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教育課程部会(第60回) 議事録

1.日時

平成19年8月30日(木曜日) 17時~19時

2.場所

グランドアーク半蔵門 「華」

3.議題

  1. 教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

 梶田部会長、木村副部会長、田村副部会長、安彦委員、天笠委員、荒瀬委員、岩崎委員、宇佐美委員、梅田委員、衞藤委員、草野委員、甲田委員、角田委員、土井委員、渡久山委員、中村委員、松川委員、無藤委員

文部科学省

 銭谷事務次官、坂田官房長、加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、布村審議官、石野スポーツ・青少年総括官、高橋教育課程課長、牛尾視学官、合田教育課程企画室長、田中主任視学官
国立教育政策研究所
 大槻教育課程研究センター長

オブザーバー

 山崎会長

5.議事録

【梶田部会長】
 それでは、ただ今より第4期第7回教育課程部会を開会したいと思います。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、中央教育審議会会長でいらっしゃいます山崎先生にもご出席いただいております。最後にご挨拶をいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 まず最初に、この度、新しく委員としてご就任いただいた方がいらっしゃいますので、ご紹介いたします。全日本中学校長会会長で新宿区立牛込第二中学校長であられます、草野一紀委員であります。

【草野委員】
 草野でございます。どうかよろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 なお、これまで委員として教育課程部会にも参加していただいておりました高橋秀美先生は、この7月をもって、全日本中学校長会の会長交代に伴いまして委員を辞任されましたので、この場をお借りして報告させていただきます。
 それでは事務局から、配付資料の確認をお願いいたしします。

【合田教育課程企画室長】
 本日は、大変遅い時間帯にご参集いただきましてありがとうございます。資料の確認をさせていただきます。
 お手元の封筒の中に資料がございますが、1枚ものの議事次第。1枚おめくりいただきまして、資料1といたしまして、本部会の先生方の名簿。資料2といたしまして、教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)の目次。資料3といたしまして、教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)。資料4といたしまして、関連資料。資料5といたしまして、言語力の育成方策について(報告書案)。資料6といたしまして、本日の小学校部会で配付されました小学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)。資料7といたしまして、8月28日の高等学校部会で配付されました高等学校の必履修教科・科目の在り方について(検討素案)。以上でございます。
 不足等ございましたらお申し付けください。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それでは本日の議事に入りたいと思います。
 本日は、いよいよ秋に発表する予定の審議のまとめの検討素案について、皆さんのご意見をいただきたいと思っております。前回までの教育課程部会で順次いろいろな検討課題について審議してまいりました。しかし、この第4期の教育課程部会というのは、その土台に第3期以前の教育課程部会における審議の積み重ねがございますので、これを踏まえて今までの議論をまとめるということになりまして、第3期までずっと部会長をお務めいただきました木村先生にその取りまとめをしていただくということに、前回、させていただきました。木村先生にご苦労いただきまして、本日、検討素案として出ております。
 今日はこれを皆さんにご覧いただきまして、いろいろとご意見をいただきたいと思うわけですけれども、まず最初に木村先生から資料の概略をご説明いただきまして、その上で事務局からその詳細について説明いだたきたいと思います。
 それでは木村先生、よろしくお願いいたします。

