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教育課程部会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成15年6月10日(火曜日) 14時~16時

2.場所

如水会館 「スタールーム」(2階)

3.議題

  1. 初等中等教育の教育課程及び指導の充実・改善方策について
  2. 教育課程実施状況調査について

4.出席者

委員

 鳥居会長、木村部会長、横山副部会長、赤田委員、阿刀田委員、安彦委員、安西委員、石川委員、市川委員、今井委員、小栗委員、梶田委員、河邉委員、田村委員、渡久山委員、中許委員、西嶋委員、西村委員、平野委員、船津委員、宮崎委員

文部科学省

 矢野初等中等教育局長、有本生涯学習政策局審議官、金森初等中等教育局審議官、布村生涯学習政策局政策課長、辰野初等中等教育企画課長、大槻教育課程課長、今里教育課程企画室長
国立教育政策研究所
 月岡教育課程研究センター長、西尾研究開発部長

オブザーバー

 浅田委員、小久保委員

5.議事要旨

(1)事務局より新委員の紹介及び分属替えの委員の報告が行われた。

(2)事務局より諮問の内容、当面の具体的な検討事項の例及び今後の審議の進め方等について、資料3から資料7に基づく説明の後、自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり。(○=委員、△=事務局)。

○ 「学習指導要領の「基準性」の一層の明確化」というが、現在どこが明確化されていないのか、「必要な学習指導時間の確保」については、指導時間のばらつきとその許容範囲についての考え方、「総合的な学習の時間」の一層の充実とは、時間数または内容のどちらのことを指しているのかについて、お尋ねしたい。また、これらについてのデータはあるか。

△ 文部科学省の告示である学習指導要領は、教育課程の全国的な基準であることは明確である。ここでの「基準性」とは、学習指導要領に示す内容はどの学校でも指導すべき内容であるが、学校の必要に応じて学習指導要領に示されていない内容を加えて指導できるという性格のことである。ところが、学習指導要領に示す内容が上限であるかのように受け取られてきたところがあるので、この学習指導要領の「基準性」を一層明確化する必要があるということである。これはいろいろな現場からの声である。
 また、学習指導時間の確保については、学習指導時間の実態について、全国的な調査を行っているので、今後データをお示しする。
 さらに、「総合的な学習の時間」については、現場からのいろいろな声を教育委員会等から聞くと、創意工夫が行われている一方で、体験主義に陥っているといった、「総合的な学習の時間」の趣旨、ねらいを十分踏まえているとはいえない取組など質的な面についての指摘がある。

○ 私どもの地域のある中学校で習熟度別の授業に取り組んでいるが、その中で学習指導要領に示していない事項を加えて指導する教材の開発も行っていた。学習指導要領の「基準性」を踏まえた取組が、実態として現れてきている。

○ 現行の学習指導要領の扱いをどうするのか、指導時数を決められている中で、時数を増やしてもいいということなのかについてお尋ねしたい。
 また、基準性、発展的な学習については、現場的な発想として、学習指導要領に盛り込まれているか盛り込まれていないかより、教科書が対応しているかどうかである。
 さらに、学習指導時間の確保についても、二学期制や午前5時間制などの工夫が行われているが、子どもたちの在校時間が非常に長くなることが大きな課題である。現行の学習指導要領並びに指導時数の問題をどのように考えるべきか、お尋ねしたい。

△ 現行学習指導要領の下での教育課程実施状況調査の結果を見る必要があり、学習指導要領の内容については、当面は現行のものが前提になる。
 また、発展的な学習と指導時数の標準の扱いについては、共通に指導すべき内容に加えて、学校の判断で発展的な学習や補充的な学習に取り組むことができることから、必ずしも発展の教材がないから標準時数の議論ができないということではない。
 なお、発展的な学習についての教材を求める声に対して、文部科学省では、小学校の算数と理科、中学校の数学と理科について教師用の指導資料を作成した。また、その他の教科についても、約1,600校の学力向上フロンティアスクールで教材開発をしており、その中でよいものを、それぞれの学校の判断で活用いただきたい。
 さらに、指導時数の確保についても、共通に指導すべき内容に加えて学校が必要に応じて指導する内容について、必要な指導時間を確保するということであり、児童生徒の負担にも配慮した上で、検討をお願いしたい。

○ 審議をする上で二つの点を明らかにしておきたい。一点は、新学習指導要領が実施されたところであるが、当面、非常に緊急性のある問題意識があれば、これをはっきり打ち出さないといけない。学習指導要領を10年という一定の期間内に見直すのであれば、どういう現場でどういう声があるかを、説得力のある形で示してもらいたい。
 もう一点は、当面の検討課題について、事務局として緊急性が高いという判断であれば、論点を示すべきである。例えば、学習指導要領の内容では不十分という意見があるから、発展的な学習にシフトしなければいけないのかどうかといった点や、あるいは理数系の授業時数がこのままでよいのか、その対応はどうするのかといった点である。
 現場で悩んでいる教員に対して、そういうことに答える発言があればお願いしたい。

△ 事務局が問題意識として持っているのは、学習指導要領の内容が不十分ということではなく、現行の学習指導要領の下でいろいろな取組をお願いしたいということである。
 共通に指導すべき内容に、各学校の判断で指導する内容を加えたときに、どのように指導するかが課題となっている。どのように時間を確保しているか、現場での様々な取組を整理して提示しつつ、その際の留意点もご検討いただき、さらに学習指導要領で明らかにすべきものがあれば規定することもある。
 また、学習指導要領の「基準性」という問題については、指導時間以上に指導内容を削り、共通して指導すべき内容が理論上は少なくなり、学校の裁量の余地が実質的にも広がったので、その点を明らかにし、学習指導要領の規定を整理する必要があるのではないかという問題意識である。

△ 補足をするが、これまで教育課程の基準である学習指導要領は、大体10年に一度改訂し、その改訂のときにアドホック的に教育課程審議会を開いて検討してきたが、これからは教育課程の基準の見直しは不断に継続的に検証、評価して、それに基づいて見直すことが必要であるということで、常設的な検討機関としてこの教育課程部会を設けた。
 当面、この教育課程部会で検討をお願いしたいことは、現行の学習指導要領がそのねらいを実現するためにはどうすればいいかということである。したがって、今回、教育内容を見直すということは全くない。また、標準授業時数を確保するために、どういう工夫や運用の仕方が必要かということをご検討いただきたい。

○ 一種の指導上の留意事項を出すという感じを受けるが、それならばこの場で審議するほどのことはないと思う。
 よって、中央教育審議会の答申としてふさわしい問題意識の絞り込み、あるいは事実の確認を踏まえて、はっきりとした国としての一つのメッセージ、呼びかけとなるものをお願いしたい。

○ 従来、教育課程審議会は10年に一度、学習指導要領を改訂してきたが、それではうまくいかないということで、中央教育審議会の中にこの教育課程部会を常設した。常設にしたということは、例えば具体の問題意識について審議するということもあると思うが、いろいろな現場から上がってくる声やいろいろなところで行われている良い取組等を集めて、この場で議論し、それを広めていくことも中央教育審議会の一つの大きな使命と思う。

○ 今までの学習指導要領の改訂は10年に一度であるが、この期間は何らかの形で変えないと新しい変化に対応できない。その意味で、この教育課程部会を常設して、適宜対応していくことは非常にいいことである。
 また、内容の問題であるが、各段階の学校における、ある程度のカリキュラムの水準は決めておく必要があると思う。それも非常に弾力的に考えていかないと、今の状況では対応できないので、その意味では根本的なところから問い直して「基準性」の問題を議論することは非常にいいことである。

○ 現場の教員として、「総合的な学習の時間」について、教師と生徒の間に、意識の乖離があるのではないかと感じる。教師とすれば、自分の能力を発揮できる時間であるが、生徒には、効果や成果が伝わっていなかったり実現されていなかったりする時間であるのではないか。「総合的な学習の時間」の評価、質的なものの評価を今後どうしていくのか。
 その他、学力低下が言われており、必修教科の時間が欲しいということは切実な問題である。トータルなことを現場としては今悩み、苦しみつつある。

○ 一般的に改善活動には、インプットを増やしてアウトプットを増やすという方法と、インプットは変わらないが工夫してアウトプットを増やすという二つの方法がある。これから議論する内容はインプットは変わらないが、現状の中で、よりよくするためにどうしたらいいかということをまず最初に行ってみるという後者の方と考える。

○ 現行の学習指導要領の下での取組の成果を踏まえた上で、どうしても学習指導要領を変える必要があれば変えていくというやり方がよいと思う。
 ただ、今回の検討事項については、少し漠然としているという印象を持っている。現状はどうか、何が問題なのかということを共有できるデータを示す必要がある。例えば「総合的な学習の時間」について、子供、教師、保護者はどう思っているか。民間の調査では、小学校の教員はかなり肯定的にとらえていて、この時間を活用していきたいと思っているが、中学校、高等学校の教員は相当ネガティブに見ている。現状で「総合的な学習の時間」が一体どのようにとらえられているかを共有し、その問題点を何とか解決していくという方向に持っていく必要がある。
 それから、少人数や習熟度別といった個に応じた指導についても、どこでも力を入れて取り組もうとしているが、なぜかほとんど効果が出ない学校もある。調査、データを共有し、問題意識を明らかにするところから始めないと、審議する内容も漠然としたままになってしまう。調査を踏まえた議論をしてはどうか。

△ 「総合的な学習の時間」については、現在、民間等の調査結果を集めている。また、文部科学省でも、学校教育に関する意識調査や学校における教育課程の編成状況調査を実施しており、先行の調査・研究等も含めて、今後お示しをする。

○ 学習指導要領の「基準性」が全面に出された場合に心配されることは、大学入試の出題である。大学入試ではここまでの内容を出題するから、高等学校で必ず学んできてくださいということを各大学から示され始めたら、授業時間が限られていることもあり、高等学校が応えられるか心配である。高等学校教育では、とかく教えたい内容よりもここまで教えなければならないというような形で動きがちである。
 高等学校は、小・中学校から少ない学習時間で来た生徒たちを、16年度からは国公立大学が5教科7科目を課すということもあり、今まで以上の内容を学習させて卒業させなければならないという苦しい状況にある。
 それから、夏季休業中は高校生にとって、非常に充実した期間である。部活動や行事は、生徒の[生きる力]を育成するのに非常に適した内容であり、その期間に授業を行うことになると、健全育成に一番大事な部分をそれだけ削らなければいけないというジレンマに各学校が陥る。
 授業をたくさん行う学校がいい学校だというような風潮が出てくると、生徒の本来の健全育成から考えて好ましくない。どこかで歯どめをかけるべきではないか。

○ 大学側がそのような懸念のとおりに行動するとは思わない。いかに日本の若者をしっかりと育てていくか、そういう視点で大学入試も含め物事を考えるべきである。

○ 学習指導要領の「基準性」という言葉を使っているが、この「性」とはどういう意味か。いずれの学校においても取り扱わなければならない内容であれば、それは「基準」である。ここであえて「基準性」という言葉を使っている意味、そして、その定義について、お尋ねしたい。

△ 委員の言うとおり、学習指導要領は「基準」である。「基準性」とは、「基準としての性格」という意味であって、学習指導要領には共通して学ぶべき内容が示してあり、それに加えて、各学校の判断でつけ加えて指導することができるということもあわせて学習指導要領の「基準性」と言っている。そのような性格をはっきりさせたい。行政も含めて意味があいまいになっていた点があり、そこを今回はっきりお示ししたい。

○ [生きる力]や生活力を身につけることは、人間にとって大切なことであり、本来、家庭や地域の中で育まれるものである。それが希薄になっている中で、「総合的な学習の時間」をより充実していくことは大切なことである。
 ただ、「総合的な学習の時間」については、迷いながら実践をしている教員がいるのではないかという懸念、また、教員だけでは十分指導できないのではないかという懸念がある。教員が授業を行いやすくするための実例集や様々なアイデアを集めた冊子をつくることや家庭や地域が取り組む場をつくり、その場を充実させていくという工夫が有効ではないかと思う。
 「総合的な学習の時間」は様々な学習に取り組むことができるが、教員にその取組が任されているのであれば、教員の負担が気になる。「総合的な学習の時間」の現状について、お尋ねしたい。

△ 「総合的な学習の時間」の内容は、国が定めないという方針であり、環境等について4つの事項を例示しているのみである。地域や学校の実態等に応じて、学校が判断して内容を決めるということであり、学習指導要領としては大きな変革であったが、うまくいっていない学校もあるため、今回検討をお願いしている。
 「総合的な学習の時間」の事例集は、小・中・高等学校別に、学校現場で参考になるものを作成している。また、NPOとの協力や地域全体としての「総合的な学習の時間」への取組についての研究を開始しており、国としては側面から様々な支援を行っている。

○ NPOという立場で今まで350校ぐらいの学校へ行っているが、日本の子どもたちの創造力、意思決定力というのは、外国の子どもたちと比較して、非常によくできていると思う。
 「総合的な学習の時間」によって子どもたちに何かを育むというよりも、既に育まれている力を発揮させることが重要である。子どもたちには自分たちの思いを伝える場所や機会がない。
 教員から話を聞いても、「総合的な学習の時間」そのものについては賛成であるが、どうやっていくかということについてはいろいろ議論がある。
 日本の子どもたちは、自分の進路を自分で考え、どう意思決定して、何が必要であるかということについて、しっかりとした資質は持っているので、「総合的な学習の時間」は子どもたちが発露できる場所になるのではないかと考える。子どもたちの資質をどう引き出すかの議論が大事である。

(3)事務局より教育課程部会における今後の検討体制について、資料8に基づく説明が行われ、教育課程部会の下に総則等作業部会を設置することが了承された。

(4)部会長より安彦委員が総則等作業部会の主査に指名され、委員については後日、部会長と主査が相談の上決定することが了承された。

(5)事務局より教育課程実施状況調査について、資料9-1から資料9-4に基づく説明が行われ、「特定の課題に関する調査」については教科別専門部会で審議することが了承された。

(6)鳥居会長より、21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成を実現するために、忌憚のないご意見をお願いしたい。また、教育課程及び指導の充実・改善という諮問の本来の趣旨に絞って議論を進めていただきたいとの発言があった。

(7)事務局より今後の日程について説明があり、閉会となった。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

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