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教育課程部会(第64回) 議事録

1.日時

平成19年9月25日(火曜日) 9時~12時

2.場所

大手町サンスカイルーム 「A会議室」

3.議題

  1. 教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

 梶田部会長、木村副部会長、田村副部会長、安彦委員、天笠委員、荒瀬委員、石井委員、井上委員、宇佐美委員、梅田委員、草野委員、黒須委員、甲田委員、角田委員、土井委員、渡久山委員、増田委員、無藤委員、毛利委員

文部科学省

 加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、布村審議官、前川審議官、石野スポーツ・青少年総括官、常盤初等中等教育企画課長、高橋教育課程課長、永山特別支援教育課長、安藤参事官、牛尾視学官、合田教育課程企画室長、坂下専門官、田中主任視学官
国立教育政策研究所
 大槻教育課程研究センター長

5.議事録

【梶田部会長】
 おはようございます。なれない会場で、多分まだここを探して急いでおられる委員の方がいらっしゃると思いますが、定刻になりましたので、ただいまより第4期第11回教育課程部会を開会したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところを早朝よりご参集いただきまして、まことにありがとうございます。本日も一応昼前までということで、長時間の審議となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず冒頭に、高橋教育課程課長からご発言があるということでありますので、高橋課長、お願いいたします。

【高橋教育課程課長】
 おはようございます。冒頭、1点、ご報告申し上げたいと思います。
 既にご承知の委員の方は多いと思いますが、先週の水曜日、19日でございますが、朝刊各紙で、中教審が道徳教育の教科化見送りの方針を固めたという趣旨の報道が行われました。しかし、このような事実は一切ございません。この報道がありました翌20日には、道徳教育などを審議いたします「豊かな心をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会」が開催されましたので、冒頭、私から同様の趣旨のご報告を行いまして、自由闊達なご審議をいただいたところであります。
 さきの専門部会では、道徳教育を一層充実すべきという方向性につきましては、大きな異論はございませんでしたけれども、学習指導要領上の位置付け等につきましては、多様な意見が出されまして、引き続き審議を深めるということになっております。いずれ専門部会の意見を取りまとめまして、この教育課程部会でもご審議いただきたいと考えておりますので、どうぞご了承のほどよろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。わりと大詰めになってきますと、いろいろな報道がされます。報道されるほうもいろいろと信証を持って、いろいろと材料を集めてお書きになっているわけですが、中教審が決めるというのは、ずっとこの教育課程部会で、専門部会であり、教育課程部会であり、初中分科会であり、多分総会までいくかどうかは別ですが、少なくともそのぐらいまでいかないと、中教審が決めるということではありません。それから、文科省を腹をかためたというのも、文科省もたくさんおられまして、どこまでだれがということもありますので、そういうことでご了承ください。
 ただ、道徳教育を道徳教育と言うべきかどうかも別ですけれども、何かの意味でけじめをつけるとか、規範意識をつくるとか、世の中できちっと決まっているルールを守るとか、あるいは自分自身の生き方を考えるとか、こういうことを子どものうちから充実しなきゃいけないということは、この部会でも繰り返し出ておりますので、それは皆さんで再確認したいと思います。
 今、お話がありましたように、専門部会でも議論を戦わせておられますので、もう少し出てきましたら、それを一定の方向づけ、それを組み込んで、多分次回ぐらいの教育課程部会でもこの問題を皆さんで、本当に率直な意見交換をしたいと、これまでもありましたけれども、またやっていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 おはようございます。本日も早朝からご参集を賜りまして、まことにありがとうございます。配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元の封筒の中に本日の資料が入ってございます。1枚物の議事次第の後に、資料1といたしまして、本教育課程部会の先生方の名簿。資料2-1でございます。先生方にインテンシブに議論を積み上げていただきまして、130ページほどになってございますけれども、これまでの議論の審議の概要(検討素案)。それから資料2-2でございます。資料2-1の本文に対応したデータ集でございます。資料の2-1とセットでお目通しいただければと存じます。資料3-1、算数・数学の改善の方向性(検討素案)。資料3-2、算数・数学科の内容の改善イメージ(案)等。資料4-1、理科の検討素案。それから資料4-2、理科の内容の改善イメージ。資料5、高等学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)。資料6、専門高校における職業教育の現状と課題、改善の方向性に関する検討素案でございます。
 このほか、机上には、1つ目には、幼稚園教育要領ほか、各学校段階の学習指導要領。それから赤い紙ファイルでございますけれども、各教科の目標や内容等をサマライズした資料が入ってございます。また、3つ目に、青いハードカバーのファイルがございますけれども、学習指導要領に関連するこれまでの中教審等の答申。それから、日本学術会議の提言等をまとめてございますので、適宜ご参照いただければと存じます。
 資料は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。本日も、基本的にはこの資料2-1にあります検討素案、中間まとめの素案、これの中に今、各論を組み込んでいるところです。各論を組み込むに当たっては、専門部会で十分にご審議いただきまして、大体のまとめはできた、そういうものから順次、この各論に組み込んでいただいているわけです。これについて、皆さんにご審議いただきたいと思っております。
 今日は5つあります。算数・数学、それから小・中の理科、高校の理科、高等学校の教育課程全体、それから産業教育、この5つがございます。5つの専門部会からの報告を組み込んでやっていただく、こういうふうになっております。
 ということで、まず全体的に検討素案、資料2-1、これまでの審議を踏まえて、どういうところを、若干の修正があるかということを含めて、合田室長のほうからご説明をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 それでは、私のほうから前回ご審議をいただきました部分につきまして、前回のご審議やその後にいただきました先生方からのご意見を踏まえた主な修正点について、ご説明を申し上げたいと存じます。
 まず、飛んでいただいて恐縮でございますが、19ページ目をお目通しをいただければと存じます。現状の課題ということで、条件整備のことがございますけれども、19ページ目の上から2つ目の○でございます。外部対応について、「PTA・保護者等」と記述がございましたけれども、ご意見を踏まえて表現をあらためさせていただいたところでございます。
 次、また飛んでいただいて恐縮でございますが、45ページをお目通しをいただければと存じます。45ページは(4)として、「発達の段階に応じた学校段階間の円滑な接続」ということで、本日高等学校についてご審議をいただきますのでまたご意見を賜りたいと存じますが、47ページからは中学校と高等学校の円滑な接続について、これまでのご審議を踏まえて整理をさせていただいております。
 47ページの下から2つ目の○でございますけれども、「中学校において義務教育段階で身に付けるべき国民としての素養である基礎・基本をしっかりと定着させるとともに、高等学校においては、必要に応じこの基礎・基本を補いながら、高等学校段階の学習に円滑に移行する」というポイント。それから少し飛びまして、学習意欲としては、「中学校段階から継続して語学や漢字などの各種検定に挑戦させたり、中学校での職場体験と一貫性・連続性を持ったキャリア教育」の重要性。そして、「道徳教育との接続という観点から、高等学校の公民科やホームルームなどの特別活動の充実が必要である」と整理をさせていただいております。
 次の○では、中高一貫教育について言及をいたしております。
 次の48ページでございますけれども、(5)といたしまして、「教育課程編成・実施に関する各学校の責任と現場主義の重視」のところでございますが、前回のご審議を踏まえまして、現場主義の重視との関連で、各学校の責任に言及をいたしております。特に、49ページの一番下の○でございますけれども、各学校が責任を果たす上で「成果の検証が不可欠である」という観点から、全国学力・学習状況調査、あるいは学校評価の活用、それから次のページでございますが、コミュニティ・スクールの活用といったようなご意見をいただきましたが、そのご意見を踏まえて整理をさせていただいております。
 次は52ページでございます。(1)の「言語活動の充実」のところでございますけれども、53ページの上から1つ目の○でございますが、前回のご意見を踏まえて、「各教科等におけるこのような言語活動の充実に当たっては、特に教科担任制の中・高等学校の国語科以外の教師が、その必要性を十分に理解することが重要である」、「学校が各教科の指導計画にこれらの言語活動を位置付け、各教科等の授業の構成や進め方自体を改善する必要がある」という前回のご議論を踏まえた修正を行ってございます。
 次に56ページでございますけれども、「小学校段階における外国語活動(仮称)」でございます。これについては、56ページの5つ目の○にございますように、小学校段階における外国語活動の趣旨、目的に関連をいたしまして、一番下の行でございますけれども、「ALTの活用等を通して積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成等を基本とすべき」との議論を整理した上で、57ページの下の注にありますように、前回、松川委員からご紹介のありました、小学校段階における外国語教育の類型に言及いたしているところでございます。
 また、次の58ページの下から2つ目の○でございますけれども、小学校と中学校との連携について記述を追加いたしております。
 次の59ページ目でございますけれども、情報教育につきまして、何人かの先生方から前回、情報化の光と影、既に情報機器の操作になれている子どもたちも少なくないという実態を踏まえて、ご意見をいただいたところでございます。59ページの一番上の○の真ん中あたりでございますが、学習のためにICTを活用することの重要性を理解させる、情報教育が目指している情報活用能力が言語活動の基盤となるという情報教育の光の面。それから次の○には情報化の影の面ということで、下から2つ目の行でございますけれども、学校では家庭と連携しながら情報モラルの育成、安全教育等に関する知識の習得について指導することが重要であるというご意見を整理させていただいております。
 60ページ目の上から1つ目の○でございますけれども、先進国に比べて、我が国におけるICT環境が遅れているという現状を踏まえた言及を追加いたしてございます。
 飛んでいただきまして、69ページでございます。国語科について前回ご議論いただきましたが、69ページの1つ目の○、下線を引いてございますけれども、言葉の決まりの指導についての系統性、それから次の70ページの一番下にございますように、言語活動における根拠を明確にすることの重要性といったようなご意見、ご議論を踏まえて整理させていただいております。
 次に、飛んでいただいて恐縮でございますが、100ページでございます。前回、外国語の議論をいただきました。前回、中学校における外国語教育につきまして、小学校段階での外国語教育を通じて形成される一定の素地とは何かとのご議論がございました。100ページ目の上から1つ目の○の線を引いているところでございまが、「音声面等を中心としたコミュニケーションに対する積極的な態度等」といった素地の内容を明確にいたしますとともに、またあわせて、同じ100ページ目の一番下の(エ)にございますように、文法指導、語彙の充実についての記述を明確化したところでございます。
 103ページ目は、前回ご議論いただきました高等学校の普通教科、情報につきまして、特に新しく設置をしようと考えております「情報の科学」につきまして、科学としての側面を重視するという観点から、修正を行っているところでございます。
 また飛んでいただいて恐縮でございますが、117ページでございます。前回ご審議をいただきました特別支援教育につきまして、117ページには下線を引いておりますように、条件整備の重要性が、それから118ページには同じく下線を引いておりますが、真ん中ほどの認定こども園との関係、それから119ページにはスクールカウンセラーや学校医の活用などの条件整備の必要性について、前回のご議論を踏まえて、具体的に記述をさせていただいているところでございます。
 125ページでございますけれども、前回、(4)の「教育行政の在り方」につきまして、迅速な対応という観点からの記述が必要とのご議論がございましたので、下線部を引いておりますとおりに修正させていただいております。
 また、次の126ページにおきましては、(1)「家庭や地域との連携・協力の推進」というところで、何よりも重要な柱でございますPTA活動につきまして、下から2つ目の○にございますように言及させていただいております。
 また127ページには、前回、メディアの中でも携帯電話等について言及、ご議論がございましたので、犯罪に巻き込まれたり、場合によっては加害者になるという観点から、携帯電話のフィルタリングなど、子どもたちに有害情報に触れさせない方策の充実という観点から、企業等への配慮を強くお願いしたいということで記述を追加させていただいております。
 主な変更点は以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 今、ご説明いただきました点は、前回の審議を踏まえて修正していただきました。今日は、これについて直接的な議論をいたしません。もちろん、何かとのかかわりで、あるいは、どうしてもこのことは今日言って帰らないと帰りにくいという方はご発言いただいても結構ですが、直接的には議論いたしません。
 それで、今日は各論、ほかのやつをやります。しかし、10月1日までに、今日皆さんに見ていただく各論の部分も含めて、またお気づきの点をメールやファクスで事務局まで送っていただこうと思っております。今日は、今の点について議論はいたしませんが、お気づきの点は、またそういうことでご意見をいただきたいと思います。ただし、もちろん、今日の議論とのかかわりで、あるいは、どうしてもということがあれば、これはご発言いただいても結構であります。
 ということで、今日はまず、理数教育及び環境教育から皆さんにご意見をいろいろといただきたいと思っております。算数、数学、それから小・中の理科、高校の理科、こういう専門部会のまとめが今日ここに上がっておりますが、これを理数教育ということでまとめて見ていただきたいと思っております。特に、相互の関係が非常にあると思います。
 それから、環境教育ということで、項目の7番の教育内容に関する主な改善点の(7)「社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項」、そこに「環境教育」というのがありますけれども、理科と算数、数学も環境教育と非常にかかわりがありますので、これもあわせて一緒にご説明をいただきまして、皆さんのほうからどこからでもご意見をいただく、こういうふうにしたいと思います。
 それでは、今申し上げた理数教育と環境教育をまとめまして、坂下専門官からご説明をお願いいたします。

【坂下専門官】
 教育課程課専門官の坂下と申します。それでは、私のほうからは、理数教育の充実、算数、数学、理科、それから環境教育、この4点につきまして、この資料2-1にございますページを主に紹介させていただきたいと思ってございます。また、その際でございますけれども、資料3-2と資料4-2と、それぞれ「算数・数学科の内容の改善イメージ」、「理科の内容の改善イメージ」という資料をお配りさせていただいております。こちらもあわせてご参照いただきながら、説明を聞いていただければと思います。
 まず、理数教育の充実につきましてでございますけれども、資料2-1の53ページから55ページのところになります。一番最後のところに「理数教育の充実」ということでございます。この○につきましては、「『知識基盤社会』の時代においては」という書き出しでございますけれども、科学技術におきます、現段階におきます重要性について記載させていただいているところでございまして、世界的な競争といったことも記載させていただいているところでございます。科学技術系人材の育成の重要性を記載させていただいているといったところでございます。
 それから54ページに行きますけれども、54ページの第2段落、1つ目の○「このため」というところにございますけれども、ここでは、次代を担う科学技術系人材の育成の重要性ということとともに、国民全体の科学に対する基礎的素養の向上が喫緊の課題ということでございまして、次代を担う科学技術系人材の育成という点と、それから国民全体の科学に対する基礎的素養の向上、この2つがおおよそ理数教育の大きな課題ということでとらえさせていただいているところでございます。
 それから、ここにも書いてございますとおり、国際比較といった観点で見た場合に、いわゆる学習意欲といった点において、必ずしも十分でないという国際比較調査からの結果も出ておるという次第でございます。
 それから、中段、2つ目の○については、各教科等における言語活動の充実といった観点からの論理や思考といった知的活動の基盤といったところでの算数・数学の役割といったものについて言及してございます。
 それから、その次の○でございますけれども、以上のような観点から、理数教育の充実を行うことが必要、その基本的な考え方は以下のとおりということで3点挙げてございます。
 1点目については、基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着といった観点。それから、思考力や表現力の育成といった観点から、それぞれ反復的な学習、学年間や学校段階間での反復的な学習といったところでございますとか、あるいは観察・実験やレポートの作成、論述といったことに十分時間を確保する必要があるということが1点目でございます。
 2点目につきましては、科学技術の進展の中での理数教育の国際的な通用性といった観点から、指導内容の見直しということについて言及してございます。先ほど申し上げました次代を担う科学技術系人材の育成といった観点と、国民全体の科学に対する基礎的素養の向上という2つの観点から、算数、数学、理科、それぞれにつきまして、内容の系統性でございますとか、小・中・高等学校での学習の円滑な接続を踏まえた検討が必要ということでございます。
 ここには理科の例を書かせていただいておりますけれども、エネルギー、粒子、生命、地球といったような科学の見方、考え方といったものを柱に内容を整理したらどうかということを記載しておる次第でございます。
 それから55ページ目には、第3点として、教育内容の充実に加えて、それを支える教育条件の整備を図ることが必要ということでございます。外部人材を活用した小学校高学年におきます専科教員でございますとか、観察・実験のための理科教育設備の整備でございますとか、教科書の充実などについて言及しているというところでございます。
 続きまして、ちょっとページが飛びますが、73ページから77ページまでのところが算数、数学におけます改善の基本方針等ということでございます。こちらは算数・数学専門部会でまとめていただいた検討素案の内容を盛り込ませていただいております。
 改善の基本方針につきましては、73ページにございます。現状と課題は、下の注釈にあるとおりでございますけれども、およそ改善の基本方針としては、全部で5点挙げてございます。73ページには3点挙げてございまして、一番上の○については、おおよその小・中・高を通じた全体の改善の基本方針ということでございます。
 2つ目の○については、基礎的・基本的な知識・技能といった観点からの改善の方針でございまして、先ほど申し上げました国際的な通用性といった観点もございますけれども、ここでは「内容の系統性を重視しつつ、学年間や学校段階間で内容の一部を重複させて、発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)」と書かせていただいておりますけれども、このようなことを考えておるという次第でございます。
 それから、その次については、数学的な思考力・表現力といった観点からの改善方針でございまして、具体的には「数学的な思考力・表現力を育成するための指導内容や活動を具体的に示すようにする」ということでございます。こちらにつきましても、後ほど詳しくと思ってございます。
 それから、その次でございますけれども、74ページにつきましては、学ぶことの意義や有用性の実感といった観点からの改善方針を書かせていただいているところでございます。実感的な理解でございますとか、スパイラルな教育課程による理解の広がりや深まりなどの学習の進歩、あるいは日常生活や他教科等の学習におけます活用といったことを考えておる次第でございます。
 それから、その次の○につきましては、算数的活動・数学的活動の重要性といったことでございまして、既に学んだ知識を生かして応用する、活用するという活動を、算数的・数学的活動という形でこれまで実施してきておりますけれども、そうした活動を今後、小・中学校では具体的に学習指導要領の中で、各学年の内容として示せないか、高等学校では課題学習として必履修科目であるとか、多くの生徒が選択を見込まれる科目で組み込んでいけないかといったことを考えておる次第でございます。
 その次でございますけれども、改善の具体的事項といたしましては、小学校:算数、中学校:数学、高等学校:数学ということでそれぞれ挙げさせていただいております。ここにもありますとおりでございますが、おおよそ領域構成については(ア)に書いてございます。それから(イ)のところにつきましては、先ほど来、申し上げていますとおり、学年間であるとかの指導内容の一部の重複ということ、いわゆる発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)といったことを重視しておるという次第でございます。
 具体的なイメージといたしましては、資料3-2をごらんいただければと思います。こちらに、今回、「小学校算数科の内容の改善イメージ(案)」という形で添付させていただいておる次第でございまして、これはまだあくまでも現段階での検討段階のものでございます。ちょっと小さい字で見にくいんですけれども、例えば「A 数と計算」のところで申し上げれば、第2学年の掛け算、整数の乗法のところでございますれば、「乗法九九」の隣の「簡単な2位数の乗法」というものを新たに導入することにいたしまして、第3学年の整数の乗法、「2位数や3位数などの乗法」と書いてございますけれども、要は前学年の段階で導入的に実施し、その次の学年で本格的に導入するという形で、繰り返しといいますか、反復させていくといったことをしていけばよいのではないかということでございます。あるいは、同じ「数と計算」のところでございますれば、第5学年と第6学年のところで、「小数の計算」でございますけれども、例えば第5学年の一番下のところであれば、「簡単な分数の乗・除」というものを新たに導入して、第6学年の「分数の乗・除」につなげていくといったところ。第6学年の最後では、「小数、分数の四則計算」ということで、「小数や分数の加減乗除の計算の定着と活用」ということで、まとめの単元を入れて、定着と活用を図るといったことを考えておるということでございます。
 3ページ目は、数と計算のところを取り出したものでございます。こちらもまた後ほどごらんいただければと思いますけれども、主に★印をつけさていただいているところは、複数学年で内容を重複させているところでございますので、またご参照していただければと思います。
 74ページから75ページにかけましては、そうした領域構成もそうですし、学年間の重複といったことも書いてございます。それから、先ほど申し上げたとおり、算数的活動について、具体的に記述していくようなことも考えているというところでございます。
 具体例としては、75ページに「例えば」ということで、「具体物を用いて数量や図形についての意味を理解する活動」、そのほか、等々考えているところでございます。どこまで具体的に示すかどうかは、まだこれからの検討段階、検討中でございます。
 それから、中学校の数学につきましては、75ページから76ページにあるとおりでございます。主なところといたしましては、現在、数と式、図形、数量関係の3領域になってございますが、今回はそれに加え、確率、統計に関する領域、資料の活用といった領域を新たに設け、4領域という形にしたいと考えております。具体的なイメージとしては、同じく資料3-2の5ページのところをごらんいただければと思いますけれども、「資料の活用」というところで、「標本調査」でございますとか、あるいは「分布と代表値」といったこともございますけれども、こうした統計部分の学習を考えておるという次第でございます。こうした統計部分の学習活動につきましては、我が国は国際的に見て、内容の取扱いが少ないという状況もございましたので、中学校段階で他教科との関連でありますとか、あるいは日常生活であるとか、実社会、実生活といった観点からも充実を図りたいということでございます。
 それから、高校の数学につきましては、主な科目構成でございますとか、内容を書いてございますが、こちらは資料3-2の6ページにおおよそ書かせていただいておりますので、またこちらもごらんいただければと思います。主な点といたしましては、共通科目としての数学1の必履修ということを従前の選択必履修から変えるところと、それから数1数Aで課題学習というところで、現行中学校でも数学的な活動の場面として位置付けられておりますけれども、高等学校につきましても数学的活動の充実という観点から、こうした活動を位置付けたいという検討をしてございます。
 続きまして、理科でございますが、理科につきましては78ページから82ページまでになります。理科につきましては、おおよそ改善の方針として5点挙げさせていただいております。一番上は、小・中・高を通じた理科の改善方針、2番目については基礎的・基本的な知識・技能といった観点からの改善方針でございまして、先ほど来、紹介させていただいているとおりでございますけれども、国際的な通用性云々といったこともございますので、そうした観点も踏まえながら、内容の系統性といった観点から、今回、エネルギー、粒子、生命、地球といった科学の基本的な見方、考え方といったものを柱にした整理を考えております。
 具体的には、資料4-2にその改善のイメージを添付させていただいております。資料4-2を1枚めくっていただきますと、2ページ目、3ページ目に小・中学校の理科についての改善のイメージということでございます。1ページ目には「エネルギー」「粒子」と書いてございますが、2ページ目には「生命」「地球」といった観点で書いてございます。
 それ以外につきましては、科学的な思考力・表現力の育成、それから観察・実験や自然体験、科学的な体験の一層の充実、あるいは理科を学ぶことの意義や有用性を実感という観点からの実社会・実生活との関連の重視、あるいは持続可能な社会の構築といった観点からの環境に関する内容、環境教育の充実といったことを改善の基本方針として挙げております。
 改善の具体事項といたしましては、今申し上げましたエネルギー、粒子、生命という整理もそうですけれども、小学校につきましては、従前、「生物とのその環境」、「物質とエネルギー」、「地球と宇宙」と、およそ3つの領域で構成されてございましたが、今回、児童の学び方の特性や、2つの分野で構成されております中学校との接続といった観点も考慮して、このような形で「物質・エネルギー」、「生命・地球」という観点で整理したいと考えております。
 小・中学校の理科につきましては、この内容の接続といった観点もそうですし、それから指導内容の接続といった観点もそうですし、それ以外に資質、能力、問題解決の能力についても、小学校・中学校を通して円滑に接続を図っていくといった観点からの検討もしておるという次第でございまして、4ページ目にはその問題解決の能力についての資料もつけてございますので、また後ほどお目通しいただければと思います。
 小学校・中学校の理科についてはそのようなところでございます。
 あと、高等学校の理科につきましては、81ページに主な内容ということでございます。資料といたしましては、資料4-2の5ページ目をごらんいただければと思います。おおよそのイメージを図にしたものがこちらにございます。おおよそ科目構成としては、このような形で基礎を付した科目、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎という科目、それから理科基礎でありますとか、理科総合A、B等を見直しまして、科学と人間生活といった観点で、実社会や実生活といった関連も踏まえた新しい科目といった形の必履修科目にして、この中から科目選択といったことを考えております。基礎を付した科目でございましたら、この中から3科目ということ、それから科学と人間生活をとった場合は、その科目プラス基礎を付した科目1科目という形で、4単位または6単位という必履修になろうかと思います。このいずれの形態をとっても、4領域のうち3領域、物・化・生・地の4領域のうち3領域以上は履修することになるといったことを考えております。こうしたような検討を進めさせていただいているところでございます。
 あとは、課題研究という形の科目を新たに設けるということでございまして、従前は2を付した科目、物理2や化学2等の科目にございました課題研究という学習を新たに科目として取り扱うといったことを考えている次第です。
 それから最後でございます。ページ戻って恐縮でございますが、環境教育について紹介させていただきたいと思います。環境教育については、資料2-1、60ページ、61ページになります。60ページの中段から61ページ上段まででございますけれども、地球温暖化でありますとか、世界各国の共通になっておる環境問題という観点、その解決に向けての持続可能な社会の構築といったことが大きな課題になっているということ。それから、エネルギー・環境問題といったものについての理解、あるいはそうした理解を踏まえた実践的な態度等々の育成が重要といった観点から、国際的にも、あるいは我が国においても教育の果たす役割というものについての重要性が認識され、様々な取組が進められていること。それから、最後でございますけれども、「このため」というところにつきましては、現行に引き続いての各教科、道徳、特活、総合的な学習の時間での環境に関する学習の重要性といったことについて言及してございまして、具体例として書かせていただいているとおりということでございまして、引き続き環境教育の推進、充実も必要であるということについて言及しているという次第でございます。
 以上で、私の説明は終わりたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。ちょっと内容的には膨大であります。ただ、理数教育をどう重視するかということは、ご承知のように、2001年2月からの第1期の教育課程部会からずっと強調されて、皆さんで議論されてきた、そういう経緯がございます。その上に立って、今ご説明いただきましたように、具体的な、こういう形で充実させていったらどうだろうという具体の中身が、専門部会のほうからここに提示されているということであります。どこからでも結構ですので、もちろん関連して、環境教育も含めてですが、お願いします。では、毛利先生、お願いいたします。

【毛利委員】
 理科と算数、あるいは環境問題も含めて、理科が、考え方が物質とエネルギー、生命と地球と今までと変わってきたというのは、非常に大きな変化ですし、これが私たちの科学の進んでいる方向と一致しますので、とてもよろしい方向かと思います。
 それプラス、系統性ということも書かれているんですが、21世紀、これから、もっとつながり、物質とエネルギーと生命と地球、そういうものが全部つながっている。それは環境のところでもそうなんですけれども、環境は環境で、何か別の科目として教えているんですが、理科教育で物質とエネルギー、生命と地球のかかわり方、全部理解すれば環境問題はそのまま適用できるわけです。環境というのは道徳ではないんです。科学的な考え方に基づいて、これから私たちの周りをどうしていくかという、まさに理科の延長線上にありますので、ちょっと環境を切り分け過ぎているのかと思います。理科のほうも、つながりということをもう少し言葉に出していただきたいと思います。それが1つ。
 もう一つは、おそらくこれは専門部会のほうで議論されてきたのではないかと思うんですが、たまたま算数と理科とまたがりますので、1つ、小さいことですけれども気がついたことを述べます。
 それは、小学校低学年で物の長さとか広さとか、かさ、体積とかという単位の概念を扱うんですが、「かさ」という言葉の概念が、今度は理科のほうになってくると、小学校第4学年の理科の教科書には、それまで体積という概念は習っていないので、かさという、空気のかさとか、そういうことを言いながら、小学校第5学年、第6学年で算数で習ってくるので体積という言葉に変えるんですが、実際に私はいろいろな大人の人にも聞いてみたんですが、「かさ」という言葉自身が、もう今はほとんど、どこでも使われていなくて、小学校低学年だけで「かさ」という概念が使われているんです。
 それは本当の意味でどうかなと。やはり「体積」という言葉よりは「かさ」のほうが易しいという発想は、ひょっとして間違っているのではないか。なぜかというと、日常使われないものが、それは特殊な言葉なので、確かに「かさ」という言葉を広辞苑で調べてみると、かなり古語、昔の言葉なんです。漢字も書ける人はいないぐらい。そうすると、やはりこういうことは専門部会では、それぞれ算数のほうはあまり問題にしないと思うんですけれども、理科と一緒になった、こういう全体を考えるときに、初めて指摘が出てくるのかと思いまして、あえて述べました。
 したがって、それぞれの言葉をもう一度、全体に統一して考えるような議論も、ぜひ何かの機会にしていただければと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。今、2点、非常に重要なご指摘をいただきました。
 1つはつながりということで、今、理科というか自然科学、いろいろなものが中が昔と違って、物理と化学が混然一体になっていたり、生物もとか、そういう問題があります。環境の問題につきましては、61ページにありますように、あまり切り分けるというよりは、理科の中で社会科の中で、あるいはそのほかの中で、こういう視点から全部やっていってはということになっているんですが、これも少し、じゃ理科の中でどういうふうに切るのか、もう一度考えてみなきゃいけない面もあるかもしれません。
 それからもう一点が、言葉ないし概念の問題、これも非常に重要なご指摘をいただきました。学校の中だけで使う言葉でいいのか、それもかなり古くなった言葉になりますので。ただし、日常用語からいかなきゃいけない面がありますから、これもちょっと今の「かさ」ということが出ましたけれども、ほかにもそういう検討すべきものはないかと。
 よく私なんかが思いますのは、「力」ということです。以前は第6学年にてこがあって、今度また復活するということで書いてありますけれども、そこでいわゆる力のモーメント、普通の日常用語でいう力とは違う自然科学の概念での力ということを初めて指導したわけですけれども、これが今、ちょっと抜けていたものですから、高校になっても大学になっても、日常用語で力という言葉を自然科学についても使ってしまうというご指摘がよくありました。こういうことも含めて、自然科学のディフィニションが非常にはっきりした概念の問題と、それから日常用語でどうそれに近づけていくかといいますか、理解させていくかという問題、この言葉、概念の問題があると思います。ありがとうございました。
 石井先生、そして渡久山先生、無藤先生といきましょう。

【石井委員】
 実は、私も言葉の問題について申し上げたいと思います。
 具体的には、73ページのちょうど真ん中ぐらい、3つ目の○のところの4行目に、「言葉や数、式、図、表、グラフ」等々、こういうふうにその関連を理解すると、私はこれは大変結構だと思います。特に、私は言葉と数式との関係を、もっときちんと最初の小学校の第1学年から教えていくということが重要なのではないか。これは、実は国立情報学研究所の数学論理学(数理論理学)とかいう、もう聞くだけで理屈っぽい専門の名前の新井先生という女性の数学の先生の受け売りなんでございますが、「1プラス1イコール2」という数式を日本語で表現したら何といいますかと。これは多分、「1足す1は2になる」というふうに教えていらっしゃるんだと思いますが、これは間違いだとはっきりおっしゃる。「1足す1は2とつり合っている」。つまり言うならば、てんびんの概念で等式というものを説明するというお考えだろうと私は推測するわけです。私は、新井教授の言葉はラジオで聞いただけですから、それ以上、解説なさいませんでしたけれども、おっしゃっていることは私はそういうふうに理解しました。
 それを理解いたしますと、移項とか、あるいは数式を発展させるとか、あるいは計算というものがずっとわかりやすくなるのではないか。具体的に申し上げると、分数の割り算という計算を考えますと、これは今のてんびんでバランスをとっていると考えますと、両方の、イコールの右と左に同じ数字の掛け算をしますと、つまり左側は1になるわけです。割り算と掛け算を同じ分数をやりますと1になるわけですから、そうすると、右側の項は掛け算になるんだというふうに理解できるでありまして、数式をいつもバランスがとれるように考えていく。そうすると、左側でこういう操作をしたら、右側でこういうことを同時にしなきゃならない。そうすると残りはどうなるんだ、結果的としてどういうふうになるかということが、数式の論理の上で分かるわけです。それを生活の実感で、分数の割り算を実感で理解させようとすることは、非常に難しいんです。大変複雑なことを言わなきゃならないわけです。
 ですから、私はそういう一番最初の基礎のところから、数式というものを日本語で表現するときにどういうふうに言うか、「つり合っている」という日本語が小学校の第1学年に対して教えるのに、最も適した表現かどうかは、私は存じません。しかし、1足す1は2になるというよりは、はるかにいいわけです。原理的にそこのところはきちんと教えていく。そうすると、算数、数学の式を展開する、あるいはそれを使って物事を発展させていくという能力が、少なくとも今よりは容易にできるようになるのではないかというのが、私の素人考えでございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。これも非常に重要なご指摘で、一時期、子どもの自然な感覚や発想をそのまま大事にしてやれば、何でもわかっていくものだみたいな乱暴な話がありましたけれども、それを土台にしながらも、今石井先生ご指摘のように、自然科学、それから広い意味での人文科学も含めて、そこでリファインされてきた概念の整理にどうやって少しずつ近づけていくかという、今日出されているように、系統性ということはそういうことにもかかわっていると思いますので、またそういう点からも皆さんお気づきの点を後で細かくて結構ですから、お寄せいただければと思います。
 渡久山先生、お願いいたします。

【渡久山委員】
 理数科についてですけれども、内容について、やっぱり系統性を重視するという指摘は非常に大事だと思います。特に、高等学校の理科総合なんかで、どういう形で具体的に教科書に出てくるかということになりますけれども、非常に大事にするということは大事だと思います。
 もう一つは、実生活あるいは実社会とのつながりということを大事にしていこうという内容についての方向性というか、考え方というのは僕は非常にいいことだと思います。それが今後、学習指導要領、あるいは教科書の中にどう生きていくのか、反映していくのか、これが今後の課題だと思います。これが1つです。
 もう一つは、やはり施設設備が大事だし、条件整備についても言及されているところは非常にいいと思います。特に、理科について支援員を配置すべきだという考え方は非常にいいと思います。これは、理科の場合、中学もそうですが、高等学校においてもそうなんですけれども、実験・実習は一人で40人ぐらい持ってやるというのは、非常に困難な状況がありますから、だんだん敬遠していって、実際には施設設備が死んでいるという状況がありますので、これはぜひとも条件整備は大事だと思います。
 この1つの中に、例えば小学校の算数について、今度は3年から2年、あるいは4年から3年に落ちてくる小学校の分数や小数の部分があります。これは資料3-2に説明していただきましたけれども、ちょうどこれをイメージして、実際の学校での指導の実態、授業を考えますと、果たしてこれが40人学級でやれというのか。40人学級の子どもたちに、本当に分かる授業ができるのか、こういうことを考えたときに、非常に困難だと思います。
 先ほど、この全体の流れでは、「少人数指導」という言葉はよく出てきますけれども、「少人数学級」という言葉は出てこないんです。ですから、現在でも法的には、日本は40人学級というのになっています。それでいいのかどうなのか。こうしてだんだん難しくしていく、あるいは内容を豊かにしていくことはいいんだけれども、これが実際、子どもたちがわからないと何もならないわけです。ですから、小学校の第2学年や第3学年の算数がつまずきの1つになって、ずっと分数のできない大学生までつながっていくということは、今現在もよく指摘されていることですので、この部分をぜひとも内容の改善と同時に、今の条件整備で、特に少人数学級への志向というものをぜひともやっていただきたいと思います。
 それから、82ページに高校と大学の接続の円滑というのがあります。これは、具体的には僕は大学入試が問題になってくると思います。そうすると、大学入試をどういうような形で高等学校以下で積み重なってきた学力といいましょうか、つないでいくのかということが非常に大事になってきますので、今後は大学入試の在り方等も含めて、この部分を考えなければ、十分な円滑な接続というのはなかなか難しいだろうという気がいたしますので、そういう意見を申し上げたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。それでは、無藤先生、お願いします。

【無藤委員】
 2点申し上げたいと思います。
 1つは、理数教育の充実で54ページ、55ページのところですが、大きく考え方3つというのは全く賛成でございます。それに加えて、私はプロジェクト学習といいますか、体験的な活動といいますか、そういったものを、例えば総合的な学習の時間などを活用して進めたらどうかと思います。特に、科学的な探究活動、先ほどの毛利委員の言い方で言えば、つながりというものに特に配慮していくような活動であるとか、あるいは科学技術と絡んだものづくり活動などを総合的な学習の時間などでできるのではないか。また、その際に博物館等と連携して行うということが非常に重要ではないかと思いましております。
 それから第2点ですけれども、環境教育について60ページ、61ページになるわけですけれども、その中でいろいろな重要性の指摘はそのとおりだと思います。それに加えて、私は特に自然体験活動とか、自然を愛護するということが環境教育の始まりの始まりみたいなものだと思うんです。それは既に幼児期から始まりすので、ぜひ幼稚園教育にも触れていただければと思っております。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。それでは、まず田村先生、それから天笠先生。

【田村委員】
 60ページ、61ページの環境教育で、今、無藤先生がご指摘になられた部分について、これは意見なんですが、この学習するというのは、科学技術を基礎にした私たちの人間の生活づくりの理論を学ぶことでございます。ところが、持続可能な社会を構築するという概念から考えると、その理論が矛盾を持っている。科学技術が進めば進むほど、人間そのものは生きていけなくなるんだという矛盾概念が含まれているんです。ですから、これは何回も申し上げてきているんですけれども、持続可能な社会の継続という問題を、環境、エネルギー問題だけに矮小化しないという意味は、もともと科学技術というのはそういう性格があるんだと。ですから、その部分を気がついて、教育のスタートのあらゆる部分にそういう宿題を科学技術は持っているんだという教え方をしてもらいたいわけです。
 科学技術がそういう宿題があるということに、最近は大きくそれが気がついたというのは、私たちの生活環境がそれを気づかせてくれたということでいるわけですが、とにかく前向きにどんどん科学技術を発展させるという、それは非常に重要なことなんですけれども、しかしその結果、出てくる問題に気がついて、教育のスタートからそのことをよく考えながら教えていくという表現ができないものだろうか。
 そういう意味で、科学技術というよりは、学校の教育そのものの問題として考えなきゃならないテーマも含まれていると思っているものですから、この表現を持続可能な社会の実現に向けて、あらゆる全力を人間はそれに注がなきゃいけない、その流れの中に科学技術の教育も入っているんだということが伝わるような文章になっていただけないかと思うわけです。環境、エネルギー問題だけ考えればいいんだという発想から、更に広げて考え方を持っていただけるようなコメントをしていただけないものかと思うのが1点です。
 それから、これは質問なんですけれども、数学と理科の科目構成のことでちょっとお伺いしたかったのは、数学の場合は新しい科目構成の場合には、これは数1を必履修にするということなんでしょうか。前回の改訂のときには、数学基礎というのをわざわざつけて必履修にしたのはそれなりの理由があったんですけれども、その問題はどういうふうに議論されたのかをお伺いしたい。
 同じようなことが、実は理科構成についても、4科目を何とかちょっとでもやらせたいという考え方があったので、科目をつくってみたんですけれども、それが今回は3科目でいいということを公に考えたということだと思うんですが、その辺の議論はどうなっていたのかを、私は委員会に出ていなかったものですからお伺いできなかったんですが、どういうふうに考えたらいいのかを教えていただければと思っています。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。重要なご指摘と同時にご質問がありましたので、ご質問についてお願いいたします。

【坂下専門官】
 今、高校数学と、それから高校の理科の科目構成についてご質問いただきました。
 まず、高校の数学からですけれども、数学1の必履修ということにつきましては、高等学校部会でも議論がいただいたとおりでございますけれども、国語と数学と、それから外国語、英語については、共通必履修科目ということでございまして、その方向で算数・数学専門部会におきましても議論をしたということで、数学1の必履修という形にしておるところでございます。
 数学基礎につきましては、先ほど詳細に説明できませんでしたけれども、資料3-2の6ページ目のところでございますけれども、右隣に「数学活用」という科目がございます。こちらの科目を新たに設けるということでございまして、もう少し実生活・実社会におけます、あるいは他教科等での関連も含めた活用といったことに重視といいますか、視点を置いた科目ということで、新たに設けるような形にしたいということを今のところは考えているということでございます。共通必履修科目という考え方がございましたので、数1を必履修ということについて議論してきたということでございますけれども、数学活用という科目も数学基礎の考え方を更に発展させた科目として、引き続き改訂案でも考えたいと思っています。
 それから、高校の理科につきましては、資料4-2でございますけれども、6ページ目には現行の科目構成を参考につけさせていただいてございます。実は、現行の科目構成でも、物・化・生・地4領域すべてを選択する形には必ずしもなってございませんでして、現行の考え方も実は物・化・生・地の4領域のうち3領域以上の履修ということを前提にした科目構成にしておったところでございますけれども、実態といたしましては、例えば理科総合A、これは物理、化学を中心とした科目ですけれども、理科総合Aと化学1をとるようなケースでありますとか、結局3領域というよりは2領域の学習になっておるというケースも比較的あって、必ずしも当初目指しておった物・化・生・地4領域のうち3領域以上の履修という形には、実際の履修を見るとなかなかなっていないということもございました。
 そうしたこともございますし、また理科総合A、Bの科目と1を付した科目との科目の重複といった面もございましたし、また今回、小・中・高の科目内容の見直し、特に中と高の接続の見直しもございましたので、そうした中・高の接続、それから高校間、高校の中での横の見直しといった観点から、科目の内容の整理、統合を図って、今回、5ページのような科目構成案にしたというところでございます。
 今、(a)、(b)で、2パターンの履修を考えておりますけれども、いずれのパターンの履修をいたしましても、物・化・生・地4領域のうち3領域以上が必ず履修することになるという仕組みに今回は変えているというところが大きな変更点となる次第です。

【田村委員】
 1つだけちょっと……。

【梶田部会長】
 どうぞ。

【田村委員】
 ありがとうございます。理科のほうはよくわかりましたけれども、数学のほうは数1が履修、必ずしなきゃならないことになるんですか。そうすると、前回は数1が難し過ぎるというので数学基礎をつくって、それを必履修の科目にカウントしたんですね。そこは大丈夫なんですか。

【坂下専門官】
 その点につきましては、小・中・高の接続の見直しということで、特に中学校については、第1学年と、それから第3学年を中心に授業時数を多目に配当するという形で方向性をいただいてございまして、こちらの報告書の中でもございますが、中3については、中学校と高校の接続の観点から第3学年で授業時数を多目に配当して、中学校と高校の接続を円滑にしていくといったことも考えてございます。
 それから、あとは数1の科目の中でも、課題学習という形で、いわゆる実生活であるとか、少し日常的な課題との、数学との関連といったものをトピック的に学ばせるという形で学ぶ意欲といったところもしっかり担保していこうといったことを考えている次第です。
 あと、内容構成についても、中と高の見直しの観点から内容も見直しているというところでございます。
 また、実際、もう一点だけ加えさせていただければ、数学基礎、数学1の履修状況といいますか、教科書の需要冊数を見ると、数学1については100パーセントを超えているところでございまして、ほとんどの学校で何らかの形で数1はとっている、数学基礎は、むしろ必履修科目の数1のかわりというよりは、数1をとって、そのプラスアルファとしてとっているというケースのほうがあったということもございました。そうした実態も含めまして、今回は数1を共通必履修にしようと考えている次第でございます。

【梶田部会長】
 この問題は、高校全体のカリキュラムを見ていただくところでも、また議論していただきます。
 天笠先生から毛利先生と、こういうふうにお願いします。

【天笠委員】
 小学校の算数についてなんですけれども、資料3-2にあります小学校算数科の内容の改善のイメージ案というんでしょうか、イメージの表が出ておりまして、これを拝見させてもらいますと、いわゆる前倒しというんでしょうか、そこにありますように、例えば小学校第2学年の部分ですと、小学校第3学年から移行したということですとか、あるいは第3学年ですと、小学校第4学年から移行したという、それぞれ前の学年に前倒しのような形で読み取れるわけなんですけれども、このあたりのところについての扱い方とか、あるいは理解というのが、私は大変大切かと思いました。それは、要するに、ただ前に倒すというだけではなくて、ここに学年の重複をさせるということを通して成果というんでしょうか、効果をねらっていこうという意図であることはご説明いただきましたし、また説明でも丁寧に読んでいくと分かるわけですけれども、ただこのことがしっかりと伝わるかどうか、現場に伝わるかどうかということがかなり大切になってくるのかと思いました。
 少し授業時数等々も増えた、そうしましたら、前の学年に詰め込んでいくというんでしょうか、これまでの学習指導要領を前に倒していくという、結果としてそれだけが生じて、そしてそれで各学校の授業が展開されるということになったときには、かつて指摘されたようなことが、また起こり得る可能性というのがあるのではないかと思うわけです。
 ここのねらうところは、やはり2つの学年にまたがってとか、あるいは場合によっては、複数の、幾つかの学年にまたがって、そのことを学習し、しっかりと学んでいく、力をつけていくという学年間ですとか、あるいは学校間の内容の重複ということの持つ意味というのをしっかりと説明というんでしょうか、分かるように伝えていくということが大切なのかと思います。
 そのようなことを踏まえたときに、学習指導要領の記述の仕方というんでしょうか、これまで伝統的というか、1学年ずつそれぞれ記載していたわけですけれども、そこら辺のところ、幾つかの教科では複数の学年という形をとっているわけですけれども、複数の学年にするのか、各学年ごとにして、そこでの記述の仕方に工夫していくのかどうなのか。更にそれぞれのところで、専門部会でそのあたりのところの議論を詰めていただいて、学習指導要領上のあらわし方の工夫で、学年の重複というのをどういうふうにあらわすと、そのことがしっかりと受けとめられるのかどうなのかという、ぜひこういう観点からご検討いただければと思います。
 それからあともう一点ですけれども、先ほどもご意見ありましたけれども、私も理科の指導体制というんでしょうか、既にいただいている資料を見ますと、小学校の理科は25パーセントが専科教員等と一部教科担任制に小学校でなっているというデータにもなっておりますので、このあたりのところの小学校における理科の担任制の在り方ということについて、よりスタッフの充実という観点から、教科担任制の方向性等々ということをしっかりと固めていく。そういう点では、25.4パーセントをどれほど引き上げていくのか、そのあたりのことについても検討していくことが必要なのかと思っております。
 なお、もしお願いできればということで、後ほどで結構なんですけれども、小学校の中には中・高等学校の教員が兼務して実施しているものも含まれているということでありましたので、中・高の兼務している立場で、小学校の理科を担当しているというのは、実態としてはどの程度のものなのか、後日で結構ですので、もしわかりましたらお願いできればと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それでは、毛利先生、それから草野先生。

【毛利委員】
 先ほど、田村委員のお話の中に、非常に重要な誤解を及ぼすような発言がございましたので、私の考え方を述べさせていただきます。
 持続可能な社会をこれから構築していくためには、科学技術の進歩がまるで悪であるかのような認識で学校教育をされると、非常に危険な方向に私は行くと思います。あくまでも、すべての科目、科学技術もそうですし、文学もそうですし、政治経済もそうですし、社会をよくしようとして教育をするわけです。ですから、その中には、初めから偏見はないわけです。まず、すべてはニュートラルである、中性であるということを基礎にして、しかし大きなエネルギーを扱う、あるいはかなり人間の遺伝子まで操作できるようになったときには、それなりに非常に大きな影響を人間社会、あるいはまた、地球の環境、ほかの生命に対して影響を及ぼす、そういう危険性は十分ありますよということは述べてもいいと思うんですが、理科の先生方が科学技術が悪いという発想で始めるのが、私はものすごく危険であって、それこそ持続的な社会を可能にするのは、科学、技術のこれからの可能性なしにはあり得ない。なぜかというと、温暖化を含めて、自然環境も含めて、初めてその事実がわかったのは、科学的な調査研究によって初めてわかってきたわけです。ですから、それは誤解されないように、今日はプレスの方がいらっしゃいますので、はっきりニュートラルである。と同時に、例えば文学、これは国語、それから社会、政治経済もそうなんですが、これも間違えると怖い方向に行きますよというのが、インターネットを通じて、例えば文学1つ、芥川龍之介を紹介するような文学でも、それによって自殺率が増えるんです。自殺率といっても、子どもたちは影響されます。経済もそうです。もうけ、利益、そちらのほうに行き過ぎると、それは自然を壊す方向にもなります。すべてこれは科目、よかれと思って生み出したものですけれども、いつでもそれは危険な方向に行き得るんですよというところをきちっと私と学校教育で認識させる必要があると思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。草野先生、ちょっとだけ待ってください。今の問題で、木村先生、それから田村先生、ちょっとご発言いただいて、それから草野先生。

【木村委員】
 私も毛利さんと同じ趣旨の意見を持っているんですが、打ち合わせ会等で田村委員はかなり、いわゆるサステーナブルディベロップメントということを強調しようということをおっしゃったんですが、ちょっと私が心配しましたのは、私もそれに大賛成なんですが、心配しましたのは、非常に科学技術に対してネガティブなメッセージが伝わりかねないということで、私は反対をしてまいりました。
 先ほどの発言を伺うと、毛利委員と同様に、書き方は非常に危険だと思います。とにかく世界の共通の理解として、確かに科学技術は行き過ぎたところはあったけれども、その原因を突きとめたのは科学技術なんです。しかも、それをサステーナブルにしていけるのは科学技術しかないということは世界中の理解ですから、よっぽど書き方を気をつけないと、また一時の学生運動時代の科学技術は悪いんだというところへ、ある勢力に持っていかれかねないというので、書き方は非常に気をつけてくれという意味で私は反対をしてまいりましたので、今の毛利委員のご意見に大賛成であります。
 ついでに、ちょっと申し上げたいことがあるんですが、54ページの一番上の○のところに、どこに入れるか問題なんですが、確かに理数関係の科目について、日本の子どもたち、世界的な比較をいたしますと、好きだとか、積極的にそれに取り組むというのが少ないんです。それよりも、もっと私が心配しておりますのは、数学だとか、理科だとか、そういうものを使った職業につきたいという子どもたちのパーセンテージが圧倒的に低いんです。国際平均だと40パーセントか50パーセントなんですが、日本の場合は10パーセントちょっとしかいない。そこのところが非常に大きな問題だと思っておりまして、であるからこそ、先ほどの田村委員のご意見のようなことに対して、非常に私は心配をいたします。ですから、どこかにそのことも入れていただきたい、ここに入ると思いませんけれども、そのことをぜひお願いしたいと思います。やはり科学技術を支える人材を少しでも数出していかないと、この国は成り立っていきませんから、その辺を少し文章の工夫をお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、これは質問なんですが、先ほど天笠先生も参照されました資料3-2の3ページのところに、「小学校算数科『A 数と計算』の系統イメージ(案)」というのがあります。その中にアステリスクがありまして、「スパイラルのため学年間で重複させる」、これは大変結構だと思うんです。私はこれを前からやるべきだと主張していたものですから、そういう意味では非常にいいと思っております。ただ、ちょっと専門委員会の先生方にお聞きしたいのは、教育政策研究所等で、どこで子どもたちが算数に引っかかるかというのは、かなり詳しくわかっていますね。そういうことがこれにきちんと反映されているかどうか、その辺について、もし情報がわかれば教えていただきたい。私がかなり詳細なレポートを、大分前に読ませていただいたときには、若干これとずれているような、私の記憶が間違っていたのかもしれませんけれども、ほかのところで引っかかるということがあったような気がするので、その辺、もしわかりましたらお教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 では、まず今出ました質問、つまりつまずきになるものがいろいろな調査結果で、例えば学力の階層分析なんかである程度わかっているんです。そういうものが反映されているかどうかということ、もし事務局でわかっていましたらお願いします。

【坂下専門官】
 すみません、今直ちにデータという形では提示できないんですけれども、この検討に当たりましては、教科調査官もそうですし、いろいろな外部の協力者の方の協力も得まして、学校の現場の先生もそうですし、大学の研究者の方の協力も得ながら、このような形で示させていただいていますので、ご指摘の趣旨は踏まえていると思います。

【梶田部会長】
 それでは、これはすぐでなくていいですが、例えば国立教育政策研究所で集められたようなものがあるかとかを含めて、確認いただいて、こういう組み立てにする土台としてください。
 それでは、田村先生、お願いいたします。

【田村委員】
 毛利先生、木村先生のお話をお伺いしていて、私の考えと全然変わっていないんです。ただ、ちょっと現状認識が少し違うのかという気がしております。つまり日本の若者たちが理数系を選ばない1つの原因に、持続可能な社会継続という問題意識があるということを、かなり大きな問題としてとらえるか、そうでないかという違いなのかと思ってお聞きしておりました。
 問題が起きたときに解決するのも、確かに科学技術の力なんです。ですから、今後も人類は科学技術を更に発展させていくという流れは動かせないんです。ところが、今の若者の中に、相当の数で科学技術の結果、とんでもない社会がつくられつつあるんだということが認識として、私は実感としてよく感じるものですから、そのことをちゃんと教育するときにきちんと踏まえて教えていく必要があるのではないか。
 具体的な例で言えば、今、持続可能な社会というのは、このテーマについては国際会議を開くと、別に科学技術に関係ない、いろいろな経済とか政治とか、そういう会議でも、どんな会議でも必ず最後はそれなんです。持続可能な社会というものを念頭に置いて、人間の社会の仕組みをいろいろ考えろという結論に必ず、どの会議もなるんです。ですから、そういう趣旨を子どもたちが生きる21世紀を考えた場合には、そういう社会になるからということを意識して、どこかにうまくコメントしていただきたいという趣旨で申し上げたわけです。
 毛利先生、木村先生のおっしゃるとおりだと思いますので、その点について反対しているわけではないんです。ただ、現状がかなり、僕はこれは誤解かもしれないんですが、若者や青少年が理数系に行かないという原因の1つにそれがあるのかと思っているものですから、そういうことをむしろちゃんと言っておいたほうがいいんじゃないかということで発言しているわけです。ひとつうまく考えて、表現していただけるとありがたいと思っています。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。今の点は非常に重要なことで、3人の先生方、もう一度、田村先生もご発言いただきました。
 ともかく科学だけではなくて、あらゆる学問分野というのは、人類の可能性を大きく広げていくという意味で大事だということは小さいときから強調せんといかんでしょうね。私なんか古い人間ですから、湯川さんとか朝永さんが国際的に活躍されたころに、どれだけ日本がわき立っていたかという、中身はわかりませんけれども、私はそういうことが必要じゃないかと。さっきの文学の問題もそうです。ただ、そういうものが社会的に位置付けられ、活用される中で、よほど注意しないと副作用が出てくる面があったという部分は、これもしかし副作用であるということで言わなきゃいけないのではないか。ですから、新しい配慮で、しかしこれも克服するのは、やはり新しい学問なり、科学研究の力でということになるわけですが、この辺の書き分けの問題があるのかなと思いながら伺っておりました。この辺は、本当にもっと科学でも、広い意味での学問、あるいは研究、これに対して強調しないと、何か反知性主義みたいなのが一時期はやっていたような気がいたします。物を勉強するのは悪いことだみたいな、つまらんことだみたいな、あるいは物を考えたり、新しいものをつくるのがいかにもつまらんことであるかのような、私はある時期、あったのではないかと思います。それに落ち込んでは、もう教育というから言うと、180度といいますか、教育の中で人類の可能性を狭めていくようになってしまうわけですから、その辺の書き方をちょっと工夫していただきたいと思います。
 すみません、お待たせしました。草野先生、それから続いて荒瀬先生。

【草野委員】
 田村先生のほうから理数系に進まないということで、それについては、私ども中学校のほうとしても反省している次第でございます。中学校の立場から2点ほど述べさせていただきます。
 今の理数の問題ですけれども、これは私は理数に進まないというのは、理数に興味・関心がわかない、おもしろさを感じていないということが1つにはカリキュラムの問題があったのではないかと思います。これだけ狭められて、週3時間、理科の場合は現行週3時間もないわけですけれども、狭められて、本当におもしろい、感動的な変化、実験、観察がやる機会が乏しくなったというのも事実なんです。そういうふうにおもしろいことをおもしろいふうに教えてこられなかった、もちろんその中でもやらなきゃいけなかった教師の責任もありますけれども、それが1つあると思います。
 算数・数学に関しては、きちんと計算ができなければ、興味・関心がわくわけがない。今、一番中学生で困っているのは、決して小学校のことを悪く言うわけではないんですけれども、分数計算ができない子もかなり入ってきます。そうすると、その子は何とかしようと思うんですけれども、大半は3年間、分数が満足に定着しないまま高校に行ってしまう。その中の何割かは、そのまま大学に行ってしまうという現実があるようでございますけれども、それも時間を掛けてきちんと反復学習をしてこなかった、本当の算数、数学のおもしろさを体験させることができなかったカリキュラムにも私は課題があったのではないかと思います。
 そこで、今回のことを考えると、理科、数学、中学校の場合、大分増やしていただきました。大変ありがたいことだと思っております。
 数学に関しては、小・中の接続の意味で、第1学年と、それから中・高の接続を考えた第3学年と、週1時間増やしたというやり方、これは非常に私は英断ではないかと思っております。理科の場合も、これまでよりも、2年、3年で週1時間以上増やしていただいているわけで、これによって、いろいろなことができる。それに増えた分には、内容もそんなに増えていないので、これを時間を掛けて基礎・基本に取り組むことができるし、また発展的なことにも意欲的に取り組むことができるということは、実は理科の実験で、個人的な意見ですけれども、一番おもしろい部分がこれまで削られてしまった。それは、子どもに感動を与える部分だったんです。そこが削られてしまったことは、非常に私はショックだったんですけれども、そういうことで来ていた。今回、それが復活できるということは、非常にプラスではないかと考えております。
 ただ、それに加えて、1つずつお願いなんですけれども、75ページをごらんいただきたいと思うんです。75ページで小学校の算数のところで、(エ)「『数と計算』の領域では」以下ありますけれども、「数についての感覚を豊かにすること、数による表現力を育てることを重視する。また、計算の意味をよく理解すること、計算の仕方を考えること、計算に習熟し活用することの三者をバランスよく指導することを一層重視する」、これはほんとに当たり前なんですけれども、ですが、中学校からしてみれば、これも大事なんだけど、簡単に言えば、分数計算がちゃんとできるようにしてよというのが本音なんです。とするならば、やはり基礎・基本というのも、繰り返しどの教科でも全部出てくるんですけれども、ほとうに先生方というのは何が基礎・基本だとわかっているかというと、そんなに明確ではないわけです。明確になっていない。ですから、全部を示さなくてもいいんですけれども、算数に関しては計算の定着は絶対だという、絶対しなきゃいけないんだということをどこかで加えていただいたほうが、より明確になるのではないかと、これが1つです。
 2つ目、理科のことについて言います。理科に関して、非常にうれしいことがありました。あとこれは要望です。理科嫌いになってしまう、正直、これも高校を悪く言うわけではありません。でも、中学のときよりも高校生のほうが理科が嫌いだと思います。なぜかというと、私は従前から思っていたのは、中と高の理科の接続が非常にきちんとした形でできていない。最近はかなり改善していただいたと聞いております。今まで何がいけなかったかというと、中と高の理科のレベルが全然違うんです。中学校の理科で化学反応式なんて、2H2+O2→2H2Oぐらいしかやっていないのに、いきなりポンと難しいのが入ってくるとか、そういうふうなギャップがあったと思うんです。それを改善するために、様々なことを工夫した結果、現在の高校で11教科ですか、何であんなにしなきゃいけないのかというと、これは基礎・基本というものが明確ならば、中学校できちんとやってきたことが高校でも繰り返せるわけだし、それを考えたら2教科選択、3教科選択、どうも納得がいかないんです。ですから、もうちょっと今後は理解、11科目なんて言わないで、もっとすっきりした形で、大体物理化学というのは私は基礎科学だと思っているし、生物、地学は応用科学なんです。とするならば、化学と物理は全員必修じゃないのかという考え方だってあるわけです。こういう科学技術の発達した世の中で、基礎科学を教えないことはどういうことかという考え方もあるし、そこら辺をもうちょっと、今回はいいです。次回に向けて、すっきりした形で接続を考えていただければと思います。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それでは、荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 2点申し上げたいのです。
 1つは、環境教育のことなんですけれども、60ページから61ページにかけて、環境教育にも触れておかなければならないという感じなのかと思うような分量なんですけれども、本当は環境教育というのはとても大事で、学習指導要領とか、そもそも学校とか、あるいは生活するとか、その大前提になっているのが環境が保全されているといいますか、今よくない状態であるならば、それをよくしていくという、その姿勢というのが非常に重要なのだと思うのです。
 実は、8月の頭に京都市の姉妹都市が集まった国際環境会議というのをCOP3の10周年でやったんですけれども、そのときにも、本当に高校生と真剣に自分たちが生きていくためにどうしたらいいのかというのを考えています。
 その中で、ある都市の雨水が大変汚染されていた。その汚染度を実際にはかってみて、それが数値としてはっきり分かるわけです。あるいは、目に見える色として分かる。そういう状態に基づいて高校生が何と言ったかというと、「汚したのは子どもじゃない。でも、これを直していくのは私たちなんだ」という、若い人たちというのはそういう非常にみずみずしい感覚というか、前向きな姿勢を持っているのです。
 ですから、そこのところをきちっととらえた、今後、先ほどもご議論がありましたけれども、本当に地球の上で私たちの社会が進歩と調和を進めていくということを前提にした環境教育が必要なんだということを、もっと強調していただけないかと思います。
 その中で、環境教育というと、ここにも少し例として触れられていますけれども、どうしても心情的というのか、習慣的というのか、水を使うのを少し少なくしましょうとかいうんですけれども、そういう行為が具体的にどうなっていくのかというのを、きちっと数値で知る必要があると思うのです。ですから、これも高校生たちが考えた、環境について学ぶということはどういうことなのかというと、その基本の1つとして挙げたのが測定するということです。はかるということがいかに大事かということで、そうなってくると、これは環境教育が、いわゆる教科の学習から浮いてしまったものではなくて、あるいは道徳教育とか、そういったことの中に多く含まれるものではなくて、はっきりとした理科とか、あるいは社会とか、そういった科目と非常に関連性の高い、しかも応用的に、現実的に応用していく科目といいますか、教育として、学習活動としてあるということが、もっとはっきりとわかってくるのではないかということを思います。それが1つです。
 もう一つは、理科教育なんですけれども、この部分では意欲がなぜ持てないのかというのが書かれているんですが、意欲が持てないのかじゃなくて、どうして意欲を伸ばせないのかという問題だと思うんです。子どもたちというのは非常に意欲を持っていて、私も実はこれを9月の半ばにうちでスーパーサイエンスハイスクールの研究発表も兼ねたポスターセッションというのをいたしました。うちの第2学年の生徒全員が、ポスターにまとめた自分たちの研究を発表するところへ小学生を招待したんです。そうしたら、やってきた小学生がものすごくいろいろなおもしろいことをやっているんです。もちろん、「祇園祭を担う人たちの心意気」とか、そういうことをやっている子もいるんですが、本当に感動しまして、高校生の生徒たちに、あの発表を聞いてこいと言ったのは、「携帯できる日時計というのは可能か」という、「日時計」というのと「携帯する」という、普通に考えたら、どうしてそれが結び付くのかというものを結びつけた小学生の研究があったのです。
 この子は本当に徹底的に調べていまして、京都だけではだめだというので、きっと親戚があるんだろうと思います。夏休みに帰ったんだろうと思うんですが、金沢でやってみたときと京都でやってときの誤差まできちっとはかっているんです。緯度が違いますから、実際に誤差が生じていて、どうしてかというとというので調べていってというので、子どもたちがやっていこうとしたら、どんどんやっていくのです。あるいは、やっていく道筋を立てれば。そこのところが、実はきっとお金もかかるし、それから教員の数も必要になってくるし、カリキュラム上もそれをきちっと支えるようなカリキュラムでなければならないだろう、それが理科で行われるのか、総合的な学習の時間で行われるのか、あるいは夏休みの自由研究で行われるのかというのは様々あるでしょうけれども、子どもの中に生まれているといいますか、本来あるところのわくわくして何か調べてみよう、突拍子のないことであっても調べてみようというその気持ちをしっかりと支えるためにこそ、その条件整備が必要なんだと。だから、条件整備というのはいろいろな場面で私も申し上げますけれども、お金を掛けたらいいのかというと、お金を掛けたら私はいいと思うんです。スーパーサイエンスハイスクールの研究指定でお金を掛けていただいたら、本当に先ほど草野委員がおっしゃいましたが、うちの生徒は理科は結構好きなんです。どうしてかというと、そういう場が用意されているからです。高校3年生になっても、うちは実験をやたらめったらやるんです。そっちのほうがはるかに、単純な言い方をしてしまって申しわけありませんが、大学受験にも役に立っているんです。そういう実体験というのがいかに役立つか。しかし、その実体験をそれほどやっていこうとすると、いかにお金がかかるかということなんです。
 ここで本当にお金を掛ける必要があるということは、さっき申しました小学生の中に生まれた、あるいは本来持っていたのが何らかのきっかけで出てきたところのわくわくする気持ち、その気持ちをしっかりと支えるための条件整備というのが必要なんだということで、条件整備の部分をいっぱい書いていただいているのは大変ありがたいと思いますが、ぜひまたもっと強調していただけると、もっとありがたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。そうしたら、あと角田先生でちょっとこの理数系は区切って次に進みたいと思います。では、角田先生、お願いいたします。

【角田委員】
 理数教育のための時間が増えたということは、とても大事なことだと思いながら、この報告書のほうの全般的、理科に対する例が多く出ているような感じがしております。
 例えば54ページのところですが、一番下の○のところですけれども、算数、理科については云々というのがあって、算数で「反復学習などの繰り返し学習、思考力や表現力等の育成のための観察・実験やレポートの作成」と、今度は理科のほうに行ってしまうんです。やっぱり算数は反復学習の繰り返しというのはとても大事だと思いながらも、算数でも思考力、表現力ということを養っていかなきゃいけないのだろうと思いますので、この辺の表現をひとつ考えていただければと思ったのが1つです。
 それから2番目に、先ほども小学校のところで繰り返し、スパイラルの問題が出ましたけれども、スパイラルでやれば確かに理解ができるようになるということはあるかもしれないんですが、子どもによって学年で2回繰り返しても、何回か繰り返してもなかなか理解できない子どもというのはいるということなんです。
 その辺で、条件整備ということをきちっと算数でも理科でも必要なんだと思うんですが、55ページのところに行くと、「条件整備を図ることが重要です」と第三のところで書いてあるわけですが、具体的には、例えば外部人材を活用した小学校高学年における専科教員による教育の充実や理科支援員の配置というふうにして理科のほうに行く。算数で低学年のところでつまずいている子どもに対してきちっと条件整備、少人数指導ということがないと、これはいくらスパイラルにやってもなかなか理解できない子どもがいつまでたっても置いてきぼりになってしまうという傾向があります。したがって、54ページ、55ページあたりのところの繰り返し学習、あるいは条件整備ということについて、ぜひ算数のほうにも当然行くんだということが分かるような表現にしていただければと思います。
 それからもう一つ、3番目に、学習指導要領の表現の仕方だと思うんですけれども、やっぱりこれだけは基礎・基本としてこの学年にできるだけ、確実に理解していくんだといったような、そういうメッセージが届くような表現にしていただくと、現場の人間が読んだときに、皆さらっと並列のような感じがしてしまうというのが、今まであったような感じがしますので、その辺のご配慮をお願いしたいと思います
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。理数教育は非常に今回の学習指導要領の改訂の柱の1つになりますので、非常に重要であります。今、いろいろとご意見をいただきました。また、この資料、それから検討素案、両方ごらんいただきまして、10月1日までにいろいろとお気づきの点を事務局までお寄せいただければと思います。
 それでは、次の課題に参ります。次は、高等学校の教育課程の全体的な枠組みについて、皆さんのご意見を伺いたいと思います。もう既に、今まで理数ということでも一部出ておりますが、全体の枠組みについて、高等学校部会でずっとご審議いただいて、それを今回、こういう形で組み込んで出てきております。
 それでは、その部分につきまして、まず牛尾視学官からご説明をお願いしたいと思います。

【牛尾視学官】
 視学官をしております牛尾と申します。私のほうから説明させていただきます。
 資料2-1の39ページから高等学校の教育課程の枠組みについて、まとめております。この内容につきましては、資料5にございますような、高等学校部会での議論、それから本課程部会でこれまで行われてまいりました議論を踏まえまして、整理をさせていただいたものでございます。
 まず最初の1のところ、高等学校教育の共通性と多様性でございます。ここは、総論的な内容になっております。高等学校部会で様々な議論がございましたが、その中心的な論点がこの共通性と多様性ということでございました。高等学校の生徒の多様化が進んでいる中で、高等学校としての共通性をどのように、あるいはどの程度確保するべきかということが論点となっておりましたので、タイトルのほうに使わせていただいているところでございます。
 最初の○のところで、高等学校の現状を簡単にまとめております。平成18年度におきまして、中学校卒業者の97.7パーセントが進学しておりまして、国民的な教育機関といえようかと思います。それから学科といたしまして、普通科、専門学科、総合学科、それから課程といたしまして、全日制・定時制・通信制というものがありまして、多様な内容を様々な方法で学ぶことができる仕組みとなっているということでございます。
 そういうことから、高等学校の学習指導要領につきましては、単位の計算方法等の基本的な枠組みについて規定しておりますが、教育課程上、高い共通性を担保しております小・中学校とは異なりまして、すべての生徒に共通に学ばせる教育内容ということにつきましては、必要最小限、必履修教科・科目を定めるにとどめているということでございます。
 それからちょっと飛ばせていただきますが、教育の改善の基本的な方向性でございますが、40ページになります。最初の○の後段のところで3点にまとめてございます。
 まず第1の点は、小・中学校と同様でございますが、各教科・科目におきまして、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、知識・技能を活用する学習活動を重視するという点を示しております。
 それから第2点でございますが、各教科・科目におきまして、義務教育と高等学校との系統性を重視した円滑な接続を図るということを示しております。
 それから第3点でございますが、豊かな心や健やかな体の育成ということで、道徳教育の充実と、健やかな心身の育成について指摘しているところでございます。
2以下が各論の基本的な枠組みの基準について、まとめたものでございます。2でございますが、年間の授業週数、週当たりの授業時数等についてまとめております。
 最初の○でございますが、ここは年間の授業週数などについてまとめた部分でございます。基本的に、ここは小・中学校と同様の仕組みになっておりますけれども、現在、学習指導要領上、全日制の課程につきましては、年間35週行うということを標準とするとしております。実際には、これを超えまして、39から40週の授業が行われているところでございますが、この差の部分につきましては、その上のところに整理しておりますけれども、ホームルーム以外の特別活動、体育祭でございますとか、様々な体験活動、こういった時間に充てられている時間でございます。このような時間を確保する必要を考えますと、この35週というものは基本的に維持してはどうかということでございます。
 それから、その下でございますが、中学校と同様に、部活動につきまして、高等学校につきましても教育課程に関連する事項として記述してはどうかということでございます。
 続きまして、41ページのほうでございます。最初の○でございますが、こちらは週当たりの授業時数についてまとめております。現在、既に全日制の週当たりの授業時数は30単位時間を標準としております。これは、1日6コマ、毎日、5日間やった場合に30という時間でございますので、この30という時間は引き続き維持するというのがよいのではないかということでございます。
 しかし、各学校におきまして、各教科・科目におけます基礎的・基本的な知識・技能の定着、あるいはその活用の学習を行う上で、必要な授業時数を確保するためには、必要な場合にはこの30を超えてもよいということを明確にしてはどうかとまとめております。
 それから、その下の○でございます。卒業までに修得させる単位数でございます。現在、これにつきましては74単位以上と定められておりますけれども、全日制につきましては、現実的には80単位以上の学校が多うございますが、一方で、多くの定時制、通信制の課程におきましては、最低の74単位にしている学校が大半でございます。このことを考えますと、国として定めます基準につきましては、引き続き74単位以上とすることが適当とまとめております。
 続きまして、3でございますが、必履修教科・科目の在り方につきまして、まとめた部分でございます。
 最初の部分で、必履修教科・科目の定める必要性を示しております。
 2つ目の○でございますが、高等学校教育は「高度な普通教育」及び「専門教育」を施すと法律上も定められております。このうちの普通教育でございますが、これはすべての生徒に対し、日常生活を営む上で共通に必要とされる知識・技能を施すということでございますので、これを担保するためには、引き続き必履修教科・科目を設定することが適当としております。
 それから次のページに行っていただきまして、最初の○でございますが、必履修教科の範囲でございます。現在の必履修教科の範囲でございますが、いずれも高校生にとって必要最低限な知識・技能、あるいは教養を身に付けさせるために必要と考えまして、この教科の範囲については現行と同じ。更に、それぞれの教科・科目について、標準単位数を設定するということも、引き続きそのようにしてはどうかとまとめております。
 それから、その下でございます。必履修教科それぞれにおきます必履修科目の在り方についてでございます。これにつきましては、高校生に必要最低限な知識・技能と教養の幅を確保するという共通性という観点、それと学校の創意工夫を生かすための裁量、生徒の選択幅の拡大、多様性という観点、この2つのバランスを図る必要があるということでございます。
 それを踏まえた上で、基本的な方向といたしましては、現行の必履修科目の単位数は原則として増加させないとしながらも、実際の高等学校におけます実際の履修単位数の状況を踏まえまして、単位数を増加させる場合であっても学校の裁量は縮小しないということであれば増やしてもよいのではないか、あるいは学校の選択肢の拡大につながるような場合につきましては、単位数を増加してもよいのではないかということをあわせて検討したところであります。
 その以下でございますが、各教科ごとに具体の必履修科目の在り方についてまとめたところでございます。幾つかの教科のグループに分けて議論をさせていただきました。
 まず最初の○でございますが、学習の基盤あるいは広い意味での言語活用能力を育成する国語、数学、外国語についてまとめております。これらの科目教科につきましては、現在選択必履修となっておりますが、共通必履修科目を置くという方向で書いてはどうかということでございます。
 先ほど数学のところでも議論になりましたけれども、例えば国語の場合で申し上げますと、国語の場合にも現在「国語総合」という4単位の科目と、「国語表現1」という2単位の科目がございまして、それの選択必履修という形になっておりますが、これを国語の例で申し上げれば、「国語総合」4単位の共通必履修科目1つを置くという形にしてはどうかということでございます。
 ただし、その場合でも生徒の実態が多様化しているという現状に変わりはございませんので、指導事項を重点化する、あるいは単位数の増減を可能であるということを明確にすることによりまして、各学校の裁量で、例えば「国語総合」にした場合でも単位数を減らすあるいは増やすといったようなことができるようにしてはどうかということでございます。
 それから次の○でございますが、地理歴史、公民、理科の関係をまとめてございます。これらにつきましては、現行どおり引き続き選択必履修としてはどうかということでございます。
 まず最初のポツでございますが、地理歴史でございます。現在は世界史から1科目、日本史・地理から1科目の2科目が必修となっております。これにつきましては、現在小・中学校におきまして日本史、あるいは日本・世界の地理の学習が行われているということを踏まえますと、高等学校における必履修科目につきましては世界史を引き続き維持するということが一定の合理性があり、現実的な選択肢であるというふうにまとめております。
 ただし、その場合でありましても、「世界史」の内容につきましては日本史、地理との関連を一層重視するといった見直しが必要ではないかということでございます。
 それから、なお書きでございますが、高等学校部会での議論といたしまして、地理歴史にまたがる総合的な科目を設置するということをぜひ検討すべきではないかというご意見がございました。それにつきましては有意義であるというご意見が多数ございましたが、一方で、なかなか総合的な科目というのは現実的には難しいというご意見もございましたので、今後更に検討する必要があるという形でまとめております。
 それから、次のポツは公民でございます。現在は現代社会をとるか、または倫理、政治・経済をセットでとるかという形になっております。この形につきましては、引き続き維持した上で、小・中におきまして道徳教育が充実されているということとの接続を考えまして、高校におきましても人間としての在り方、生き方に関する内容の充実を図る必要があるということでございます。
 それから続きまして理科でございます。理科につきましては現在2科目の選択でございまして、総合的な科目を2科目とるか、総合的な科目を1科目とった上で物理・化学・生物・地学から1科目をとるか、いずれかでございます。これにつきましても先ほどご議論ございましたが、理念といたしましては、物理・化学・生物・地学の4領域の中から3領域を学ぶということがこの現在の必履修の背景の理念としてございます。これにつきましては、引き続き維持した上で、ただ、物理・化学・生物・地学4領域のうちから3領域以上の科目を履修する場合にはこの理念は担保されているのではないかということで、そういった3領域以上から科目を履修している場合には、総合科目はとらなくてもよいという選択肢をつくってはどうかということでございます。
 続きまして、情報、それからその次の保健体育、芸術、家庭でございますが、これらにつきましては、基本的に現行の必履修科目のとり方は変えずに、科目の内容の改善を図ってはどうかということでまとめておるところでございます。
 それから、その次の○でございますが、特別活動、総合的な学習の時間でございます。いずれも教科を横断した課題解決的な学習、探究的な活動、体験活動などのための重要な時間であると。引き続き重視する必要があるということでございます。ただし、総合的な学習の時間につきましては、各教科・科目におきまして知識・技能を活用する学習活動が充実されるということを踏まえますと、時数等で弾力的な取扱いを検討してはどうかということでまとめているところでございます。
 それから、44ページでございます。44ページでは、まず専門学科及び総合学科についてまとめております。農業、工業といいました専門学科におきましては、現在共通の必履修教科・科目に加えまして、専門教科・科目を25単位以上履修されるということになっております。これにつきましては、一定の専門性の確保ということから、引き続き25単位以上の履修としてはどうかということでございます。
 それから総合学科でございますけれども、総合学科におきましては将来の職業選択など、進路に関する学習が重視されておりまして、そのために「産業社会と人間」という科目が必履修になっております。これにつきましても、引き続き必履修としてはどうかということでございます。
 それから最後に、定時制、通信制課程でございます。定時制、通信制課程につきましては、様々な動機で学びたいと考えておられる生徒さんに対して、多様で柔軟な教育の機会を確保するというものであります。このため、現在でも全日制に比べますと弾力的な取扱いが認められておりますので、これにつきまして引き続き継続してはどうかということでまとめているところでございます。
 以上、私のほうからの説明を終わらせていただきます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。ちょっとここで皆さんにお諮りしたいんですが、本来は休憩をとるべきなんですが、申しわけありませんが、適宜必要な休憩は皆さんにとっていただくことにしまして、このまま続行させていただいてよろしいですか。そのかわりといってはなんですが、12時までではなくて11時40分ぐらいをめどに終わりたいと思います。よろしいでしょうか、すみません。
 それでは、今ご説明いただきました高等学校の全体的な枠組み、もちろん個別なことも入っておりますが、皆さんのほうでご意見をお願いしたいと思います。

【土井委員】
 私のほうからは、地理、公民につきまして、専門部会での議論を踏まえて少し意見を申させていただきます。地理、公民の必履修の形態に関しまして、各科目からの専門的な意見につきましては、これまで既に本部会等にもご報告させていただいておりますので、本日は43ページ、先ほど牛尾視学官からもご指摘のありました4行目、なお書きの部分につきまして少しご意見を申し上げさせていただきます。
 この総合科目の件につきましては、我が国や世界の在り方につきまして、空間軸あるいは時間軸の両者から総合的にとらえて、現在我々が直面している社会的な課題について、できる限り多面的、多角的に考察する必要があるのだということにつきましては、専門部会におきましても広く委員の間で共通の認識があるところです。その意味では、こういう科目の設置について検討する必要性については、一般論として異論があるわけではございます。
 ただ、総論賛成の状態でして、一歩進めて実際にどんな科目をつくるのかという話になりますと、例えば既存の科目、世界史なら世界史、地理なら地理でございますが、それを母体にして他の分野の見方、考え方、方法論というものを組み込んでいくという方法をとるのか、あるいは地歴の科目の基礎的な部分、あるいは特定の時代ですとか特定の領域に関する事項を取り出して、いわばアラカルト的な科目をつくるのかとか、それとも全然今までの枠にとらわれない、文明と風土とか、環境というような融合科目を設定するのかということが、様々な意見が出ているところであります。
 進め方につきましても、やはり現在の問題というのは、環境にいたしましても何にいたしましても、既存の科目の親学問だけでは対応できない事態になっており、大学等でも学際化の進んでいるところから、高校についても総合的科目の導入を迅速に行うべきだという積極論から、やはり体系的な知識、方法というのは従来の親学問を基礎にするというのが学習の上では重要だろうと。あるいは、新しい科目の導入につきましては、迅速にし過ぎると学校現場で混乱を招く懸念があるんじゃないかという点から慎重な対応を求める意見まで、これも多様にございます。
 ただ、いずれにしましても、抽象的な議論をやりますと最後まで水かけ論に終わるという懸念がございますので、できる限り今回のこのような形で意見がまとまるということになれば、具体的な在り方について専門的な見地から継続的に検討を行う場、これもフォーマルなものからインフォーマルなものまでいろいろな形があると思いますけれども、そういう場を設けていただきたいという意見が専門部会のほうからも出ておりましたので、私のほうから意見として申し上げさせていただきます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。増田委員。

【増田委員】
 個人的な意見なんですけれども、今の高校のこの科目の中には、世界史から1科目、それから日本史と地理からどちらかを選んでというふうになっているんですけれども、私は、本当の国際人というのは世界を知っているから国際人というのではなくて、自分の国のこと、日本のことをよく知って、世界に行って自分の国のことを説明できるということが国際人だと思っています。個人的な意見なんですけれども、日本史を必修科目にするということも考えられるのではないでしょうか。
 それと同じように、国語のほうでも古文などというのは生きていく上ですごく人生に深くかかわってくると思います。そういう、古文の中から人生の指針にかかわるような影響を受けるということも生きていく上であると思いますので、やはりそういう、日本の大事なものをちゃんと勉強しておくということも、高校では特に大切なことではないかというふうに思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。じゃ、安彦先生。

【安彦委員】
 今の増田委員のご意見、高等学校部会でも日本史を必修にという声があったことはお伝えしておきます。そういう意味では、日本史に対するある種の強い必要性を強調されるという視点は説得的なんですけれども、今の全体の、小・中・高の組み立てで、一応中学校の歴史分野で日本史を中心にやりますので、義務教育では日本史をしっかり学ばせるという姿勢の上で、高校は非義務ですので、そういう意味では今までの流れの世界史というのは、視野の広がりからして、「一定の」と書いてありますが、一つの合理性があるということ。これで大体、高校の部会の先生方の大方の一致が得られたということで、少数意見として日本史を強く言われた方がいたということは申し添えております。
 なお、もう一言。土井先生からのご報告もありましたけれども、私も専門部会に出ていて、地理からの強い、必修にしたい、必修にしてほしいという、時間軸だけじゃなくて、空間軸もあわせてバランスよく学ばせる必要があるんじゃないかというご意見もありました。高等学校部会では、特別に地理をという声はなかったわけですけれども、基本的に今の組み立て、地歴の組み立てでこれを大きく変えなくてもいいのではないかというご意見が大勢を占めましたので、ここにも「現実的な選択肢」とありますように、今の段階ではこれでいいのではないかということでまとまった次第です。
 以上、申し上げます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それじゃ、黒須先生。

【黒須委員】
 実は、ただいまの世界と日本史の件なんですけれども、経過は今の安彦委員のお話でわかりましたけれども、私も実は、一般的な考え方かもわかりませんけれども、増田委員と全く同じなんです。やはり、日本人として大事なことというのは、世界史の中から日本を学ぶのではなくして、あるいはまた、中学校で日本史を重点的に教えるから高校では世界史が中心だというのはどうなんでしょうか。先日の会でも、中学校で英語の時間が国語よりも多くなるというのは、これはやっぱりいかがなものかと。やっぱり国語から学ぶものというのは大きいはずだし、国語をきちんと教える、日本語を教えるということが大事なことで、例えば表現力の問題もありましたけれども、表現力は各教科で学べるんじゃないか、それも私は本末転倒じゃないかというお話を申し上げました。歴史も同じではないか。やっぱり、何といっても日本人である限り日本史をきちんと学び、日本史の中から世界史を学ぶという順序のほうが正しいんじゃないか。世界史がどうしても小・中で不足をしているから高校でも必修にすべきだということでしたら、世界史、日本史を必修にして、例えばそのほかに公民とか、こういうところと地理を選択制にするとか、そういうことを工夫すべきではないか、私はそのように考えます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。ほかに、石井先生。

【石井委員】
 ありがとうございます。今の問題に関連して、ちょっと発言させていただきます。私は日本研究者ですから、そういうご意見がお二方から言っていただいて大変うれしいんですが、ただ、世界史か日本史かという二者択一論でやっている限り、多分問題は解決しないんだろうと。世界史を必修にするという枠組みを前提に、ここのすぐ上に「日本史や地理との関連を一層重視するなどの観点から世界史を見直す必要がある」という、この指摘が私は重要なんではないだろうか。日本から見た世界史ということです。つまり、私が昔習った世界史というのは、ローマとカルタゴが何とか、紀元前何百何十何年にハンニバルという人がいてとか、そういうのと、片方は中国の古代帝国の話だとか、何の脈絡もなしにお話を伺った記憶がございます。今はもっと改善されているんだとは思いますけれども、日本にとって世界というものが意識されたのは、多分、まずは中国との関係、あるいは朝鮮半島の国々との関係であっただろうと。その後に、今でいう西洋が意識されるのは多分種子島、あるいはその前の明を通じての西のほうの知識という形だろうと思います。そういう形で世界史を見る、世界史というものが客観的に存在するはずがないのでありまして、そこのところが私は重要なんではないか。そういう意味で、日本史や地理との関連を一層重視するということをもっと具体的に進めていただくということが、私は急務ではないかと。
 そういう点では、そのすぐ下にあるなお書きでありますが、「地歴に関する総合的な科目の設置については、学問研究の進捗状況等を踏まえ、今後更に検討する必要があると考える」とございますが、私はこの学問研究の進捗状況、「等」は別にいたしまして、進捗状況というのを前提にするということ自体、ないものねだりになる可能性があるんではないか。地歴をまたにかけた学問研究というのを一体日本でやっている人はどこにいて、何人いるんだろうかということを皆さんはお考えになったことがあるでしょうか。
 実際に、理科のほうでは総合科目というのがあるわけです。このときに、理科の総合研究を学問の進捗状況を踏まえてやったかといったら、そうではないはずです。高等学校のカリキュラムとしての総合科目というのは、学問の問題とは違う次元で設計すべきものでありまして、したがって、地歴に関する総合的な科目の設置というものも、私は学問研究の進捗状況という言葉からは解放していただきたい。少なくともこの辺は、諸般の事情とか何とか書今日があると思うんですが、私は世界史学者というのは聞いたとこがないんです。「私は世界史の専門家です」という研究者は、多分日本のどこにもいらっしゃらないと思います。教育課程として、あるいは教員養成課程としてはある。だけど、それはまさに中等教育における教育の問題と学問研究では違った観点で構成されているから、そこのところはもうちょっと慎重に言葉を選んでこの辺の文章を書いていただきたいなと、こう思って発言した次第です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。非常に重要なご指摘をいただきました。
 ほかに、いかがでしょう。
 「世界史」という言葉を使うからまずいのかもしれませんね。「人類史」とか、「歴史」とかね。その辺も含めて、ちょっとまたご検討いただければと思います。特に、日本が抜けた世界史というのが、やっぱりある時期はあったわけです。ですから、日本史との関連においてというけれども、どういうふうに関連させるかというのは、実は今ご指摘のように、キーになるわけですから、その辺も含めて少しこれは検討を要するかなと思います。
 同じようなことで、増田委員からご指摘いただいた世界史、日本史、それから国語についてもちょっとお話になりました。これは、高等学校のところだけではなくて、教科の国語というところでまた出ておりまして、それとのつじつまを合わせるという意味では、ちょっとここの42ページにひとつ、「国語は」というんで、「論理的な言語活用能力の育成」だけだとちょっとあれですから、どうせ後ろのほうに出ているんですけれども、あるいは一言入れておいたほうがいいのかなと思ったりもいたします。
 ほかに、いかがでしょう。荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 今の国語の件ですけれども、国語総合というのが、実は現代文と古文、漢文を含めた古典、これらを総合した科目というふうになっています。ですから、国語総合が必修になる、必履修科目になるということは、すべての高校生に古典についてもきちっと学ぶ機会を提供していこうということになりますので、その点については大丈夫かというふうに思います。
 一つ、今、梶田部会長からお話のあった点ですけれども、国語について言いますと、これは随分以前の教育課程部会でも申し上げたことがありますが、国語の教員というのが、主には文学部を出た人が多くて、結果的に少し鑑賞をするという方面に授業全体が流れて、「流れている」というとよくないみたいですが、傾いていたといいますか、軸足がそちらにあったといいますか。そういったこともとても重要なことでありますけれども、しかしそれだけではなくて、これから言語活動を様々に進めていく上で、言語活動の基礎の力を支えるという部分が必要なのではないかということで、特にとりたててこの部分が強調されているのではないかと思います。ですから、国語がこれまでのように、何らかの作品の鑑賞とか、あるいはエッセーを味わってみるとか、人柄に触れるといったようなこともそうなんですけれども、それらもまた何らかの根拠を示す中で、何らかの根拠を設定する中で論理的に考えていく、論理的に述べていくというような部分をもっと重視しないといけないのではないか。それについては、ありとあらゆる教科や活動によってまた支えられていくということで、特にこれからの社会を生きていく若い人たちにきちっとものを受け取って、それについて考えて、そして自分なりの考えをまとめて表現していって、またやりとりをしていくという力をつけることの根本的な科目になるということで、国語についてはこういう表記になっているのではないかというふうに思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。ちょっと私もいろいろと見ていまして、私の意見を忘れるといけませんので、43ページの下のほうに、「なお、総合的な学習の時間については、引き続きこれらの課題解決型の学習や探究活動、体験的な活動を通して『生きる力』をはぐくむための重要な時間であると考える」、これが今はっと思ったら、若干ミスリーディングといいますか、誤解を招くといかんなという、ほかの教科でも全部生きる力をはぐくまないといけないですね。今回の学習指導要領は、全部、朝の登校から下校までのすべての活動を通じて、何か、総合的な学習の時間がそのための特別な意味を持つようにあれされると、ちょっとまずいかなと。
 21ページ、「『生きる力』という理念の共有」というところを見ていただきますと、この辺は10年前に言われた「生きる力」よりもかなり進化した内容です。深まり、そしてどういいますか、いろいろと検討をして、概念的に誤解がないようにということで、いろいろと書いております。
 それから21ページの下のほうに注記もあります。この辺も踏まえて考えると、ちょっと「生きる力」をここで出すのではなくて、どうですか、課題解決型の学習や体験の学習を推進するために重要な時間というのは、「生きる力」という、ここだけで特別出さないほうがいいんじゃないかなという、私はちょっとそういう感想をぱっと見て持ちました。そういうことも含めて、皆さんご意見があればお願いします。

【天笠委員】
 私も、今この文章を拝見していて、総合的な学習の時間というところが気になっておりました。高等学校における総合的な学習の時間の実態というのは、かなりてこ入れをしなくちゃいけないとか、中身的なこと等々を含めて改善を図っていかなくちゃいけないんじゃないかと、そういう認識を持っております。そういう点からしたときには、今ご指摘の文章というのは、私は総合的な学習の時間というのはここの指摘でもあります、教科横断にかかわる課題の受け皿というんでしょうか、主として大きな受け皿になるという役割を総合的な学習の時間というのは本来的に果たすべきではないか、そこの具体的な中身として、探究活動ですとか課題解決型の学習ということであって、このままですと、教科横断の云々という文言を加えるということがあってもいいんではないかと、そういうふうに思いました。
 そういう点で、この最後の文章なんですけれども、「時数等で弾力的な取扱いを検討することが適当である」という言い回しということが果たして適当であるのかどうなのか、しっかりと時間を確保して、中身的なことや何かもレベルアップを図るという観点からこの時間の充実を図るというふうなことをもうちょっと鮮明に打ち出しても私はよろしいんじゃないかなというふうに思いました。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。ほかに、いかがでしょう。荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 今、天笠委員がおっしゃったことに大変賛成です。少なくともこの「なお」以下の2つの文は順番がひっくり返っているんじゃないかなということを思います。週30時間という標準の週当たりの授業時数がある中で工夫をしていく、その際に増やすものもある、ある部分は教科の学習の中で分担できる。よって、総合的な学習の時間については柔軟化を図るということなんだろうと思うんですけれども、これは一方では、実際に高等学校の現状からしますと、総合的な学習の時間の減を認めましょうということですね。ですから、それについては大賛成という学校がたくさんあると思うんです。
 しかし、総合的な学習の時間というのは、これは本当にやるのは大変なことであるんですけれども、ちょっときれい事を言うようですが、前回か前々回も申し上げたかと思うんですけれども、実はこれまで教科の枠の中に入っていた各教科の教員が、具体的に自分たちの授業を見直したりとか、それらの教科の指導を通してどういう生徒を育てていこうとしているのかというのを考えるにあたっては非常に有効な科目である、「科目」というか、学習活動であるはずなんですね。ですから、総合的な学習の時間については私は大賛成で、減らす気も全くありませんし、そのままやっていきたいと思っておりますけれども、しかし課題がないわけではない、いっぱい課題はあります。でも、この総合的な学習の時間が、実は現状に引っ張られて、やっぱり少し減ったんだというのは、これは現場からすると思いが届いたというので喜びがある反面、しかし実は、それで本当にいいのかなというふうに思います。
 だから、減らさざるを得ないというのはあると思うんですけれども、書きぶりの工夫といいますか、これがとても大事なものなんだということをぜひ強調されるような形でお願いをしたいなということを思います。教育課程というのはあくまでも枠組みであって、実際に現場で行っているのは何かといいますと、その枠組みに基づいた取組であるというふうに思います。その取組が実は問われているところが大いにあって、枠組みが変わっていく中で取組がどのように変わっていくのかというのが大事ですから、取組がよりレベルアップするような形での枠組みの表記というのが求められるというふうに思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それでは、まだここを続行しますけれども、専門高校での職業教育、これも高校教育の非常に重要なことでありますので、この部分につきまして、安藤参事官からご説明をお願いした上で、今の専門高校の問題も含めて皆さんにご意見をいただきたいと思います。
 それでは、安藤参事官、お願いいたします。

【安藤参事官】
 参事官の安藤でございます。私のほうからは、産業教育専門部会の議論の状況をご報告させていただきたいと思います。
 専門教育における職業教育、専門高校における職業教育ということで、お手元の資料104ページ13、(ア)を中心にご説明させていただきます。更に、お手元に配付されております資料6というのが先週、専門部会において議論のために供された資料でございます。
 それでは、資料2-1、104ページのほうでご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、専門高校でございます、欄外の1に、注書きでございますけれども、農業をはじめといたしまして8分野で構成をされております。そして、専門高校ですので、全高校生の約20パーセント程度の学生がこの高校で学習をしているという状況でございます。
 まず、「改善の基本方針」でございますけれども、○の1つ目は、専門高校が引き続き重要な役割を果たすことが求められているということ。そして、○の2つ目ですけれども、専門高校における職業に関する各教科・科目につきまして、まずその課題認識といたしまして、これも欄外にございます*2でございますけれども、経済のグローバル化等々の情勢変化に伴いまして、社会や企業が専門高校に対する期待、そして専門高校の生徒に求める資質・能力が変化をしてきているといったこと、そして、高校の生徒自身の意識の変化ですとか、進路の多様化という状況もある中で、より明確な目的意識を持った進路選択を促進するということが課題であるという認識でございます。この課題を踏まえ、かつ教育基本法の職業に関する規程等を踏まえまして、○の2つ目に書いてございますように、基礎的・基本的な知識、技術、技能を身に付けるための教育だけではなく、社会に生き、社会的責任を担う職業人としての規範意識、倫理観等を醸成し、豊かな人間性の涵養等にも配慮した教育指導を行うことが重要である。この考え方の下に、各教科の科目構成、内容の改善を図るといったものでございます。
 なお、専門部会におきましては、この課題認識といたしまして、もう少し学校現場の課題といったことで、より具体的な課題を明記できないかといった議論もございまして、若干今後、修正等が入る可能性がございます。
 3つ目の○でございます。特に、就業体験あるいは実社会や職業等とのかかわりを通じて、職業意識、コミュニケーション能力、適応能力等を高めることを重視し、例えば職業の現場における長期間の実習といった形で、教育活動を充実すべきであるという考え方でございます。
 4つ目の○でございますけれども、これは専門高校に関連をする視点といたしまして、小・中のキャリア教育ですとか、あるいは産業界や大学等との連携あるいは評価の問題、あと各機関等との連携ということで、重要な視点ということで書かせていただいているものでございます。
 次の105ページ、「改善の具体的事項」でございます。まず、横断的なものといたしまして、3つの視点ということで、それぞれ資質・能力の育成ということで、3つの視点に分けて記載をしたものでございます。
 まず1つ目、将来のスペシャリストの育成という観点でございます。このため、必要な専門性の基礎・基本を重視といったこと、そして、基礎的・基本的な知識、技術、技能の定着と、それを下にした実践力の育成という考え方でございます。更に以下は、資格取得、競技会への挑戦といった意欲的な学習を進めるといったこと、あるいは課題を解決し探究する力、適応力、コミュニケーション能力等々、積極性、創造性を育成するというものでございます。
 2つ目の視点でございます。将来の地域産業を担う人材の育成ということでございまして、地域産業や地域社会との連携・交流。あるいは外部人材を活用した事業等の充実といったことで、実践力等を高めていくといったこと、そして、産業や社会への貢献の意識を深めさせるといったことでございます。
 3つ目、第3でございます。人間性豊かな職業人の育成ということで、人・自然・ものとのかかわりを重視した記述でございます。そして、人間性とともにものを大切にする心、規範意識、倫理観の育成といったことでございます。
 4つ目の○は、その他配慮事項ということでございまして、専門高校でございますので、専門性の確保といったところとバランスをとりながら、最近の生徒の意識の変化、多様化に対応するための弾力的な教育課程の編成といったこと、あるいは勤労観・職業観を高めるための教育の重要性といったことを配慮事項として記載したものでございます。
 その上で、先ほども申し上げました8分野の教科・科目についての見直しの内容について、簡単にご説明させていただきたいと思います。なお、これから申し上げます中で、科目の名称について変更があるものがございます。この科目の名称につきましては、専門部会の中でもよりわかりやすい名称とすべきだという議論がございまして、まだ検討が終了していないというところもございますので、この点も今後変更の余地ありということでお聞きいただければと思います。
 まず、「a)農業」でございますけれども、1つ目の○、国際化、情報化、あるいは技術の高度化、安全な食料の安定的供給、そして地球規模での環境保全の必要性の高まりと、こういったことに対応して、科目の新設を含めた再構成をするといった内容でございます。
 106ページをお願いします。まず(ア)ですけれども、教科の目標としては、農業への関心を高めるといったこと、そして、農業と社会の発展が持続的で安定的になされなければならないといった趣旨を明確にするといったものでございます。
 科目構成につきましては、29を30にするといったことでございまして、科目の構成の仕方としては、(ウ)1つ目のポツでございますけれども、環境学習の重要性ということもございまして、「農業科学基礎」と「環境科学基礎」を整理統合して「農業と環境」という科目にするといったこと。そして、4つ目のポツでございますけれども、地球環境における水の循環や生物とのかかわりを含め、水に関して関して一体的に学ばせるため、「水循環」という科目に再構成をするといった内容が主なものでございます。
 次に、「b)工業」でございます。これは、国際情勢の変化等ございますけれども、環境・エネルギー制約の深刻化、あるいは伝統技術の継承といった問題等に対応いたしまして、科目の新設を含めた再構成ということを考えております。
 まず(ア)でございますけれども、環境、エネルギーの配慮の点、そして技術者倫理を身に付けるといったこと、伝統的な技術を理解する実践的な技術者育成といった点でございます。
 107ページでございますけれども、(イ)のところで、60科目を61とするという形での再構成でございます。代表的なものとしましては、(ウ)に書いてございますように、「環境工学基礎」ということで、環境工学に関する基礎的な知識・技術を習得させるということで、新しい科目を検討しているところでございます。
 「c)商業」でございます。サービス化・グローバル化、ICTの進展等々、こういった変化を含めまして、これも科目の新設、再構成でございます。
 (ア)、生徒の進路の多様化といった点への対応ということで、商業の各分野で学習する内容と関連する職業のつながりといったものに配慮をするといったことでございます。具体的には、17科目を20科目にするということで、(ウ)にございますけれども、新設の科目がございます。例えば、顧客満足の視点に立った商品開発といったことで、「商品開発」といった科目の新設。そして、経済理論としてのミクロ・マクロ経済学の基礎的な知識といったことで、「ビジネス経済1」といったもの、あるいは経営管理に必要な情報を活用して意思決定する知識と技術の習得ということで、「管理会計」といったものの新設ということを考えてございます。
 そして、次の108ページでございます。(エ)で、例えば外国人とのコミュニケーション能力をビジネスでの活用ということで、「ビジネス・コミュニケーション」に再構成をするといったことがございます。
 「d)水産」でございます。水産につきましては、水産資源管理や水産物の安定的供給の必要性が高まり、海洋環境の保全、海洋の多面的活用についての関心の高まりといったことも踏まえまして、科目の新設を含めた再構成でございます。
 目標につきましては、水産・海洋資源の持続的・有効的利用といったこと等の趣旨を明確にすると。20科目を22科目にするといったことでございます。新設の科目は109ページの上に書いてあるものでございます。
 ちょっと簡潔にご説明をさせていただきたいと思います。「e)家庭」でございます。家庭はライフスタイルの多様化、食育の推進といった社会要請に対応する。そして、生活産業への消費者ニーズの的確な把握等々のための科目の新設を含めた再構成でございます。
 目標につきましては、衣食住、ヒューマンサービスといった生活産業の分野での資質・能力。そして生活文化の伝承といった点で110ページ、19科目を20科目とするという内容でございます。
 科目の再構成につきましては(ウ)下のほうで「ファッション造形基礎」、そして「ファッション造形」といったことで、デザインや着用についての、被服関係のものでございますけれども、そういった科目を新たに再構成してつくるということでございます。
 「f)看護」でございます。看護は看護倫理・コミュニケーション能力・人権を尊重する態度、こういった人間性を身に付けた人材育成といった点での見直しでございます。科目構成は6から13にするといった内容で、大きく見直しをしてございますけれども、特に111ページの冒頭でございますけれども、看護に関する科目で学習した内容を臨床で実際に活用していくことができるといった意味での知識・技術を統合する、これをねらいとした「看護の統合と実践」の科目の新設がございます。
 その他、それぞれ現行の科目の見直しをいたしまして、(エ)に書いたような形で再構成をさせていただきたいと思っております。
 そして、「g)情報」でございます。情報産業の構造の変化、そして産業が求める人材の多様化、細分化、高度化への対応といった点でございます。したがって、(ア)にございますように、応用的・発展的な知識・技術・職業倫理を身に付けた人材の育成ということで、11科目を13科目というふうに考えております。
 新設の科目でございますが、下のほう、「マイニングとソリューリョン」、「情報テクノロジー」等を考えてございます。
 112ページでございます。情報についても整理統合、あるいは再構成といったことでそこに書いてあることで、内容の変更を考えてございます。特に一番下の「マルチメディアの表現」を変えて、情報コンテンツ、知的財産への配慮といったことをねらいとしたことで、こういった再構成も考えてございます。
 「h)福祉」でございます。福祉は地域における自立支援への志向、そして福祉ニーズの多様化といったことで、科目の新設、再構成でございます。現行の7科目を9科目とするということで考えております。
 113ページでございますが、新設、例えば「生活援助技術」ということで、自立に向けたいろいろな介護の状態がございますけれども、状態別の介護といったことで、必要な知識・技術を習得。そして、「介護過程」ということで、いろいろな介護サービスの提供ができるような能力を育成、これをねらいとしております。その他、(エ)(オ)に書いてございますような再構成を考えております。
 なお、(カ)にございますように、社会福祉士、介護福祉士法の改正ということで、これに対応した内容にするといったことが今回の見直しの内容になってまいりますので、今この法案は国会で審議中でございますので、引き続きその状況も踏まえながら対応をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。専門高校のカリキュラムの改革につきましては、極めて多岐にわたっております。今ここで一つずつ見ていただくというのは無理な面もございます。ということで、これは皆さん、ちょっとお帰りになりましてから目を通していただきまして、お気づきの点は、先ほどから申し上げておりますように、事務局に10月1日までにお送りいただけたらと思います。
 ここでは、専門学校全体のことにつきまして、あるいは、先ほどから出ています高等学校教育全体のことにつきましてご意見を出していただければと思います。では、梅田先生。

【梅田委員】
 今、専門高校のことで気になったことがあるんですが、やはりここの段階は子どもが一番夢に近づく段階でありますから、基本方針の中に「夢が成就できるような指導」とか、そういったような文言を入れていただけるとありがたいなと。
 それに関連して、先ほどの理科のことなんですが、持続可能な社会を実現するにはやはり科学技術の力によるところが大きいというようなことですが、しかしながら、子どもの理科離れといいますか、職業も離れていく、興味もわかない。なぜかなと思いますと、やはり夢です。最初は、単純にあこがれです。実験等をやって、本当に素朴なあこがれです。その前には興味ですね。興味がわいて、それから単純なあこがれになって、それが夢に発展していくというような、熟成されていくということが必要だと思いますので、やはり基本方針の中にも夢が持てるような指導が必要であるというような文言を入れていただけるとありがたいなと。
 それには、具体的な方法として条件整備です。場所とか実験ができるものとか、ちょっときつい言い方になるかもしれませんが、先生の情熱も入れた条件整備というのが必要かなということも少し入れていただけるといいのかなというふうに、素人ですが、思いました。よろしくお願いします。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。井上先生、次に渡久山先生。

【井上委員】
 専門学科における専門教育の充実というのは、これは非常に高校教育の中で重要な課題ですし、特に高校段階における職業教育の充実、実際に高校を出て職業につく場合に、実践的な職業能力を高めるという意味でも非常に重要な役割を果たしていると思うわけでございます。その中で、教科横断的な事項にあるような将来のスペシャリストの育成とか、あるいは地域産業を担う人材の育成という点は非常に職業教育、専門学科を考えた場合に重要な視点だというふうに理解しているわけでございますが、具体的に各8分野の実際の教科内容の改善のところで気になりますのは、専門学科を25単位以上としながら、科目数がそれぞれの分野で皆増えているというのが非常に気になりまして、ある意味で25単位を変えないのであれば、それぞれの分野で科目の内容を整理統合するなり、そういうことをしないと、科目数を単に増やすと何を生徒に選択させるかというのが非常にわからない。だから、これらについて、私も実は専門部会に聞いていてその点が非常に気になった。内容も非常に高度化を図るという方向で議論が行われていたわけで、やはり高等学校の職業教育にふさわしい内容であり、程度でなければいけないんじゃないかというように思いますので、その点についてはなお専門部会で、これらについては十分ご議論いただきたいということをお願いしたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。じゃ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 高等学校は、1つは、今の現状は、大学の予備校になっているという実態です。もう一つは、資格取得のためのだけのものとなっていて、実際にそのためには通信教育だけではなくて、いろいろな形でレポートも自分で書かないのをちゃんと下請けをしてくれる学校があるという状況です。
 それを考えていきますと、やっぱり後期中等教育の在り方というのが本当は抜本的に問われなくちゃならないんだろうと思います。今のままでいいのか、多様化していっているのと、あるいはまた受験の予備校化している実態と。それが教科にも反映して、未履修教科なんかが出てくるところは、何かというと大学受験のための学校になっているからだと思うんです。ですからそれをもう一度問い直して再編するという形が今は非常に大事だと思うんです。
 その際に、今の高専の問題です。これは僕は、逆に高等学校の職業高校がありますが、それは基本的に廃止をして、高専で全部フォローするという感じのものがあってもいいんじゃないかと。ということは、職業高校を出ても必ずしも使い物にならんと。例えば工業なんかですとあれですね。それよりは普通高校を出てきた者を使って、逆にそのほうが会社としては使えるというような感じのところも出ていますので、これも含めて、高等学校における職業教育の在り方というのを考えるべきときが来ているなと。ただ、その際に、やっぱり普通高校と職業高校あるいは高専といって、複線化していきますね。複線化していったときに、日本の学生としてはそれで学校制度としていいかどうか。高専に行っても大学受験というのはもちろんできるわけですけれども、これが不利にならないような状況がつくれるかどうかという問題等を含めて、後期中等教育の在り方というのを考えていかないといけないだろうと。
 ただ、一等最初に教育課程でも非常に幅広く議論をしていったけれども、結局収れんしていくところは現状維持みたいな感じになっちゃって、これは僕は非常に、そういう面では少し残念だなとは思うんですが、やはりちょっと、きちっとしたところでもっと根本的な議論をしていかなくちゃいけないだろうと。今の高等学校が一番問題点を抱えているような気がいたします。
 それで一つは、小・中の連携が出てきますね。それから、中高一貫というのが出てきます。そうしますと、やっぱり高等学校まで九十七、八パーセントの子どもたちが高校まで進学するわけですから、そうなってくると、そういうことを見越してカリキュラムの在り方をきちっとしていって、いろいろ議論が出てきたように、高等学校へ行くと学問的になり過ぎているとか、断絶が出てきて必ずしも連続性がうまくいっていないと。教科の関係でも、制度の関係でもそういうことが言われているわけです。
 例えば、一番制度の問題で気になるのは、高校を全都道府県一区にしていますね。そうすると、やっぱりだんだん選択が広がっていったかもしれませんが、非常に無理をした選択が出てきて、別な意味での多様化に拍車をかけてきている。後期中等教育のための高等学校だったはずなんだけれども、それがそうではなくなってきているという実態もあるわけです。そうすると、もっともっと地域の中学と高等学校とのつながり、あるいは地域の小学校や中学とのつながり、そういうことを考えていかなければ、よくここで学校・家庭・地域と出てきますけれども、選択制をとった小学校や中学校、特に中学校はほとんど地域性がなくなっていっているわけです。高等学校の場合はますます地域性がなくなっている。ただ、せいぜいできていくのは離島だとか何とかというところだけで地域性が出てきているということもありますと、それは将来、実社会とかあるいは実生活との関係でということになってくると、全く学校教育が地域から切り離された形になっていっていないだろうか。特に後期中等教育についてはそういうことが何とも感じられるものですから、抜本的な検討は、私は必要だと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。大体時間が来ましたので、最後に荒瀬先生、お願いします。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。今、渡久山委員がおっしゃいました、後期中等教育としての高等学校教育をどうするのか、あるいは、高等教育を本当にどうするのかということについては、時間を掛けてしっかりと考えていかなければならないと思っています。高等学校教育は相当矛盾を来していまして、そういう点では、おっしゃっていらっしゃることについて、私も少し言いたいこともありますが、時間の関係で今日は申しませんけれども、賛成する部分と少し考え方が違う部分があるかもしれないなと思いながら伺っておりました。
 1点、実は高等学校部会で、これは高等学校部会のメンバーの方から出ていたお話なんですけれども、10年改訂の学習指導要領で、先ほど科目数が増えたんじゃないかというお話もありましたけれども、どんどんこの社会の動きに応じた形で新しい科目が入っていったりだとかいたしますけれども、実は一たん決まった内容が、時代のほうがといいますか、社会のほう、産業界のほうがどんどんと進んでいってしまったために、学校で必履修とされているような専門科目が、あるいはせっかく置かれている専門科目が時代に即さないというふうなことが起こっているようなご指摘がありました。したがいまして、せっかく専門高校に学んで、そこで学んだ内容でもって社会に生きていこうとする高校生たちに、実社会に即したような形の内容が取り入れることができるような対応というのをぜひまたお考えいただければと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。今日はこのあたりにしたいと思いますが、今、渡久山先生、荒瀬先生からもご指摘がありましたように、まだ高等学校の問題につきましては詰まっていない部分がかなりあるだろうと思います。しかしありがたいことに、学習指導要領は幼・小・中と順番に新しく完全実施をしていく運びになると思います。高等学校は最後ですから、少し時間的に余裕がありますので、もちろん中間まとめでもある原理原則的なものは出さなきゃいけないとは思いますけれども、少しオープンなものも残してというふうに思っております。
 しかしいずれにせよ、ほぼ同年齢層の全員が高校に行くようになったにもかかわらず、どこかまだ高校に3割、4割しか行かなかったときのしっぽを引きずっているなという感じがなきにしもあらずでございますので、そういうことを含めて、専門高校も含めた高等学校の問題をなおこの場でも、また関係の専門部会でも論議を深めていただくというふうにお願いをしたいと思います。
 それでは、何度も申し上げてきましたけれども、本日皆さんが言い足りなかったことは本当にいっぱいあると思いますので、それを10月1日までに、郵送でもメールでもファクスでも結構ですので、事務局までよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、今後の日程につきまして、事務局からお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 本日も大変長い間にわたりましてご審議をいただきまして、ありがとうございました。教育課程部会の次回日程でございますが、来週10月5日金曜日、10時から12時で、丸の内東京會舘での開催を予定をいたしてございます。
 次回の部会では、これまで相当なご審議をこの教育課程部会で積み上げていただきましたが、まだ教育課程部会でご審議いただいていない教科等につきましてご審議をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 また、先ほど部会長からお話がございましたように、ペーパー等によるご意見をこれまでにもいただいておりまして、整理に反映をさせていただいておりますけれども、いただきたいというふうに思っております。大変恐縮でございますが、来週10月1日月曜日までをめどに、ファクス、メール、郵送等においていただければありがたいと思っております。
 本日はどうも、長い間ありがとうございました。

【梶田部会長】
 どうも皆さん、本当にありがとうございました。本日はこれで閉会したいと思います。ご苦労さまでした。

─了─

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