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教育課程部会(第65回) 議事録

1.日時

平成19年10月5日(金曜日) 10時~12時

2.場所

丸の内東京會舘 「ゴールドルーム」

3.議題

  1. 教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

 梶田部会長、木村副部会長、田村副部会長、安彦委員、天笠委員、生駒委員、市川委員、井上委員、岩崎委員、宇佐美委員、梅田委員、衞藤委員、陰山委員、加藤委員、草野委員、黒須委員、甲田委員、土井委員、渡久山委員、中村委員、無藤委員

文部科学省

 坂田官房長、金森初等中等教育局長、合田総括審議官、藤嶋政策評価審議官、布村審議官、前川審議官、石野スポーツ・青少年総括官、川上政策課長、鬼澤企画・体育課長、高橋教育課程課長、永山特別支援教育課長、安藤参事官、牛尾視学官、合田教育課程企画室長、森友学校教育官
国立教育政策研究所
 大槻教育課程研究センター長

オブザーバー

 鳥居顧問

5.議事録

【梶田部会長】
 それでは定刻になりましたのでただいまより第4期第12回教育課程部会を開催いたします。委員の皆様におかれましてはご多忙のところご参集いただきましてまことにありがとうございます。
 まず事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 おはようございます。ご多忙の中、ご参集を賜りましてまことにありがとうございます。なお、本日、国会開会中でございまして、事務局、若干空席が目立っておりますけれども、後ほどまいりますので何卒ご容赦いただければと存じます。
 それでは、資料の確認をさせていただきたいと存じます。お手元の封筒の中に資料がございますが、1枚ものの議事次第、次の資料が資料1といたしまして、本教育課程部会の先生方の名簿、資料2-1といたしまして「教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)」、それから資料の2-2といたしまして、今お目通しをいただきました検討素案の関連資料、データ集でございます。資料3-1といたしまして、「社会科、地理歴史科、公民科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」、資料3-2といたしまして「社会科、地理歴史科、公民科の主な改善例」、資料4-1といたしまして「生活科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」、資料4-2といたしまして「総合的な学習の時間の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」、資料4-3といたしまして「生活科及び総合的な学習の時間の現状と施策」という資料でございます。このほかお手元には幼稚園教育要領ほか各学校団体の学習指導要領、それからハードカバーのファイルには、これまでの教育課程に関する各種答申等がございます。適宜ご参照いただければと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、本日の審議に入りたいと思いますが、これまで3回にわたりまして審議の概要の、特に各論部分、これを順次皆さんで意見交換をしてまいりました。本日は各論部分で残っておりました小学校、中学校の社会科、それから高等学校の地理歴史、公民、それから生活科と総合的な学習の時間、これについて皆さんのご意見を伺いたいと思っております。それぞれの専門部会で大体のまとめができまして、今日皆さんのお手元に専門部会のほうのまとめの資料もあるかと思いますが、それを審議の概要に組み込んであります。このあたりを皆さんでご意見をいただきながら審議をしていただきたいと思います。
 もちろん、全体的な総論部分について若干あるいは関係するところもあるかと思いますので、また修正点につきましては後でご説明もいただきますが、皆さん、各論を見ていただきますと同時に、関連のあるところがありましたら、また総論部分につきましてもご意見をいただきたいと、そういうふうに思います。
 それでは、まず、審議の概要の全体的なところにつきまして、どういうところが本日の皆さんの机上にあります資料で修正されているかという、修正箇所につきまして合田室長からご説明をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 それでは、前回のご審議及び前回のご審議以降先生方から賜りましたご意見をもとにした修正のうち、主なものを前回の会議と同様にご紹介をさせていただきたいと思います。
 資料の2-1の、飛んで恐縮でございますが39ページをご覧いただければと存じます。39ページ、高等学校の教育課程の枠組みでございます。前回、高等学校の教育課程の枠組みについてご審議をいただきまして、必履修科目の在り方も含め、先生方におかれましては一定の共通のご認識をお持ちになったと存じますけれども、ご議論の中で、特に高等学校の多様化への対応ということについてご議論がございました。1つ目の○の下線を引いたところにございますように、高等学校で学ぶ生徒は高等教育を受ける基礎として必要な教育を求める者、就職等に必要な専門教育を希望する者、義務教育段階での学習内容の確実な定着を必要とする者など、様々である。このような生徒の多様な興味・関心や進路等に応じるという、現在の高等学校に求められている役割を重ねて明示をいたしますと共に、次のページでございますが、40ページ、下から2つ目の○にありますように、設置者や学校がそれぞれの高等学校の生徒の状況を十分に把握し、生徒の将来の職業や生活を見通して、社会において自立的に生きるために必要な力を確実にはぐくむことが可能となるよう、学習指導要領の規定については共通性を維持しつつも、前回ご議論がございましたように、必履修科目の指導事項の重点化、あるいは単位数の増減といったものをはじめといたしまして、一定の弾力性を確保する方向で検討する必要があるという前回のご議論を整理させていただいております。
 また、前回、後期中等教育としての高等学校教育についての引き続きの課題ということで、一番下の○でございますが、高等学校教育については進学、就職等の進路を問わず、生徒の学習意欲を高め、学力水準を確保することが大きな課題であり、学習指導要領にとどまらず必要とされる方策について引き続き検討することが必要であるということで、今後の検討課題について言及をさせていただいております。
 41ページから42ページにわたりましては、表現上の整理を行っておりますが、42ページ目の一番下には、先ほどご紹介申し上げましたように、必履修科目につきましても指導事項の重点化、単位数の増減が可能であるということをより明確にすることが必要であるということに続けまして、あわせて生徒の実態に応じて共通必履修科目を履修させる前により基礎的な内容の科目を履修させるといった教育課程上の工夫を促す必要があるという前回のご議論を踏まえて整理をさせていただいております。
 また、必履修科目の関連では、国語科につきまして、必ずしも言語を活用して論理的に思考し、表現する能力だけを重視するのではなくて、我が国の言語文化を継承、発展させる能力も重視しているという点についてご議論がございまして、その点について修正をすると共に、43ページ目の2つ目の○の地理歴史、公民、理科といったものについて、真ん中あたりに下線を引いてございますけれども、今後の検討課題として、地理歴史に関する総合的な学習の時間の設置については、具体的な教育内容の在り方等について今後さらに検討する必要があるという前回のご議論を踏まえた修正をさせていただいております。
 また、44ページ、次のページでございますけれども、高等学校における総合的な学習の時間についての取扱いですけれども、総合的な学習の時間の重要性、必要性ということを前提といたしまして、下線を引かせていただいておりますところのように、総合的な学習の時間は、思考力・判断力・表現力等をはぐくむ上で大きな役割を果たすものであることから、総合的な学習の時間において教科を横断した課題解決的な学習や探求活動等の一層の充実が図られるよう、改善することが必要であるということで、総合的な学習の時間の授業時数の弾力的な取扱いと共に、総合的な学習の時間についての考え方を明確にさせていただいているところでございます。
 次に48ページでございますけれども、前回、前々回と、発達の段階に応じた学校の段階間の円滑な接続ということでご議論いただきましたが、特に48ページ目の下の注のところでは、小・中学校を見通した円滑な接続、それから現在既に制度化されております中等教育学校など、中・高一貫校についての現状をご指摘を踏まえて明記をさせていただいたところでございます。
 次の52ページでございますけれども、52ページにおきましては、下線を引かせていただいておりますように、情報教育、それから前回ご議論いただきました環境教育などに学校が家庭、地域と連携・協力しながらこれらの課題について取り組むことは、学校・家庭・地域の結び付きを深める上でも重要であるということをご意見を踏まえて整理をさせていただいております。
 また、53ページ、一番下の理数教育の充実について、前回ご議論をいただきましたけれども、54ページの真ん中ほど、下線を引かせていただいておりますように、現在の理数教育をめぐる課題として、理数に関する職業とのかかわりに関する意識が我が国の場合、子どもたちは必ずしも高くないという問題点を追加して提示をさせていただいております。
 また、55ページの上のほう、下線を引かせていただいておりますけれども、授業時数を増やした場合の具体的な教育活動につきまして、記述が理科に偏っているというご指摘もございましたので、数学に関する記述、それから前回のご指摘を踏まえまして総合的な学習の時間において、例えば博物館等との連携による体験的な学習等も重要であるということをつけ加えさせていただいております。
 また、次のページでございますけれども、55ページから56ページにかけては、伝統や文化に関する教育の充実でございますが、本日、社会科についてご議論いただくということにあわせて、伝統や文化に関する教育の充実について、社会科での取扱いということを下線部で書かせていただいている部分、追加をさせていただいております。
 飛びまして恐縮でございますが、61ページには、前回、環境教育についてご審議をいただいたところでございます。環境教育につきましては様々なご議論がございましたけれども、例えば、61ページ、一番下の○の下線を引いたところで「また」というところがありますけれども、エネルギー・環境問題は、その原因においても、また、その解決のためにも、科学技術と深くかかわっており、その意味で、科学的なものの見方や考え方も持たなければならないということを学ぶことは重要であるといったように、先ほど理数に関する職業に関する子どもたちの認識の低さということもあわせて環境教育についての前回のご議論を整理をさせていただいております。
 また、次の62ページには、前回のご議論を踏まえまして、環境問題に関して下線を引かせていただいておりますが、幼児教育の段階から発達の段階に応じて自然体験活動などの体験活動を引き続き進めていく必要があるということを整理させていただいております。
 大変飛びまして恐縮でございますが、次の修正点110ページでございます。110ページは、専門教育に関する各教科・科目ということで、前回、専門教育、産業教育等についてご審議をいただきました。専門高校は産業教育の基礎・基本を教育するといったようなご議論を踏まえまして、下線を引かせていただいておりますけれども、産業教育、専門教育に関する基本的な考え方として、産業構造の変化、科学技術の進歩等の情勢の変化に対応し、それぞれの専門分野で真に必要とされる教育内容に精選すると共に、新たに求められる教育内容・方法を取り入れることが重要であるという基本的な考え方を明示させていただいているところでございます。
 次に、また飛びまして恐縮でございますが、131ページでございます。131ページは、教育条件の整備等ということでございますけれども、前回以降いただいたご意見の中で、131ページ、下から3つ目の○にございますように、教師が指導方法の共有化等を行うに当たっては、ICTの活用や各地の教育センターによる教師への支援体制の充実が重要である。あるいは、教師の資質向上につきましては、下から2つ目の○にありますように、教員の勤務の実態を踏まえた適切な処遇とめりはりのある給与体系の実現や教員評価の処遇への反映といったことの重要性についてご意見をいただいておりまして、それを反映させていただいております。
 134ページにおきましては、教育行政の在り方の改善のところにつきまして、各学校のマネジメントを支える教育行政が効果的・効率的に機能しているのかということについて評価・改善ということもあわせて、前回以降いただいたご意見も踏まえて整理をさせていただいているところでございます。
 前回のご意見を踏まえまして修正し、整理した主な点は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 各論の審議に入る前に、前回のこの部会での審議を踏まえて、幾つかの修正を今ご説明いただきました。今回の各論に入る前のことにつきまして、皆さんのお気付きの点があればお願いしたいと思いますが、まず安彦先生のほうから何か、高校部会ということでありますでしょうか。

【安彦委員】
 それでは、私はどちらかというと承っていたほうなので、自分のほうからちょっと申し上げていなかったのですが、今の全体のまとめの高校のほうについて、やはり高等学校部会での議論の中に、幾つか論点として、こういうことは今後検討すべきだということがありまして、そういう意味ではこのまとめでさらっと、といいますか、言われて済まされているところがあります。39ページ、あるいは40ページ、特に最初の○のあたりとか、あるいは最後の「さらに」の、今回つけ足したところで、中身が書いていないといいますか、例えば、一つは高校の卒業資格検定試験などのことも議論が出ました。問題として検討すべきだという声がありましたし、それから、高校の本来の在り方として、高等専門学校や専門学校、その他との対比、違いみたいなものをはっきりさせる必要があるとか、あるいは教育基本法が改正されたことで、特に義務教育というのが非常に全面に出ましたけれども、逆にいえば非義務教育という部分である高校と義務教育との関係というのは、新たにもう一度ちゃんと押さえ直さなければいけないのではないかとか、その中に例えば中・高一貫の問題などはかなりしっかりと関連づけを考えなければいけなくなってきているとか、あるいは専門高校と普通高校との関係で、高レベルの普通教育の在り方みたいなことについても議論がありましたし、さらに大学入試との関係、これもはっきりと、一部、40ページの上のほうには入っているのですけれども、未履修問題との関連だけでなく、全体として少子化との対応も含めて、今後、大学入試と高校の関係というのはやっぱり問題になる。
 こういう幾つかの論点が高等学校部会でも出ましたので、この検討課題としてやはりそういうことについて今後もはっきりとそういうところに目をとめる必要がありますので、少し具体的に中身を入れておいていただいたほうがいいかなと。そのことを最初に申し上げたい。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 今、出された問題で、この中に入れたほうがいいものと、それから入れると逆に誤解を生じそうなものと、ちょっと仕分けをして、少しこの辺が膨らむかどうかということを考えてみたいと思います。
 そういうことを思いましたのは、例えば、7月にこの部会での議論をある新聞に報じていただいて、高校で学力がどのぐらいついたかということの検定試験をやるという、これは賛否両論ここではあったはずなんですけれども、1つの方向だけお書きいただいて、実はあの問題は今あります、高校卒業程度認定試験との絡みをどうするか、それから大学入試センター試験との絡みをどうするか等々、幾つか検討しないと制度的に屋上屋を重ねてしまうとか、あるいはもう少し本質論で、高校で、今、専門高校がこれだけあるときに共通の物差しでそういうことをやるのが得策かどうかとか、幾つかこの場でも出たと思うのですけれども、どうしてもそういうような問題がありますので、確かに九十何パーセントが行って準義務教育化しているけれどもということで、あるいは中等教育学校という制度もできているけれどもとかいうことで書いたほうがいいような部分もあるかもしれませんので、そういうことにいたします。
 といっても、今回のものは中間まとめですから、これ出た後また広くからパブリックコメントをいただいて、そこで今、安彦先生がご紹介いただきました高校部会でのいろいろな問題がもしまた大きな課題として出てくれば、これは議論して最後の答申には入れていくと、そういうふうなことになると思いますので、中間まとめでどの程度入れるかは少し検討させていただくということで、何とかよろしくお願いしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

【加藤委員】
 2点、ちょっとお願いしたいのですが、一つは先ほど説明もございました61ページのところで、環境教育の中にエネルギー・環境問題という形で、前回、私はちょっと出席できませんでしたが、こういった視点が強調されたということで書き加えられました。このときに、あらわれていないことはないのですが、エネルギー・環境問題という場合に、環境問題との関連で我が国が直面しているエネルギーの重要性、資源小国であり多様なエネルギーを求めていかなければいけないという、そういう観点でぜひ、ここの表現の中でそれがないとも思いませんが、小・中・高校のそれぞれの科目の中に展開されていく中で単にエネルギー源としてのエネルギーということだけではなくて、地球環境及びこの日本が直面している、そうした地球環境との関係での、あるいはエネルギー外交というようなこともございますが、そういう視点を含んでいただきたいというのが1点でございます。
 それからもう1点は、ちょっとご説明はなかったのですが、私、欠席が多くて申し訳なかったのですけれども、以前にも少し申し上げた132ページの教科書の充実のところなのですが、書いてはいただいているのですけれども、この中でいろいろな方から言われる話で、教科書が読み物としておもしろくないという話があるんですね。質・量両面での充実というふうになっているのですけれども、もう少し写真や図表を照らして、読み物として、場合によってもしコストの関連があるのであれば紙質を落としてもいいから、そこまで細かいことは書けないにしても、教科書が読み物としてもっと子どもたちに興味のわくような、あるいは読んだらそれが興味を引いて、より理解が進むような、そういう教科書になっていく必要があると思います。
 特に、私、先日、教科書会社の方から、今回、予算の中で少し値上げも認めてほしいというような書面をいただいたのですが、私はこの資料から見てでも、まだまだ工夫の余地はたくさんあるのではないかと。教科書の場合は返品のリスクもございませんし、もっとコストの面とか工夫していただいて、やっぱり充実を図っていただくということが必要だと思いますので、もう少しここがそういうことが伝わるような表現に膨らませていただければと思うのですがいかがでしょうか。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。質・量両面での重視とは書いてあるけれども、もう少しそこに言葉を、例えば子どもが新たに学習課題について関心を深められるようにとか、今仰ったような趣旨がちょっと入るかどうかということで、少し丁寧に書いてはということだと思います。
 それから、さっきのエネルギー・環境問題も非常に重要なことですけれども、ちょっとまた書き方は工夫をしてみたいと思います。
 ほかにいかがでしょう。

【市川委員】
 135ページからになりますけれども、家庭や地域との連携・協力の推進と企業や大学等に求めるものというところがあります。ここに少しつけ加えていただきたいようなことがございます。どうしても各専門部会だと、少しこのあたりの話は漏れてきてしまうのではないかなと思ったものですから。
 といいますのは、まず家庭や地域というところで、(1)の上から3つ目の○なんですけれども、地域への参加ということで、ここに出ている例が近所のお祭りとか町内会とか清掃、避難訓練とか児童館・公民館の講座や教室と、これはどちらかというと地域での、これまでの地縁に基づく協働的な活動というような気がするんです。今、実際にかなり増えているものとして、地域の市民団体でありますとかNPO、あるいは地域の施設、博物館とか美術館なども含めて、かなりいろいろな子どもたちのためのイベントでありますとか講座などをやってくれるところがあって、これはボランティアが多いんですけれども、そういうところの活動を活性化して参加を促すというようなこともぜひ入れていただきたいと思います。これは地縁というよりは、どちらかというとその地域での志を同じくする大人のボランティアの人たちが子どもたちのためにやろうといってるものです。むしろそういうところに参加していくことが、学校週5日制の時代、特に望まれるのではないか。
 それから、同じことが次の、企業と大学に求めるものというのが136ページにありますが、ここでも、この(2)の3番目の○として、確かに職場体験活動などは企業にやっていただけるとありがたいのですけれども、実際に企業では科学館とか博物館のようなものを実際につくって、万博のパビリオンのようなものですけれども、もっとこれが日常的にそこで展示とか子どもたちへの講座が行われたりしているというところがだんだん増えてきているように思います。
 それから、大学も入学者選抜の話が出ていますけれども、オープンキャンパスで高校生などを招いていろいろな講座をやったり、模擬授業やいろいろなことをやったりして、文化的な活動に参加するような働きかけというのを大学も、地域貢献の一環として随分行うようになってきましたので、そういうことを期待すると同時に、子どもたちへの参加を促すというようなことをこのあたりもぜひ入れていただければと思いました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。地域、それから企業、大学での学校教育との連携についての例示がもう少し豊富にならないかということだと思いますので、これはまた関係の方、いろいろと……。ちょっとまた申し訳ございません、ちょうど1週間後の12日までに、皆さん、またお気付きの点をファックス、あるいはメール、郵送で事務局までお寄せいただきたいと思っておりまして、そこでまた出していただければと思います。
 じゃあ、渡久山先生で、一応このところまでは終わりにさせてもらって各論に入りたいと思います。渡久山先生、お願いいたします。

【渡久山委員】
 38ページに中学の部活動がございます。これは学習指導要領に記述と言われている話なんですが、それはそれとして、ただ問題は、現在、中学校における部活動については、非常にいろいろな問題が出ているわけですけれども、これを今後必修ということではないのだけれども、教育活動の一環としてという書き方の中で、学校現場がどう受けとめるかというような問題がありますね。
 ですから、これは一つは、48ページには現場主義と。教育課程編成の現場主義というのがございますが、これは現場の条件、状況、そういうことを配慮して、現場がどういう選択をするかということについては率直にはっきり現場の裁量というものをぜひ認めるべきだと思います。教職員の勤務時間の問題、あるいは条件がととのっていないから、一斉に部活動なんかをやったとき、校庭が非常に狭いという問題が出ているんですね。いろいろな学校事故も起こっているわけです。そういうことがあります。それで、将来はこれはどうあるべきかですね。真剣にこれを考えておかないと、いつまでも検討、検討でずっと来ていますから、これは将来の問題を考えるべきだと思います。これが一つです。
 もう一つは、全体的に流れているトーンとしては、僕は非常にいいなと思っておりますが、これ、各論になるのか知りませんが、103ページに中学校の保健体育のところのあたり、武道の必修、すべて履修するということがございますね。これは、それが出てから、いろいろマスコミが書いてから、現場からの一番の要請は、やっぱり非常に危険だと。特に剣道なんかは、鳥居先生もいらっしゃいますけれども、もう本当にいい加減なやり方をすると、これは逆に危険で子どもたちに死亡だって起こり得るというんですよ。また、相撲だって、ちゃんと指導者がいるときには土俵ができているんだけれども、指導者がいなくなると、この何十万もかけた土俵が全く使えなくなる。これは高等学校なんかの例でもあるんですけれども、そういうことがありますので、これはすべて履修というのをどの程度専門部会で議論されたか分かりませんけれども、非常に条件が整っていない。指導者がいない。そうすると短い時間の中できちんと基礎から教えて、そういう危険性のなくなるような状況まで持っていくというのは、現在は非常に厳しいと。だから、放課後の部活動で条件を整えてやっていくのならいいんだろうけれども、これは短時間の中でやろうというのは非常に厳しいのだというようなことですから、これは問題がありますね。ちょっと現場の先生からお聞きしたのですが、武道については宗教上の理由で拒否する保護者や生徒がいるということもありますので、すべて履修というようなことには基本的にはならないのではないかと思います。
 それから、これで流れている全体的な問題としては、非常に条件整備、特に教職員の数を改善する。それから、もう一つは支援のための職員を配置したり、そういうような形で条件整備をするということによって、この教育課程が実際、子どもたちに定着していくといようなことが考えられていますから、ぜひとも今後、できていくようなスタイルにしていただきたいと、こういうように思います。
 それから、ここで出てきている学力問題も、非常に整理されておりまして、よく実社会や実生活に適応した問題でありますから、学習指導要領や、あるいは教科書をつくるときには、ぜひともそれが反映していけるようなことをお願いしたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。非常に大事なご指摘をいただきました。これで、学習指導要領にどう書くかという問題が一つありますが、かなりこれは指導資料で詳細に具体を、今の部活にしても体育にしても、何か例示してあげたほうが親切といいますか、実際に現場でということもありますので、この辺もまた最終まとめまでには少し考えていきたいと思います。

【井上委員】
 すみません、その関連で発言させていただきたいのですが、実は、部活動の在り方は、確かに学校教育活動で非常にその役割とか意義というのは重要であることは私も十分認識しているわけですが、実は、昭和46年の教職員給与特別措置法の際に、教職調整額4パーセントを支給するときの経緯として、できるだけ部活動については学校教育活動の中で、勤務時間内に行うということについては従来どおりであるけれども、勤務時間外についてはできるだけ少年スポーツ団とか社会体育とか、そういうものに委ねて、教員の勤務時間との関係で、できるだけ外部の人材を活用するような方向というのが一旦打ち出されているわけでございまして、今回のこの学習指導要領全体の見直しの問題というよりは、そういう学校教育活動全体の在り方の中でどう部活動を扱うかということだと思うので、そういう点で、特に中学校だけ書いてあって、小学校あるいは高等学校については何も記述がないわけですね。もちろん小学校でも部活動を行っているでしょうし、高等学校でも部活動が行われているのに、中学校だけで学校教育活動の一環として学習指導要領に記述するというのは、バランスを失して、小・中・高等学校全体でどう扱うかというような基本的な問題がちょっと抜け落ちているので、その点についてはさらに検討する必要があるのではないかと、このように考えております。

【梶田部会長】
 分かりました。部活の問題、ここでも大分出ておりましたけれども、ちょっとまだはっきりしていないところがありますので、まだ数回ありますから、原案をもう少し、これは専門部会でも随分議論しておりますが、専門部会での議論を踏まえて、原案がもう少しクリアになるかどうか、少し工夫してもらって、また皆さんにご意見をいただきたいと思います。
 では、最後ということで、申し訳ありません、草野先生、お願いします。

【草野委員】
 部活動の問題が出ましたので、私もそのことに関しては言わせていただきたいと思います。これについては、全日本中学校長会でも、中学校の現場として、部活動の何らかの位置付けをということでお願いはしていたところで、ここに載せていただいたことについては感謝いたしております。
 なぜこういうことになるのかといいますと、今、渡久山先生が仰いましたけれども、これがすべて全員が部活動をもたなければいけないとか、そういうことを言っているわけでは決してないわけで、これに示していただきたいことはどういうことかというと、今まで部活動というのは非常にあいまいな立場で、教員もボランティアでやっているのかとか、そういうふうなこともあったり、例えば、大会の運営のための顧問会にしても、旅費がつかないという位置付けだったんですね。ですから、こういうことをきちんと明確にしていただくことによって、少なくとも行政からの支援がはっきり期待できるということについては私たちは感謝しております。
 ただ、先ほども出ましたけれども、生涯スポーツという見地からは部活動の在り方については、今後も検討することは必要かなと思うわけであります。私はこの文言でもよろしいのではないかと思います。あまり深く審議すると、部活動というのは、最近非常に大きな問題を抱えておりますので、ここら辺にとどめることがかえって妥当かと考えるわけであります。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。今の問題はこれまでも教育課程部会でいろいろ出ておりますが、具体の話を踏まえますと、なかなか一律に切れない部分もあって、しかし同時に単なる先生方のボランティア的なものだというふうにこれが考えられてしまうと大変なことになりますので、きちんと位置付けしながらもという、今、草野先生が仰っていただいたことを踏まえながら、もう一度、どう変わるかは別として、また原案のほうは考えさせていただくというふうにしたいと思います。
 今日は各論に入らなければいけませんので、前回の修正点につきましてはこのぐらいにさせていただきまして、くどいようですが、12日までに今問題になっている点も含めて全体にわたってお気付きの点は事務局にお寄せいただくというふうにしたいと思います。
 それでは、今日の各論に入りたいと思います。まず、社会科、それから地理歴史、公民、これを一緒に審議おしたいと思います。専門部会の審議を踏まえまして、牛尾視学官のほうから該当部分についてご説明をお願いいたします。

【牛尾視学官】
 牛尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料2-1の74ページから77ページにかけまして、関連の記述がございますので、そちらをご覧いただきたいと思います。また、関連する資料といたしまして、資料3-2というものがございまして、こちらにこれからご説明いたします、社会科、地理歴史、公民科の改善のポイントを簡単にまとめたものがございますので、そちらも適宜ご覧いただければと思います。
 それでは、74ページから順にご説明をさせていただきたいと思います。まず社会、地理歴史、公民の現状と課題でございますけれども、小さい字で恐縮ですが、74ページの下のところに注書きという形で記載させていただいております。ご存じのとおり小・中学校は社会科でございますが、高等学校になりますと地理歴史科と公民科に分かれて教育を行っているということでございます。言われている課題でございますが、注2でございますけれども、ポイントだけ申し上げますと、一つは、基礎的・基本的な知識、あるいは概念というものが十分身についていないのではないかというご指摘がございます。それから、特に中学校などで顕著でございますけれども、社会の中での文化の取扱いが現在少し弱いのではないかといったこと。それから、特に中学校におきまして世界にかかわります地理あるいは歴史に関する内容が少ないのではないかということが指摘されております。それから最後のポツのところでございますが、最近の社会経済システムの変化に対応した内容というものを充実する必要があるといったことも指摘をされているということでございます。
 こうした現状と課題を踏まえた改善の基本方針でございます。74ページの冒頭3つの○で示しております。まず大きな方向といたしまして、社会的事象に関心を持って多面的、多角的に考察し、公正に判断する能力と態度を養い、社会的な見方や考え方を成長させる。今の学習指導要領もこういう方向でございますけれども、この方向を一層充実する必要があるということでございます。
 それから2つ目の○でございますが、社会的な事象に関する基礎的・基本的な知識、概念や理論を確実に習得させることが一つのポイントかと思います。それと、その上でそれらを活用する力、課題を探求する力を育成するという観点からの改善が必要であるということでございます。
 それから3つ目の○でございますが、ここが社会の変革などへの対応ということでございまして、持続可能な社会の実現を目指すなど、公共的な事柄に自ら参画していく資質や能力を育成するということを重視する必要があると。
 大きくこの3点が改善の基本方針として示しているところでございます。
 続きまして順次小・中・高等学校別に具体的な改善事項についてご説明をさせていただきます。まず小学校は75ページでございます。最初の○のところは、小学校を通しての大きな改善の方針でございます。ここにおきましては、地域社会や我が国の国土、歴史などに対する理解と愛情を深める、そして社会的な見方や考え方を養う。それから身につけた知識、概念、理論を活用する。そして、より良い社会の形成に参画する資質、能力の基礎を培うということでございます。その際は特に、作業的・体験的な学習などによりまして、学習や生活の基盤となる知識や理論、基礎・基本となる知識や理論の習得ということとその活用ということが大事であるというということを記載しているところでございます。
 より具体的な改善の報告を(ア)と(イ)の2つに分けて記載しております。まず(ア)のところでございますけれども、基盤となる知識、理論の具体例といたしまして、最初にまず地図帳、地球儀の活用、これをきちんと一層重視しようということ。それから、47都道府県の名称や位置、それから世界の主な大陸、海洋、主な国の名称、位置といったことを新たに加えてはどうかと。こういうことで自分たちの住んでいる県でありますとか、日本が世界の中でどういう位置にあるかということが分かるようにしてはどうかということでございます。
 それから、(イ)でございますけれども、こちらは我が国の歴史や文化を大切にし、日本人としての自覚を持つということと、より良い社会の形成に参画する資質や能力の基礎を培うということから具体的な改善点をまとめております。
 まず最初でございますが、現在、おおまかに申し上げまして弥生時代から歴史が扱われておりますけれども、縄文土器が使われていたころの人々の暮らしということもきちんと教えるべきではないかということ。それから、代表的な文化遺産を例示するといったことで、伝統文化に関する内容を充実してはどうかということでございます。
 それから、ルールや法及び経済に関する内容でございますとか、情報通信に関する内容といった、現代社会において重要な事項を充実してはどうかということでございます。
 さらに、最後でございますが、環境保全、防災、あるいは地域資源の活用といった、身近な課題に対応できることについても重視してはどうかということでございます。
 続きましてその下、中学校の関係でございます。最初の○で中学校についての包括的な改善方針をまとめております。中学校になりますと、地理的分野、歴史的分野、公民的分野と、3分野に分かれて学習をしております。この構成については基本的に維持してはどうかということでございます。その上で、社会的な見方や考え方を養うことを一層重視するということ。それから、様々な伝統や文化、宗教に関する学習を充実するということでございます。
 具体的なところを(ア)(イ)(ウ)で、それぞれの分野に分けて記載してございます。まず(ア)の地理的分野でございます。まず最初に、世界の地理的認識を深めるために、世界各地の人々の生活と環境とのかかわり、あるいは諸地域の多様性について学ぶということを示唆しております。現在は二、三か国の事例学習という形になっておりますが、もう少し幅広く地域の社会の多様性が分かるようにということでございます。
 それからページをめくっていただきまして、日本の地理の関係でございますけれども、こちらにつきましても、各地域の特色をとらえることができるような改善を図ってはどうかということでございます。それから、日本、世界を通じまして、地図の読図、作図といった地理的理論、それから身近な地域の調査学習などが大事であるということでございます。
 続きまして(イ)は歴史的分野でございます。歴史的分野につきましては、我が国の歴史の大きな流れを理解させるということ、それから、課題追究的な学習を重視するということがポイントでございます。より具体的に申し上げますと、現代社会についての理解が深まるように、これは従来からも言われておりますけれども、近現代の学習を一層重視するということが一つのポイントでございます。それから、身近な地域の歴史学習などの中で様々な伝統や文化についての学習を充実させるということでございます。それから、中学校におきましては、世界史を背景としつつ日本史を中心に勉強するというスタイルをとっておりますが、その背景にあります世界の歴史についても充実させてはどうかということでございます。それから、諸事象の意味や意義、事象間や地域間の関連などを自分の言葉で表現する学習についても重視してはどうかということでございます。
 それから、公民的分野でございます。これにつきましては、より良い社会の形成に参画する資質、能力の育成ということから、文化の役割についての学習、あるいはルールや通貨の役割などを通して、政治経済についての見方、考え方を養う。それから、持続可能な社会という視点から環境問題、少子高齢社会における社会保障制度、税、このような現代問題になっているような新しい課題についてきちんと取り上げてはどうかということでございます。あわせまして習得した概念の活用でございますとか、自分の考えを論述する、あるいは議論するといったことを重視してはどうかということでございます。
 続きまして高等学校でございます。高等学校につきましては、これからご説明しますが、科目構成につきましては現在の科目構成と同じものとしてはどうかということでございます。中身といたしましては、習得した知識、概念や理論の活用をしまして、いろいろな諸事象について自分で説明したり、自分の考えを論述するということを重視するということと、人間としての在り方、生き方についての自覚を一層深めるということを大きな改善の方針としております。
 続きまして(ア)のところでは地理歴史科についてまとめているところでございます。具体的な科目、世界史の関係でございますが、世界史はAとBの2つの科目に分かれておりまして、Aのほうが近現代重視の科目、Bのほうが通史的な科目というふうになっております。世界史Aにつきましては、地図、年表、資料の活用ということと、地理的条件、日本の歴史との関連に一層留意するというところが一つのポイントでございます。世界史Bにつきましても、同様に地図、年表、資料を活用するということと、諸地域の地理的条件や日本の歴史との関連、これを重視するということ。それから適切な主題を設定して追究する学習を一層重視するということがポイントでございます。
 続きまして日本史でございますが、こちらもA、Bに分かれておりまして、世界史同様、Aが近現代を重視した内容、Bが通史的な内容ということでございます。日本史Aの改善のポイントでございますが、地理、世界との歴史との関連をさせながら、課題を追究する学習を特に重視するということがポイントでございます。それから日本史Bのところでございますが、こちらは様々な資料を活用して学習する。ここが改善のポイントとしておるところでございます。それから伝統や文化の特色についての認識を深めさせるということもポイントでございます。
 それから、地理でございます。地理もA、Bに分かれております。Aのほうは課題を中心とした学習、Bのほうが系統的な学習という形でA、Bに分かれております。Aでございますが、具体的に申し上げますと、防災といったような身近な地域的な課題を取り上げるということと、環境、資源、エネルギー問題といった現代社会の諸課題、あるいは持続可能な開発などについて課題を取り上げて学習するということを一層重視しようということでございます。地理Bでございますけれども、自然環境ですとか自然、産業、人口、都市・村落などといいました地理的事象の分布とその要因について考えさせるということと、地域ごとの特色について考察させるという学習を重視して改善しようということでございます。
 続きまして(イ)でございますけれども、公民科の関係でございます。より良い社会の形成に自ら参画していく資質や能力ということと、人間としての在り方、生き方についての自覚を一層深めるというのが全体を通しての大きなポイントでございます。
 まず科目ごとでございますが、現代社会につきましては、現在、倫理的な要素が少し弱いのではないかというご議論がございますので、人間としての在り方、生き方についての学習を重視するということと、課題追究的な学習を一層重視するということが改善のポイントでございます。
 それから倫理ございますが、倫理につきましては、先哲の考え方を知識として学習するにとどまっているのではないかといったようなご指摘がございましたので、人間としての在り方、生き方への関心を高めることを重視するということ。それから、課題追究的な学習、討論を重視するということがポイントでございます。
 それから、政治経済でございますけれども、政治経済につきましては、習得した知識、概念、理論を活用して課題追究をするということと、社会の変化にも対応して法や金融などに関する内容を充実するということが改善のポイントでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 小・中の社会科と、それから高等学校の地歴、公民という2つの教科、これについて、これ、下からずっと体系的ですので一括して今ご説明いただきました。皆さんのお手元に資料の3-2というものがあります。これが一番早分かりといいますか、これの1ページ目に今の一覧表が出ておりまして、その下のほうに現行のもの、10年近く前に告示された、今使っているもの、これが出ております。これを対比していただいてご覧いただければと思います。
 それでは、何かご意見、ご質問、あるいはお気付きの点。じゃあ、陰山先生。

【かげ山委員】
 ありがとうございます。特に、地理学習については現場にいて非常に基礎的な内容であるはずの地理がすかすかになっていることで非常に苦しかったのですけれども、随分改善されたなという気がいたしております。本当によかったなと思っております。
 それで、さらにせっかくの機会だということで、3点ほど希望を申し述べたいと思います。まず一つは、最近、ニュースなんかを見ていますと、地図が出てくるだけじゃなくて、Google Earthあたりを使って衛星写真なんかを使っているのがもうごく日常的に出てきています。ですから、このところで地図帳、地球儀という、極めてオーソドックスなものから、さらにICTを活用したさらなる地理学習の指導法の学習みたいなものを1点つけ加えていただければと思います。
 それから2点目は、これも地理学習にかかわるのですけれども、とりわけこの地理学習というのは、歴史とか環境教育とかの基礎的なものになりますので、系統性と、それからより具体性、これを重視して教材を考えるべきであるというのを1項入れていただいて、例えば、76ページのところの一番上の行なんですけれども、国土に対する認識を一層深めるため、日本の諸地域における特色ある事象を、例えば国立公園などを素材にしてというような、今あるものを使って、そして日本政府が税金を使っていかにここのところを大切にしようとしているのかというようなことをメッセージすることによって、よりリアルな学習ができるのではないでしょうか。
 そうなってきますと、特に(イ)のところでは、私も最近京都に住んでいて思うのですけれども、国宝や文化財を素材にしてということを入れていただいて、なお、この国宝、文化財を大切にするというね。実は最近、落書きが多いんです。私も許せないなというような、取り返しのつかないような、犯罪ともいえるような落書きがあります。その関係で、今度、そこの係員の方々が、修学旅行生に対して非常に目が厳しくなっています。ですから、気持ちよく見学ができない施設があったりします。ですから、やはりここのところは国宝や文化財──私自身も国宝の基準というのは何なのかということもよく知りませんし、こういう基準で全国でこれぐらいあって、そのためにどれぐらいのお金が使われているんというようなこともはっきりして、そしてそれだけの力で私たちはこれを大切にしているんだということが小学校の段階から分かるようにしていただければなと思います。
 それから3点目は、これは特に歴史のほうでお願いをしたいのですけれども、今、教科書を指導しておりますと、例えば応仁の乱なんていうような言葉が出てこないんです。これが「大きな争乱があって戦国時代が始まりました」って書いてあっても何のことかよく分からないんですね。やはりここは応仁の乱という、その言葉があってこそ、初めて全体のイメージも伝わってきます。一方、歴史上重要な人物で四十何人だか列挙されていますが、あれは非常に分かりやすいです。その人物の固有名詞と、その人物が何をしたか非常に浮き出てきますので、やはり覚えておきたい歴史用語、それほど多くならない程度で、応仁の乱とか縄文土器とかいうぐらいのものは、三、四十列挙していただくと、学習も非常にしやすく、基礎・基本とはこれを知って説明することなんだというふうになると思うので、そういうふうな具体化をお願いできればと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。いずれも非常に大事なご指摘であります。
 じゃあ、中村先生、お願いいたします。その次に天笠先生。

【中村先生】
 この資料の3-2を見ておって、やっぱり歴史的な内容の部分で、子どもの発達段階に応じた歴史教育をやっているのかなという疑問がどうしても生じてきちゃうんですよね。世界史を小学校でやる必要はないのかもしれませんけれども、ただ、現実は、外国人の子弟が非常に現在多くなってきている。それから、今後も増えるであろう。フィリピン、インドネシアから受け入れるという時代になっていますから、片方で外国人子弟が増えるということを前提にした日本の教育にすべきであると思いますし、それから中学校では、世界史に関することは日本史に関連あることに特化して教えるということになっているのですけれども、97パーセントが高等学校の進学するとはいえ、日本の義務教育というのが終わった時点で、日本人の常識としてこの程度の世界史でいいのかどうなのか。これはぜひ見直していただきたいなと。時間的な問題があるよということであれば、そういう課題があるので、次期の改定には絶対的にここは見直すんだというふうな決意をぜひ持っていただきたいなと思います。
 ここを見直せば、高校の社会科のところでもって必履修の問題がありましたけれども、やはり高校段階として必要な日本史と世界史、当然出てくるのだろうと思います。であれば何で世界史だけ必履修にするのかと。いや、中学でやっていないからなんだという議論がなくなるのだろうと思います。
 ともかく今大事なのは、外国人がだんだん増えてきているということと、それから日本人の常識として、この程度の常識でいいのかどうかということと、やはり我々は、とはいえ日本人ではあるわけですから、日本の歴史が選択制であっていいのかどうか。こういうことを思いました。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。非常に大事なことですので、若干、この辺の記述の手直しがもしできれば、これも検討したいと思います。
 じゃあ、天笠先生、そして黒須先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。74ページの改善の基本方針のところについてですけれども、この3つについて、特に異論はないのですけれども、ちょっとこれらの点についての記述が欠けているなと思った点が幾つかあります。それが全体としてスパイラルということを打ち出しているわけですけれども、そういうことについてこの社会科等々はどういう関係を持つのかどうなのかという、そのあたりの記述が必要なんじゃないかということ。あるいは、この後も出てくると思うのですが、例えば総合的な学習の時間との関係ですとか、あるいは既に検討のありました教科横断型との関係ですとか、社会科等々はかなりそういうものと密接に関連を持つわけでして、それらとの関係の中でどういう位置を占めるのか、あるいはどういう役割を果たすのかとか、あるいはとりわけ公民等々になった場合には、道徳とか特活とか、そういうものとの関連というのも出てくると思うのですけれども、それらのここの基本方針は、その教科の中での基本的な方針というのを比較的示しているように思いまして、過去の関連という中でどういう役割を占めるのか。そういう意味では教育課程の中で社会科、地理歴史、公民というのはこういう存在であって、こういう役割を果たすべきなんだということを、スパイラルとか教科横断とか道徳・特活との関連とかという記述の中で基本的な方針を明示するということが求めたいことでございます。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃあ、黒須先生、そして市川先生、井上先生。

【黒須委員】
 前回のときに高等学校の日本史をもっと重視すべきではないかということだったのですけれども、これは、ここにも書いてありますが、43ページに現行どおり選択必履修とするのが適当であると、これは全体の授業時数の関係からいってもやむを得ないのかなと、譲らなければいけないと思うのですけれども、相対的に見て、これは広い意味で社会科は、地理歴史を含めてですけれども、社会科の扱い方というのは私は軽いんじゃないかと思うんですよ、全体的に。私は、小学校で英語に親しむとか、それも確かに国際化ということで有意義なことだというふうには思います。あるいは前々回ですか、高等学校で英語の授業が国語よりも多くなるというようなことですね、こういったこともありますけれども、でも、私は、より社会科の、特に歴史を中心にもう少し充実すべきじゃないかと思うんです。特に、社会科で76ページの(イ)のところで、近現代の学習を一層充実するとありますけれども、近現代があまりにも軽視されているのではないか。今の日本の成り立ち、在り方、それから世界の国々との日本の今の関係というものは近現代史抜きには語れないわけですよね。そういうところをもっときちんと教えるべきじゃないかと。そうすることが本当の意味での国際化の中できちんと立場といいますか、活躍できる日本人になっていくのではないかと私は思うんです。
 そういう点で、これ、「近現代の学習を一層重視する」と、さらっと述べるだけじゃなくて、もうちょっとやっぱり具体的に明治以降、これはもう少し具体的にその必要性を述べるべきじゃないかと、そういうふうに思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。歴史的内容で日本のところ、小学校のところ、日本を中心にということだけになっておりますが、先ほどからご指摘がありましたように、日本を中心でいいんですけれども、例えば近現代というと移民ですね。移民があって、ブラジルとかペルーとかたくさん行った。それが今、実はたくさん日本にその子孫が帰ってきておられて、労働力人口の二、三パーセントにまで外国人労働者がなったと。そういうようなことで小学校なんかで、ご承知のように3分の1から4分の1がそういう子弟になっているところも、愛知県とか三重県等々でありますので、小学校の歴史は日本でいいけれども、近現代史、それからもう一つは関連のある地域との関係というところも少し配慮していただけるようになればと思います。
 それでは市川先生。

【市川委員】
 時間数も限られている中で社会科にいろいろな要望みたいなことを申し上げるのは非常に恐縮なんですけれども、天笠先生も仰った教科横断という視点から考えたときに、ぜひこういう視点がもう少し入らないかと思っていることがあります。それは、社会科の中で、社会的な事象についてデータをもとに考察するとか、こういうことがほとんど私たちのころからなかったような気がするんです。これ、大学に入ってみて私が心理学とか社会学とか教育学とか経済学とか、場合によってはデータを自分たちで集めます。そして、集めたデータに基づいて、一体どんなことがそこから言えるのかを分析していくというような、これは新聞を広げても統計的なデータがいっぱい出ていますし、実際に教育問題について論じるときも、まさに社会的な教育という現象についてそういうことをやっているわけですが、そういうことについての基本的なリテラシーが小学校、中学校、高校の社会科、あるいは地歴でも公民でも含めて、ほとんどやってこなかったような気が自分でもしているんですね。
 せっかく、例えば算数や数学でデータの収集とか整理とか分析とかいうことについて習ったのであれば、それを一番生かせるのが社会科ではないかという気がしています。これは、例えば課題解決的な学習ということも出ているのですが、こういうことの中にそういうものも入るという方向が少しでも今回、芽が出てくればいいと思っています。ゆくゆくは、社会科の中に、いわゆる社会科学という内容がもっと入ってきているのではないかという気がしております。よろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃあ、井上先生。

【井上委員】
 社会科についてでございますが、学習指導要領の変遷の歴史が3-2の2ページの参考で出ておりますから、これを見てもかなり社会科の在り方というものが充実する方向で改訂が加えられてきていると思うんです。特に地理と歴史の関係を見てみますと、地理的分野でも、小学校段階から農業、水産業、工業生産等、やはりそれぞれの統計的な要素を加味しながら、どういうような生産状況であるとか、どういうところで生産されるかという地域的なものとか、かなりそういう点は生活との関連を見ながらやっておりますし、それから中学校の段階で世界と比べてみた日本の中で、様々な面からとらえた日本とか、様々な特色を関連づけてみた日本というのは、これはまさに人文地理的な要素から、生活とのかかわり、そういうものを念頭に置いた内容でございますし、歴史的分野は伝統的文化の尊重というのは教育基本法の改正によってそれが明確に位置付けられておりますし、そういう中で日本人としてのアイデンティティーは義務教育段階で日本史をしっかりと身に付けるということだと思うわけで、そういう意味では日本史を学びながら、近現代の日本と世界というところで、世界との関連をもちろん、明治以降の近代化以降の近現代史を学ぶことは当然この中に含まれているわけでございますから、そういう意味ではそれなりに今回の改訂においても、それらに配慮しながら、我が国の伝統文化の理解を念頭に置きながら、日本史なり地理というものについて改善が加えられるということが当然予定されていると思うわけでございます。
 そういう意味で、高等学校との関連では、やはり日本史の理解の上にもう一度世界史を学び、また、日本史との関連も世界史の中に、現代世界と日本というような世界史AあるいはBでも、そういう日本史との関連を強調しているわけでございますから、そういう意味では歴史を全体的に認識する上では学校教育としては時間の関係を考えれば、今のところはこれでやむを得ないのではないか、このように考えております。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 加藤先生、そして渡久山先生。

【加藤委員】
 2つ申し上げたいと思うのですが、中学、高校のところの公民的内容で、高校のところには人間としての在り方、生き方についての自覚というのが、この3-2の表でいえば、現代社会と倫理というところで出てくるのですけれども、中学の76ページの(ウ)のところをみますと、そうした表現が見当たらないということなのですが、発達段階における中学ということ、あるいは義務教育の最終段階ということを考えますと、公民のところでそうしたことがやはり中学校でも、むしろ自意識がついていく中学のときのほうが、例えば犯罪との関係とか命の大切さとか、そういう意味でも私はそこにこうした観点が必要なのではないかと思ったのが一つでございます。
 それからもう一つは、高等学校のところの76ページの(ア)の1つ目のポツと、それから77ページの一番上の「世界史の学び方や」というところに出てくる、歴史的思考力とあるのですけれども、これは私は初めて見た単語なのですけれども、少しあいまいなのではないかなと。歴史認識のことを言いたいのか、それとも思想や哲学の歴史的な発展や経過を学んで、そこから思考できるようにするという力のことなのか、確かにものを考えるときには世界的な広がりと歴史的な認識で考えるというのは、よくいう話ですけれども、歴史的思考力というのは、分かるようで分かりにくいというか、どういうふうなものを伝えたいのかというのは、はっきりしておいたがほうがよろしいのではないかと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 社会科の件、よく言われるのですけれども、特に日本史の件でよく言われるのですけれども、近現代史がなかなか学習されていない。これ、受験との関係もあるんですよね。3学期にもっていって、受験には出ないと。だからやめたという感じのものもあるんですよね。ですから、教科書そのものの問題だけではないんですね。ですからこの辺は一つあると思うのですが、ただ、今までずっとご意見をお伺いしていますと、やはり中学の歴史教育がどうあるべきかということがいろいろあるんですね。ですから、私は、例えば中学卒業程度だったら、どういうような日本史の知識が必要なのか、あるいは理解が必要なのか、あるいは世界に関してどうなのかというようなことをある程度知って、やはり日本と世界の歴史という感じの教科にしていって、それを網羅していくと。そして中学卒業程度の歴史に対する知識ですね。
 高等学校の場合は、やや系統的に、学問的にやるべきだと思うんですね。そういう意味では、世界史と日本史とありますけれども、両方2単位・4単位でA、Bで分けていますよね。それをもうやめちゃって、どっちも3単位にして1科目にするんですよ。日本史あるいは世界史と。そして、日本史、世界史を必修化するというようにしていくというような方向性がいいんじゃないか。あまり細分化していって、どちらもきちんとしていないという感じもしますからね。ですから、そういうような感じで持っていったらどうかと思うので、ぜひ検討していただきたいなと思うんです。
 それからもう一つ、77ページで倫理というのがありますね。倫理社会ですね。これはどう生きるかとか、あるいは生き方とかというのがありますけれども、よく最近指摘されているのが、死ですね。これをあまり教えていない。要するに今までは自宅で畳の上でだれかが亡くなるというようなことでしたが、今は病院が多い。ほとんど。ですから、死ということについての教育がなされていない。そのために逆に命とか、生きるとか、生とかということについて十分な体験的なあれがないということがありますから、この倫理も徳目的なものではなくて、あるいは事象的なものをやっていかないと、バーチャルみたいな感じで、死んでも生き返るような感じのものがどうもあるようでならないですね。ですから、これは今度の倫理のところでは、死についての教育という、死をちょっと重く見て教えていくということが大事じゃないかなという気がいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。特に人間としての在り方、生き方という言葉でくくられちゃっているけれども、今の命の問題、あるいは逆にいうと死の問題、メメントモリーということで死ということを本気で考えないと生きるということは分からないと言われてきたわけです。何かこの辺に少しそういうニュアンスが入ればいいなというふうに思います。
 いろいろとあるでしょうが、最後に安彦先生で、一応、社会科あるいは地歴、公民は切らせていただくことにいたします。

【安彦委員】
 高校部会でも伺っておりましたので、日本史と世界史の高校での扱いについて一言、私の委員としての意見をあまり今まだ申し上げていないので申し上げたいと思うのですけれども、私は特にこだわるつもりはないのですけれども、今回、義務教育の枠組みが基本法以来強まっておりまして、そういう意味では先ほどからお話のある中学校までの歴史教育というものをもう少ししっかりという意識がもっと働いていいのではないかと、何人かの委員の方からありましたが、同感であります。それが主として日本史を中心であるというのは、この部分では私は当然だと思っています。問題は高校での世界史ですけれども、日本史を強調される方々の出される根拠というのが、日本人なんだからというのがよく出されるわけで、これはある意味で分かりやすいのですけれども、考えてみれば、もし日本人だから日本史でなければならないというのであれば、一体いつ世界史はやるんだと。日本人だからというのを、あまり一面的に強調されるのは、私にはちょっとついていけないところがありまして、逆に言えば、高校で世界史をといって、2つ前のときに、必修にしたときに私は「えっ」と驚いたのですが、しばらくおいてから、そのほうがある意味では視野が広い視点に立ってものを見ているかなと思いました。そういう意味では、日本人だからという論理だけで攻めていくのは非常に危険な部分があって、逆に、より意識の高い、視野の広い日本人を育てるなら世界史をやってはどうか。そういう意味で1つの決断というか、あるいは選択だったと思うんですけれども、それはそれなりに意味のある必履修の決め方だなと、そういうふうに了解しました。
 先ほど中村先生からも、全体としてきちんと検討する必要があるというふうにお話がありましたが、私もその点は同感です。今回、部会としての多数意見はどちらかといいますと世界史必修の今のスタイルでということでしたので、私個人は世界史の中身については、教科書等を見ていて非常に不満があります。そういう意味では個人的な不満が残っているのですけれども、今回はやむを得ないかなと。ぜひ今後、この全体の構造を改めて検討していただきたい。
 それからもう一つ、「持続可能な社会」という言葉が入りまして、私は田村先生がこの言葉、あるいは国連での位置付けを非常に重視しておられるということで努力されたと、非常に感銘深く思っています。
 実は、これは社会科だけの問題ではもうないはずなんです。ある意味で、今回の答申は無理かもしれませんけれども、今後、私たち、日本の公教育全体を考えたときに、改めて基本原則の一番最初のところにでも掲げなければならない、重要なそういう時期に、段階に入ってきたと思います。そういう意味では、私はそれは個人的には原爆以降だと思っていますけれども、要するにどういうことかといいますと、環境が一番はっきりしますけれども、今までは人間が自然やその他について、ある意味ではその懐に抱かれて、何をやっても、ちょっとしたことでも自然がカバーしてくれました。けれども、原爆以降は、やはり今度は自分たちで環境にしろ原爆にしろ、ちゃんと管理しなければいけない時代に入った。人類の生存をある意味では自分たちの責任で管理しなければならない。これは非常に大きな展開点といいますか、そういう自覚が必要だし、また、その状況というのはますます深刻になってきているわけです。これは国連が取り上げたのは当然のことですけれども、私たち日本がいち早くそれをもう少し正面に据えて、全体の教育の在り方、特に公教育の在り方を検討する必要がありますので、ぜひ次の段階で結構ですけれども、これを課題として残していただきたい。ぜひそういう意味で今回は社会科で強調されていること、非常に結構だと思いますので、その発展をぜひ考えていただきたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃあ、この社会科、それから地歴、公民、これにつきましてもお気付きの点を1週間後までによろしくお願いいたします。
 では、今日、もう一つございます。生活科と総合的な学習の時間。これにつきまして、専門部会、本当に精力的に論議していただいておりますので、これの専門部会のまとめを踏まえて、審議経過のまとめに組み込んであります。その辺につきまして、森友学校教育官からご説明をお願いいたします。

【森友教育官】
 それでは、早速でございますが87ページをお開きください。生活科についての記述がございます。まず、下の小さい字で恐縮でございますけれども、生活科のねらいについて1のところで書いてありまして、児童の身近な生活圏を学習の対象や場とし、児童が具体的な活動や体験を通して自立への基礎を養うことをねらいとしております。そのため、8つの、そこに掲げております内容で構成をしているところでございます。課題でございますけれども、一つには、学習活動が体験だけで終わっている、そういうことですとか、活動や体験を通して得られた気付きを質的に高める指導が十分に行われていない。あるいは表現の出来栄えのみを目指した学習活動が行われる傾向があって、表現によって活動や体験を振り返り、考えるというような思考と表現の一体化という、まさに低学年の特質を生かした指導が行われていないといったことが指摘されております。
 また、社会科的な活動に比べて理科的なものが必ずしも十分に行われていないという指摘もございまして、科学的な見方、考え方の基礎を養うための指導の充実を図る必要があるということも挙げられております。このほか、安全教育の充実ですとか、あるいは生命の尊さ、自然現象についての体験的な学習の重視、さらには幼児教育と小学校教育との具体的な連携を図るといったことなどが指摘をされているところでございます。
 その上で、改善の基本方針でございますけれども、1つ目の○につきましては、全体を通じる改善の考え方といたしまして、具体的な活動や体験を通して学ぶというその趣旨の一層の実現を図るために、人や社会、自然とかかわる活動を充実をして、自分自身についての理解を深めるよう改善を図るといったことを掲げております。
 その下でございますが、気付きの質を高めて、活動や体験を一層充実するための学習活動を重視をすると。科学的な見方・考え方の基礎を養う観点から、自然の不思議さ、おもしろさを実感する学習活動を取り入れるということ。そして、次の○でございますが、安全教育の充実、自然のすばらしさ、生命の尊さを実感する学習活動の充実。あるいは小学校における教科学習への円滑な移行のための指導の一層の充実、幼児教育との連携を図り、異年齢での教育活動の一層の推進を掲げているところでございます。
 次のページでございます。その上で改善の具体的な事項ということでございまして、(ア)のところでございますけれども、自分のよさや可能性に気付く、気付きを自覚するといったことなど、児童の気付きを質的に高めて活動や体験を一層充実したものとなるよう、改善を図ると。その際、活動として、見つける、比べる、例えるなどの多様な学習活動の充実に配慮するとしたこと、そして、活動や体験を行うことにより、伝えたい思いが膨らみ、表現を豊かにするということにも配慮をして活動や体験したことを言葉、あるいは絵であらわす学習活動を一層充実するということも掲げております。
 それから、その次の(イ)でございますが、身の回りの人とのかかわり、自分自身のことについて考えるために、自分の生活の中での出来事、体験したことを相手に応じて伝え合ったり、自ら振り返ったりする学習活動の充実を掲げております。
 それから、先ほどの科学的な見方ということの関連で(ウ)といたしまして、中学年以降の理科の学習を視野に入れて、遊びを工夫したり、遊びに使うものを工夫してつくったりする学習活動を充実するということで、例えばということで動くおもちゃを工夫してつくって遊ぶ活動ですとか、ものを水に溶かして遊ぶ活動ですとか、そういった活動などを行うように配慮するということを記述しております。
 その下、安全教育の関係でございますが、通学路の様子を調べ、安全を守ってくれる人々に関心を持つなど、安全な登下校に関する指導の充実に配慮する。そして、自然に直接触れる体験や動植物を自分たちで継続的に育てるといったことを重視するなどの充実などについても記述をしております。
 そして、最後に、小学校の1学年入学当初において、そこに書いてありますような、合科的・関連的な指導の一層の充実を図る。それから、児童が自らの成長を実感できるよう、低学年の児童が幼児と一緒に学習活動を行うことなどに配慮するといったことを掲げさせていただいております。
 続きまして、総合的な学習の時間の関係でございますが、120ページをご覧いただきたいと思います。小・中・高等学校の総合的な学習の時間につきまして、趣旨、ねらいにつきましては、下の小さい文字の1のところに記述をしているとおりでございます。課題といたしましては、その実施状況を見ますと、大きな成果を上げている学校があるという一方で、当初の趣旨、理念が必ずしも十分に達成されていない状況も見られるということ。さらには小学校と中学校とで同じような学習活動が行われているなど、学校種間の取組の重複も見られるといったことが指摘をされております。
 また、最後の小さいポツでございますが、教科の補充・発展学習ですとか、あるいは修学旅行、運動会の準備などと混同された実践が行われている例も見られるということを指摘されております。
 その上で、上の改善の基本方針でございますが、最初のところの○は、これも全体に通じる考え方でございますけれども、総合的な学習の時間につきましては、変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的な判断をし、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとすることから、「知識基盤社会」の時代においても重要な役割を果たすものとして、先ほど申し上げました課題を踏まえて体験的な学習に配慮しつつ、教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習、探求的な活動となるよう充実を図るといったことを記述しているところでございます。
 その下の○でございますが、現在、学習指導要領におきましては、まず総則がございまして、その次に各教科、そして道徳、特別活動といった将来的な発展のところでございます。総合的な学習の時間につきましては、総則の中に記述がされているところがございますが、教育課程における位置付けを明確にする、そして各学校における指導の充実にもつなげていくために、総合的な学習の時間の趣旨等について、現在、総則に記述をされているものを取り出しまして、新たに章として形式的にも明確にしてはどうかといったことでございます。
 それから、その次の下の○でございますが、総合的な学習の時間と各教科、選択教科、特別活動との関係を整理をする観点から、総合的な学習の時間におけるねらいですとか、育てる力を明確にするよう改善を図るということです。
 さらには学校種間の取組の重複の状況を改善するということから、各学校における実践を踏まえて、各学校段階の学習活動の例示を見直すということを記述しております。
 具体的に申しますと、次の121ページでございますけれども、ねらいの明確化という観点からは、(ア)でございますが、日常生活における課題を発見し、解決しようとするなど、実社会や実生活とのかかわりを重視するということ。また、総合的な学習の時間において教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習、探求的な活動を行うことをより明確にするということを記述しております。
 それから、その下でございますが、総合的な学習の時間において、育てたい力の視点を例示をするということです。例示をする視点につきましては、学習方法に関すること、自分自身に関すること、他者や社会とのかかわりに関することなどとするということにしておりまして、もう少し分かりやすく下の注釈、小さい字のところでありますが、書いておりまして、3つの視点につきまして例を申しますと、学習方法に関することにつきましては、情報を収集し分析をする力、分かりやすくまとめ表現をする力など、自分自身に関することといたしましては、自らの行為を意思決定をしていく力、自らの生活の在り方を考える力などが考えられるのではないかと。最後に他者や社会とのかかわりに関する部分につきましては、他者と協同して課題を解決する力、課題の解決に向けて社会参画する力などを挙げております。
 さらに、もう少し分かりやすく、これにつきまして具体化をして考えてみますと、例えば地域の川を対象として環境問題について探求する活動を例にとってみますと、学習方法に関することにつきましては、生息している生物を採取して、他の川の生物と比較をして分析をする。自分自身に関することでは、日常生活において川にごみを捨てないとか、生活排水を少なくするなど、自らの生活を見直して、身の回りの環境問題に関して意思決定をし、行動しようとするなどといった力。あるいは、他者や社会とのかかわりに関することといたしましては、他の子どもと協力をして調査をしたり、地域の人々から話を聞いたりして探求する等々のことが挙げられるのではないかということで、記述をしております。
 それから、(エ)でございますが、学習活動の例示につきましては、例えば小学校では地域の人々の暮らしですとか、文化や伝統に関する学習活動、中学校につきましては職業や自己の将来に関する学習活動などを例示として加えるということを記述しております。
 それから(オ)(カ)(キ)につきましては、それぞれ国際理解に関する学習ですとか、情報に関する学習、あるいは職業や自己の将来に関する学習を総合的な学習の時間の中で行う場合の配慮事項を記述しているものでございます。
 それから、次のページ、122ページでございますが、(ク)につきましては、他者と協同して課題を解決しようとする学習活動の重視。言語により分析・思考し、まとめ、表現する問題の解決や探求的な活動を重視といった言語活動にかかわる内容を書かせていただいております。その際といたしまして、中学校修了段階におきまして学習の成果を論文としてまとめるといったことなどにも配慮をするということも書いてあります。
 それから(ケ)(コ)につきましては、総合的な学習の時間の学習活動が一層適切に行えるような十分な条件整備を行う必要があるということ、あるいはその指導体制、あるいは指導計画など、実施状況についての点検・評価といったことも重要だというような記述をしているところでございます。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 はい、ありがとうございます。生活科と総合的な学習の時間について、今、ご説明いただきました。皆さんのほうでお願いいたします。じゃあ、無藤先生、陰山先生、そして天笠先生。

【無藤委員】
 二、三、ちょっと細かいことになるのですが、88ページの生活科のほうですけれども、(エ)と(オ)のところですが、(エ)のところで自然のすばらしさ、生命の尊さを実感するということで強調していただくのは非常にいいことだと思います。さらに、動植物というところで、私は動物の飼育と植物の栽培、双方とも継続して行うというふうに、両面書いていただけるとありがたいと思いました。
 (オ)のところですが、そこに書いてあることは全く賛成ですけれども、そこにあることは生活科の2年間全体で重視された上で、とりわけ入学当初ということだと思いますので、つまり入学当初だけの問題ではないと思いますので、そういう形で2年間で行う上でということが分かるような表記にしていただくとありがたいと思いました。
 総合的な学習の時間について120ページのところですけれども、一つ、全体の方針のところで、例えば読解力の指導とか、あるいは以前の議論のほうでいえば教科横断的な学力を育てるという意味で総合的な学習の時間が果たす役割は大きいと思いますので、一言触れていただけるとありがたいと思います。
 また、121ページにおきまして、改善の具体的な事項の(イ)のところで、かかわりという中に、これは前のほうの整合性なんですけれども、前のほうのどこかで自分へのかかわりと他者へのかかわり、社会文化等へのかかわりに加えて、自然とのかかわりというのが入っております。新たに入りましたので、そこも入れたほうがいいのではないかと思います。
 それと共に、私、いつだったか意見を申し上げて、前のほうで入っていたと思いますけれども、総合的な学習の時間の中で、科学技術を志向するものづくりとか体験活動というようなことを重視していただけるといいと思いますので、そういうことを学習活動の例示として加えていいかもしれないと思いました。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃあ、陰山先生、お願いいたします。

【かげ山委員】
 この案全体は私は非常によくできていると思うのですけれども、実は生活や総合学習のところについては、非常に危惧をしています。といいますのは、今回の学力低下不安の中でも非常にやり玉に上げられたところが、この総合的な学習であったと思うのですけれども、そこら辺の反省をもう少し踏まえる必要があるのではないかという気がいたします。
 1点申し上げると、まず88ページのところの生活科の冒頭(ア)のところなんですけれども、自分のよさや可能性に気付いたりというようなところというのは、道徳、特活との整理がどうなのかということですね。それから、そもそも、生活科というのは小学校の低学年で終わりますから、これは後々の学習、今、生活総合というふうに仰いましたけれども、これは系統性があるという意味でこういう説明になったのかどうかというような点でも、非常に浮いた感じがするんですよね。ですから、そこら辺での位置付けというものをもう少しきちんとすると、もう少し精査されてくるのではないかというような感じがいたします。
 そこら辺をもう少し発展的に総合的な学習の時間を見ていきますと、うまくいっているところもあるけれども、そうでないところもあると。これは現場の努力によるんだというのは、正直申し上げてあまりにもひどいんじゃないかなという気がいたします。これは渡久山の先生がしょっちゅう仰っていることですけれども、やはり条件整備の問題ですね。条件整備の問題、全体としてもものすごく弱いと思うんです。これだけのことを思ったらこれだけのことが要るんですというんじゃなくて、これだけの準備ができなかったらこれはできないんだというふうに言うのが、私は本当だろうと思うんです。
 私も、先週、イギリス、フィンランドも行ってきまして、二、三年前から韓国、中国、アメリカ、ずっと見てきましたけれども、結論的に言えるのは、どれだけの財政的な、あるいは人的な、あるいは時間的な措置をしているか。ここに尽きます。各個人のやれる努力というのはほぼ限界があって、しかも夏休みは、今、先生方、ずっと出ていますよね。土日、学校5日制になって、じゃあ土曜日に我々、自主的な研究会を開こうと思ってもできません。なぜかというと、地域の行事でみんな出ていっていますから。だから、研修の時間もない、それから、財政的な措置もないというような状態の中で、この総合的学習というものが成功していく基礎的な条件が僕はないといっていいと思うんです。
 さらにおそろしいのは、いいものであるがゆえに、こういう高い理想を掲げて失敗したときの批判が怖いんです。そして、この批判は、一体だれの責任なんだ、どいつが問題なんだということになってきて、結局、後手後手に回ってきている。私は総合的学習というのは今までの、いわゆる知識をたくさん覚えていって、それをどれだけ覚えていたかということによって将来の活動力というものにしようというところから、いわゆる欧米もそうだし、実はアジアもそうなんだけど、問題解決的に未知の問題に対してどう答えを出そうかというふうな、教育の現代化の問題だと思うんですよね。ですから、そこのところがずれてきてしまうと、非常に困るのではないか。
 もう一つは具体的に申し上げると、改善の基本方針の3つ目の○のところで、「教科の補充・発展学習や修学旅行、運動会の準備などと混同された実践が行われているように見られること」とありますけれども、私は教科の補充は問題だろうと思います。つまり、知識、理解をやり直すというのは、これは別のところでやればいいと思うんです。しかし、発展学習は、これは総合的な学習の中に含めていいんじゃないか。まさしく問題解決しているわけでしょう。それから運動会の準備、これは問題だろうと思います。しかし、修学旅行は、もともと日本の中にあった総合的学習の一局面じゃなかったのでしょうか。まさしく、今、修学旅行に行って、何か見てきて終わりというところはほとんどないですよ。帰ってきてから、その記録をつくって、それを、例えば保護者の人に見ていただいて、修学旅行の発表会をどこかでするみたいなことは多くの学校でやられていることです。
 そういう点では、学校現場の、いわゆる総合的学習というものを、今の枠組みの中でいかに実現しようとしているかという、現場の努力というものを、もう少し世の中の不当な批判にめげずに肯定的に見ていただけないか。私はそのことを強く思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。非常に重要なご指摘をいただきました。今の中で、全体的に非常に重要なのですが、それだけじゃなくて、ちょっと例を挙げまして、88ページの一番上の(ア)、これが典型的なごろごろ言葉だと思っているんです。何を言っているかよう分からん言葉です。これは表現を全部改めるべきだと私は思っておりまして、今は言いませんが、例えば「活動や体験を行うことにより伝えたい思いが膨らみ」、これは事実と願望を混同した話で、よくこういうのを書くんですよ。こういうことを書いていたのでは、私はどうにもならなくなると思います。そういうことも含めて、その一番上からですけれども、「よさや可能性にきづき」というところからです。これは後でまた少し表現の仕方を考えていただきたいと思っております。
 それじゃあ天笠先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。120ページの下の段のところの一番下のところですけれども、課題として3点指摘されております。その中の3つ目のポツですけれども、運動会の準備等々に混同されたとか、こういう、本来の総合的学習の時間が目指すねらいとか、あるいはその趣旨からすると、ちょっと首をかしげるような、そういう具体的な取組が存在していることもまた事実ではないかと思っております。そういうことについては、その当事者であるそれぞれの学校の先生方も、個々にはどうかなと思われている方も多くいらっしゃるわけなんですけれども、それがなかなか学校として改善のサイクルに乗っていかないというのでしょうか、というあたりのところが総合的な学習の時間が一度つくられてしまって、その後、平成15年のそれとか、いろいろ機会があるのですが、つくられたものがそのままかなり温存されるような形で現在に至っているところが、また一つの特徴かなと思います。
 そういう点では、この総合的な学習の時間というのが、個人としての取組もさることながら、やっぱり学年としてとか、学校としてとか、組織として組み立てられて、そして動いているところがその一つの特徴ではないかと思うわけです。ですから、そういう点で改善を図っていこうとする場合は、そういう点では総合的な学習の時間をマネジメントするということですとか、あるいは組織の力を挙げて総合的な学習の時間の改善を図っていくとか、示されたところの趣旨を具体化していくような、そういう学校としての取組とか体制とか、その種のリーダーシップの確立ですとか、こういうコメントが書き加えられる必要があるかと思うのですけれども、ちょっとコーディネーターを云々とか、そういうことがそこに書かれているのですけれども、もう1項目、学校のマネジメントというか、組織力、総合的な学習の時間、カリキュラムマネジメント等々ということについての言及をしっかりしておくということが私は必要なのかなと思います。
 そういう点では、今回、私は、総合的な学習の時間がこういう形で維持されたということは、基本的には是としたいと思うわけですけれども、この趣旨、ねらいというのがどれほど学校に伝わって、そして学校が現状を見つめ直し、そしてここのねらいにするような形にしているかどうかというのは、かなりいろいろな意味でのサポートとか支援とか、先ほどありましたような条件整備等々の必要というのがあるんじゃないかと思いますし、例えば、中学校、高等学校ではだれが担当するのかというような指導体制の在り方ですとか、一部そういうことも言及しておりますけれども、こういうこと等々についての言及とか検討等々もさらに必要なのではないかということであります。
 それから、小学校としてとか、中学校としてとありますが、高等学校においてということは、これは記述を加える必要はないのかどうかというようなこともまたご検討いただければと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。この生活科も総合的な学習の時間も、先ほどからご指摘があるように、やはり、かなり、一度強い批判を受けたものなんですね。しかも2001年の1月の終わりには、当時の小野事務次官が反省の言葉を述べておられるんですね。総合的な学習の時間は一部、単なる遊びになっているという、そういう言葉を都道府県の教育長教育会で講話の中で仰っているわけで、それを踏まえますと、単なる出たとこ勝負だとか、単なるイベント主義ではない、本当に子どもを実直に、今までの教科ではないところで育てていく、非常に大事な領域なんですよ。生活科も総合的な学習の時間も、もともとは。極めて重要な。そこにかえってきちんとやるためにはというのを、もう少し書き込んだほうがいいのではないかと。そうしないと、ちょっと今のものを少し表現を変えれば済むという話ではちょっとないなといのを、今、何人かの先生方のお話を伺って思っておりました。
 じゃあ、黒須先生、そして市川先生、そして岩崎先生。

【黒須委員】
 総合的な学習の時間って、これ、考え方としてはすごくいいと思うんですよね。ですけれども、これを目的どおりきちんとこなしている学校がどれだけあるかというのを私は実は疑問を感じているんですね。実際にイメージされているような、例えば私どもの町でも地域との交流がある学校では、地域の伝統文化というようなものを、その地域の人たちを呼んで教えたりとか、それからまた、租税教育、今、私、力を入れているんですけれども、その辺の時間にきちんと適切に使ったりとか、商店街のある学校は焦点経営の体験をしたりとか、そういう非常にいいことをやっている学校も非常にたくさんあるんですね。でも、実際にそういう学校というのは、私は数の上では少ないんじゃないかと思っているんですよ。どっちかというと持て余している学校のほうが多いんじゃないかと思うんですね。
 学校のほうから、学校予算が足りないからというので、それじゃあどういうところに足りないのか、使い道を考えて、1つの学校に幾らずつつけるからって、うちは小・中で108校あるんですよ。それに予算をつけて、そしてどういうことに使いたいかというのを出してみなさいと言ったんですね。そうしましたら、「ああ、なるほどな」と思うのもあります。ただ、半分以上は全く「これが特色ある学校づくりなのか」と思われるような、「おたくのところではどういうところに使うの?」というので、それと同じような右へならえというようなのをずっと並べてきて、これじゃああまり意味ないじゃないか、工夫していないじゃないかという学校は実はたくさんあるわけですよ。これは私の町だけじゃないと思うんですけどね。
 そういうことを考えると、この総合的な学習というのをこれからもやっていくのだったらば、やっぱり適切な事例というものをたくさん例に示して、そして具体的な取組をさせないと、自分たちで考えてやりなさいというんじゃ、考えられる学校というのは必ずしも多くないという感じがするんですよ。ですから、これを有効に使わせるためには、もっと工夫しなきゃだめだと思いますよ。抽象的なことだけではなくして。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 はい、じゃあ、市川先生。

【市川委員】
 総合的な学習の時間についてですけれども、私も2つだけ意見を述べさせていただきたいと思います。まず、総合的な学習の時間というのが始まってもうすぐ10年ぐらいになるわけですが、いろいろな批判がある中でこれを残したと。私は、次の10年で、この総合的な学習の時間がどれだけうまくいくかというのは、今の一連の教育改革の一つの目安になるだろうと思うんですね。私も基本的には総合的な学習の時間というのを残したことについては賛成です。時間数は少し減ったけれども、内容的には次の10年でもっと充実させたものにしたいと。そのために、今回、全体としていろいろなことを考えてきたと思うんですね。まず、総合的な学習の時間で充実した活動をするためには、例えば探究活動の基礎的なスキルみたいなことをしっかり身につけていないとそれはできない。それを各教科の中でもしっかりやっていただきたい。国語についても、探究活動を行うために資料を読み取ったり、まとめたり、発表したり、レポートを書いたり、討論したりというようなことの基礎を国語でもしっかりやっていただきたい。算数、数学についても、資料を読み込んだりとか、先ほど社会科についても申し上げたのも、社会科というテーマではあるけれども、社会科の中で探究活動とかも行っていただきたい。総合的な学習の時間や選択を減らして、特に中学校ですけれども、選択は特に減らして、各教科の中にどんどん時間を割り振っていったというのは、各教科の中でそういう体験や探究の活動をやっていただきたいからだということを、かなりこれはマスコミにも言ってきたのだと思います。
 それを実際にやっていただかないと、総合的な学習の時間の足腰に当たるものができないと。これまでそういうものを全部総合的な学習の時間に押しつけてきたような感があったと思うのですけれども、とても総合的な学習の時間だけでできるものではなくて、各教科の中で総合的な学習の時間に必要なスキルを身に付けることと、実際に各教科の中での探究体験を行うということをやった上で、教科横断的なテーマについて探究、体験を行うのが総合的な学習の時間なんだという位置付けなのだろうと思います。それが、これはお金がどれぐらい出るかということとは別にした、一種の条件整備だと私は思っているんですね。やっぱりそのことを各教科の中でもぜひお願いしたいということが一つです。
 それからもう一つは、英語との関係です。これまで小学校での英語活動でどこの時間を使うかというと、やっぱり総合的な学習の時間が使われてきたところが多いのだろうと思います。今度、英語の時間を独立させることによって、じゃあ総合的な学習の時間との関係はどうなるのか。これが121ページの(オ)と関係することだと思うんですけれども、総合的な学習の時間から英語を独立させたので、じゃあ従来、英語活動と言っていたものは全部英語の時間でやってくださいということになるのか、あるいは一部は総合的な学習の時間でやっていっても構わないのかという、多分これは現場も困る、悩むと思うのです。私は(オ)で書いてあることというのは、英語活動の中でも、国際理解に関することに重点がある場合には、総合的な学習の時間の中でやってもいいのではないか。より英語のスキル的なことに関することは英語という時間でやっていただく。私はそのほうが住み分けとしていいのではないかと思っています。英語教育のほうでは、要するに国際理解派とスキル派というのがいて、英語の時間、どっちにするのかということについて議論が非常にあるということを聞いています。
 総合的な学習の時間を使って、例えば英会話のパターンプラクティスをやるのは、これはおかしいだろうと。これまでやっていたところがあるかもしれませんが、それは英語の時間ができた以上、そういうことは英語の時間にやるべきだろうと。しかし、ここにある(オ)に書かれているような、諸外国の生活や文化について体験したり調査したりすると。これを英語の時間にやっていくのは、とても時間的にも無理だと思いますので、そういうことは総合的な学習の時間を使ってもいいのではないかと。このあたり、英語のほうとどういうふうに調整ができるのか、ちょっと私もよく分かりませんけれども、一切、英語にかかわることは総合的な学習の時間の中でやってはいけないというと、ちょっときつ過ぎるのかなと。逆に、うまく住み分けていただければ、どちらも有効に、また、英語の時間というのもあいまいにならずに、あそこであまり文化的な活動ということをやり出すとまた大変なので、そこをスキルと国際理解ということでうまく住み分けていくほうがいいのではないかと思っております。

【梶田部会長】
 ちょっと今のことについてあれなんで、無藤先生のほうを先に。そして、あと、田村先生、そして岩崎先生。

【無藤委員】
 今の、最後の市川委員のご指摘、田村先生が主査ですけれども、外国専門部会のほうでどういう議論があるかということなんですけれども、全く同じ議論が専門部会でございました。基本的な考え方としては、小学校高学年における英語活動というか、外国語活動の時間といいますか、1年間のうち35時間程度という方向なわけです。そこにおきましては、当然ながら学習指導要領上の目標、内容、また活動事例なり教材なりの配付までを想定しておりますので、かなり具体的な活動になってくると思います。それ以外の国際理解の範囲にかかわるところで英語なり、それからこの教育課程部会で以前に出たように、地域によってはスペイン語なり韓国語なり、何でもいいと思いますけれども、そういうものを含めた文化的な活動については、当然ながらこれは総合的な学習の時間で行うべきもので、小学校英語のほうで行うものではないという想定で議論してきました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。小学校部会の主査として無藤先生にご発言いただきました。
 じゃあ、今度は外国語専門部会の田村先生、お願いします。

【田村委員】
 ありがとうございます。大変いいご指摘を市川先生、無藤先生にしていただいたのですが、実は英語の部会での議論では、要するに総合的な学習の時間で今までやっていた英語活動は一様ではないんですね。ものすごくうまくいっているところと、大したことないところとあるわけですね。ものすごくうまくいっているのを英語活動という時間ができたときにどうつなげるかという議論が実はまだされていないんです。テーマはまだたくさん残っておりまして、その辺のことはこれから議論して各学校にその議論の内容をお伝えしないと、学校ごとに随分違っちゃっているというのが実態としてあります。ですから、ご指摘のように、その辺はこれから整理しないといないのかなと思っております。
 ありがとうございました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。ということで、今の共通理解としては、小学校英語のほうではスキルというか、まさに英語そのものでいくと。しかし、だからといって今まで総合的な学習であった国際理解的なものを全部そちらに持っていくわけではなくて、これはこれで総合的な学習の時間の中で国際理解、異文化理解的なものは大事にしていくと。こういうことだろうと思いますので、これが共通理解になると思います。
 じゃあ、岩崎先生、お願いいたします。

【岩崎委員】
 ありがとうございます。私は生活科ということで、87ページ、88ページにかかわって意見を述べたいと思っておりますが、87ページの改善の基本方針、3つ目の○と、それから88ページの(オ)とは関連する内容だというふうに思っておりますが、就学前教育と小学校教育の接続というのは、ここでは移行というふうな文言で書かれておりますが、非常に難しいと私は思っております。改善の基本方針の一番最初の○の具体的な活動や体験を通して学ぶと、これがまさに就学前教育の方法ではないかと思うのですけれども、小学校教師につきましては、やはり幼稚園、保育園での保育の内容、保育の在り方というものを十分理解していないと考えます。なめらかな接続といいながらも、何をやっているかといいますと、現場では異年齢の交流、行事等に相互が参加する、そのことをなめらかな接続といっているわけなんですけれども、やはりこのところでは教育内容、指導内容、指導方法の違いをしっかりと相互が理解しないと、これは移行には簡単にいかないと、私は考えております。
 だから、この表現の中で、「小学校における教科学習への円滑な移行のため」と書いてありますけれども、これはあくまでも2週間の期間によって小学校の教科学習に変わるわけでございますから、移行というよりも、なめらかに接続してやる。移行というと、私のイメージでは子どもたちが階段を一歩上がるというイメージを持ちますので、知らず知らずのうちに小学校の教育になじんでいくというような表現のほうがいいのではないかと思います。
 結論を申しますと、やはり教科学習に接続していくためには、相互の保育士、あるいは教諭が指導方法をしっかり理解するということが前提条件になろうと考えております。その文言をうまく入れていただけたらいいかなと思っております。
 88ページの最後の(オ)のところでも「児童が自らの成長を実感できるよう低学年の児童が幼児と一緒に学習活動を行うことなどに配慮する」とありますけれども、子どもたちだけに期待するのではないということを私は強く言っておきたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。幼稚園教育のところとの、あそこに書いてある各論の部分ですね。これの見直しも含めて、この辺の表現、また工夫をしていただきたいと思っております。
 ということで、申し訳ありません。いろいろとまだご意見があるかとは思いますが、今日は生活科及び総合的な学習の時間についてもこのあたりにしたいと思います。今日は各論といたしましては社会科、地歴、公民、それから生活科、総合的な学習の時間、この辺を見ていただきました。またいろいろとお気付きの点とかご意見があるかと思いますので、1週間後の12日までにメール、ファックス、郵送等々でまたご意見を事務局あてにお送りいただければと考えております。
 それでは、今後の日程につきまして事務局からお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 長時間にわたるご審議、まことにありがとうございました。次回の日程につきましては、先生方のご日程を踏まえ、部会長とご相談の上、決定次第ご案内を申し上げたいと存じておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
 また、部会長からお話がございましたように、ペーパーによるご意見等も頂戴したいと存じております。整理してまいります都合上、まことに恐縮でございますが、来週の金曜日、10月12日までを目途にファックス、メール、郵送等にて頂戴できれば幸いでございます。
 本日はどうもありがとうございました。

【梶田部会長】
 以上で本日予定しておりました議事はすべて終了いたしましたので、これで閉会にしたいと思います。どうも皆さん、ご苦労さまでした。ありがとうございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --