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教育課程部会(第58回) 議事録

1.日時

平成19年7月2日(月曜日) 13時~15時

2.場所

フロラシオン青山 「芙蓉」

3.議題

  1. 教育再生関連3法に関する国会審議の状況について
  2. 教育課程の基準の見直しと併せて検討すべき事項について

4.出席者

委員

 梶田部会長、木村副部会長、田村副部会長、阿刀田委員、安彦委員、天笠委員、荒瀬委員、石井委員、井上委員、岩崎委員、加藤委員、黒須委員、佐々木委員、高橋委員、角田委員、渡久山委員、中村委員、増田委員、無藤委員、毛利委員

文部科学省

 玉井官房長、銭谷初等中等教育局長、合田初等中等教育局担当審議官、布村初等中等教育局担当審議官、辰野高等教育局担当審議官、村田高等教育局担当審議官、前川総務課長、常盤教育課程課長、上月教育課程担当リーダー、合田教育課程企画室長、南野教育課程企画室専門官、瀧本特別支援教育課長、山下教科書課長、田中主任視学官
国立教育政策研究所
 惣脇教育課程研究センター長

オブザーバー

 鳥居顧問

5.議事録

【梶田部会長】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第4期第5回教育課程部会を開会したいと思います。委員の皆様におかれましては、非常にご多忙のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、まず最初に、第4期から新たに委員になられまして、初めてご出席される方をご紹介したいと思います。滋賀県栗東市教育長の岩崎委員であります。

【岩崎委員】
 岩崎でございます。よろしくお願い申し上げます。

【梶田部会長】
 よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【南野専門官】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。1枚目の議事次第をおめくりいただきまして、資料1といたしまして「教育課程部会委員名簿」、資料2といたしまして、第4期第1回教育課程部会に配付させていただきました「今後の主な検討項目と検討の進め方について」。資料3といたしまして「教育3法の改正について」。資料4といたしまして「教育3法改正に関する国会審議における主な議論」。資料5といたしまして「経済財政改革の基本方針2007(抜粋版)」でございます。資料6といたしまして「教育課程の基準の見直しと併せて検討すべき事項に関する論点案」。資料7といたしまして「審議経過報告」、関係部分の抜粋でございます。資料8といたしまして「第3期教育課程部会の審議の状況について」、関連部分の抜粋でございます。資料9といたしまして「教育課程部会におけるこれまでの主な意見」。資料10といたしまして「参考資料」でございます。過不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります前に、先月19日に閣議決定されました「経済財政改革の基本方針2007」、いわゆる「骨太の方針」でありますけれども、この内容に教育の具体についていろいろと盛り込まれておりますので、最初に玉井官房長からご説明をお願いしたいと思います。お願いいたします。

【玉井官房長】
 官房長の玉井でございます。資料5を先にご説明させていただくことをお許しいただきたいと思っております。去る6月19日に、「経済財政改革の基本方針2007」、いわゆる「骨太の方針2007」が閣議決定されましたので、これについてのご説明の時間をいただきたく参上したわけでございます。これは後ほど、また担当からご説明申し上げますが、中央教育審議会のお力によって教育3法の成立も図られたわけでございますけれども、制度改革だけではなく、それを真に実効あらしめるためには、真に必要な教育予算の確保が重要でございます。そういう考えのもと、私どもは「骨太の方針2007」に取り組んでまいりましたけれども、それなりのものが盛り込まれましたので、今後これをもとに、いわゆるシーリング、概算要求が行われ、そしてさらに暮れの予算編成、そこで本当の予算がどこまでつくかということになっていくわけでございます。その間、中央教育審議会におかれても様々なご議論をいただいていくと思います。どうぞまた忌憚のない、ご示唆、ご意見をいただきたいということで、中央教育審議会の各分科会、部会に参上して「骨太の方針」をご説明させていただいているわけでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。恐縮でございますが、座ってご説明させていただきたいと思います。
 資料5を1枚めくっていただきますと、「経済財政改革の基本方針2007」の目次が出てまいります。第1章から第5章までになっておりまして、これは、いわゆる「骨太の方針」は2001年からスタートしているわけでございますけれども、その時から大きな章立ては、大体似たようなものになっているわけでございます。そのねらいと成長力とか行財政システムの改革、それから社会をどういうふうにもっていくか、最後にそれぞれの年度予算に対してどのような考え方で臨むか、というのが第1章から第5章まで書かれてございます。
 それで、目次の下から半分のところに第4章「持続的で安心できる社会の実現」がございます。その2.で「教育再生」という柱が立ってございます。これは、先ほど申し上げました「骨太の方針2001」からスタートしているわけですございますけれども、教育についてこういう柱が立ったのは初めてでございます。これまではそれぞれの項目の中で、部分部分で少しずつ教育について触れられてきたのが「骨太の方針」でございましたけれども、安倍内閣はやはり教育再生を最重要課題の一つと位置付けているわけでございまして、そういう意味で、第4章の2.として教育再生という柱が立ったわけでございます。また後ほど若干ご説明いたしますが、この教育再生の中は、初等中等教育から高等教育にかけての基本的な考え方が示されておりますけれども、高等教育、つまり大学・大学院改革につきましては、具体的な中身はイノベーション等ともかかわりが深うございますので、目次で言いますと上の方、第2章「成長力の強化」の1.3「成長可能性拡大戦略―イノベーション等」の中の大きな柱の一つとして触れられているわけでございますが、ただ、理念といたしましては、今申し上げた第4章の2.「教育再生」の中で、初等中等教育から高等教育まで謳われているわけでございます。
 そこで、具体に見ていただくために7ページをお開きいただきたいと思います。これが教育再生の部分を抜粋しているところでございます。冒頭からお読みいただきますとおわかりのとおり、「骨太の方針」は経済財政諮問会議を中心に議論がなされてきましたので、当然、経済財政の観点が強うございます。今回も成長・発展のための「骨太の方針」でございますけれども、ここで謳われていますように、教育は初等中等教育から高等教育にかけて基礎教育をきちんとすることである。基礎教育があって初めて応用能力も身に付き、成長がなされるのである。こういう基本的な理念が教育再生の理念として掲げられているわけでありまして、そして中央教育審議会の答申をいただいて、国会でお認めいただきました教育基本法の改正を受けて、その理念が真に生かされるためには制度改正、そして真に必要な予算を確保し、また関係者の意識改革によって初めて新しい時代が開かれる、ということを明確に謳っているわけでございます。そして真ん中あたりが「改革のポイント」ということでございますが、1.が学力向上、2.が自然体験活動等による規範意識の向上、3番目が教師の資質向上、処遇の問題、そして4番目が大学・大学院改革、その主なところが掲げられてございます。そして5番目でございますが、予算といたしまして、「第3章の『1.歳出・歳入一体改革の実現』と整合性を取りつつ、効率化を徹底しながら、メリハリを付けて教育再生に真に必要な予算について財源を確保する」ということで、真に必要なものについては財源を確保するということを明確にしているわけでございます。
 さらに、具体的なものとして、7ページの下の方から、学力向上の手段として1、2、そして8ページに移りまして3、4、5とございますが、特に3をご覧いただきますと、「教員の質の向上及び教員が子どもと向き合う時間の大幅な増加」という考え方が明確に打ち出されてございます。中身をご覧いただきますと、教員の質の向上のための免許更新制の円滑な導入のための取組等も書かれてございますけれども、併せて教員の処遇の充実が謳われているわけでございまして、これもまた既に中央教育審議会からご提言をいただいたことを踏まえながら具体化を図っていかねばならないことでございますし、さらには、中央教育審議会のご提言もいただいて教育3法という形で既に成立いたしました学校教育法の中に副校長・主幹等の新しい職が設けられてございますが、それらの職の適正配置、さらには、中央教育審議会でもご議論いただきました40年ぶりの教員の勤務実態調査をもとにして教員の勤務の在り方が既に実態として明らかになっておりますけれども、そういう面から見たときの教員の事務負担の軽減といったことも謳われているわけでございます。さらには5でございますけれども、「学校現場の創意工夫による取組への支援」ということで、学級編成基準の弾力化、あるいは習熟度別指導・少人数指導の教員や小学校高学年での専科教員の適正配置、また定数の適正化、地域の実情に応じた学校選択制等々のことも触れられているわけでございまして、いわば教員の処遇、あるいは教育の質という面で、教員が子どもと向き合う時間をいかに確保するかということが、この中で明確に示されたわけでございます。
 それから、9ページに移らせていただきますと、先ほど申し上げました大学のことでございますが、「大学・大学院改革(第2章参照)」ということで、実は具体的内容は、先ほど申し上げました「イノベーション等」の方に移っているわけでございますが、初等中等教育から高等教育にかけて一本の理念のもとに教育再生を図っていくということになっているわけでございます。
 そこで、少しまた前に戻っていただきまして3ページでございますけれども、「歳出・歳入一体改革の実現」というのが掲げられているわけでございます。第3章全体が「21世紀型行財政システムの構築」ということで、厳しい財政事情のもとに、やはりきちんとした財政再建を図っていかねばならない、そういう観点から、歳出・歳入一体改革の実現が謳われているわけでございまして、3ページの下の方に「改革のポイント」として1から4まで掲げられております。1、2、3とございますように、やはり歳出改革ということで、徹底した効率化、あるいは削減を進めていかねばならないということがここできちんと謳われているわけでございます。併せて4.として、「こうした歳出改革の取組を行って、なお対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わない」という、歳出・歳入改革もあわせた一体的な改革を今後やっていくという考え方も触れられているわけでございます。そういう全体の中で、真に必要な教育予算について財源を確保するという考え方に立っているわけでございます。これは高等教育も同じでございます。
 なお抜粋の中に盛り込んでおりませんけれども、高等教育についてマスコミ等でご心配をおかけしておりましたけれども、経済財政諮問会議を中心に、基盤的経費、これは私学で言えば私学助成でございますし、国立大学で言いますと運営費交付金に当たるわけでございますが、これを大幅に削減して競争的資金に回すべきであるという議論が一時ございまして、なお、なかなか難しい議論があるわけでございますけれども、この「骨太の方針」におきましては、競争的資金の拡充も必要ですけれども、「基盤的経費の確実な措置」という言葉も一緒に入れられているわけでございます。この点も併せてご紹介しておきたいと思います。
 ほかにも、例えば子どもたちの安全のために、学校の耐震化の推進とか子どもたちの安全確保の問題、あるいは理数教育とか、部分部分で触れられておりますけれども、これは主なところということで、ちょっと駆け足でのご説明にさせていただきました。冒頭に申し上げたとおり、教育再生は安倍内閣の最重要課題の一つでございます。したがって、教育再生を真に実のあるものにするためには、真に必要な教育予算をきちんと確保することがやはり重要でございますので、文部科学省といたしましては、今後の概算要求、そして実際には暮れの予算編成に当たりますけれども、それらに向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えておりますので、また中央教育審議会の委員の皆様方のご指導、ご示唆をいただければ大変ありがたいと思っております。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。来年度の予算編成に向けて、現政府でどういう大きな枠組みで考えておられるかということにつきまして、今ご説明いただきました。もちろん今お話がありましたように、これに基づいてまだ8月にシーリングがあり、そして概算要求があって、具体的に何を削られて何を認められるかという予算編成がある、という段階を踏むわけですけれども、特に、今ご説明いただいた7ページ、8ページのあたりは来年度に向けて重視していかれるということで、実は本日、皆さんにご意見をいただこうと思っております点につきましても、この辺が関係いたしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議事に入りたいと思います。学習指導要領の見直しを検討していくに当たりまして、本日も総論といいますか、大きな土台になる部分について皆さんで話し合いをしていきたいと考えております。今お話がありましたように、教育再生関連の法律、3法と言われていますが、実際に4つの法律の改正案が成立したわけです。その国会審議の状況をまずご説明いただきまして、その後で、次の学習指導要領を本当にうまく実施していく上で必要不可欠な基盤的諸条件について、文科省の方で幾つか論点を整理していただいておりますので、それについてお話し合いをしたいと思っております。
 それでは、事務局の方から、教育再生関連3法と言われてきました法案の国会審議の状況につきまして、ご説明をお願いしたいと思います。