【木村副部会長】
 それでは、私の方から説明させていただきます。
 ただ今、梶田部会長からご説明がございましたように、前回、7月13日の教育課程部会におきまして、これまでの審議の内容をわたしと事務局と相談してまとめてほしいという要請がございました。そこでそれを受けまして、昨年2月に我々の出しました審議経過報告、それから本年1月に出しました審議の状況、これらにその後開かれました部会、更に専門部会で出ました御意見並びにヒアリングで頂いた御意見などをつけ加えまして、私がまず骨格をつくりました。その骨格にのっとりまして、事務局と相談してこれまでの審議の概要を整理したのが資料3でございます。
 資料3については、後ほど事務局から詳しくご説明いただきますが、私からは資料2の目次についてだけ簡単にご説明申し上げます。資料3のつくり方については、これは大体、中央教育審議会で慣例になっております方法をとっております。まず、部会並びに専門部会で出ましたご意見の主なものを、項目ごとに整理いたします。それを我々は骨子案と呼んでおりますが、それをまずつくり、その骨子案を眺めた上で、更に重複の部分を整理し、それから非常に強い意見のあったところを強調するという方法でつくりましたのが資料3でございます。かなり一生懸命作業したのですが、時間の関係もあり、お読みいただくと分かりますように、まだ重複する部分がかなりあったり、文章的に直すべきところが多々ございます。その辺はご容赦いただきまして、本日は今後の審議の一つの素材として提供するということにさせていただきたいと思います。
 それでは資料2をご覧ください。最初の「これまでの経緯」でありますが、ここでは、中教審でのこれまでの教育課程部会の議論の経緯を簡単に紹介しております。
 また、1番目の「教育の目的とこれまでの学習指導要領改訂」のところでは、人格の完成という教育の目的の実現に向けて、戦後の学習指導要領改訂がどのような軌跡をたどったかについて概略を紹介しております。同時に、今回の改訂に当たっては、社会の変化や子どもたちの現状を見据えることを出発点としたことを明示いたしております。これまで、こういう経時的に学習指導要領について記述したものはありませんでしたので、そういう意味ではかなり興味のあるドキュメントになっているのではないかと考えております。
 次に、2番目の「現行学習指導要領の理念」のところでは、現行の学習指導要領が立脚しております、「生きる力」という理念が、知識基盤社会の時代と言われる変化の激しい社会を担う子どもたちに必要な力として、ますます重要になっているとの認識を部会で共有することができましたので、そのことを記述しております。これはOECDの、「キーコンピテンシー」の考え方や、改正教育基本法の基本的考え方とも軌を一にしているものでございます。
 それから、3番目の「子どもたちの現状と課題」では、「生きる力」という理念が実現されているか否かの検証をしております。その結果、確かに評価すべき点もありますが、やはり思考力・判断力・表現力等が充分に身についていないこと、それからPISAの調査等で、我が国の子どもたちの成績分布が分散していること、また子どもたちが自分に対して自信を持っていないこと、更には最近盛んに新聞等でも報道されておりますが、体力が非常に低下しているということ等、問題があることを示してあります。その辺も記述してございます。
 それから、その背景、原因を整理したのが、4の「課題の背景・原因」でありまして、(1)社会や家庭・地域の変化、(2)学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立て、それから(3)はいわゆる条件整備、この3つの観点から、整理を致しております。
 そのうち、(2)の「学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立て」での分析に基づいて、学習指導要領改訂の基本的な考え方を示したのが5でありまして、(1)から(7)に整理されておりますが、私どもが強調したい点、ポイントは、(4)の「思考力・判断力・表現力等の育成」でありまして、これを知識の活用のプロセスと考えまして、このような力を育成したいと考えています。それから(6)の「学習意欲」ですが、これは我が国の子どもたちが国際比較において目立って低いところでありますので、このような形で取り上げています。また(7)「豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実」が重要と考え、この3点を特に強調したております。
 今回の改訂では、各教科で、基礎的・基本的な知識・技能の定着とともに、実験・観察、それからレポートの作成や論述といった、今申し上げた知識・技能を活用する学習活動を行うことにより、思考力・判断力・表現力等をはぐくむことを重視いたしております。そのために、どうしても小・中学校の授業時数を見直す必要があるという方向性を提示しております。また先ほど申し上げましたが、自分に自信がもてず、自らの将来や人間関係に不安を抱えているといった子どもたちの現状を踏まえまして、コミュニケーションや感性・情緒の基盤であります、言語力や、更には体験活動の充実が必要であるということを指摘いたしております。学校教育活動全体を通して見ますと、やはり国語を中心とした言語に関する能力の育成が特に大切だろうということで、この点も、強調いたしております。またPISAの調査で、我が国の子どもたちは無回答、回答していない率が高いという結果が出ています。先ほど申し上げましたように、成績分布が分散していますが、これは学習意欲に個人差があるためと考えられます。この背景は非常に複雑でありまして、必ずしも学校のみで解決できるものではありません。しかし、学校では少なくとも小学校低・中学年での学習習慣の確立、補充学習による基礎・基本の徹底、キャリア教育、資格や検定試験の活用等が必要であり、国は学力調査等で課題がある学校への支援等を行っていくべきではないかということを指摘いたしております。
 目次の2ページに参ります。9でありますが、4の(3)に対する原因分析への対応を示しておりまして、文部科学省が平成20年度の概算要求でも重視しております条件整備についての記述がなされております。(1)の「教師が子どもたちと向き合う時間の確保」から、(4)の「教科書の充実」、それから(8)の「全国学力・学習状況調査の活用」など多岐にわたっております。いずれにいたしましても、学習指導要領の理念を実現する上で条件整備は極めて重要だということを繰り返し記述させていただきました。
 最後の10でありますが、同じく4の(1)の原因分析への対応であります。家庭や地域との連携や企業、大学等に求めるもの、特に私は個人的には企業の役割が非常に大切だと考えておりますので、そこのところを少し書かせていただきました。学校だけでは子どもたちの学ぶ意欲は高まらないということです。それぞれの問題ごとに具体的な改善の方向を示しております。
 以上が審議の概要(検討素案)の構成と内容でございます。全体としては教育基本法や学習指導要領の理念が十分実現できていない原因は何であるのか、背景はどんなことがあるのか、そういうことを踏まえて改訂の基本的な考え方をまとめております。これからまとめの議論に入る教育課程部会の審議での素材としてお示しした次第です。
 また、資料3の方をご覧いただくと分かりますが、目次1ページから2ページにかけての「6.教育課程の基本的な枠組み」、「7.教育内容に関する主な改善事項」、並びに「8.各教科・科目等の内容」については、現在はブランクになっておりますが、今後、小・中・高等学校部会、あるいはまた各教科等の専門部会の審議を踏まえて、整理して書き込みたいと考えております。
 それでは以下詳細につきまして、資料3について、事務局からご説明いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 では合田室長、お願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 それでは資料3に基づきまして、ただ今、木村副部会長からご説明がございました審議の概要につきまして、若干お時間をいただきましてご説明させていただきたいと思っております。
 資料3の1ページ目から2ページ目にかけては、今次の学習指導要領改訂に関しての、これまでの中央教育審議会の経緯でございますので、説明は省かせていただきたいと存じます。
 次に、4ページ目をお目通しいただければと存じます。4ページ目でございますけれども、今、副部会長からもお話がございましたように、これまでの部会でも教育課程については大きな流れがあるといったご意見がございました。そこで「1.教育の目的とこれまでの学習指導要領改訂」ということで、戦後の教育課程の歩みをざっと描出いたしております。2つ目の○の6行目から、昭和43年改訂により教育内容も授業時数も量的にピークを迎えた。その次のパラグラフでございますが、昭和52年の改訂では、教育内容を精選するなど児童生徒の知・徳・体の調和のとれた発達を図った。次の○でございますが、昭和59年から62年にかけての臨時教育審議会、平成元年の改訂、そして現行の学習指導要領改訂という流れでございます。その中で特に4ページ目の一番下でございますけれども、「また、前述のとおり」とありますように、平成15年には学習指導要領の一部改正が行われ、この改正により、学習指導要領はすべての子どもたちに対して指導すべき内容を示したものであり、各学校は子どもたちの実態に応じて学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができることが明確になったという流れをお示ししてございます。5ページ目には、先ほど木村先生からもお話がございましたように、我が国の学習指導要領が、社会の変化や子どもたちの現状を踏まえて、それぞれの時代において教育の目的を実現すべく改善が図られてきたということを踏まえまして、今回の改善に当たっても、まず、社会の変化や子どもたちの現状を見据え、いかに教育の普遍的な目的の実現を図るかという観点から検討を行ったという、これまでの本部会の検討の視点を明示したところでございます。
 次の6ページ目でございます。「2.現行学習指導要領の理念」というところでございますが、1つ目の○でございます。現行学習指導要領は、平成8年の中央教育審議会答申を踏まえ、変化の激しい社会を担う子どもたちに必要な力は、基礎・基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人と共に協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などの「生きる力」であるとの理念に立脚しているということで、「生きる力」を詳細に明記させていただきました。その上で、2つ目の○でございますけれども、平成8年の、今お目通しをいただいた答申以降、1990年代半ばから現在にかけて顕著になった、「知識基盤社会」の時代などと言われる社会の構造的な変化の中で、「生きる力」をはぐくむという理念がますます重要になっているという、部会のご議論をまとめさせていただいております。その次の○にありますように、平成17年の中央教育審議会の答申を引きながら、知識基盤社会を紹介いたしております。そして6ページ目の一番下の○でございますけれども、このような知識基盤社会化やグローバル化は、アイディアなどの知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させるとともに、異なる文化・文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。「競争」の観点からは、あるいは「共存・協力」の観点からも思考力・判断力・表現力等や、7ページ目の1番目のパラグラフの一番最後でございますが、自己との対話を重ねつつ、他者や社会、自然や環境と共に生きる、積極的な「開かれた個」であることが求められるという認識の中で、一番上の○でございますけれども、このような社会の構造的な変化の中で次代を担う子どもたちに必要な力を一言で示すとすれば、「生きる力」にほかならないというふうに示してございます。その下の○にありますように、OECDの「キーコンピテンシー」という議論も、2つ目の○の第1パラグラフの最後の方の行でございますけれども、「生きる力」は、その内容のみならず、社会において子どもたちに必要となる力をまず明確にし、そこから教育の在り方を改善するといった考え方において、この主要能力(キーコンピテンシー)という考え方を先取りしていたと言ってもよいという考え方を示しております。同じ観点から、内閣府の「人間力」という考え方についても言及してございます。
 また、8ページ目でございますけれども、教育の目標を規定いたしました改正教育基本法、それから本部会でも何度かご紹介申し上げました、2つ目の○にありますように、学校教育法第30条2項に規定されました学力の3つの重要なポイント、すなわち下から2つ目の○にありますように、基礎的・基本的な知識・技能の習得、それを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等、学習意欲といったようなことが、今回、一連の法改正で明確になったということを踏まえますと、8ページ目の一番下にありますように、改正教育基本法及び学校教育法によって明確にされた教育の基本理念は、現行学習指導要領が重視している「生きる力」の育成にほかならないという考え方をお示ししてございます。
 9ページ目からは、ではその理念が実現しているかどうかの検証ということで、「3.子どもたちの現状と課題」ということで、これまでのご議論を整理させていただいております。9ページの2つ目の○にありますように、現在の子どもたちは、平成17年の内閣府の世論調査でも、ボランティア活動に参加した経験、あるいは今後の参加希望につきまして、15歳から19歳の年齢層が他の年齢層よりも高いといった評価、積極的な側面が見られるところでございます。この数字の背景には、全国の教師の不断の努力があるということを忘れてはならないというふうに記述してございます。他方で、10ページ目からでございますけれども、子どもたちの学力と学習状況というところでございますが、これまでも本部会でご報告、ご検討いただきましたが、2つ目の○の国立教育政策研究所の教育課程実施状況調査、それから3つ目の○のOECDのPISA調査、あるいはIEAのTIMSS調査の結果からは、2つの「・」でございますが、読解力や記述式問題に課題があること、PISA調査の読解力の習熟度レベル別の生徒の割合において、前回調査と比較して、成績中位層が減り低位層が増加しているなど、成績分布の分散が拡大していることなどの低下傾向が見られるところでございます。10ページ目の一番下の○にございますように、思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式の問題に課題があり、これらの力は現行学習指導要領が重視しているだけに、大きな課題であるという認識を示しております。また、11ページ目でございますけれども、先ほどお目通しをいただきましたように、PISA調査の読解力の成績分布の分散が拡大している要因の一つとしては、我が国の子どもたちは国際的な比較において読解力や記述式の問題の無答率が高い。これは、学力の重要な要素である学習意欲やねばり強く課題に取り組む態度自体に個人差が生じていることなどの課題があることを示しているという認識を示してございます。また、子どもたちの心と体の現状ということで、11ページの中ごろでございますけれども、自制心や規範意識の希薄化、生活習慣の確立が不十分、問題行動、あるいは自分に自信がある子どもが国際的に見て少ない、学習や将来の生活に対して無気力であったり、不安を感じている子どもが増加している、人間関係の形成が不得手。
 更に次の12ページ目でございますけれども、体力についても低下傾向等があるということで、○にありますように、子どもたちをめぐる環境の変化などを背景に、学習意欲と同様に、生活習慣の確立や自分への自信、体力などについても個人差が生じているなどの課題があるという、これまでの分析、ご議論をまとめさせていただいております。
 13ページ目でございます。これらの課題の背景ということで、「4.課題の背景・原因」について議論を整理いたしております。上から2つ目の○でございますけれども、教育は複雑な要素が絡んでおりますので、因果関係を明確にすることは極めて困難ではあるけれども、大きく家庭や地域、社会全体の問題と学校教育の問題に分けて検討をいただきました。また学校教育の問題は、学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立て、それから教師が子どもと向き合う時間の確保等の条件整備と分けてございますので、都合全体を3つに分けて考察をしてございます。
 1つ目が、「社会や家庭・地域の変化」ということで(1)でございます。13ページの下から2つ目の○においては、家庭教育の重要性ということについてのこれまでの本部会の議論を記載してございます。生活習慣の確立、大人とのかかわり等についての重要性をまとめてございます。13ページ目の一番下の○でございますけれども、豊かな時代を迎えるとともに、社会やライフスタイルの変容を背景に、家庭や地域の教育力が低下している。実際に生活習慣、あるいは親や教師以外の地域の大人や異年齢の子どもたちとの交流の場、自然体験の減少などがデータとしては生じている。また内閣府の調査でも、親自身が、子育てや教育の問題点として家庭でのしつけや教育が不十分であることをトップに挙げているという状況がございます。更に14ページの2つ目の○でございますけれども、非正規雇用者が増大しているという雇用環境の変化、それから18歳人口の減少に伴う大学全入時代の到来なども子どもたちの学習意欲にマイナスの影響を与えているということを整理いたしてございます。
 以上が社会や家庭・地域の変化についてでございますが、14ページの中ごろからは、「学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立て」ということで議論を整理してございます。14ページの下から3つ目の○にありますように、学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立てが必ずしも十分でなかったということについては、次の5点の課題があったということで、これまでの議論を整理いたしてございます。
 第1に、14ページ、下から2つ目の○でございますが、これからの子どもたちに「生きる力」がなぜ必要か、「生きる力」とは何かということについて、関係者の間の十分な共通理解がなされていないということでございます。特に教育については、「ゆとり」か「詰め込み」かといった二項対立で議論がなされやすいが、変化の激しい時代を担う子どもたちには、基礎的・基本的な知識・技能の習得と、これらを活用する思考力・判断力・表現力等を、いわば車の両輪として相互に関連させながら伸ばしていくことが求められるという認識が、十分に共有されているとは言いがたい。
 それから14ページの一番下の○でございますが、第2に、平成15年の答申でも指摘をされておりますように、15ページにわたりまして、子どもの自主性を尊重する余り、教師が指導を躊躇する状況があったのではないかということでございます。このパラグラフの一番最後にございますように、基礎的・基本的な知識・技能の習得を図ることが重要なことは言うまでもないというふうに整理してございます。
 第3でございますけれども、先ほど副部会長からお話がございましたように、一つの大きなポイントでございますが、現行学習指導要領は、各教科等で得た知識や技能等が学習や生活において生かされて総合的に働くように、体験的な学習や問題解決的な学習を重視する、総合的な学習の時間を創設した。しかし、学校教育全体で思考力・判断力・表現力等を育成するための、各教科と総合的な学習の時間との適切な役割分担と連携が必ずしも十分図れていないという問題点を指摘してございます。すなわち、本来、教科では基礎的・基本的な知識・技能を習得し、実験・観察し、その結果をもとにレポートを作成する、文章や資料を読んだ上で、知識や経験に照らして自分の考えをまとめて論述するといった、それぞれの教科の知識・技能を活用する学習活動を行い、それを総合的な学習の時間における教科等を横断した課題解決的な学習や探究活動へと発展させることが意図された。しかし各教科においては、授業時数が削減される中、レポートの作成や論述といった知識・技能を活用する学習活動については、指導や成績評価が難しいこともあって、これらの学習活動の意義が理解されず十分に行われているとは言いがたい。そのため、各教科での知識・技能の習得と、総合的な学習の時間での課題解決的な学習や探究活動との間に段階的なつながりが乏しくなり、学校教育活動全体を通じて、我が国の子どもたちの思考力・判断力・表現力等が十分に育成されていないことの原因になっているという整理をしてございます。
 次の16ページでございますが、第4といたしまして、今申し上げましたとおり、教科において知識・技能の活用という活動を行うに当たりましては、現在の小・中学校の必修教科の授業時数は十分ではないという課題でございます。この○の一番下にございますように、そのための授業時数の確保が必要であるという視点でございます。
 最後に第5といたしまして、学校教育における子どもたちの豊かな心や健やかな体の育成について、社会の大きな変化の中で家庭や地域の教育力が低下したことを踏まえた対応が十分ではなかったということでございます。その後には、特に徳育や体育には家庭教育の果たす役割が大きい、このことは変化はないものの、家庭や地域の教育力が低下する中で学校教育はそのすべては補完できないものの、道徳教育や体験活動、体育に関する指導の充実により、きっかけづくりを行う必要があるという整理をしてございます。
 16ページ目、(3)として「教師が子どもたちと向き合う時間の確保や教科書の充実などの条件整備」ということが整理をなされております。下から2つ目の○にありますように、「生きる力」をはぐくむためには、きめの細かい指導等まさに条件整備が必要になってまいります。16ページの一番下の○から17ページにかけてございますように、実際に教員の残業時間というのは増大しているわけでございますけれども、上から1つ目の○にありますように、実際に増えている時間というのは、子どもたちの指導に直接かかわる業務以外の業務に多くの時間が割かれているという実態が文部科学省の勤務実態調査で明らかになったわけでございます。1つ目の○の一番最後の行にありますように、何よりもまず、教師が子どもたちと向き合い、指導を行うための時間を確保することが重要であるという認識を示してございます。
 18ページ目でございます。以上のような問題分析を踏まえまして、学習指導要領をどのように改訂するかという基本的な考え方を示したのが、「5.学習指導要領改訂の基本的な考え方」でございます。まず18ページ、(1)といたしまして「改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領の改訂」ということが書かれております。教育基本法が60年ぶりに改正されまして初めての学習指導要領の改訂となるわけでございます。そこで18ページの一番下から3つ目の○にございますように、各教科の具体的な教育内容の改善につきましては、教育基本法第2条、あるいは学校教育法第21条といった教育の目標、義務教育の目標などの規定を踏まえて検討する必要があるという視点を示しております。また、先ほどお目通しをいただきましたように、改正教育基本法や学校教育法の一部改正などが、「生きる力」の育成を重視しているということを前提にいたしますと、18ページ目の一番下に1から6とありますように、今回の改訂では6つのポイントがあるということで、以下順次、それぞれ記述をしているところでございます。
 まず19ページでございますけれども、(2)として「「生きる力」という理念の共有」ということでございます。一番上の○にございますように、どんな組織でも構成するメンバーで理念や目標が共有されていなければ、それを実現・達成することはできないということで、何よりも「生きる力」という目標を関係者で共有する必要がある。2つ目の○では、それには3つのポイントがあるということが書かれております。これはこれからご説明する改訂のポイントでもありますので説明は省略させていただきますが、いずれにいたしましても、今次改訂に当たっては、このような「生きる力」の理念の共有というのが何よりも重要であるという認識が示されてございます。
 20ページでございます。(3)として「基礎的・基本的な知識・技能の習得」についてでございます。上から2つ目の○にございますように、現行の学習指導要領でございますけれども、各教科の知識・技能につきましては、厳選して知識・技能の確実な習得を図ったところでございます。このような基本的な考え方は引き続き重要ではございますけれども、今回の改訂においては、改正教育基本法で義務教育においては社会において自立的に生きる基礎を培うということが規定されたこと、あるいはPISA調査などの進展の中で理数教育を中心に教育課程の国際的な通用性が一層問われているという現状を踏まえまして、1つには社会の変化や科学技術の進展に伴い社会的な自立等の観点から子どもたちに指導することが必要な知識・技能、2つ目には確実な習得を図る上で学校や学年間であえて反復(スパイラル)することが効果的な知識・技能、に限って内容事項として加えていくということが必要ではないかという視点が示されてございます。知識・技能の定着、習得につきましては、20ページの下から2つ目の○にありますように、発達や学年の段階に応じた指導が重要であるという、これまでの議論を整理させていただいております。そのためには小学校低・中学年を中心とした読み・書き・計算の重視、それから音読、暗記・暗唱、反復学習などの重視といったような、これまでの議論を整理いたしてございます。また、20ページ目の一番下の○には、「重点指導事項例」ということで、21ページにかけまして、文部科学省が、学習指導要領が示す内容事項の中で社会的な自立の観点から重要であったり、子どもたちがつまずきやすいという観点から各学校において重点的な指導や繰り返し学習といった指導の工夫や充実に努めることが求められる事項の例を「重点指導事項例」として整理し、提示するということが考えられるという、これまでの議論が示されてございます。
 21ページ、真ん中ごろでございますけれども、(4)として「思考力・判断力・表現力等の育成」でございます。先ほど木村先生からもございましたように1つのポイントでございますが、子どもたちの思考力・判断力・表現力等を育成するためには、各教科において実験・観察、レポートの作成、論述といった教科の知識・技能を活用する学習活動を充実させる必要がある。各教科におけるこのような取組があってこそ、総合的な学習の時間における教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な活動も充実するし、その後、大変恐縮でございますが誤植がございまして、「各教科の知識・技能の確実な定着にも結びつく」というふうに直していただきたいと存じます。次の行、「と発展させることが重要である」というのを削除していただければと存じます。今回の教育課程部会の審議でございますけれども、21ページ目の一番下の○にございますように、知識・技能の活用など思考力・判断力・表現力等をはぐくむための学習活動について、次のような分類を試みたところでございます。その結果、1体験から感じ取ったことを表現する、2事実を正確に理解し伝達する、3概念・法則・意図などを解釈し、説明したり活用したりする、4情報を分析・評価し、論述する、5課題について、構想を立てて実践し、評価・改善する、6互いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させる、などの活動が考えられるわけでございますが、22ページの下から3つ目の○にありますように、これらの活動を支える能力の基盤となるのは、数式などの人工言語を含む広い意味での言語であり、その中心となるのは国語である。しかし、だからといってすべてが国語科の役割というものではなく、今、お目通しをいただいた1から6の活動に、それぞれ細かく「例」というのを書いておりますけれども、その例示をした具体の学習活動から分かるとおり、理科の実験・観察レポートや社会科の社会見学レポートの作成や推敲、発表・討論など、すべての教科で取り組まれるべきものである。飛びまして、このため学習指導要領上、各教科の教育内容として、これらの記録、要約、説明、論述といった学習活動に取り組む必要があることを明示すべきと考える、と議論を整理してございます。それ以外に次の○では、基本的な概念の重要性。それから22ページ目の一番下の○では、思考力・判断力・表現力等の基盤となる言語の能力の育成に当たっても、発達の段階に応じた指導が重要であるという観点から、小学校低・中学年の国語科において音読や漢字の読み書き、暗唱などによる基本的な国語の力を定着させるとともに、古典の暗唱などにより言葉の美しさやリズムを体感させた上で、国語科のみならず各教科において言語活動を発達の段階に応じて行うことが重要であるという考え方が示されております。
 23ページ、(5)でございますけれども「確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保」ということで、下から2つ目の○にありますように、各教科において、基礎的・基本的な知識・技能の習得とその活用を図るために、特定の必修教科の授業時数を確保することが必要であるということ、そのためには総合的な学習の時間や中学校の選択教科の授業時数の在り方を見直すこと、あるいは学校の実態等を踏まえた年間授業時数の増加を検討する必要があるということをお示ししてございます。以上が思考力・判断力・表現力等に課題がある点への対応でございます。
 他方、もう1つの課題として、PISA調査等でも明らかになっている、成績分布の分散の拡大ということがございます。これについて(6)「学習意欲や学習習慣の確立」というところで議論を整理してございます。これは先ほど木村先生からもお話がございましたように、学校教育だけで解決できる問題ではございませんけれども、24ページにございますように、例えば一番上の○の、「第一」ということで、小学校の低・中学年の時代の学習習慣の確立、「第二」として知識・技能の確実な定着、「第三」に体験的な学習、知識・技能を活用する学習、キャリア教育などを通した学ぶ意義の認識、職業資格、各種検定への取組など具体的な目標設定の工夫、そして学習意欲や学習習慣に大きな課題を抱えている学校を把握し、これらに対する支援に努めるという観点が重要であることをお示ししてございます。
 学習指導要領の理念を実現する具体的な手立ての最後として、(7)「豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実」ということを整理いたしてございます。3つの観点が書かれてございます。24ページ目の一番下の○でございますけれども、第一は、自分に自信がもてず、将来や人間関係に不安を感じている子どもたちの現状を踏まえると、子どもたちに他者、社会、自然・環境とのかかわりの中で、これらと共に生きる自分への自信をもたせることが重要であるという観点から、1として国語をはじめとする言語の能力が重要であること、それから2として様々な体験活動が重要であることが示されてございます。25ページの上から1つ目の○は、それとも関連いたしますけれども、道徳教育の改善・充実が重要であること、それから一番下の○には体力の向上についての指導の充実が重要であることといったようなことが、それぞれこれまでの議論として整理がなされてございます。
 先ほど副部会長からもお話がございましたように、6の「教育課程の基本的な枠組み」、7の「教育内容に関する主な改善事項」、8の「各教科・科目等の内容」については、これから関連の専門部会との議論を踏まえて整理することになってございます。
 29ページでございますが、条件整備について9として整理してございます。(1)「教師が子どもと向き合う時間の確保」、そのための条件整備。それから(2)として「指導方法の改善」。それから30ページでございますけれども、(3)として「教師の資質の向上」。中でも2つ目の○にもございますように、教員免許更新制の導入、活用、それからその次の○にありますように、大学における教員養成段階が重要であること。それから30ページ目、真ん中ごろに(4)として「教科書の充実」ということで、これも教科書の質・量両面での充実が重要であるという、これまでの部会の議論を整理させていただいております。(5)として「ICT環境の整備」。それから31ページでございますが、(6)として「学習評価の改善」。これも31ページの下から3つ目の○にありますように、評価の観点並びにそれぞれの観点の評価の考え方、設定する評価規準、評価方法、評価時期等について簡素で効率的な学習評価が実施できる枠組みを更に専門的な観点から検討するという視点を示してございます。(7)の「教育行政の在り方の改善」。それから32ページには(8)として「全国学力・学習状況調査の活用」ということをこれまでの議論として整理させていただいております。
 最後に33ページでございますが、10として「家庭や地域との連携・協力の推進と企業や大学等に求めるもの」ということで、(1)として「家庭や地域との連携・協力の推進」。例えば33ページの上から3つ目の○にありますように、豊かな心や健やかな体の育成について家庭が第一義的な責任をもつという観点から、「早寝早起き朝ごはん」といった提案を出発点として家庭教育の充実を進めていく必要がある。その次の○にありますように、「放課後子どもプラン」などの事業の充実。あるいは実際に現実に地域のお祭り等、地元の活動への子どもたちの参加が上昇しているというアンケート結果もある中で、こういった取組の確実な進展をも期待したいということ。それから、33ページの下から2つ目の○以降は、今後の課題としての子どもたちの学習や体験活動の機会の充実の観点からの学校と地域等との役割分担のリバランスという観点について、これまでの議論を整理させていただいております。34ページ目、最後のページでございますけれども、(2)「企業や大学等に求めるもの」ということで、2つの○が企業等について、特に下から3つ目の○にありますように、企業等にあっては子どもたちが将来を見通して希望をもって学習に取り組むことができるよう、人材を育てることを重視した雇用環境の整備を強く求めたいということ。それから一番最後の○は大学入学者選抜の改善について、第一にということで、部会でもご議論がございましたように、記述式など思考力・判断力・表現力等を問う出題の充実、あるいは志願者のボランティア活動などの社会参画の状況を評価するなどの取組の重要性。第二に、18歳人口の減少による大学全入時代における大学入学者選抜の現状というものの高校生の学習意欲に与える影響力ということを踏まえて、中央教育審議会全体でこの問題について検討することが必要であるという考え方が整理されてございます。
 審議の概要は以上でございますが、なお、資料4といたしまして、以上のような審議の概要で言及したデータ等をまとめておるところでございます。
 大変長くなりまして恐縮でございますが、審議の概要の概略でございます。以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 検討素案という形で、これまでの議論を筋がきちっと通るように木村先生と事務局の方でおまとめいただきました。今、ご説明がありましたように、その中の「6.教育課程の基本的な枠組み」、「7.教育内容に関する主な改善事項」、「8.各教科、科目等の内容」につきましては、順次関連の専門部会で議論が進んでいく中で、整理して入れていただくということになります。既に今日の夕刊に一部報道されておりますけれども、この教育課程部会の前に小学校部会がございまして、そこで少し小学校部会としてのたたき台が出されて議論いただいたということであります。今日はここではやりませんけれども、資料もございますのでまたご覧になってください。中学校部会は明日、同じように開催されます。ということで、順次、理念と具体のところがまとまっていくということであります。
 それでは、この検討素案につきまして皆さんのご意見をいただきたいわけですが、全部というといろいろございますので、3つに分けてご意見をいただきたいと思っております。資料2を見ていただくと目次として早分かりになります。まず最初に1から4、「課題の背景・原因」というところまで、それから5の「学習指導要領改訂の基本的な考え方」、これは2番目にご意見をいただきたい。そして最後に9、10、条件整備の問題、それから家庭や地域との連携・協力の問題等。以上の3つに分けてご意見をいただきたいと思います。
 それではまず最初に、1から4までで、今回の学習指導要領改訂の基本的な考え方へ入る前の基本的な認識を整理していただいた部分につきましてご意見をいただきたいと思います。何かございますか。
 じゃ、角田先生。

【角田委員】
 4ページのところでございますが、「教育の目的とこれまでの学習指導要領改訂」というところであります。今回、こういうふうに学習指導要領改訂の経緯を述べられたところは、私は大変いいなと思いながら、4ページの一番下の○のところですが、「現行の学習指導要領は平成10年から11年にかけて改訂され」となっています。これは確かだと思いますが、その後、「学校週5日制の完全実施と合わせて小・中学校は平成14年度から実施された」となっています。更にその次の段落のところに、「また、前述のとおり、平成15年度には学習指導要領の一部改正が行われた」とさらっと書いてあるんですが、現場からしてみると、この時の改訂が大変大きかったように思います。つまり、平成10年から11年にかけて、この時には「生きる力」でなくて「ゆとりの中で生きる力」という表現で、おそらく教育課程審議会からはそれが出てきたわけです。学校としては、それをもとにして教育課程を編成して、あくまでも教えるべきことはきちんと教えるんだ、そしてゆとりの中で子どもたちを育てるんだ、その理念の中で総合的な学習の時間というものがスタートしようとしていた。その直後に、平成15年の段階で「学びのすすめ」が始まり、私はここで方向ががらっと変わったような感じがいたします。このことが現場に与えた影響というのはものすごく大きい。「ゆとりの中で生きる力」というものから、ただの「生きる力」になった。この「生きる力」の概念というのは、自ら考え、判断し、行動する子どもということ以上のことはもう、ほとんど説明はなかったように思います。現在はキーコンピテンシーといったような形で、どういう能力をつけるか、どれが主要な能力かということが、かなりはっきりしてきていますので、「生きる力」を培うためにはこういう能力を育てていけばいいんだということが、かなりはっきり今の段階では出てきていると思いますが、少なくとも平成15年の段階では、「生きる力」というものの、何を培えば「生きる力」になるのかということは、はっきり出ていなかったように、私は現場で思っていました。おそらく現場はものすごくここで混乱し、総合的な学習の時間に対する意欲もここのところでかなりトーンダウンした、そういうことを現場にいて非常に感じたわけです。
 是非ここのところは、もう少しきちっと書き込んでいただきたい。更に言えば、それがもとになって、以後の「生きる力」についての考え方が発展していく。そういう意味では、ここが私は非常に重要なポイントではないかと思います。是非そこを強調といいましょうか、きちっと表現していただきたいなと思います。ほかにもいろいろありますけれども、とりあえずここが、まず一番大きなポイントではないかと私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。ここはなかなか書きにくい部分だったと思うんですが、事柄は一応入っているんです。ただ仰るように、もう少し説明した方がいいんじゃないかと。例えば4ページの終わりで、平成15年には学習指導要領の一部改正が行われたと、これは12月でしたけど、その前提として平成15年の10月に中教審答申が出ているんです。その時に当時の教育課程部会でいろんな議論があって、今、角田先生がご指摘の点についても若干の整理がされておりますので、平成15年に学習指導要領の一部改正があったとさらっと書くんじゃなくて、その前提になった答申を引用しながら、少し分かりやすくといいますか、もう少し言葉を補っていただいた方がいいかもしれません。ただ、ここは流れがよく分かるなと思って私は見せてもらいましたが。
 ほかにいかがでしょうか。じゃ、宇佐美先生。

