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教育課程部会(第8回) 議事録

1.日時

平成15年9月17日(水曜日) 10時~13時

2.場所

霞が関東京會舘 「ゴールドスタールーム」

3.議題

  1. 初等中等教育の教育課程及び指導の充実・改善方策について

4.出席者

委員

 鳥居会長、木村部会長、阿刀田委員、安彦委員、石川委員、市川委員、今井委員、小栗委員、梶田委員、加藤委員、田村委員、渡久山委員、中許委員、西嶋委員、西村委員、船津委員、前田委員

文部科学省

 結城文部科学審議官、近藤初等中等教育局長、金森初等中等教育局担当審議官、河野主任視学官、布村生涯学習政策局政策課長、大槻教育課程課長、今里教育課程企画室長
国立教育政策研究所
 月岡教育課程研究センター長、西尾研究開発部長

オブザーバー

 小久保委員

5.議事録

(1)事務局より、資料3から資料5及び参考資料1について説明の後、答申案に向けた議論が行われた。主な発言は以下のとおり。(○=委員、△=事務局)。

○ 参考1は、平成16年度からの実施を前提に、たたき台として示されたという理解でよいか。

△ 答申をいただいて、それから学習指導要領の一部改正を行うが、参考1は、中間まとめに即すとこのような感じになるということで、あくまでも参考として示している。

○ 必要な指導時間の確保について、保護者は授業時数が減ったことに不安を持っているし、学校側も本来は学校週5日制の弾力化を図ってほしいという考えがあるものの、授業時数が多くなるので、歓迎すると思う。
ただ、平成8年時点で、学校週5日制により授業時数を減らすことを提言した審議会が、今度は授業時数を増やすべきであるということを提言すると、同じ審議会が一見全く逆のことを言っているというとらえ方をされてしまうかもしれないので、その点の説明をよく考えてもらいたい。

△ 必要な指導時間の確保については、必ずしも授業時数を増やさなければならないということではなく、各学校が学習指導要領に示す内容を指導し、さらに学校の裁量によって内容をつけ加えて指導する場合には、必要と考えられる時間を様々な工夫によって確保していただきたいということと理解している。きちんと説明する必要はあると思うが、必ずしも矛盾している内容にはなっていないと理解している。

○ 学習指導要領を一部改正することについて、一部の報道は、文部科学省は方針を変えたのだから、それを認めたらどうかと言っているが、私はそうではないと解釈している。ただ、今のご意見もそうだが、そのように一般に受け取られがちな点については、前書き等できちんと趣旨等を説明する必要がある。

○ 学習指導要領の「基準性」については、これまで学校現場で曖昧な感じになっていたので、きちんとした整理が必要である。また、「基準性」について言うと、教科書の記述の幅が広がり、易しい教科書と難しい教科書ができる。ある程度の見通しがないと教科書は作れないので、各教科の一定程度の水準は示し、それを中心に幅を持たせるのが良い。
例えば、フランスなどと比較すると日本の学校はやることが非常に多過ぎる。教科指導中心にしていく必要がある。「7・5・3」が解消されないのは、手間暇かけて「わかる授業」を行う時間的な余裕がないことが一因である。
習熟度別指導については、学習集団を固定化すると差別化が生じる可能性があるので、柔軟に実施する必要がある。そのためには、教員を増やすなどの条件整備が必要である。ただ、現在単科教員を増やしているが、校務分掌を持たないため、常勤の教員に校務分掌がしわ寄せされている。この際、学校を徹底的にスリム化することを考えなければいけない。

○ 当時の教育課程審議会の委員であるので誤解のないように説明したい。学校週5日制になって、教員は勤務形態が変わり、夏休みも出勤するようになった。それに応じ、授業への対応も当然工夫があるべきで、授業時数の確保について工夫を求めているのが今回の中間まとめである。よって、矛盾はないし方針が変わったとも思わない。