【合田教育課程企画室長】
 それでは、ご説明させていただきます。
 資料3にお目通しいただければと存じます。衆参両院にわたりまして190時間に及ぶ審議の上、教育基本法が改正されまして、新たに義務教育の目標等が規定されたところでございます。国会審議の様子につきましては、本年1月に第3期教育課程部会でご報告させていただき、それを踏まえた議論を既にいただいているところでございます。
 第4期の中教審の委員の先生方には、2月以降インテンシブにご審議いただきまして、資料3の1ページ目の上から5つ目のまるにございますように、本年3月10日に、教育基本法の改正を受けて緊急に必要とされる教育制度の改正について、答申をおまとめいただいたところでございます。これを踏まえまして、いわゆる教育3法、下に3つ法律が並んでございますけれども、学校教育法の改正、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正、教育職員免許法及び教育公務員特例法の改正を本年3月30日に国会に提出し、これも衆参両院にわたりまして100時間の議論の末、6月20日に成立、6月27日に公布されたところでございます。
 特に教育課程部会に関連の深い法律について、ざっとご紹介させていただきます。資料3を3枚おめくりいただきますと、横長の資料になりまして、お見苦しくて大変恐縮でございますけれども、下に5ページ、6ページと番号を振ってあるものがございます。いわゆる新旧対照表でございまして、上が改正後の学校教育法でございます。教育基本法で義務教育の目的が定まり、本部会でも議論がございましたように、社会において自立的に生きる基礎を培う、あるいは国家、社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うということが規定されたところでございますけれども、これを踏まえまして、かつ本年3月の中教審の答申に則りまして、今回新たに学校教育法の21条で義務教育の目標を定めたところでございます。教育基本法で義務教育の目的が定まったことを受けまして、21条で義務教育の目標を定めたところでございます。1号から10号ということで、例えば1号ですと、規範意識、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度、それから2号全体、あるいは3号の伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度など、教育基本法で新しく明確になった理念が義務教育の目標として規定されているところでございます。
 また、もう1枚おめくりいただきまして、下に8ページと書いておりますページにお目通しいただければと思います。こういった法改正に伴いまして、小学校、中学校、高等学校等の目的・目標に関する規定も変わっておりまして、例えば8ページの新しい29条、小学校で申しますと、「小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とする」。それから30条で「小学校における教育は、前条――すなわち29条――に規定する目的を実現するために必要な程度において第21条各号――これは先ほどお目通しいただきました義務教育の目標でございますが――に掲げる目標を達成するよう行われるものとする」いう規定が置かれたところでございます。さらに、次の9ページ目でございますけれども、今の30条の第2項といたしまして、これは前回も学習評価の関係でご紹介申し上げましたが、「前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」という学習の力点、ポイントが法律上、規定されたところでございます。
 なお、10ページ目の第33条に規定してございますように、小学校の教育課程に関する事項は、今お目通しいただいた29条及び30条の規定に従い、文部科学大臣が定めるとなっておりまして、これが今ご審議いただいております学習指導要領の根拠規定でございます。これらの学校種の目的・目標規定は、実質的に昭和22年の学校教育法制定以来60年ぶりに改正されたものでございまして、学習指導要領の法制上の土台が大きく変更になったということが言えようかと思っております。
 これらの改正についての国会の審議につきましては、伊吹大臣も、専門的な観点から学習指導要領の改訂についてご審議いただいております中教審にもお伝えする、と答弁いたしているところでございます。それらをまとめましたのが資料4でございます。大変大部な資料になりまして恐縮でございますけれども、教育3法、特に学校教育法がございましたので、学習指導要領にかかわる議論も多岐にわたって国会でご議論いただいているところでございます。時間もございますので、そのポイントのみ、駆け足でごく簡単にご紹介させていただきたいと思っております。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目からは、学習指導要領の改訂スケジュールについての議論の状況でございます。3ページ目の一番下、銭谷局長の答弁でございます。下線を引かせていただいておりますけれども、「学習指導要領の見直しに当たりましては、学校教育法改正案の国会での御審議を十分に踏まえまして、検討を行って参りたい」「今後、改正教育基本法、国会での御審議を踏まえまして、中央教育審議会での専門的な検討――まさにこの場でのご検討でございますが――を深めました上で、平成19年度中の学習指導要領の改訂を目指して作業を進めてまいる所存でございます」と答弁させていただいているところでございます。
 飛んでいただきまして大変恐縮でございますが、8ページ目にお目通しいただければと存じます。伊吹文部科学大臣の、改訂の基本的な方針についての答弁でございます。「立法府の意思として教育基本法が改正になった。そこに教育の目標というのが書いてある。それを義務教育の中で具体化していく作業が学習指導要領である。」次のパラグラフでございますけれども、「本来、立法形式としては、告示である学習指導要領を中教審にお諮りしながらつくるということも一つ可能である。しかし学校教育法というものを基本法と学習指導要領の間にかますことによって、これをもう一度立法府のご審査をいただいて、広い国民的視野から教育目標を認知いただいて、中教審の議論を経て学習指導要領をつくっていきたい。」と答弁してございます。教育基本法と学校教育法、2度にわたる国会でのご審議を踏まえながら学習指導要領の改訂を行っていくということでございます。その後の下線でございますけれども、「規範意識を身につける、同時に基礎学力を向上させる、そういうことを細かく学習指導要領に、今回学校教育法の改正をお認めいただければその目標に従ってつくっていきます。」という基本的な改訂の考え方をお示ししているところでございます。
 飛んでいただきまして恐縮でございますが、次に21ページにお目通しいただければと存じます。21ページでございますが、教育課程部会でも様々なご議論をいただきましたけれども、21ページの一番下、学力、あるいは学習意欲に関する事柄として、安倍内閣総理大臣の答弁でございます。「ゆとり教育の理念、考え方は、私は間違っていなかったと思います。物事を深く考える力、あるいはまた、幅広い知識を求め、そしてそれを学んでいくこと、好奇心を持って、いろいろなものになぜだろうと思いながら挑戦をしていったり、そういう知識を取り入れていこうという気持ち、そういったことをむしろ慫慂するにはやはりゆとりというものも大切なんだろうと思いますが、それはまさに基礎的な知識、学力が身についての上のことであろう。」ということでございます。次のパラグラフでございますが、「結果としてなかなかいい結果が出てきていない。つまり、子どもの自主性を尊重する余り、結果として基礎学力が、どうも十分に身についていないという結果になっていたり、また、学ぶ意欲の低下につながってきている」。次のパラグラフの2行目からでございますが、「学習指導要領の理念をしっかりと実現させていけるように、学習指導要領も見直していくことも大切であろうという意味において、このゆとり教育を見直していかなければならない。読み書き、今は、そろばんというか計算、読み書き計算、あるいは知識、技術、こうした基礎的なものはしっかりと教え込んでいくということが重要である」という認識を示してございます。
 それから、隣の23ページでございますけれども、●で平成19年4月23日という日付を振っております文部科学大臣の最初の方の答弁でございますが、「学力が何かというのは、先ほどもう御質問がありましたが、いろいろな見方があります。今回の学校教育法の改正案では、この前の改正教育基本法を受けて、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決させるために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことを重視する」として、先ほどお目通しいただきました30条の第2項に規定していることを説明いたしております。
 飛んでいただいて恐縮でございますが、次は30ページにお目通しいただければと思います。30ページの下の方の伊吹文部科学大臣の答弁でございます。一般的に学力が低下傾向にあることの原因ということでお答えしてございます。難しい問題であるという認識を示した上で、「社会が非常に豊かになって、核家族化が進んで、子供を取り巻く環境も随分変わっている」。下線部でございますが、「従来と比べると、家庭と地域の教育力は非常に落ちているというのがまず第一点」。それから次のパラグラフでございますが、「これはまあ評価の分かれるところですが、子供の主体性というか、子供の意見というものを尊重する余り、教えるべきことをきちっと学校現場で教えられない雰囲気がある」。次のパラグラフですが、下線を引いたところでございます。「学校の先生が非常にお忙しくて児童生徒と向き合う時間がやっぱり取れない」。それから4点目として、下線部でございますが、「授業時間数が十分かどうかという問題、この四点が考えられる」ので、大臣としては、「この四点を是正していけば学力は上がっていくんじゃないか」ということでございます。
 授業時数につきまして具体的な議論でございますけれども、1枚おめくりいただきまして32ページにお目通しいただければと存じます。ちょうど真ん中あたりの伊吹大臣の答弁でございます。答弁の後の方の第2パラグラフでございますが、「授業時間と学力の相関関係は、必ずしも、明らかではございません。したがって、基礎的な知識を定着させ、それらを活用して考えさせるために必要な授業時間を確保しながら、今後の基礎学力の充実に努めたい」という認識をお示ししております。また次のページでございますけれども、一番上からの伊吹文部科学大臣の答弁、第2パラグラフ目からでございますが、下線を引いたところでございます。「夏休み、冬休み、いわゆる長期休暇期間と言われるものの活用が、御指摘のように一番大切ではないか。同時に、一週間の授業時間を増やすということも今後考えていかなければならない。」ちょっと飛びまして、「日本語というか自国語の読解力、理解力というものが極端に日本はだめですから、このあたりの御指摘をしっかり受けとめて、授業時間の問題も考えてまいりたい」という認識を示しております。この答弁の一番下の下線を引いたところでございますが、「授業日数の増加の考えも、中教審にもそういう御意見は非常に多いわけですから、実現の方向で努力をしたい」という認識を示してございます。
 次に1ページおめくりいただきまして、35ページからは学校週5日制についての議論でございます。ページの上の方に塩崎官房長官の答弁がございまして、「学校週5日制は、学校、家庭、地域が連携いたしまして社会全体で子どもを育てることを目指すもので、国際的にも大半の国が採用しており、我が国も長期的な検討を経て導入されたものである。このため、国としてこれを維持した上で、土曜日における学習機会やさまざまな体験活動の提供を推進してまいりたい」ということでございます。
 なお、前回配付いたしました6月1日の教育再生会議の二次報告を受けた議論といたしましては、飛んでいただいて恐縮でございますが、41ページをご覧いただければと思っております。下の方の伊吹文部科学大臣の答弁の第2パラグラフの2行目からでございますけれども、「再生会議も余り予算や現実ととっぴなことは今回はご提言になっていない。読んでみると、授業時数の確保の一つのやり方として、学校週5日制を基本としつつ、学校の判断で土曜日を活用するということもしてはどうかということを言っておられる。ですから、土曜日の時間数を増やすということについて、家庭との、お父さんは週休2日でうちにいるときに、子供との接触の時間が今度はなくなるとか、そういうことも起こってくるわけだし、本当に授業を復活するのなら定数を増やさない限り、地方公務員だけあるいは教師だけ週40時間の原則から外すということは大問題になりますから、そのいろいろな問題をやはり前提に考えていく」という認識を示してございます。
 次の42ページでございますけれども、総合的な学習の時間についての議論でございます。下の方の文部科学大臣の答弁で、下線を引いてございますけれども、「基礎学力を十分教え込んだ上で、それを現実に応用する力、実社会で生きていく力を養うためにという建前で総合学習という時間を実は取ったわけです。この考えは私は間違っていない」という認識を示した上で、「ただ、現実の運用で残念ながら、ゆとり教育と言われる学習指導要領は、点数も付けませんし、比較的自由な時間」、総合的な学習の時間についてでございますが、「ですから、基礎的な知識を十分身に付けないまま、やや子供の主体性や興味本位あるいは関心本位に先生がその時間を流されたという、流されたというか使い流されたという指摘が一部にあることは確かです」。43ページの下線部でございますけれども、「総合学習の在り方を学習指導要領の中で少し変えていくとか、あるいは総合学習の時間を少し少なくして、そして基礎の学力の時間を増やしていくと。これは全体の時間数は増えないんですよ、このやり方をやっても」という認識を答弁において示されてございます。
 次に、先ほどお目通しいただきましたように、義務教育の目標に新たに盛り込まれました規範意識につきましても様々な議論がございました。飛んでいただきまして恐縮でございますが、52ページにお目通しいただければと存じます。上から4つ目に伊吹文部科学大臣の答弁がございます。下から2つ目と申し上げた方がいいかもしれませんが、「当然、人間社会、特に近代社会を構成している場合には法律というものがございます。ですから、法律は当然大切なルールではありますけれども、それに加えて、その社会あるいは国家が長い年月の間に熟成させてきた伝統と申しますか、暗黙の、その社会を動かしていくためのルールというか約束事のようなもの、そういうものを総称して規範、それをしっかり身につける意識を持っているということだと思います」ということで、以下、規範意識に関する細かいやりとりがお目通しいただけると存じます。
 再生会議の二次報告の徳育の取り扱いに関しましては、63ページを、飛んでいただきまして恐縮でございますが、お目通しいただければと存じます。63ページでございますが、一番上に伊吹文部科学大臣という四角囲みがございますけれども、下線を引いておりますように、「ここでいろいろ御議論があることも参考にして、学習指導要領その他はどういうふうに作るかというのは中教審に当然諮って、最終的には私が責任を持って判断いたします。」ということ、それからその次の文部科学大臣の答弁でございますが、「再生会議も教科にするとは言っていないんですね。いわゆる教科にするとは言ってない。いわゆる教科にするということは点数を付けなければいけませんからね、そういうことは私は賛成はできない」「その範囲の中でどうするかということは、そのときに使う教科書的なものをどうするかということですね、これはいろいろ工夫はあると思います。」という答弁をいたしているところでございます。
 その後、65ページからは体力の向上について、あるいは70ページからは職業観の育成、環境教育等についての議論を紹介させていただいておりますけれども、個別の紹介は省かせていただきたいと存じます。
 次に77ページ、飛んでいただいて恐縮でございますが、高等学校の必履修科目の未履修等を踏まえた学習指導要領の実効性の確保といったご議論でございます。下の方の伊吹文部科学大臣の答弁で下線部でございますが、「高校卒業生としては最低限ここまで身につけてもらいたいということを、国会の議決に従って我々が指導要領をつくって、各高等学校にお示ししているわけですから、これはこれでやはり守ってもらわないと困る」という認識を示しております。次の78ページでございます。上の方の大臣の答弁の続きでございますが、後のパラグラフで「しかし」というところがございます。本日の後半のご議論とも関係することでございますけれども、「いずれにしろ、子どもたちが基礎学力を落ちついて身につけて、そして、規範意識をしっかりと持った子どもであるという教育ができるような大学入試でやはりあってもらいたいと思いますので、もろもろ、中教審でも大学のあり方を検討していただいております」という答弁をいたしてございます。それから、79ページでございます。主として学校教育法のご説明をさせていただいておりますけれども、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の49条におきまして、今回、教育委員会の法令違反や怠りによって、生徒等の教育を受ける権利が侵害されているといった場合には、文部科学大臣は是正の要求を行うことができるということになっておりますが、どういう場合に是正の要求を行うかという1つの事例といたしまして、79ページの上の方の文部科学大臣の答弁の第2パラグラフで下線を引いたところでございますけれども、「未履修の状態の学校があるにもかかわらず、それを教育委員会が放置していたような場合は、これは明らかに法律違反の事態になりますから、文部科学大臣は具体的な是正の内容を付して是正要求をする」可能性があるということを答弁いたしてございます。
 次のページからは、中学校の不適切な教育課程編成等についての議論でございます。個別の説明は省かせていただきまして、85ページをお目通しいただければと存じます。同じく地教行法の改正で、知事は私学に関する事務について必要と認めるときは、教育委員会に対し専門的な事項について助言、援助を求めることができる旨の規定が置かれたところでございますけれども、その趣旨を85ページで文部科学大臣が説明いたしております。「建学の精神というものは当然尊重されなければならない」ということを前提にしながら、「公教育の一端を担っておられるわけですから、国民の代表がお集まりになっている国会で決めた法律はやっぱり守っていただかなければならない」「本来知事部局が、例えば未履修のような問題が起こったときには、指導主事が本来知事部局にいて、そして知事部局から私学にいろいろお話を申し上げるというのが筋だと思いますけれども、なかなか指導主事のような方がおられないので、その場合には、私学とも御相談をした上で教育委員会の助けをかりるということです。」と法の趣旨を説明いたしてございます。
 90ページ以降は、幼児教育の充実などの議論を紹介させていただいております。
 最後でございますが、97ページをお目通しいただければと思っております。今回学校教育法の中に、学校評価・情報提供に関する規定が置かれたところでございます。これにつきまして、97ページの上の方の文部科学大臣の答弁でございますが、「学校教育法の改正において、学校評価の具体的な実施手続や公表のあり方について、文部科学大臣はその基準を定めるということといたしております。学校評価の項目は、現在、各学校においてその実情に応じて設定しておりますので、文部科学省がこれを一律に規定することは考えておりません。」と。それから情報提供の手段としては、下線を引いておりますように、「例えば、学校評議員への説明あるいは学校便り、またはホームページなどによる情報の提供が考えられる」ということを答弁いたしております。また98ページでございますけれども、最初の方の文部科学大臣の答弁で、第2パラグラフからでございますけれども、「学校による自己評価が義務化された」ということを前提にしながら、「これについて公表していくのは現在6割であり、公表する必要がある」という認識を示しておりまして、公表のための「手順、手続のようなものは今回43条に書いておりますので、引き続き、やはり、自己研さんをし、自己評価をし、国民の血税をこういう形で使っているんだ、そしてこれだけの効果を上げているんだということは、単に御父兄、保護者だけではなくて、納税者にも理解してもらうべき事柄だと私は思っております。」という考え方をお示ししているところでございます。
 ちょっと時間がかかりまして恐縮でございましたけれども、多岐にわたりますご議論をポイントのみご紹介申し上げました。以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。今ご説明いただきましたことにつきまして、皆さんでご意見があればいただきたいと思っておりますが、その前に、今のご説明を聞いていますと、何かやっぱり今々のいろいろな教育の話みたいに聞こえてしまうんですよね。実はそうじゃないという蛇足を私の方からさせていただきます。
 皆さんがご存じのように、国会での審議というのは中教審の各部会の考えていくときの土台になりますよね。これは当然、言うまでもないことです。やはり国民の代表者が集まって議論されて、そしていろいろなことをお決めになったことが土台になります。今回、特に学校教育法改正の審議において、幼稚園は、小学校は、中学校は、高校は、と中身が出ておりますが、これを土台にして学習指導要領をつくっていく。これは皆さんがよくご存じのとおりです。また、そういうことを審議していく中で、大臣がどういうご答弁をされたか、あるいは局長がどういうご答弁をされたか、我々は、文部科学大臣に対して答申する立場ですから、そういうことを十分に頭に置かなきゃいけない。こういうことであります。しかし、同時に私たちは、文部科学省の中の人間じゃありませんので、審議して答申する立場ですので、もう少し長い見通しの中で、見通しというのは、過去からのいきさつ、これから5年、10年、20年先の見通し、これをもって議論していかないとほかのいろいろな機関と同じような議論になってしまう、ということをお互い頭に置きたいなということを一つ申し上げておきたい。
 もう一つ、そういう中で、学習指導要領の改訂スケジュールについて、局長も仰ってきましたし、今の国会審議に出ておりますけれども、もう今年度中には答申を出さなきゃいけないわけです。特に第3期で詰めていただいたものを、我々の第4期で出さなきゃいけない。そういう中で、皆さんのお手元に青いファイルがございます。今までどういうことが中教審で議論されてきたかということは、やはり踏まえなきゃいけないだろうと思っております。もちろん直接には第3期のまとめもありますが、ずっと見ていく。そうすると、簡単に言ってしまいますと、前回は96年(平成8年)に、ゆとりの中で生きる力をはぐくむという第1次答申が出ておりまして、さらに98年(平成10年)の答申を受けて改訂に至りました。しかし、ここに書いてあるのをお暇な折にご覧になってください。後々の、例えば2003年(平成15年)に新しい中教審になってから出した答申がございます。これは少しニュアンスが違うんですね。我々中教審のメンバーは頭に置かなければ、国会の審議で何でこんなことが問題になるのかということが理解できないだろうと思っております。つまり、具体的に言いますと、96年、98年の答申と、03年の答申は違うということ。その間に何があったかというと、ちょうど2000年(平成12年)に教育改革国民会議がありまして、私の両翼におられます2人、木村先生、田村先生が深く関与されました。特に木村先生は副座長としてまとめ役をされました。その中で実は、今、国会で審議されているようなことが全部問題になりまして、2000年(平成12年)12月に「教育を変える17の提案」というのが出ました。それを受けて文部科学省が「レインボープラン」という非常に詳細な、当面のいろいろな課題に具体的にどう応えるかというプランをおつくりになりまして、以来、着実に2001年から進んできております。これが2003年の答申に非常によく反映されている。そして、それが第3期のまとめにも反映されているという流れがございます。こういう流れの中で、この国会での審議、何でこんなことを各党が問題にしておられるんだろうか、何でこういうことにこだわって大臣や局長がご答弁なさらないといけなかったんだろうかということをご理解いただければと思います。
 我々は、今々の議論をしているんじゃなくて、こういう長い見通しを持って、あるいは過去からの流れの中で、教育というのはそういうものだと私は思いますので、やはり中教審で議論していかなきゃいけない。そういうことを念頭に置いていただきながら、しかし、今、こういうことが国会で議論されて、そして学校教育法その他の法律の改正がなっておりますよと。今年の3月10日には、学校教育法等の改正について中教審で答申も出しているところであります。こういう答申の内容も学習指導要領の改訂に非常に深くかかわってきますので、念頭に置いていただきまして、議論していきたいと思っております。皆さんがよくご存じのことばかりだと思いますが、ちょっと蛇足を申し上げました。
 今、教育関係の3つ、私はどうしても4つと言ってしまいたいんですけれども、の法律改正が行われたということ、中でも特に学習指導要領の土台になる学校教育法が改正されたということ、そしてその際、国会でいろいろと議論があって、そこで文部科学省としては大きな方向付けをなさっているということについてご説明いただきました。
 今日はあまり時間がありませんが、特にこういう大きな流れにつきまして、ご意見があればご発言いただきたいと思います。
 阿刀田委員がちょっと早く退席されますか。どうぞ。

【阿刀田委員】
 むしろ質問なんですけれども、教育の長い歴史の中で、学校における図書館教育というのはどんなふうに考えられてきているのか。学校図書館の充実、司書教諭、それから学校図書などの問題、これも古くから言われていることですけれども、国語教育だけではなくて、国語教育を他教科との関連において考えていくという方針にとっては極めて重要なポイントだと思いますので、今までどんなふうに考えられてきているのか、そして私としては、さらに今回の答申の中で何らかの力付けになるものを加えていただきたいなと思いまして、質問方々申し上げます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。事務局の方でお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 後半の議論の際にも、またご指摘を賜ればと思っておりましたけれども、図書館につきましては、現行の学習指導要領においても「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実すること」と規定されてございまして、学習指導要領の中でも図書館の利用・活用あるいは充実ということが重視されているところでございます。
 ちなみに、大変恐縮でございますが、資料10の17ページから18ページにかけて、ただいま阿刀田先生からご指摘いただいた学校図書館の現状に関する調査結果を整理させていただいているところでございます。司書教諭の発令の状況とか、読書活動の状況、あるいは18ページには学校図書館の図書の整備状況といったデータもお示しさせていただいております。図書館の活用、図書館の整備という観点から、こういったデータをもとに、引き続きご意見をいただければと存じております。以上でございます。

【梶田部会長】
 よろしいでしょうか。

【阿刀田委員】
 はい。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 それでは、これは非常に総括的な話ですので、あと、今のように具体に学習指導要領をうまく実施していく上で様々なことを考えなきゃいけませんが、そういう具体の話と関連付けて、またご発言をお願いしたいと思います。
 すいません、そうしましたら、引き続きで申し訳ありませんが、事務局の方から「教育課程の基準の見直しと併せて検討すべき事項について」という論点整理をしていただいておりますので、ご説明をお願いいたします。

【南野専門官】
 それでは、資料6の検討すべき事項の論点案をご覧いただきたいと思います。第3期教育課程部会の「審議経過報告」や「第3期教育課程部会の審議の状況について」におきまして、学校教育の質の保証のためのシステムの構築、いわゆるPlan、Do、Check、Actionといった教育内容の改善におけるPDCAサイクルの構築が指摘されているわけでございますけれども、中でも目標の設定と併せまして、目標を実現するための基盤整備も国として果たすべき役割であるという指摘をいただいております。また高等学校の教育内容は、大学入試に大きな影響を受けるといった側面もあるため、常に入試制度を改善していく視点が必要といったことも指摘されている状況でございます。同様に第4期教育課程部会の審議におきましても、教員の指導力の向上のための方策、また学習指導要領の理念を実現するための条件整備の在り方、学習活動の充実に向けて主たる教材である教科書の質・量両面での充実、また高等学校教育に大きな影響力をもつ大学入試の改善などについてご指摘をいただいております。
 これらを踏まえまして、論点案といたしまして、1つ目に「学習指導要領の理念を実現するための基盤の整備」、2つ目といたしまして「高等学校教育との接続の観点からの大学入試の改善」といった点について整理いたしました。
 四角囲いの下の論点1、論点2につきまして、ご説明させていただきたいと思います。論点1の「学習指導要領の理念を実現するための基盤の整備」についてでございますが、これまでの議論を踏まえますと、学校教育の質の保証の手立てとして、人的、物的、経費的な側面について、それぞれ整備・充実の方策が求められるところでありますが、これらの点につきましては、今後、教育基本法の改正により新たに策定されることになりました教育振興基本計画に関する検討の中で議論が深められるものと考えます。そこで、ここでは教育内容・方法の質的充実に直接かかわる工夫改善の方策のうち、例えば下記の事項について具体的な改善策をご検討いただきたいと考えております。これらは、いずれも重要事項でございますけれども、これらの事項のうちで、特に重点的に取り組むべき事項はどういったものか、また、そのための具体的な方策や工夫はどうあるべきかといった点についてご議論いただきたいと思っております。
 検討すべき事項として下にお示しさせていただいておりますけれども、1つ目は「教員の指導力の向上」でございます。「教員の養成や研修の充実」といたしまして、例えば「教育養成課程における学習指導要領に準拠した実践的な教育研究の推進」ですとか、「現職教員研修における実践的指導力向上のためのプログラムの充実」、また「教員が身に付けることが期待される資質能力の内容・水準の明確化」といった点が考えられます。また「指導方法の改善」につきましては、「習熟度別少人数指導の推進」、「小学校高学年の教科担任制の推進」、「思考力、表現力等の育成のための指導方法の確立」、また「優れた指導方法の共有化」といった点が考えられるところでございます。また2つ目の「教員の支援体制の整備」でございますけれども、「ボランティア等を活用し、教員の業務を恒常的に支援する体制の整備」といった点ですとか、「事務量の軽減、学校事務の共同化による効率化」といった点が考えられるところでございます。1枚おめくりいただきまして、3つ目といたしまして「教材や教育設備の整備」の観点からは、「教科書の質・量両面での充実」、また「学校図書の充実」、「理科実験設備の充実」、「情報化の推進」といった点についてご検討いただきたいと思います。4つ目といたしましては、「教育環境の整備」といたしまして、「学校が実施する放課後や休業日における部活動や補充学習の支援」、「学校が実施する自然体験、社会体験、奉仕体験等に必要な条件整備」の在り方、また、「放課後子どもプランその他学校外の学習活動の推進とその評価の在り方」といった点につきまして、その具体的な方策について、是非ご議論いただければと思っております。
 続きまして、論点2についてもご説明させていただきたいと思います。「高等学校教育との接続の観点からの大学入試の改善」についてでございます。1つ目の○といたしまして、「大学入試の学力検査において、思考力、表現力等を含めた総合的な学力を問うなど、高等学校以下において教育の目標としている学力に関する考え方との整合性を一層重視する必要があると考えられる。高等学校における幅広く調和のとれた教育を進めるため、大学入学者選抜において高等学校での教育活動の成果を適切に評価するための工夫改善をどのように進めるべきと考えるか」という点についてご検討いただければと思います。また、この論点2に関連します事項、是非ご留意いただきたい事項といたしまして、下の※印でございますけれども、学校教育法の改正におきましては、今回新たに小・中・高等学校におきまして、先ほどご説明申し上げましたが、基礎的な知識・技能の習得とともに、これらを活用し、課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の育成を重視する旨の規定が置かれております。また、2つ目の※印といたしまして、今年4月に実施いたしました全国学力・学習状況調査におきまして、「知識」を問う問題とは別に、「活用」について問う問題が出題されておりまして、また国際的な学力調査におきましても、知識を活用する力を測定する出題がなされております。また3つ目といたしましては、大学側におきましても、これまで二次試験において小論文ですとか、面接等を実施した入試が進められておりますけれども、国立大学協会が、最近の動きとしまして、いわゆる5教科7科目入試を推進したりするなどの工夫が進められているところでございます。
 続きまして2つ目といたしましては、「高等学校段階の学習到達度の評価は、本来高等学校が行うべきであるが、結果として大学入学者選抜に依存している状況がある。高等学校自身、あるいは第三者機関が、高等学校での学習成果を適切に評価し、それを大学が選抜資料として広く活用するための仕組みを構築することも課題として考えられるが、どのような仕組みや工夫が考えられるか」という点についてご検討いただければと思います。資料については以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。学習指導要領、いいものをつくっていかなきゃいけませんが、これが本当に実効性をもつためには、ここで整理いただいたようなことは少なくとも考えておかなきゃいけないだろうということで、具体に論点として挙げていただきました。まず最初に、論点1として挙げられました「教員の指導力の向上」、「教員の支援体制の整備」、それから「教材や教育設備の整備」、「教育環境の整備」、これらにつきまして、皆さんでご意見をお出しいただきたいなと思っております。
 何かございませんでしょうか。天笠先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。今ありました4点は、そのとおりだと思うんですけれども、私はこの1の前に検討すべき論点があるんではないかという認識をもっております。それはどういうことなのかというと、学習指導要領の理念そのものの伝え方、あるいは伝えるシステムそのものについての検討が本来的に十分ではないんじゃないかという認識をもっております。例えば、これまで学習指導要領の普及過程とか定着過程というタイトルのもとに先行研究が幾つかあるわけですけれども、それらを見ると、理念と方法とか内容というのが、ある意味でばらばらに学校の中に入っていくという結果が出たりとか、教科等の方法とか内容はそれなりに入っていくわけですけれども、その理念が伴っていかないとか、もう少し具体的に言うと、総則は総則として、各教科は各教科として、それぞれがあえて言うならつまみ食いのような形で各学校に入っていって、全体がワンセットになって学校の中の日常が学習指導要領に沿って変化していくということが、これまでのところ十分になされていないんじゃないかと思っております。そういう点で、教育理念と内容、方法とをワンセットとして伝えるためのシステムについて考えた場合に、これまでの様々な普及のやり方とか研修会等の在り方もよかったのかどうか見詰め直す必要性があるんじゃないかと思いますし、あるいは教科ごとに普及を図っていくようなやり方が果たして学習指導要領の理念を実現させるためのシステムとして望ましかったのかどうかということについての議論は、私は是非必要じゃないかと思います。さらに、学校単位で考えた場合に、どういうやり方をするとその学校が学習指導要領を受けとめたことになるのか、授業も含めて全体として変わったのかどうか。このあたりについての働きかけ、システム、手法というのは検討すべき余地が十分あるんじゃないか。ですから、私は、「教員の指導力の向上」以前に今申し上げたような観点からの論点を、検討すべき事項として位置付けるべきではないかと思います。以上です。

【梶田部会長】
 非常に重要なご指摘だと思いますが、今どういう取組をしておられるかということを、今わかっている範囲で結構ですが、事務局の方からお願いします。

【合田教育課程企画室長】
 ただいま極めて重要なご指摘をいただいております。第3期の教育課程部会におきましても、新しい学習指導要領の理念と、それから具体的な改善方法、特にこの点については、どうしても改善したところを中心に説明するということだったわけですけれども、変わる理念、変わらない基本、変える内容を、基本的な考え方と各教科の内容事項の変更をどう一貫して説明していくのかということが極めて重要であるというご指摘を第3期でもいただいたところでございます。
 これは改訂時期にもよりますけれども、例えば前回の平成10年改訂におきましては、エル・ネットというシステムを使って改訂の趣旨等を教科別に各都道府県等にお流ししたわけでございますけれども、例えば、大変恐縮でございますが、この部会の委員の先生方、まさに政策的に学習指導要領の改訂についてご議論いただいた先生方に説明会などに足をお運びいただいて、場合によってはフォーラムのような形で双方向的に趣旨を伝えていく。あるいはインターネット上に学習指導要領の趣旨、理念がよりわかりやすく工夫されたページを載せるといった形で、予算要求もしているところでございまして、学習指導要領の改訂のご議論の状況を見極めつつ、そういった伝達の方法についてもご議論いただいて、私どももしっかりと取り組ませていただきたいと考えている次第でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。これは、今の問題提起を踏まえて、少しまた議論をしたいと思っています。じゃ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 基盤整備の考え方については、ここに書かれているような指摘で概ねいいと思うんですが、ただ、率直に申し上げて、これらの基盤整備のための、もっと基盤の整備が必要じゃないかなという気がしているんです。例えば、教員養成課程におけるいろいろな問題、教員養成の問題がありますね。これはしかし、今日も玉井官房長からありましたように、国立大学における運営交付金は、メリハリをどう付けるのかわかりませんが、メリハリの付け方によっては単科大学、特に教員養成大学の運営交付金が大きく下がる可能性があるんです。ということは、教員を養成しなくちゃいけないと言いながら、教員養成の基盤であります教員養成大学の運営交付金を中心にした予算が削られていったのでは、本当に日本における教員養成は果たしてこれでいいのかということが問われてくると僕は思うんです。ですから、この基盤については、もう一枚皮を剥いた基盤の検討が必要になってこないかなと。教育振興基本計画の問題もありますけれども、問題点として一つ指摘しておきたいのがこれです。
 もう一つは、「指導方法の改善」というところに「習熟度別少人数指導の推進」とありますが、これはやっぱり学級規模の縮小、少人数学級をどう考えるのかということですね。今各学校では、確かにそういう工夫がされています。特に中核都市、あるいは大都市では、どうしても40人学級に近い学級が非常に多いわけですから、少人数学級をわざわざつくって少人数指導をしているんですね。しかし、僕は、それは必ずしもノーマルな形じゃないと思うんです。特に小学校に英語が導入される場合などを考えていくと、40人近い子どもたちに、どういう形で英語の指導をしていくのか。特にオーラルをやっていくという場合に非常に難しいんですね。ですから、すでに行われている少人数という指導方法の改善のもっと前のところで、やはりきちっとした基盤の改善が必要じゃないかなという気がいたします。
 あと「教員の支援体制の整備」のところですが、「事務量の軽減」とありますね。これはもうそのとおりであって、具体的に事務量を軽減していきたいと思うんですが、東京都の和田中学校の先生がいろいろなところで書いているのは、学校に届く調査書類が多過ぎる、だから3分の1ぐらいに減らしてほしい、そうすれば学校の教員の指導にかける時間、あるいは子どもたちにかける時間は増えてくるということを具体的に言われているんです。それを大いに参考にすべきというのが一つです。それからもう一つは、「学校事務の共同化」というのが出ていますけれども、学校事務は、学校事務職員にとってみたら、それは教員の支援のためにあるのではなくて、やっぱり学校事務は学校事務として独立した一つの仕事だという考え方がありますから、考え方を非常に明確にしていく必要があろうかと思います。共同化と同時に、この間、田村先生を主査とした会議では、共同化とともに事務長体制をつくっていく中で合理化していくとか、あるいはもっときちっと仕事をしていけるような管理体制も、もちろん優遇措置も含めて、やはり確立しておいた方がいいだろうという議論がある。そういうことも今後、議論していったらいいんじゃないかと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。非常に大事なご指摘をいただきまして、本当にこれがなければうまく学校は回っていかないという点について、いろいろと触れていただきました。こういう点につきまして、この部会でもご意見を出していただきたいんですが、同時に、今、田村先生がまとめ役をしておられます教育振興基本計画の原案づくりにおいても反映させていただきたいなと思います。結局お金の問題にかかってきますので、教育振興基本計画、5カ年計画を10年の見通しの中でつくるということで、今の予定では今年度中にまとめて閣議決定までしてもらうことになっております。今、渡久山先生が仰ったことは全部その中に入れていかなきゃいけないなと思っております。
 最初の点について一言だけ触れさせていただきますが、私は今自分がそれにかかわって初めてよくわかりまして、日本の教育論議において、教員養成の問題が非常におざなりに論議されているんじゃないか。国大協という国立大学の学長の集まりがありまして、入試委員会にこの間出ましたら、ある大学で初めて事務系から学長になられた方が、こういうことを仰ったんですね。「民がやることは民がやればいい。これで政府全体が2001年からずっと動いてきているんだから、そういう意味では、国立大学の中では11の教員養成系大学をやめたらいい。それから、ほかの部門にお金を回すためには、教育学部も削ったらいい。今、全部私立学校に任せればよい。小学校から何から全部できる。」というようなご発言をなさいました。教員養成というのは、別に私学が悪いと思いません。私も私学にいて、私学で教員養成課程をつくって、それなりに力を入れてきたつもりです。しかし、私学、国立両方あって初めてユニークな教員養成もできるだろう、それぞれの存在意義もあるだろうと私は思っておりまして、非常に安易に財政的な視点からだけ、まず国立で削れる部分は教員養成系大学、教育学部を削って、その分を、どうせ運営費交付金の総額は変わらないんだから旧帝大に回せと言われる空気そのものが怖いなというふうに思います。つまり、「教育は人なり」なんですね。いい先生を確保しなければ、そして待遇と人数を確保しなければ、教育なんかできっこないわけですけれども、この教員養成の問題がおろそかにされてどんな美辞麗句を並べてもだめだろうということを思いました。私が今こういう立場にいるから言っているわけではありませんで、もう少ししたら私もこの立場をやめると思いますが、やめても同じことを言うと思いますので、そういう意味で一般的な話と受け取っていただきたいと思います。
 それでは、加藤先生、その次に荒瀬先生。

【加藤委員】
 今の渡久山先生からのお話と少し同じようなこともあるんですけれども、今日の話の中で、私も教員の負荷の軽減といいますか、事務量も含めた軽減をして、どうやって教育研究の時間や研修の時間、子どもたちと触れ合う時間をつくっていくのかというのは、本当に最も重要な部分だと思うんですけれども、その際に、是非とも本当の現場に入って声をやっぱり聞いていただきたいと思うんです。先般、教員の勤務実態調査をやりましたけれども、私どももああいうことは労働組合で、よく職場にかけます。もちろんそれでわかる部分もあるんですが、しかし、それでは絶対に出てこない実態というのもやっぱりあるんですね。ですから、本当に現場、現地に入って、例えば一つの学校を例にとって、先ほども出ましたけれども、役所との関係でどれぐらいの書類が来ているか。私があるところでちょっと調べたら、学校と役所との関係のやりとりで1年間に四百何通書類をつくっていたという教職員組合の調査結果をもらったことがあって、一度どこかの場で申し上げましたけれども、そういう実態ですね。そして、ほかに人がいませんから全部教員がつくっているわけですが、その中身にどのぐらいの時間が使われているのか、それから親との関係、地域との関係でもたくさんの書類をつくっています。そういうことをとにかく生で、是非ともとらえていただきたいというのが1つです。
 それからもう一つ、教員の負担という意味では、今回もそうですが、やっぱり教員にいろいろなものを求めていきますから、どんどんプラスアルファですよね。今度の10年ごとの免許更新の問題もそうですけれども、教員の生涯のキャリア全体を見たときに、果たしてどれだけ求めるものがあるのか。教育研修や、それが本当に伊吹大臣が言われているように、週40時間と照らし合わせたときに、私は何も40時間に限らず、それ以外にも個人的・自主的な研修があってもいいとは思うんですけれども、しかし本当に成り立っていくのかどうかということも、エビデンスベースで是非とも検証していただきたい。やっぱり現場で生の声を是非とも聞いていただきたいということをまずは申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つは、事務量の軽減といったときに、よくITを入れます。資料10の21ページに非常にわかりやすい資料があるんですけれども、私は社会経済生産性本部の情報化の推進委員をしておりまして、そこで見せていただいた、学校の校務IT化に関する調査結果と一致するんですが、ただ、例えば教員の校務用コンピューター整備率が43パーセントというふうになっていますよね。だけど、例えば民間のオフィスで考えますと、こういう状態でいわゆるIT化を推進するということは、皆さん、それはもう言うまでもないと思うんですけれども、不可能なんですよね。43パーセントがどういう数字なのかということなんですけれども、当然1人1台ないことには、どんなソフトを入れても、どんなシステムを組み上げても、あるいは場合によったらITを入れることが事務量を増やすこともありますので、この辺も、是非、専門家とのやりとりの中で、本当に教員に過度な負担にならない方向でやっていかなきゃいけないと思うんです。民間で失敗するのは、よく補助作業者などを入れたときに、結局正社員の残業が増えちゃうんですね。大勢入れたって、それは周辺の作業が楽になるだけで、そこと結び付ける作業がかえって増えて正社員が忙しくなるという例はごまんとございます。
 今まさに非常に重要な時期だと思うんです。ですから、徹底的に現場の生の情報を集めていただいて、やりとりもしながら、何をどう改善していくのか、どれを切るのかということをどこかで見極めていただきたいなと考えますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それじゃ、荒瀬先生、お願いします。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。天笠先生が仰いましたことと、それから今も既に何人もの方が仰っていることと重なる部分もあるんですけれども、2点申し上げたいと思います。未履修の時のことを思い出してみますと、未履修とは一体何だったのか。今は未履修という言葉だけが残っていて、未履修の学校というのは全国的に見て多分ないと思うんです。でも、それは「ない」という現実があるのでそれでいいのかもしれませんが、どこに問題があったのかというのが二つ、大きくまだまだ考えていかないといけないと思うんです。
 一つは、これは後の論点ともかかわるところですけれども、大学入試というところだけ特化してしまうと、またそれは問題で、どういう若者を育てていくのかという問題が本当は大きくあって、そのうちの大学入試というものに特化して問題が起きたわけですね。もう一つ、どうして未履修が起きてしまったのか。私立の学校はちょっと置いておきまして、公立高校であれば学校でつくった教育課程につきまして教育委員会に対して認可の申請をいたします。認可申請しているのに、なぜそれが見抜けなかったのか、ないしは見抜いていたけれども気付かないふりをしていたのかという、そのあたりについては、あんまり見えないところで、私の知らないところで指摘があったりとか、あるいは改善策がとられたのかもしれませんけれども、どうかなと思うんです。天笠先生がさっき仰いました、学習指導要領の理念と、それから具体的な中身とをきちっと伝えないとだめだと。誰に伝えないとだめかというと、やっぱり現場の教室にまで伝わらないとだめだと思うんです。高等学校ですと毎年教育課程を編成して、そして校内的な議論もいたしまして、それをまとめて校長名で教育委員会に提出いたします。教育委員会はそれを審査いたしまして、最終的には幾つかの指摘がつくこともあって変えることもありますけれども、基本的には学校が出したものを認めていきます。では何を見ているのかといいますと、要は単位数だけなんです。学習指導要領の科目名と単位数とを見ている。だから、実際のところ、この関係においてはあんな冊子は要らないんですよ。1枚表があって、高等学校の学習指導要領というのは、どういう科目を何単位置けばいいのかだけでいいわけです。中身についての議論、授業をやっていく中で具体的にどんな3年間を創出していくのか、どんな生徒を卒業時点で育て上げるのかという議論といいますか、やりとりにはやっぱりなかなかならないわけです。それは現場からしても、それを一々毎年するのも大変だということもあるかもしれませんし、教育委員会は忙しいということもありまして。でも、本当のところは、そのレベルできちっとしないことには、未履修という状態はなくなったかもしれないけれども、学習指導要領が目指すところの理念の具体化というのはなかなか難しいんじゃないかなと思いました。それが1点目です。
 もう一点は、皆さんが仰ったことといいますのは、やっぱりお金のことでありまして、私は教育は「手間・暇・金」だと思うんです。学校に対しては手間と暇をかけろとものすごく言われています。金がないから知恵を出せとか言って、何かよくわからないんですけれども、そういうことを言われたりして、知恵はもう出尽くしてしまっている状態なんですが、それでも「まだまだ。あれやれ、これやれ。」という、いわゆる○○教育というのもどんどん増える一方であります。そういう中で、ちょっとこれは自分のところなので、手前味噌にもなるんですけれども、京都市立中学校が今年度から中学校3年生の1クラスの定員を30人にしたんです。これはものすごい大英断であるということで、京都市教育委員会は宣伝しておりますけれども、誠に大英断だと思います。やっぱり人数を減らすというのは何を置いても大事なわけでありまして、教員の数を増やせないのであれば生徒の人数を減らす。もちろん教員の数を増やして、1クラスの生徒の人数を減らすというのが一番いいんでしょうけれども、そういったことをしようと思うとお金が徹底的に要ります。阿刀田先生が最初に仰っていました図書館のことなんですけれども、図書館の整備というのもお金がなくなってきますと校長の裁量でお金を使ったらいいと言われて、図書整備費も光熱水費も何もかもが一つになって、あとは学校で校長が考えればいいです、校長に予算の裁量権を渡しましたと言われて、いいことになったのか、よくないことになったのかよくわからないんですね。となると、まず必要な経費がどんどん消えていって図書整備費は最後に回される可能性だってあるんです。うちの教育委員会は見事な発想を持っていますから、図書整備費は減らしていないと言いますけれども、そこのところは大変怪しい状態が現実です。だから、やっぱりお金が要るんです。注文はとても多いですけれども、お金は全然くれないというのが現実なんですね。学習指導要領の理念は、やっぱりすばらしいものがあるし、これから100年を見通してやっていこう、しかも教育再生と先ほどもご説明を受けましたけれども、再生しなければならないほど教育というのは大変な状態であるというご認識だと思うんですね。再生医療なんて最先端ですから、すごくお金がかかると思うんですけれども、同じように是非とも学校に、この場の議論ではないと思うんですが、お金を出してほしいということを何らかの形で強く言わない限りは、本当の意味で学習指導要領の目指すところが教室の中で具体化することが非常に難しいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。じゃ、黒須委員、そして増田委員、それから石井委員。

【黒須委員】
 ありがとうございます。やっぱり先ほどからいろいろご説明いただいて、国会での審議等を拝見、拝聴させていただくと、これはまさにどの委員の発言も、そしてまた文科大臣の答弁も極めて妥当なんですよね。そういう言い方は失礼なんですけれども、やっぱり今の課題をそれぞれ取り上げていただいているんですね。梶田先生は、先ほど、これは今々の問題ではなくて将来に向かってというようなことを再三仰いましたけれども、まさにそのとおりだと思うんです。
 そういう観点から考えたときに、基本となるのはやっぱり教員の養成だと思うんです。やっぱり教員をきちんと養成していかなきゃいけないんじゃないか。今、地域に開かれた学校とか、いろいろな角度から教育というのが問題になっているわけですけれども、やっぱり基本は、教員のあらゆる角度からの養成といいますか、これが一番大事なんじゃないかと思うんです。例えば、社会性といったものが教員に十分にあるのかというと、やっぱりかなりずれがあるんですね。大体学校を出て、教員の資格を取って、研修といっても、失礼な言い方ですけれども、名ばかりの研修で、そして教壇に立つわけですよね。そうすると、親御さんにしてみれば、子どもを人質にとられているわけですから、この教員はまだ十分ではないんじゃないかと思っても十分な指摘もできない。そしてまた、学校の組織そのものの体制が、きちんと若い人たちを育てるような体制になっていないと私は思うんです。普通ですと、一般の会社に入ると、例えば営業に回されると、電話の受け答えから名刺の出し方から挨拶の仕方から最初に教えられますよね。学校の教育の現場でそういう細かいことというのがあるかといったら、私は十分じゃないと思うんです。ですから、私は市長に就任してから8年目なんですけれども、今、八王子には107人の小・中の校長がいるんですが、毎年春には校長を全部集めて、いろいろな話をさせていただく時間をつくっているんですけれども、率直に言って、校長経験者の方もここには大勢おられますから大変失礼かと思うんですが、本当に、最初は私は校長先生になっておられる方は、それぞれみんなきちんと尊敬できる教育者だと思っておりましたよ、前提が。それが、大変失礼な言い方なんですけれども、そういう校長先生は2割から3割です。何でこの人が校長になったのかと思うような方が実は少なからずいるんです。それで、今ここで団塊の世代が大量退職しますね。そうすると、校長の数はやっぱり確保しなきゃいけないから、ですから、そういう面で不適切な――不適切というのは大変失礼な言い方なんですけれども、適当ではない校長も誕生しているというのが事実ですよね。ですから、やっぱりきちんと養成する機関は大事なんじゃないかなと思うことが一つです。
 それから、今学校に対して期待するものが非常に幅広いんです。例えば、ここにも自然体験、自然学習とか、社会体験とありますよね。これは確かにみんな大事です。そういう中で、それだけのことを指導できる時間的な余裕があるのかといったら、十分じゃないんです。私どもが実は今取り組んでいるのは、例えば租税教育の推進というのをやっているんです。初めて租税教育推進宣言の街というのを関係機関の協力を得てやっているんですけれども、授業を受けた子どもたちの小学校、中学校で、作文の発表会とかをやっていますけれども、それはものすごく有益だと思うんです。金融経済教育で銀行と大学と市との連携というので、2、3日前にも記者会見をしたんですけれども、小学校でそれに取り組むんですが、そういう社会体験とか、今のカリキュラムを越えた部分というのはすごく大事なんですけれども、時間がなかなかないんですよね。そういうことを考えると、これはここでも論議されていますけれども、私はやっぱり土曜日の授業を何らかの形でやるべきだと思うんです。これは、今の学校の教職員だけが土曜日に出てくる、週休2日がなくなるということじゃなくして、そのためにはやっぱり体制を整えなきゃいけないと思います。今、教育再生会議というようなことで、いろいろな角度から教育が課題にされて、国民の関心が高いわけですから、これに応えるにはやっぱり体制をちゃんとつくっていく。ですから、私は定数を増やすということ、それから教員の養成をするということ、このことはまず基盤として最も大切なことなんじゃないかと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。今の話の中で校長、教頭の問題は、教育委員会の方々もみんな頭を痛めておられまして、そういうことで、実は去年7月に中央教育審議会教員養成部会から答申が出まして、それに基づいて教職大学院をつくることになりました。正式に来年4月発足で、今いろいろなところが手を挙げておりますが、兵庫教育大学は1年早くつくりまして、その中の4つのコースの1つが、校長、教頭になるための特訓コース、2年間マスターレベルをつくりました。これは教育委員会からの期待が非常にありまして、シャドーイングと言いまして、校長先生や教頭先生の後をついて歩きながらメモをして、その校長、教頭から懇切丁寧にご指導いただくような実習も組み込んだりしてやるわけで、ほかの学校もみんな同じようなことをやります。この辺は、仰るのはよくわかりますので、それに向かって今、中教審も少しずつ手を打ち出しているということだけ、一言申し上げます。
 じゃ、増田委員、お願いします。

【増田委員】
 ありがとうございます。荒瀬委員と黒須委員の発言に関係しているんですけれども、これから教育の質を高めていくために、もっと先生にお金をかけてほしいなと感じます。今までも言われてきたと思うんですけれども、教員の質を高めるために、どんどんお金を使うべきではないかと特に感じています。保護者とか文科省からも求められることがたくさんある中で、今の環境だとすごく負担が多くなってしまうと思うんです。それと、これからの日本を担う青少年を育てるためには、やはり教員の質を高めることに一番お金をかけるべきではないかと思います。なりたい職業のトップの方に学校の先生がくるような感じで、お給料の面でも優遇されるべきですし、また少人数のクラスに質の高い優秀な人材が集まるように、十分にそういうことを考えるべきだと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それじゃ、石井先生、お願いいたします。

【石井委員】
 論点1、論点2、それぞれについて簡単に意見を述べさせていただきます。論点1の教員養成の問題でございます。今増田委員も仰ったように、私もこれは非常に大事な問題として、国を挙げて、また大学、養成機関においても全力を傾けて取り組むべきであると考えておりますが、特に私が申し上げたいのは、小学校の先生の養成について、小学校は基本的にはあんまり教科の区別なしにいろいろな教科を教えられる先生を養成する方向があるのではないかと想像しておりますが、やっぱり何か一つ自分の軸になる勉強、あるいは研究を学生時代にやるという経験をもって教員になっていただく、その方が、それ以後自己研鑽をして、自ら優れた教育者になっていくために必要であり、かつ有効ではないかなと考えております。おそらく教え方等については、学校に入っても現場で先輩の先生などから教えられるという、あるいはその見聞でもって自らが向上していくチャンスは非常に多いのかと思いますが、コンテンツについては、やはりそれぞれ自分の軸足というものをもって、それをいわば自分の最初の出発点、能力の根底においてやっていくことが自己研鑽のために私はよろしいのではないかと考えております。つまり、問題を自ら発見し、自ら問題を立て、そして自ら調べる。文献を調べる人もいるでしょうし、フィールド調査をやる人もいるでしょうし、あるいは実験をする人もいるかもしれない。いろいろ科目によって違うとは思いますけれども、そういう経験を一度もって、それで論文なりレポートなりをまとめた経験をもって先生になっていただくということの良さをお考えいただきたいなと考えます。無論、そうしますと、今度は教員養成機関における先生の負担が大変だということになるかもしれませんが、総合大学であれば周りの学部の教員の協力を得るとか、あるいは教員養成系大学であれば、周辺の関連というか近い大学の然るべきところと提携関係を結ぶなり、協力を依頼するなり、いろいろな形で総力を挙げて、つまり教員養成は教員養成の機関だけという壁を取り払ってやっていくことがどうしても必要ではないか。どこかに総がかりで何とかという謳い文句があったんですが、大学総がかりでやっていくべきことではないかなと思います。
 次に論点2でございますが、私は、この趣旨がよくわからないんですが、1つ目の○のアンダーラインのところの「大学入学者選抜において高等学校の教育活動の成果を適切に評価するための工夫改善をどのように進めるべきと考えるか」。何を仰りたいか大体想像はつくのですが、大学における入学者の選抜というのは、実は個別の学生を選抜することを目的とし、いわば一人一人に注目して選抜するのでありまして、ある学校の教育の成果ができ上がっているかどうかということは、統計でもとれば、あるいは間接的に何か出てくるかもしれませんが、直接の目的にはなり得ない性質のものではないか。ですから、違うものをもってきて安上がりに高等学校の教育活動の成果の評価に使おうという、もし、さもしい考え方でなければ私は結構だと思うんですが、これをやるというならやるで、きちんとお金をかけてやる。本当に教員の養成だけじゃなくて、教育というのはお金をかけたい、かけましょうということを申し上げたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。多分この論点2の「高等学校の教育活動」という部分、ここは「で」を入れた方いいのかもしれません。そうしないと「高等学校の教育活動の評価」みたいになっちゃうんですね。「で」を入れて「大学入学者選抜において高等学校での教育活動の評価」という意味でしょう。そうですね。
 じゃ、高橋先生、角田先生、中村先生、それから井上先生、岩崎先生といきますので。論点2の方も必要があれば、皆さんにご意見をいただきたいと思います。じゃ、高橋先生、お願いいたします。

【高橋委員】
 ありがとうございます。私は、論点1にかかわってお話をさせていただきます。今私の手元に、もう古くなりましたが「義務教育の構造改革」と題するパンフレットがございまして、義務教育の構造改革のポイントとして義務教育の充実に国家戦略として取り組むということがあるわけです。そしてその構造改革の流れの中で、学校は分権改革ということを受けて市区町村や学校がプロセスを担う、という位置付けでもって進めていくということが全体の大きい構造としてあって、学校はそのように位置付けられることになっておりますので、是非このことを様々な部分で進めていただきたい。当然、そのためには財源確保ということもあろうかと思います。この中には、例示として教職員人事や学級編成などの分権改革ということが明記されているわけでございますので、私ども学校の立場にすれば、学校の自主性、自律性の確立という観点に立って、是非このことを進めていただきたい。はっきり申し上げて、このことがなければ、ご期待されたような事柄についても、お応えしていくことはなかなか難しくなるだろうと思っております。
 それから2つ目ですが、「教員の指導力の向上」に関しまして、現職教員の研修については校内における研修も重視する方向で是非お考えいただきたいと思っております。やはり授業研究その他が指導方法の改善において極めて重要なわけですが、それは各校において進めることで成し遂げられていくわけですから、是非校内においてそうした研修ができるようにお願いしたいということと、そうした研修において指導できる専門性に優れた指導者を派遣できる体制を是非おつくりいただきたい。教員が出張しないとそうした機会が得られないということでは、学校としては大変辛いことになってまいりますので、また現行制度上も相当整備されてきておりますので、是非学校においてできるように、そういう優れた指導主事等の指導者派遣といったことができる体制整備をお願いしたいということがございます。
 それから「指導方法の改善」のところの「習熟度別少人数指導の推進」については、是非必要なことだと思っておりますので行っていただきたいわけですが、そのためには、やはり人の問題になり、財源の問題になるということがございます。併せて私は、このことと学級編成を校長判断で可能な方法をとれるようなことなども学校の自主性、自律性の確立の観点に立ってお認めいただければありがたいと思っております。
 それから「教員の支援体制の整備」につきましても例示されておりますが、ボランティア等の活用、あるいは外部機関に委託すること等を含めて、そういったことの整備がされればありがたいと思っております。事務量の軽減は是非とも必要でございます。特に調査については、大変な思いをして毎晩遅くまでかかってやっているところでございますので、このことについては特にお願い申し上げたいと思っております。
 最後に私の立場でお願い申し上げたいところは、「4教育環境の整備」に関する部活動のことでございます。部活動のことに関しましては、先般の教員給与の在り方に関するところでも、時間外勤務のことについて相当厳しい文面があったかと私は記憶しているところでございます。それは、「部活動による時間外勤務が可能な限り生じることがないように、校長が適切に管理・監督するよう指導を行うことが必要である」とする文面でございます。私は、確かにそのとおりかと思いますけれども、部活動を時間内勤務としてすべて終えるということは、これはもう公立学校においては「部活動はするな」と言うに等しいだろうと思っております。学校選択制が行われている市区町村の例を見ますと、どのような基準で学校を選ぶのかといったときの大きい理由として部活動のことがあるわけです。施設、設備のこともあります。それから生活指導が落ちついているかとか学習面はどうかとかいったこともあるわけですが、部活動のことも相当大きいウエートがかかってきております。このままいくのであれば、地域に根差す学校としてある公立学校でございますけれども、多くの方は部活動ができるところへと流れていくことは必定だろうと思っています。私はこのことについて3月29日、答申が出された折に、中教審総会に出席する機会を得たわけですが、時間外手当等を充実する方向で実施していただきたいということをその場で申し上げたところです。是非そういったことについてご配慮、ご検討いただきたいと思っております。以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。じゃ、角田先生、お願いします。

【角田委員】
 ありがとうございます。先ほど黒須委員から大変厳しいご指摘があって、かつて校長であった身からすると忸怩たる思いがあるわけでございますけれども、教員を育てるにしても校長を育てるにしても、やっぱりすぐには育てられない。教員も大学の教員養成課程がどんなに優れた教育実践をしても、これが現場に立って100パーセントの力を発揮して現場の教員としてやれるかというと、おそらくそういうことはまずないだろうと思います。校長にしても、今まで一生懸命教育実践をしてきた者が管理職になって、そしてすぐに管理職の経営者として本当に手腕を発揮されるような、期待に応えられるべく、本来はそうでありたいとは思いながら、なかなか難しいところがあろうかなと。これは言い逃れになるといけませんので、要するに言いたいことは、私は、教員を養成するということは、かなり永遠の課題に近いなと思いながら、今のシステムでは例えば校長にしても副校長にしても、なったからといって即100パーセントの力が発揮できない。おそらくそれには途中の段階で、例えばマスターがいいわけではないですけれども、そういうふうな機構、システムをきちんとつくっていかなければ難しいのではないだろうかと思いもするわけです。そういう意味では、今度、教員免許の更新制という形でリニューアルというので、10年に一度の講習を受けるわけで、大事なことでいいなと思いながら、この10年に一度の講習の中身が本当に充実して、その人たちが現場に戻ったときにちゃんと力が発揮できるような講習でなければ、やった意味がないことになってしまうと思います。ですから、10年目、20年目、30年目と3回予定されるわけですけれども、その講習をいかに充実させるのか、これはやっぱり私たちがこれから制度設計を本当に具体的にしていくときに大きな役割を担うことになるのではないだろうかと思っております。それが第1点目です。
 第2点目ですが、論点1の教員の指導力の問題で、指導力の向上のところですけれども、少人数指導、教科担任制、あるいは思考力、表現力等の育成のための指導方法の確立、大変大事なことですが、そんなに簡単にできることじゃない。簡単にできないからいいというわけではないんですけれども、これをやはりやるためには、それなりのきちんとした条件整備をしていかなければできないことだと思います。先ほど説明がございました教育関連3法案の国会審議の中で、大臣が、学力と学習時間の相関については不明であるというふうなことを仰っている。あるいはゆとり教育というのは理念はいいけれども若干の問題点があった。ここははっきりとそこのところを認めていらっしゃるわけですが、なぜそういうふうに効果が上がらなかったのかというのは、きちんとした手立て、要するに人的な手立てとか、物的な手立て、いろいろな手立てが必ずしも十分ではなかったのではないか。それは総合的な学習の時間についても、生きる力をはぐくむ、あるいは問題解決をする、課題発見をするというところの理念は非常にすばらしいけれども、そこに至るまでの過程で、どういう条件整備を入れればよかったのか、学校にどんな体制をつくればよかったのかということが不十分だったという反省といいましょうか、そういう振り返りが必ずしも十分なされているわけではない。今回のこの少人数指導にしても教科担任制にしても理念としては非常にすばらしいし、私も現場ではいろいろと苦労してやってまいりましたけれども、苦労しただけでやれるところばかりとは限らない。やっぱりきちっとした条件整備をするということが大前提にあるんだ。そうしなければ、また前と同じように、ゆとり教育や総合的な学習の時間と同じように、何年間かして考え方としてはよかったけれども現場としてはきちんとできていなかったというようなお叱りを受ける、それは非常に忸怩たる思いをまたせざるを得ないと思います。
 話が発展して申しわけないんですが、英語教育についても同じように言えるんだと思います。あるところで、いろいろな英語教育をやっているところのパターンを聞いてみても、やっぱりみんなそれぞれ違うんですね。ネイティブを入れているところでうまく成功しているかというと、やっぱりネイティブの指導力の問題だ。それからネイティブだけではだめだから、先生とネイティブの間をつなぐ人を入れることによってスムーズに計画が立てられ、実施できるんだ、こういうふうなことを言われた。それをやるためには、やっぱりものすごくお金をかけているんですね。そういうことが裏に隠れているわけです。先ほど阿刀田先生が、図書館はどうなっていますかと仰ったときに、97.3パーセントが司書教諭を発令しているというふうに書かれている。確かに発令は97.3パーセントですけれども、その人が学校図書館の司書としているのかといったら、そんな人はほとんどの公立学校にはいないです。だから、発令はしていたって一人の担任が兼務しているわけですね。こういうことが先生方の仕事をすごく忙しくしているわけです。今またテレビなどで盛んに言われている親御さんたちの理不尽な要求に対しても、学校の先生方や校長、副校長も含めて、ものすごく時間を割いているわけです。こういうことに対して学校支援の組織をつくった教育委員会がありました。こういうことが行われることによって、学校というのは、いわゆる子どもときちっと面と向かい合って教育ができるところになるんだろうと思います。是非ここに書かれている視点や論点がきれいごとで終わらないで、理念だけで終わらないで、この理念を実現させるための具体的な手立て、予算的な措置をきちっとしていただくということが、これらをちゃんと実現可能なものにしてくれるんではないかと思っています。どうぞよろしくお願いします。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。もう時間が少なくなりましたので、皆さん、短か目にお願いします。中村先生、お願いします。

【中村委員】
 先ほど黒須委員から校長先生のお話があって、私、任命権者でございますので、大変忸怩たる思いをしております。校長先生も大変ですけれども、一般教員の方々が3月31日まで学生で4月1日から先生になる。大学で養成していただいていないのが、保護者対応、プレス対応、それから組織とは何なのか、自分が組織に属するということが何を意味するのか、この辺が一番欠けているんじゃないのかなという気がしていますので、これは教員養成課程の問題か、あるいは教員になってからの問題かというのはありますけれども、是非この辺もご検討いただきたいなと。都の場合は、東京教師養成塾というので、大学4年生を集めて1年間じっくり現場というのはこういうものですよというのをやっておりますけれども、たかだか100人でございますので、これもお金がかかるという問題がございます。
 それから、あと一点は事務量の軽減、あるいは共同化ということで、特に小学校の先生方が一番困っているのが給食費の未納問題。これは先生がやるべきなのか事務がやるべきなのか。給食費とか、修学旅行の経費とか、あるいは卒業アルバム代とかを集めるのが教員の仕事なのか事務の仕事なのかという、どうも曖昧な分野があるんじゃないのかなと。これはやっぱり整理してあげないと、みんな抱え込んじゃいますので、その点の整理が必要だなということ。それから学校事務、特に小中学校におきましては、学校を地域に開こうと言っていながら、事務職員が県費負担職員ということで、都の場合で言えば私どもの任命権で動いている。すると、区、市をまたがって移動しますから、例えば黒須委員の八王子に配属した事務職員が、翌年度から千代田区に配属になる。こういうことで、地域のことを考えるという意識があんまり芽生えない仕組みをつくっちゃっているんですね。したがって私どもは、でき得れば事務職員こそは、負担は県費負担でもいいんですけれども、任命権は地元に下ろしていった方がいいんじゃないだろうかと。こんなことも考えていますので、是非ご議論いただきたいと思います。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。教員養成の問題につきましては、去年の答申で、やはり抜本的に考えなきゃいけないということで、平成21年度から教育実践などを新しく入れた教員養成のカリキュラムを改革することになっております。これはまた教員養成部会でも、今日、何人かの先生からありましたことを受けとめて、議論していきたいと思っております。
 じゃ、井上先生。井上先生、岩崎先生、佐々木先生といきます。それで、毛利先生。

【井上委員】
 では、私は2点だけ申し上げたいと思います。まず第1点は、先ほどから教員養成段階の問題が意見として出ているわけですが、実際に、国立大学の教員養成学部などを見ていますと、教員養成学部の先生方は、どちらかというと研究者志向になっていて、学校現場の実践を経た人がほとんどないというところが1つの問題点で、論点1に「学習指導要領に準拠した実践的な教育研究の推進」とありますが、やはり小中学校の経験がない先生方が教員養成課程で教師として教育を担当するという、そこのところの乖離が埋められていないんじゃないか。したがって教員の専門職大学院では3割以上が実際に学校現場を経験した先生方が教員になるわけで、そういう点で実践的な資質の向上が図れるのではないかと思いますが、今後、やはり教員養成を考える場合に、教員養成学部の教員構成も1つの問題点として当然検討すべきじゃないかと思っております。
 それから教員に採用されてからは、初任者研修制度的により、学校現場でいろいろ直面する問題については1年間の先輩教員からの指導によって、学校現場ではどういう問題があり、それにどう対処するかということで、教務主任とか、教頭等が指導教員になれば学校現場の対処の仕方を初任者に十分教えることができるということで初任者研修制度を導入しているわけですが、それがどうもお話を聞いていると十分機能していないのではないかという印象を受けるわけでして、今後はやはり教員の資質向上の中では、実践的指導力向上という点から言うと、採用教員について1年間、十分な初任者研修制度を実施するプログラムなりシステムを再構築する必要があると思っているわけでございます。それから今回の免許更新制に伴って、講習30時間を今後10年ごとに課して、それによって免許更新するわけですが、そういう意味では、現職教員研修においてどういう研修が必要かという点は、講習内容の在り方の非常に大きな参考になっていくんじゃないかとも思うわけで、やはり研修も十年一日に同じような研修じゃなくて、それぞれの時代や社会のニーズ、学校現場のニーズに応じて改善していかなければいけないわけですから、そういう取組を今後していく必要があるのではないかと思っているわけでございます。それから、やはり日々の学校内研修とか、その重要性は、先ほどお話があったとおりだと思いますので、本当は校内研修ができる時間がとれればいいんですが、先般の40年ぶりに行われた教員の勤務実態調査では毎日2時間以上の超勤をしていて、とても子どもと向き合う時間もとれないという実態なのであれば、研修する時間はおそらくとれていないということが実態としてあると思うんです。したがってその辺は、学校における勤務内容の見直しと事務量の整理、削減が、今の学校現場を考えた場合にどうしても必要な点でございまして、それはやはり教育委員会が中心になって学校現場とよく相談して事務の整理、削減を行うことも必要でしょうし、何かあったらすぐ調査をやると、そういう調査に要する時間が非常に多いという実態もありますので、やはり調査の精選ということもしながら、学校事務の削減、効率化ということについても今後さらに取り組む必要があると考えています。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。じゃ、岩崎先生、お願いします。

【岩崎委員】
 ありがとうございます。私は指導力の向上にかかわりまして、3点申し上げたいと思うんですけれども、まず先ほどもお話がありましたように、教員の養成に関してなんですが、今、学校現場で困っていることの中に保護者対応がございます。教科指導はできるベテランの先生であっても、保護者対応が難しくて、教頭、校長が慌てているという実態がございます。そんな中で、先ほど部会長が仰ったように、校長、教頭になるための養成コースがあるとお聞きしましたけれども、私たちの市では、大学生の1回生から学生サポーター制度というのを取り入れておりまして、学生さんが1回生の時から学校現場に出てきております。その時に生徒指導の方法とか、不登校の生徒とかかわっていただいたり、あるいは行事に参加していただいて、実際に児童、生徒とかかわっているという1つの例でございますけれども、大学を卒業してすぐにというのは難しゅうございますので、そういうことも大事ではないかなと思って、私たちはやっているわけなんです。当然、初任者研修を市で担当している部分につきましては、サポーターさんにも一緒に入って研修を受けていただいているという例もございますので、先ほどもありましたように、現職教員の研修にも座学だけじゃなくて、是非、実践的な研修内容を取り入れていただきたいなと思います。
 それから2点目は、教員の支援体制でございますけれども、一つは、やはりトラブルから訴訟になる場合もございますので、そういうことを学校の先生が一々対応するのは大変でございますし、市の方にも顧問弁護士はおられますけれども、そこまで来るまでにトラブルを起こしている保護者との対応をしてくださるような先輩の先生方のご協力といったことが必要ではないかと思います。もう一つは、学校図書にかかわりまして、司書の専任化ということです。学級担任をしながらということで、なかなかそこがうまくいきませんので、専任の司書の配置というものもお願いしたいなというのが、2つ目の教員の支援体制でございます。
 それから3点目に「指導方法の改善」でございますが、普通学級に6パーセントから6.3パーセントいるという特別支援を必要とする子どもの指導の在り方に現場は十分でなく戸惑っている部分がございますので、そのことについても盛り込んでいただけたらなということで要望させていただきます。以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それじゃ、佐々木先生、お願いします。

【佐々木委員】
 もう皆様がたくさん仰っていますので、少し違うところだけと思いますが、この理念を実現するための基盤を整備するということは、つまり教員が教員としての力を発揮するための基盤づくりだと思いますが、大切なことの一つは、教員の心と体が健康で安定している、つまり教員のモチベーションが上がる仕組みづくりだと思います。これは皆様が仰ったとおりで、給与やいろいろな費用の問題、人数の問題があると思いますが、一つ、今まで出てこなかったし、書いた方がいいかなと思うのですが、医師、医者との連携というのも入れていく必要があるんじゃないか。小児精神科医や小児科医の学会に最近参加しまして、そちらの視点から全国の今の小学校を訪問した時の問題点をたくさん耳にしましたが、ニュースやその他で知っていると思っていた以上に、やはり実態が厳しく、本当は医療サポートが必要なのにもかかわらず、わからずに学校の中にいて先生が対応していて困っている。こういうこともあるので、子どもの心の問題、それから当然、今、様々な親がいたりする、親の問題、そして教員のストレスや教員自身の病気もあるかもしれません。ですから、医師との連携というのがしっかり入ってくる必要があるかなと思います。
 また、同じ観点なんですが、やはり教師が力を発揮するために、もっと各分野の専門家が現場に入っていく必要があるかなと思います。これは人数を増やす、費用を増やす際に教員だけを増やすのではなくという意味なんですが、先ほど来出ている未納経費の取り立ての問題であったり、トラブルがあった時の法務であったり、あるいは部活動の問題もそうかもしれませんが、様々なプロが他の業界からも参加してサポートすることによって先生の知恵も経験も現場を通じて増えていき、精神的にも安心できるのではないかと思います。
 教員の指導力のトレーニングについては、皆さんもアイデアは山ほどあると思うんですが、対話力というのがやはり大変重要なことだと思っておりますので、この辺はプログラムを私も幾つか事例を持っていますので、いつの日か提案したいと思います。
 それから最後に、教育委員会や地域によって学校の実態がやはり大きく違う。東京を中心とするところはまだまだよいように思いますけれども、ちょうど精神学会の中で地方の学校の事例などを聞くと、ちょっと想像を絶するような教育委員会の対応などを耳にしました。ですから、この「学習指導要領の理念を実現するための基盤の整備」というのが、東京から見える範囲を超えて、スタートした後のチェック体制だったりサポート体制だったりということをしっかり考える必要があるかなと思っております。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。すいません、じゃ、最後になりました、毛利先生、お願いします。

【毛利委員】
 教員、校長先生への支援体制をつくるということで、本格的に非常に重要なことに着手されて、とても期待しております。今までお聞きしていると、いろいろなテクニカルなことを支援の中に取り入れて、いい先生、いい校長先生になってもらおうということなんですけれども、もっと根本的なことをもう一つ付け加えなければ、体制はつくっても本当にいい先生ができるかどうかというのは疑問だ、と思います。それは何かというと、いい先生とは何か、いい校長とは何かということをきちっと関係者が認識するかどうかということで、例えば先ほど黒須委員が、いい校長先生は2割しかいないと仰いましたよね。しかし校長先生に聞いてみると、現実的に9割の校長先生は自分はいい校長だと思っています。そのギャップですね。ですから、それは幾ら2割しかいないといっても、現場の校長先生は自分ではプライドをもってやっていらっしゃるので、すごくアンバランスなことになるのではないか。制度を幾らよくしても本人の自覚がなければ、それは結局、今と変わりません。私たちは環境が変わってもすぐには対応して変わっていかなければ意味がありません。今は学校にとってPTAとの関係とかが一番重要かもしれません。でも、その重要性も時とともに変わっていくんですね。今、制度にはすぐ手をつけられなくても、その中で柔軟に少しでも望ましい方向に変えられるかどうかというのは、基本的にいい先生とは何か、いい校長とは何かということを絶えずいろいろなところで話し合える、そういう環境をもつことだと思うんです。したがって、今はマネジメントが上手な校長が必要かもしれません。今は学校崩壊、あるいはPTAにうまく対応する先生が必要かもしれません。でも、本質は何かというところを絶対忘れないように。つまり、先生はいつも子どもと接している、そこが一番重要ですよ、一方校長は、そういう子どもたちと接している先生に力を発揮してもらうことですよ、管理能力があるにこしたことはないんですけれども、先生が力を発揮できることですよという自覚ですね。そういう意味で、それぞれの分野で一番いいものは何なのかという議論を、いつでも、いつでも、絶えず、絶えず、将来にわたって議論していく雰囲気を、制度の中に何とか入れ込んでほしいなと思います。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。最後に安彦先生、荒瀬先生、こういうことにします。

【安彦委員】
 今まで人の問題ばかり出ていたものですから、どうしても一言お願いしたいと思ったのは、教科書であります。保護者の方は、やはり教科書の在り方については非常に関心が強いわけでして、特に今のは薄くて、私から言わせれば、あれでは総合的な学習の時間などで求めている自学自習ができないと思いますが、そういう意味で、もっと厚いものにしていただいて、自学自習ができるような、そして中身にこの学習指導要領の理念を具体化した教科書を実際に出していただくとよい。予算がちょっとかかりますけれども、形として見えるものですから、保護者の方にも説得的ではないかということ、この点を是非一言申し上げたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それじゃ、荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 先ほど岩崎委員が仰った中で、教科指導はできても子どもの扱いができない先生がいるということなんですが、私は現場で見ておりまして、教科指導もできない教員は子どもの扱いもできないのではないかと思っております。ですから、学習指導要領の理念を教室の中で生かしていくということは、すなわち教員の最も大切な仕事である、人を育てるという、これは教科の学習のみではなくて人間的な成長を促していくという面でも、教科指導がきちっとできる教員をつくっていくということが一番大事なような気がいたします。
 もう一つは、論点2についてなんですけれども、これはもう今日は時間がないということで、ほとんど論議がなかったわけで、是非、継続してまたお願いしたいということを申し上げておきます。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。すいません、今日はちょっと時間が延びてしまいまして、まだ多分いっぱい出てくると思います。しかし今日は、このあたりにさせていただきたいと思います。
 最後の最後に、今日は前中教審会長で現在文科省の顧問をお務めの鳥居先生にご出席いただいております。ご挨拶かたがた、ご発言をお願いしたいと思います。

【鳥居顧問】
 鳥居でございます。時間がもうなくなっているところでご指名いただいて恐縮です。3つのことをお願いしておきたいと思います。私は、平成13年から今年1月まで3期にわたって中教審の会長をさせていただいて、会長である間はなるべく自分の意見は言わないようにしていたんですけれども、是非、学習指導要領をはじめ教育課程部会のお仕事に参考にしていただければと思って、3つのことをお願いしたいと思います。
 1つは、教育、学校というのは何をしているところなのかについて、中教審が揺るぎない信念を持っていただきたい。私は、それは3つあると思います。学校教育は、文明の継承の場であり、人間形成の場であり、知識の伝授の場であるということを揺るがせてはいけないと思います。実は、私も、先ほど来、資料4にありますような国会の審議等に呼び出されて、いろいろな質問を受けてきましたけれども、この質問の中で、今申し上げた3つのことを否定するようなご質問が国会議員の口からもたびたび出ました。我々はこの点について、揺らいではいけないと思います。
 2番目ですけれども、中教審というのは、やはり自律性、オートノミーと、そして中教審独特の体系的な論理というものを持っているわけでして、例えば経済財政諮問会議、教育再生会議、地方分権会議、あるいは財政審等、いろいろなところからいろいろな意見が飛び込んできますけれども、我々のオートノミーは崩してはいけないと思っています。
 3番目でございますけれども、我々が決めたことについて、その後、国の政治の中でどのようなことが行われているかについての検証は続けるべきだと思います。1つだけ具体例を申し上げますが、今日は7月2日でございまして、三位一体の改革という大騒ぎがありましたが、あの改革で、国税、所得税は半分にするかわりに地方税は5パーセントから10パーセントに上げるということが決まって、その上がった分は地方の学校教育に振り向けられるんだというふうに我々は理解しておりました。今日、7月2日というのは、その税制改正の最初の第1期分の納税の最終日でございます。今日、私も納税してきたのですが、見てみましたら、私の地方税は5パーセントから10パーセントに上がったのではなくて、もっともっとはるかに上がっています。要するに、今まで臨時に減税していた分を全部増税に回して、地方税はずっと上がっています。一方、所得税はそれと同じ理由で、半分にはなっていなくて、半分よりもずっと高いままになっているわけです。それはそれで私は我慢して税金を払いますからいいんですが、そのお金は地方の学校に回されたんでしょうか。それはこれから検証することになります。最近の新聞の報道によると、ほとんどプラスマイナス0.何パーセントぐらいしかまだ動いていない。だけども、これからおそらく予想されることは、地方で使われる学校教育の、例えばさっきお話がありました図書費でありますとか、教員の給与でありますとか、そういうものが減っていってしまったら、何のことはない、ただ増税しただけで学校教育は衰退してしまうということになりますので、検証の目を怠ってはいけないということを是非お願いいたします。長いお時間をいただきましてありがとうございました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。この教育課程部会の今後の議論の土台になり、いわば背骨になるような点につきまして、ご挨拶の中で触れていただきました。本当にありがとうございました。
 それでは、本日はこれで終わりにしたいと思います。では、事務局の方から次回以降のことにつきましてお願いします。

【南野専門官】
 長時間にわたるご審議、ありがとうございました。
 次回の日程につきましては、現在調整中でございます。部会長とご相談の上、後日ご連絡させていただいたいと思います。

【梶田部会長】
 それでは、これで閉会にいたします。どうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --