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教育課程部会(第59回) 議事録

1.日時

平成19年7月13日(金曜日) 10時~12時

2.場所

虎ノ門パストラル本館1階 「葵」

3.議題

  1. 教育課程の基準の見直しと併せて検討すべき事項について
  2. 専門部会において特に検討すべき事項について

4.出席者

委員

梶田部会長、木村副部会長、田村副部会長、安彦委員、天笠委員、荒瀬委員、市川委員、井上委員、岩崎委員、宇佐美委員、梅田委員、衞藤委員、陰山委員、加藤委員、黒須委員、甲田委員、佐々木委員、高橋委員、角田委員、土井委員、渡久山委員、中村委員、無藤委員

文部科学省

 銭谷事務次官、坂田官房長、金森初等中等教育局長、合田総括審議官、藤島政策評価審議官、布村初等中等教育局担当審議官、徳久総務課長、常盤初等中等教育企画課長、高橋教育課程課長、牛尾視学官、合田教育課程企画室長、南野教育課程企画室専門官、田河幼児教育課長、安藤参事官
国立教育政策研究所
 大槻教育課程研究センター長

5.議事録

【梶田部会長】
 おはようございます。ご出席を予定されております委員の方、大体お揃いになりましたので、これから第4期第6回教育課程部会を開会いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず最初に、この度、文部科学省で人事異動がございまして、それぞれ担当の皆さんがお代わりになりましたので、事務局の方からその報告をいただき、引き続いて配付資料の確認をしていただきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。

【南野専門官】
 おはようございます。
 文部科学省におきまして人事異動がございましたので、ご報告申し上げます。
 7月6日付で、結城文部科学事務次官の後任として銭谷眞美文部科学事務次官。
 新たに坂田東一大臣官房長。

【坂田官房長】
 よろしくお願いいたします。

【南野専門官】
 銭谷初等中等教育局長の後任といたしまして、金森越哉初等中等教育局長。

【金森局長】
 よろしくお願いします。

【南野専門官】
 新たに合田隆史大臣官房総括審議官。

【合田審議官】
 よろしくお願いいたします。

【南野専門官】
 本日は欠席しておりますが、合田初等中等教育局担当審議官の後任といたしまして、前川喜平初等中等教育局担当審議官。
 徳久初等中等教育企画課長の後任といたしまして、常盤豊初等中等教育企画課長。

【常盤課長】
 よろしくお願いいたします。

【南野専門官】
 惣脇国立教育政策研究所教育課程研究センター長の後任といたしまして、大槻達也教育課程研究センター長が着任いたしました。

【大槻センター長】
 よろしくお願いいたします。

【南野専門官】
 また、7月11日付で、常盤教育課程課長の後任といたしまして、高橋道和教育課程課長。

【高橋課長】
 よろしくお願いします。

【南野専門官】
 新たに教育課程課に牛尾則文視学官が着任いたしました。

【牛尾視学官】
 よろしくお願いいたします。

【南野専門官】
 よろしくお願いいたします。
 それでは、ここで、銭谷文部科学事務次官から一言ご挨拶させていただきます。

【銭谷事務次官】
 おはようございます。
 7月6日付で事務次官を拝命いたしました。初等中等教育局長在任中には、委員の皆様方には一方ならぬお世話になりまして、大変ありがとうございました。この間、教育課程部会におかれましては、昨年2月に「審議経過報告」、そして、今年1月に「第3期教育課程部会の審議の状況について」の、お取りまとめをいただいたところでございます。局長在任中の先生方の並々ならぬご尽力に対しまして、厚く御礼を申し上げたいと存じます。ご案内のように、去る6月20日に教育再生関連の三法が成立をし、6月27日に公布されたところでございます。この中で、学校教育法の改正が実現をしたわけでございますので、今後、学校教育法の改正、更にはそれに先立ちます教育基本法の改正を踏まえまして、今年度中の学習指導要領の改訂を目指しまして、私ども、これから文部科学省として一丸となって取り組んでいきたいと思っているところでございます。その中核をこの教育課程部会の先生方に担っていただくわけでございますので、引き続きよろしくご審議のほど、お願いを申し上げたいと存じます。次官を拝命いたしましたけれども、できるだけ教育課程部会にも出席をさせていただきまして、ご一緒に審議をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【南野専門官】
 続きまして、金森初等中等教育局長から一言ご挨拶させていただきます。

【金森局長】
 この度、初等中等教育局長を拝命いたしました金森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私はちょうど3年ほど前になりますけれども、平成14年から16年にかけまして、初等中等教育局担当の審議官をさせていただいておりました。その間、この教育課程部会におかれましては、平成15年に「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について(答申)」をお取りまとめいただきまして、学習指導要領の基準性の明確化や総合的な学習の時間の一層の充実を図る学習指導要領の一部改正を行ったところでございます。現在、教育課程部会におかれましては、学習指導要領全体の見直しについて精力的にご審議をいただいておりますが、私といたしましても、担当局長といたしまして、全力でその職責を果たしてまいりたいと考えております。梶田部会長をはじめ、委員の皆様方におかれましては、今年度中の学習指導要領の改訂に向けて、引き続き格別のご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

【南野専門官】
 それでは、続きまして、配付資料を確認させていただきたいと思います。お手元にある資料をご覧いただきたいと思います。
 議事次第をおめくりいただきまして、資料1といたしまして、第4期教育課程部会委員名簿。資料2といたしまして、第4期第1回の教育課程部会に配付させていただきました「今後の主な検討項目と検討の進め方について」。資料3といたしまして、前回も配付させていただいておりますが、「教育課程の基準の見直しと併せて検討すべき事項に関する論点案」。資料4といたしまして、教育課程部会「審議経過報告」関連部分の抜粋。資料5といたしまして、「第3期教育課程部会の審議の状況について」関連部分の抜粋でございます。資料6といたしまして、「教育課程部会におけるこれまでの主な意見」。資料7といたしまして、「専門部会及び教育課程部会における各教科等の改善に関する議論の方向性(案)」。資料8といたしまして、「言語力の育成に関する主な意見について(議論の整理用メモ)【修正素案】 」。資料9といたしまして、「現行学習指導要領における各教科等の目標及び内容の例」。資料10といたしまして、参考資料でございます。
 過不足等ございましたら、事務局までお申し付けいただきたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 前回は学校教育法をはじめ、いわゆる教育三法と言われている幾つかの法律についての国会での審議状況を報告していただきました。いわば土台が新たにできました。特に学校教育法は学習指導要領の母体になるわけですから、こういう基盤ができ、学習指導要領見直しの詰めの審議に入るということで、同時に学習指導要領を円滑に実施していく上での基盤となるいろいろな諸条件の整備につきましても、前回いろいろとご意見をいただきました。前回、高校のカリキュラムと大学入試との関連については前から何度も出ておりまして、少しきちっと議論しなければということだったんですが、時間が足りませんで、ほとんど議論ができませんでした。ですので、本日は、まず前半で大学入試の改善につきまして、高等学校のカリキュラムとの関連で議論していきたいと考えております。
 なお、後半につきましては、いよいよ16の専門部会での審議が詰めの段階に入ります。これからどの専門部会でも非常に精力的に進めていただきますので、これまでの専門部会での各教科等の検討状況をここでもう一度確認しまして、専門部会にお伝えいただくべきことについて、親部会としてのご意見を頂戴したいと思っております。
 それでは、まず前半、大学入試の改善につきまして議論したいと思います。事務局の方から配付資料の説明をお願いしたいと思います。