【宇佐美委員】
 6ページの一番最後の○のところで、これは何回も出てくる言葉なのでここだけじゃないんですが、7行目から「基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらを活用して課題を解決するための思考力…」、こういう表現が何回も出てまいるんですが、「課題を適切に把握する」といいましょうか、「問題を発見する」ということを、「課題を解決」の前に入れておいた方がいいんじゃないかと思います。おそらく「解決」という言葉に「発見」あるいは「問題意識」が入っているんじゃないかと思いますが、いきなり「解決」という言葉が出てくるのはいかがなものかなと。企業にありましても、やはりある種の優れた施策については、その前の課題把握、課題を発見する、問題発見能力といいましょうか、そういうのが非常に重要だなということを痛感しているところなんですが、やはりここでも「問題発見」と「問題解決」という2つを入れた方が、より明確に趣旨が生きるんじゃないかなという感じがいたしました。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。じゃ、天笠先生、次に渡久山先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。6ページから7ページにかけて「生きる力」の基盤となる社会認識が示されているかと思います。全体としてのトーンは、いわゆる国際化、グローバル化ですとか、あるいは国境の敷居が低くなる、そういう中での「生きる力」を育てる、基本的にそういう認識が全体を通して示されていると私は読み取らせていただきました。基本的なトーンは私はこれでいいのかなと思っておるんですが、もう一方には伝統的に個々の地域において「生きる力」というんでしょうか、そういうものの必要性と大切さといったものもあるんじゃないか、そのあたりのバランスのとれた「生きる力」というんでしょうか、そういうものの大切さがあるんじゃないかと思うんです。既に様々なところで指摘されている点だと思うんですけれども、一方では世界に開かれ、片や我が足元の地域をどういうふうに支えていくかという、どちらかというと今我が国はそれぞれの地域、地方において、そういう課題が大きく顕在化している状況の中で、それを解決していく、あるいは地域を支えていく力の必要性が指摘されているわけで、そのあたりのバランスのとれた「生きる力」の在り方を考えると、地域からの視点というのをもう少しここのところに盛り込むことも、また検討していただければと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。改正教育基本法でやはり今のことが指摘されておりますので、どこに入れるのがいいのか、ここは知識基盤社会ということを言っているものですから入りにくかったかもしれませんが、地域からとか自分の住んでいるその足元から、あるいは伝統文化というのを世界に開かれた人類社会というのといわばバランスをとる意味で、どこかに上手に入れておいていただくということで、また工夫していただくことをお願いしたいと思います。
 それじゃ、渡久山先生、お願いいたします。

【渡久山委員】
 渡久山です。8ページなんですが、これはいろいろな考え方があるんでしょうけど、「知・徳・体」というところについて、学校教育がこの3つの領域をすべて網羅していくという感じで、どうも明治の学制以後のレジームがずっと続いてきているような気がするんです。ですから私は、学校はやはり主として知識教育ということにして、ここにも書いてありますが、徳についてはしつけを含めて家庭、あるいは体育、体づくりについては社会的にやっていくという、ある程度、明治以降の学制のレジームを変えていかんといけないような気がしているんです。今度、これをどう書き込むかは別といたしまして、これが1つです。
 もう1つは9ページです。「子どもたちの現状と課題」というところで、昨今一番問題になっているのは、「生きる力」あるいは学力問題もそうなんですが、いじめや自殺ですね。要するに、子どもたちが生きることや生命の大事さということについて、ともにこれを尊重していこうという態度、こういう生き様を育むということについて、若干、ここで記述していくことが必要じゃないかなと思います。
 それから11ページ、これは今後の課題ですが、いわゆる小1プロブレムです。これは無藤先生が専門家でいらっしゃいますけれども、やっぱり幼稚園教育要領の5領域があって、学校教育、小学校に入ると6教科になっていくんです。そうするとやや知識を中心にしたものになる。この教科、小学校の学習指導要領と幼稚園の教育要領とを、1つの連携あるいは一体的なとらえ方をしていく必要があるんじゃないかなという気がいたしております。
 それから学習意欲の問題が出ているんですが、私は学習意欲については、ゆとりとか詰め込みとかということもありますが、やっぱり「分かった」、「分かるんだ」、あるいは分かる喜びというものがなければ、勉強したいという意欲もわかないんじゃないかという気がいたします。そういう意味では、15ページに記述されている、いわゆる基礎的・基本的な知識や技能を習得しつつ、実験とか観察を非常に大事にしていこうという考え方、その中で教科を学ぶ喜び、あるいは本当に知識が自分のものになっていくというところから、学習に対する意欲というのが出てくるんじゃないでしょうか。そういう面では、ここにもいろいろ書いてありますけど、やっぱり条件整備をきちっとしていかないとだめだと思うんです。その中には教員の問題もありますし、教員の教え方の問題もありますよね。それから子どもたちの学習に関する条件整備もあります。
 その1つとして、最後になりますが、17ページに教職員の配置や設備などについて書いてあり、「ICT環境の整備」とあります。僕は非常に大事だと思うんです。今、学校ではコンピューター教室がありまして、1つの教室にコンピューターが40台、45台入っています。しかし授業のないときには、そこには誰もいないんです。誰もいないから埃をかぶっている場合もあるわけです。それから、専門的な知識をもっていない教員がやると、例えば何か1つトラブルがあった場合に、それを直すだけで1時間費やしてしまったりしているんです。ですから、僕は専門職員をやっぱり増やすべきだと思います。教員だけでもってきた学校が明治以後ずっと続いていますけど、これではだめであって、やはり専門職員を入れることによるICT環境の整備ということも考えていく必要があろうかと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 今、4のところまでいきましたが、5の「学習指導要領改訂の基本的な考え方」で再び理念と具体論が出てまいります。前のところに返っていただいても結構ですが、5の「学習指導要領改訂の基本的な考え方」、ここも皆さんご覧いただきまして、ご意見をいただきたいと思います。
 知・徳・体は、今、渡久山先生がいわば明治の枠組みと、そういう言い方が今も使われておりまして、確かに全部バランスよく見なきゃいけませんが、しかし洋の東西を問わず、時代の古今を問わず、学校というのはまず知育ということを考えますと、この5のところではわりと知育を中心に書いてあって、もちろんバランスをとらなくちゃいけませんので、最後のところに、豊かな心や健やかな体ということで24ページから書いてあります。皆さんの方でお気づきの点、どういうところからでもご意見をいただきたいと思います。
 じゃ、宇佐美先生。

【宇佐美委員】
 29ページ、「教師が子どもに向き合う時間の確保」などとありまして、これもまた企業の立場から申し上げますと、組織の検討、一部管理職のラダーをつくるということがございます。今もICT環境について、学校には情報処理の技術者なんかいませんよ、みんな先生がやっているという話がありましたが、その先生方の仕事をきちっと分析して、共通的なものの組織が今のままでいいのかという検討が要るのではないかなと。例えば不登校だとか、いろいろな問題が全部先生方に向かっているような気がいたしますけれども、企業で言えばラインとスタッフ、あるいは本社と地方の工場みたいな関係で、いろんな事例が全部1カ所に集中するというのも非常に重要でございまして、そこの専門家を入れて先生方と一体にやるだとか、そういう組織という面でも見直す必要があるんじゃないかなという感じがいたしました。また、管理職というのも非常に重要なところでございまして、つくっただけと言っちゃ失礼ですが、それぞれが成長していくような仕組みづくりも、新しいだけにしっかりやっていかないといけないんじゃないか、こんなふうに思いました。
 それともう1つ先生方の仕事を効率化する方法として、ICT環境というよりも先生方共用のウェブみたいのがあって、それを見ればいろんないい教育の事例が分かるだとか、自分が何を勉強したらいいか分かるだとか、あるいはいろんな教科の関連が分かるだとか、そういう先生向けのウェブ環境も先生方が授業に集中する時間を増す1つの手段ではなかろうかなと、こんなふうに思いました。
 それともう一点よろしゅうございますでしょうか。

【梶田部会長】
 どうぞ。

【宇佐美委員】
 全体的に、いわゆる基本的なところで国語力の育成というのがいろんな場面に出てくるんですが、もう1つ重要なものとして、理数系の充実といいましょうか、これが全体として具体論の中で少し欠けているかなと。大学進学なんかでも理数系離れということがしきりに言われているわけですが、やはり日本の将来にとって国語力とともに非常に重要な点かと思います。この理数系の充実について、どういう形でどう入れるかというのはなかなか難しいとも思いますが、具体論のところにもう少し入っていていいんじゃないかという気がいたしました。
 以上、2点でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。今の理数系の問題、これは特に第1期、第2期の教育課程部会で非常に強く言われて、第3期の教育課程部会のまとめの中にも入っておりますので、例えば18ページ、19ページ、あるいは20ページあたりに何か工夫ができるかなと思って伺わせていただきました。
 それから条件整備の問題は後で皆さんに考えていただきますが、例えば組織としての学校の在り方、これは29ページに「学校におけるマネジメントの確立」ということで書いてありますが、場合によってはもう少し敷延して、組織として、つまり1人の先生と子どもたちということでなくて、先生たちが手を取り合って子どもたちと向き合うという組織としての在り方、マネジメントということになるんでしょうけど、この辺をもう少し書き込んだ方がいいかなと思ったりもいたしました。
 今、宇佐美先生ご指摘の幾つかの点、どこに入れるかということは別として、またこれは考えさせていただくというふうにしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。安彦先生。

【安彦委員】
 それでは1つ、「生きる力」という言葉の使い方なんですけれども、時間的な流れから言いますと、一度「生きる力」は批判されて、ある意味ではたたかれて、そして「確かな学力」というものを中身にちゃんと込めて、より質のよいものにして打ち出し直して今に至っているという流れがあるものですから、先ほど角田先生からのご指摘もありましたけど、何かそういう部分を踏まえているということがないと、あの「生きる力」がまた出てきたのかと受け取られかねないわけです。決してそうではないので、先ほど角田先生がご指摘のとおり、より具体的になっておりますし、より質のよいものになっておりますし、よく考え抜かれたものになっておりますので、いろんな意味でかつての「生きる力」とは違うという面を出さないと、一般の方たち、あるいは先生方が非常に混乱するんじゃないかなと思いますので、その点をちょっと工夫していただければと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。これは非常に大事なご指摘だと思います。
 どうぞ、無藤先生。

【無藤委員】
 ただいまの安彦委員ご指摘のところと同じですけれども、18ページ、19ページのところで、ここは私は今回の報告の要だと思うんですけれども、2つ申し上げたいと思います。
 1つは、19ページで今ご指摘のように、「生きる力」の重要性を改めて定義し直していると思うんですけれど、今回は特にキーコンピテンシーのような、ある種のグローバルスタンダードに近い考え方と結びつけていって、その上で「生きる力」というのをかなり個別に具体化しながら、教育課程との結びつきのルートをつくっていったというところが特徴だと思います。そういう意味では、その点を明確にすることが必要だと思うんです。私はこの教育課程部会で、大分前になるんですけれども、「生きる力」等を含めたある種のポンチ絵みたいなものが出ておりまして、分かりやすかったと思っているんです。そういう図をここに入れるのがいいかどうか分かりませんが、そういうものをイメージできるように書いた方がいいのではないかということが第1点です。
 それから第2は、18ページの下に1から6があるわけですけれども、先ほど木村先生からご説明があって、木村先生は多少この1から6にめり張りをつけられたと思うんですけど、そうしていただけるともうちょっと分かりやすくなるという気がします。つまり1から6というのは、ある意味で普遍的といいますか、学力というものはこういうものからなっているから、いつの時代だって大事なことなわけですよね。その中で今回特に、この10年である程度カバーできた部分と、まだ足りない部分というものがあるわけで、そこら辺をもうちょっと明確にすると分かりやすくなるんじゃないかと思いました。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、田村先生。

【田村副部会長】
 ありがとうございます。大変うまくまとめていただいたという感じがするんですが、1つだけ、6ページ、7ページのところなんですけれども、これは要するに時代認識ということを記述されている、つまり国際化という問題を取り上げておられるわけですが、PISA調査が国内のいろんな教育に影響を及ぼすような国際化があるという認識と同時に、国際化が進展していく中で、それぞれの国の特性といいましょうか、開かれたアイデンティティーという言い方があるんでしょうけども、そういうものにも触れておく必要があるんじゃないかという気がしております。例えば、今日もほかの会議で話が出たんですけれども、EUが無形文化の条約を批准しないんです。留保しているわけです。例えば、有名な話ですが、EU国内での映画の上映については、EU圏内の映画を必ず半分以上やるという条件をつけているわけです。これは結局ハリウッド映画に席巻されないようにということなんだと思いますけれども、やはり理由としては、それぞれの国の独自の文化を大切にしよう、考え方を大事に引き継いでいこうという流れが国際化の中ではっきり出てきているという事実です。
 ただ、ここで気をつけなきゃならないのは、それぞれの国の文化が世界で冠たるものだということにならないように、やっぱり多様性の認識を前提としながら、世界に冠たるものというと、ついこの間の情景に戻っちゃいますから、そうじゃなくて、たくさんの中の1つ、しかし特徴があってそれがまた非常に意味があるんだという書き方をしておかないと。伝統文化を尊重する意味は非常にあるんだと思うんです。国際化が進展していくと必ずそこへ戻るわけですから。また、やらないと、何のためにその人たちがいるのかという、生き甲斐とかアイデンティティーみたいなことに非常に影響が出ちゃいますので。だからやっぱり必ず国際化といったら、伝統文化に触れる必要があるんだろうという気がしているんです。ちょっと触れてありますけれども、持続可能な発展をするとか、持続可能な社会をつくるとか、そのための平和とか、貧困を追放するとか、そういうことは共通して言えるんですけれども、それ以外のところはできるだけそれぞれの国の状況、独特な伝統文化というものを教育の中に織り込んでいくということは時代認識として宣言しておいた方がいいんじゃないかという気がするんです。
 その辺の書き方は難しいんですけれども、うまく書いていただいて、国際化は必然ではあるけれども、だからこそそれぞれの国の特徴、アイデンティティーというものを、伝統文化という形でもどういう形でもいいんですけれども、教育に織り込んでいくということを重視する、大事にするという意識を、時代認識のスタンスとして、やはりここでも宣言しておく必要があるんじゃないだろうか。そういう感じがしましたので、ちょっと触れていただけるといいんじゃないかという気がいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 渡久山先生。

【渡久山委員】
 19ページの「「生きる力」という理念の共有」というところですが、よく書かれていると思います。やはり今まで「生きる力」というものの中身はどうだったかといいますと、非常に抽象的な概念になっていて具体的になっていない、ただ総合的な学習の時間でそれを生かすんだとか、あるいは育てるんだということだったんですが、この19ページでは非常に具体的に書かれていると思います。特に先ほどありましたように、PISA的な学力のキーコンピテンシー、特にリテラシー等を含めて考えていて、それを育てるためにやっぱり実験とか、実習、体験だとか、あるいはレポートの作成だとかという、より具体的な方法で伸ばしていく、学力形成をしていく、「生きる力」が形成されていくことについて書かれていると思うんです。ただ気になるのは、20ページから21ページに文部科学省が提示する「重点指導事項例」というのがあります。それがどういうものになるかによって、この内容が規定されてくる可能性がありますので、例えば21ページにある「思考力・判断力・表現力等の育成」というところに幾つかの具体的な指摘がありますが、やっぱりそれが生きるような重点事項でなければならないだろうという気がいたします。そういうところから、PISAで出てくる学習意欲だとか、やる気だとかいうものが育つんじゃないかなという気がいたしますので、この部分についてはよく書かれているという気がいたしております。
 問題は、先ほども申し上げましたけれども、例えば中学校で理科の実験をするのに40人が一緒というのは大変なことなんです。ですから、学校によっては工夫して教員2人で見ているところもあるんですが、それは教員に空き時間があった場合の話です。ですから、ここのねらいを生かしていくためには、そういう条件をきちっと整備していく必要があるということを、改めて付け加えさせていただきたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 私も現場におりましてつくづく思いますことで、条件整備について17ページに「そのためには、教職員配置、設備、教科書・教材、ICT環境」等々とありますけれども、最後の部分、「学校や教師を支える教育行財政の在り方について幅広く検討する」ということで、これはちょっとここにはなかなか書けない部分だとは思うんですけれども、教育委員会と現場との関係をもっと整理する必要があるんじゃないかなと。これは週刊誌で読んだ記事ではありますけれども、ある中学校の校長先生が、教育委員会から来るおびただしい書類を、教員に、もう書かなくていい、必要なものは限られている、ということで整理していったと。そういったことが教職員の生徒と向き合う時間を増やしていったという書かれ方をされていまして、それが事実かどうか私はちょっと分からないですけれども、ご本人に聞くとそうだと仰っていますけれども、本当に今、保護者対応とか教育委員会への対応とかいったようなことで現場が大変多忙な状態になっているという事実があるのではないかと思います。
 そういうことも含めて、本当に考えていかなければいけないんじゃないかなということを思いますのと、教職員配置というときに、先ほど渡久山先生も仰っていましたけれども、児童生徒数当たりの教職員の数というのが、実際のところまだまだ十分ではないのではないかなということを思います。うちの学校はスーパーサイエンスハイスクールの研究指定を受けて、教育委員会がそれに対応して教職員を増やしてくれました。新しく仕事をするということは、そのための人間が必ず必要になってくるわけですから、そういうことをすると特別待遇という感じで、人や金をつければいいことができるのは当たり前ではないかみたいなことで批判の対象になっているんですけれども、実際のところ人や金をつけることによって教育内容が上がっていくといいますか、充実していくのであれば、まさしく人や金をつけるというのはとても大事なことだと思うのです。その条件整備をすることがあたかも間違っている、そうじゃなくてもっと知恵を出すのが大事なんだみたいな精神論で教育が語られているところがありますが、教育というのは必ずしも精神論ではなくて、具体的な方策、目標に向けた具体的な方法があって初めて目標達成に至るわけであると思いますので、その点のところを考えていくべきではないか。理科の話も先ほど出ましたけれども、小学校の段階からもっと専科教員を増やしていくというのも非常に大事なことであると思っています。実験、実習費が充実しないからなかなか実験ができないということも現実にあるわけです。
 それと私がもう1つ思いますのは、これは非常に分かりやすく書いていただいているんです。しかも課題の背景、原因といった、なぜできなかったのか、なぜ進まないのかというのが書かれていて、とてもいいと思うんですけれども、この中で1つ現場の感覚で言いますと、やっぱり現場の責任において、もっといろいろと教育活動については工夫をしていかないといけないと思うんです。その工夫という点では、今、学校では、管理職によるところの教職員評価というのが行われていますけれども、教職員の中での自分たちの取組に対する自己評価、あるいは相互評価、そういったことをもっと進めていく必要があるのではないかなと。それをしようと思いますと、当然のことながらこれまた時間の必要なことで、教職員のゆとりがない状態ではそういうことってなかなかできないと思うのです。教室というのはどうしても個人商店化しているわけで、その個人商店がすぐれた個人商店であればいいわけですけれども、すぐれた個人商店になるためには、やはり連合体というんでしょうか、教員が個々にやっているんじゃなくて、学校全体で教育をどんなふうに進めていくのかと十分考える、振り返る時間が必要だと思うのです。そのために、自己評価、総合評価をするようなことを進めていくということは、とても大切ではないかなと思います。ちょっと長くなって申し訳ないんですけれども、一例を挙げますと、うちもいろいろ具体的に課題がありまして、その課題を何とか解決するため、教員が1人1人ばらばらにあってはできないようなことをしないと教育力は高まらないということを思います。したがいまして、例えば体育祭とか文化祭とか、そういった大きな学校行事というのは学校全体で取り組まないといけないから、これは教員が個々にいてはだめだろうというふうになるんですが、実はそんなことはなくて、体育祭、文化祭というのは長年やっていますと1つのシステムができ上がってしまっていて、そのシステムの中ではなかなか教員個々に、自分の殻から出て何かをするということができない状況なんです。だからそうではない、新たな取組をしていこうと。例えばそれがうちの場合ですと、スーパーサイエンスハイスクールの取組、学校説明会とか、あるいは校内研修というレベルを越えた教育研究大会とか、そういった新しいことをしていかないと、なかなか教員個々の殻を破るということができない。でもそうするとどんどん多忙になっていくわけですから、それに見合う教職員の人数というのが必要になってくるわけですが、そこのところをもっと校内で工夫しながら、自己評価、総合評価をしてよりよい教育活動を目指していくという、その観点を各学校にもっと求めていく。そのために必要な人数、必要な外的条件をどんどん加えていくことが、私は大きく教育改革をしていこうとするときには必要ではないかなということを思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 どうぞ、井上先生。

【井上委員】
 今、荒瀬委員のご指摘の点に関連して、これを見ていますと29ページに「教師が子どもと向き合う時間の確保」というところがあって、1番目の○では条件整備、教育振興基本計画の作成に当たって配慮すべきというのがありまして、その次の○に「教師の事務負担の軽減等が不可欠である」と書いてあるんですが、これは単に学校で対応するだけでは不十分なので、「教育行政の在り方の改善」の、32ページの最初の○のところに「学校が作成する事務的な調査資料等の量が増加しているとの指摘がある」云々と書いてあるんですが、この点からすると、一元的に「教師が子どもと向き合う時間の確保」のところに、対策として教育行政全体、文部科学省、教育委員会、それから学校全体で事務負担の軽減に向かうというのを書いた方がはっきりしてくるんじゃないかと思うんです。単に教育行政がというとちょっと分かりにくいので、「教師が子どもと向き合う時間の確保」のところに、事務負担の軽減にどう対処していくか集中させて書いた方が、今、荒瀬委員がご指摘した問題に今後対応する方針が明確になるんじゃないかと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 皆さん、最後までご覧いただきまして、今の条件整備も含めてご意見をいただきたいんですが、ちょっとだけ私も発言させていただきます。今、井上先生もご指摘になりましたし、それから荒瀬先生も仰った教育行政の在り方、ここは大事なことがありまして、3月10日に中教審として「教育基本法の改正に伴って緊急に必要とされる教育制度の改正について」という答申を出したわけです。地教行法の改正につきましては、分権一括法が施行されていて、いわばその精神を大事にしながら教育行政、つまり国と都道府県教委、地教委、それから学校との関係を考えていこうということが、その答申で言われたと私は理解しているんです。そして、それに基づいて3月30日に改正案が国会に提出されて、通った。いろいろな考え方があって、私も率直に言うけれども、その前に国の役割を明確にするということで少し地方分権と違う方向の議論もあった。その中で、中教審としては、やはり分権的な方向で整理して答申を出したという経緯が私はあると思うんです。つまり個別の学校が元気にならなきゃいけない、またそのためには地教委が元気にならなきゃいけない、都道府県教委も元気にならなきゃいけないという流れがあったように思うんです。私もどういうふうに表現していいか分からないけれども、その辺もちょっと工夫していただいて、井上先生や荒瀬先生も仰ったことを、少しこの辺で書き込めればと思います。
 最後のところまで含めて、どこからでも結構です。
 じゃ、天笠先生、そして中村先生、そして松川先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。2つ申し上げたいと思うんですけれども、この9の「教育条件の整備等」について、あるいは次の10もなんですけれども、やはりできるだけ8までに述べられたこととの関係の中で焦点化していくというのが基本的なスタンスだと思うんです。何となく全体的に、あれも大切だ、これも大切だという形になっておりますけれども、「生きる力」を育てるためにポイントだというところを、もっと焦点化していく必要があるんじゃないかと。そういう点では、いろんなところに学校のマネジメントに関する部分が分散して書かれているんですけれども、それぞれのところで書かれていてもいいんですが、改めて学校のマネジメントとか、あるいは私は学校の組織力という言葉を持ち出してもいいんじゃないかと思うんです。組織としての学校の力が、こういう学習指導要領の改訂のときに求められているんだということを、どこかに盛り込んでいただけると、と思うわけです。その中には当然、学校としての指導体制の工夫ですとか、既に現行の学習指導要領にも協力体制云々と総則等に入っておりますけれども、それとのつながりの中で学校の組織力に触れておくことが大切かと思うんです。例えば総合的な学習の時間について、現在の状態を必ずしもよしとしていない先生方も現にいらっしゃるんですけども、ところがお一人お一人で思っていてもなかなか動いていかない、変わっていかない。そこのところが今、総合的な学習の時間が直面している1つの課題かなと思うんですけども、それにはやっぱり学校が組織として総合的な学習の時間をどう変えていくのか、改善していくのかという手立て、手続等々が大切なんです。しかし既にご指摘もありますように、お一人お一人がお一人お一人として頑張っているというところにとどまっているところが、現在の課題であるわけですから、1人1人をつないでいくマネジメントの必要性、学校の組織力の重要性を「教育条件の整備等」のところにしっかりと盛り込むことが必要なんじゃないかと思っております。
 それからもう1つ、この種の理念、考え方を、個々の学校、個々の先生方にお伝えしていく、情報を伝えていく伝え方とか、あるいは立場が変わると受けとめ方についての配慮とか、留意点というんでしょうか、そういうものが盛り込めないかということであります。例えば、私どもの間では知識基盤社会ですとかキーコンピテンシーですとか、そういう理念とか考え方というのは、ある意味では共有し得るところにあるのかもしれませんけれども、果たしてこの考え方が現時点でどこまで現場に伝わっているかとなりますと、おそらくまだこれからの課題であると思います。その理念なり考え方を現場が受けとめることが、おそらく子どもの学力の形成につながっていくことになると思うんですけれども、条件整備の基本的な考え方についても、こういう論の展開が私は必要なんじゃないかと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、中村先生、お願いします。

【中村委員】
 34ページ、一番最後のページになりますけれども、この中の企業に求めるものの中で、雇用環境の整備、それから子育てと職業が両立できる、この2点が掲げられておりますけれども、もう1つ、特に情報関連産業、メディアを中心にして、片方で有害情報なんていう言い方もありますので企業活動において教育的な配慮を是非ここで強く求めておいていただきたいなと思います。問題行動だとか学習意欲の低下だとか、いろいろ言われておりますけども、これは学校で幾ら頑張っても、うちへ帰ってから、あるいは休暇中にいろんな情報が入ってきて、中には有害なものもある。これは身の危険も感じるということもありますので、どういう形で実現するか分かりませんけれども、我々教育関係者として、やっぱり企業に求めていくべきだろうと思っております。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。これは非常に重要なご指摘だと思います。
 じゃ、松川先生。

【松川委員】
 私も33ページの10のところなんですけれども、ここで学校と家庭や地域との連携ということについて触れられていて、特に今回企業のことが取り入れられているのは大変画期的だと思うわけでございますが、33ページの冒頭のところに、子どもたちの様々な課題の背景に家庭や地域、社会の変化があると書かれているわけです。ここのところで、大変書きにくいことではあるわけですが、つまり家庭の教育力ということを言う前提として、これは全国的にデータがあると思うんですが、昨今、保護者がお一人しかいない家庭の割合が上がっているわけです。もう1点は、地域と一言で言いましても、私は岐阜でございますが、少子化の進行に大変著しいものがありまして、山間部では地域がだんだん崩壊していくような状態になっているわけです。そういう中で、学校だけではできないから家庭、地域の教育力がといっても、なかなかそれは一般論であって説得力がないわけでして、やっぱりこの地域や家庭の変貌ということについて、大変書きにくい部分ではありますけれども書いていかなくてはならないと。特に保護者がお一人しかいない家庭における保護者の雇用環境というのが子どもの教育に対して非常に影響力を及ぼしているということがありますので、その辺についても少し記述に配慮いただきたいというのが1点です。
 それからもう1点は、もっと大変書きにくいところなんですけれども、様々な学習意欲の低下だとか、学習習慣の低下ということの背景に、子どもたちの発達障害というか学習障害ということがあるということに全く目をつぶっていいものかどうかと。例えば、ほかのところで特別支援学校などのこともあるわけですが、一般の小・中学校の様々な問題の背景の1つに、そういう発達障害といったこともあるということも私は事実だと思うわけで、その辺のところの記述は大変難しいんですが、変貌する子どもたちの環境ということの1つの側面としてお考えいただけたらなと思いました。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 角田先生、そして甲田先生、草野先生といきましょう。

【角田委員】
 今回の見直しの中で、やっぱり言葉と体験というのが非常に大きくクローズアップされたところだと思うんです。この「言葉」については、国語科を中心としながら、活用力という観点から各教科で横断的にかなり充実する方向で、そのことが「生きる力」なり、思考力・判断力・表現力といったこととつながってくるということでは、かなりきちんとしたものが出てくる可能性があるなと思って大変期待しているわけですが、「体験」の重視ということについて、全体を見ると条件整備というところでは出てくるかもしれないんですが、大きく謳われたわりには非常に弱い感じがするんです。特に、子どもと向き合う時間を確保するんだ、このときに教師の方で一番大変なのは、物事を体験させることに非常に時間を掛けるわけです。例えば実験をする。この実験をするための準備に時間が大変かかる。一方で、その準備をする時間がなかなか教師にはないわけです。そうすると、今、文科省の方で理科の支援員のようなことを導入されているようですが、まだこれは必ずしも十分でない。そうすると準備をするための、教員じゃなくていいから人材が欲しいんだ、あるいは体験させるための総合的な学習の時間にしても体験活動にしても教員以外で先生の思いがきちんと伝わって、ちゃんと活動できるような条件を揃えてもらえると、先生は本来の子どもと向き合う仕事がかなりできるのではないかという感じがします。言いたいことは、体験を重視するのは大変大事なことだし、それがなければ言葉も充実していかないわけですので、この体験をどういうふうにしたらば充実できるのか。ただ単に条件整備ということでなしに、もう少し具体的な形で表現していただけると本当に今回の見直しの特色があらわれてくるのではないかと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 甲田先生、お願いします。

【甲田委員】
 ありがとうございます。31ページの「学習評価の改善」のところでございます。国立教育政策研究所の参考資料ということで現場の様子が書かれていて、そしてまた国立教育政策研究所についての指摘もなされております。最後の「指導と評価の一体化により」という段落ですけれども、この審議にかかわっていますと到達目標の明確化、目標に準拠した評価ということが当然入ってくるのかなと思いますので、この点についてはもう少し具体的に身に付ける力を明らかにするというのであれば、それに対する評価をきちんと学校がやっていきますよという内容を、もう少し分かりやすく入れた方がいいのかなと思います。
 とにかくこの検討素案にしても、それから学習指導要領にしても、これだけ家庭、地域と言っていくのであれば、天笠先生が仰ったように、もう学校関係者間だけで理念の共有化をするのではなく、やはり国民全員がこれを読んで共有化していくというくらいの大きな転換を目指しているんだと私は思っております。したがって、もう少し多くの人に読んでもらって、しかも共有化できるような、分かりやすいものにしていければいいなと思っております。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、草野先生、お願いいたします。

【草野委員】
 ありがとうございます。大変よくまとまっていると思うんですけど、特に教育条件の整備、あるいは家庭、地域との連携というのを明確にこれだけ入れていただいたことに感謝申し上げたいと思います。
 1つだけ疑問点というか、今までの流れが分からないので申し訳ないんですけど、今、学校の大きな課題の一つに、生活指導の問題、健全育成の問題があるんですけど、これは学校が高度情報化社会の対応に大変立ち遅れたという視点が必ずあると思うんです。今、子どもたちに大事なものの一つとして、情報を取捨選択する、つまりいい情報と悪い情報を分ける力が大変不足しているということがあります。私個人としては、基礎学力、読み・書き・そろばんのほかに、情報の活用能力というのは第4の基礎学力と言ってもいいくらいじゃないかと思っています。思考力とか判断力もそれに含まれるかと思いますけども、高度情報化社会という視点に、学校が一番遅れている面でもあるし、少し触れていただきたかったという思いがあります。特に今、子どもたちの学習意欲が低下していて、その結果として学力の低下という面が見られると思うんですけれども、なぜ学習意欲が低下したかということは、あまりにもあふれる情報の中で、学校の教員がいかにおいしい食事をつくって待っていたにしても、もうその前に子どもたちは間食でスナック菓子で満腹にして、そういう栄養価の高い、学校の教員に用意されたものを食べるスペースがなくなってしまった段階で学校に来ているということもあると思うんです。これは情報化社会の対応という面で家庭と学校の連携が不足していた側面が多分にあると思うんです。ですから、そういう情報化社会への対応について、学校と家庭とで連携していかなきゃいけないという文言に限りませんけど、そんな視点がどこかで入るといいなと思っています。失礼しました。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。今日、また時間がほとんどなくなりましたので、最後にこれだけはという方がおられましたらお願いしたいと思います。
 渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】
 いいですか。29ページの9。我が国の教育の実態ということ、これをきちっと書いておくことはいいと思うんです。教師は本当に教師の本来の職務や使命を果たせないという状況にあるんです。ここに書いていますように、子どもたちに向き合う時間がないということと、もう1つはやっぱり教材研究の時間が足りないということなんです。ほかのところで雑務というか、仕事が生じているということ、教師の事務負担、特に給食費を今でも担任が集めていますから、そういう具体的な問題の解決も図らなくちゃいけないだろうと思いますし、この29ページに主幹教諭とか、指導教諭とありますね。これは定数法上、位置付けられてくると思うんです。そうなりましたら、時間数、持ち時間をどうするか。持ち時間を少なくしてほしいとなれば、ほかの教諭にしわ寄せが行くんです。事実、特別支援教育のコーディネーターになった人は、自分の授業の持ち時間を結局持てないものだから、ほかの学校へ行ってコーディネートの仕事をしているんです。これでは何のためにコーディネーターをつくったのか、意味がないですよね。
 それから指導方法の改善等もありますが、少人数学級というのがなかなか出てこないですね。教育基本法の第17条、第16条がこの検討素案に出てきて、教育振興基本計画でこれを保証するという構造になっていて、これは非常にいいことですけれども、一方で少人数学級が出てこない。OECDの中で法定的に40人学級というのは日本を含め2カ国しかないんです。それをいつまでも続けていっていいかどうかという問題です。
 それから30ページには「教科書の充実」とありますけど、教科書協会が私たちに送ってきたものの中に、単価がずっと抑えられている、と。確かに総額でも400億と、10年以上ほとんど変わっていないじゃないですか。そうすると、それでいて充実した教科書をつくれというのは非常に問題があると思うんです。
 最後に、やはり大学入試のことについて書いていただいたのは非常によかったと思います。我が国は、どうも大学入試や高校入試にシフトした学力形成というものがあって、先ほどから出ているキーコンピテンシーという学力観でなくて、学校が受験のための勉強や学力というようになり変わっていますから、学習塾のことについては触れられていないんですけれども、やはりこの辺の問題については真剣に今後の課題として取り組むべきだと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 本日は、これまでの審議の経過を木村先生を中心に整理をいただきました。随分手を入れていただきまして、私は、我々の議論の土台として非常にまとまった検討素案が出てきたと思っております。しかし今日、皆さんにご覧いただきまして、今もいろいろとご意見をいただきました。今日も出てまいりましたけれども、時間が限られておりましたから、必ずしも十分にご発言いただけなかったところがあると思います。ということで、後でアナウンスがありますけれども、また来週、教育課程部会を開催しますので、そのときにこれをまた少しリバイズした形で皆さんにご覧いただいてご意見をいただくということにもしたいと思いますので、皆さん、お気づきの点をファクスでもメールでもいいですし、もちろん郵送でもいいんですけれども、9月3日月曜日必着で事務局までお送りいただきますようにお願いしたいと思います。
 本日はお忙しいところ、中央教育審議会会長の山崎先生にご出席いただきました。最後に一言ご挨拶をいただきたいと思います。

【山崎会長】
 どうも皆さん、ご苦労様です。なかなか分科会、あるいは部会に出席することができませんで、誠に申し訳なく思っております。特に本部会は大変重要であるわけですが、すっかり部会長の梶田先生、副部会長の木村、田村両先生のお世話になりっ放しで、暑い中で皆さんにご議論いただいているのに、その場にいないのは申し訳ないんですが、しかし皆さんのご議論の経緯についてはかなり克明に事務局から私に報告がございますし、そうでない場合は私の方から事務局にお願いして情報をいただいております。
 そしてその流れをずっとたどって、私は大変ありがたいことだと、はっきり言って満足であると思っております。「生きる力」というやや抽象的な言葉が、知識基盤社会において「生きる力」なのだというふうに次第にしっかり限定されてきて、そしてその知識の中でも特に国語といいますか、言語能力の向上が主要なテーマであるということが浮かび上がってきていることに、私は満腔の賛意をささげたいと思っております。
 実は初中局の方にも別の会議があるようで、こちらも梶田先生のイニシアチブで、大変立派な中間報告を今つくっていただいているようであります。克明に拝読しましたけれども、単に一般に国語を充実するというだけではなくて、例えば理科教育などにも言及されておられまして、単に実験するというだけではなくて、実験のための仮説を立てるという能力を高めようと推奨されているところは、私は全く年来の考え方と一致しまして喜んでいる次第でございます。今後とも梶田先生をはじめ、諸先生のご努力に期待するところ大であります。
 残暑というのは我が国の文化的な慣習でありますが、実際は酷暑でありまして、両方足すと残酷暑ということになる甚だ悪い条件の中で、皆さんにご苦労いただいておりますけれども、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは今後の日程につきまして、事務局からお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 長時間にわたりご審議をいただき、ありがとうございました。
 教育課程部会の次回の日程につきましては、9月5日、来週の水曜日でございますが、このグランドアーク半蔵門におきまして、初等中等教育分科会との合同開催ということで予定してございます。なお、各教科等の専門部会は、あす8月31日の金曜日に中学校部会、それから高等学校の専門学科の教科等を検討いたします産業教育専門部会、9月4日、来週の火曜日でございますが、健やかな体をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会、芸術専門部会と、順次開催する予定となっております。
 また、先ほど部会長からお話がございましたように、ペーパーによるご意見も是非お寄せいただきたいと存じております。趣旨を整理してまいります都合上、誠に恐縮でございますが、およそ来週の月曜日、9月3日までを目途に、ファクス、メール、郵送にて頂戴できれば幸いでございます。
 本日は本当にありがとうございました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 これで本日は閉会にしたいと思います。長時間ありがとうございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --