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教育課程部会(第62回) 議事録

1.日時

平成19年9月10日(月曜日) 13時~16時

2.場所

グランドアーク半蔵門 3階「華」

3.議題

  1. 教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

 梶田部会長、木村副部会長、田村副部会長、安彦委員、天笠委員、荒瀬委員、市川委員、井上委員、宇佐美委員、梅田委員、衞藤委員、陰山委員、加藤委員、草野委員、甲田委員、角田委員、土井委員、渡久山委員、中村委員、無藤委員

文部科学省

 玉井文部科学審議官、坂田官房長、加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、合田総括審議官、藤島政策評価審議官、布村審議官、前川審議官、田中審議官、石野スポーツ・青少年総括官、鬼澤企画・体育課長、高橋教育課程課長、永山特別支援教育課長、田河幼児教育課長、安藤参事官、作花学校健康教育課長、合田教育課程企画室長、神山専門官、石塚学校教育官、田中主任視学官
国立教育政策研究所
 大槻教育課程研究センター長

オブザーバー

 鳥居顧問

5.議事録

【梶田部会長】
 それでは定刻となりましたので、ただ今より第4期第9回教育課程部会を開会いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、いよいよ各専門部会で議論してこられたものを、この親部会と言いますか、教育課程部会で議論していきたいと思います。いろいろと各論に入ってまいります。それで、今日は3時間の審議を予定しております。頑張りどころだと思いますので、長時間の審議となりますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 お忙しい中、ご参集を賜りまして、誠にありがとうございます。資料の確認を申し上げます。
 お手元の封筒、資料といたしまして、1枚ものの議事次第。
 資料1といたしまして、本部会の先生方の名簿。
 資料2でございます。資料2、1ページ目、目次として「6.教育課程の基本的な枠組み」以降、大きな枠組みを入れさせていただいておりますが、これが本日ご議論いただくところでございます。1.から5.それから9.10.につきましては、前々回、前回と総論ということでご議論いただいたところでございます。これにつきましては、大変恐縮でございますが、例えば、最後のページ、65ページの下から2つ目の○にございますように、前回の加藤先生のご意見などを踏まえまして「(1)で示した職場体験活動の実施には、企業等の協力が欠かせないほか」といったように、前回のご議論を踏まえて総論も修正させていただいておりますが、本日は6.以降の各論についてご議論いただくということで資料をご用意させていただいております。
 資料3-1でございます。体育科・保健体育科の検討素案。
 資料3-2、食育、安全教育、性に関する指導に関する検討素案。
 資料3-3、その関連資料。
 資料4-1、音楽科、芸術科(音楽)に関する検討素案。
 資料4-2、図画工作、美術科、芸術科(美術、工芸)の検討素案。
 資料4-3、芸術科(書道)の検討素案。
 資料5-1、幼稚園教育に関する検討素案。
 資料5-2、改正前後の学校教育法の比較、幼稚園関係の抜粋でございます。
 資料5-3、幼稚園教育に関する関連資料。
 資料6-1、小学校の教育課程の枠組みの改善についての検討素案。
 資料6-2、小学校英語に関する資料。
 資料6-3、小学校教育に関する関連資料でございます。
 不足等ございましたら、お申し付けいただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 前々回、そして前回ですね、前回は初等中等教育分科会との合同会議だったわけですが、2回にわたりまして木村先生に素案として整理いただきました教育課程部会の審議の概要の、いわば総論部分につきまして、皆さんからご意見をいただきました。その際、各論に当たる部分はブランクになっていたわけですけれども、この各論に当たる部分につきましては各専門部会で精力的に審議を進めていただいて、今日、皆さんのお手元に出ておりますように議論の整理ができてきつつあります。本日は、各専門部会で審議していただいた、あるいは専門部会としてまとめていただいたことを、資料2にあります「教育課程部会におけるこれまでの審議の概要」の6.以降のところにどう組み込むかということで、書き込んである素案をもとに審議をお願いしたいと思っております。
 今日は4つの専門部会、部会の審議の整理を各論部分にこう入れてはどうかということで、皆さんにご議論いただきたいと思いますけれども、まず第1が健やかな体をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会。体育と保健体育ですね。2番目が芸術専門部会、これは音楽、美術、図工などが入ります。3番目が幼稚園教育専門部会、4番目が小学校部会と、こういうふうになっております。これまで木村先生に本当にお骨折りいただいた、「審議の概要」の総論部分、これを念頭に置いていただきながら、これを土台にしながら、各論の方の、本日は4つの部分につきまして、ご審議をいただきたいと思います。
 およその目安としまして、保健体育と芸術、これをそれぞれ30分、それから幼稚園教育について1時間、若干の休憩を挟みまして小学校教育について1時間という時間をとっております。これで合わせて3時間であります。
 それでは、まず最初に、健やかな体をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会、具体的には「体育科・保健体育科の現状と課題、改善の方向性」、それから「食育、安全教育、性に関する指導の現状と課題、改善の方向性」について審議を進めてきていただいておりますので、そのポイントを資料2の概要の中に入れてありますが、どう入れたかということを中心に、鬼澤企画・体育課長より、該当部分のご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【鬼澤企画・体育課長】
 企画・体育課長でございます。健やかな体をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会の取りまとめについて、ご説明させていただきます。
 資料2の39ページをお開きいただきたいと思います。教科等を横断して取り組むべき課題への対応として、食育等を取り上げてございます。
 まず、食育でございますが、近年、子どもたちに偏った栄養摂取、あるいは朝食欠食、肥満傾向の増大等が挙げられると。子どもたちの生活や学習の基盤としての食に関する指導の充実が求められているということ。そのために、○を1つ飛びまして、食育という概念を明確に位置付けまして、発達段階を踏まえつつ各学年を通して一貫した取組を推進するとともに、関連する教科等において食に関する指導の内容の充実を図ることが重要であること、更に学校教育活動全体として取り組み、家庭、地域と連携を図ることも重要であると取りまとめてございます。
 その次の安全教育につきましては、近年、子どもが被害者になる痛ましい事件・事故が発生しているということで、いろいろな安全・安心に対する懸念が広まっていると。そのため、身の回りの生活の安全、交通安全、災害に対する安全教育の充実が課題となっていること。次のページ、40ページにまいりまして、このため、発達の段階を踏まえつつ、家庭、地域と連携を図りながら、学校教育活動全体で安全教育を推進する必要があるとしてございます。
 最後に、心身の成長発達についての正しい理解といたしましては、近年、子どもたちを取り巻く社会環境が大きく変化していると。それに対して、子どもたちが性に関して適切に理解し、行動することができるということが課題になっていること、また、若年層のエイズ及び性感染症や人工妊娠中絶も問題になっているということを踏まえまして、学校全体で共通理解を図りつつ、発達段階を踏まえて指導することが重要であるとしております。また、保護者や地域の理解を得ること、集団指導と個別指導の連携を密にして効果的に行うことが重要であるという取りまとめでございます。
 次に、53ページに飛びますが、体育、保健体育の改善についてのまとめでございます。
 改善の基本方針ですが、体育、保健体育全体としては、生涯にわたって健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現することを重視し改善を図ることとしてございます。まず、体育につきまして、2つ目の○ですが、体を動かすことが情緒面や知的な発達を促したり、コミュニケーション能力を育成したりすることにも資することを踏まえまして、基礎的な身体能力や知識を身に付け、生涯にわたって運動に親しむことができるよう、発達の段階のまとまりを考慮し、指導内容を整理し体系化を図ると。また、武道については、我が国固有の伝統と文化に、より一層触れることができるよう、指導の在り方を改善するとしてございます。次に、保健につきましては、生涯を通じて自らの健康を適切に管理し改善していく資質や能力を育成するため、一層の内容の改善を図るとしてございます。
 54ページにまいりまして、改善の具体的事項につきましてポイントを絞って説明させていただきます。
 小学校の具体的事項といたしましては、(ア)の運動領域については、体力の低下、あるいは運動する子どもとそうでない子どもの二極化、こういったことを踏まえまして、「体つくり運動」について現在高学年で示しているものを低学年から示すこととし、低学年と中学年の領域構成を資料に記載のとおりに構成させていただいてございます。(イ)につきましては、最後のところですが、「体つくり運動」以外のすべての指導内容について、低・中・高学年それぞれの2学年のいずれかの学年で取り上げ、指導できるように弾力化するということでございます。(ウ)の「体つくり運動」につきましては、すべての学年において、発達段階に応じた内容を指導するとしてございます。(エ)の保健領域につきましては、けがの防止としての生活の安全に関する内容を取り上げ、体の発育・発達について、発達段階を踏まえて指導の在り方を改善するとしてございます。
 55ページでございます。中学校の具体的事項でございますが、まず(ア)ですが、これは先般、中学校第1学年、第2学年の必修化につきまして、他の運動領域と同様、武道についても取り扱うということで報道があった点でございますが、体育分野につきましては、小学校高学年からの接続及び発達段階のまとまりを踏まえ、目標及び内容を「第1学年及び第2学年」と「第3学年」に分けて示すことといたしまして、また、多くの領域を学習して、その体験をもとに自らが更に探求したい運動を選択できるようにするという観点から、第1学年と第2学年においてすべての領域を履修させ、第3学年から選択を開始するという形で考えたものでございます。球技につきましては、(ア)の後段のところになりますが、現在、サッカー、バレーボール等の種目で示しているものを、ゴール型、ネット型、ベースボール型に分類して示すという形の取りまとめでございます。また、(ウ)の「体つくり運動」、(エ)の知識に関する領域につきましては、取り扱う時間数の目安を示すこととしてございます。56ページに、保健分野について記載がございますが、個人生活における健康・安全に関する内容を重視する観点から、医薬品に関する内容を取り上げるなどの改善を図るとしてございます。
 高等学校の具体的事項につきましては、まず体育につきましては、卒業後、少なくとも1つの運動やスポーツを継続することができるようにするため、第1学年において中学校第3学年との接続を踏まえながら、中学校第3学年と同様のまとまりから選択して履修できるようにしてございます。また、第2学年及び第3学年におきましては「体つくり運動」及び知識に関する領域を履修させるととも共に、それ以外の領域から幅広く選択して履修することができるようにするというまとめでございます。(エ)の知識に関する領域については、取り扱う時間数の目安を示すというまとめでございます。57ページ、科目「保健」でございますが、個人生活、社会生活における健康・安全に関する内容を重視する観点から、指導内容を改善するとし、その際、内容の配列を再構成し、医薬品に関する内容について改善するとしてございます。
 なお、専門部会としての報告は、資料3-1、3-2として配付させていただいております。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 今、ご説明いただきましたように、39ページ、40ページ、ここに食育、安全教育、性に関する指導のことが書かれております。そして、53ページから57ページにかけて体育、保健体育のことが書かれております。この両方の部分につきまして皆さんからご意見いただきたいと思います。あるいはご質問も含めていただきたいと思います。
 いかがでしょうか。中村先生。

【中村委員】
 前半の食育と安全教育にかかわる部分ですけれども、食育というのは小学校よりも前、もう幼児期から始まっているわけでして、前回議論した総論で、家庭との連携あるいは企業に望むことという中に食育だとか安全教育の部分がありませんので、その部分に入れるのか、あるいはこの39ページに入れるのか、家庭こそが食育の基本であるということを謳っておいていただかないと、食育さえも、すべて学校の責任だということにもなりかねませんので、どこかで必ず家庭が第一だということを是非謳っていただきたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 角田先生。

【角田委員】
 今の中村先生のお話、もっともだと思います。学校の給食というのは、朝食・昼食・夕食のうち3分の1ではありますけれども、年間通して365分の200日ということになると、大体5分の1ぐらいなんです。ですから、やっぱり基本は5分の4、家庭、地域で賄っていくわけですから、食育が非常に重要であるということは、これはもう共通認識なわけですけれども、家庭や地域社会との連携、特に家庭の重要性を謳っていただきたいと思います。そういう中で、今度、食育を学校で重要視する場合に、現在の学校給食の時間というのは、大体50分程度なんです。これは準備が15分ぐらい、それから食べるのに20分ないし25分、後片付け10分となっているわけですが、食育の指導というのは、おそらくこの給食の時間にするのだろうと思うと、これを充実するということになれば給食の時間を延長する、少なくとも5分ぐらいやらなきゃいけないということが出てくるのかもしれない。その辺のところを具体的にどうするのかという問題があるだろうと思います。本来ですと、教員の休憩時間というのは、昼休みがあるわけですけれども、実際にはとれないような状況になっているわけですから、労働基準法の問題からも、これをクリアすることはなかなか難しい部分があるだろうと思いながら、食育を重視していくのであれば、私は、給食を教室で食べるということじゃなしに、やっぱり全校が入るランチルームをつくるとか、あるいはせめて学年入れるランチルームをつくるというようなことをしていかないと、そういう条件整備というか施設整備も含めてしていかなければ、なかなか学校の中での充実が図れないのではないかと思いますので、ひとつ、その辺についてもご検討いただきたいと思います。
 食育についてだけです。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
陰山先生。

【陰山委員】
 ありがとうございます。
 今、保健の部分で、食育について大変多く触れられているんですけれども、食育と並んで、もう1つ言われているんだけれども、実は教育課程に盛り込まれていないのが睡眠の問題だろうと思うんです。生活習慣の乱れと言った場合に、食事の問題もさることながら、今の日本の子どもたちの睡眠は世界一短いのではないかというようなことが指摘されているわけですから、科学的にどこまで分析されているかということは私も知りませんけれども、かなりそのような分析も進んでいると思いますので、どこかに睡眠の項を入れておいていただいて、どこかで教科書でも触れられるようにしていただければと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 前回でしたか、前々回でしたか、中村委員の方から、社会に望むことということで、特に40ページにあります「心身の成長発達についての正しい理解」というところで、その前のページの「食育」、「安全教育」もそうですが、すべて、書き方が、学校が地域や家庭の理解を得ていくんだということなんですけれども、学校教育ができる範囲というのは皆さんご指摘のように非常に限られているわけでして、むしろ今回、教育基本法や学校教育法が改正された経過からしても、もっと家庭に対して、地域という社会に対してアピールするような形にしていかないといけないのではないかと思います。特に、小学生や中学生たちがどんな情報の中に生きているかということを考えますと、とんでもない状況があると思うんです。もちろん表現の自由との兼ね合いは非常に重要ですが、しかしながら、例えば私が子どものころに親から見てはいけないと言われたような本と、今、コンビニに行けばずらりと並んでいる本は全く違うわけでして、それ自体がどうなのかというのは十分に考えなければならないと思うんですけれども、これですと、学校が様々なところからの影響にさらされながら、子どもたちの健全な発達を守りつつ、しかも家庭や地域に対してどんどんとお願いをして、何とか分かってくださいと言っているようなスタンスのように思えてなりません。それは後の方の小学校の体育ですとか、中学校、高等学校の保健体育ですとか、そういったところとは自ずとスタンスが違っていて当たり前で、後の方は学校としてこういうことをしますというわけなんですけれども、この前方については本来はどこが行うべき教育なのかということが明確にならないといけないのではないかということを思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 無藤先生。

【無藤委員】
 同じ教科等を横断して取り組むべき課題というところです。これらは非常に重要で、学校にも一定程度は責任があるので、こういう書き方で結構だと思っているんですけれども、よく分からないのは、特定の教科とか領域にしっかり入る種類のものはいいと思いますけれど、それ以外のものとか、あるいは様々なところにぱらぱらと入るようなものとして学習指導要領上、統合的に見るところに書き込むべきものなのか、そうでないのかということで、例えば総則に入れて統括的に見るような視点を提供するという話なのか、そうではないのかということとか、もう1つ、やはり分からないのは、学校でいうところの教育課程にどこまで入る話なのかということです。例えば給食の時間は食に関する指導の重要な機会になる。それは実際なっていると思いますけれども、どこまで教育課程と呼ばれるものになるのか、ならないのか。そういったことで、私は全然こういうのを入れることに反対しているわけじゃなくて、整理が要るんではないかという感じがいたしました。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 どうぞ、じゃあ、天笠先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。
 「教科を横断して取り組むべき課題への対応」ということで、今日3つ、「食育」と「安全教育」、「心身の成長発達についての正しい理解」が出てきたわけなんですけれども、私もここのところは大変大切なところだと思っております。そう考えたときに、このほかに「キャリア教育」とか「環境教育」とか今後も出てくるようなんですけれども、そういった教科を横断した課題が6点というのは、何故この6点なのかをもう少し記述した方がよろしいのかなと思っております。羅列的に6点出ているというよりも、それぞれ相互に関連があって、そして前の方の思考力・判断力・表現力等の育成等々につながっていくというような、そういう道筋でもう少し整理して組み立てた方がよろしいんじゃないかと思います。そういう点では、食育とか安全教育というのがいわゆる生きる力とか確かな学力というものにどう迫っていくのかというところ、全体として目指すところと各論をつないでいく接続の部分をもう少し意識されて書き込む必要性が、食育についても安全教育についてもあるのではないかと思いますし、今後、環境教育、キャリア教育等が出てくる場合も同様にお願いしたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ほかに。じゃあ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 食育といいますか、朝食を欠食する子どもが随分増えているという状況があって、アメリカあたりではブレックファストプログラムといって、わざわざ朝食を学校で出す形をとっていて、というのも1つは朝食を食べないで来た子どもたちは非常に不安定だし遅刻が多いと。それよりは子どもたちの出席率も高いし、安定して子どもたちが学校で勉強できるという意味では、朝食に給食のようなものを考えてもいいんじゃないか。日本でも地域によっては既に実施されているところもあるんですけれども、これはどうだろうかということです。孤食、1人で食事してくる子どもたちも含めて、これは1つの問題点だと思っているんです。
 それから、非常に給食が豊かになってきましたですよね。昔に比べて非常にいい。そして、ここにも書いてありますけど、地域との連携、それよりも地域性といいましょうか、よく地産地消と言われますが、地域の食材を使った給食をもっともっと奨励していってもいいんじゃないか。ある時期は、例えば新米を食べさせるのはどうかという感じで古々米を給食に使うとか、すごく豊かな米の産地なんだけども新米は学校には使えないとか、そういうことがありましたが、だんだん改善されています。
 それと同時に食器の問題ですね。食器の問題も、ある地域では陶磁器等の生産量があるんだけれども、学校ではそういうものを使うと重いだとか、割れるとか、いろいろなことがあって、なかなか使いにくいということもあるんですが、ただ、子どもたちの食生活というのは非常に保守的だそうでございまして、子どものときに食べた味だとか、食材だとか、あるいは食器というのは、その人の生涯にわたってずっと残っていくんだそうです。そういう意味では、日本の今の食糧自給率は非常に低いですね。4割を切っているという状況で、和食を中心にして食事を改善していけば5割を超して6割近くなるというのが、いつかお聞きした服部先生なんかのご意見なんですが、そういうことを考えていきますと、やはり単に学校で子どもたちに食事させているということじゃなくて、もっと豊かな食事にしていく中で、やはり1つの食文化として、あるいは伝統的な食生活の一部という形で見ていけばどうだろうかと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 体育の方もお願いします。甲田先生。

【甲田委員】
 それでは体育の方も少しお話しさせていただきます。質問も含めてあるんですけれども。
 全体的に身体能力あるいは技能、それから領域の系統性を非常に強調したことは非常に評価できるところだと思います。特に小学校において、低学年の基本の運動ということが現行学習指導要領で謳われたわけですけれども、現場としては混乱したまま10年たったと言ってもいいくらいでして、今回、領域の系統性ということが貫かれれば、学校の方も混乱なく、しかも自信をもって進めていくことができるんだろうなと思っております。
 1つ、この中での質問は、専門部会の方では、その基本の運動について、やはり身体能力みたいなことを一切考慮せずに、単にいろんな体の動きをさせるという基本は変わらないのでしょうか。これが1つでございます。
 もう1つは武道の問題です。これは中学校で男女とも必修となっておりますが、武道については小学校の高学年では全く何もないわけでございます。その辺の議論はどう整理されているのかですね。もちろん時間がないので何もかも入れるというわけにいきませんけれど、その辺の議論がどうあって中学校からとなったのか、ちょっとお聞きしたい。
 それにしても武道が必修になるということは、中学校にとっては、それは指導者であれ、施設であれ、大変な変革を迫られるだろうなと思います。これは地教委にとっても、施設設備あるいは指導者を用意するのは相当な負担があるんだろうなと思います。その辺について、これからどういうふうに進めていったらいいのかなと、現場の方では非常に大きな話題になっているところであります。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 では、今2点ご質問がありましたけれども、鬼澤課長からお願いします。

【鬼澤企画・体育課長】
 1つ目の基本の体の動きにつきましては、もちろん様々な動きが体力等の養成と絡み合うということは当然前提とし、一方的に体力が身に付かないということを無視して、いろんな動きをやるということではございませんで、身体能力を身に付けるということが体力と相まってという中で、そのベースになる体つくりの基礎的な動きをやっていくと。それをベースにしながら、できれば体力を培う。それによって更に身体的な操作を行うというような、基本的にはそういう考え方に立っていると理解してございます。無理な指導ということではなく、子どもの個々の状況、発達の状況、あるいは身に付いた操作性の技能の状況、そういうものを踏まえながら指導していくと、そういう考え方と理解してございます。
 それから、武道につきましては、これまで中学校については第1学年からですけれども、ダンスと武道の選択必修という形で始まってございます。今回のご議論の中では、特に教育基本法の改正を踏まえ、体育科の中で、我が国の伝統的な文化を扱う領域としての武道、これについては一層重視するという考え方から武道により触れるということと、それから発達段階において、まず履修した上で選択する能力を身に付ける必要があるという考え方から、第1学年については他の領域と同様必修にすると。このように武道についても領域の1つに位置付けた上で必修にするという考え方でございましたので、特に小学校における領域、指導、履修の成果の上にということよりも、これまでの指導要素の継続性において、どういう形で武道により触れるか、重視するかという議論がなされていったと承知しております。もちろん武道はこれまで選択必修でしたから、今後、一歩進めて少なくとも第1学年については必修にするということで、施設面、例えば武道場について中学校ではまだ5割程度の整備率ということがございます。これをどうするか。あるいは設備面ですね。これについて、当然、学校として用意すべき施設設備については考えていかなきゃいけない、それは課題だと思っております。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 まだ、いろいろとあるとは思います。今の食育、安全教育、心身の成長発達についての正しい理解、それから今の武道の問題を含む体育、保健体育の部分につきまして、まだ、今日初めてご覧になった方もおられると思いますんで、お気づきの点、ご意見を、申し訳ありませんが、できれば今週中ぐらいに事務局までファクス、メール等でお送りいただけませんでしょうか。しっかりと読んでいただかないと、ほかのところとの兼ね合いもありますんで、お願いいたします。
 それから教科を横断した6つのこと、情報教育等々についてはこれから見ていただくわけですが、この意味付け、位置付けについて、無藤先生などからも問題提起がありました。29ページのところに、教育課程の基本的な枠組みとして、例えばこういう言葉を使っているわけです。学校教育活動。学校でやる教育活動の総体があると。それに入れるか入れないか、というところはもう少し明確にしないといけないですけれども、加えて教育課程内の活動と教育課程外の活動という分け方をしております。実は、教育課程内のものにも教科になっていたり領域になっていたりするものがありますので、この辺をもう少しはっきりと書いておいてもらった方がいいんでしょうか。教育課程内と教育課程外は、一応、考え方としては、全員やるのが教育課程内になっていて、一部が任意参加であったり一部が参加する部活動なんかは教育課程外になっておりますが、この辺、29ページあたりも、ちょっと言葉を整理していただければと思います。
 ということで、急ぐようですけれども、今の体育、保健体育、それから関連する食育、安全教育等は1度見ていただいたということにいたしまして、繰り返しますが、お気付きの点はファクス、メール等で事務局に送っていただくことにしまして、次のところに行きたいと思います。
 芸術ですね。音楽、図工、美術、芸術について、どう資料2に組み込んでいくかということで、これは石塚学校教育官からご説明をお願いいたします。

【石塚学校教育官】
 それでは芸術専門部会の取りまとめにつきまして、ご説明いたします。資料2の45ページをご覧ください。
 初めに、小・中学校の音楽科、高等学校の芸術(音楽)についてご説明いたします。
 「(1)改善の基本方針」でございます。最初の○でございますが、感性を働かせて音や音楽を感じ取り、思いや意図をもって表現したり味わって聴いたりする力を育成すること、音楽と生活とのかかわりに関心をもって、生涯にわたり音楽文化に親しむ態度をはぐくむことなどを重視すると。その下の○でございますが、このため、歌唱、器楽、創作、鑑賞ごとに指導内容を示すとともに、小・中学校においては、音楽に関する用語や記号を音楽活動と関連付けながら理解することなど表現と鑑賞に共通する指導内容を共通事項として示すとしております。その下の○でございますが、創作活動は、音楽をつくる楽しさを体験させる観点から、小学校では「音楽づくり」、中・高等学校では「創作」として示すようにするとともに、鑑賞活動は、根拠をもって自分なりに批評することのできるような力の育成を図る。最後の○、2行目からでございますが、我が国の音楽文化に愛着をもつとともに他国の音楽文化を尊重する態度等を養う観点から、我が国や郷土の伝統音楽の指導が一層充実して行われるようにすると、これが改善の基本方針でございます。
 この方針の下、小・中・高等学校ごとの「改善の具体的事項」が、その下にございます。46ページからご覧いただければと思います。
 小学校と中学校につきましては(ア)から(オ)までそれぞれございますが、小学校、中学校ともに、(ア)につきましては、表現領域、鑑賞領域、共通事項で内容を構成すること、及び共通事項の内容について記されております。(イ)でございますが、「音楽づくり」と「創作」の内容、(ウ)は鑑賞の指導の重視、(エ)は伝統音楽の重視、(オ)は音楽と生活とのかかわりについてそれぞれ改善事項を示しておりますので、ご覧いただければと思います。
 続きまして、高等学校の音楽について、ご説明いたします。
 47ページをご覧いただければと思います。
 高等学校の芸術(音楽)につきましては、現行の科目構成と同様、音楽1、2、3の科目といたしまして、それぞれの科目ごとの改善内容を示しております。最初の○にございますように、生徒の個性を生かした創造的な活動を行い、生涯にわたって音楽を愛好する心情を育て、芸術としての音楽を理解し、我が国の伝統音楽を含めた音楽文化についての理解を一層深め尊重する態度を養うこととして、それぞれ改善を図ることとしておるところでございます。
 続きまして、48ページをご覧いただければと思います。
 図画工作科、美術、高等学校の芸術(美術、工芸)について、ご説明いたします。
 「改善の基本方針」の1つ目の○でございます。感性や創造力を働かせて美しさを感じ取り、思考・判断し、表現するなどの造形的な創造活動の基礎的な能力を育てること、生活の中の造形や美術の働き、美術文化に関心をもって、生涯にわたり主体的にかかわっていく態度をはぐくむことなどを重視する。このため、育成する資質や能力と学習内容との関係を明確にするとともに、小学校図画工作科、中学校美術科において領域や項目などを通して共通に働く資質や能力を整理し、共通事項として示す。その下でございますが、創造性をはぐくむ造形体験の充実を図りながら、形や色などによるコミュニケーションを通して、生活や社会と豊かにかかわる態度をはぐくみ、造形や美術の働きを実感させるよう指導を重視する。その下の鑑賞のところ、2行目の下の方でございますが、自分なりの意味や価値をつくり出していくような鑑賞の指導を重視する。最後の○でございますが、我が国の美術や文化に関する指導の一層の充実ということが改善の基本方針でございます。
 この方針の下、小・中・高等学校の改善の具体的事項が、その下に示されておりまして、小学校、中学校につきましては、(ア)から(エ)までがそれぞれございます。小学校、中学校ともに、(ア)は育成する資質や能力と学習内容との関係と共通事項の説明、(イ)は美術と生活とのかかわりについて、(ウ)は鑑賞の指導の重視、(エ)は美術、文化の学習について、それぞれ改善事項を示しているところでございます。
 それでは、高等学校の芸術(美術、工芸)について、ご説明いたします。50ページをご覧いただければと思います。
 高等学校の芸術(美術、工芸)につきましては、現行の科目構成と同様に、美術1、2、3、工芸1、2、3の科目として、それぞれの科目ごとの改善内容を示しているところでございます。全体の方針といたしまして、一番上の○でございますが、生徒の個性を生かした創造的な活動を行い、生涯にわたって美術や工芸を愛好する心情を育て、芸術としての美術や工芸を理解し、美術文化についての理解を一層深め尊重する態度を養うことを重視しまして、それぞれの科目の改善を図っているということでございます。
 各科目ごとの内容につきましては、省略させていただきます。
 続きまして、51ページをご覧いただければと思います。高等学校芸術の書道について、ご説明いたします。
 高等学校の芸術(書道)につきましても、現行の科目構成と同様に、書道1、2、3の科目構成としているところでございます。「改善の基本方針」でございますが、(1)の1つ目の○でございます。中学校国語科の書写との関連を考慮し、書の文化の継承と創造への関心を一層高めるために、書の文化に関する学習の充実を図るということでございます。その下の○でございますが、感じ取る力や思考する力を一層豊かにするため、自分の思いを語り合ったり、自分の価値意識をもって批評したりするなど、自分なりの意味や価値をつくり出していくような鑑賞の指導を重視するということでございます。
 この基本方針の下、各科目ごとの改善内容を示しているところでございますが、時間の関係上、書道1のみご説明させていただきたいと思います。その下の(ア)の書道1のところでございます。「書道1」においては、中学校国語科の書写との関連をより一層明確にする観点から、「漢字仮名交じりの書」の内容の改善を図るとともに、総合的に書道に対する理解を深められるようにする。表現領域については、書の伝統文化としての位置付けからも、篆刻や刻字等の立体に対する視点を重視する。また、鑑賞の学習が充実して行われるようにするということが改善事項でございます。
 駆け足でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、音楽、図工、美術、芸術、全体として芸術分野につきまして、どう小・中・高を組み立てていくか、ご意見、ご質問あれば、お願いしたいと思います。
陰山先生、次、中村先生。

【陰山委員】
 49ページの図工のところの一番上の○で、2行目に「手や体全体の感覚などを働かせながら造形的な創造活動の基礎的な能力を高め」とあって、大変いいことだろうと思うんです。ただ、これに相当するようなものが音楽の方に見当たらないような気がするんです。やはり音楽も基礎的な能力を高めて、例えば何度も笛の練習をするとか、歌う練習をするとかということも非常に素晴らしいことだろうと思うので、一律に高度なことをやるというのは確かに無理かもしれませんが、この図工の書き方に相当するような形で入ればいいなと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、中村先生。

【中村委員】
 特に音楽なんですけれども、個人に注目して感性を磨くとか創造力をたくましくする、それはそれでいいんですけれども、音楽の場合はまさにみんなで歌うという共感ですね。あるいは共同してものをつくり上げる。合唱なんか典型的ですけれども、何かそういう共同してやるということ、あるいはその結果、共同意識が芽生えるのか、あるいは日本人であれば誰でもいつでも歌える曲があるとか、何かそういう集団としての活動面も、是非加えていただきたいなと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。私もそれは本当に大事だなと思って伺っていました。石塚教育官、いかがでしょうか。この辺、合唱・合奏については何か議論がありましたでしょうか。

【石塚学校教育官】
 実は、合唱・合奏につきましては、現行の学習指導要領にも位置付けられて充実を図っているところでございまして、ここについて改めて特段ということで専門部会でのご意見として強く出されたということはございませんでした。

【梶田部会長】
 そうですか。これはどこかで触れておいたらいいかもしれませんね。個人の音楽活動と、今ご指摘のように集団としてやる音楽活動、少し違う部分がありますから、どこかそういう集団としての合唱、合奏という言葉も少し入れておいた方がいいかもしれません。
 ほかにいかがでしょうか。無藤先生と渡久山先生。

【無藤委員】
 今の音楽、図工と、先ほどの体育についても実は同じことを思っているんですけれど、何かというと、ここに出てきているのは学習指導要領の改訂のためですから、当然、教科の中身の改善、それはそれでいいことだと思うんですけど、そもそも学校教育全体の教育課程を考えたときに、その中心が教科教育ですけれども、もう少し広い子どもの成長に学校がかかわっていると思うんです。つまり、体育の話に若干戻りますけど、運動能力が低下しているという場合、確か文部科学省の調査にもありましたように、例えば家庭で運動に親しんでいるとか、クラブ活動、部活動の運動をやっているとか、そういうことと非常に関連があるわけです。そうすると、例えば、今回、体育の時間は多分授業時間が多少増えるとは思いますけれど、時間数を増やして内容を改善することで子どもたちの運動能力の低下を食い止められるという意味で書いてあるのかというと、そこまで体育の先生が責任持てるはずがないと思うんです。それは無理な話ですね。芸術も同じだと思うんです。どこまで芸術教育として、あるいは芸術的な感性の発達について学校が責任をもつのかということを考えたときに、つまり、家庭、地域に託す部分があるわけですから、そちらでも頑張ってねという話が1つは必要だと思うわけです。もう1つは、当然、連携しなきゃいけないと。もう1つは、例えば今の合唱の話でもそうですけど、小・中学校の合唱というときに、音楽の時間ももちろん使われますけれど相当数は特別活動や総合的な学習の時間を使うわけです。ですから、そういう関連というのは、当然、芸術性の発達という意味で大事になってきますね。それから体育といいますか、運動能力の発達で言えば、休み時間とか放課後の校庭開放とかクラブ活動、部活動の位置付けだとかいうことの方が大事かもしれないわけですね。ですから、そういうことについて、先ほどの教科横断的な話の中でもどこでもいいんですけど、触れて、学校教育として芸術性なり身体能力なりをこういうふうに育てる。その中で学校ができることはここであって、その中で教科ができることはここなんだということを多少触れた上で、具体的な話にもっていくべきだと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 音楽の、45ページに鑑賞活動というところがありますね。この表現によりますと、「鑑賞活動は、根拠をもって自分なりに批評することのできるような力の育成」となっていますね。私は、鑑賞活動というのはやはり楽しむということじゃないかと思います。あるいは親しむという、それがまず先じゃないか。これでは、根拠をもって批評をするために、みんな音楽の評論家になるぐらいの力をもっていないといけない。それよりはもっと楽しんで、生活の中に音楽があるというようなことが先じゃないでしょうか。それから全体を流れるトーンとして、感性あるいは情緒をどう豊かにしていくのかという、そういう芸術科のもっている基本的な教科としての特性、特徴、これが出てくるような感じでどうだろうかという気がします。先ほどもありましたが、学習指導要領の改訂だからこう書かなくちゃいけないのかもしれないけれども、ただ、実際生活していて毎日カラオケで演歌を歌っているような人がこれを見たら、自分はいつどこで演歌の勉強をしたんだろうかというのは全く出てこないですね。演歌の素養ぐらいどこか教えてもいいんじゃないですかね、学校で。ですから、もう少し生活に密着して、本当に音楽が生活の一部になるような、そして豊かな情緒や豊かな生活をつくっていけるような芸術科にしていけないものでしょうか。特に鑑賞なんかだと批評することが前提ではないはずなんです。楽しむこと、あるいは親しむことが先ですから、それがないと。45ページ、それから、46ページの中学校でも、鑑賞には「生徒が根拠をもって自分なりに批評することができる」と書いてありますが、根拠をもって批評するという根拠はどの程度のことを言っているのか、そういうようなことですから、ちょっと表現を変えていただいたらどうだろうかという気がいたしますが、いかがでしょうか。

【梶田部会長】
 今の音楽の鑑賞、46ページのところに2カ所ほどあります。それから美術の鑑賞も49ページにあって、両方とも、まさに今ご指摘のように、ちょっと理屈っぽい話になっています。鑑賞というのは、まず最初に、ピンとくるかどうか、ワクワクするかどうか、ドキドキするかどうかなので、それから次に、何故ワクワクしたんだろう、ドキドキしたんだろうということを理屈付けていくのが順序ですから。もしここに山崎会長がおられたら、そういう話をなさるんじゃないかと思うんだけど、いずれにせよ、これ、何段階か鑑賞を進めていく後の方の段階だけが取り上げられている感じがなきにしもあらずで、最初の感性とか感動とかいう部分について何か書き込むような工夫をしていただくと、渡久山先生が仰ったようにありがたいなと。まず、そこからでないと素直な感覚というものが出てこないんじゃないかと思ったりいたします。その辺も、また表現の工夫をしていただくことにしましょう。
 そうしたら、天笠先生、宇佐美先生、荒瀬先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。
 今、音楽と図画工作、美術という教科が出てきました。これから様々な教科が続くと思うんですけれども、私は、全体として少なくともこういう視点で拝見させていただこうかと思っています。それは発達段階に応じた学校段階の円滑な接続という観点からどれほど検討されたのかということであります。1つは、小・中・高それぞれの関係が、どんな議論があってこうなったのかということと、もう1つは、例えば中学校の現行学習指導要領における学年の扱いがそのまま次の学習指導要領においても踏襲されるのかどうか、これは質問ということにもなると思うんですけれども。後ほどでもお願いできればと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 どうしましょうか。石塚学校教育官、もし今のところで何かあれば。

【石塚学校教育官】
 先ほど渡久山先生からもご指摘がございましたが、例えば鑑賞の指導のところでございますが、音楽を楽しむこと、こういったものは現行の中にも「よさを味わったり」とかございまして、議論の中で、例えばそういった活動についてただ鑑賞だけしているようだと身がないだろうということから、例えば鑑賞のところで言いますと、こういった批評し合う、それも自分なりの価値意識をもって批評し合うとか、そういったことが重要じゃないかという意見がございました。現行の学習指導要領の中には、こういったものが位置付けられていないものですから、今回、中学校までを見通しますと、批評できるような力まで身に付けたらどかというご意見もございまして、例えば鑑賞のところではこういった書き方をさせていただいたということでございます。ほかにいろんな議論はございましたけど、全体的には今申し上げたような意見が多かったということでございます。

【梶田部会長】
 書き方として、本来大事なことは一応さっと書いてもらって、「に加えて」とか「を踏まえた上で」とか何か書いておいてもらわないと、本来大事なことが抜けていると思われちゃうと困りますんで、教育課程、教科の改善の基本方針なので、現行の何は大事にするということが少し見えた上で、プラスアルファ。その辺、ちょっと工夫をしていただければと思います。
 すいません。じゃあ、宇佐美先生。

【宇佐美委員】
 先ほどの表現の問題とかいうことと、ほぼ同じことなんですが、私自身、メーカーに属していて、これからの日本を考えると、いわゆるものづくりという点を心配しております。そうしますと、例えば、図画工作のうちの工作の方ですね。これはものをつくる楽しさそのものを、やはり小学校、中学校で学ぶというのは非常に意味があるんじゃないかなと、かように思います。一方、49ページの1段目ですと、物をつくることが、生活や社会と主体的に関わる態度を育て、豊かな情操を養うとか、いわゆる芸術論に近い形になるんですが、おそらく先ほど出ました合唱というのも、ある種、社会に出た後の協調性とかに役立つことでしょうし、図画工作のうちの特に工作などは、ものづくりの楽しさといいましょうか、あるいは難しさも含めてじゃないかと思うんですが、そういうものを理解する非常に重要な科目なように思われます。そういうふうに、社会に出てからといいましょうか、養ったものがどう役立つかといった観点も入れば非常にいいんじゃないかなと、こんなふうに思いました。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、荒瀬先生、そして加藤先生。

【荒瀬委員】
 先ほどの芸術のところでの根拠を示して云々の話なんですが、私はこれを拝見して思いましたのは、言葉と体験ということを重視した、その観点での新しい学習指導要領の在り方ということを追求している部分ではないかなということです。ですから、芸術というのは、先ほどもございましたけれども、個々にそれぞれが感じていればいい、楽しんでいればいいというものではありますけれども、一方では、その経験を通して、言語化して交流し合うとか、あるいはそれを発表することによって自他の異なりを認め合うとかといったように、芸術そのものを学ぶということもありますが、芸術を通して学ぶということもあるのではないかなということを思います。その点からは、梶田部会長が仰いましたように、これだけではちょっと分かりにくいところがあろうかと思うんですが、こういった部分に一歩踏み込んでいるというのは、意味があるのではないかなということを思います。
 そこから考えますと、戻って申し訳ありませんが、先ほどの体育、保健の部分では、これも一緒に何かをするという点であれば、作戦を立てるとか、そういったことも、原稿に既に書かれているのかどうか。あるいは一緒に達成したことの喜びを言葉によって共有し合うとか、そういったことが新たに出てくるということが、今回の改訂で言葉と体験を重視するんだと言ってきたことへの1つの答えではないかなということを思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 加藤先生。

【加藤委員】
 ありがとうございます。
 宇佐美委員がものづくり教育について述べられたものですから、私、後ほど書面でもと先ほど思っていたんですが、せっかくですので、ちょっとここで申し上げたいと思います。
 芸術の分野で、あるいは技術・家庭の分野になるのかもしれませんが、ものづくりの楽しさ、ものの美しさ、微細な点へのこだわりとか、あるいは今もありましたがチームワークといったもの、そういうことを考えますと、ものづくりの強さをこの日本で維持をしているのは、決して芸術や技術・家庭のみではなくて、むしろ教科横断的に、例えば国語で日本のものづくり分野で傑出した人物が出ていますけれども、そういう偉伝を学ぶとか、あるいは美術や音楽でハーモニーとか、そのような話になってきますので、先ほど議論になっていた38ページの教科横断的に取り組むべき課題の大きな1つではないのかなと。
 日本の産業戦略においては、ここ10年ぐらい私はずっとかかわってきているんですが、ITに、90年代終わりから2000年に入ったあたりから、初期は経済産業省も非常に力を入れていましたけれども、それに加えて、最近では、やはりものづくりの力が日本の経済を支えているという意識が非常に強くなってきております。その中で、やはりものづくりを通じた人づくり、昨今のニートや不安定な仕事についているフリーターを減らしていくためにも、ものづくりに親しむということがいかに効果があるのかということを、厚生労働省や経済産業省でもかなり力を入れておりまして、やはり教育、義務教育の中でもそういったものに呼応した動きをとる必要があるんじゃないかと思っておりますので、是非この点は取り入れてもらいたいと思います。よろしくお願いします。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ものづくりは、今のところ出ております図画工作と工芸にかかわってきます。それから、今もご指摘ありましたけれども、技術・家庭の技術のところにかかわってきます。少しずつ視点が違うところがありますが、今の仰ったような趣旨が、もう少しはっきり出るような工夫を何かしてみる必要があるんじゃないかと思います。
 じゃあ、市川先生、草野先生。

【市川委員】
 私、今回の音楽と美術、工芸などを読んでいて、非常にすばらしいと思った点があるんです。それは例えば45ページ、音楽のところで、共通事項として示すという話が出ています。これが48ページ、美術などでも、一体どういう資質・能力を育てるのかというようなことを共通事項として示すとあります。これまではあまりこういうことがなされていなかったから、改善の方針として入っているのかなという気がするんです。
 例えばこういう芸術系の科目にしても、ただ好きな絵を描いて楽しめばいいとか、好きな音楽を聴いてそれぞれが楽しんだということだけで終わるのではなくて、ある程度、資質や能力を育てると。つまり、これは今回の改訂の趣旨でいえば、やはり基本的なことは教えた方がいい。それによって、むしろ表現力とか鑑賞力というものが高まってくると。だからこそ、学校教育の中でみんなで共通にやることの意味といいますか、それから生涯にわたって楽しむというのが最終的な目標なんですけれども、ただ聴いて楽しかったねというだけでは生涯にわたって楽しめるわけではなくて、むしろ、ある程度、基本的な共通事項を理解したり身に付けたりすることによって、ますます楽しめる。こういう力が付くと10倍楽しめるとか、プロ野球にしてもこういうことを知っていれば10倍楽しめるというようなことがあると思います。そういうことを、音楽や美術でも、ある程度、連動させて入れてきたのではないかなと思います。そのことは非常にすばらしいと思います。
 先ほど荒瀬先生も仰ったことですけれども、鑑賞ですから、何か1つの基準があって、これがいいというものではないと思うんです。人によって、これがいいと思ったり、別の人はこれがいいと思ったりすると。しかし、なぜそれがいいのかと思ったかを述べ合うことによって、なるほど、そういう見方があるのか、そういう楽しみ方があるのかということを納得して、鑑賞の目が広がっていくといいますか、それが鑑賞力を育てるということだと思うんです。これが誤解されると、何か1つの鑑賞力という基準があって、それをしっかり身に付けて、何はいい、何はよくないと一元的に断定してしまうような、そういう力を無理やりつけるという意味にとられてしまうと非常にまずいと思うんですが、むしろ多元的な物の見方ができるように、お互いにコミュニケーションしながら鑑賞する、そういうことを言っているのではないかと思いますので、そういう趣旨のことが書き込まれれば、非常にいいんではないかと思いました。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、草野先生。

【草野委員】
 ありがとうございます。
 大変細かいところまで突っ込んだ論議をなされて、大変よろしいと思います。この案についても、私は大方、大変良くできてていると思いますけれども、ただ、中学校の立場として知っていただきたい現状についてちょっと発言させていただきます。
 音楽と美術は大変大事な教科だと思っています。感性を育てる上でも極めて重要な教科であり、豊かな心を育てるという意味からは欠かせない教科であると思っています。
 ところが、音楽と美術は、学習指導要領改訂のたびに時間数が減ってきました。そういう経緯がございます。現場の音楽や美術の教師は何と言っているかというと、そのうちなくなるんじゃないかと、そういう危惧を真剣に持っております。そのうち、これ以上減ったら、私たちは1校にとどまることなく、あちこちの学校に行ったり来たりして授業しなきゃいけないんじゃないかと、こういうようなことまで話し合っているということを伺いました。
 それで、今度の学習指導要領では、中学校の時数にはこれまで端数がいろいろあったんですけれども、35の倍数にしていただけるということです。音楽と美術は現在、45、35、35だと思います。したがいまして、第1学年だけが音楽と美術は35よりちょっと多い。週1時間のときもあれば、少ないんだけども週2時間のときもある。2、3年は週1時間ずつ、という状況です。ということは、今回の改訂によって、これらがすべて週1時間ずつになるということではないかと思うんです。これまた音楽、美術の教員の嘆きが聞こえると思いますけど、今回の場合、全体の流れとなればやむを得ないと感じております。ただ、あまり過度の期待をされては、いくら立派なことがここで書いてあっても、週1時間でどれだけの教員がこれを全部クリアするために苦労するのかということで、表現のこともやらなきゃいけない、当然、合唱も力を入れなきゃいけない、器楽もやらなきゃいけない、しかも邦楽もやらなきゃいけないんですね。三味線とか琴をやらなきゃいけないわけなんです。そう考えたときに、じゃあ関心を持ってどこまでできるのかということについては大変疑問を感じる部分もございます。
 ですから、今後、具体的に細かい部分については専門部会にゆだねるということになると思うんですけど、お願いは、内容を増やさないでいただきたい。負担を増やさないでいただきたい。特に、将来、本当の音楽の楽しさって何なのかを分かるための最低限の基礎を教えるだけにとどめていただきたい。つまり楽しさを教える基礎を教えるという感じになると思います。是非そのような方向で、細かいことを考えていただければと思います。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 いろいろとあると思いますが、一応、芸術の方はこのあたりにさせていただきたいと思います。これも、またお気付きの点はメール、ファクスでお寄せいただきたいと思います。
 1つだけ、今日は、個別の教科については2つですね。保健体育と芸術について見ていただいておりますが、この両方に「我が国の」「伝統の」といった言葉が使われております。素材としてといいますか、内容として、例えば体育では武道であるとか、音楽でも芸術でもということで、私は非常に大事なことだと思っております。そして、これは教科横断的に触れておいた方がいいんじゃないかという気がいたします。これは後でまた、事務局で修文できるかどうか考えてほしいんです。1つ候補は、20ページの「改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂」、ここで少し触れておいてもらう、つまり伝統文化の問題を大事にして、それを土台に人類、社会全体の多様な文化を学んでいくといった形で触れておいていただくか、あるいはもう少し詳しく書くとすれば、37ページにあります「教育内容に関する主な改善事項」で、まだ中身は書き込んでありませんが、言語活動の充実、理数教育の充実、道徳教育の充実の後ぐらいか、その前後に、伝統文化についての教育というのを書き込んでもらうか、その点をご検討いただきたいと思います。
 今のことにつきまして、皆さんの方でご意見があれば、メール、ファクスで是非お寄せいただきたいと思います。

【鳥居顧問】
 先生、よろしいですか。

【梶田部会長】
 どうぞ、鳥居先生。

【鳥居顧問】
 余計なことを申し上げて恐縮ですが、皆様の机の上に学習指導要領そのものが置いてありますね。その小学校の65ページをご覧いただくと、例えばの話、音楽のページがあるわけです。1、2学年と、3、4学年と、5、6学年に分けて書いてありますが、ご覧いただくと分かりますように、今日ご議論のあったことの大部分は既にこの学習指導要領に実に見事に書いてあるんです。例えば鑑賞のことについても、66ページのB、下3分の1をご覧いただくと分かりますように、「音楽を聴いてそのよさや楽しさを感じ取るようにする」と簡明に書いてあります。問題は、今日、資料2で事務局から提示された新しい事柄がここに付け加わったときに、この学習指導要領がどう書きかえられることになるのかということが、具体的にお一人お一人の委員の先生方のそれぞれのイメージがあると思うんです。それを是非お願いしたいと思います。
 それから、66ページに1学年、2学年の共通教材というのが真ん中辺に書いてあります。それから次の68ページをご覧いただきますと、上の方に共通教材、3学年、4学年用が書いてあります。これを見ていただくと分かりますように、例えば『春の小川』とか『富士山』とか『もみじ』とか、先ほどの66ページでいいますと、『春が来た』とか『夕焼け小焼け』とか、要するに、伝統的な唱歌は、明治以来受け継いで、ずっと歌い続けているものもこの中にかなり入っています。特に高野辰之の作詩にかかわるものは明治以来のですね。こういうようなものを今後も引き継ぐかどうかということについて、ご意見を是非伺っておくべきだと思います。
 そのほかにも、例えば図画工作についても73ページ以降にございますので、是非ご覧いただいて、これに加えるべきもの、除くべきもの、それから81ページ以降には体育ということについて書いてございますので、ご意見いただけると大変ありがたいと思っております。よろしくお願いします。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 今、本当に鳥居先生ご指摘のとおりでありましたので、ご意見があれば、お願いしたいと思います。ただ、資料2のまとめに出す表現は、「今もこれをやっているが、それ以上に」とか、大事なことだけです。今のを全部書くという意味ではありません。大事なことだけは少し書いておいていただいた方がいいかなという気がいたします。そうしないと、ちょっと誤解が生じるといけませんので。ありがとうございました。
 それでは、引き続き、幼稚園教育について審議を行いたいと思います。幼稚園教育専門部会の審議を踏まえまして、田河幼児教育課長より、資料2の該当部分の説明をお願いいたします。

【田河幼児教育課長】
 幼児教育課長でございます。資料2、41ページの幼稚園関係の記述の説明をいたします。
 中身に入ります前に、専門部会の議論の経緯を若干ご説明しますと、専門部会では、昨年9月に幼・小の連携、協同する経験の重視などの方向性についてご報告したところですが、その後の学校教育法の改正を踏まえまして議論を重ね、資料5-1の検討素案をまとめたところでございます。41ページの内容は、それを踏まえたものでございます。
 まず改善の基本方針の最初の○でございます。「幼稚園教育については、その課題を踏まえ」となっております。その課題については、このページの下に書いておりますが、基本的生活習慣の欠如、あるいは規範意識の希薄化、小学校生活にうまく適応できないなどの課題がございますし、また、幼稚園の機能を生かした、より良い育ちを実現する子育ての支援も求められているところでございます。そうしたことから、この○では、「幼稚園教育については、その課題を踏まえ、近年の子どもの育ちの変化や社会の変化に対応し、発達や学びの連続性及び幼稚園での生活と家庭などでの生活の連続性を確保し、計画的に環境を構成することを通じて、幼児の健やかな成長を促す」としております。
 また、次の○では、「子育ての支援と預かり保育については、その活動内容を意義を明確にする。また、預かり保育については、幼稚園における教育活動として適切な活動となるようにする」と掲げております。
 このような改善の基本方針に基づきまして、(2)の改善の具体的事項でございますが、まず、発達や学びの連続性を踏まえた幼稚園教育の充実です。a)としまして、幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続に関連するものとして、4つ掲げております。
 最初の○ですが、これは学校教育法の目的の改正を踏まえた記述でございます。読み上げますと、「幼稚園教育は、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的として、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものである。この幼稚園教育の基本に基づいて展開される幼稚園生活により、義務教育及びその後の教育の基礎が培われることを明確にする」と記述しております。この記述の趣旨は、しっかりとした環境構成を通じた幼稚園を通じて、幼児の心身の発達を促し、それが生涯にわたる学習意欲や学習態度の基礎となる好奇心を育て、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとなるということでございます。
 2番目の○は、幼・小連携についての具体的な記述です。「小学校での生活や学習への適応の課題を含め、小学校教育との円滑な接続を図り、幼稚園における教育の成果が小学校につながっていくことが大切であることから、教員の意見交換などを通じて幼児児童の実態や指導の在り方について相互理解を深めたり、幼児と児童が交流するなど、小学校との交流を図る」と記述しております。
 次の3番目の○は、協同する経験に関する記述です。少子化や核家族化の中で、子どもが集団で遊ぶ経験が減っていると言われておりますが、そのことを踏まえ、「集団生活の中で自発性や主体性等を育てるとともに、人間関係の深まりに沿って、幼児同士が共通の目的を生み出し、協力し、工夫して実現していくという協同する経験を重ねる」ことを記述しております。
 次の4番目の○は、規範意識の芽生えに関することでございます。専門部会での議論では、単に規範意識を押しつけたり教え込んだりするのではなく、子どもたちがいろいろぶつかり合ったりして実感していくプロセスが大事であるというようなご意見が出ておりました。そうしたことから、「集団生活を通して、幼児が人とのかかわりを深め、規範意識の芽生えを培うことが大切である。このため、幼児と教師の信頼関係を基盤に、自分の思いを主張し合い、受け入れられたり、受け入れられなかったりする体験を重ねながら、友達とともに生活するためには、きまりが必要であることに気付くようにする」と記述しております。
 次にb)でございます。体験と言葉の重視など子どもや社会の変化に対応した幼児教育の充実に関することでございますが、6つ示しております。
 最初の○は、体験の多様性と関連性に関することです。幼児の調和のとれた発達を考えると、様々な体験が重要ですが、それが単に断片的な体験となるのでなく、関連性を持つことが重要になってきます。そこで記述内容としては、「教師や他の幼児とともに様々な出来事に出会ったり活動したりして、多様な体験を重ねる中で、幼児の調和のとれた発達を援助していくようにする。その際、幼児の心が動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し、ひとつひとつの体験の関連性を図る」としております。
 次の○は、言葉の伝え合いに関することでございます。「幼児が心動かされる体験をして、その感動や思い、考えを言葉に表し、そのことが教師や友達に伝わる喜びを味わうとともに、相手の話を聞き、その内容を理解し、言葉による伝え合いができるようにする」と記述しております。
 3番目の○は、思考力の芽生えに関することです。「幼児が友達とともに遊ぶ中で、好奇心や探究心を育て、思考力の芽生えを培うことが大切であることを考慮し、幼児一人一人の興味・関心を生かしつつ、友達とともに試したり、工夫したりして、周囲の環境に対する新たな視点に気づいたり、新しい考えが生まれたりするようにすること」を記述しております。
 4番目は、体を動かすことや食育についてのことです。「いろいろな遊びの中で十分に体を動かし、その楽しさを感じることや、友達と楽しく食事をすることなどの食に関する活動を通して、幼児の心身の健やかな成長を増進する」としております。
 5番目の○は、表現の指導の充実に関することです。「幼稚園での生活の中で、音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と自分なりの表現を培うことが大切であることから、表現する過程など、表現に関する指導を充実する」としております。
 そして、6番目の○は、幼児が自信を持って行動することについてです。幼稚園は幼児が自己を形成していく時期であることから、「日々の活動の中で、教師や友達に自分の言動を認められたりしながら、自分のよさに気付くことで、一人一人の幼児が自信を持って行動できるようにする」ことを記述しております。
 次からの記述内容は、幼稚園での生活と家庭などでの生活の連続性を踏まえた幼稚園教育の充実に関することでございます。
 最初の○は、幼児の心のよりどころとなる家族とのつながりに関することです。「幼稚園での生活の中で、幼児が自己を十分に発揮し発達に必要な体験を得ていくためには、心のよりどころとしての家族のつながりが大切であることから、自分が家族から愛されていることを感じられるようにするとともに、その愛情を感じることよって、家族を大切にしようとする気持ちが育つようにする」ことを書いております。
 2番目は、生活習慣の形成でございます。「教師は家庭と連携しながら、個々の幼児の発達の実情等に配慮して、基本的な生活習慣が身に付けられるようにする」ことを書いております。
 3番目の○は、家庭との連携による幼稚園教育の理解でございます。「保護者との信頼関係を深め、保護者とともに幼児の成長の喜びを共有し、幼児が充実した幼稚園生活を送るためには、保護者の理解と協力が大切であることから、家庭との連携に当たっては、保護者と幼児との活動の機会を設けたりなどして、幼稚園教育の理解がより深まるようにする」ことを書いてあります。
 そして、次の記述は、子育ての支援と預かり保育の充実についてでございます。
 最初の○でございますが、これらの事項につきましては、学校教育法の改正で、子育ての支援については第24条に、預かり保育については25条に関係する規定が置かれたことを踏まえ、「学校教育法の改正により、子育ての支援及び地域の実態や保護者の要請等により希望者に対して行う教育活動である預かり保育が位置付けられたことを踏まえ、幼稚園教育要領における位置付けを見直す」としております。具体的には、幼稚園教育要領の総則の中に、子育ての支援や預かり保育に関する記述を加えたりすることを考えております。
 2番目の○でございます。ここは子育ての支援に関する記述でございます。読み上げますと、「家庭や地域の教育力の向上を図る観点から、子育ての支援については、相談に応じたり、情報を提供したり、保護者との登園を受け入れたり、保護者同士の交流の機会を提供するなど、保護者や地域の人々に機能や施設を開放するとともに、園内体制の整備に配慮しつつ、関係機関との連携を図り、地域の幼児教育のセンターとしての役割を果たすよう努めること」としております。
 次の3番目の○ですが、預かり保育の内容に関する記述でございます。「預かり保育については、幼児の心身の負担に配慮することが必要である。その上で、次の点に留意すること」として、教育課程に基づく活動を考慮し、幼児期にふさわしい無理のないものとすること。あるいは預かり保育の計画を作成すること。保護者は幼稚園とともに幼児を育てるという意識が高まるよう、情報交換に努めること。生活のリズムを踏まえつつ、実施日数や時間等の弾力的な運用に配慮すること。適切な指導体制を整備した上で、幼稚園の教師の責任と指導のもとに行うことなどを書いております。
 最後に、その他の事項でございますが、「学校教育法における幼稚園の目標規定の改正を踏まえ、幼稚園教育要領における幼稚園教育の目標の規定の必要性を見直す」と記述しております。背景をご説明しますと、現行の幼稚園教育要領では、学校教育法に定める幼稚園の目標を時代に応じて解釈し直すと記述しておりますが、今回、学校教育法の幼稚園の目標が新たに改正されたことから、改めて法律で規定されている幼稚園の目標を教育要領で規定する必要はないのではないかとの意見を踏まえたものでございます。
 以上で説明を終わります。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、無藤先生が主査を務めてこられましたので、無藤先生から全体的なことで、もし皆さんにお話があればお願いします。

【無藤委員】
 若干だけですけれど。
 幼稚園のところも、先ほどいろいろありましたけれど、当然、幼稚園教育要領、現行のものを特に変える必要があまりないものは触れていないので、それを踏まえて、特に強調点ということになります。
 それから、課長からご説明ありましたけれど、一番大きなことは、やはり教育基本法、学校教育法の改正ということで、その法律で強調された部分について改めて整理し直したというのが1つあります。もう1つは、最後のところにありましたが、学校教育法に書き込まれたものについては、教育要領はその下にありますから、その記述はなくてもいいというところがあるということです。
 その中身ですけれど、やはり一番大きなことは幼・小連携、小学校との関連において、幼稚園教育としてなすべきことを明確にしたということと、それから、以前、この教育課程部会の報告において幼児教育の方向を出したわけですけれど、そのキーワードが大きく言うと2つあります。1つは、発達と学びの連続性という最初の方にあるフレーズです。もう1つが、後にありますが、生活の連続性です。発達と学びというのは、家庭、幼稚園、小学校という、この流れを充実するということ、それから生活の連続性の方は、家庭、地域との連携を重視すると、そういう趣旨で強調点を書きました。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、これらに基づいて、幼稚園教育要領が学習指導要領と同じように改訂されるわけですから、皆さんの方でお気付きのことを、ご質問も含めてお願いしたいと思います。
 じゃあ、加藤先生。

