教育課程部会(第103回) 議事録

1.日時

平成29年7月18日(火曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール3A

東京都港区西新橋1丁目15-1 大手町建物田村町ビル

3.議題

  1. 特別支援学校幼稚部教育要領,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領について
  2. 小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の移行措置等について
  3. 学習指導要領の趣旨の周知に向けた取組について
  4. 学校における働き方改革について
  5. 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループの設置について

4.議事録

【天笠部会長】  それでは,ほぼ定刻になりましたので,まだお見えになっていない委員の方もいらっしゃいますけれども,程なくおいでになるんじゃないかと思いますので,ただいまから第103回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催いたします。
 本日も,大変御多忙の中,御参加いただき,まことにありがとうございます。
 また,本部会については,報道関係者より会場の撮影及び録音の申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきください。
 それでは,議事に移る前に,委員の交代がありましたので,新たに任命された委員の皆様を事務局より紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  教育課程企画室長の白井でございます。今回新たに委員に御就任いただきましたお二方の先生を御紹介申し上げたいと存じます。
 初めに,直田益明委員でいらっしゃいます。
【直田委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  それから,種村明頼委員に着任いただいておりますけれども,本日遅れていらっしゃるということでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
 併せまして,事務局にも異動がございましたので,御報告申し上げます。
 7月11日付けの人事異動によりまして,合田哲雄教育課程課長の異動に伴いまして,淵上孝教育課程課長が着任しております。
【淵上教育課程課長】  よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  丸山洋司特別支援教育課長の異動に伴いまして,中村信一特別支援教育課長が着任しております。
【中村特別支援教育課長】  どうぞよろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  また,本日別の公務により欠席しておりますが,藤原誠初等中等教育局長の異動に伴いまして,髙橋道和初等中等教育局長が着任しておりますので,併せて御報告申し上げます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,本日の配布資料について,事務局から説明をお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  本日の配布資料でございます。お手元の議事次第にありますとおり,資料の1から資料の5までをお配りしております。また,机上資料といたしまして,昨年12月の学習指導要領の改善に関わります中央教育審議会答申,それから本年3月に公示いたしました幼稚園教育要領,小・中学校の学習指導要領を配布してございます。不足等ございましたら,お申し付けください。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは,議事に入りたいと思います。本日は,お手元の議事次第にありますとおり,5つあります。一つ目ですけれども,特別支援学校幼稚部教育要領,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領について,二つ目ですけれども,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の移行措置等について,三つ目として,学習指導要領の趣旨の周知に向けた取組について,四つ目として,学校の働き方改革,五つ目としまして,児童生徒の学習評価に関するワーキンググループの設置についてであります。
 まずは,学習指導要領関係の直近の動きとして,申し上げました(1)から(3)の三つの議題につきまして,事務局から御報告いただいた後に,意見の交換をお願いしたいと思います。
【中村特別支援教育課長】  それでは,特別支援学校学習指導要領につきまして,御説明をさせていただきます。
 初めに,特別支援学校には,幼稚部の教育要領,小学部・中学部学習指導要領,高等部学習指導要領がございます。おおむね10年のサイクルで改訂を行ってきております。このうち,新しい幼稚部の教育要領,小学部・中学部学習指導要領につきまして,去る4月28日に告示をいたしました。本日はその内容につきまして,配布資料のうち特別支援学校学習指導要領等の改訂のポイント,資料の1-1でございますが,これを使いまして御説明を申し上げます。
 まず,1,今回の改訂の基本的な考え方でございます。今回の改訂につきましては,平成28年12月の中央教育審議会答申を踏まえ行ったものであり,社会に開かれた教育課程の実現,育成を目指す資質・能力,主体的・対話的で深い学びの視点を踏まえた指導方法の充実,カリキュラム・マネジメントなど,初等中等教育全体の改善・充実の方向性を重視しているところであります。
 また,障害者の権利に関する条約批准を契機に,平成25年に就学制度の見直しを行い,障害のある子供たちの学びの場が柔軟に選択できるようになったことを踏まえ,幼稚園,小・中・高等学校の教育課程との連続性を重視しているところであります。
 さらに,前回の改訂でも充実を図りました障害の重度・重複化,多様化への対応と,卒業後の自立と社会参加に向けた取組を一層推進しています。
 次に,2番目の教育内容等の主な改善事項でございます。主な改善事項としましては,学びの連続性を重視した対応,一人一人に応じた指導の充実,自立と社会参加に向けた教育の充実を掲げております。
 学びの連続性を重視した対応としまして,一つ目の丸でありますが,「重複障害者等に関する教育課程の取扱い」,特別支援学校では,子供の障害の状態等に応じた教育課程を柔軟に編成することができるよう,教育課程の取扱いに関する各種の規定を設けております。例えば,障害の状態に応じて,各教科の目標・内容の一部を取り扱わないことや,前の学年の目標・内容に替えることができます。こうした柔軟な取扱いを現行学習指導要領から維持しつつ,子供たちの学びの連続性を確保する視点から,当該学年の後の学年や,後の各学部の目標との系統性,内容の関連に留意しなければならないこととしているところであります。
 次の二つ目の丸であります。「知的障害者である子供のための各教科等」というところでございますが,特別支援学校のうち,視覚障害,聴覚障害,肢体不自由及び病弱の子供に教育を行う特別支援学校では,小・中学校の学習指導要領で定められている各教科等で教育課程を編成することとしております。
 一方,知的障害者である子供に教育を行う特別支援学校では,特別支援学校学習指導要領で定められている各教科等で教育課程を編成することとしております。今回の改訂では,知的障害者である子供たちのための各教科につきまして,小学校・中学校の学習指導要領と同様に,知識及び技能,思考力・判断力・表現力等,学びに向かう力,人間性等の育成を目指す資質・能力の三つの柱に基づきまして,各教科の目標や内容を整理いたしております。
 従前より,対象とする子供の学力などが,同一学年であっても知的障害の状態,経験等が様々であることから,学年別ではなく段階を設定しておりますが,小学部,中学部及び高等部の各部,各段階間で内容のつながりを整理するとともに,現行では一つの段階のみで示されている中学部につきましても,新たに1段階及び2段階を設定しております。
 また,小学校における外国語教育の充実を踏まえ,知的障害者である子供に教育を行う特別支援学校の小学部の教育課程に外国語活動を設けることができることを規定しています。
 さらに,各教科の内容を取得し目標を達成した児童生徒に対しては,特に必要がある場合,個別の指導計画に基づき,例えば,小学部であれば小学校の学習指導要領の各教科の目標及び内容を参考に指導ができるよう規定をしております。
 次に,一人一人に応じた指導の充実でございます。一つ目の丸で,障害の特性等に応じた指導上の配慮でありますが,視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者及び病弱者である子供に対する教育を行う特別支援学校におきましては,小・中学校の学習指導要領に示された各教科の指導を行うこととしており,その上で学習指導要領において,障害の特性等に応じた指導上の配慮を設けております。
 今回充実した点としましては,視覚障害では,空間や時間の概念形成,点字等の読み書きの指導の重視,聴覚障害では,音声,文字,手話,指文字等を活用して,発表や話合いなどの学習活動を取り入れた意思の相互伝達の充実,肢体不自由では,体験的な活動を通した的確な言語概念等の形成,思考力・判断力・表現力等の育成,病弱では,間接体験,疑似体験等を取り入れた指導方法の工夫,姿勢の変換や適正な休養の確保など,改善・充実を図ったところでございます。
 二つ目の丸の自立活動でありますが,特別支援学校では,各教科,特別の教科であります道徳,特別活動などに加えて,自立活動という領域を設け,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善,克服するための指導を行っております。
 また,自立活動の内容は,特別支援学校のみならず,小・中学校の特別支援学級や通級による指導でも取り入れられており,本年3月に公示されました新しい小・中学校の学習指導要領でも,「特別支援学校学習指導要領の自立活動の内容を参考とし」などと記載をされております。こうしたことから,今回の改訂では,発達障害を含む障害に応じた指導を充実するために,新たに障害の特性の理解と生活環境の調整に関することなどを規定しております。
 次に,自立と社会参加に向けた教育の充実であります。今回の改訂では,特別支援学校における自立と社会参加に向けた教育を一層充実するために,卒業後の視点を大切にしたカリキュラム・マネジメントを計画的・組織的に行うこと,幼稚部,小学部,中学部段階からのキャリア教育の充実を図ること,生涯学習への意欲を高めることや,生涯を通じてスポーツや文化芸術活動に親しみ,豊かな生活を営むことができるよう配慮することなどを新たに規定しています。このほか,障害のない子供との交流,共同学習の充実や,知的障害者である子供のため,各教科においても自立と社会参加に向け,内容の充実を図っております。
 今後のスケジュール等でありますが,今回改訂を行った学習指導要領等については,幼稚園,小・中学校と同様に,幼稚部は平成30年度,小学部は32年度,中学部は33年度から実施する予定であります。
 実施に向けて,この学習指導要領の趣旨や改善点につきまして,教育委員会や学校への周知が必要であり,例えば,本日及び明日でありますが,各都道府県教育委員会等の担当者約370名を集めまして,国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて,今,説明会の実施をしているところであります。
 また,各都道府県教育委員会等において行われる新しい学習指導要領についての研修会,説明会にも,当課の職員が出向きまして,説明を行う予定にしております。
 なお,学習指導要領の全面実施までの移行措置につきましては,現在検討中であり,速やかに制定する予定でおります。
 また,特別支援学校の高等部学習指導要領については,高等学校の学習指導要領の改訂作業と連携しながら,同時期に公示ができるよう,作業を進める予定にしております。
 文部科学省としても,特別支援教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えており,先生方の引き続きの御指導,御支援をよろしくお願いしたいと考えております。
 以上,簡単ではございますが,説明に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 先ほど申し上げましたように,引き続き次の二つ目,三つ目の御説明を頂き,その後,御質問,御意見をお願いしたいと思いますので,続きまして,説明を続けていただければと。よろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  それでは,資料2と3につきまして,御説明申し上げます。
 初めに,資料2-1と2-2というものがございます。こちら,学習指導要領の移行措置に関する資料になっております。2-2の方が正式な通知ということになりますけれども,本日は2-1の概要に基づいて御説明申し上げたいと存じます。
 資料2-1,学習指導要領の改訂に伴う移行措置の概要というものでございます。今回,学習指導要領全面実施は,小学校では平成32年度,中学校では平成33年度からということになっております。現在からそれまでに至る期間,小学校ですと平成30年度,31年度,中学校ですと平成30から32年度の期間を移行期間と位置付けまして,その間,新学習指導要領が円滑に実施できるように準備をしていくということを考えてございます。そのための措置が,今回の移行措置ということになります。
 端的に申し上げますと,例えば,指導学年が変更されていて,従来,4年生で学んでいるものが6年生に移るというようなときに,抜けがないようにする。例えば,当然それまでに学んでいるべきということが教えられないままに新学習指導要領に移るというようなことがないように,必要なことについてこの移行期間のうちにきちんと教えておくというのが,この措置の基本的な内容でございます。
 基本方針のところの2番目にございますけれども,特に教科書等の変更等の対応を要しないといった場合には,積極的に新学習指導要領による取組ができるようにする。特に知識・技能,思考力・判断力・表現力等,学びに向かう力,人間性等をバランスよく育成することを目指す新学習指導要領の趣旨を十分に踏まえて指導するようにするということを基本的な考え方としたいと存じます。
 具体的な内容でございます。2ポツが移行措置の内容でございます。教科等ごとに若干取扱いは異なりますけれども,例えば,総則,総合的な学習の時間,特別活動等,特に教科書の対応を要するものではないというものについては,平成30年度から新学習指導要領によるということとしたいと思います。
 また,指導内容等に変更がある教科については,一定の特例措置を定めまして,指導内容の欠落が生じることのないようにしたいと思っております。
 また,それ以外の教科については,新学習指導要領によることができることとすることで,積極的に新学習指導要領の内容が実現されるようにしていきたいと考えてございます。
 なお,道徳につきましては,既に先行的に教科化をしておりまして,小学校については平成30年度から,中学校については平成31年度からの新学習指導要領による実施ということになります。
 (2)番で,小学校における外国語の扱いについて書いてございます。外国語については今回の学習指導要領の改訂によりまして,新たに小学校3,4学年で外国語活動,また,小学校高学年で外国語科が導入されることになります。
 これに伴いまして,授業時数についても若干の特例を設けたいと考えてございます。円滑な接続ができるように,次の2ページ,3番というところで授業時数の特例というものを掲載してございますけれども,基本的には15時間分の学習を事前に行っていただきたい。移行措置の間に行っていただいて,それぞれ3,4学年であれば,外国語活動の時間,それから高学年であれば,外国語科にきちんとつなげていただけるということにしたいと思っております。
 そのために,15時間程度の時間が必要ですが,一方で,現在,各小学校においては,授業時数,大変たくさんの時数を抱えているという状況もございまして,直ちに来年度から15時間分をプラスアルファでやってくださいということについては非常に厳しい状況があるという御意見も,これまでのパブリック・コメント等でも頂いているところでございます。そのため,今回は,15時間を超えない範囲において総授業時数及び総合的な学習の時間の授業時数から減ずることができるという形で,学校の御判断によりますけれども,トータルで授業時数を増やさないとする。この移行措置の期間においては,トータルでの授業時数は増やさないという形での実施を可能にする措置を講じたいと考えてございます。
 なお,これは小学校であれば,2年間の時限の措置ということになりますので,移行措置が終わりまして,全面実施ということになった場合には,学習指導要領の公示をしている内容にお示しをしておりますとおり,総合的な学習の時間については,70時間ということになるということでございます。
 以上が移行措置に関する御説明でございます。資料2-2の方が,本体の告示ということで,各教育委員会等に宛てて発出したものでございます。
 続いて,資料の3番について引き続き御説明申し上げたいと存じます。新学習指導要領の趣旨の周知に向けた取組についてという資料でございます。
 これまで文部科学省におきましては,新学習指導要領について公示がされた後,特に小学校・中学校の学習指導要領の総則,また,各教科等について解説というものを作成し,文部科学省のホームページにおいて現在公表しているところでございます。
 解説とは,大綱的な基準でございます学習指導要領の規定の意味について,より具体的に説明をするという観点から,文部科学省において作成するものでございます。
 解説においては,各教育委員会,学校等から寄せられる問合せ等を踏まえまして,中央教育審議会答申の考え方に沿って,学習指導要領のそれぞれの記述の趣旨,取扱いについて詳述をしておるところでございまして,学校の先生方に御参考にしていただいているものでございます。
 これまでこの解説に関連しまして様々なお問合せも頂いているところでございますけれども,ここに例えば幾つかの例としまして,今回なぜ前文というものを学習指導要領の中に設けたのかとか,あるいは学習の基盤となる資質・能力,例えば情報解決能力であるとか,問題発見・解決能力といったようなこと,また,現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力,例えば主権者教育であるとか,消費者教育といったようなこと,それと,各教科等の内容はどのような関係にあるのかといったような御質問,また,カリキュラム・マネジメント,そもそもその定義はどのようなものか,また,学校評価においてどのように扱っていったらいいのかというような御質問,主体的・対話的で深い学びということの定義であるとか,各教科等の特質に応じた見方・考え方と主体的・対話的で深い学びはどのように関係しているのかといったような御質問,10分15分等の短時間を活用した学習活動を行う際にどのような点に留意をしたらいいのかといったような御質問,また,小学校段階において,プログラミング教育を行う際の留意点にはどのようなものがあるのかといったような御質問などが,多く寄せられている御質問の例かと思いますので,御紹介させていただきたいと思います。
 次のページにお進みいただきたいと思います。新学習指導要領に関する今後の周知・広報活動ということでございます。今回,学習指導要領の基本理念としまして,社会に開かれた教育課程ということがございました。この観点からも,教育関係者だけでなく,保護者,地域の方々,また,産業界等を含めて広く教育課程について共有して,社会全体として子供の育ちに関わっていくということが重要かと存じます。
 そのために,具体的な施策としまして,ここに三つほど書いてございますけれども,第1に,説明会の実施ということで,これまで中央説明会,全6回の予定でございますが,既に4回が終わっておりまして,相当数の方々の御参加を頂いております。
 それからまた,各地方の都道府県・指定都市教育委員会が開催する説明会といったこと,これも既にきょう現在,36の都道府県・指定都市から延べ56回分の派遣要請というのを頂いているところでございますけれども,文部科学省の職員が講師で参りまして,そこで御説明をさせていただくというような活動もしてございます。
 また,教科書会社にこの学習指導要領の内容を十分に御理解いただくということも極めて重要でございます。ちょうど本日もこの後に教科書セミナー,教科書会社等の関係の皆様を対象にしたセミナーを行いまして,新学習指導要領の趣旨について,私どもの方から御説明をする機会ということも設けてございます。
 それら以外にもまた様々な御依頼,御要望を頂いておりますので,可能な限り私どもの方からも講師を派遣する等して,周知を図ってまいりたいと考えてございます。
 それから,第2点でございます。パンフレットの配布という点でございます。やはり全国の学校,保護者の皆様方によく御理解いただくために,分かりやすいパンフレットを作成したいということ,それから新指導要領に関する冊子をできれば全ての教員に配布するということ,また,指導要領の解説について,新教育課程説明会において既に配布をしたところでございますけれども,ホームページの上でも公開をして,どなたでもごらんいただけるような状態にして,趣旨について御理解いただくという点でございます。
 最後に3点目です。優れた実践事例の共有・解説動画の配信という点でございます。独立行政法人教職員支援機構では,既に校内研修に役立つような様々なコンテンツをホームページにおいて公開されているところでございます。そこにおいて,実際に学校の校内研修等でお使いいただけるような,文部科学省の教科の専門家である教科調査官による解説の動画を随時掲載してまいるという予定でございます。
 また,同じく教職員支援機構の方で,全国の優れた実践についての成果を公表・共有するようなセミナーを実施していただいたり,あるいは主体的・対話的で深い学びの実現を目指した実践事例等のホームページの公開ということも,これもお願いしているところでございます。
 こういった活動を通じまして,この指導要領の趣旨について,できる限り多くの皆様方に適切に御理解いただきたいと存じます。
 こちらからの説明は以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,ただいまの報告につきまして,委員の皆さんから御質問あるいは御意見等がありましたら,お願いできればと思います。いつものとおり,御意見等々がおありの場合には,名札を立てていただければと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。どなたからでも結構ですので,いかがでしょうか。
 吉田委員,お願いいたします。
【吉田委員】  すいません,ありがとうございます。それでは,2-1の資料の2ページ目の最後の4番の留意事項というのは,御説明がなかったんですけど,ちょっとこれの意味が分かりかねるので,最初に御説明いただいて,質問させていただきたいんですが。
【天笠部会長】  ということで,お願いします。もう一度確認ですけれども,資料2-1ですか。2-1の2ページのところですね。
【吉田委員】  そうですね。
【天笠部会長】  それの4の留意事項のところについて御説明をお願いできればというお願いだと思うんですけど,よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  資料2-1の2ページ目の4点目に留意事項というのをお示ししております。この留意事項の1点目ですけれども,目標や内容について,教科によっては2学年ごとに,例えば,3学年および4学年の目標といったような形でお示ししているものがございます。そういった場合には,全面実施の年度,端境期に入る可能性がございますので,その端境期において混乱が生じないように,適切な指導計画を作成して御指導いただきたいということでございます。
 それから,2点目も同じくでございますけれども,移行期間中の入学者選抜に関する学力検査における出題の範囲ということでございます。これ,特例の内容によって,若干ばらつきが出るということがございますので,学年ごとに児童生徒が何を履修しているのかということについて十分に御配慮いただいた上での出題を頂きたいということでございます。
【天笠部会長】  どうぞ。
【吉田委員】  ありがとうございます。
 そこでお尋ねしたいんですけど,二つ目の丸の移行期間中に実施する入学者選抜に係る学力検査という言葉なんですけど,この出題範囲は学年ごとに児童生徒が履修しているというと,中学校の入試ということもここに含まれるということなんでしょうか。
【白井教育課程企画室長】  そのとおりでございます。
【吉田委員】  そうすると,公立の中高一貫校は,やっぱり入学試験,入学者選抜で学力検査という言葉が正式にもう成り立っているということなんですよね。
【白井教育課程企画室長】  公立の学校につきましては,学力検査でなく適性検査ということでございますので,この規定,実質の対象としては,私立学校が対象になってくるものと存じます。
【吉田委員】  そうすると,これは私立学校だけですね。今はやっていらっしゃるけれども,今後,公立学校は筆記試験,学力試験は完全にやらないということですね。
【白井教育課程企画室長】  適性検査という形で行われるものかと存じます。
【吉田委員】  そこなんですよ。私が言いたいのは,適性検査という名で,はっきりたしか英語教育か何かのときに学力検査という言葉が出ていて,今,何年か前のQ&Aか何かで,入試という言葉がはっきり公立の中高一貫校で使われてきているんですよね。それが今,今回の学習指導要領では,公立中学校は基本的には本来適性検査しかできないはずですけども,入学者選抜という言葉が実際使われてきている経緯等を総合すると,これは私学だけじゃないのかなと私は思ったものですから,それだったらここにはっきり私立学校として,公立学校は学力検査じゃなくて適性検査という言葉を入れておいていただきたいという思いがあります。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。それでは,杉江委員,お願いいたします。
【杉江委員】  前回欠席でしたので,そういう議論があったかどうか分かりませんが,今回の学習指導要領の改訂におきまして,目標設定されていること自体は,私は非常に正しい方向を向いてやっておられると思います。実は私も過去,経済団体でキャリア教育に長年携わってきたことや,現在は専門高校の支援等をしている中で,学校に何回も訪問しまして,公立の学校ですけれども,よく校長先生等から聞かれ感じることは,一体この目標に対して教育現場の方が実行できる体制になっているかどうかという点で非常に疑問を持っています。例えば,手段としてアクティブ・ラーニングをやること自体は,一方的に先生が教えるよりも,子供が理解する方向でやられるわけですから,それは正しいと思います。しかし少し極端な言い方をすると,アクティブ・ラーニングなんかできる先生がなかなかいないとか,又は教員自身が,一方的に教えることが仕事であって,子供が自ら学ぶという教育は今までやってこなかったわけですから,転換できるかどうかという教育現場の問題があるわけですね。
 一方で,先生の事務作業が多くて,夜中まで仕事をしている。事務作業は本当にやる必要がある仕事なのかどうなのかということまでは私は分かりませんけれども,少なくとも,事務作業が多い中で,教育の方法自体を転換するには非常に大きなハードルがあるのではないかなと思います。教育現場の問題をどのように解決していくかに対して,自治体それぞれで考えてやってくださいというスタンスなのか,又は自治体の教育委員会や学校でそれぞれ考えてお願いしますということでは,私は過去のゆとり教育と同じことになる危険性があると思います。各自治体の教育委員会,又は学校の先生方をどのように意識転換を図ってもらって指導していくかに対してどのような対応をとられているか,御説明いただければありがたいと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  1対1対応については,もうしばらくそれぞれの委員の方からあって,その中でまた今の応答をしていただくということで,御意見,御質問等々お願いできればと思うんですけれどもいかがでしょうか。
 宮本委員,お願いいたします。
【宮本委員】  周知・広報の件でお尋ねと要望です。今回の学習指導要領の趣旨をより多くの方々に適切に理解をしていただくということはとても大事なことで,そのためには,やはり周知・広報というのは極めて大事だと思います。
 資料を見ますと,パンフレット等の配布ということで,全国の学校や保護者にパンフレットを作る,あるいは教員に学習指導要領の冊子等を配ると書いてありますが,特にパンフレットについては,これは配るだけだと多分意味がないと思うのですよね。ただ学校にぼんと送られて,はい配りました,これではやはり改訂の趣旨を徹底するというわけにいかないと思いますので,このパンフレットを実際どういう形で配っていくのか。どういう形で説明をしてもらうのか。このあたりのところもしっかり準備をされた上で,是非広報をお願いしたいと思います。
【天笠部会長】  それでは,髙木委員,お願いいたします。
【髙木委員】  新学習指導要領の周知・広報の件についてですが,先ほども御説明がございましたけれども,教科書会社に対しての説明会も,この後されるということですが,今回の学習指導要領改訂全体を考えてみると,教科書そのものが大きく変わっていかないと,今回の教育課程の改訂の趣旨がなかなか行き届かないだろうと。
 一方,これはこの後の話合いにも出てきますが,先生方,大変多忙な中で授業をされている。そういったときに,やはり教科書附随の教師用指導書,いわゆる赤本というものが非常に丁寧に作られている。そういったものも含めて,新しい学習指導要領の趣旨に変えていかないと,内容の徹底ができない。
 例えば,教師用指導書とか,いわゆる赤本はかなり旧態依然としたと言ってもいいような形のものが多くあります。教科書本体だけ,文部科学省の方では教科書検定ということで行うことしかできないとは思いますけれども,基本的な取組全体を考えるならば,ぜひ教科書の在り方全体をもう一回根本的に考え直して,これからこの学習指導要領の趣旨が生きるようにしてもらいたい。特に今回,知識及び技能,それから思考力・判断力・表現力ということが明確に学習指導要領に位置付けられました。その位置付けられたことを,どのように教科書本体に具体的に表していくかというところまで踏み込んだ形の教科書づくりというのを考えないと,今回の大きな改革の趣旨にはなかなか今までどおりですとなっていかないと思いますので,是非その辺のお願いをしていただければと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 若江委員,お願いいたします。
【若江委員】  同様に広報のところなのですが,私たち産業界もできるだけ学校教育とつながっていこうということで,いろいろな活動をしておりますので,是非パンフレット等の配布であるとか,告知関係については,具体的に地域の人材や,産業界なども明確なターゲットに入れていただくとはいかがでしょうか。産業界を巻き込んでいくことは,開かれた教育課程を実現していくために不可欠だと思いますので,是非そういったところの対象と手法を御検討いただきたい。
 もう一点,質問なのですが,資料1-1のところの2の教育内容等の改善事項の二つ目,知的障害者である子供のための各教科ということで,一番下のところなんですが,知的障害の程度や学習状況の個人差が大きいことを踏まえて,特に必要がある場合には,個別の指導計画に基づいて云々とあります。私は,この分野は全く不勉強でございますが,幾つかの学校を見せていただいたところ,既にほとんどの現場では個別の学習計画を立てて,このようなことに対応しておられるように思うんですけれども,今までは本来はそういうことはしてはいけなかったことを現場の先生方がやっておられたのか,ちょっと疑問に思いましたので,質問させてください。
【天笠部会長】  後でお答えいただくということで,とりあえず委員の方から出していただければということで,進めさせていただきたいと思います。
 帯野委員,お願いいたします。
【帯野委員】  既に杉江委員,そして,髙木委員からの御質問,御意見のありましたことと重なるので,後でまとめてお答えを頂けると思うのですが,私の方も現場の方がどう対応できるかということについて気になりますので,質問させていただきます。
 英語の教育の方についてなのですが,まず,移行期間中,15時間を確保するために,総合的な学習の時間を振り替えられることにするということですが,これは時間をどう確保するのかという議論を先送りにして小学校からの英語の教科化を定めたツケが今,この分科会に回ってきているようなもので,我々は,総合的学習の時間を振り替えるということが,現場によっては混乱もする,困難なところもあるということ,これはどこかで意識にとどめておかなければならないのかなということが一つ。
 それと,その教育目標をどこに置くかということなのですが,例えば,3学年,4学年については音やリズム,これは現場でも対応しやすいと思うのですが,5学年,6学年の大文字,小文字,文章構造等々について,教科書会社にこの後説明があるということでございましたが,移行期間中の教科書がどうなるのか。現場は,教科書が国から下りてくるであろうという待ちの態勢のところがたくさんあると思いますし,それがなければ,目標の達成が,学校によってばらつきがあるという問題が生じると思いますので,移行期間中の教科書がどうなるのかという質問が一つ。
 それから,32年度からの時間確保なのですが,本格実施の場合,多分,これが30時間になるのでしょうか。それをどう確保するかということを今から準備を始めておく必要があると思います。これは,働き方改革とも総合的に抱き合わせの答えになると思うのですが,小さな時間を作っていくということは,他教科の無駄というか,今後10年間において優先順位が低くなりそうなものを少しずつでもスクラップしてビルドしていくしか方法がないのではないかなと感じております。多分,かなりの力仕事になると思うので,今からその準備を始めなくてはならないのではないかと考えます。その点についての意見と質問です。後でよろしくお願いいたします。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続いて,渡瀬委員にお願いしたいんですけれども,渡瀬委員,生重委員,伊藤委員,大方委員,大島委員という,この順でお願いしたいと思うんですけれども,その後,寺本委員ということで,時間的な関係からすると,今,上げられている方ということでよろしいでしょうか。
 それでは,渡瀬委員,お願いいたします。
【渡瀬委員】  よろしくお願いします。髙木委員から教科書のお話がありましたけれども,私も教科書がどうなるのかということが非常に大事だと思います。特に主体的・対話的で深い学びに本当になっていくために果たす教科書の役割というのは非常に大きいと思いますので,教科書会社に対しての説明会の中で,主体的・対話的で深い学びをどういう趣旨で説明していくのかということが重要だと思います。教科書の書かれ方次第では,活動が一見,主体的・対話的に見えるけれども,実は画一的な,ただ話合いをしているだけとか,ディスカッションをしているだけとか,そういうふうな活動にならないとも限らない心配をしています。
 そういう意味では,方向性は示しながらも,活動については学校や教員個々の主体性が生かされるような書かれ方でなくてはいけないと思います。それから1時間1時間の授業の中に,必ず何かそういう主体的な対話的な活動を入れなくてはいけないという考え方ではなくて,やはり単元全体が探究的になっているとか,学年を通した教科全体が固まりとして探究的になっている中で,それぞれの時間はどういう活動をするのがよいのかを示唆するような視点で教科書が書かれていくといいのではないかと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 生重委員,お願いいたします。
【生重委員】  私は,特別支援学校学習指導要領等の改訂のポイントのところで,懸念事項というか,先ほど若江委員からも,今現在でも既に個に応じた教育というものが十分配慮されて行われていると。私も何校か見せていただいて,それはすごく実感しているところなんですが,もうちょっとこれからの特別支援教育,特別支援学校においても,地域連携,コミュニティ・スクール,その意識を持っていただくことがとても大事で,総則の中にもうちょっとだけ書き込まれているといいなと思うのは,特に個性豊かな様々な障害を個性と捉えたときに,自分の好きなこと,得意なことを伸ばし,それが将来の自立につながるみたいなことも含めて,現場の先生たちもとてもよく考えてくださっているかなと思うんですが,それが地域社会との連携とか,彼らは学校に行っている間,自分の地元に場がない。地元でおうちのあるところでも彼らという存在が地域の中のインクルーシブな社会を目指すのだとしたならば,地域の中で認められて,共に過ごせる時間や場所があるべきです。ですから,学んでいる間,学校という空間だけに閉じ込められてしまうのではなく,意識的に地域や社会との連携,それから,将来何か自分がこれをやってみたいというものを見付けたときにつながっていける,就労先とも早い段階からつながっておくことというのは,学校行事等を通じてとても大事なので,コミュニティースクールになって,そういう方たちに運営委員になっていただくというのは重要だなと。それが成功なさっているところも見せていただいているので。
 それともう一点,やっぱり地元の場というところで,最後の自立と社会参加のところにも書いてあるんですが,これ,本当に生涯を通じてのスポーツや文化芸術活動というところにおいて,彼らが生涯を通じて学びを一生涯続けていくという場が極端に少ないと思っておりまして,そういうことも含めて,県だけではなく市町村もそういう多様な人を受け止めて,教育という視点から,学習指導要領の改訂を今回するのに,もっと理解していただく。これはこちらの2の方の広報・周知にもつながる問題なんですが,保護者や地域がそこを分からないと,やっぱりただひたすら勉強している姿から抜け切れていないところが十分ありますので,広報・周知というのはかなり意識して,多くの国民に分かっていただけるということを目指していきたいし,民間の我々なんかも御協力できることはしていきたいなと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 伊藤委員,お願いいたします。
【伊藤委員】  遅れてきまして,大変申し訳ございません。
 今の生重委員の御発言にも関連するんですけれども,私も広報活動の関係でございます。学校運営協議会の設置が努力義務になったということもありまして,今,公立学校においては多くの学校でコミュニティ・スクールの充実を図るべく取組が進められているところだと思っています。
 本校も非常に簡単ではあったんですが,新学習指導要領の概要をこの4月の学校運営協議会において説明をさせていただいたんですけれども,コミュニティスクールという器の中に,いよいよ社会に開かれた教育課程という中身の部分を形づくっていくというときが来たのではないかなと感じております。
 それで,より良い学校教育を通して,より良い社会を創るという理念を学校と社会が共有するというようなところもありますけれども,相手が漠然としていては,共有することはできないわけで,コミュニティスクールになっているところでは,学校運営協議会でしっかりと意見を交わしていくということがその第一歩になるのではないかと思っています。その意味で,学校運営協議会は今後ますます重要になってくるだろうと思いますし,逆にこれを契機として,協議会の活性化を図っていきたいというところもあります。
 そこで,新学習指導要領の周知に際して,学校運営協議会等で皆さんで視聴できる,あるいは貸出のできる,そういったDVDというようなものがあればいいなと思っています。さっき校内研修にも役立つ解説動画ということもありますけれども,例えば主体的・対話的で深い学びであるとか,カリキュラム・マネジメントであるとか,そうした専門用語も含めて,地域や保護者の方が分かりやすくイメージしやすいようなもの,そうしたものを作成していただけると,一緒に学校運営協議会で見て,そして,意見を交わしてということで,コミュニティ・スクールそのものも広がっていく,あるいは充実していくという大きな効果が期待できるんではないかと思いますので,是非御検討をお願いできたらと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  ありがとうございます。
 どうぞ大方委員,お願いします。
【大方委員】  大方でございます。
 特別支援学校幼稚部教育要領,また,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の改訂の中で,これがいわゆる幼稚園教育要領や小学校学習指導要領の改訂をきちんと踏まえた内容になっているということを,それぞれの先生方がインクルーシブというからには,両者の立場の方々もそれぞれに書かれていることがそごなく同じような方向に進んでいるということの周知をするということと,保護者の方々も同じようにきちんと踏まえられているということの安心感が提案できるような場と,それから,養成校の学生も,単に免許を取るということだけではなくて,その内容の周知と,同じような方向性が押さえられているということが,今回の改訂を契機としてきちんと情報伝達されることによって,よりインクルーシブなものが接続に向かうのではないかと思いました。
 それから,特に一般の幼稚園や保育園やこども園から,小学部の方で特別支援学校に移行する方もおられるかと思いますので,その段差やギャップにおいても,踏まえられている内容がある程度きちんと同じような方向で周知されているんだということや,今後幼稚部の役割もより大きくなっていくのではないかと思いますので,その辺もいわゆる幼稚園教育要領の中で押さえられている幼稚園の遊び,活動,生活の部分がもう少し互換していくことによって,保護者の方の安心度も高まり,子供の育ちの保障もできるんではないかというふうに思いました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 大島委員,お願いいたします。
【大島委員】  ありがとうございます。私は1点,質問になります。こちらの資料3の丸2の一番最後のポツなんですけど,いわゆるプログラミング教育についてなんですけれども,プログラミング教育は最近,AIとの関係と産業界の観点で非常に大事なことなので,こういう形で少しずつ学習指導要領を含めて入れていただくというのは非常にありがたいと思います。一方で,留意点なんですけれども,実際にプログラミング教育に関しては,学習内容自体は余り分かっていないというのと,例えば,国語との関係や外国語の言語関係であったり,情報との関係,恐らくこれは横断的な形になると思うんですけれども,そうすると,実際の学習指導要領のそれぞれの科目の中でどういう形で入ってくるのかというのが分からないので教えていただきたいということ。また,後半の話にもなるかと思いますけれども,いわゆる働き方改革も含めたICTというお話が資料を見ているとありますけれども,環境整備的なことも入ってきますので,そういうこととの関連などでどういうふうに状況がなっていて,それに基づいての具体的な留意点としてなのかということについて教えていただければと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 寺本委員,お願いいたします。
【寺本委員】  すいません,資料3のところで出てきたところの,広報関係,2枚目です。各学校や保護者にパンフレット等の配布ということで,ずっと広報は大切ですからというお願いをしてきて,随分と予算の方お手数をお掛けすると思いますが,ここで全体を見て思うのが,動画だとかというのはどちらかというと,学校教員や学校側の方に対して一番分かりやすく,当然,第一義的にはそうなんでしょうけれども,実は前文にも,また,総則にも書かれてあるとおり,やはり家庭や地域社会との連携,協働ということになると,それぞれの保護者はもとよりですが,地域社会の方々にも分かりやすくとなると,なかなかパンフレットだけではその部分が受け取られないだろうと思いますし,皆さんの目に届かないんですね。
 そういった面で言うと,インターネットのサイトでも結構ですし,そういった動画だを,ダウンロードしたり,いろいろな形でどなたでもどこでも見られるような,そういった状況と同時に,学校側にもちょっとお手数掛けますが,学校が一番身近な保護者の方々や,場合によっては,地域の方々とのいろいろとお話をされる機会に,実はこんなふうに変わっていくんです,ということを,学校の方々がまた説明をすることによって,学校の教職員もより自らの理解が深まるということにつながっていくと思いますので,この点も併せてお願いしたいと思います。
【天笠部会長】  ということで,この件については,委員の方の御質問,御意見はここまでということにさせていただきたいと思うんですけれども,事務方の方から,今のそれぞれ御質問等もあったかと思いますので,お答えをお願いできればと思います。また,それに関わってコメントもお願いできればと思いますので,御説明いただいた順に,まず,(1)の特別支援,そして移行措置期間,そして周知という順でお願いできればと思いますので,まず特別支援関係の方からお願いいたします。
【中村特別支援教育課長】  お答えをいたします。
まず,若江先生の方から御質問を頂戴いたしました,個々の学びの連続性を重視した対応のところで,各教科の目標・内容の一部の取扱いとか,私の方から,前の学年の目標・内容に替えることができるという説明だけでしたので,内容がよく伝わらなかったのかなと。説明不足で大変恐縮でございました。
 ここについては,障害の状態に応じて,例えば,聴覚障害のある児童生徒に対する理科の音に関する学習をその子供の状況に応じてはやらないとか,学びの進度といいますか,3年生の算数の目標・内容を,例えば,2年生の目標・内容へ替えてやるとか,このことについては,現行の学習指導要領からやれるようになっております。新しくこれからやれるのではなくて,今でも実施できるということになっております。
 それと,生重委員でしたでしょうか。地域との連携とか,コミュニティ・スクールのことについても,連携についてもっと書き込むようにしたらどうだったんだろうかというお話を頂戴したところでございます。このポイントの資料で,自立と社会参加に向けた教育の充実で,生涯学習への意欲を高めるとか,生涯を通じてスポーツや文化芸術活動に親しむという書き方をしているんですが,ここについては,昨年から生涯学習政策局の方で,障害のある子供さん方を,生涯学習への意欲というか,地域全体でという取組について,新しい室ができているところでございます。文部科学省として,初等中等教育局と生涯学習政策局の連携の下でこのことについては重視をしていくという,今,取組を行っているところでございます。 
それで,一つ,若江先生のところで補足を,補佐の方からさせていただきますので。
【天笠部会長】  できるだけ短く,簡略にお願いいたします。
【山下特別支援教育課課長補佐】  若江先生の方からの御質問で,現行でも知的の程度の,障害の程度の軽い子につきましては,やや発展的な内容といいますか,それを取り入れるということも可能でございまして,それを先生方が自作プリントなんかを作ってやっていらっしゃる学校もございます。今回の学習指導要領の改訂におきましては,その辺の考え方を整理して,明記させていただいたという改正の内容にございます。
 それから,大方先生の情報伝達が必要だということに関しましては,私どももしっかり取組をさせていただきたいと考えてございます。ありがとうございます。
【天笠部会長】  続きまして,お願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  初めに,パンフレットに関する御質問を何人かの委員から頂戴いたしました。仰るとおり,パンフレットを配るだけではだめということは,私どもも認識しております。ある意味,古典的な方法でございますので,そこについては,先ほど伊藤委員からもお話しいただきましたけれども,やはり学校の役割,例えばコミュニティ・スクールなどにおいて,パンフレットや動画にどういうことが書かれているのか。その趣旨について御説明いただく必要があるかと思います。寺本委員からもおっしゃっていただきましたけれども,まさに学校の先生方が社会と学習指導要領をつなぐ媒介役に最もなっていただくべき方かなと思いますので,大変なところではございますけれども,ぜひ,学校の先生方に,この学習指導要領がどんなものなのかということの趣旨の周知徹底に御協力いただければと思っています。
 なお,平成10年,11年のいわゆるゆとり教育と言われたときの改訂において,なかなか先生方や保護者の方もどういう趣旨の改正なのかということについて御存じなかったというデータも過去残っています。そういう意味からも,学校の先生方の御協力を是非お願いできればと思っております。
 それから,教科書に関して,髙木委員,渡瀬委員から御指摘を頂きました。教科書については,基本的に民間の会社が作成するものということで,私どもの方から個別に何かということは言いにくい部分もございますけれども,趣旨についてきちんとお伝えをするということが基本かと思います。特に単元,題材のまとまりというところが今回の学習指導要領の答申の中でもキーワードかと思いますので,一回一回の授業で終わらずに,単元,題材のまとまりの中でどのような学びが育っていくのかということも十分に観点に置いていただきながら,教科書会社の方々に教科書の作成をお願いできればと思っております。
 それから,学校の先生方が忙しい中での新学習指導要領の全面実施ということについても御意見を頂きました。学校の先生方の忙しさについては,まさに今日これからの議論の中で教員勤務実態調査について紹介がございますので,またそこでも御審議いただければと思います。
 ただ,平成32年度から,小学校においては現行の学習指導要領に従いますと,35時間の授業時数の増ということは,これは確実に生じるということになります。その場合において,例えば,従来,私どもで研究してまいりましたのが,短時間の,例えば10分から15分程度の時間を活用した朝の時間,あるいは帰りの時間等にこれをくっつけて使う,単独で使う,様々なやり方があると思います。この短い時間を使っていく,それによってこの35時間を吸収できないかということ,あるいは,例えば,夏季・冬季の休業期間の在り方も含めて,そういったところでこの35時間をどのように吸収することができるのかといったような選択肢というのはまだあろうかと思います。そういったことも含めまして,そもそも子供たちにどのような学びが一番いいのかということについて,引き続き研究,検討してまいりたいと思っております。
 それから,大島委員から,プログラミング教育について御質問を頂きました。プログラミング教育につきましては,この留意点といいますのは,なかなか教育委員会の指導主事,学校の先生方がプログラミング教育はどういうものなのかということについて,まだ感覚がいまひとつつかめていないということから,もう少し詳しく知りたいといったような御質問が今のところ出ているということが多い部分かと思います。
 このプログラミング教育につきましては,今回はプログラミングの考え方,人間のデザインによって物事が動いていくんだということをきちんと認識してもらうということが一番重要なポイントかと思います。
 そのため,現時点では,例えば,理科や算数なんかですと,コンピュータを使って実際に多角形の作図ということを子供たちに経験をしてもらう,自分たちがデザインしたことが実際にコンピュータを使った動作によって動きとして起きていくんだと。まさにそういったことを通じて,論理的な思考力を磨いていただくということを考えているところでございます。
 理科とか算数での教材においては既に幾つか明記をされていて,教科書でも明記されると思いますけれども,当然,それらの教科に限られたことではなくて,ほかの教科も含めて,今,官民のコンソーシアムが立ち上がりまして,様々な分野における教材の開発というのが進んでおります。これらについても,引き続き学校関係者にもお知らせをしてまいりたいと考えてございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 今の御説明いただいた周知・広報活動について一つなんですけれども,これはできるだけ私どもに見える化していただければということをお願いしたいと思います。恐らく皆さん,いろいろなところで御説明されたりですとか,全国に行ったり来たりされているということは仄聞しておると思うんですけれども,一体どういう広報活動が展開されていて,その全体像がどうなっているのかとか,それがどういうところでどういう形で展開しているのか,どうなっているのか,基本的に見えない。皆さんだけが御努力されているような,そういう状態じゃないかと思いますので,私どもに対しても情報共有をお願いしたいと思いますし,それは国民の皆さんに対してという意味合いもあるわけでありますので,一つ一つのパンフレットや,どういう全体像の中でのそれなのかということが見えないと,基本的に功を奏さない可能性というのもあって,それはいつか来た道をまたなさるのかどうなのか,広報活動についてはしっかりと展開していただければということをお願いしたいと思います。
 続きまして,次の(4)学校の働き改革についてということをお願いしたいと思います。配布資料の説明を事務局よりお願いいたします。
【吉田初等中等教育局企画官】  失礼いたします。初等中等教育局企画官でございます。
 私から,資料4-1から,関係します4-7までを用いまして,学校における働き方改革についての現在の状況につきまして,御説明を申し上げたいと思います。
 まず,資料4-1から4-3まででございますが,文部科学省では,教育政策に関する実証研究の一環といたしまして,教員の勤務実態に関する実証分析を10年ぶりに実施しているところでございます。去る4月28日に教員の勤務時間に係る部分の速報値を公表いたしました。その関係資料が4-1から4-3まででございます。お手元,4-1が「概要」と書かれてございますけれども,こちらの資料を用いまして,御説明をしたいと思います。
 まず,1ページ目でございますが,今回の調査は,委託研究といたしまして,平成28年度から2か年の予定で実施しております。公立の小学校400校,中学校400校に勤務する教員約2万人を対象に,学校ごとに平成28年10月から11月のうちの連続する7日間を設定いたしまして,その期間の勤務実態を調査いたしました。
 調査は,大きく分けて学校調査と教員調査で構成されております。今回は教員調査のうち個人の属性と,それから各教員の業務記録についての集計を行いました。なお,学校調査,それから教員のストレスチェック調査につきましては,今年度末までに集計を行い,分析をする予定でございます。
 2ページ目をごらんください。調査結果の概要でございますが,教員の1日当たりの学内の勤務時間についてですが,前回の調査と比較いたしまして,平日,土日ともにいずれの職種でも勤務時間が増加をしております。具体的には,教諭の部分でございますが,平日の1日当たり,小学校では43分増加し11時間15分,中学校では32分増加し11時間32分,それから土日でございますけれども,教諭でございますが,小学校で49分増加し1時間7分,中学校では1時間49分増加し3時間22分という形になっております。なお,これには休憩時間や持ち帰りの時間は含まれておりません。
 これを1週間当たりの学内総勤務時間にいたしますと,その下でございますが,小学校の教諭では57時間25分,副校長・教頭では63時間34分,中学校の教諭で63時間18分,副校長・教頭で63時間36分という形になっております。
 3ページ,ごらんください。3ページは,1週間当たりの学内総勤務時間の分布でございますが,60時間勤務ということは,週当たりの時間外勤務が20時間という形になります。これを4倍しますと,おおむね月80時間に相当するという形になります。この60時間のラインを上回っているのが,上のグラフですと,教諭の場合,小学校では33.5%,中学校では57.7%,下の副校長・教頭の場合ですと,小学校では62.8%,中学校では57.9%という形になっております。
 続きまして,4ページでございますが,上の方にございます学内勤務時間と持ち帰り業務時間の比較についてでございますが,こちら,前回の調査と比較いたしまして,学内の勤務時間は増加している一方で,持ち帰りの業務につきましては,若干ではございますが,減少しているという結果でございました。
 その下,業務内容の種別の勤務時間を前回の調査と比較いたしました。平日につきましては,特に小学校では授業が27分,学年・学級経営が10分,中学校では,授業が15分,授業準備が15分,成績処理が13分増加しているということでございます。
 次の5ページ,こちらは土日の業務の関係でございますが,土日につきましては,特に中学校では部活動が1時間4分,成績処理が10分増加しているということで,このあたりが顕著な増加をしているところということでございます。
 今回の調査結果によりまして,やはり大変深刻な教員の勤務実態ということが客観的なエビデンスとして裏付けられたものと考えております。
 なお,今回の勤務実態調査の最終報告は今年度末を予定しておりまして,教職員や専門スタッフの配置状況,それから各学校の抱える課題の状況等と勤務時間との関係なども分析をいたしますとともに,ストレスの強度や労働負荷についても,更に分析を行ってまいりたいと考えております。
 資料4-2はこちらの概要の全体版でございます。
 それから,資料4-3は,先日,7月11日に追加集計分という形で公表いたしました資料でございます。時間の関係がございますので,割愛させていただきたいと思います。
 こちらの勤務実態調査を踏まえまして,資料4-4でございますが,文部科学省におきまして,教員の働き方改革に関しまして,教育関係団体,それから有識者に関しまして,ヒアリングを5月から6月にかけて実施をいたしました。関係する27団体,それから5名の有識者に御協力を頂いたところでございます。
 このヒアリングの概要でございますが,2ページ目が,主な意見といたしまして,教員の勤務時間の現状や長時間勤務の要因としてどういったものが挙げられるのか,3ページでございますが,現在,各現場で取り組んでいただいている取組例,それから今後の意見・要望についてまとめたものでございます。
 3ページの丸1のところにつきましては,勤務時間の管理やマネジメントの強化に関することということで,出退勤管理のシステムの導入や,それから,副校長・主幹教諭の配置,休憩時間の確保,専門スタッフの充実といったようなものが掲げられております。
 それから,丸2の業務の削減や平準化に関することというところでは,事務内容や各種書類の簡素化・統一化などや,一斉退勤日,それから学校の閉庁日の設定,それから教育委員会や学校,教職員の協議会の設置などによる取組の推進といったようなことが提起をされたところでございます。
 4ページに,業務の支援に関しましては,教材等のデータの共有化でございますとか,それから校務支援システムの充実,それから事務を補佐する事務補助員の配置の充実,それから小学校の専科教員の配置等々,それから下の方に参りまして,アドバイザーの配置に等につきまして,御要望などがございました。
 また,部活動に関しましては,顧問の複数配置でございますとか,部活動指導員の配置,それから部活動の統廃合といったような取組例,また,今後の教職員の処遇改善,部活動の在り方についてのガイドラインの策定などについて,御要望があったということでございます。
 こうした現場での取組なども踏まえまして,6月22日に,資料4-5でございますけれども,文部科学大臣から中央教育審議会に対しまして,新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について,諮問をいたしました。
 1枚めくっていただきまして,2ページでございますが,諮問の理由のところでございますけれども,今回の諮問の全体の説明といたしましては,先ほど来議題になっております,新しい学習指導要領の実現ということに向けまして,これにしっかりと取り組んでいかなければならないと。そのために,特に教員には,カリキュラム・マネジメントの実現や,それから主体的・対話的で深い学びの実現に向けたさらなる取組というものが求められているということでございます。
 こうした学習指導のほかにも,生徒指導,部活動,保護者や地域との連携など,学校や教員に対する多様な期待が,一方で長時間勤務という形で既に表れているということで,これは深刻に受け止めているというところでございます。
 既に文部科学省でも,中教審で取りまとめいただきましたチームとしての学校の実現でございますとか,地域と学校の連携といった改革に既に取り組んでいるところでございますし,また,業務の適正化に向けても,文部科学大臣から新たなプロジェクトをスタートさせるといったようなところを含めて取組を進めているところではございますが,3ページに参りまして,今回の勤務実態調査の結果を受けて課題になりました点につきまして,具体的かつ実効性のある取組を更に進めていく必要があるということでございます。
 今回の諮問の大きな論点といたしまして,大きく3点,示してございます。3ページ真ん中から下でございますが,一つ目が,学校が担うべき業務の在り方についてということでございます。ここでは特に学校,家庭,地域,それから教育委員会といった各機関等の役割分担の在り方,連携・協働の進め方についてが大きな1点目でございます。
 4ページに参りまして,「第二」ということでございますが,各学校の中で教職員や専門スタッフが担うべき業務の在り方,役割分担についてということでございます。こちらは教員の業務の範囲,それから専門スタッフとどういう役割分担をしていくのかという点,ICTなどを含めた業務改善の体制などについても御検討いただきたいと考えております。
 第3番目が,学校の組織運営体制の在り方,それから勤務の在り方についてということでございます。教員が限られた時間の中で子供の指導に専念をするための体制づくりという意味では,学校の組織マネジメントの強化ということは重要であるということでございます。こうした観点から,学校の組織運営体制の在り方について検討いただきたいということ,また,教員の職務の特殊性という観点から,公立学校の教員には教職調整額といって,時間外勤務についての特例があるわけでございますが,こうした点について,具体的に今後どうしていくべきなのかということにつきまして,検討していただきたいと考えているということでございます。
 資料の4-6は,この諮問につきます関係の参考データ等につきましてまとめた資料でございます。
 この諮問を受けまして,具体的に議論いただきますのは初等中等教育分科会ということでございますが,6月27日に開かれました初等中等教育分科会におきまして,この新しい諮問に関します議論の場といたしまして,学校における働き方改革特別部会というものを設置していただくことを決定いただきました。これを踏まえまして,7月11日に,学校における働き方改革特別部会の第1回を開催したところでございます。
 今後のスケジュールですけれども,6月9日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針におきまして,年末までに緊急対策を取りまとめるということが閣議決定されているところでございます。これを踏まえまして,この特別部会,それから初等中等教育分科会におきまして,年内までに議論ができました,取りまとまった内容につきましてお示しをしていただきますことを踏まえまして,文部科学省として緊急対策を取りまとめていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 先ほどまで御意見等頂いておりましたけれども,それとこれから皆さんに御意見を頂くこの件について,大変密接な関係があるということはお気付きのとおりでありますし,今,御説明いただいた新しい学習指導要領と教職員の方々の働き方という,その脈絡ということについて,今度,新しい学習指導要領の普及・定着を図る観点から,新しい教職員の方々の働き方がどうあるべきなのか,どうあり得るのかという観点から,今,御説明いただいたように,検討が始まりつつあるという状況であるわけですけれども,その場にいらっしゃる方もいらっしゃれば,今回,この情報に初めて接せられた方もそれぞれいらっしゃるかと思うんですけれども,それぞれのお立場から御意見をお願いできればと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 篠原委員,お願いいたします。
【篠原委員】  これ,初等中等教育分科会のときにもちょっと確認をさせていただいたんですが,私は働き方改革特別部会には入っていませんので,再度確認です。このアンケート自体も,公立を対象にとっているということなんですが,この学校における働き方改革そのものについては,私立も含めて議論をするということを初等中等教育分科会のときに担当の課長がおっしゃっていましたけれども,それで間違いないですか。
【吉田初等中等教育局企画官】  はい。間違いございません。
【篠原委員】  労基法と給特法でそれぞれ対象が違いますけど,そこを超えて,そういう大きく構えてやるということですね。
【吉田初等中等教育局企画官】  はい。確かに篠原委員御指摘のとおり,制度は違いますけれども,国立,それから私立も,労基法を適用される部分につきましても,検討の対象範囲としては考えているところでございます。
【篠原委員】  是非合致して,やっていただきたいと思います。
【天笠部会長】  ほかにいかがでありましょうか。
 生重委員,どうぞ。
【生重委員】  是非,働き方改革特別部会で,特に中学校のスポーツ系の部活については,今後どうあるべきか,本当に今のままでいいのかということを検討いただきたい。これ,何度も言うのは,やったこともないような人が顧問になっているのを何度も見ているからです。私の娘も,水泳なんかやったことないのに水泳部の副顧問でしたから,プールに連れていくだけで潰れたという。年間5日しか休みがもらえないので,精神的に参って公務員を辞めたという私自身の体験もございます。
 長男が小学校の教員で,ここのところ物すごくいろいろな議論を家族でしているときに,チーム学校の実現はなるのかという話になるんです。やはりどうしても小学校は特に担任制なので,自分でやらねばならない。そして,引き受けてくれるところにばかりいろいろな文書の整理とか業務が回ってきて,やらない人とやる人の差が同じ学校内でも物すごく広がっています。我が家のことばかり申し上げて申し訳ないんですが,この時間数を見て,私,「ふーん」と思ったんですが,うちの息子は,品川の学校に行くのに朝の5時に出勤して,帰ってくるのは夜の10時ですから,途中,10時まで学校にいる日といない日というのはあるかと思いますし,個人的に体育の研究会に出ていたり,いろいろなこともあるかとは思いますが,落ち着いてできるのが早朝しかないから,早朝出ていって,朝,子供や先生方も余りいないうちに引き受けているものを済ますという。そうじゃないと,授業の研究とかになかなか行き切らないという。
 一番の懸念事項は,チーム学校を作るソーシャルワーカーとか,いろいろな方たちが入ってきて,子供たちの今の実態を踏まえて,子供たちの教育を良きものにしていくための教育課程が改革されて,学習指導要領が良いものとしてもっと普及していくために,広報・宣伝というところを最初の部分で皆さんが言ってくださったんだと思うんですが,周知されると同時に,まず一番に分からなきゃいけないのは,学校教員,学校経営者なんです。学校長が学校教員全員がそれを地域や保護者とかに話せなきゃいけないのに,前回のときも誰も分かっていなくて,そんなことするんだったんですねというのを何度も聞きました。
 全員分かって人に説明できるまで,学習というのは人に教えて初めて分かると書いてあるんですから,自分たちも人に説明して,納得できるような説明ができるような周知徹底をしていただきたいと心から思っていますし,そこからじゃないと,業務の改善なんかできないんですよ。ICT入れて,学校の仕事を便利にしますといったって,したくないって完全に拒絶しているある一定層の年齢,上の方たちが,今度は,評価の部分だって,そういうところで来るはずなのに,それすらも拒絶する状況が現場で起きているんだとしたならば,それを中間管理職で見る学校長も大変だと私は思いますが,でも,やはり変わっていくためには,自分たちが現場で一番に理解して,日本の子供たちのために何ができるか,自分の現場で何ができるのかということを真摯に受け止めてくれる先生たちじゃない限り,幾らいいことを頑張って検討して決めていっても,絵に描いた餅にしかならないと思っておりますので,是非働き方改革特別部会では,そこら辺もよく踏まえた上で議論していただきたいなと心から思っております。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 杉江委員,お願いいたします。
【杉江委員】  今回の学習指導要領の改訂と,この働き方改革の関連付けですけれども,今まで出されています例えばアンケートの結果や現状の働きだけでは済まない問題があると思います。私は今回の学習指導要領の改訂は本当の教育改革だと思っていまして,特に先生に対しては,教科書の内容を変えるということよりも,むしろ子供に理解させるためにどういう教え方をするかという非常に大きな課題をはらんでいます。同時に,子供の自主性を育成するわけですから,教えるということで考えると,幾らでも教えることがあり過ぎて,とても教え切れないと思います。子供に自宅で自主学習をさせるような動機付けをどう見出してやるかということが一番大事なことだと思います。教師の面及び生徒の面における教員に対する負担が物すごく大きくなってきます。今回の学習指導要領を目標に沿って実行していく上で,新しく掛かってくる負荷を考えた上での先生の働き方改革を是非御検討いただきたいと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 宮本委員,お願いいたします。
【宮本委員】  今回の実態調査は小学校と中学校をとっていますけれども,高等学校や特別支援学校の先生方の実態というのは調査をされるのか。既に次の対策に入っていらっしゃるようですけれども,是非やはり高等学校や特別支援学校の先生方がどういう働き方をされているのかということについても,十分実態を把握していただきたいと思います。
 私,高等学校ですけれども,高等学校については,御承知のように,学校自身が多様です。多様な生徒を抱えていて,学校ごとに多様な特色があるわけで,先生方の働き方も様々です。忙しいのは共通していますが,何で忙しいのかというのは,学校によって全く違うわけで,いわゆる進学指導で忙しい学校もあれば,生活指導で忙しい学校もあれば,部活動で忙しい学校もある。ただ,共通しているのは忙しいというところです。是非やはりそういう高等学校や特別支援学校の実態もしっかり見ていただきたいと思います。
 多分,校種全体に共通した課題というのもあると思うのですけれども,やはり校種特有の課題というのも必ずあるわけで,そういうところもしっかり見ていただかないと,本当の意味での多忙化の解消にはならないと思いますので,是非そのあたりのところをしっかりと実態把握をお願いしたいと思います。
【天笠部会長】  いろいろな角度から話が始まって動いているわけですけれども,制度的な,法律的な問題もあれば,そういうところもあるんですけれども,教育課程部会という立場からすれば,やはり教育,学習指導要領の実施という,それが前提とか,あるいはそれといかに寄り添わせるかとか,あるいは学習指導要領を前提とするならば,どういう働き方があり得るのかどうなのか,あるいは働き方との関わりの中で,学習指導要領の実施というのがどういう姿になっていくのかどうなのか,こういうところが一つの問題意識というか,押さえておかなければいけないところじゃないかなと思うわけですけれども,そういう立場からも含めて何か御意見等々ありますでしょうか。
 山口委員,お願いいたします。
【山口委員】  すいません,ちょっと教えていただきたいんですけれども,業務内容別の勤務時間の土曜・日曜のところです。中学校で平成18年度から28年度で1時間時間数が増えていて,恐らく増え幅としてはここが一番多いのかなと思うんですが,部活動に関しては,部活動指導員を作ったり,いろいろな形で今,ガイドラインを作ろうという動きが出てきていて,改革には向かっていると思うんですが,この1時間の増え幅というのは,試合が増えたからなのか,でも,平日はそんなに時間,平日を減らしたから土日に集中してやるという時間の増え幅でもないので,部活動自体が何か,1時間というとかなり増えていると思うんですが,分かれば教えていただきたいと思います。
【天笠部会長】  いかがでしょうか。
【吉田初等中等教育局企画官】  増えた原因というのは,直接調べているわけではないので分かりませんが,恐らく考えられるのは,例えば,冒頭と最後だけ確認をするとか,そういった活動の確認の状況だけではなくて,熱中症などを含めて,いろいろな安全管理,健康面などを含めて,なかなか教員が離れられなくなっている状況があるというようなことは,現場の方からよくお聞きする状況でございます。そうしたあたりのところが,少しこういった時間に影響しているのではないかなと考えているというところでございます。
【天笠部会長】  それでは,大方委員,お願いいたします。
【大方委員】  ありがとうございます。この働き方の中で一番大事なのは,やっぱり子供たちが勉強が楽しくなったり,興味があったりということに多くの時間が割かれているという結果ならば,それはそれで大きな意味があるんじゃないかと思うんですけれども,そのための教材研究とか,指導方法の研究が,特に今回,教育課程なり学習指導要領が変わった中で,そこに時間を割くために,周りの事務的なことをどう合理化するかとか,そのための事務的アシスタント的な方々をどう雇用してもらえるかとかで,やっぱり指導方法の研究に学校差があり,地域差があり,子供たちの支援も必要であればあるほど,指導法研究を充実していかないと,結局子供には返ってこなくて,先生も疲弊しているという結果であるならば,非常にもったいないことではないかなと思っています。
 特に小学校においては,今回,幼児期の終わりまでにということの幼児教育の接続があり,また,中学校との接続もあると,小学校の先生は幼児教育のことを理解し,中学校のことも理解しというと,指導方法の研究というのはかなり勉強していただいたり,研修の時間保障が必要になってくると思いますので,そういう観点から,軸を置いて働き方改革というのが行われてほしいなと思います。
 以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 今立てられているのが,帯野委員,それから大島委員,それからあと若江委員という,この三方ですけれども,ほかの方はよろしいでしょうか。
 それでは,まず帯野委員からということで,この三方ということで次に行かせていただきたいと思います。
 では,帯野委員,よろしくお願いします。
【帯野委員】  先ほど天笠部会長から,この部会においては,学習指導要領等の改訂に主眼を置いて,働き方について議論をするべきというお話がございましたので,働き方については,初等中等教育分科会でもいろいろ申し上げているのですが,学習指導要領の改訂について絡んで申し上げるということになれば,先ほども質問しましたように,35時間という時間が増加するというところが大変気になっています。それについては,モジュールであるとか,土日であるとかいろいろな方法があると先ほどのお答えの中にありましたが,ただ,すごく気になるのが,教育課程部会で議論する場合に,それが時間の消化ということが目的になってはならないということだと思うのです。小学校5年生でモジュールというのはいかがなものかと思いますし,あるいは夏季休暇中に集中して教えた場合の教育効果とか,あくまで我々の求める教育目標を小学校の児童が十分に消化できて,それを中学校にどうつなげるかというところを大切に考えていかなければならないので,どうやって先生の労働時間を減らすのかというところと,矛盾して苦しいところではあるのですが,それが時間の消化,35時間の消化が目的にならないようにということは留意していかなければならないと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 大島委員,お願いいたします。
【大島委員】  幾つかあるんですけれども,まず1点目は,部会長がおっしゃった,学習指導要領との関係を議論するということは大事なんですけど,その前に,この教員の事務実態調査というのはこういう形でまとめられているんですけど,これはどういう形で公表されているのかというのをお聞きしたいということですね。
 大学も似たような状況なんですけど,これを見て多分,皆さんやっぱりデータとしてこれが12時間とかですと,これはほぼ24時間の半分ですよね。なので,やはりこういう衝撃的な事実というのを国民全体が共有するって非常に大事だと思うんですね。なので,それを是非きちんと共有するということが大事だと思います。
 そうすることによって,やはり時間を減らさないといけないという話と,あと,実際にこれから新指導要領を移行を含めて実行する際に,時間が増えるという事実があるんですよね。なので,そうしたときに,これは具体的にどれぐらいの時間が各先生方で増えるという予測をされているんでしょうかね。ですから,今,大体12時間が,例えば,これから更に1時間ですと13時間ですよね。なので,そういう具体的な予測もしていった方がいいと思うんですね。そうすることによって,じゃ,これ,学習のためにいわゆる効果,何をもって効果的というのもあるかと思いますけれども,例えば理想とする学習に割く時間,及び,例えば学習の準備も含めて大体どれぐらいの時間にするというのが理想なのかというのも,ちょっと分かりにくいんですね。
 なので,大体どれぐらい増分するのかというのと,あと,現状である程度理想とされるものに対してどれぐらいの時間がオーバーしていて,それに対して,やはり今後どれぐらいの時間を割けるべきかという,ある程度やはりそれを数字で出していくというのは結構大事だと思うんですね。
 なので,ちょっとそれ,簡単ではないかと思うんですけれども,大体の幅を,2時間削ればいいのか,1時間なのかというのがちょっと分からないので,それを是非試算していただきたいなと思っています。
 あともう一点なんですけれども,これ,例えば,一つのジョブに対してそれを増やすという話と,マルチプルにやるのとで多分違ってくるんですね。これ,いろいろな分析をされている主な意見の中にも,1人の教員がやはり多機能をやっているということがあるので,それが今の指導要領の改定でこれを救おうとすることによって,新たなジョブが増えるかということも大事だと思うんですね。なので,今やっている時間とともに,新たなジョブが何として必要なのかというのも結構明らかにしていただくということは大事なんじゃないかなと思っています。
 なので,せっかくこういうデータが出てきて,何をしないといけないかということがある程度分かっているんであれば,それを少し分析していただくということが結構大事かなと思っています。
 以上です。
【天笠部会長】  今の,何かお答えできることがありましたら,お願いできればと思いますけれども,若江委員の御発言をお願いした後で,全体を通してコメントをお願いできればと思います。
【若江委員】  教育課程に関わることでということでしたので,働き方改革と実は今回の教育の改革というのは本当に表裏一体で,産業界でもいつも何か新しいことをしようとすれば,それを乗り越えるための改革ということが大事なわけですよね。いろいろと創生プランで出されている,開かれた教育課程を実現するためのチーム学校であるとか,コミュニティースクールであるとか,学校運営協議会,そして,地域学校協働本部,いろいろなリソースというか,要素があるんだけれども,それは働き方改革にもつながっていくし,当然,学校教育の改革にはつながっていくんですけれども,それがやはり一番は,お話にも出ていますように,現場に正しく理解されていないというところが大きな課題だと思っています。
 まさにアクティブ・ラーナーと言っているのであれば,私たち,これに関わる人たちがアクティブ・ワーカーでなくてはならないわけで,そうすることによって,主体的に取り組もうという気持ちが協働的に解決しようという意識につながって,そして,それをうまく実現していくという,まさに深い学びですよね。
 ただ,そのときに大事なことは,チーム学校という中にいろいろな専門家が集まってくるときに,ここがまた,知識・技能だけを提供してもらったんでは,学校は混乱すると思うんですね。ですから,こういう専門家こそ知識・技能を携えて,具体的な手法ですとか,資質・能力に関わる,そういったところまでに行き着いて支援をしていただかないと,いつまでも同じところで足踏みをしていくんじゃないかなと思います。
 ですので,先ほどの大島委員のお話もありましたように,そういうことを踏まえて具体的に何をしていくのかというところの,ちょっとモデル事例なんかを確立するというのも一つの方法かなと思っております。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 無藤副部会長から御発言をお願いしたいと思うんですけど,私が先ほど申し上げたことが,この場で特定の方向を位置付けるとか,制約するとか,当然そういうことではないわけでありますので,確認をさせていただければと思います。
 どうぞお願いします。
【無藤副部会長】  私もこの働き方改革特別部会の委員でもあるんですけれども,同時に3月までのこの部会のまとめ役で,指導要領と,その前に中央教育審議会答申のまとめにも関わったわけです。そのときに,当然,特に小学校につきましては,授業時間が本格実施で35時間増えるということを提出しました。そのときに,このように現場の先生方の忙しさについて,具体的な数字はまだありませんでしたけれども,かなり忙しいことを承知の上でやってきたという責任を感じております。
 その上でなんですけれども,35時間授業時間を増やすということは,働く時間を35時間そのまま足せという意味では全くないということです。例えば,朝の時間を使うというときに,これまで朝の時間をいろいろ活用しておられるとは思いますけれども,当然,その部分の何かを削減した上で朝の時間を使うという意味になりますし,夏休みや土曜日やその他を使うにしても,学校はそこで遊んでいるわけではありませんので,当然何かをしていた。あるいは仮に夏休みを使う場合に,授業をやっていなくても学校の先生方は勤務ではありまして,かなり例えば研修などをしていたと思います。そうなりますと,研修についての重点化や効率化なども含めながらやっていかなければいけないということなんだと思います。
 その意味で,学習指導要領でもカリキュラム・マネジメントというものを提示しておりますけれども,それも時間について言えば,時間というリソースは有限でありますので,その有限なものをどう効率的に使うか。場合によっては,学校がこれまで引き受け過ぎていたと私などは思いますけれども,その一部をあえてやらないということを含めてのマネジメントであるということだと思います。
 また同時に,この新しい働き方改革につきましては,この教育課程部会とともに,教員養成部会のメンバーも関与するんですけれど,そちらは教員養成という大学の方の話だけではなくて,研修の在り方も議論しております。そういう意味で,研修についてより一層充実させなければいけないにしても,時間を長くするということよりは,中身をより深いものにしながら効率化をどう図るかという観点でいつも検討していくという方向で考えております。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 まだ更に続けたい点も多々あるんですけれども,種村委員,一言お願いいたします。
【種村委員】  すいません,遅れまして申し訳ございませんでした。小学校の立場,大事なことだけちょっとお話しさせていただきます。今,英語が入るとどのぐらいという,純粋に1時間プラス,教材研究を含めると,大体1.5時間ぐらい増えるんじゃないかと試算をしていますが,それはある程度慣れてきたらということかなと思います。
 あと,是非いろいろな情報をしっかり踏まえて対応していただきたいのは,道徳が入りますと,所見が出てきます。通知表の所見というのは,すごく時間がかかるんですね。今,高学年を見ますと,外国語活動,総合的な学習の時間,そして,これで道徳が入るということになりますので,かなりの時間数がかかるということもあります。あと,教員の勤務時間,例えば,8時半から5時までということになって,その中でどのぐらいできるのかというと,ほとんどできない状況でやっているということも全部ひっくるめて,これが実は学習指導要領を本当にちゃんとやっていくためには,丁寧にやりたいんだけれども,時間がないと。先生方も本当に今,国が考えられている学習指導要領はすごくいいことなんですね。やりたいと思っていても,そこにかける時間がないというのが現実です。でも,そのない時間の中で一生懸命皆さんが勉強してやっているという状況ですので,それがしっかり時間が保障されたときには,もっと私は学習指導に没頭できるんじゃないかと。国が求めていることを一つ一つやっていけるんではないかということは考えますが,まさしく今その時間がないと。いじめ対応もありますし,教員の服務事故の問題も,そういう研修の時間も全部入れていきますので,それも全部やって,その辺をしっかり解決したときに,本当に今この国が考えていることの,そっちの方に向かっていけるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 すいません,時間が押すような形で,御発言,更にということがおありかと思いますけれども,この件についてはここまでで,もう一つ,学習評価に関するワーキンググループの設置についてということについてお願いしたいと思います。事務局の方から説明をお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  それでは,失礼いたします。資料5-1と5-2ということになります。学習の評価に関するワーキンググループを設置してはどうかという御提案でございます。このワーキンググループについては,学習指導要領を実施していく上で,特に検討事項として資料5-1の2番にございますけれども,学習評価の在り方に関する事項,それから指導要録の改善に関する事項,学習評価に関する参考資料の在り方に関する事項と,その他,こういった事項について特に専門的に御審議いただくワーキンググループをこの教育課程部会の下に設置してはどうかということでございます。
 関連の資料が資料5-2というところにございます。既に御案内の先生方もいらっしゃるかと思いますけれども,簡単に御説明させていただきたいと思います。資料5-2の横の資料でございますけれども,資料の1ページが,学習評価の種類を簡単に分類したものでございます。どのような種類の評価があるのか。現在使われておりますのが,目標に準拠した評価と。一般的に絶対評価と言われるものでございまして,学習指導要領に示す目標に照らして,その実現の状況がどれぐらい達成されているのかということを見る評価ということになります。これに対応するのが,集団に準拠した評価,若しくは相対評価と言われる,学級若しくは学年における位置付け,相対的な位置付けを見る評価ということになります。現在は目標準拠評価ということで,より具体的には,観点別の学習状況の評価ということと,これを踏まえた総括的な評価としての評定,いわゆる5段階の評定が多いという状況でございます。
 また,個人内評価ということで,観点別の評価,若しくは評定では示し切れない子供たち一人一人の良い点,可能性,進歩の状況等について評価をするものと。先ほど種村先生からもお話がございましたけれども,指導要録では,総合所見及び指導上参考となる諸事項,また,特別の教科道徳の評価において用いられる評価の方法ということになります。また後ほど具体的な指導要録を見ていただきたいと思います。
 2ページです。学習評価に関する基本的な考え方ということで,平成22年の,前回改訂のときのその後の報告ということでございますけれども,学習評価というものは,学校における教育活動に関して子供たちの学習状況を評価するもの,学習状況を分析的に捉える観点別学習状況の評価と総括的に捉える評定とを目標準拠評価として実施することが明確にされている,子供たち一人一人に学習指導要領の内容が確実に定着するよう,指導の改善につなげていくことが重要であるということが示されているところでございます。
 次の3ページにお進みいただきたいと思います。目標準拠評価の中の観点別の評価ということがございます。この観点別評価については,現行では学習評価4観点,関心・意欲・態度,思考・判断・表現,技能,知識・理解という四つの観点からの評価を行ってまいりました。ただ,これについては既に中央教育審議会の答申の中で,3観点に沿った整理をしてはどうかということの御提言,方向性が示されているところでございます。具体的には,知識及び技能,思考力・判断力・表現力等,主体的に学習に取り組む態度ということで,これは学校教育法に示されている学力の3要素にも適合したものとなるだろうということでございます。
 また,3ページの右側の方ですけれども,指導と評価の一体化ということで,学習評価を通じて指導の在り方を見直すことや,個に応じた指導の充実を図る,また,学校における教育活動を組織的に改善するということが重要であるということで,単なる一方的な評価ということではなくて,いかに指導の改善につなげていくかということが重要であろうということも指摘されています。
 4ページです。中央教育審議会の答申を抜粋したものでございますけれども,今回,資質・能力の三つの柱として,知識・技能,それから思考・判断・表現,そして,学びに向かう力・人間性等という三つの柱が示されていました。4ページの中段でございますけれども,学びに向かう力・人間性等に示された資質・能力には,例えば,感性や思いやりなど幅広いものが含まれるけれども,これらは観点別学習評価になじむものではないということから,評価の観点としては学校教育法に示された主体的に学習に取り組む態度,外部から見て分かるものということで設定をして,感性や思いやり等については,観点別学習状況の評価の対象外とする必要があるんではないかということが指摘されているところでございます。
 資料の最終ページ,9ページ,10ページにお進みいただきたいと思います。こちらに具体的な指導要録の参考様式というものを掲載してございます。実際に先生方が記録していただく様式の素案ということになりますけれども,上の方,9ページにありますのが,学籍に関する記録ということですけれども,特に学習評価に関する観点からは,10ページにございます指導に関する記録という様式2のところが大きく関連するところかと思います。ちょっと字が小さいかもしれませんけれども,各教科の学習の記録というところで,観点別の学習状況,例えば,国語であればどういった観点なのか,社会であればどうなのか,また,評定ということで,それぞれの教科の評定,5段階評価等の評定が付くと。また,道徳,外国語活動,それから総合的な学習の時間,特別活動等についてはそれぞれまた文章記述等による記録の欄が設けられているということになります。こういった部分について,先生方にそれぞれ御記入を頂くということが必要になってくるということでございます。
 こういった現状を踏まえながら,先ほど申し上げましたように,最初のワーキンググループ,学習評価の在り方全体,また,今見ていただきました指導要録の在り方,それから資料においては,国立教育政策研究所において学習評価に関する参考資料というものが出されてございます。ちょっと分厚い,非常に専門的な書類になっておりますけれども,非常に厚いものでして,これが先生方にどれだけ活用できているのかということも踏まえながら,その参考資料の在り方についても検討してはどうかということでございます。
 こちらからの説明は以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 今の御説明につきまして,御意見,御質問等々ありますでしょうか。
 髙木委員,お願いいたします。
【髙木委員】  学習評価と評定のところでございますが,世間では成績とか評価という言葉がよく使われていますが,この要録等で使われる評価と評定の違いについては,今回,明確に位置付けて,一般の方々もそこの点をお分かりいただけるようにしたいと思っているのが第1点です。
 第2点目が,特に中学校ですが,評価の総括が現在は質的な評価で行っているにもかかわらず,これを総括に当たっては量的評価,要するに,質的評価というのはA,B,Cで評価する評価,それから量的な評価というのは,5,4,3,2,1で評価する。これを付け替えを行うんですが,これは理論的にいってもちょっと無理があると私は個人的に考えておりますので,このあたりの検討も是非この分科会が立ち上げられたらしていただきたいと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,皆様にお諮りをさせていただきたいと思うんですけども御意見よろしいですか。御質問等々。
 ワーキンググループの設置につきまして,委員の皆様にお諮りをさせていただきたいと思います。今,御説明がありましたように,資料5-1のとおり,本教育課程部会の下に児童生徒の学習評価に関するワーキンググループを設けることにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【天笠部会長】  異議なしということにさせていただきます。どうもありがとうございます。
 それでは,ワーキンググループの設置をし,検討を進めることにさせていただきたいと思います。
 なお,このワーキンググループに属する委員につきましては,教育課程部会運営規則の規定により,教育課程部会長が指名することになっております。部会の委員の人選につきましては,会長であります私に一任いただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【天笠部会長】  ありがとうございます。
 ということで,それでは,きょう予定していたものは以上でありますけれども,市川委員,どうぞ。
【市川委員】  言いそびれてしまったんですが,周知徹底について天笠部会長もおっしゃったんですけど,どうもこれがこれまでもうまくいっていなかったんじゃないかと。答申が出て,学習指導要領が出ても,どうもそれが現場にうまく届かないと。やはりなぜかということは十分分析して,対策を考えた方がいいように思います。
 私が思うには,やっぱりいろいろなフィルターがあると思うんですね。答申,それから学習指導要領のこの趣旨というものがいろいろなフィルターに掛かると,どうもゆがんでしまうということがある。ちょっとはばかられるんですけど,何がフィルターになることがあるかといいますと,一つには,教育委員会。教育委員会がやっぱりそれまでの方針というのがありまして,よく文部科学省が言っていることを120%実行する教育委員会なんていうのが揶揄されて言われることがあるんですけど,もちろん全てではありません。教育委員会によってはということです。すると,120%ということはかなり極端なものになっていて,今のこれからの教育はこうなんですよというものを打ち出してしまうと,また学習指導要領が変わっても,なかなか戻しにくいという感じがあります。ただ,教育委員会は,文部科学省の方がこれからはこうなんですと言えば,まだ動きやすいと思っています。
 二つ目は,学会や研究会です。これはその学会なり研究会なりの考え方というのがあって,なかなか変わるものではありません。そういう考え方に基づいて集まっているわけですから。学校の先生に直接の影響力はないように見えますが,やっぱりいろいろなものを書かれます。すると,その書いたものを読んだ先生方が,あ,こうなんだというふうに信じてしまう。そこがかなりフィルターが入ることがあるということです。
 それから,三つ目は,教科書の編集委員会です。私もある教科書の編集委員会に入っていますが,その教科書なりの編集委員会のポリシーというのがあって,よく言えば,それを貫いている。悪く言うと,かなりこだわっているというところがあって,学習指導要領や答申,あるいは今度の解説は,かなりバランスをとって書かれているのに,編集委員会の中ではそれが部分的に切り取られて,偏ったものとして解釈されてしまうということがあります。これは教科書本体もそうですが,教科書会社が出している。
こういうものがフィルターになっていると,パンフレットを作ったくらいではなかなか変わらないんですね。じゃ,どうするかということを十分文部科学省としても御検討いただきたいと思います。実際にはある程度の幅があっていいわけで,何も日本全国で教科書が統一される必要もないですし,教育委員会が全部同じことをやる必要はないんですけれども,やっぱりその幅をかなり逸脱していると思われる極端なものというのが入ってしまうと,相当誤解になると思います。
 先ほど,アクティブ・ラーニングへの転換などと言われても困るのだという現場の先生がいるという話が出ました。学習指導要領にも答申にも,アクティブ・ラーニングに転換しろなどと書いていないですよね。2年半前には,ここの議論でも確かに「アクティブ・ラーニングへの転換」という表現が使われたことがありますが,「アクティブ・ラーニングの充実」になって,そして,「アクティブ・ラーニングの視点」になって,最終的に学習指導要領ではアクティブ・ラーニングという言葉も使わなくなっています。より本質的な狙いである「主体的・対話的で深い学び」という言い方に替えて,アクティブ・ラーニングがひとり歩きしたり,あるいは全ての時間100%アクティブ・ラーニングをやってくださいということはどこにも書かれていないにもかかわらず,そういうふうに解釈されて,ある場合にはそんなの無理ですよという反発があったり,ある場合には,それをそのとおりやろうとして,かえって,先ほども御懸念のあったような,学力低下というようなことにつながってしまうこともあると。
 そういうのが現状ですので,むしろ答申にしろ学習指導要領にしろ,例えば,知・徳・体の生きる力というバランスとか,それから習得・活用・探究のバランスとか,あるいは教師の教授ということと子供の活動ということバランスということを答申や学習指導要領では相当慎重に書いているわけですから,そういうところがうまく周知徹底ということに結び付いていけばいいなと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,本日予定していました議事を終えましたので,これで閉会ということにさせていただきたいと思います。
 最後に,次回以降の予定につきまして,事務局からお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  次回の教育課程部会の日程につきましては,部会長と御相談の上,追って御連絡させていただきます。
 また,本日の資料については,机上に置いていただければ,後日郵送させていただきます。
【天笠部会長】  それでは,全て終了いたしましたので,これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

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