○ 「総合的な学習の時間」を実施するに当たって、非行対策も大きな課題である。また、中学校3年生の1月からは私立高校の推薦入試があるため、授業時数の確保に影響を与えている。現場の教員がやりやすいよう、入試制度について文部科学省の指導や支援をお願いしたい。

○ 私も基本的に何かの方針転換があったとは考えていない。学習指導要領を理解していただき、更にそれを充実させていくという方向と考えている。ただ、世間的には学力低下論を受けた揺り戻しというとらえ方もあるので、何を変えないで、どの点を変えるのか、はっきり打ち出す必要がある。
「総合的な学習の時間」は、調査結果によると、かなり肯定的に受け止められていて安心したが、それにより忙しくなっていることも事実である。
学校のスリム化でネックになっているのは、中学校では部活動だと思う。放課後に教材研究をしたり、学校内の様々な仕事をしたいと思っても部活動が忙しく重荷になっているという教員もいる。10年後、20年後を考えたら、部活動を社会教育化したり、あるいは地域の人材を活用して提携するなど、教員が今より教科や学校の仕事に専念できる状況をつくっていく方向を考えなくてはいけないと思う。中間まとめは部活動の問題に言及していないが、どこかで扱わないと教員の多忙感は消えない。部活動の問題を抜きにして、[確かな学力]や「総合的な学習の時間」の充実はなかなかできない状況にある。

○ 部活動を指導している教員は、土曜日・日曜日も試合に行くなどとても忙しい。教員から話を聞くと、様々な書類により事務処理が多いというので、事務処理面をもう少しスリム化すると良い。

○ 参考1の2「総合的な学習の時間のねらい」の2に「実生活にも生かせるものとする」とある。学習意欲の低下の問題をもっと強調すべきという意見があったが、「実生活」の部分については、将来選択や進路設計にまで踏み込んで、何のために学ぶのかということについてもっとはっきり書いたほうがよいのではないか。

○ 国際比較調査の結果によれば、日本の子どもは理数の成績はよいものの、その勉強が将来に結びつくと思っている子どもの割合が低い。そこに教育上の問題があるのではないかと思っているので、今のご意見には賛成である。

○ 内閣府で少年犯罪対策の答申をまとめているところであるが、学校での安全教育を充実させる上で、特に小学校の「総合的な学習の時間」に期待している。学習指導要領には国際理解、情報、環境、福祉・健康と四つの課題例が示されているが、「総合的な学習の時間」を充実していく中で「安全・安心」などの観点も取り入れた学習が充実するとよい。

○ まず、3月20日に答申をした教育基本法の見直しについて、これがいずれ法案になるとすれば、どういうタイミングで学校の教育課程や指導に生かされていくのか。また、その答申は、教育基本法の見直しだけではなく、例えば職業観やグローバリゼーション、環境の問題など、今日的な教育全体の課題について指摘したものと理解しているが、この「審議の中間まとめ」に生かされているのかどうか。
次に、今回の答申を受けた学習指導要領の一部改正は、教科書にどう影響してくるのか。
また、参考1の1、「○各教科において」の「2」で、「特に必要がある場合には、この規定にかかわらず指導可能である」とあるが、誰が特に必要かどうかを判断するのか。
最後に、今回の答申をまとめ上げる段階で、もう少し現場の方々に幅広くお集まりいただき、やりとりをすることができないか。

△ 一点目の教育基本法については、現在与党で協議しているところであり、法律が改正されれば、それを受けた学校教育法や学習指導要領の一部改正もあり得る話であろう。今回の審議は、現学習指導要領の趣旨をより深めるために、来年4月から学校現場での取組ができるように学習指導要領の手直しなどをしていこうということでご審議いただいている。学習指導要領の改正は、中身によっては、教科書等、相当の準備期間を要するものもあるので、タイミングを見ながら、検討する必要があると思う。
 二点目の教科書については、「審議のまとめ」でも触れているとおり、第2章1-(2)の(学習指導要領の記述の見直し等)に、「既に教科書については、同様の観点から、すべての児童生徒に指導すべき内容と区別する形で、それ以外の内容を記述することも可能とされているところである」とあり、実は学習指導要領が、最低基準であるということは以前と変わっていない。先行する形で教科用図書検定基準が改正されており、共通に指導すべきところは教科書の本体として記述され、必要な場合には、教科書会社の判断により発展的な記述も可能になっている。
三点目、参考1の1で、誰が判断するのかについては、現行規定の第2段落目、「学校において特に必要がある場合には」と、基本的には学校が判断するとなっている。
四点目の現場とのやりとりについては、引き続きいろいろな形で聞いていきたいと思っている。

○ 実生活に役立つということは両刃の剣であり、参考1の2【総合的な学習の時間のねらい】の2で、「実生活にも」となっている点は非常に適切である。教育は、実生活のためだけではなく、学習していること自体が意味のあることであり、あまり性急に実生活、実用性とだけ言わない方がよいのではないか。
また、今回の論議を整理する際に、文部科学省のレベル、都道府県・市町村教育委員会や学校法人といった学校設置者のレベル、校長、教頭という学校固有のレベルの話を分けなければならない。本来、校長が工夫してやらなければいけないところまで、この130年間、国が通知などで介入してきたから、校長は教育委員会に、教育委員会は国に伺うという中央集権的で創造性のない教育風土ができたのだろうと思う。特に部活動については、社会教育との関係など、確かに国として整備すべき問題があるが、突っ走りそうになる教員をコントロールするのは校長の力量であり、土・日曜日に部活動を指導した教員の服務・手当等については教育委員会の話と、レベル分けして考える必要がある。

○ 小学校長として見ると、学習指導要領が2年目を迎え、教育課程審議会で提言された「特色ある教育、特色ある学校づくり」を、それぞれの学校で奮闘してつくり上げつつある段階に、この「審議の中間まとめ」は、それを後押しすることになると思い、積極的に受けとめている。
昨年度、本校では、入学式と卒業式の日以外は全部給食を行い、さらに学校行事をカットせずに授業時数を確保した。この取組みは、給食主事にも教員にも非常に不評であったが、「審議の中間まとめ」が出ることによって、それぞれの学校がこれまで実践してきたことを振り返り見直していくという大きな問題提起になると思う。

○ 基本的には「審議の中間まとめ」の方向性は、積極的に評価したいという立場であり、この基本精神を持ちながら改善を加えていくという趣旨で進んでほしい。
部活動は、教員の多忙の一因となっているが、教育委員会としても、校外コーチの導入や地域の協力を得ながら学校は管理面でかかわることを明文化して支援している。現在、部活を重んじている保護者が多くなっており、地区大会の応援に来るなど熱心である。また、70~80%の生徒が部活動をしており、それに対応する教員も頑張っているという現状がある。
教育委員会では、各校長に、できるだけ自分の裁量でやってほしいと強く言っているが、校長会議で横並びで全部しない方向に合理化してしまったりしている。そういう現状を含めて、教員の体質の改善が大切である。基本線は決めた上で、そこに校長のリーダーシップを求めながら、教職員の理解を求めていくという筋道に乗っていくべきではないか。

○ 先ほどの、実生活については、ただ単に実学をベースにした実生活という意味ではなく、生きるという大きなテーマの中で、教育はどうあるべきかということである。

○ 「学校教育に関する意識調査」の概要で、「授業でわからないときがあるとき」に小学生、中学生が先生に聞いていないというデータがあり、ショックを受けた。しかし、調査の結果全体を見ると、「その場で先生にたずねる」「授業が終わってから先生にたずねる」というのが4番、5番に入っており、両方合わせると「先生にたずねる」が上位にいくはずで、事実と違うまとめ方になっており、修正したほうがよい。

○ 参考1の2「(学校ごとの目標・内容の設定と創意工夫を生かした学習活動)」の「学校の実態に応じて創意工夫を生かす」の中に、校長や教頭のカリキュラム・マネジメントの能力をつけていくべきであるという面を含めるべきである。具体的に学校でイメージして、特に「総合的な学習の時間」の場合には、創意工夫を生かさなければならない。
ただ、高等学校での「総合的な学習の時間」は、小・中学校のように地域との関連や、地域から学ぶということが少なく、様々な困難がある。しかし、あまり例示すれば、画一化してしまうので、指導・助言の中で注意喚起して、学校、地域の創意工夫を十分生かせるようにしてもらいたい。

○ 道徳は「総合的な学習の時間」に含まれているが、今、道徳が荒廃しており、「道徳力」を入れる必要があるのではないか。

△ 学習指導要領の総則で、工夫ができるかどうか検討する。

○ 教員が忙しく、部活動でかなりの時間を取られるとあったが、我々の認識では部活動の指導をやりたがらない教員が増えて、一部の教員に過負担になっているようであり、全員が一所懸命部活動で頑張っているとは思えない。また、ボーイスカウトなどの社会教育活動や、私どものペンフレンドクラブやユネスコなど社会教育と学校教育を兼ねている活動に頑張っている教員が多くいるが、決して教科の授業をおろそかにしているわけではない。一方、時間の使い方があまり上手でない教員も多いようで、もう少し工夫していただく必要があると思う。
また、今、消費者教育というものもあるが、何でもかんでも学校へ持ち込むことを断ち切る必要があるのではないか。交通安全など、しつけの問題まで学校に押しつける現状が改善されていないからこそ、学校が忙しくて過飽和になっており、学社融合や家庭教育を推進し、学校をスリム化することを真剣に検討しなければいけないと思う。

○ 好奇心を育成するということはどこかに触れられているのだろうか。好奇心を満たすためには、基礎的な学力がなければ単なる好奇心で終わってしまい、それを実際に獲得することはできない。その好奇心というのは、いろいろな形であらわれてきて、例えば、ほとんど学校教育の中では役に立たないと言われているようなものが、意外に役に立つということもある。生きていくための知恵の根源は、好奇心を培うことにあり、根本のところにそのような文言があることが必要だと思う。

○ 好奇心については、平成7年からその重要性については随分いろいろなところで示しているが、具体的にそれをどう育てていくのかという妙案がなく、方策についてはあまり述べられていない。
ヨーロッパ、アメリカの家庭では、日本の家庭とは違い、圧倒的に親が子どもの好奇心を大事にする。好奇心を育成することは、家庭の問題であると思う。

○ 企業において伸びていく人は、新しいことを何とか見つけようとする好奇心と見つけ出す感性が交わり合っている。
先日、高エネルギー加速研究所の公開があり、見に行くと、子どもを連れた大人が7割ぐらいいた。パンフレットには子どもの絵があり、あの難しい、目に見えないニュートリノや、素粒子・量子の世界などを非常にやさしく説明しており、子どもたちは最後までずっと見ている。私は非常にびっくりしたが、日本が良くなるかもしれないと思った。

○ 何でも学校に持ち込む傾向があるとの話があったが、そのとおりである。スポーツ・青少年分科会において、食に関することで栄養教諭の話題が出ており、ついに食に関することも学校で教えなければならなくなったかという気持ちがある。現在、学校現場にとっては、家庭に対する教育が非常に大きな問題になっているが、親に対する教育を学校レベルに落とすのではなく、食に関することくらいは、国、都道府県レベルなど別のルートで、保護者に対して教育ができないものか。

○ 部活動の問題については、実は大学でも同じである。外国の大学では、部活動には一切関知しておらず、コミュニティのスポーツクラブに所属している。部活動は、日本の文化の一つになっており、脱却はなかなか難しいと思うが、切り離す方向へいかなければならない。

(2)事務局より今後の日程について説明があり、閉会となった。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

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