携というのも結構進めていく必要があって,特に高等学校ですと,どうしても科目別になってしまうので,例えば国語の先生と理科の先生が一緒にやっていくというのは,単元の時間もありますのでなかなか難しいんですけれども,そういう連携体制を学内及び学外でもどうやって築いていくかというのは結構課題であって,これはやはり学校の中及び学校外でも,教育委員会であったりとか,地域の企業も通して,連携体制をサポートしていくような体制をとっていくかというのは大切だと思っていますので,ここは成功例を示しながら,どうやってそういうことを進めていくかというのを,ある程度きちんとやっていく必要があるのかと思っております。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 笹委員,お願いいたします。
【笹委員】  よろしくお願いします。新しい三つの学力観を伸長するのに,総合的な学習の時間はとてもいい学習活動の場であると思っています。本日,高校の事例を御紹介いただきましたが,SGHやSSHの特別な学校でなくても,既にこうしたことは徐々に浸透しています。特に,課題研究と称していろいろ自分たちでテーマを決め,調べて,発表するということは,多くの学校で既に取り入れられております。そうした学校では,学校の中だけで学習活動を完結させるのではなくて,例えば専門機関,大学に行ってみたりとか,大きな図書館に行ってみたりとか,フィールドワークを実際にしてみたりとか,外部人材を活用したりということを実施しております。そうしたことで,生徒の主体性を育み,学習内容の充実を十分図ってきていると思います。
 この後,資料2-3の御説明を頂けると思いますが,これまでの総合的な学習の時間が,教師の直接的指導の下で平日の通常授業時間内だったものが,教師の直接的指導だけではなく,夏季休業期間や土曜日等を含むというふうに拡大されていくというようになるとこの資料を読ませていただきました。活動の場も広がって,指導者の専門性も高まり,とてもいい取組になるかと思います。
 高校現場の場合ですと,主体的に学習することができる発達段階にあるので,自分たちで外に活動の場を求めて行くことも容易にできる年頃なので,とても歓迎できます。しかし,一方で,小学校低学年はどうでしょうか。小学校の場合,うまく地域に活動の場を見つけられなかったり,適切な指導者が見つからなかったりということがあって,この2-3でこれから御説明頂くような目的が逆効果になるということはないでしょうか。是非総合的な学習の時間の充実のためにもいい活動の場所,いい学習時間,いい指導者が発掘できるように取り組んでいっていただきたいと思いました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,今も御発言がありましたけれども,それらの点も含めまして,事務局から総合的な学習の時間の質的な改善に向けた取組について,説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,資料2-3を御覧いただきたいと存じます。「総合的な学習の時間」における家庭・地域等と連携した学校外学習の位置づけの明確化についてという資料でございます。1枚の資料です。
 資料を御覧いただきますと,左側の上の方にこれまでの総合的な学習の時間の姿を書いてございます。基本的には,学校の教室という場が中心である,学校教室の学習が中心であって,ただ学校外に出ることもございます。例えば,地域調べで地域の商店街に行ったり町を調べたり,あるいは中学生ですと,職場体験等で,必ずしも先生がいない場で授業といいますか,総合的な学習の時間を行うこともございました。
 今回,総合的な学習の時間について,より家庭・地域と連携して,その質的な改善を図っていくという観点から,左側の下の部分でございますけれども,このように制度の位置付けを明確化したいと考えてございます。先生による直接的な指導だけでなくて,家庭や地域と連携しながら,様々な場面を通じて,児童生徒が主体的に探究を行うことを可能にしていくということでございます。学校・教室での学習はもちろん大事な部分でございますけれども,例えば学校外,夏休みの期間であるとか土日等に大学に行きたいであるとか,博物館で何か調べものをしたいとか,様々な考えを持っている子供たちもいると思います。こういったことについて,総合的な学習の時間の一環として認めるということにしてはどうかというものでございます。
 その考え方でございますけれども,右側のオレンジ色のところにございますけれども,そもそも児童生徒が実社会・実生活の中から主体的に課題を見つけて,その解決に向けて多様な他者と協働していく。情報を収集・分析し,解決策をまとめ・表現するという探究的な活動を重視しているというのが今回の指導要領の趣旨でございますし,その観点から,アクティブ・ラーニングにもつながるものと考えております。
 また,先ほどの発表の中で,総合的な学習の時間の課題ということで,従来から様々な形での家庭・地域との連携はあったところではございますけれども,なお,こういったことについて拡大していくことが必要ではないかという話もございました。もちろん,学校外での学習,これを何でもかんでも授業として認めるということでは全くございません。条件については明確化して,指導計画上の位置付け(目標,内容,学習活動,指導方法・体制,学習の評価)ということが明確であって,家庭・地域との連携の取組が充実している場合などには,学校等の判断によって総合的な学習の時間の一部,一定割合,4分の1程度については,学校外での学習についても授業として位置付けることができるとしてはどうかということでございます。
 これによって,地域の教育資源,例えば社会教育であったり家庭教育といったものがより充実していくということで,学習の多様化が進んでいくことが考えられると思いますし,また先ほどのお話にもございました,特に小学校などでは週当たりの教育課程の編成実施というのがなかなか厳しくなっている,授業時数が多くなっているという中で,例えば夏休み等を活用することで,週当たりの授業時数を増やさずに弾力的に授業を行うということも可能になってくる。学校と家庭・地域との連携の推進,学校教育,社会教育の相互の教育機能の充実による学校の働き方改革にもつながるのではないかということで,今回この件について明確化したいということでございます。
 今後のプロセスでございますけれども,この件については特に制度改正というものが求められるものではございませんので,文部科学省の方から,通知においてこの考え方をお示ししてまいりたいと考えているところでございます。
【天笠部会長】  ただいまの説明につきまして,御意見,御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
【白井教育課程企画室長】  すみません,一点御説明が漏れておりました。
 昨日の読売新聞を御覧になられている方もいらっしゃるかと思います。総合学習について,外部委託がオーケーという形で新聞記事の方で報道いただいております。新聞の見出しという限られた表現ですので,外部委託についてはびっくりされた方もいらっしゃるかもしれませんけれども,業務委託ということでは全くございません。あくまでも先生方が指導計画上きちんと位置付けているということが大前提になってまいりますので,基本的には,現行の職場体験等でも,先生が職場体験を受け入れてくださる企業,商店等と事前に綿密にすり合わせをした上で,きちんと指導計画を作って,事前事後の指導,評価もしているということでございますので,単純な意味での外部委託ではないということだけ申し上げさせていただきたいと存じます。
【天笠部会長】  はい。今,名札が立っている方ということでお願いしたいと思いますが,よろしいでしょうか。篠原委員,生重委員,荒瀬委員,種村委員,若江委員,そして奈須委員,この順でお願いしたいと思いますので,篠原委員からお願いします。
【篠原委員】  できるだけ現場に連れていって,そこで一つの体験をさせる,これは一番大事なことだと思いますので,是非重点を置いてやっていただきたい。現場に神宿るといいますか,現場に宇宙があります。子供は特にそれを敏感に感じます。
 それから,家庭・地域,特に家庭との連携ということも非常に大事なことですので,学校と家庭というのをセパレートに考える保護者もいますけれども,私は連携しながらやるという流れを,しっかりと総合的な学習の時間の中で作るべきだろうと思います。
 自分がどういうことを将来,社会のためにしようかとか,考えることは,主権者教育にもなるので,主権者教育の一つとして位置付けてもよいかと思っております。
 以上です。
【天笠部会長】  続きまして,生重委員,お願いいたします。
【生重委員】  先ほどもちょっと申し上げたんですけれども,唐突なんですが,私がコーディネートしている学校で,みんなが行く場所,5日間の職場体験で,たった1人だけ希望で染め物工房と言った子がいて,でもウイークデーで団体で動いて,指導上どうしても1人では行かせられないんだと。もし,この仕組みがうまくいくようであるならば,1人でも本当にやってみたいと思うものに行けるという可能性を感じられるので,私はこれを成功させていきたいと思いますし,何よりも保護者の理解が必要で,それから現場の先生たちの御理解もとても重要なのではないかと思います。本来のチーム学校であり,周辺ネットワークの確立,何よりも理解を促進するためのものが一番重要なのではないかと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  荒瀬委員,お願いいたします。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。御発表どうもありがとうございました。
 一つ,まず質問なんですけれども,資料2-3の表題が「総合的な学習の時間」ということでありますが,これは現行学習指導要領だからこういう表現なのか,それとも小中学校を対象にした話なのか。さっきの御説明の中でも,カリキュラム上,大変厳しいということがありましたので,高校が厳しくないというわけではないでしょうけれども,その点,後から御説明いただければと思います。
 私は一点だけ申し上げたいと思うんですけれども,要は総合的な学習の時間,いろいろと特に高校は探究の時間というふうに次期学習指導要領で変わっていくわけなんですが,まだやられていないんですよね,実際に。これは,大学生に聞きましても,そういったことは全く別のものに変えられてやっていたということとか,あるいは職場体験は大変意義深いものだと思うんですけれども,それがもう恒例になってしまって,何のためにやっているのかという振り返りがなくて,ただ単にスケジュールをこなしてしまっているというケースが現実にとても多いと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが,少なくないのではないかと思うんです。
 是非,総合的な学習の時間というのを,改めて,特に高等学校は探究の時間というふうに変わっていくわけですから,意義の共有というのをしっかりとしていかないと,結果的にカリキュラム上はあるというだけで,どんな力を付けるのかという本来の目標からしてそぐわないものになってしまったら大変残念ですので,その点を申し上げておきたいと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  質問につきましては,後でまとめてお答えいただくという形をとらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 種村委員,お願いいたします。
【種村委員】  小学校の校長として,今のお話について,何点か気になるところをお話をさせていただきたいと思います。
 今までは,学校外の学習でも平日の通常の授業時間内で行われていたことが,この案では夏季休業期間や土曜日等も含むという,教員にとっては勤務を要しない日にその教育活動を授業時数扱いにするということまずあります。これについて,問題点がないのかということをしっかり確認してやらなければいけないのかと思っています。
 特に,これは通常の授業時間内でもそうなんですが,学校外の学習においても,グループや一人一人に対して,教員が学びの状況をよく理解し,それに対して手厚い指導をする必要がある。それがない中,校外学習をすると,ある程度の子ができても,子どもによっては,十分な学びができないでその時間を過ごしてしまう状況があるのではないかと。そういうときに,学校としてどういう対応をとればいいかということが校長として,又は担当する教員として大きな課題になると思いますし,小学校でいいますと,3年生から6年生までいます。授業に位置付けるわけですから,安全の部分の問題も生じるのかと思っています。それをどうしていくかということもあります。
 あと,こういう活動をすると,地域や,若しくは保護者に協力を頂かなければいけないのかと思いますが,ここにはグループ学習又は個の学習も認めるのか,ということは書いてありませんので,その辺も全部ひっくるめて丁寧にやらなければいけないかと思います。一番大事なことは,総合的な学習の時間の質の担保が保証できるのかということだと考えます。学校によってはかなり温度差があるということと,学校の中でも教員によってかなり温度差がある。
 うちも総合の研究をしていますが,かなり教科では指導力があっても,総合をやるとまだまだ分からない部分がたくさんあるという状況です。そもそも学校が総合を通して,これをやることによって,どんな力が身に付くのかということを,教員が共通理解を持ってやっていくというのはかなりの労力を要しますし,教員が変わっていきますので,それを共通理解をやっていくというのはかなりハードルが高くなる。という中で,今回のこの学習を取り入れるということは,かなり教員も共通理解を持っていかなければいけないし,最終的に一番大事なのは,総合の質を崩したくない,これは我々校長として,これから教育に携わっていく者として,総合の質を落としてはいけないと思っています。総合の質を落とさずに,これをうまく,どういうふうにアレンジして,取り入れてやっていくかということが大きな課題だと思っています。悪いというのではなくて,そういうものを一つ一つクリアしていかなければいけないのかと思っています。
 以上です。
【天笠部会長】  若江委員,お願いいたします。
【若江委員】  ありがとうございます。本日話されている総合的な学習の時間,そして探究の時間の充実は,本当に日本の教育が大きく変わるためには必要不可欠なことだと思います。いろんな委員からお話がありますように,私どもは産業界の立場でいろいろと教育を支援しています。そんな企業の教育支援も,今までのようなスポットのサポートではなく,もう少し系統立てた支援へとかわりつつあります。一方で,学校の授業内ではまとまった時間が取れず,本来なら,もっと横断的に探究的に社会とつながる学びの時間を持たなければならないのにそれができないのが実情です。
 今回,資料2-3でありますように,学校教育における校外での学習の位置付けが明確になることによって,それが一つ改善の糸口にはなるであろうと思います。でも,先ほどのご意見にありますように,だからこそ,教員と保護者,地域,社会の人たちが,このことについてきちんと理解をしておく必要があります。先ほどの事例で小学校の事例,高校の事例ですばらしいものをお聞きしたんですが,ある校区のある小学校でこれができています,ある地域のある高校でこれができていますというのでは意味がありません。そうなってまいりますと,中学校の段階で,比較的総合的な学習の時間の活用,運用がうまくいっていないというところも,せめて市単位の校区単位できちっとしたコアカリキュラムみたいなものがあり,それをベースに教員も保護者も地域の方々も,今の学びの連関のことをきちっと理解をする必要があるのではないでしょうか。そういうプロセスを踏めれば,高校に入り1年生のときにはすでに探究の仕方についての基本的な資質・能力が身に付いていて,高校生活では3年間掛けて個別の探究課題について総合的に学ぶということが実現するでしょう。自分はこのことに課題を感じているとか,興味があることについての深い学びを繰り返していくということができていくと思います。奈須先生のお話にもありましたような,教科の成果を教科横断的な学習の中で豊かに花開かせることは,社会全体が望んでいることだと思ういます。でも,もしかしたら逆のアプローチで,興味・関心を中心に,アクティビティーだとかキュリオシティーベースに,そこに関連するサブジェクトがひもづく,ABSL(アクテビィティベースドサブジェクトラーニング)みたいな,そんなことが日本の中でも展開されていけばいいのではないかと思います。
 加えてもう一つ,生重さんからもお話がありましたように,学校外の学習につながっていくとなると,やはりそこをつないでいくコーディネーター,先生方の負担を軽減するという意味でもそうですし,学びを増幅させるという意味でもコーディネーターの役割というのが非常に重要,かつ意味のある時代に来たんだなと感じております。
 以上です。
【天笠部会長】  奈須委員,お願いいたします。
【奈須委員】  テクニカルの問題をクリアにしながら進めていただきたいと思います。総合的な学習,それからカリキュラム全体の質の向上,更には地域創生といった観点からも興味深い戦略的な措置ではないかと思います。
 二点ほどあります。一つは,総合というのは探究ということ,それから教科横断的なということを一種のレゾンデートルとしております。そこになるというふうに,やっぱり上手に進めていくということが大事で,単なる体験や活動では不十分であろうと思います。
 もう一つは,これ,総合について出ていますけれども,今回の教育課程全体は社会に開かれた教育課程,あるいは教科横断的なカリキュラム・マネジメントということからすれば,将来的には総合だけの問題ではなくて,教科等も含めて展開するということを見据えていく必要があるのではないかと思います。
 実は,今回の資質・能力を基盤とした学力論,あるいは探究といったことは,総合的な学習が前回,前々回の改訂の際に取り入れて先鞭を付けてきた,ある意味ではそういった動きが教科等にも広がってきたということはあるかと思います。今回の措置も,ある意味でこういったことに一番適している,総合でトライをしてみる。そこで条件整備をし,先鞭を付けて,将来的には教科等も含めた全教育課程領域でこんなことを進めていくということが,まさにSociety5.0,知識間の大きく変容する社会における学校の展開の仕方ということではないのかと思っています。
 先ほどから聞いている中で,教科横断的なカリキュラム・マネジメントということをどんなふうに今後展開していくか。やっぱりどうしても教科,総合といった領域の中で,どう実践の質を上げていくかということで展開しがちだろうと。それでは,社会に開かれていく,地域と連携するということはできなくて,そこの学校の力をどんなふうに制度整備も含め向上させていくかということが大きな課題だと今感じております。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,大方委員,短くということでお願いできますでしょうか。
【大方委員】  遅れてきたので,すみません,一言だけ。
 今,御発表を非常に興味深く伺っていたんですけれども,大事なことは,総合学習以前に基盤となる学級運営という中で,子供たちが探究的な見方・考え方を活発に議論できるようなクラスの雰囲気作りというのがあって初めて総合が成り立つのではないかという,学級運営力が先生方に必要かなということと,子供同士の関係がそこでうまくいかないと,グループ学習はより崩壊してしまうのではないかということが気になりました。
 同時に,就学前の幼児教育から今回,社会的教育課程ということですから,急に高校生になったから,小学生になったからということではなく,学びの芽生えというものは,また探究的な見方が就学前の幼児教育のときから開かれていなければ,なかなか小学校になっても子供たちの中に芽生えにくいのではないかということを思い,一言発言させていただきました。ありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。失礼しました。
 ここまでのところについて,何か質問等々もあったかと思いますので,含めましてお願いします。
【白井教育課程企画室長】  荒瀬委員から御質問いただきました,今回の対象についての校種ということでございますけれども,高校の場合には,いろんな各都県,東京都であるとか山梨県などの事例をお伺いしましても,例えば週末に大学に話を聞きに行って,そういったことについて授業にカウントしているということについても既に実践があるとお伺いしております。
 そういう意味で,今回,決して高等学校について対象外ということでは全くありませんが,主なターゲットは,学校のふだんの授業時間の中でこれまで授業をやってきた小中学校を念頭に置きながら,高等学校についても決して排除するわけではなく,同じように考えていくということで考えているところでございます。
 また,種村委員から御指摘を頂きました,例えば休業日でありますとか教員の勤務管理の問題,また保険の問題など,この辺についてもクリアしなければいけない問題があるかと思いますので,このあたりについて,事務局の方でしっかりと整理しまして,通知でお示しする際には,併せて何らかの形で御連絡を各教育委員会,学校の方にさせていただくようにしたいと考えております。
【天笠部会長】  それでは,ちょっとお諮りしたいと思うんですが,次の議題3につきましては,時間等々を考えますと,とりあえず御説明をしていただくにとどめていただいて,御意見等々は次回にお願いしたいと,そういう形にさせていただきたいと思いますので,とりあえずこれについて,こういうことなんだということについての御説明ということでお願いできればと思います。よろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  ありがとうございます。それでは,資料3,時間も限られておりますので,ごく簡単に御紹介だけさせていただきたいと思います。
 「教育課程の改善に係る研究事業について」という見出しでございますけれども,前回の審議会でお話をさせていただきましたSociety5.0,その中でも今後の教育課程に影響を及ぼすような論点が幾つかあるかと思います。例えば,個別最適化,一人一人に個別最適化された学びである,学びのポートフォリオの活用であるとか,あるいは異年齢・異学年集団での協働学習,例えば英語のように,学年が必ずしも英語力とマッチしないようなケースもあろうかと思います。ほかにもアドバンスト・プレイスメントや飛び入学,早期卒業といったようなテーマ。更に続きまして,次の2ページになりますけれども,文理融合,文理分断からの脱却ということで,文理両方を学ぶ人材の育成,将来の地域を担っていただくような地域人材の育成の推進という様々なテーマが出されており,それぞれが教育課程の今後の議論に大きく影響してくる可能性があるかと考えております。
 今回,新しく学習指導要領をお示ししまして,これから各学校段階において本格実施ということでありますけれども,今後,次の教育課程の改善を考えた場合には,例えば3ページにあります教育研究開発事業,いわゆる研発事業というものがございます。こちらは4年間のスパンのものでありまして,今年,今募集しているものについて,来年から始めても,その成果が出るのが4年後ということになってまいります。そうなりますと,今後10年後を見据えた場合に,今から次の教育課程の改善に向けて,どのような研究事業を行っていく必要があるのかということについて,今の段階から御議論いただいても決して早くはないということかと考えてございます。今後,こうした事業を展開していく上で,ここでの御議論,先生方の御提言なんかも踏まえながら課題の設定等を行ってまいりたいと思っております。
 4ページにございますのが,今後改善に関して考え得る論点ということで,例えばあくまでも例でございますけれども,多様化・複雑化する現代的な諸課題に対応した教育課程の在り方,教科学習と教科等横断的な学習を効果的に関連付けた教育課程,EdTechの活用等,技術革新に対応した教育課程の在り方,公正に個別最適化された学びを推進する教育課程の在り方などのテーマをとりあえず出させていただいておりますけれども,こういったことについて御議論頂きまして,先生方の御提言を頂きながら新しいテーマの設定,研究事業の推進を考えていきたいと思っております。
 5ページ以降は,各研究事業についての参考資料でございますので,御覧いただければと存じます。
 以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。先ほど申し上げたように,今御説明がありましたが,これはこれで時間を充てて意見の交換をすべき,そういう事柄でもあるかと思います。これは事務局と詰めて,次回以降,どういう形で委員の皆さん方から御意見を頂くかどうかということをまた御相談させていただきたいと思いますので,本日はこういう形でお願いできればと思いますので,御了解いただければと思います。
 ということで,皆さんの御協力によりまして,本日の議事は以上ということにさせていただきたいと思います。事務局におかれましては,本日の意見を受けとめていただき,今後の審議に生かしていただければと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に,次回以降の予定につきまして,事務局からお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  次回の日程につきましては,また後日,個別に御連絡させていただきます。
【天笠部会長】  それでは,予定しました議事は全て終了いたしましたので,これで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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