【合田室長】
 失礼いたします。
 それでは、お手元の資料3と、飛んで恐縮でございますが、資料10によりまして、ただ今、部会長からお話しいただきました論点につきまして、簡単に資料のご説明をさせていただきたいと思っております。
 資料3でございますけれども、論点が1枚目と2枚目、2つにわたっております。前半につきましては、前回様々なご意見をいただきましたので、本日は2ページ目の論点2、「高等学校教育との接続の観点からの大学入試の改善」というところについて、ご議論を賜れればと思っております。資料3の2ページ目、論点2の○でございますけれども、「高等学校の教育内容は大学入試に大きな影響を受けるため、高等学校教育との円滑な接続の観点から、大学入試の改善を図る必要がある」。(1)といたしまして、「大学入試の学力検査において、思考力、表現力等を含めた総合的な学力を問うなど、高等学校以下において教育の目標としている学力に関する考え方との整合性を一層重視する必要があると考えられる。高等学校における幅広く調和の取れた教育を進めるため、大学入学者選抜において生徒の高等学校での教育活動の成果を適切に評価するための工夫改善をどのように進めるべきと考えるか」。その背景として、3つほど※をつけさせていただいておりますが、「学校教育法の改正により、小・中・高等学校において、基礎的な知識・技能の習得とともに、これらの知識・技能を活用し、課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の育成を重視する旨の規定が置かれた」。「全国学力・学習状況調査において、「知識」を問う問題とは別に、「活用」について問う問題が出題された。また、国際学力調査においては、知識を活用する力を測定する出題がなされている」。「大学側においては、これまで、二次試験において小論文・面接等を実施したり、国立大学協会がいわゆる5教科7科目入試を推進したりするなどの工夫を進めている」。2つ目でございますけれども、(2)といたしまして、「高等学校段階の学習到達度の評価は、本来高等学校が行うべきであるが、結果として大学入学者選抜に依存している状況がある。高等学校自身、あるいは第三者機関が、高等学校での学習成果を適切に評価し、それを大学が選抜資料として広く活用するための仕組みを構築することも、課題として考えられるが、どのような仕組みや工夫が考えらるか。」ということで、特にこれについては、かつてこの部会でも検定制度の活用といったようなご意見を賜ったところでございます。
 資料10でございますが、これに関する関係資料について、ポイントだけご紹介をさせていただきます。資料10の27ページをお目通しいただければと思っております。27ページ、「大学入学者選抜の現状」ということで、中ごろよりも下に「3.多様な選抜方法」とございますが、一般選抜のほか、専門高校・総合学科卒業生選抜、アドミッション・オフィス入試、推薦選抜、帰国子女・社会人選抜といったような多様な入試が行われているという状況でございます。1枚おめくりをいただきまして、29ページをお目通しいただきますと、平成8年度から10年後の平成18年度にかけては、一般選抜の割合が減少し、推薦入試あるいはアドミッション・オフィス入試等が増えているという状況がご理解いただけるかと存じます。更に次の30ページでございますけれども、その傾向は国公私立で分けますと、私立大学において顕著であるというような傾向がございます。また飛びまして大変恐縮でございますが、32ページの一番下の表でございますけれども、こういった取組について、定員の充足率との関係で申しますと、充足率の低い大学で推薦入試やAO入試による入学率が高いという一般的な傾向が見られるところでございます。併せてご参考にしていただければと存じます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 今の大学入試の具体的な在り方と高等学校教育が、ある意味で結果として非常に密接に関連してしまうということがありますので、このあたりの問題につきまして、一つは高等学校の教育課程上どういう工夫をすればいいかという問題があります。もう一つは、入試そのものの改善について、教育課程部会からどういう提言をしていったらいいのかということもあります。ということで、ご意見があれば、お願いしたいと思います。
 じゃ、荒瀬先生、お願いします。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。
 まだ十分に整理しないままで、2点申し上げたいんですけれども、まず1点目は未履修の問題がありました時に、確かNHKのアンケート調査だったと思うんですけれども、全国の高等学校長協会の代表の方が多く仰っていましたことは、高等学校教育の現状に学習指導要領が合っていないということだったと思います。現状というときの問題は2つあって、大学入試ということを考えると、大学入試に必要なものと必要でないものがある。その必要なものをどんどんやっていかないと、生徒の大学進学希望に応えられないという意味が一つ。もう一つは、具体的に学習指導要領の内容について、あのレベルを維持することが高等学校教育において極めて難しいという生徒の集団が確かに存在しているという、その両方だったと思います。ですから、高等学校の教育内容が大学入試に左右されるという面は、片一方にとって大きくあって、もう一方はまた別の問題として今後考えていかなければならないということが言えると思います。
 もう1点、別の話でありますけれども、今、資料10の32ページでもご説明いただきましたけれども、大学の入学試験が、学生に対して大学に入ってこういう学びを進めていくんだ、それにとって必要な知識や技能というのはこういうものなんだということを示すものではなくて、学生確保という点で動いているというのが明らかです。学生確保をすることがけしからんということでは全くありませんが、実際のところ、先ほど申しました未履修問題で、生徒の大学進学希望をかなえるために学習指導要領が合っていないという側面については、32ページに示された話ではなくて、むしろ国立大学の入試に関するものであるわけです。国大協が5教科7科目入試を実施して、先ほどの資料10のご説明でもありましたけれども、一方、アドミッション・オフィス入試ですとか、あるいは推薦入試が進んでいる。また、二次試験においては、医学部なんかは面接をするところが増えてまいりました。しかしながら、旧帝国大学を中心に、大学入試が5教科7科目に特化した知識を見るというのは変わりがないわけです。特に二次試験においても、その傾向は大変強い。この間、京都大学の先生とお話をしておりまして、入試の問題で可能な限り大学での学びに耐え得るような学生を確保するために、優秀な学生という言葉を使っておられましたけれども、確保するために工夫はしているんだということではありましたけれども、実は全国の大学入試を実質的に引っ張っていっている幾つかの大学の入試が、前期・後期の後期をなくすとか定員の配分を変えるといったことではなくて、内容的な面でもっと改善を図るということが、冒頭申しました1つ目の高校生の大学入学希望に応えるという点では、今後もやはり課題としては残るのではないかなと思います。それがだめかどうかと言いますと、私自身は必ずしも現在の入学試験の制度がだめとは思っておりませんけれども、しかし、何らかの工夫が必要ではないかなと思います。幸い、文部科学省でスーパーサイエンスハイスクールの研究校指定などが行われていて、実際に我が校が受けている中では、スーパーサイエンスハイスクールの研究校指定を受けているおかげで、特に理数系の専門教育というのが、高等学校段階でも相当進んでおります。実質的にその研究を中途でやめる形で入学試験に移って、入試を受ければ結果的に受かるんですけれども、そういった生徒は多くはないので本当に一部の話になってしまうかもしれませんが、そういった生徒については、理数系分野の優れた研究者とか今の状態でも十分輩出できているわけではありますけれども、もっと進めていくのであれば、文部科学省の研究校指定との関連での大学入試の在り方というのも考えていくことが1つあるのではないかなと思います。ただし、これですべてが解決するわけではありませんので、ごく一部の話ではありますけれども。
 まとまらない話で申し訳ありません。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それじゃ、市川先生、加藤先生。

【市川委員】
 今の荒瀬先生のご意見とも関連するんですけれども、今回、学習指導要領の改訂に当たっての1つのコンセプトとして、例えば習得、活用、探究という話が出てきました。私は大学入試もそれに合わせて形を変えていくいいチャンスではないかと思っています。まず基礎・基本の習得ということに関しては、私はかねてから言っていたんですけれども、大学入試センター試験を一種の資格試験のような形にして、グレードもあっていいと思います。国語について3級、2級、1級とか、数学についても3級、2級…とグレードがあっていいと思います。荒瀬先生のお話にあったんですが、一律の学習指導要領をすべての高校生にというのはどうも無理があるとすれば、学習指導要領の方も、これは是非とも習得してほしいこと、プラスこういうこともやってほしい、というような少しグレードを付けることもあっていいと思います。それに応じて教科の基礎学力を見る試験にも何らかのグレードがあっていいのではないかと。そのかわり履修漏れのようなことが起きないように、ある程度広く浅くでもいいですから課していくことは大事だと思います。大学入試のときにも、例えばうちの大学の理学部でしたら、数学は1級を取ってきてください、社会科についても3級を取ってきてください、国語は2級を取ってきてください、という形で、ある程度広い教科にわたって課していく。これが習得の部分です。それに加えて、各大学が活用、探究に当たるような問題をしっかり課していくと。
 本来でしたら、共通一次試験ができたときに、かなりそういうねらいがあったのではないかと思います。各大学が、それこそ大学の個性を発揮して、しっかりと受験生を見るような問題をつくることと抱き合わせで、基礎・基本は共通一次の方でわりとオーソドックスな良問と言われるものを出していくという二段構えで見ていくというのがあったと思うんです。実際にはそれがなかなか機能しなくて、これも荒瀬先生の話にあったことですが、大学側が受験生を集めるためには、あまりたくさんの試験を課したくないということがあって、試験をどんどん軽くしてしまった。その方が受験生はたくさん集まるのかもしれませんが、結局そのツケが回ってきて、大学側では今、どうも入ってくる学生の学力が低いとか、非常に偏っているということになって、大学に入ってからリメディアル教育というようなことを一生懸命やらなくてはいけなくなっている。ですから、少しそのバランスが崩れ過ぎてしまったので、入試の時点でも基礎学力を一方ではしっかり見るということと、活用、探究の学力も大学側がしっかり見ていく形の入試にしていく。このことが学習指導要領の改訂の方向性とも合致していると思いますし、PISA型学力と言われるような国際的に広く求められている学力を育てることとも合致すると思いますし、また、それが大学や社会にとって求められる学力ともつながっていくのではないかと思っています。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】
 2点申し上げたいと思うんですけれども、1つは大学と高校の関係について、資料3の2ページの一番下の(2)のアンダーラインが引いてある前の文章に「本来高等学校が行うべきであるが、結果として大学入学者選抜に依存している状況がある」という表現があるんですが、これは私は違和感をもって読んだんですけれども、この表現自体に、今の行政サイドから見たときの大学と高校とのつながりというところで、何か1つの固まった見方があるんじゃないかと思うんです。「依存」というふうに見ない方がいいといいますか、一定の割合が大学に入っていくわけですし、大学にもいろいろな大学があるわけです。大学を目指すという意味では高校で準備を行うわけですから、その関係が強くあるのは当たり前じゃないかと思うんですね。その弊害を非常に感じられているから「依存している」と仰っているのかもしれないんですが、そこのところはもう少しよく議論してみる必要があるのかなと思います。私は、個人的には、今たまたま市川先生が直前にご発言されたような資格試験のようなものが賛成なわけですけれども、大学を目指すところを分離できるはずがないわけですから、そこと高校で習得するもの、あるいは18歳までに身に付けなければいけない様々な教養や人間性といったものとはすべてイコールと考える必要はないような気がします。
 2つ目に、再生会議で、確か大学の9月入学に関する議論があったと思います。第二次報告にはそれほど盛り込まれなかったようですけれども、この問題は過去からあったと思うんです。これは1つの問題提起として、高校側から見たときに、そのことによって今の入試の問題や高校の教育、あるいは社会人として育てていくという辺に、もし大きな変革をもたらす可能性があるとすれば、だめならだめ、あるいは部分的にいいならいい、あるいはそれはそれで考える余地があるのかどうか、是非こういう本質的な議論をしているときにちょっと考えてみてもいいのではないかと思います。私は、個人的には、部分的に9月入学の枠が設けられるような柔軟性が大学側に出てくることは好ましいことなのではないかといろいろな角度から思っているものですから、ご意見として申し上げました。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、渡久山先生、そして、無藤先生。

【渡久山委員】
 1つは、大学入試が高等学校の教育内容に大きな影響を持っているというのはそのとおりだと思うんですね。特に、よく日本学術会議の数学部会で言われているように、センター試験が逆に高等学校の数学を規定してしまっている、その対策のための数学になっているという問題があると思うんです。そういうことを考えていきますと、かつては大学が難問奇問を出して非常に合理性に欠けていたんですね。それから言いますと、センター試験の場合は非常に改善されていて、非常に妥当性のある問題が出ているというのが大体一般的な評価だと思うんですね。しかし、これをもう少し進めて、(2)にありますように、高校で履修したものを高等学校レベルである程度認定するというような第三者機関を立ち上げてみたらどうだろうか。これは大学入試センター試験をつくっているところが改組してもいいと思うんですね。僕はこれを大胆にしていった方がいいような気がいたします。
 そうしますと、先ほど未履修問題の話もありましたけれども、もっと妥当な教科の選択ができていく、あるいは学習指導要領が出てくるんじゃないかと思うんですね。特に資格試験化していくのは、今ちょうどいいなと思うのは、進学率と大学の入学定員がほぼ同じぐらいで、大学を選ばなければほとんどが入れるという状況になっています。ですから、高学歴化していく日本の社会、学歴は高くなってきたんだけれども、学力は高くなっているのかというと、これは先ほどから問題になっていますように、分数のできない大学生から始まって、大学院生の学力がどうなんだというところまで言われているんです。私は、この際、日本の学力をどうするのかということで、PISA型の学力をつくっていくとすれば、そういう形のカリキュラム、学習指導要領を小学校の段階からつくり上げていくということが非常に大事じゃないかなと思っているんですね。ただ、高等学校が非常に多様化してきていますよね。多様化の中には学力の多様化というか、ばらつきが非常に大きくなっていますね。そういうような課題をどう解決していくのかという部分がある。だから極端に言えば、大学受験を目指している中高一貫校があるかと思えば、これで高等学校は終わりだと言わんばかりな感じでやっているところもあるわけです。それに応じて大学も随分多様化していますので、この辺で日本の子どもたちの学力をもっと根本的にどうしなくちゃいけないのかということで、大学入試だけじゃないと思うんです。高等学校入試もそうなんですが、入試体制と学力との関係というものをもっと明らかにして、議論していく方がいいんじゃないかなという気がいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃ、無藤先生。

【無藤委員】
 大学側の事情というときに、先ほども出た旧帝大を中心として、かなり偏差値が高くて、センター試験だけではなく独自の試験で更に高いレベルの学力の学生を選ぶと、それは一方にあると思うんですけれども、全国的にいわゆる中堅レベルで言えば、実はセンター試験の活用もちょっとしんどいといいますか、センター試験も活用しない生徒が非常に多いところがあるんですね。だけれども、例えば私の大学なんかは、幼稚園、小学校の教員養成をやっていますけれども、できれば高校の教科を満遍なく学習して、基礎学力を身に付けてきてほしいわけですね。そのときに入試を5教科やれるか、理科の入試もしたいんですけれども物・化・生・地全部出せるかというとこちらの教員が揃っていませんから、なかなか難しい。外部委託がいけないという話もあります。
 それから、それほど難しい問題で評価したいわけじゃなくて、きちっと勉強をしてきたということが必要なんですね。そのときに高等学校の調査書があるじゃないかと言われると、そうかもしれないんですけれども、それよりはもうちょっとしっかり身に付けていることの証明といいますか、評価したいというあたりで、先ほどからありますが、何らかの意味で外部の検定的なもの、センター試験というのは競争的ですけれども、そうじゃない資格試験的なものがあると僕の大学では活用しやすいのではないかと思いました。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 はい、木村先生、お願いします。

【木村副部会長】
 今の無藤先生のコメントと若干相通ずるところがあるんですが、私、直接自分自身で入試の問題を出したことはありませんけれども、大学にいた時ずっと入試にかかわっていて、諸外国の入試のやり方等をかなり調べたことがあるんですが、日本の今の一部の大学と申し上げた方がいいかもしれません、あるいは先ほどの資料10の30ページで見ると国立大学を中心にしてのコメントということになるかもしれませんけれども、ほとんどの有力大学がわずか2日か3日の試験で選抜しているわけですよね。センター試験が入っているといってもトータルしてもせいぜい5日ぐらいですよね。高等学校で何をやってきたかというのは、ほとんど上位の大学は見ていないわけですね。私のいた大学でもそうですし、ただ統計資料としてAが何人来たぞと、それだけですね。こんなばかなことをやっている国は多分ないと思うんですね。そういう議論をすると、必ず高校の調査書は信用できない、と。信用できないのは、大学が信用させないようにしてるんですよ。大学がきちんと何をやってきたかということを見るようなシステムにすれば高校の調査書もきちんと書く。量からいうと、英国の例で恐縮ですけれども、英国の「school record」というのは大体日本の調査書の10倍ぐらい先生が書かなきゃいけない。ですから先生も必死で書く。これはごまかしが効かないんですね。一遍ごまかすと次から信用してくれないという社会慣行ができていますから非常にきちんと書く。それを大学が見ます。それと、日本で5教科7科目という話がありますけれども、有力な大学でもせいぜい3教科についてAを取ってこいという指定で、そうすると、そこだけ集中的に勉強するのではないかということになりますが、そのフォローがどこでされているかというと高等学校できちんとやっているということでされているわけですね。ですから、抜本的に日本の入試の制度を変えないと、それこそいろいろなタイプの人材を要求される時代になってきたんだと思いますが、今のような入試を続けていると同じような人材しか出てこない。それからもう一つ、前から感じていたのは、自分のことで恐縮ですけれども、私、32年に大学に入った。その時の英語の問題を持っているんです。東大ですけれども、今の英語の問題と比べると、2桁ぐらい今の方が難しいんですよね。どんどん受験勉強がエスカレートしてくるから、難しくしないと選抜機能が働かないという問題があって、一体どこまでいくんだろうかという気がします。ですから、申し上げたいのはペーパーテストだけでは限界があるということで、高校の学習履歴をきちんと見る。それから、ほかの国、先進国はほとんどやっていると思いますけれども、インタビューをきちんとやるというバランスのとれた入試をやっていかないと、人材という面からも非常に大きな課題を抱えるんじゃないかという気がします。
 それから、多分、かなりの勢いで広がっていくと思うんですが、ヨーロッパの国を中心にして、ディプロマ・サプリメント、これは高等教育の問題ですけれども、ディプロマ(学位)を取った。そうすると、学位を取るために一体どういう勉強をしてきたかというかなり詳細な説明書をつける動きが、ボローニャ・プロセスを批准した国を中心に広がっているんですね。ということは、勉強をしてきた内容が何であるかということが大学レベルで問題になると、当然高校レベルでも問題になってきますので、日本もその辺を今から考えていく必要があるのではないかと強く感じております。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、田村先生。

【田村副部会長】
 ありがとうございます。
 大学入試と高校の問題はすごく大変な問題ですので、簡単に議論をして簡単に結論を出すというわけにいかないんだろうと思うんですけれども、私も今、実際に高校におりまして、大学入試を経験しての実感から幾つか問題点を申し上げてみたいと思っております。
 1つは旧帝大を中心とする、いわゆる難関大学と言われる、将来日本の知的レベルを引っ張っていくような人材養成にかかわっての大学入試は、木村先生のお話のように、もうちょっと丁寧な試験をすることを工夫する必要があるんだろうと思います。実は私の高校で今年ハーバードに受かった子がいまして、これはそれを取材した新聞記者の話なんですけれども、私のところに来まして、どういう質問をされたかというと、このハーバードに受かった子は東大を受けたら入るんでしょうかという質問なんですね。次に出てきたのは、偏差値はどれぐらいでしょうかという質問なんです。これには私は^U然としました。本人がいいと言うから、受かった本人に会わせたんです。そしたら、その受けた子からはっきり言うとばかにされまして、そういうばかげた質問には答えたくないということを言われました。ハーバードに入るためには約半年間試験を受けているわけです。あらゆる面でチェックしているんですね。いわゆるSATとかTOEFL(トーフル)という試験はもちろん100点の子が対象になって、いろいろな面を丁寧にテストして入学を決定しているんですね。ですから、偏差値なんていう概念で入試は考えられていないんですね。非常に優秀な子ですから、ああいう子は引き抜かれていっちゃうんだなという実感をもっていますので、大学教育の問題と同時に、日本の大学が世界に伍して一流の大学としてやっていくという目標をずっと持ち続けるのであれば、本気になって入試のやり方を考えていただきたいと率直に思います。偏差値で図られるようでは、もうおしまいではないかと思います。これが1点です。
 2点目なんですけれども、同時に日本の国の文化を支えるといいましょうか、知的レベルを支える大学の役割というのがあるわけで、これは何も世界に伍して一流の人材をという特化した目標を特に掲げなくても十分に意味がある役割を果たしている。こういう大学が多いということは、私はその国の国民は幸福なんだと思うんですね。能力如何にかかわらず学びたいと思ったら大学に行けるという条件があることは、その国の国民の幸福というか、その国に生まれてよかったと思う条件の1つになっているだろうと思っています。現実に国連のそういった指標を見ても、高等教育の普及率というのは必ず入ってきますから、その点については日本は成功しているわけですね。ただ、その場合に、大学入試をそのままにしておいていいかというと、これは全く違う観点でやるべきだろうと思います。つまり、先ほどから先生方が仰っておられるように、高校でできるだけしっかり学んできてほしい。何点とったからいいという試験ではない形で選抜していくことでいいんだろうと率直に思います。ただ、非常に難しいのは、先ほどセンター試験で種類を分けるというお話がございまして、私も一時それがいいんじゃないかと思っていたことがあったんですけれども、実際問題として、受ける側からすると、明らかに易しいというセンター試験を果たして受けるのかなという気がします。公表されることになりますので、受け入れ側の大学もそういう目で見られることが嫌でしょうし、センター試験を受けた子しか入れない大学という評価が定着しちゃう危険がありますから、逡巡しちゃうという面があるでしょうし、級に分けたとしても同じような面が出てきますので、その部分は高等学校の卒業資格みたいなことで学習内容を確保する工夫をどこかでしたらどうかなと。
 アメリカの例を引っ張って言うのはあまり好きじゃないんですけれども、アメリカには、いわゆる高校卒業資格試験が行われているという事実があります。47州のうちの30幾つが実施しているという資料があります。問題を見てみると、高校2年の前半ぐらいのところで十分に受けて合格できる、そんなに難しい試験ではないんですね。でも、それを受けて通ったということについて、アメリカ社会ではそれなりの評価があるそうです。高校資格試験を通っているということは、それなりに評価されているということですから、受けた人たちの意識調査をした報告書も見ましたけれども、それについてプライドをもっているというか意識しているということも出ていますので、そういうようなことも工夫してみてもいいのかなと思います。
 ただ、こっちの方はそんなに苦労しないでも制度化できると思うんですけれども、一番大変なのは、木村先生のご指摘になったトップクラスの大学の入試ですね。これは本当に今のままでは将来困っちゃうんじゃないかなと思いますね。どうやったらいいのか、よっぽど工夫して、基本的には時間を掛けるということだと思うんですね。もうちょっと時間を掛けて丁寧な試験をするということを工夫していくというのが方法かなと思っています。簡単にお話できないんですが、とにかく分けて考えるということは、早急に手を付けないと具合が悪いんじゃないかと思っています。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃ、まず、天笠先生の後、私も一言。

【天笠委員】
 3つ、この点について申し上げたいんですけれども、まず1つ目が学習指導要領が高等学校の教育内容にどれほど浸透しているか、この点の確認がまず必要なのかなと思っております。高等学校で実際に行われている教育の内容と学習指導要領の間に、乖離とまでは言わないけれども、何か溝があるような認識を持っております。
 もう一つ、2点目は、既にご指摘があったかと思うんですけれども、私はやはり大学入試に際しては、高等学校での学習の履歴というんでしょうか、そういうものが提示されるものの1つとしてあるべきなのではないかと思っています。今の場合は、どちらかというと学歴の方は出るんですけれども、何を学んだかということについてはブラックボックス化されているというのが実態じゃないかと思うんです。例えば総合的な学習の時間にどんなことを学んだかということなどを明示する、あるいは明示されたものについての何らかの証明、書類などが必要なのではないか。そういうものを丁寧に見ていくということが、入試の中にいろいろな方法で加わってくる必要があるのではないかと思っています。
 ただし、3つ目として、現にそういう動きをそれぞれのところでそれなりに行っている。例えば、AO入試等々も行っているわけですけれども、今度は受け入れ側の立場からすると、それに当たるスタッフですとか、時間の掛け方ですとか、そういうことから考えると、まだまだ基盤の整備自体が十分なされていないという認識を持っております。そういう点では、必ずしもトップクラスだけじゃなくて、どのクラスにおいても学習のプロセスをとらえようとした場合には手間暇がかからざるを得ないということがありまして、どれほどの人とお金と時間等々を投下することができるのか、このあたりのところと合わせてこの問題を詰めていく必要があるんじゃないかなと思っております。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 私も実は入試の問題は、ある時たくさん調べて書いていたこともあるものですから、ちょっとだけお話しさせていただきまして、あとはまたほかの委員の方からもご意見をいただきます。
 私、この問題を考えるときに、「大学は」とか「高校は」とか、「高校生の学力は」という概括的な考え方ではどうにもならなくなっていると思うんですね。つまり、97パーセントぐらいが高校に行くようになっていまして、高校生の中には高校の教育課程をほとんどこなして、さっきの話じゃないけれども、ハーバードでもどこでも行けるような子もおりますけれども、同時に、私も実際に大阪の高校なんかでよく見ましたけれども、2桁の掛け算・割り算からやり直さなきゃいけない、あるいは漢字仮名交じり文をもう一度指導しなきゃいけないような子も含まれているわけです。これは特殊じゃありません。そして、上の方の子はみんな大学に行って、下の方の子はみんな行かないかというと、これは調査がありますけれども、そうじゃないんですよ。上の5分の1ぐらいはかなりが大学・短大に行っています。しかし、下の5分の1でもかなりが大学に行くんですよ。その中間は割合によって大学に行ったり行かなかったりしております。そういう構造があるわけですね。日本の社会がただ単に高校学力だけでは進路が決まらないという意味ではとってもいいことだと思っている。逆にどういうことが起こっているかというと、大学というところは、入ってきても何も分からん子も教えなきゃいけないというのが現実なんです。私はそういうこともやってきましたので、よく分かっております。ついでに言いますと、大学といっても今、4年制が700ちょっと、短大が400ちょっとで1,200ありますね。700ある国公私立大学も非常に多岐にわたっていまして、「大学入試は」というので週刊誌なんかに出るのはごく一部の大学の話ですから、いわゆる有名大学というか、難関大学の話。それが大学だ、そこに合格するのが入試の話だという感じになりますけれども、そういうことじゃないんですね。やっぱり全部見て考えなきゃいけないという気がいたします。
 ついでに言いますと、国立大学の協会がありますね。私もその中の入試委員会に属しておりますけれども、国大協も完全に二層に分かれていると言うとおかしいんですけれども、何層にも分かれてしまいまして、大学入試についても旧帝大プラス若干はもっと厳しくしたいんですよ。そうしないと入ってからの補習が大変なんです。私、京大におった時に、京大の理数系の補習のプログラムを組む係をしていましたが大変なんです。例えば京都大学でもみんなよくできる子が入っているなんて思ったら、それはある意味ではそうかもしれないけれども、専門課程で勉強するのに必要なものがきちっとできているかという意味ではだめで、東大であろうとどこであろうと今、補習をしているわけですよね。そういうところがあります。しかし、地方国大になりますと、今度は人を集めるためには5教科7科目なんて言っておれない。むしろ推薦の枠をできるだけ広げたい、あるいはAO入試を広げたい。つまり、学力なんか言わないで入れたいというのが大きな流れです。したがって、国大協のガイドラインでは平成20年度からAOと推薦で5割までは各大学で入れていいということになりました。それから、2番目には、これからもガイドラインをつくりますけれども、大学の主体的な判断で受けとめていくという流れになっている。つまり、国立大学は同じパターンで入試をするというのは、ほぼ崩れようとしております。これを覆すことはできないだろうと思います。私立になると尚更です。ご存じだと思いますけれども、私立大学の志願者と入学者と定員充足率の表が時々出ますよね。どれだけ定員が恒常的に充足できていない大学が多いか。これは勉強ができるかどうかとか、そうでなしに、来てくれただけでありがとうございますなんですよ。簡単に言ってしまうと、大学もいろいろ、高校もいろいろ、高校生の学力内容もいろいろ、入り方もいろいろという中で考えなきゃいけないと思っております。
 したがって、例えば旧帝大的なところはプラスアルファですけれども、国のいろいろな意味での力のもとですから、その選抜は本当にきれい事ではなくて、かなり厳しくやらなきゃいけないということがあります。しかし、そうでなくて一人一人がもっている持ち味を大学レベルでどう伸ばしていくかという発想で、全く別の観点の入試の在り方があるんじゃないか。同じことは高等学校の教育課程にもあって、ですから、これはまた議論になるんでしょうけれども、小・中学校の教育課程、学習指導要領の性格と高等学校のそれは少し変えることもあるのではないかとも思っておりますし、それから大学との絡みも、今言ったようにいろいろな形のインターフェースがあるということで考えなきゃいけないんじゃないかなと思っております。
 私は私立の女子大で6年間、学生確保に苦労してきたという経験を踏まえ、それから今、地方の国立の単科大学で、人数的には大丈夫なんですけれどもレベル的に言うと毎年大変な話です。というのと、どこどこに何人うちは入りましたという文脈で名前の挙がる大学の話とはかなり違うところがあって、トータルを見なきゃいけないということを申し上げておきたいと思います。
 すいません、途中で。
 ほかに。じゃあ、甲田先生、それから陰山先生。

【甲田委員】
 またまとまらない話になろうかと思いますが、高等学校が自分の学校のアイデンティティを決めて教育課程を決めていくわけです。今、梶田先生が仰ったように、「高校」ではくくれないと。高校が、まず中学生を受け入れて何をどうやって卒業させるか、どういう分布、類型の生徒を育てて送り出すかということを考えますと、学習指導要領の大綱化というのは当然、校長をはじめとする職員の大きな望みになっております。入ってくる中学生を見ますと、どこの学校も上位層が薄くて下位層が膨らんでいる状況です。高校入試の学力1つだけで言うと、そういう形の生徒を受け入れて、できるだけたくさんの種類、いろいろな類型の力を付けて送り出したいと思って教育課程を組むわけですけれども、その際に学習指導要領を完全に無視するわけにいきませんので、それに準拠して教育課程をつくっていくわけですね。そのときに、いわゆる国民の基礎・基本として全員必修というものが設定されるわけです。基礎・基本を設定するというのは実に重要なことで、国の教育としては絶対になければいけないなと思っておりますけれども、より大綱化していく方向が必要であります。したがって、議論になっている到達目標の明確化はまず必要であろうなと思っております。そういった中で、学校では、どこそこの、こういう類型の大学に対応できるかどうかということも、当然、教育課程を組むときに保護者の意見なども聞きながら、あるいは、保護者の要求も聞きながら組むわけです。そうすると、反対の意見、そんなところに対応できる教育をしていていいのか、それだったら類型化されたうちこの子たちは一体どうするんだというような話になって、どうしても切り捨てていくような形になっていってしまう。ただ、切り捨てるわけにはいきませんから、違う手立てを教育課程の中に組んでいくわけですよね。非常に悩ましい状況がそれぞれの学校で起こって日々を過ごしていくということになります。そうなりますと、資格試験というのも僕はやっていいかなと思います。日本では取り組んだことがないんですけれども、これからは1つやってみてもいいかなという意見をもっております。ただし、2つあって、あまり難しいものであっては困る。それから、やり直しが効く、あるいは高校在学中にもう1回、2回受けられるような体制を組んでいかないといけない。つまり、先ほど話がありましたように、第2学年の中間あたりで受ける、そして後半に受ける、それから第3学年の初めに受ける、というくらいに回数も増やしていかないといけないのかなと。一方で、生徒の学習負担みたいなものもありますので、その辺も十分に勘案しながらやっていく。そうなれば学校にとっても非常に悩ましいところが解決していくというか、少しでも学校の教育活動が意欲のある活発なものになっていくのではないかなと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 じゃ、陰山先生。

【陰山委員】
 この大学入試の問題というのも、それにかかわる人たちのかかわり方によって、ものすごく多面的に見えると思うんです。つまり、親の考える大学入試問題と、大学の先生の考える大学入試問題、高校の先生の入試問題、あるいは塾も予備校もひっくるめて、そういうところからかなりごちゃごちゃになってきているような気がするんですね。今、私なりにいろいろなところで話を聞きながら整理をして考えて、1つまとめられるのは、大学入試における過去の問題と現在の問題と未来の問題。つまり、過去の問題というのは、いわゆる受験地獄ということが言われた時期だと思うんですね。これが共通一次からセンター入試にかけて、自分の入れそうな大学というものがある程度ターゲットとされて、そこに入っていくということは今できているわけですから努力のほどに報われるようなシステムになっている。そういう点では、受験地獄というのは単に100パーセント入れるようになったというだけではなくて制度的にかなり解消されていると思うんですね。現在の問題というのは、そういうところで安定することによって一生懸命勉強するという風潮が一部薄れてきた。それがもうちょっと進むことによって、それじゃだめだよねということで、今度は東大を頂点とするような、より偏差値の高い大学への受験加熱。要するに、緩むところと、非常に厳しくなるところの二極化が起きてきている。これが現在の問題だろうなというような気がするわけですね。ところが、私はもう既に次の未来の問題が迫ってきていると思うんです。これは図らずも先ほど田村委員が仰ったことなんですね。つまりグローバリズムの問題なんです。教育再生会議にも出ておりまして、大学の問題とか大学院の問題が議論されているという意味が、私、最初さっぱり分かりませんでした。つまり、一般の報道でも義務教育の問題であるとか、あるいは高校の問題が議論されているのに、いきなり大学だ、大学院だという話になってきて、私、かかわっていませんから分かりませんでした。だんだん分かってきたのは、要するにグローバリズムの中で大学院というものが国際的なレベルを維持するのが難しくなってきているということですね。図らずも仰った東大生、京大生といえども、実は学力低下というものの波の中から逃れられているわけではないという問題ですよね。一方で、ものすごく入試加熱が効いているはずなのに低下が起きているというところ。私も思い出しますと、2000年にちょうど学力低下問題が起きた頃に、ある研究会へ行った時にそのことをしきりに警告していたのは、実は京大や東大の先生だったんですよね。一番勉強しているはずの大学の先生方が学力低下問題を懸念される。大体、出発点が西村先生という京大の先生ですから、非常に衝撃的であったという点で、一般に考えられている今の大学入試問題と今起きてきつつある大学入試問題というのは相当にずれているんじゃないかという気がするんですね。そこのところで今、私が気になっていますのは9月入学の問題です。これは私は劇薬だろうと思います。というのは、半年間、ハーバードを受験する準備ができるんだったら、それをねらう若者たちというのは激増しませんかね。そして、一方、再生会議の中でも提案があったように、大学院の研究を維持するためには中国やインドの学生たちを多数迎え入れるということについてはOKであるということになってきた場合に、そもそもちょうど日本のプロ野球が大リーグの二軍みたいになってきている状況が、日本の大学にも起きてくるんじゃないかなという不安を感じるわけなんですね。そういうところからすると、現在起きている問題と、今後未来起きてくる問題というのは、相当考えなければならない。
 そうした中で、振り返って一体何が根本的な問題なのかというと、これは当たり前のことなんですけれども、日本の社会を本当に豊かにしていく人材を日本の中から育てられているのかという、極めて本質的、基本的な問題に返ってくるわけなんですね。そういう点でいうと、未履修なんかで起きたような大学入試と高校のカリキュラムがつながっていないというのは、本当に初歩的なミスの問題であって、この辺は次の学習指導要領では改善されるのは当然だろうと思うんですけれども、本質的に日本の子どもたちがきちんと世界の若者たちに伍して、戦えると言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、学力を付けていくためには、どういう制度設計が必要なのかということが実は問われているんじゃないかなという気がするんですね。
 今、大学入試の問題をここで議論するということにはなっているんですけれども、仰っている中で1つ、グローバルスタンダードという点では、要するに、大学入試の公平性に鑑みて子どもたちの学力テストの結果を得点化して上位何名をとるという、ここがもう既に限界が来ているということじゃないでしょうか。つまり、きちんとチェックをして、得点は低いけれども将来性はある、あるいは非常に将来伸びるであろう学習をしてきている子を、いわゆる偏差値的な学力テストでは高い子よりも上に置いてとることができるのかどうか、また、社会的に合意ができるのかどうか、そこのところではないかなという気がいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ちょっと最後のところに関連して、日本で国立大学の入試の改善のためにデータを集めて検討する集まりがありまして、私、阪大の時も京大の時もずっと入っていたんです。よく言われますが、推薦とかAOで例えば下の方をとっても中で頑張ればいいと言うわけですけれども、どの大学でも領域によって違うんです。文学部などでは、例えばセンター試験は必ずしもできていないけれども、いい小論文を書いたとか面接がとってもよかった、これで入って成功する場合があるんです。場合というのは、みんなうまくいくわけじゃないですよ。しかし、理工系ではほとんどだめなんですね。これはどの大学でも出ています。理工系で、点数がとれていないけれども、ほかのことでいいから入れて、4年間見ましょう、6年間見ましょう、これで成功した例はデータ的にはないんです。ですから、これも領域によってはうまくいくことがあります。しかし、領域によってはうまくいかない。少しこの問題はまた領域を分けたり、それから大学のタイプを分けたりしながら少し議論しなきゃいけないかなと思います。ちょっと昔のことを思い出しましたので、一言言っておきます。
 ほかにいかがでしょう。はい、どうぞ。

【土井委員】
 大学の側からということで申し上げれば、今までずっと出ておりますように、大学が多様化してしまっていて、実はよく見ると、大学として1つにくくって議論することが難しい段階になっているというのは確かだと思います。特に学士課程そのものが相対化してきていて、大学によっては大学院重点化というのが進んで、いかにして高等教育の高度化を展開していくのかということが課題の大学もあれば、先ほど来出ている高校段階での学習の補習ですとか、定員充足問題とかを抱えてしまっている大学があるということなのです。大学院重点化が進んで、グローバリズムの問題とどう対応していくかという大学院にとって重要になってくるのは、今まで誰も解決していない問題あるいは分からない問題を考える能力をいかに育てるかという点です。この点について、現在の学生に問題が出てきているというのは、私は確かじゃないかと思います。よく学生が何を言うかというと、先生は分かっているんだから、分かりやすく教えろと言うわけですけれども、すべてが分かっているなら研究者などは要らないわけで、分からない問題があるから我々は研究していて、それを君たちも共に考えてほしいと言っている段階で、要は分からないから教えろという状態になってきているというのは確かです。それは困るということになってくるわけで、そうすると、学習指導要領等にもあるように、学び方を学ばせるということは非常に重要なことで、これを基本的に身に付けていないと、いくらペーパー試験でいい点数をとってもらっても、大学では伸びないということになってくるだろうと思うんです。ペーパーテストの悪いところは、例えば90点をとったとしても、その90点のもっている意味が分からないということなんです。いろいろなことをして、様々な能力をもって90点なのか、それだけをして、それ以上何もできることはありませんという90点なのかというのを見極める手段をペーパーテストは与えてくれないし、大学もなかなか見極められない。それが、先ほど木村副部会長が仰ったように、丁寧に見ないとその90点の意味が分からないということだろうと思います。そういう問題を抱えている大学もあれば全く違う問題を抱えている大学もありまして、結局のところ、社会が大学に何を期待しているのか、あるいは大学教育に対して何を期待しているのかというのが非常に分かりにくい状態になっている。多くの大学にとっては、大学教育を今、充実させないといけないと言われている、努力はしているわけですけれども、しかし、依然として社会が大学を見る目というのは大学の偏差値であったり、要するに大学の教育内容ではなくて大学入試でしか大学を見てくれないという状態が続いているわけですね。結局、大学がそれに応えている部分もあって、したがって、入試を変えろと言われても、大学教育そのものをしっかり見てもらわない限りは、現在の入試を前提に社会が動いているということになりますので、大学に対する社会の期待、あるいは大学そのものの在り方というのを考えていただかないと大学としては変わらないだろう。それはおそらく非常に時間のかかることですし、各大学が自主的に対応していかざるを得ないということになるので、先ほど来出ているように、高校の側が高校の教育についていかに品質保証をするかという問題と、大学側が今後、大学教育を充実させていく上でどういう人を選抜していくかという問題は、ある程度密接に関連付けないといけないんだけれども、独立に考えていくという道を考えないと、大学のビジョンが見えてないときに1つの方法があるという結論を出すのは少し難しいのではないかというのが大学人としての意見です。

【梶田部会長】
 土井先生、ありがとうございます。
 それでは、市川先生、お願いします。

【市川委員】
 私も今の土井先生のご発言とちょっと関係があるんですけれども、一言だけ補足します。今日は大学入試がテーマですので、大学入試がいかに大切か、どう改善するかという話が中心になったとは思うんですね。ただ、私はこの話が大学側が入試にもっとものすごいエネルギーをかけるようにという方向に向い過ぎることをちょっと危惧しているんです。というのは、少なくとも大学の教員にとって一番力を入れるべきなのは入試じゃなくて大学教育の中身だと思うからです。つまり、ファカルティ・ディベロップメントです。日本のこれまでの大学は教育内容が随分貧しかったと言われて、それをいかに大学教育の中身を充実することにエネルギーを注ぐかということで、この十数年、かなり動いてきたと思います。入試も大事なんですけれども、できればうまくシステム化していただいて、私がセンター試験の方をうまく資格試験化してと言ったのも、それは大学側の教員に負担をかけずに、うまく社会のシステムの中でそれが機能してくれるといいなということなんですね。それから、AO入試について、例えばアメリカの大学でAO入試を非常にうまくやっているのは、オフィスがものすごく充実しているからなんです。大学教授がいろいろな論文を課して採点したりとか、大学教授が全部面接をしたりというわけではないと思うんです。そのあたりの事情があって、どうも日本では大学入試を改善というと、教員スタッフにものすごく過重負担になってしまいがちですので、これがうまく解消されないといけないんだろうなと。その解消はどうやっていっていいのか私は分からないんですけれども、できればさっきの習得の方は資格試験のようなシステムで、そして大学の先生がエネルギーをかけるのであれば、もうちょっと論文的な試験を課すというのはいいと思いますけれども、それが全教科にわたって論文をというようなことをやったら、これは出題と採点の手間で、それこそファカルティ・ディベロップメントどころではないという話になってしまいます。大学スタッフの仕事で一番大事なのは大学教育の中身を改善することで、入試も大事ですけれども、うまくそれがシステム化されて、どこかに過重負担がかからないような方向に行ってくれればいいと思っています。これが補足です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それじゃ、荒瀬先生のご発言で一応この議題は終わりにしたいと思います。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。
 高等学校としての立場から言いますと、こうしていろいろ議論が出てくる中で、大きく変えていこうとすると、なかなか全体を変えるとなってくると非常にしんどいわけで、今もいろいろな大学の事情がある、いろいろな高校の事情があるというときに、何か一部だけでも変えていくことができないのかなと思います。先ほど土井先生が仰った大学教育の中身をもっと充実させていくことが今、大学には求められているんだと全くそのとおりだと思うんですけれども、ただ、実際に、やはりこれも仰ったように、具体的に社会、世間が大学をどう見ているかというと、まさに偏差値で見ていて、簡単に言えば、偏差値のランキングみたいなものが動くと、それに対して動く保護者も少なからずいる。そういう中で、大学が教育内容を充実すること、大学の教育内容充実にすべての勢力を注がれるのは、当然それはあって然るべき姿だと思うんですが、実はしかし、入学試験というのが非常に大きな意味をもっているとしたら、大学教育の中身が分かるような入学試験を、たとえ定員の一部でもいいんです、400人採られる学部なら10人でも5人でもいい、全く今までと違ったような内容の入学試験をしていただけないものかなと、非常に無責任な言い方になってしまいますけれども、思います。
 この場では初めて申し上げるんですけれども、東大と京大がAO入試を定員の一部でもなされば大学入試に対する世間の意識は全く変わると思います。それはきっと大学の教育内容をよりよくするため、世間の認知度を高めるという意味においても、あるいはまた、大学に対してお金を出していく、国だけじゃなくて企業も含めて、そこのところが変わっていくような気がして仕方がありません。高等学校の学習内容を深めれば深めるほど、実は大学入試と必ずしも一致しないところに生徒の興味・関心をもっともっと深めていこうとすると、ある特定の分野で非常に深い学びをしていこうとしている生徒からすると、基本的な基礎知識はもっていたとしても、実際のところ極めて不合理な大学入試というのがあるのも事実です。ですから、資格試験的なものをやっていくというのも1つの方法ですし、また、逆に大学がこういうことができるかということを堂々と高校生に問うていただく術もお考えいただけないかなということを思いました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃあ、この問題はまたいろいろと高等学校の教育課程を議論するときに繰り返し出てくると思いますから、その時にまた話し合いをしたいと思います。
 ただ、一言だけ申し上げておきたいんですけれども、どうしても小中高の世界と大学の世界でちょっと違う点がありまして、今日、土井先生をはじめ何人かの先生に大学人として話をしていただいて、そこのところの発想、感覚の違いも考慮しなきゃいけないのかなと思いました。そして、一番大きい違いは何かというと、簡単なんですよ。「東大が」とか「京大が」とか、今、木村先生が言われました「東工大が」とか言えないんですよ。「どの分野が」とか「どの領域が」なんです。例えばハーバードに行くという話があったけれども、「どの分野に行くか」なんです。『Newsweek』をはじめ、いろいろな欧米の雑誌で、分野ごとにどういう実績を上げているかというのを出しているのがありますが、東大でも東北大学でも阪大、京大でも、分野によってはトップレベルなんです。逆に、これははっきり言いますけれども、ダメな分野は全然ダメなんです。
 ということで、次の議題に移りたいと思いますが、この夏、16の専門部会でかなり詳細を詰めていただかなきゃいけないわけですけれども、詰めるに当たって考えてほしい事項について親部会の方から申し上げておかなきゃいけないということになっております。この親部会で今までに出てきた論点も含めまして、少し整理していただいたものがございますので、事務局からご説明いただきまして、皆さんのご意見をいただきたいと思います。

【合田教育課程企画室長】
 それでは、資料7に基づきまして、これまでの各教科に関するご議論を簡単にご説明申し上げたいと思っております。
 昨年2月に「審議経過報告」を教育課程部会でおまとめいただきましたけれども、それを踏まえまして、各教科の専門部会において、1課題、2目標・内容についての改善の方向性、3具体的な改善事項の例ということでまとめた上で、教育課程部会にご報告をいただいたところでございます。各教科、下に枠囲みがございますけれども、これはその際、教育課程部会で提起されましたご意見でございます。例えば国語で申しますと、言語力を重視していく必要があるという全体の流れの中で、3の具体的な改善事項の例にございますように、「小学校において易しい古文や漢文の音読や暗唱を重視」する必要がある。次の○でございますが、「常用漢字についても必要に応じて振り仮名を用いるなど、早い段階から児童生徒が読む機会を持つように改善」する必要がある。「敬語等の指導を充実」する必要がある。1つ飛びまして、「我が国で長く親しまれている古典や近代以降の作品なども、発達の状況に応じて教材へ選定」する必要がある。「読書活動の充実」。一番最後の○でございますが、「対話、記録、要約、説明、感想などの言語活動を継続的に指導」する必要がある、というようなことを専門部会の方から教育課程部会にご提起いただいたところでございます。それに対しまして、枠囲みでございますが、例えば2つ目の○にありますように、「基本的な文法の定着を体系的に図る必要」がある。一番下の○でございますが、「最低限必要と考えられる教材について、共通教材として考えていく必要」があるのではないかというようなご議論が教育課程部会であったところでございます。
 順次、ごく簡単に各教科について触れさせていただきたいと思います。
 社会、地歴、公民につきましては、3の具体的な改善事項にありますように、2つ目の○でございますが、「我が国の伝統、文化に関する内容を一層重視」する必要がある。1つ飛びまして、下から2つ目の○でございますが、「地理的分野で、世界各地の人々の生活・文化と自然環境や社会環境とのかかわりなどについて学ぶ項目を設置」する必要があるというご議論をご提起申し上げました。これにつきまして、枠囲みの一番上にありますように、「都道府県名など基本的な知識はしっかり教える必要」がある。2つ飛びまして、4つ目の○ですが、「日本の歴史や文化について指導が不十分であったのではないか。充実する必要」があるといったようなご意見。それから、下から2つ目の○でございますけれども、「自由とは何か、平等とは何か」といったような概念等についても考えさせる指導が必要であるというご指摘をいただいたところでございます。
 次のページは算数、数学でございますけれども、右側の具体的な改善事項のところにもございますように、「学年間や学校段階間でスパイラルな教育課程を構成し、基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着」させる必要がある。「言葉や数、式、図、表、グラフなどの相互の関連を理解し、それらを用いて説明・表現する指導を充実」する必要があるということで、教育課程部会に専門部会からご提起をいただき、それに対して下の枠囲みでございますが、2つ目の「子どもの年齢に応じてこの程度でいいのではないかと、大人が内容を制限するのはやめたほうがいい」。一番下ですが、「反復練習により、計算力の強化を図るべき」といったようなご意見をいただいたところでございます。
 理科につきましても、右側の項目にありますように、「エネルギー、粒子、生命、地球などの科学の基本的な見方や概念を柱とした、小・中・高校を通じた理科の内容の構造化」。次の○ですが、「考察・説明・探求を充実」する必要がある。「観察、実験や自然体験、科学的な体験を一層充実」する必要があるといったようなご意見をご提起申し上げ、次の3ページ目でございますけれども、教育課程部会では、枠囲みの中の2つ目の○にありますように、「理科に関連する実体験を通して生活のどこに活用されているかを理解させるべき」である。次の○でございますが、「観察・実験、自然体験などを行うための時間的余裕が必要」であるというご指摘をいただいております。
 外国語につきましては、以下、教育課程部会でご指摘いただいご意見を主にご紹介させていただきますけれども、外国語の下の枠囲み、「基本的な語彙や文法の定着とコミュニケーション能力の育成のバランスを図ることが必要」である。1つ飛びまして、「現行の中学校の900語という語彙数については厳しく制限すべきではない」。それから、一番下の○にございますように、「学年に応じて文法の内容を示すなど、文法指導の在り方を見直すべき」といったようなご意見がございました。
 音楽、芸術(音楽)につきましても、枠囲みの一番上にございますように、「文部省唱歌など長く歌い継がれてきた日本の歌を教材として取り上げることは重要」である。下から3つ目の○にございますが、「演奏や合奏を通してみんなで一つの音楽をつくっていくという体験は重要」であるといったようなご意見。
 4ページ目でございますが、図画工作、美術、芸術(美術、工芸、書道)につきましては、枠囲みの1つ目の○にありますように、「日本の伝統文化継承の観点は大切」である。2つ目の○にありますように、「図工の教科書について内容の改善・工夫」が必要であるというご意見をいただいております。
 同じページの家庭、技術・家庭、情報につきましては、枠囲みの2つ目にありますように、「家庭科では、家族とのかかわりを強調して親子の共同体験を盛り込んではどうか」。下から2つ目の○にありますように、「情報教育については小・中・高での内容の重複を整理し、系統的な内容にすることが必要」であるといったようなご意見が出されてございます。
 5ページ目でございますけれども、体育、保健体育につきましては、枠囲みの2つ目でございますが、「限られた体育の時間だけでは体力の向上は難しいので、休み時間や放課後の校庭を開放し、子どもたちを運動させることを検討してはどうか」。次の○でございますが、「食育については関連教科を体系的に整理する必要がある」というご意見。
 5ページ目の下の方は道徳でございますけれども、これは何度か議論がございましたように、右側の幾つかの○にございますように、学校段階ごとに道徳の特色を重点化、明確化してはどうか、体験活動との関係、高等学校の公民科の倫理の充実、といったようなご提起を専門部会から教育課程部会に申し上げたところ、次の6ページ目でございますけれども、枠囲みの例えば3つ目の○、「中学校では、例えば品川区の市民科の例なども参考にして、教育の形式的な在り方も改善する必要があるのではないか」。下から5つ目の○でございますけれども、「道徳、特別活動、総合的な学習の時間は、それぞれのねらいを区分した上で分担や連携をすべき」。その次の○でございますが、「法について、自らの問題として考え、その根底にある基本的な考え方や価値を理解できるようにすることが重要」である。一番下でございますけれども、「教材を更に充実させ、それを基本として他の教科や特別活動と連携し、展開していくことが重要」であるというご意見をいただいているところでございます。
 特別活動につきましては、枠囲みの2つ目にありますように、「キャリアスタートウィークなどの5日以上の職場体験活動を教育課程上でどう位置付け、推進していくのか」というようなご意見。
 生活科につきましては、科学的な見方や考え方の基礎を培うという観点を重視してはどうかという専門部会からのご提起がございましたので、教育課程部会では、2つ目の○にございますように、「生活科では、気付きや関心だけに終わるのではなく、「なぜ」と考える習慣をつける指導が必要」であるというご指摘をいただいております。
 7ページ目、総合的な学習の時間につきましても、枠囲みの一番上でございますけれども、「資料の集め方、データの分析の仕方など学習の方法論を総合的な学習の時間の中で教えてはどうか」。1つ飛びまして、「学習指導要領の総則の中に総合的な学習の時間は位置付けられているが、章立てにするなど、学習指導要領上の構成を検討すべき」である。また2つ飛びまして、例えば「中学校では仕事や自己の将来を考える学習を総合的な学習の時間の例示に加える必要」があるというご意見をいただいております。
 なお、以下、幼稚園教育につきまして、7ページ目の枠囲みで申しますと例えば2つ目、「幼稚園終了段階で、時間を守ること、集団行動ができること、人の話を聞くことができるようにすることが必要」である。
 特別支援教育につきましては、枠囲みの1つ目の○、意味がとりにくい表現で恐縮でございますが、要するに小・中学校における特別支援教育の充実には、特別支援学校の支援等の基盤が必要であるというご意見をいただいております。
 産業教育につきましては、枠囲みの一番下にございますように、「専門教科の基礎的・基本的な内容に関して、時代の変化に対する普遍性について検討し、時代の変化に対応した教育内容にする必要」があるというご意見をいただいているところでございまして、本日の議論等も踏まえまして、各教科等の詰めの議論を更に専門部会で深めていただくことになろうかと思っております。
 併せてご紹介だけでございますが、資料8でございます。資料8は「言語力の育成に関する主な意見について」というものでございますが、5月24日の教育課程部会でご紹介申し上げました梶田先生を座長とする言語力育成協力者会議の、その後の議論を踏まえた「議論の整理用のメモ」でございます。なお修正しつつある素案でございますので、現段階のものとして資料に入れさせていただいている次第でございます。
 以上、簡単ではございますが、ご説明とさせていただきます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 この教育課程部会、長い流れの中で議論を積み重ねてきて、資料7にありますようなところまでは来ているわけです。資料7、多くの先生方は第3期も委員をやっていただいておりましたのでご存知かと思いますが、いずれにせよ、新しい先生方もこれをもう一度ご覧いただきたいんですが、この辺までまとまってきております。これを踏まえて、各専門部会でも議論を続けていただきますが、今日の段階で、限られた時間で十分に見ていただくのは難しいかもしれませんが、もう一度目についたところだけでもご覧いただきまして、こういうところはこれからの各専門部会の議論で特に大事にしてほしいというようなこととか、あるいは全部がまとまってきますと、この親部会でまとめに入っていかなきゃいけないわけですけれども、その際にはこういうことを重視したいとか、そういうようなことにつきまして、自由にご意見をいただけばと思います。何かございますでしょうか。
 そしたら、田村先生が先に帰られますので、まず先に。

【田村副部会長】
 申し訳ありません、一言だけ。
 基本的なスタンスとして、先ほど甲田先生からもご意見がございましたけれども、大綱化というのは1つの流れだろうと思います。大綱化するということを基本のスタンスにしてほしいなというのが私の希望でございまして、できるだけ現場の学校の考え方が反映できるようにしないと、中学校ぐらいからものすごく生徒が多様化しているわけで、これは絶対に統一してやりようがないというのが実態なんですね。ですから、なるたけ多様化して、その中で全体がこれだけは身に付けてほしいというものをどの程度決められるかというところが勝負のしどころだと思うんですけれども、基本的なスタンスは多様化だと思います。心配だから高卒の資格試験をするという発想が私の考えなんですけれども、一言申し上げさせていただきました。ありがとうございました。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。じゃ、角田先生。

【角田委員】
 ありがとうございます。
 小学校の出身ということもあって、全部の教科について述べたいところはあるわけですが、時間もありませんので幾つかに絞ってお話をさせていただこうと思います。
 まず、国語についてですけれども、PISA型の読解力について、これは非常に重要だということは、この部会の中では当然分かり切っていることなんですけれども、どうしても国語の読解力から抜け切れないという現場の状況があるような感じがします。国語のところにPISA型読解力というふうになっていると、要するに物語文を読んで、どう読み取るかというところだけに特化してしまうような感じがあるんです。国語のところに書いてあると現場は国語と限定しがちですので、国語が核になることは非常に重要だとは思いながら、全体を通して、PASA型読解力というよりは、もう少し関係付ける力であるとか、読み取る力であるとか、あるいは問題解決、問題発見能力という形で、全体にかかわるところに出していただいて、その中核をなすのが国語なんだというような表現にする、その辺のところを是非ご留意いただきたいと思います。そして、国語と理科、算数、あるいは幾つかのところで時間数の増加が言われているわけですけれども、国語に限って言うと、週5日間の中で9時間とか10時間という時間を子どもたちに課すというのは、子どもも教師も非常にきついんですね。小学校は学級担任制ですから、どうしても1人の教師がやるというのが今までのならいですが、できるだけいろいろな人が入ってくれると、少しバリエーションが出てきて子どもたちも何とかなるんじゃないか。つまり、図書館司書がいなくても読み聞かせができるとか、そういう条件整備が必要で、その上で時間数の増加が、理科でも算数でも考えられなければいけないのではないかと思っています。まず国語のことです。
 2番目は生活科のことですけれども、資料7にも若干載っておりますけれども、生活科というネーミングが、当初は子どもの幼稚園からの発達ということから考えて、子どもの疑問だとか気付きというものを大事にしていこうという形で来ていたんですが、かなりこのところ固定化してきているような感じがして、それも「生活」という名前から社会科的な事象を取り上げることが大変多くなってきているような感じがします。この時期に子どもに科学的な目と言いましょうか、自然を見る見方の基になる驚きといったようなことを是非盛り込んでいただきたいなと。ただ、それが余り教え込みにならないようにしないと、生活科とは言えなくなってしまうだろうと思いますので、この辺のところは是非ご理解をいただきながら表現に注意をしていただきたいと思います。
 3番目に外国語ですけれども、これはまた改めて時間があって話をする機会があるのかと思いますけれども、今、小学校でかなり外国語についてのばらつきが出てきているような感じがして、入門期の中学の英語で非常に困っているということを聞きます。この辺についてはどういうやり方がいいのか、なかなか一概に言えないわけですけれども、小学校でのばらつきを解消しながら、一方で最初から英語嫌いになってしまう子どもを中学校に送り出してしまうようなことも聞いておりますので、ひとつ十分に配慮していただきたいなと思います。
 4番目が家庭科の問題なんですが、家庭科は小学校の場合ほとんど担任がしているんですね。教科書は資料7に書いてあるように家族、家庭等についてのことを学習するようになっているんですが、実際の授業になると、週に2時間続きの家庭科では料理をしたり裁縫をしたりすることがどうしてもメインになってしまう。もちろんそれだけをやっているわけではないんですけれども、家庭をうまく授業の中で取り上げ切れないという部分があるんですね。今の家庭科の理念というのは非常に重要だと思いながら、現場でやりやすい形にするにはどんなやり方がいいのかということを是非、専門部会の方でご検討いただきたいと思います。
 最後に総合的な学習の時間ですけれども、言わずもがなで、非常に重要なものだと思います。今回の習得型、活用型、探究型ということで、ある程度のパターンが示されています。パターンに終わってはいけないんですが、是非、総合的な学習の時間が探究型でありながら基礎・基本の習得に戻っていくという相互作用のあるものにしていかなければいけない。その意味では、学習指導要領の中に総合的な学習の時間を1つの項目として、総則から独立させる必要がある、そんなことも十分専門部会で検討いただければと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 今、非常に大事な点が含まれていたと思うんですけれども、例えば生活科など学習指導要領の上では非常に適切に表現されていたと思うんですよ。例えば、もともと初等理科、つまり小学校1、2年の理科と社会科を一緒にして、それにもう1つ別な視点を持ち込んで、私と人々と自然という3者関係の中で、新しい教科を構成するという原理でつくられたものなんですね。これは最初の頃の資料をご覧になると分かります。
 ただ、私、これからの学習指導要領をつくって実施する上でのことを、是非事務局の方にお願いしておきたいんですけれども、はっきり言いまして生活科が非常に歪んでしまった面があります。非常に現場を縛ってしまう、あるいは現場の創意工夫を摘んでしまう、あるいは学習指導要領を歪めてしまうという事実が私はあったと思うんですよ。ですから、学習指導要領の作成に当たっては、バランスのとれたものを本当に責任をもってつくらなきゃいけない。そして、その実施の段階で歪まないように、教育課程部会も常設になりましたので、これからは少し見ていかなきゃいけないなと思っております。
 じゃ、佐々木先生。

【佐々木委員】
 それぞれの分野や年齢に応じてたくさんコメントしたいことはあるんですが、是非、重要視していただきたいので1つ申し上げると、横串の視点と言うんですか。こうやって資料をつくってしまいますと、どうしても国語、社会というふうにばらばらになってしまうんですが、今どんな人間を育てたいかと考えたときに、私は、何度も申し上げているように複数の柱をもった子どもを育てたいなと思うわけで、学習指導要領の中にも個々の教科だけでなく、横串の目と言うんでしょうか、横切りにしたときにどういうふうになっているかということをまとめるなり、提案するなりということが重要ではないか。それが先ほど来出ている多様化ということにもつながるのではないかと思っています。ですから、評価についても、複数の分野で力を付けることが高く評価されるという形、特に体育や道徳なのか、音楽、家庭、技術、様々な教科等もきちっと評価対象になり、横串で人を見たり育てたりする必要があると思います。
 もう一点は、それにかかわるんですけれども、これも常々申し上げていますが、学び続ける人になるということを教育していくことが重要だと思うので、調べる力や考える力、問題提起する力、あるいは共に対話をしながら問題を解決する力、こういったものが全体をカバーするんだろうと思います。学力低下は問題なんですが、こういうことを言うといけないかもしれませんが、極論は二十歳になって漢字をやろうとか掛け算をやろうといったら、そこから短期間でもしかすると学習できることってあるかと思うんですが、学び続けようとか、人と対話をして一緒に解決しようということは、少しずつ長い年月の体験の中で育つと思うので、そんな人間を育てるための横串を是非、学習指導要領に視点として入れていただきたいと思っております。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 相互連携ですね、さっきのPISA型の読解力もそうです。分かりました。
 黒須先生、高橋先生、天笠先生といきます。じゃ、黒須先生。

【黒須委員】
 すいません。申し上げたいことはたくさんあるんですけれども、自分自身の時間の関係で大変申し訳ないんですが、道徳について一言申し上げたいんです。1つ、ちょっと疑問に感じているのは、新聞報道されましたけれども、山崎会長が内面的な倫理意識に踏み込む「道徳教育」は学校教育では難しいということを強調されておられますね。中教審の会長としてそういう発言は非常に重いものがあると思うんですね。我々は新聞報道でしか見ておりませんので分からないんですけれども、真意がどこにあるのか、どういう視点からそういう発言をされておられるのかというのを私は非常に疑問を感じているんですね。私自身は、道徳教育は必要だと思います。ただ、戦前の教育がすべて否定されているような時期がありましたから、そういう意味で道徳というものに対してアレルギーを感じるという、それは資料7にも出ていますけれども、だから、人生科とか、人間科とか、市民科とかって、そういう名前は私は好ましいことではないと思うんです。ただ、教科書で道徳を教えるどうこうというのは、なかなか難しいことだとは思うんですけれども、でも、やってはいけないことをやってはいけないとか、あるいは、それぞれに学校で教師が工夫をして、ありきたりのことをやるんじゃなくて、例えば自分の肉親あるいは親しい人が亡くなったときの気持ちとか、あるいは優しさに触れたときとか、苦労を乗り越えたときとか、例えばそういう自分の体験を心から子どもたちに話すということは必要なんじゃないかなと。それが私は道徳だろうと思うんですね。今、モンスターペアレントとよく言われますけれども、モンスターペアレントというのは、ヘリコプターペアレントとドライクリーニングペアレントとのセットになっているわけですよね。そういう大人たちはまさに道徳教育というものを受けてこなかった人たちですよ。そういう先生方も多いわけですよ。ですから、道徳というものに対して非常にアレルギーを感じる教師もおられると思うんですけれども、基本は私は必要なことだと思っているんです。どういう方法でやるかは別にしても、道徳教育はきちんとやっていくべきだと思うんですけれども、最初の点をお聞かせいただければと思います。

【梶田部会長】
 今の段階はまだ百花斉放で、いろいろな考えが出てきている段階だと思うんですよ。ご承知のように山崎先生も中教審の会長という立場で仰ったんじゃなくて、山崎正和先生という個人として仰ったわけで、中教審としてそれにこだわらなければならないというものではないと思っております。ここにおられる皆さん、山崎先生もそうですけれども、道徳教育と言いますか、道徳性を身に付けさせることについて軽く見ていいと思っている人は1人もいないと思うんです。この点はみんな一致していると思うんです。ただ、方法論についてはまだいろいろなやり方があるだろうと。これはまた専門部会からご報告があると思いますけれども、専門部会で3つぐらいのことが道徳教育について言われてきました。今までのように副読本を使って、モラルジレンマという1つの事柄について道徳的な視点を複数出してきて、みんなで話し合って、その中で自分はどういう価値観で道徳的な問題を考えていくかという、考えを深めさせるということが1つ。もう1つは、実際の体験させて、その中で自分が気付いて大事だなと思うことを身に付けていくということ。もう1つが、これはごく少数の事柄になるんでしょうけれども、人として絶対大事だよということをどこかで教えていかなきゃいけない。この3つが今まで専門部会で議論されてきたと思うんです。この3つをどういう形で実際のものにしていくかというところが、専門部会で最終の詰めにもなると思いますし、また親部会として私たちが道徳教育をきちっとしたものにせんといかんわけです。ですから、その点は皆さん、私はそう違いはないと思っております。
 それから、ついでに言いますけれども、新聞報道では「徳育の教科化」と書いてありましたけれども、教育再生会議の第二次報告では「新たな枠組み」による教科化ということなんです。同じ教科、横並びの教科じゃないんですよね。そこをいろいろと考えなきゃいけない、工夫をしないといけないということがあるわけでして、それは我々に投げかけられていると思うんですよ。どういうやり方がいいのか、それを教科と呼ぶかどうかも含めて考えたらいいと思うんです。ですから、山崎先生のご発言も別に再生会議とバッティングしているわけでもありませんので、これからまた道徳については時間をとって、皆さんで話し合って、うまくいくところを考えたいと思っております。
 じゃ、高橋先生、そして、天笠先生。

【高橋委員】
 ありがとうございます。
 今日はこのように議論の方向性ということで、お話をいただいたわけでございますけれども、私はこのことと、授業時数ということについては、当然切っても切れない関係がございますので、そのことについてお話をさせていただきたいと思っております。
 とにかく週当たりの授業時数のことで申し上げれば、現在も私は中学校でございますけれども、各学校においては週当たり28あるいは29コマで行っていて、それでやって現行の授業時数を確保するというのが相当な経営努力を要するというところがあるわけでございます。私は、この授業時数については、できれば現行どおりでやっていただきたいと。放課後その他、特別活動で定められている学校行事であるとか、そういったことをするために、これも放課後等において相当な時間を要していることでございますので、こうした時間がなくなる、あるいは部活動に費やす時間もなくなるというようなことは、中学校教育上、決していいことではないと思っていますので、基本的には現行の授業時数でやっていただきたい。ということになれば、それに見合う内容ということは当然のことながらあるんだろうと思います。
 例えば、職場体験学習5日間ということになれば、最低30時間が必要。この30時間が増えるのであれば、30時間分の内容が減るということでなければ成り立たない。内容がどんどん増えて、あとはそれぞれの学校の経営努力でやりなさいということを言われても、それはなかなか難しい。是非、内容と授業時数が結びつくような形でご検討をいただきたいということをお願いしたいと思っております。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃ、天笠先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。
 私はそれぞれの専門部会で検討する際にもっていただきたい問題意識、視点として、是非お願いしたいのは、教育課程全体を通してということです。そういう点からしますと、各教科それぞれがこれまで議論を積み上げながらここまで来ているというのは、ご説明でよく分かったわけですけれども、改めて教育課程全体を通して目指すところをしっかりと幾つかポイントを押さえていく必要があるのかなと思いました。例えば社会科等々の2つ目の○のところで、専門部会からは「国家・社会の形成者の育成のため、我が国の伝統、文化の内容を一層重視」していく必要があるんだというご提言が出てということですけれども、ここに言うところの「国家・社会の形成者の育成」というのは、1つの教科だけではなくて、おそらく教育課程全体を通して目指すべきものだということは、おそらく多くの方の理解を得るところではないかと思うんですが、こういう柱がおそらく何本か当然あるんじゃないかと思うんです。それらとの関係について、それぞれ専門部会で検討していただくことが私は必要なんじゃないかと。それがないと、それぞれ各教科内の世界だけで煮詰めてしまうようなことになってしまうと思いますので、この辺のやりとりがどうだったか、改めてその経過等々がここの場に出てくることをお願いしたいと思います。その際、それぞれの教科がどういうねらいをもっているのかとか、教育課程全体の中でどういう役割を果たさなければいけないのかというあたりの議論を是非、ご期待申し上げたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。何かほかにご発言ありますか。
 じゃ、陰山先生。

【陰山委員】
 手短に1点だけ。
 今回の学習指導要領の改訂で従来と大きく違うところは、教育基本法が変わったということですね。そうした中で、義務教育の1つの責務として社会的自立ということがあったと思うんです。そういう観点からもう一遍見直していくと、また同じことを言いますけれども、この社会、地理歴史、公民の分野で、地理的分野が弱いんじゃないかなという気がどうしてもしてしまうんです。我が国の地域について知っているということは非常に必要だろうと思いますので、生活科から中学校の社会科が終わるところまでで基本的に日本のことについて知っているということがきちんとできるような、その観点での議論をお願いしたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 じゃあ、時間が来ましたので、皆さんに1つお諮りをしたいんですが、教科ごとの専門部会に親部会としてこれまでの審議してきたことを投げかけて、深めていただいて、まとめていただくんですけれども、しかし、同時に親部会として全体を見通した、きちっとしたある種のまとめを創出していかなきゃいけないと思います。今日はそういうことにかかわるご発言も何人かの先生からもいただきました。第4期に入りまして、この教育課程部会も本日を含めましてもう6回やっております。そういう中で、各教科の枠をまたいだ話も行いましたし、各教科に関係したご発言もいただいてきたわけですけれども、そろそろ教科を超えた共通の視点とか、あるいは教科だけでは扱えない視点、学校教育活動全体で見ていかなきゃいけない視点だとか、そういうことにつきまして、まとめて皆さんで議論しなきゃいけないなと思っております。そういうことで、これまでの議論を踏まえて、今日も横串という話がありましたが、各教科に横断的な事項を中心としながら全体のまとめになるようなものの整理を木村先生にお願いして準備していただいて、皆さんでそれを基にまた議論していきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。今日は木村先生は既にご退席ですが、皆さんのご了承を得られればお願いしますということを言ってありますので、木村先生にお引き受けいただけると思います。ご承知のように、木村先生は第1期から第3期までまとめ役をしてこられまして、これまでの流れを一番よくご存知ですので、まとめの案をつくってもらって、皆さんでまた議論していくことにしたいと思います。
 それでは、先ほどから何度か申し上げましたが、これから順次、専門部会が開かれていくことになります。そういうことも含めまして、今後の日程につきまして事務局からお願いしたいと思います。

【南野専門官】
 長時間にわたるご審議をいただきまして、ありがとうございました。教育課程部会の次回の日程につきましては、部会長とご相談の上、追ってご連絡させていただきたいと思います。なお、各教科等の専門部会の日程でございますけれども、7月は、17日に外国語専門部会、19日に芸術専門部会、20日に家庭、技術・家庭、情報専門部会及び幼稚園教育専門部会、23日に国語専門部会、算数・数学専門部会を順次開催する予定となってございます。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 先ほど冒頭にご挨拶がありましたように、今年度中に告示までいくというスケジュールを再度皆さん念頭に置いていただきまして、そうすると、12月か1月に答申を出さなきゃいけない。そうすると、秋には中間まとめを出さなきゃいけないというようなスケジュールになります。非常に充実した夏になると思いますので、皆さん、これからよろしくお願いしたいと思います。どうも皆さん、ありがとうございました。

─了─

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