【加藤委員】
 教育要領の問題なので、ちょっと的外れかもしれませんが、前期のときに、幼保連携について相当踏み込んで議論をしたと思うんですが、この中でどういうふうに表現するのかというのは難しいのかもしれないんですけれども、その点に触れておいた方がよろしいのではないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになっているのか、ちょっと伺えないでしょうか。

【梶田部会長】
 田河課長、いかがでしょう。

【田河幼児教育課長】
 幼保の連携につきましては、今までも幼稚園教育要領の改正と保育指針の改正、連携しながらやっておりますけれども、今回の幼稚園教育要領の見直しにつきましても、保育指針の方でも、実は私どもの審議の経過も踏まえながら議論しておりますし、我々も保育指針の方でどういう議論をしているのか、そこを意識しながら、また各委員にご議論をお願いをして、この検討素案がまとまったところでございます。

【梶田部会長】
 そういうことであります。
 もし何か入れるとすれば、子育て支援の辺に幼保連携とかでしょうか。

【加藤委員】
 何か分かるようにしていただいた方がいいと思います。

【梶田部会長】
 そうですね。これは後でまた、それがいいかどうかを含めて、検討していただくことにしましょう。
 ほかにいかがでしょうか。中村先生。

【中村委員】
 大体分かりやすいんですけれども、幼稚園段階で、小学校へ行って、特別支援学校に行く子どもたちが当然出てくると思うんです。今の教育要領の中でも障害者教育等触れてはおりますけれども、幼稚園、あるいは預かり保育と、将来、特別支援教育学校との連携といいますか、どういうふうにつながっていくのか。これは学校だけでは当然できなくて、保健所なり、医療機関なり、いろんなところが絡まないとできないと思いますので、その辺、何か触れられればいいなということです。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 この特別支援学校の問題は永山課長から、何かもしあれば。

【永山特別支援教育課長】
 特別支援教育については、また次回ご説明をさせていただきますけれども、ご指摘の視点は重要で、これは幼稚園の問題、小学校、中学校の問題とあわせて、また次回、全体にご説明させていただきたいと思います。

【梶田部会長】
 分かりました。

【安彦委員】
 ちょっと関連して。

【梶田部会長】
 じゃあ、安彦先生。

【安彦委員】
 私も中村先生のご意見に関連して考えたんですけど、こちらの幼稚園教育専門部会の方の4枚ものの素案では、その他のところ、一番最後のところに、発達障害をはじめとして障害のある幼児の早期支援が重要だと。ここが資料2の方には採用されていないわけですが、この辺のところを説明していただければと思います。

【梶田部会長】
 じゃあ、お願いします。

【田河幼児教育課長】
 非常に技術的な話でございまして、先ほど特別支援教育課長からご説明したように、幼稚園における特別支援も含めて、また次回、ご報告させていただきたいと思っています。そして、付言しますと、幼稚園教育専門部会でも、特別支援に関しては、非常に熱心なご議論もされております。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、特別支援教育の問題は、次回、今のような個別の話を含めて、幼、小、中、高、続いた話が出てまいりますので、そこで整理していただいているということでありますので、それをまた見ていただいて、お気付きの点をお願いしたい、そういうふうに思います。
 そうしたら、渡久山先生、陰山先生。

【渡久山委員】
 質問も含めてですが、認定子ども園との関係は、どのように位置付けるんでしょうか。幼稚園教育要領だから幼稚園だけに適用するという感じですけれども、子ども園がだんだん増えていっているんですよね。そうすると、やっぱり認定子ども園について、幼稚園教育要領ではどのような位置付けにしていくのか、その辺のことが必要になってこないかという気がいたしますけれど、どうでしょうか。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、課長、何かあれば。

【田河幼児教育課長】
 認定子ども園、だんだん増えてきている状況でございますが、この認定子ども園につきましては、幼稚園の教育内容と保育所における福祉的な保育内容、その両方の機能を果たすということになっております。そういうことから、今回、幼稚園教育要領が改正されますと、認定子ども園における教育内容は自動的に学校教育法に定める幼稚園教育を達成するということになりますので、自動的に反映されていくという形になります。また、認定子ども園は、長時間の保育については保育指針を踏まえる形になろうかと思いますけれども、ちょうど幼稚園教育要領の改正も意識しながら、保育指針も改正されようとしておりますが、その内容を踏まえた形で、また運営されていく形になろうと考えております。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、陰山先生。

【陰山委員】
 幼稚園だけに限らず、保育園との絡みにもなってくると思うんですけれども、預かり保育というものがだんだん進んでいきますと、一般の大人たちが子どもの成長の場面を見るということが減っていくということになるわけです。教育の第一義的責任者が親であるとは言いながら、ところが、そこにかかわる部分が実質的には乳幼児の段階から減っていくというのは非常に矛盾した流れになるんじゃないかなという気がするわけです。要するに、そういうことをしているうちに、子育ての知恵というものが、いわゆる家庭を媒介にして伝達されていくのではなくて、特殊な、いわゆる保育の技術として伝承されていくということが、果たしてそれでいいのだろうかという思いが若干あります。そのようなことを考えていったときに、やはり保護者の方々に子育てを知っていただくということが、もう時代の要請になっているんじゃないかなという気がいたします。
 先ごろ幼児教育にについて、私、ちょっと雑文を寄せたんですけれども、早寝早起き朝ご飯のことを書いたんですけれども、その文章を読んで初めて子どもを夜寝かさなければいけないものだということを知ったというような、愕然とするような読者はがきが多数返ってきたというようなことで、本当にびっくりしました。そのようなことを考えますと、子育て支援と預かり保育の充実のところの2つ目の○のところになろうかと思うんですけれども、保護者や地域の人々に機能や施設を開放するとともに、園内体制の整備に配慮しつつ、関係機関との連携を図り、地域の幼児教育センターとしての役割を果たすように努めることというのを、もっと最大限強める必要があるのではないか。具体的に言いますと、年に1回は保護者は幼稚園教育に参加をすると。参観ではなくて。要するに、普段は預けるけれども1日はその幼稚園につく。それは3人、4人ということじゃなくて、1人で1日はつくと。保育士さんとか幼稚園教諭の動きを見習いながら、時には、そのしんどさも横目で見たり、手伝ったりする中で、子育てとは何なのかということを学習していただくということも必要だと思います。その後の、例えば小学校教育における食育との接続とも関係しても、そういう場面を設定をしないと、今の保護者の方々というのは食育なんていうのは一切受けない状態で親になってきているわけですから、こういうことを特段の配慮をもって臨んでいくべきではないのかなという気がいたします。

【梶田部会長】
 はい、ありがとうございます。
 じゃあ、無藤先生。

【無藤委員】
 今の陰山委員のご指摘、全くそのとおりだと思います。
 今回お出ししたもので言うと、42ページの下に、心のよりどころとしての家族とのつながりということで、特に幼稚園において家族の重要性というものを出しておきました。その上で、43ページの○のところで、基本的な生活習慣と言っているところで、例えば早寝早起き朝ご飯運動などを念頭に置いております。その次の○のところの3行目に「保護者と幼児との活動の機会を設けたりなどして」と、ちょっと堅い表現で分かりにくいんですが、これが保護者が保育に参加して、実際にいろいろな子どもの様子を見るということを考えているところです。そして、更にご指摘の、その次の次、子育て支援のところで、保護者同士の交流の機会を提供するというようなことで、その園の保護者、あるいは地域の保護者が互いにかかわりながら、お互いの子育てを知る機会を幼稚園として持とうと、こういうふうになっております。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、田村先生。

【田村副部会長】
 ありがとうございます。
陰山先生のご指摘、ご心配、そのとおりだと思いますが、実は私、この4月から子ども園をやっております。世田谷区と共同で開設している子ども園なんですけれども、ご指摘のようなことは既にかなり綿密にやっているんです。例えば、地域で子育て支援といいますと、ものすごい熱心に親御さんが集まってきます。それから、結局、保育園機能に預ける親というのは、預けざるを得ないんです。ですから、普通、幼稚園ですと台風が来ると休みです。しかし、保育園は休めません。ですから子育て支援の子ども園は台風でもやっているんです。その実態を前提にして、先生が今、心配されているようなことに対して対応するというのが、これからの仕事だろうと思っています。
 具体的に言いますと、例えば、月に一遍は必ずお弁当の日をつくるとか、親父さんに必ず子ども園に来てもらう日をつくるとか、それから子育てにかかわる、いわゆる井戸端会議のようなものは2週間に一遍ぐらいやっています。非常に熱心に来ますね。しかも、朝7時半から夜7時半までですから、親は非常に喜んで利用してくださっているのが実態です。ですから、先生ご指摘のようなことは、確かに考えなきゃいけないんですけれども、それでも、やっぱり利用せざるを得ない親がいるから、やっぱりそれを子ども園が補うという方向で議論を展開させていく必要があるだろうなと、個人的には実感しています。
 幼稚園教育というのは、実は私、無藤先生の部会も出させていただいているんですが、教育ということにこだわりますんで、長時間預かってやれるはずがないという感じを持っておられる先生もいらっしゃるし、なかなか難しいんです。ですから、できるだけ実態に合わせて、子どもにしわ寄せが行かないような工夫を大人がしてやるということを、これからも積み重ねていく必要があると思っています。実態を言うと、陰山先生がご心配になっているようなことについての対応を現場は一生懸命やっているというのが現状だということです。ただ、ご指摘は是非続けていただきたい。そういうことが広がってはまずいですからね。そんなことです。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。
 幼稚園教育につきましては、大筋、今までの教育要領の線を大事にしながら、しかし、先ほどご説明いただきましたように、時代の進展の中で、今の子育て支援だとか、あるいは幼・小連携だとか、幾つか今の課題となっているものを入れて改正をしようと、こういうような筋だと思います。この幼稚園教育の部分につきましても、皆さん、お気付きの点があれば、メールあるいはファクスで、是非事務局の方にお寄せいただきたいと思います。
 それでは、ちょっとここで15分ほど休憩をとりまして、3時から、小学校のことにつきまして、皆さんで審議をお願いしたいと思います。

(休憩)

【梶田部会長】
 それでは、時間になりましたので、再開をしたいと思います。
 残りの時間で小学校の教育課程の枠組み等について審議を行いたいと思います。
 小学校部会の審議を踏まえまして、「小学校段階における外国語活動(仮称)」「発達の段階に応じた学校段階間の円滑な接続」というところも含めまして、神山専門官から資料2の該当部分のご説明をお願いいたします。

【神山専門官】
 失礼いたします。資料2の29ページからご覧いただきたいと思います。資料2の29ページから、小学校部会の議論の前提となります小・中学校の授業時数の現状なども含めまして、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 29ページの中ほどに、小・中学校の授業時数の現状ということで、おおむね年間200日、40週相当でやっておるということでございますが、これは国際比較においても標準的な水準になってございます。この200日間の中で行う活動につきましては、先ほど部会長からもご指摘がありましたように、そこで小さい数字の(1)と(2)とございますが、教育課程内の活動と、(3)で示されているような教育課程外の活動というのがあるわけでございます。今回ご議論いただく標準時数に関しましては、(1)のいわゆる教科ですとか道徳、総合的な学習の時間などの時間という(1)の時間を示すということになっておりまして、それ以外のものは各学校の裁量で行われているわけでございます。
 次のページ、30ページをご覧いただきますと、一番上の○の中ほどにございますように、先ほどの分類でいきますと、(2)のような集団宿泊活動ですとかボランティア活動などといったものも教育効果が高うございますので、これらの活動を実施する時間を確保するということを考えますと、年間の授業週数につきましては、現在の35週というのを維持するということで書いてございます。
 また、授業の1単位時間でございますけれども、これも1単位時間、現在小学校で45分、中学校で50分となってございますが、2つ目の○で、これを基本的には維持することが適当としてございます。
 また、この200日、40週の中で、その下の○でございますけれども、9割程度の公立の小・中学校におきましては、標準の授業時数を上回って授業がなされてございます。そのうち標準時数を週1コマ以上上回っているのが小学校で63.1パーセント、公立中学校で53.9パーセント、またそれ以上上回っているところもあるという状況でございます。
 31ページをご覧いただきますと、国際比較についても若干触れてございますが、国際比較に関しましては、1つ目の○に書いてございますように、他国とのデータにつきましては単純比較が難しいわけではございますが、学力の水準と授業時数には明確な因果関係があるとは言えないといったことを1つ目の○で触れてございます。したがいまして、2つ目の○にございますように、今回の学習指導要領の改訂に当たっては、後ほどご説明しますように、授業時数を増加することとしておるわけでございますけれども、下の2行にありますように、あくまでも教科で指導する内容事項の増加は厳選をいたしまして、知識・技能の確実な定着や、それらを活用する学習時間の確保をしたいと考えておるわけでございます。
 次の32ページの方をご覧いただきますと、ここの2というところからが小学校部会の議論を踏まえた具体の時数についてでございますが、別途、小学校部会で使った資料といたしましては、資料6-1というのがございます。それを溶け込ませたものが資料2になるわけですけれども、1点、この資料6-1に関しましては、前回、小学校部会でおおむねご了解いただいておりますけれども、そのときの意見を踏まえまして、主査とご相談して修正をさせていただいたという段階のものでございまして、小学校部会の各委員に現在意見をいただいておるという状況のものでございますので、そうした段階の修正案であるとご理解いただければと思います。
 資料2の32ページの2の小学校の時数というところでございますけれども、(1)といたしまして、各教科の授業時間数について書いてございます。ここでは最初の○にございますように、基礎的・基本的な知識・技能の定着を図るとともに、実験・観察、レポートの作成といった知識・技能を活用する学習活動を充実させる観点から、国語、社会、算数、理科を増加させる必要がある。また、子どもたちの体力の低下などを踏まえまして、体育の時数も増加させる必要があるとしてございます。
 その次の○で、低学年、中学年、高学年で大まかなイメージを書いてございますが、低学年では国語、算数、体育、中学年では国語、算数、体育に加え、様々な観察・実験を行う理科、それから高学年では算数、理科について確実な知識・技能の習得とともに、それらを活用する学習活動の充実を図ることにしてございます。また、社会についても、中・高学年で時数を若干増加するとしておるわけでございます。
 その次の○にございますように、このような国、社、算、理と体育の5つの教科につきまして、トータルいたしますと、現在の標準時数の約1割を目途に増加させるという必要があろうということを書いてございます。
 また、その次の○では、小学校部会での意見を踏まえまして、こうした趣旨での授業時数の増加というのは、中ほど以降にございますように、学習習慣や生活習慣の確立に向けた指導と相俟って、これらの学習活動が子どもたちに分かる喜びや学ぶ意義を実感させて学習意欲を高めることにより、学校への不適応を減らして、子どもたちの自立を促すことが重要といったことも、小学校部会の意見を踏まえて付記しているところでございます。
 また、33ページの一番上をご覧いただきますと、途中のご議論にもございましたように、現在、教科等の教育活動は年間35週以上で行うことになっておりますので、各教科の時数を原則として35の倍数にすることが望ましいということにしてございます。
 以上が時数の全体の関係でございますが、その次に、(2)といたしまして、小学校段階の外国語活動について若干触れてございます。
 小学校段階の外国語活動につきましては、現在でも総合的な学習の時間などで取り組まれておりますが、かなり取組にばらつきがあるということで、教育の機会均等の確保や中学校との円滑な接続の観点から、共通的な内容を示すことが必要であろうということになってございます。その場合、目標や内容を各学校で定める総合的な学習の時間とは趣旨や性格が異なることになりますので、総合的な学習の時間とは別に、高学年で週1コマ程度の一定の授業時数を確保することが適当ということにしてございます。
 (3)でございますけれども、総合的な学習の時間は、今後とも重要ということは確認した上で、ただし、総合的な学習の時間の中で行っておりました各教科の知識・技能を活用する活動というのを、各教科の中でも充実するといったことですとか、先ほどの外国語活動を設けるといったことなどを踏まえまして、各学年において、週1コマ程度縮減することが適当としておるわけでございます。
 その下に、差し引き細かく書いてございますが、結論といたしましては、34ページの一番上でございますが、低学年で年間、週2コマ程度、それから中・高学年では週1コマ程度増加させることが適当ではなかろうかということになってございます。
 なお、その2つ目の○にございますように、第4学年から第6学年にかけては週28コマということになるわけでございますけれども、特別活動ですとか児童会活動やクラブ活動など、あるいは補充指導や生徒指導などがあるといったこと、また学校が組織力を高めるために職員会議などで情報交換などをする必要もあるという点を踏まえますと、週28コマとするといったあたりにしてはどうかということになったわけでございます。
 また、こうした増えた時間数をどのように確保するかということにつきましては、3つ目の○にございますように、教育委員会や各学校の裁量ということにさせていただきまして、1つ目のポツにありますように、単純に週当たりの時数を増加させるやり方のほか、各教科の教育を朝の10分間の活動でやるような読書活動やドリル活動を活用したり、あるいはモジュールと言われるような1単位時間を変更したやり方をしたり、あるいは長期休業日を短縮したりするといったような形で、各教育委員会や学校の裁量で確保していただくということで考えておるわけでございます。
 続きまして、34ページ下の方からございます、「発達の段階に応じた学校段階間の円滑な接続」についてでございますが、これにつきましては、35ページの一番下の方から、幼児教育と小学校との接続について触れてございまして、36ページの最初の方などで、生活面での指導ですとか、家庭との十分な連携・協力などについて記述をさせていただいてございます。
 また、その2つ目の○では、小学校と中学校の連携ということで、小学校段階で高学年において外部人材も活用した専科教員による充実の検討ですとか、中学校の方では、小学校の内容を再度取り上げて指導といったことについて触れさせていただいてございます。
 続きまして、37ページの方をご覧いただきたいと思います。(4)といたしまして、「小学校段階における外国語活動(仮称)について記述をさせていただいております。これにつきましても、小学校部会での議論と、その前提となっておりますものとしまして、資料6-2の方でも、外国語専門部会での審議の状況というのを2ページに書かさせていただいておりますが、そうしたものを踏まえた内容になってございます。また、資料6-2の3ページや4ページでは、小学校における英語活動のイメージをつかんでいただくために、世界の様々な挨拶を扱うといった小学校の英語活動の指導内容のイメージですとか、教材のイメージといったものを入れておりますので、あわせてご覧いただきたいと思います。
 資料2の37ページにお戻りいただきまして、(4)でございますけれども、小学校英語ということで、上から2つ目の○にございますように、小学校段階に関しましては、中学校の英語教育を前倒しするということではなくて、国語や我が国の文化を含めた言語や文化に対する理解を深めるとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図るということを目的として、英語を中心にした外国語活動を行ってはどうかということにしてございます。
 また、その位置付けにつきましては38ページをご覧いただきたいと思いますが、38ページの一番上のところで、そうした小学校段階の英語活動の位置付けといたしまして、先ほどもご説明しましたように、機会均等の確保や中学校との円滑な接続の観点からは、共通に指導内容を示す必要があると書いてございますが、2つ目の○にございますように、この場合、目標や内容を各学校で定めます総合的な学習の時間とは趣旨や性格が異なることになります。また、3行目にありますように、教科のような数値による評価にはなじまないといったご指摘がございまして、これらのことから、総合的な学習の時間とは別に、高学年において週1コマ程度確保して、教科とは位置付けないということが適当であろうとさせていただいております。
 その次には、指導者と教材ということで、基本的には、最初の○にございますように、学級担任を中心といたしまして、ALTや地域人材などを活用してティーム・ティーチングをするということが基本と考えてございまして、国において教員研修ですとか指導者の確保が必要な旨、書いてございます。
 最後に一番最後の○で、国の方で、更に共通教材などの提供も重要であろうといったことに触れてございます。
 駆け足でございましたが、私の方からは以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、この小学校部会も無藤先生に主査をお務めいただきましたので、全体に係るようなことにつきまして、まず無藤先生の方からお願いいたします。

【無藤委員】
 簡単に補足いたします。
 小学校における授業時間等の問題というのは、基本的には、この教育課程部会の第3期のまとめが本年の1月26日に出ております。机上にもあると思いますけれど、そこで基本的な議論をして、小学校として何が問題か、また各教科ごとにどういうことが強調されねばならないかというのが縷々書いてあります。そこでは、まだ授業時間には直接触れておりませんけれども、そこで特に強化すべきところというのを念頭に置いて具体的な案にしたということでございます。
 最初の方に書いてございますように、教科の時間を増やすと自動的にそこで学力が上がると考えているわけではなくて、しかし、やはり学習活動を充実させる必要があるという幾つかの教科については、時間がないと何も具体的にはできないという意味で時間を工夫いたしました。
 2番目の特徴といたしましては、32ページの具体的な記述にありますが、低学年と中学年と高学年、この発達の時期に応じてメリハリをつけたということであります。すべての時間、すべての教科が増やせれば一番いいのかもしれませんが、一定の枠がありますので、その中でのそれぞれの発達の特徴を念頭に置いてございます。具体的には、33ページから34ページにかけてありますが、年間週35週を守るといたしまして、週当たりは普通の45分授業であれば、6時間授業とすれば5日間ですので30コマが最大限になるわけでありますけれど、実際には職員会議とかクラブ活動等を考えると、小学校で言えば最大で28コマぐらいであろうというのが第1の枠です。しかし、同時に、34ページの真ん中にありますような、様々な弾力的、多様な取組の中で変えていくこともできるということも念頭に置きながら想定いたしました。
 特に大きな動きといたしましては、小学校における外国語活動というのを総合的な学習の時間とは別個に導入するということであります。これは以前、この教育課程部会でどうするかという議論を外国語専門部会からの報告としていたしたと思いますけれど、その段階におきましては、総合的な学習の時間の中で行うのか、あるいはその外で行うのかという両案併記のままであったろうと思いますが、そこにありますように、各学校において、国として責任を持って共通に指導すべきであると、そういう議論が小学校部会で多数を占めましたので、別に一定の授業時間をとるということで、高学年、週1コマ程度としたわけであります。
 それと並行いたしまして、総合的な学習の時間については、言うなれば外国語活動を外に出すという形で1コマ減となっております。つまり、小学校第3学年から6学年、おのおのの学年について、年間70時間程度ということになるわけであります。総合的な学習の時間は重要であると考えておりますので、減らすことについては非常に議論があり、ためらいがあったわけでありますけれども、現実の小学校におきまして、現状では、英語活動に大体多くの学校が年間で言えば少なくて15時間、多目で35時間程度とっているところが多数であるようでありますので、それを除いたという形ですと、大体現状の総合的な学習の時間に対応するところがおおむねは可能な、ぎりぎりの時間ではないかと判断したところでございます。
 なお、以前、梶田部会長が仰っておりましたけれど、こういった授業時間については、基本的には最低基準であるというふうに了解した上で、共通に満たすべき授業時間という提案をここで行ったということでございます。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、皆さんの方で、ご意見、ご質問、よろしくお願いいたします。
 中村先生。

【中村委員】
 大きく分けて、3点について。
 まず1点が、29ページ。これは先ほど部会長からもお話がありましたように、(1)(2)(3)と分かれておりますけれども、これを中間報告で国民の皆さんが読んだときに何を言っているのか、我々は分かるとして、国民が多分分からないだろうと思うんです。だから、これは分かりやすく表現した方がいいだろうと思います。
 それから34ページに、この時間数28コマを確保するためにどうするかというのがあります。授業時数の増加をしたり、いろんな工夫があるよというご指摘ですけれども、今、小学校の先生も含めて、児童と向き合う時間がない。授業で向き合うのも、その一種ですけれども、特に生活指導だとか、部活動だとか、クラブ活動だとか、こういう時間との兼ね合いをどうするのかですね。特に外国語ということになりますと、その指導者をどうやって育成していくのか。今の小学校の先生方で英語が堪能で大丈夫だよという先生は極めて少ないだろうと思います。じゃあ、外部から人を雇う場合に、そのお金をどうするのか、この辺がよく分からないということですね。それから、これは目次の2ページをご覧いただきますと、7.とありまして、理数教育の充実、道徳教育の充実、これは各家庭、発達段階に応じてどうしようかという問題提起だと思うんですけれども、いきなり4番目に「小学校段階における外国語活動」とある。本来は外国語教育の課題があって、その中で、中学校の前倒しではないと仰っていますけれども、やっぱり小学校からやらなきゃいけないという理屈が、どうしてもここでは結論ありきで、どうも納得できないというか、何でやるのかな、たまたま総合的な学習の時間でやっているから後追いで認めるのかなと、こんな感じでしか読めないんです。地域によっては英語でなくて、スペイン語だとかポルトガル語の子どもが多い、10パーセントを超えて同級生でいる学校もあるわけですから、特段英語にこだわらずに、外国人が多く住むようになったから小さいうちからコミュニケーション能力を高めようというふうな感じで読める方がいいのかなと、それが実態にも即しているんだろうと思います。
 それから、何よりも中学の前倒しではないと言いながら、外国語教育について、今まで戦後60年間やってきた中学、高等学校の外国語教育がどうだったのかという反省といいますか課題が見えてこないとすると、やたら外国語の先生を増やすばかりじゃないのかなというふうにとられかねませんので、是非中学、高等学校の今までの外国語教育の課題、反省点をここに網羅して、なおかつ小学校でもやるべきだというふうにしないと、どうも納得が得られないんだろうなと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 確かに小学校での外国語活動については、前の方に、今の外国語活動とか外国語教育といいますか、英語教育ですね。英語教育の、今仰ったように反省というか、次への課題というか、そこのところをきちんと書き込んだ上で、だから小学校の高学年にこういうものを新たに設定する必要があるだろうというのを、やっぱりちょっと入れる必要があるかもしれませんね。
 ありがとうございます。ほかに。
 渡久山先生。

【渡久山委員】
 今の外国語の関係について、これは最近よく出ている評価という問題がありますよね。きちっと評価していただきたいですね。これは逆効果が生じているところもあるんです。例えば、小学校で英語をしてこなかった子どもたちもいます。一方で、英語をちょっと生かじりでやっていく、そうすると、実際、中学に入ると、英語をやってきた子どもは最初の授業を怠ける、分かっているからやらないんだそうです。しかし、そのうちにだんだん勉強しない習慣になってきて、逆にそういう子どもたちがついていけなくなる。そのような問題が現場では起こっているんです。そうしますと、これは英語に慣れていたのがよかったのかどうなのかですね。小学校英語教育についても予算が随分組まれているようですから、そうであれば、従前の小学校英語の総括みたいな、これのために予算を使ってみたらどうですか。そして、きちっと、全国でなくてもいいわけですから、客観的な評価を、それこそ第三者評価を入れてやってみたらどうでしょうか。そして、よければ追跡調査により、果たしてどれくらいの効果があるのか検証してみては、ということが1つです。
 それから、今、中村委員も言われたんですが、ネイティブ・スピーカーを入れているところは月に1度だけ、それも40人学級に1人入れているんです。小学校では45分間、それで月1回だけなんです。素案には担任中心にとありますけれども、担任で英語がネイティブ・スピーカーとほぼ同等に使える担任というのは、率直に申し上げて非常に少ないんじゃないですか。だから、ここではほかの方法で、CDとか、いろいろなもので工夫しようという、この点については僕は賛成なんです。それにしても、10校とか20校に1校ぐらいですね、センター的な機能ですから。それで研修、研修と言って、小学校で英語を教えるための特別研修がいろいろやられているんです。やられているんですけれども、これも教員の負担が非常に大きいんだけど、どのくらいの効果が上がっているかという点が非常に問題ですから、これも含めて、僕はきちっと評価していただきたいと思いますね。僕は英語活動を小学校に入れることが即悪いと言っているわけじゃない。ただ、ちゃんと評価をしないで、むやみやたらにやっていくと、逆効果まで起こるんだったら、何のための英語教育かということになってくるんです。
 それから、大胆に、やっぱり僕はスペイン語ならスペイン語も、地域では、もう本当にスペイン語がそのまましゃべれるわけです。あるいはポルトガル語、朝鮮語でしゃべっている子どもたちもいるわけです。ですから、そういう言語も学校で十分に使えるようにするべきじゃないでしょうか。その方が、日本の国全体としては国際化できていく。要するに、他の外国語ができる国民が増えていくというような意味では、私は逆にそれをうまく生かした方がいいんじゃないかという気がいたします。
 それから34ページにいろいろ出ています。特別活動、時間数1コマ等の問題もあるんですけれども、それから教頭や主幹や教師で情報交換、意思疎通を図ると言うんだけど、先ほどもありましたように、非常に教員が多忙なんですよね。なので情報交換や意思疎通がなかなか図れない。逆に言うと、図るために子どもたちに接する時間がなくなる。教材研究の時間がつぶれるということもありますね。ですから、この学習指導要領、あるいは教育課程を変えていくんだったら、それをより効果的に実現していくための条件整備が必要だというようなことですよね。条件整備がまず必要じゃないかということと、もう1つは、教育委員会や学校の裁量の時間というのがありますけど、学校では今でも予備時間というのをとって増やしているんです。これは減ることはない。増やすことを裁量しているんです。それと同時に、ここにありますように、10分間授業の問題、長期休業の問題等、ここに書かれている学校の裁量時間というのは、限られた裁量なんですね。裁量においても、何か基準というか形が決まっていて、これで裁量と言えるのかどうかですね。「ゆとり」とよく言われる。「ゆとり教育」というのは使ったことないと、これは田村先生もよく言われるんですが、それは確かに「ゆとり教育」はない。しかし、学校や教員には、もう少しゆとりが欲しいですよね。ゆとりが欲しい。そうじゃないと、本当に子どもたちが学校に希望を持って行くところでなくなっていくような気がいたします。それが1つです。
 もう1つは、幼稚園、保育園からの小1プログラムですね。これももう少し具体的に書いていって、子どもたちのために何がいいかですね。幼稚園から来た子ども、保育園から来た子ども、小学校1年で一緒に指導していくわけですよね。教育していくわけですね。そうすると、やっぱり定数の問題もありますが、特別に、そのための加配というのが必要じゃないだろうかという考え方が1つあると思います。
 それから、ここで規範意識というのがやたらに出てきますけど、私は率直なところ、小学校の子どもたちが一番規範意識が高いんじゃないかと思います。だんだん学年が上がるに従って規範意識がなくなっていっているんじゃないですか、日本の現状としては。そして最も悪いのは大人じゃないかと思いますね。だから、小学生の規範意識。本当に行ってみてください。行儀いいところは、本当に行儀がいい子どもたちが多いですよ。しかし、規範意識というような言葉よりも、ルールだとか、あるいは生活習慣だとか、そういう形にして、本当に今、僕は非常に小さい子どもであればあるほど道徳性が高いというような気がいたしておりますので、ちょっと考え方を変えていただければと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 条件整備、これは小学校の外国語にしてもそうですが、基礎的な教科については時間数を確保していく。そのためには人の手当ても必要なわけで、そのほか、いろんな手当てが必要となります。18ページ、19ページ、これは前回、見ていただきましたけれども、項目として挙げてあるんですが、今の小学校部会の素案にあたる部分を見ると、もう少し丁寧に条件整備を書き込んだ方がいいかなと。教職員配置、設備、教科書と列挙するんではなくて、何かもう少しというふうな気がいたしました。
 それから、今ご指摘ありました小学校の英語活動。これは公立の学校でも特区をとって、町ぐるみで取り組んでいるところが、今、全国で各地にあります。そういうところで、例えば、小学校と中学校の連携がどうなっているかとか、指導者の確保はどうなっているか等々、少し実態を調査して、これは中間的なまとめですから、この方向性はきちんと出すとしても、最後の答申を出す段階では、そういうことの裏づけになるような、これでやれるという何かデータがあった方がいいと思いますんで、例えば38ページに「指導者及び教材等」とありますけれども、本当に学級担任中心で、実際に町ぐるみでやっているところ、小学校1つや2つだったら別ですけど、これは無理は承知で言うんですけれども、町単位でやっているようなところ、幾つもの小学校、中学校が組み合わさってやっているようなところで、本当にうまくいっているかどうかというようなことを含めて、ちょっと現状を調査していただいて、データを用意できればと思います。これでやれると言うんでしたら、これでやれますし、やっぱりこれだけのALTがプラスアルファ要るよねとか、あるいは一部そういうことができる人材を地域から特別講師として手配するとか、いろんなことがあるんじゃないかと思いますんで、少しお考えいただければと思います。
 ほかに。陰山先生、そして角田先生、市川先生、そして荒瀬先生、天笠先生。

【陰山委員】
 ありがとうございます。
 私も英語教育のところはもう少し丁寧にやらなければいけないんじゃないかという気がいたします。現場の方では、よく英語教育、つまり言語教育か、それとも異文化理解かということがずっと議論されてきました。ここで小学校の高学年で英語というふうに出てくるということは、私はこれは言語教育としての英語なのだと理解しているわけです。そうなってくると、ここのところは整理をされたととらえるとするのであれば、では、なぜこのような整理がなされたのかということも、やはりきちんと説明しなければいけないと思うんです。
 私は個人的には、今もアジア各国が実質英語教育に取り組んでいて、もはや英語というよりも国際語になりつつあると。おそらく、もう2、3年後、どこかでアジアの若者たちが集まったときには、韓国の若者たちも、中国の若者たちも、タイの若者たちも、東南アジアの若者たちも、みんな通訳を介さずに、直接英語でやりとりするようになるだろう。そのときに、日本の若者たちが入っていけるかどうかということじゃないかなと思うんです。国内において、たくさんの外国の人が来ているけれども、それは異文化理解の問題であって、これはやっぱり別の問題であると。むしろ、そのグローバリズムに対応するために英語が必要なんだというふうに私自身は解釈しているんですけれども、それがいいのかどうか、そういうことを1つ理解をしておかなければいけないんじゃないかと思います。そうなってきますと、今度、総合的な学習の時間というのが1時間減ったわけなんですけれども、これについても、いろんな議論と異論があったわけで、ここについても、やはり整理をする必要があるのかなという気がいたします。
 例示をするしないという議論があったんですけれども、私は個人的には、積極的にむしろ例示をするべきだろうと思っています。つまり、日本の社会が、今後どのようにやっていくかという。例えば、今一番話題になっているのは環境問題ですけれども、これはもう日本人全体、あるいは地球に生きる人間が全体で考えなければいけない問題ですけれども、これは理科や社会とかに位置付けられない、まさしく総合的な課題じゃないですかね。そういうふうなことを幾つか例示をしておいて、高等学校入試や大学入試のときには、あなたは環境について勉強してきてどんなことを考えましたかということを、ほんのわずかでもいいから文章に書かせるというようなことを入試でも扱うということになってくれば、これが一貫してくるのかなという感じがします。
 そういう点で考えますと、今の学習指導要領があまり評判が良くなかった最大の理由は、実は、ここにまだ書かれていないんですけど、系統性の問題だろうと思うんです。系統性。ここで今、厳選という言葉が使われていますけれども、私はこの厳選が本当によかったのかどうかということをものすごく疑問に思うんです。私がよく申し上げるのは地理の問題なんですけれども、中学校では海外の国は3国しかやらないけれども、高等学校に行くと世界史が必修になる。ところがセンター入試になると、また選択になる。これに対応するために未履修の問題が起きたりとか、あるいは公立と私学のカリキュラムの違いが生じてきたりとか、あるいは公立の子どもたちが私立の高等学校に行くためには全く別枠の地理の勉強をやらなきゃいけないとかというような、いろんな問題が起きてきたんです。この点で、やはり厳選と同時に系統性については最大限の配慮をするということを1項入れていただいて、きちんとこれについては対応していただきたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃあ、角田先生。

【角田委員】
 ありがとうございます。
 小学校部会に所属をしておりますので、細かいことについては、小学校部会で、また話をしていかなければいけないんだろうなと思いながら、やはり親部会のところで、きちんと今こういう疑問があるということをお話をさせていただこうと思います。
 最初に29ページのところから、小学校の教育課程の枠組みが出ているわけでございますけれども、最初読んだときに、現場のことを考えて、とてもよく書けているなと読んだんですが、だんだん読んでいるうちに、「ん、ちょっと待ってくれよ」というところが出てまいりました。例えば、(1)のところで、教科、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動、これがいわゆる教育課程ですよと。そして(2)(3)、これは(2)は教育課程に入りますけれども、(3)は教育課程外ですよとなっているわけです。
 実は、この(1)のところは、標準時数をぎりぎりのところでクリアするわけですが、(2)のところの学級活動以外の特別活動、ここのところがかなり実際の授業時数に入ってくるわけです。これは実際には授業時数にはほとんどカウントされないで、35時間の特別活動以外はノーカウントになっているわけです。年間通して35時間をオーバーしているよという表記がその後の方にはあるんですけれども、標準時数ですから、最低時数として、これは確保しなきゃいけないわけですから、実際に、確かに教科の時数も35週の時間をオーバーするように、5時間ないし10時間ぐらい、各学年、多分持っているだろうと思うんです。でもそれは、例えば10時間、よしんば持ったとすると、第1学年から第6学年まで60時間、6学年で360時間だから、この350時間に大体当てはまるわけなんですけれども、しかし、それは6年間トータルして350時間なんであって、例えば、この間のように台風が来て1日休校しますよ、あるいは流行性感冒でインフルエンザがはやって休みますよ、あるいは何か自然突発的な、いろんな問題があって休みになったというときには、1年から6年までみんな休んじゃうようなことになってしまうわけです。そうすると一遍に50時間、60時間はすぽっとなくなっちゃうんですね。したがって、ここでは各学年が標準授業時数を上回っていますよと言うけれども、350時間上回れるということにはなり得ないと思います。350時間を、例えば特活だとか、いわゆる行事といったようなところで賄うということであればできるんだけれども、教科の時間に全部割り振ったらば、とても現在の小学校ではやり切れない。確かに週1時間、第6学年については1時間オーバーすることもできるし、低学年で2時間オーバーすることができるけれど、それは授業として可能かということになると、これはなかなか難しい問題があるなと思っています。この辺については、また小学校部会でも検討していきたいと思いますが、350時間をそのまま全部そっくり教科の授業時数に増やしていくんだという考え方は、かなり現場ではきついなと思っています。
 あわせて英語の学習なんですけれども、私も結局、総合的な学習の時間の中で、3時間のうちの1時間で英語活動あるいは外国語活動をやっているところが大部分なので、もうこれは義務教育として追認せざるを得ないだろうなと思っているわけです。ただ、しかし、その中身を考えると、国際理解でやっているところもあれば、英会話でやっているところもあるし、それぞれの地域の実情に応じてやっているものが違うわけです。それを今回、英語教育というふうにはっきりとするのか、あるいは言語力の育成の観点から表現力を重視するとして、英語であってもいいし、ボディランゲージであってもいいし、非言語のようなものでもいいですよというふうにするのか。ここで英語教育、英語活動が中心になって、しかも、英会話ができる日本人をつくるなんていうことになってくると、また全然、今やっている英語の時間とは違ってくると思います。ですから、この辺のところを十分、目的をどういうふうに定めるのかということです。その目的によっては、今度は教師の教材研究というのは、たった1時間であっても、ものすごく負担となってくるわけです。
 さっき言った350時間が増えるということも、中身がもっと検討されるにしても、更にそこに英語の1時間が入ってくるというのは、高学年の持ち手がますます減ってくる。おそらくこれは、この高学年に対しては、親御さんから、担任が授業をすれば、あんな下手くそな英語だったらば、私がやった方が上手だとか、そういうクレームがどんどん来るだろうと思います。そうなると、条件整備がどこまで整えられるのかということをしっかり書き込んでいただく必要があるだろうと思います。
 もう1つ、全然別の観点で、今、低学年で外国語をやっているところがあるんです。第1学年から第4学年までの間、低・中学年で英語をやっている。そこでは、どこもぶら下がりの時間をつくってやっているわけです。今度、低学年、第1、2学年が、特に2時間、授業で増えるとなったときに、英語をやっていた学校は、更にもう1時間ぶら下げなきゃならないという問題が出てくる。それができないとなると、結局、生活の中でやるとか、あるいは国語の授業の中にもぐり込ませるとか、結局、便宜的にやるような形になるということが実態としてあると思います。したがって、この辺については、更に十分、小学校部会でも検討していかなければいけないだろうと思いますけれども、小学校の実情として、教科の授業時数を350増やすというのは、かなりきついなというのが実感でございます。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、市川先生。

【市川委員】
 それでは、少し細かい点を2つと、それから1つは大きな問題を言わせていただきたいと思います。
 まず、これは中学校部会でも出たことなんですけれども、名称のことなんです。総合的な学習の時間という言葉は、私たちはもう随分なれてしまったので、当たり前のように使っていますけれども、やはりはたから見たときに非常に長ったらしくて使いにくい言葉という印象を持たれるんです。言われてみると、そうかなという気もします。何で総合学習と、すぱっと言ってくれないのかというご意見がありました。今回の改訂ですぐに変えるということは無理かもしれませんが、いつまでも総合的な学習の時間という、非常に長い、持って回ったような言い方をずっと続けるのかどうかということは、どこかで検討してもよいかと、確かに私もそのときに思いました。
 もう1つは、この「小学校段階の外国語活動(仮称)」なんですけれども、今後検討されるかと思うんですが、実際にその後の文章を見ると、もう英語が想定されていて、英語、英語と出てくるんです。それならば、むしろ「英語」という名称を使った方がいいのかと思います。じゃあ、本当に英語に限るのかというご議論も今ありましたけれども、これもかなりこれまで出てきた議論で、私は基本的には陰山先生が今仰ったようなことに賛成で、やっぱり英語なんだろうと。うちのクラスには、例えば、ほかの言語の子が10パーセントいる、20パーセントいるからといって、じゃあ、その言語をやるのかというと、おそらく親御さんや子どもたちは、それをこの活動の時間にやりたいと言わないのではないか。それから先生も、じゃあスペイン語を勉強して、この学校でそのクラスを持ったらスペイン語をやるのか。おそらく言わないのではないか。そのスペイン語の子どもたちが、例えば1割いるとしたら、その子たちにも英語を学ぶチャンスが小学校段階でむしろ必要なのではないかという気が私はいたします。それで英語ということで今回割り切るのであれば、私はもうはっきり「英語」という言葉を使った方がいいのではないかと思っています。それは個人的な意見です。
 少し大きな問題ということなんですが、やはり英語についてなんですけれども、これまでこの部会の中で、小学校に英語を必修として導入するということに賛成か反対か、もうかなり長く議論があって、アンケートの結果もかなりはっきり分かれると。どこかで何らかの妥協をせざるを得ないと。そして、妥協した上で、その中身をどうするかという議論を早くした方がいいんではないかということを私は言ってきたつもりです。今回、高学年に週1時間という、本当にこれは妥協点だと思うんです。積極派から見ればあまりにも少ない、反対派から見れば必要ないという時間だと思うんですが、ここでも大体議論を集約しようとしていると。ところが、導入に反対か賛成かという、この2つの考え方以上に、私は導入派の中にも2つの考え方があるということをかなり伝え聞いています。これは陰山先生がまさに仰ったことで、要するに、国際理解派とスキル派なんです。ここの今の文章を見ますと、やはりその両方の考え方が、それぞれ出ているなと。一見、ちょっとちぐはぐなようにも見えるところがあります。英語教育の目的というのは、要するに、一種の異文化理解、国際理解のようなもの、そこでコミュニケーションを図ろうとする態度と、これは多分、国際理解派の仰ることだと思うんですが、実際には、例えば、音声についての理解を深めるとか、それから次のページに共通教材をつくる。質をある程度確保するために共通教材をつくると。これはかなりスキル派の仰っていることではないかという気がします。そこでどうするかという議論は、あまりこの部会でなされていないのではないかと思います。これが、どうも目標としてちぐはぐな感じがする。両論併記だと、どっちも求めるのだということであれば、そういうふうに目標のところも両方あるんだ、この両方をやっていくと書いた方がすっきりすると思います。目標として一方の考え方を出しておいて、中身になると、別のことも出てくると、ちょっと齟齬を来すのかなと。
 私の個人的な考えでは、国際理解的な活動というのは、むしろ総合的な学習の時間でもできることで、この週1時間、たった週1時間ですね。ここではある程度スキル的なことをしっかりやった方がいいんではないかと思います。それは必ずしも中学校の英語の前倒しということではなくて、前倒しではないけれども、中学生になったとき役に立つというようなことですね。例えば、英語の発音が、やっぱり日本語と違うのだということを意識して練習することとか、簡単な文字とつづりと発音の対応、フォニックスですけど、そのごく簡単なこととか、中学校でもあんまりやってくれません。それから、ごく簡単な日常的な単語は、やっぱり100でも200でも覚えておけば、それは中学校に行ったときに役に立つと思います。そのようなことをしっかりやっておけば、これだけの力がついた、その上で中学校の英語にスムーズに接続できるということも示せると思いますし、中学校側でも、おそらく歓迎してくれるのではないかと。あまりこの時間は抽象的な目標を立てずに、ある程度、そういう英語を学ぶための基礎の基礎、英語を学ぶときの態度であるとか学習面に力を入れて成果を出すと。国際理解派の言ってらっしゃるような活動は、むしろ総合的な学習の時間でもやろうと思えばできることですし、そこで展開するというふうなメリハリをつけた方がいいんではないかと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 今ご指摘のように、いろんな議論の中で、妥協というか、幾つかの要素、考え方のすり合わせをしなきゃいけない面がありますが、しかし、最後、打ち出すものは玉虫色になっちゃいけないと思うんです。玉虫色になると、結局現場が混乱して、虻蜂取らず、結局、何もならないことになりますんで、もう最後出す場合には、はっきりしたものを、いずれにせよ出していかなければという、私はそういうことを思って伺っておりました。
 じゃあ、荒瀬先生、お願いします。

【荒瀬委員】
 英語の話が出ましたので、私もまず英語の話をしたいと思うんですけれども。教育課程部会でずっと、小学校英語をどうするのかという話の中で、私自身は小学校英語、小学校で英語をやるということを通して、言語についての子どもたちの取組というのを進めることができるきっかけになればいいのではないかなということを思っておりました。本来は、それを日本語でやっていくことが大切だというご意見が相当強くあって、37ページの「小学校段階における外国語活動(仮称)」の目標及び内容の2つ目の○の下4行ぐらいですけれども、「中学校の英語教育を前倒しするのではなく、国語や我が国の文化を含めた言語や文化に対する理解を深めるとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図ることを目標として」とあります。残念ながら、現行では高校生でも日本語による積極的なコミュニケーションを図ろうとする態度というのが、そんなに育成されてはいないように思います。それが、ですから、本来は日本語でどうしてできないのかということなんですけれども、英語も使って、いろんなきっかけを利用して、子どもたちが積極的にコミュニケーションを図ろうとする、そういう訓練というんでしょうか、それをすることによって、一層日本語に対する理解も深まっていけばいいのではないかということを私は思っています。
 それについて言えば、積極的にするということが目標であれば、これは38ページに、評価の対象にしないと書かれておりますけれども、評価の対象にしないじゃなくて、教科、科目と同じように、成績のつけ方を工夫する。総合的な学習の時間と同じような成績をつけていって、しゃべればいいというのも無責任な言い方ですけれども、どんどんと積極的に参加していくということを奨励すべきだと思っています。
 ただし、その際も、今、市川先生も仰いましたし、陰山先生も仰いましたけれども、私はきちっとスキルは教えておく必要があると思います。スキルがないからきっかけができなくて、なかなかしゃべれないということがありますので、私自身、中学校英語の前倒しではなくてというのも、随分とこれは用心深く書かれていますけれども、どうして中学校英語の前倒しではだめなのかなという気持ちさえ、実は持っています。スキルを教えるということであればです。その際に、これも38ページに出ていますが、何が一番大事かというと、言語を習得する上で一番大切なのは、私自身は高校生の英語力のアップということを考えてもそうなんですけれども、耳が一番大事だと思っています。ですから、本当にしっかりと英語を聞くという、言語を耳にしているということを授業の中でできていくような方向で学習指導要領が書かれていく必要があるんではないかなということを思っています。
 ちょっとこれは余談のようになりますが、8月の頭に国際会議を高校生が企画運営してやったんですけれども、実は、その際に、相当に英語がしゃべれる人間であるはずなのに、実際にはしゃべれない、議論に参加できないということが現実にありました。前にも申し上げたかもしれません。それは、やはり問題を総合的に判断して、この場面でどういうことがテーマになっていて、それに関して自分自身で意見をまとめていくという、そこのところが極めて日本の教育においては十分でないのではないかなということを思ってしまいました。ヨーロッパのみならず、アジアの高校生たちも非常に積極的に自分の疑問を口にするし、相手の言ったことに対して自分の意見を言う、そういう姿勢が極めてはっきりと見えました。日本の高校生は、なかなかそこのところが弱いと。その弱さには2つの大きな理由があって、やっぱりスキルが十分でないと。どんどんと積極的にしゃべっていいんだという思いがないということと、もう1つは、しゃべるべき中身というのが自分の中できちっと整理されていないということなので、英語教育をするということは、言語教育で、日本語においてもそうですけれども、もっと積極的に言おうという意思をどうしたら高めていけるのかということをしっかりと考えた上で、これは陰山先生のお言葉にありましたけれども、系統的に小学校段階からどんなふうにしていくのかというのを考えていかないとだめだろうということを思いました。
 もう1つは、これも陰山先生が仰ったことなんですが、厳選ということが31ページに書かれています。でも、厳選するということでありますけれども、本当にどう厳選するのか、どのように厳選するのかというのが、ここでは分からないです。どのように厳選するのかということなくしてやってしまうと、ばらばらな知識が頭に入ってしまって、冒頭申し上げましたけれども、結局、それらの知識を活用して、例えば、やりとりをするということにおいては、ほとんど意味を持たないといいますか、十分に、その得た知識をしっかりと活用していくという力にはつながっていかないと思います。ですから、厳選の中身が大事なんだろうということを思います。
 それらを含めて、最後に申し上げたいことは、これもご意見が出ていましたけれども、条件整備ということです。31ページや34ページにも、その条件整備のことが書かれていますし、時間数の国際比較のことが書かれています。授業時間数についての国際比較はありますが、一概に比べられないということは、要は1クラス当たりの子どもたちの人数ですね。ここのところが実は非常に重要なのだろうと思います。ですから、時間数は標準的だということですけれども、じゃあ、1クラス当たりの児童数は標準的なのかどうか。いわゆる先進国の中で、日本の児童数、生徒数はどうなのかということを考えていくと、これは随分とお金の要ることで、大胆な話になっていきますけれども、そこのところの下支えがない限りは、様々な教育の活動というのは極めて難しかろうと思うのです。
 34ページに、これも先ほどご意見の出た部分ではありますけれども、2つ目の○で、最後の3行のところで、校長、副校長、教頭、主幹教諭、教師との間の情報交換をやるというふうにありますけれども、何か突然主幹教諭なんかが出てきて、置くことができるとされた副校長や主幹教諭を置いたがために、情報交換をする時間が必要になったかのような感じですが、これはもともと教育活動をしていこうと思ったら、本当に学校としての教育力を高めるために、教員の情報の共有というのは非常に重要で、その点からも28コマを35週でやるのは妥当だということですが、しかし、実際には、それを本当にやっていこうと思ったら、抱えている児童生徒の数をどのようにしていくのかというのは、とても大事だと思います。
 3つ目の○では、こんなふうなことが、教育委員会や学校の裁量によって、多様な取組として行うことができるとあるんですが、私はここをどう読んでも、これは苦肉の策としか読めません。ですから、本当のところどうしていくのかということを考えたときの条件整備を、これは学習指導要領とは違いますけれども、学習指導要領の目指すところを実現するためには、そこのところを強く訴えかけていかなければいけないのではないかということを思いました。
 以上です。

【梶田部会長】
 大事な点を幾つもご指摘いただきました。
 特に、ちょっと外国語活動で37ページの下から3つ目の○、これはやっぱり配慮し過ぎ、工夫し過ぎて、結局、非常に高望みを子どもにしてしまっているんじゃないか。これでやっていったら、結局、玉虫色というか、何をどうしていいか分からなくなるという、国語や我が国の文化を含めた言語や文化に対して理解を深めるとともに、英語教育というのをやるんだったら、岡倉天心の『ア・ブック・オブ・ティー』ぐらいは読ませんといかんけど、それは高校生も今は難しいだろうしということを思ったりして、この辺、ちょっとまた表現をもう少し素直になるようにしたいと、今の書き方では工夫が行き過ぎているんだろうと思いますね。
 というようなことで、今度は天笠先生、お願いします。

【天笠委員】
 時間ももう迫っているようですので、2点ほど申し上げます。いずれもこれまで言われたような条件整備にかかわってなんですけれども。
 1点目は、既に多くの委員が言われましたけれども、やはり英語担当の指導者というのを学級担任でというところを、どういうふうにとらえていくのかということであります。研究開発学校の成果としては、やはり学級担任がその気になって指導者となることに効果があるというんでしょうか、そういうデータ等々もあるわけなんですけれども、研究開発学校のように、学校を挙げて、しかも比較的時間を掛けて、そして、そういう環境を整えたところでというのは、それとしてデータなんですけれども、これから取組を求めていくところは、あまり時間も掛けられない、人もなかなか得られないようなところです。そこでどう考えていったらいいのかということに関するデータが、基本的には、まだ十分ではありませんので、例えば、指導者に求められる要素などについても、ある意味で早急に、データをとることが私は必要ではないかと思っています。具体的に言いますと、担任なのか、あるい専科なのか、あるいは中学校で英語を担当されている方にお願いするのかとか、そこら辺のところをもう少し詰める必要があるんじゃないかと思います。そういう意味で、費用対効果というんでしょうか、学級担任の研修に時間を掛けるという点について、どの程度のことをお考えになっているのかということも含めて、あるいは、どの程度のことをやれば一定の成果が得られるのかという観点からの検討も、やっぱり必要なんじゃないかと思うんですけれども。いずれにしましても、現在の段階で小学校で進めようとした場合には、おそらく市町村の教育委員会の財政力の問題があらわに出てくる可能性があるのではないかと思われるので、そういう意味で、国においてはという、この文章では、研修ですとか指導者の確保というあたりにかなり手当てしていくとか、かなりしっかりしたシミュレーションを組んでいくということが、この話を進める大前提になるんではないかと、そんなふうに思っております。
 2点目ですけれども、今の点にもかかわってくるんですけれども、改めて小学校における指導体制というのを、もう少ししっかりと我々は検討する必要があるのかなと思っております。ご承知のように、小学校は伝統的に学級担任制でここまで来ているわけなんですけれども、既に学習指導要領では、昭和40年代の改訂から、総則において、協力指導とか教科担任制とか、そういうものを配慮事項の中に入れて、そして取組を促すような流れを持っているわけですので、更にこういう課題等々を考えた場合に、小学校の、あるいは低・中・高学年における指導体制のメリハリですとか、あるいは大規模校における指導体制ですとか、中小規模校における指導体制はどうあったらいいのかと、こういうことについての提言というんでしょうか、記述することも、私は必要ではないかと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 大体時間が来ました。最後に無藤先生に一言いただいて、今日は終わりにしたいと思います。

【無藤委員】
 たくさんのご意見ありがとうございました。もう時間がありませんので、若干だけ、小学校部会での議論などをご紹介したいと思います。
 1つは、小学校において、やはり幾つかの教科については、最終的には350時間ぐらいというふうに出しましたけれども、そのぐらいの授業時間を増やす中で、基礎知識の定着、またその活用能力を増すということで、確かな学力の確保を図るべきだという方向でございました。また、特別活動等の中で、体験的な活動を充実させるということが、これも「言葉と体験」ということで求められているわけでありますけれど、その体験活動については、例えば総合的な学習の時間の活用とか、あるいは学校裁量における授業時間の工夫の中で何とかやっていけるのではないかというふうに考えております。とはいっても、ご指摘のように、なかなか厳しいところがありますけれども、小学校全体としては、そういう方向であるということであります。
 もう一つは、特に英語、外国語活動等にご意見をたくさん頂戴いたしました。それらのかなりについては、外国語専門部会で以前議論いたしまして、この部会にも1度ご報告しましたけれど、小学校英語の導入ということを改めて考えて、おそらくもう一度議論できると思います。その中で、研修等を実際にどう進めるかとか、あるいは、おそらく学習指導要領に記述する際の書きぶり等について検討できると思いますし、先ほどご意見ございましたが、国際理解とスキルの組合わせをどうしていくかということは、当然、外国語専門部会には小学校英語の専門家が何人もいらっしゃいますので、議論されていくと考えているところでございます。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 本当に限られた時間で、皆さん、ありがとうございました。
 今日は体育、美術・音楽関係、それから幼稚園、小学校の問題、皆さんにざっとご覧いただきまして、いろいろとご意見いただきました。先ほど申し上げておりましたように、お気付きの点を事務局まで送っていただきたいんですけれども、メールかファクスか何か、お手紙でも結構ですが、私、今週末までと申し上げましたけれども、次回の会議日程からいうと木曜日、13日まででないと、連休がありますので間に合わないそうです。申し訳ありません。9月13日、木曜日までに必着で、是非よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後にですが、本日は鳥居顧問にご出席いただいておりますので、一言ご挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【鳥居顧問】
 ご挨拶ではなくて、さっき申し上げたことの繰り返しになるんですが、お手元にある学習指導要領そのものですね。それを先生方に是非ご覧いただきたいと思うんです。1つだけ例を申し上げますと、中学校の英語のところは、中学校の学習指導要領の90ページから99ページまでに書いてあります。約10ページですね。その中に教えなければならない単語が100単語書いてあるんです。その並べ方は、極めてアトランダム、要するに、これはABC順に並べてありますので、結果としてはアトランダムになってしまって、heとかsheとかいうのは、とんでもないところに離れて書いてあるわけですね。それをどう直すかという具体的な問題を抱えています。さらに高等学校の学習指導要領もご覧いただいた上で、高等学校の学習指導要領をいかに充実するか、更に中学校の学習指導要領をいかに充実するかをお考えいただいて、その上で小学校の学習指導要領をどうつくるかということをお考えいただければ幸いであります。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 本日、陰山先生、荒瀬先生からも繰り返し出ましたように系統性ですね。学習の積み重ね。これを忘れちゃうと、思いつきがどんどん入ってきてしまいますので、次回、中学校の話も出てまいりますんで、またよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、今後の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 長時間にわたるご審議ありがとうございました。
 なお、本日ご紹介申し上げませんでしたけれども、資料6-2として小学校英語に関する資料というのを入れさせていただいております。先ほど来ご議論ございました指導者、どういう方がやっておられるか、現状について、すべてデータをとっておりまして、9ページあたりに載っております。本部会のご議論をおまとめいただく際には、そういったデータも、本文、あるいは脚注に取り込みながら、ご議論、整理賜りたいと存じますので、またよろしくお願いいたします。
 また、次回、9月18日、火曜日、フロラシオン青山において、教育課程部会を開催の予定でございますけれども、英語につきましては、先ほど鳥居顧問からもお話がございましたように、現在は機能語100語のみ規定をしてございまして、それらを含めて中学校で900語やるということになってございます。一つ一つ語は指定してございませんけれども900語学ぶという枠組みになってございます。ただ、この900語という数字がいいのか、あるいは部会長からもお話がございましたように、系統性の中で、どういうふうに取り扱っていくのか、次回、ご議論いただければと思っております。
 今申し上げましたように、教育課程部会でございますが、9月18日、来週の火曜日、フロラシオン青山にて開催する予定でございます。中学校教育、あるいは今申し上げました外国語等につきまして、部会の議論をご紹介申し上げ、ご議論賜ればというふうに思っております。
 また、先ほど部会長からもお話がございましたように、本日の「審議の概要」についてのご意見、大変恐縮でございますけれども、おおよそ今週の木曜日、9月13日目途に、ファクスまたはメール等でご連絡いただければと存じております。
 本日は本当に長い間ご審議いただきまして、ありがとうございました。

【梶田部会長】
 どうもありがとうございました。それでは、これで本日は閉会にしたいと思います。

―了―

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初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --