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教育課程部会(第72回) 議事録

1.日時

平成19年12月25日(火曜日) 15時~17時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 「芙蓉」

3.議題

  1. 「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(答申案)について
  2. 平成20年度政府予算案について
  3. その他

4.出席者

委員

 梶田部会長、木村副部会長、田村副部会長、天笠委員、荒瀬委員、石井委員、市川委員、井上委員、宇佐美委員、梅田委員、加藤委員、草野委員、黒須委員、甲田委員、角田委員、土井委員、渡久山委員、中村委員

文部科学省

 銭谷事務次官、加茂川生涯学習政策局長、石野スポーツ・青少年総括官、鬼澤企画・体育課長、関財務課長、高橋教育課程課長、永山特別支援教育課長、牛尾視学官、合田教育課程企画室長
国立教育政策研究所
 大槻教育課程研究センター長

5.議事録

【梶田部会長】
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4期第19回教育課程部会を開会したいと思います。委員の皆様におかれましては、年の瀬の慌ただしい時期、しかも今日は25日でクリスマスで、この中にクリスチャンの人はあまりおられないかもしれませんが、おられますと、24日の夜はクリスマスイブで、夜半の礼拝かミサかがあって、どう言いますか、寝不足の25日、クリスマスということになるんですが、そういう特別な日にこれほどたくさんご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 本日は、年の瀬にもかかわらず、多数の先生方にお運びいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、本日の配付資料を確認させていただきます。お手元の封筒の中でございますけれども、1枚ものの議事次第。それから資料1といたしまして、本教育課程部会の先生方の名簿。資料の2といたしまして、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(答申案)。資料の3といたしまして、平成20年度予算額(案)主要事項。以上でございます。
 また、お手元には幼稚園等、各学校段階の学習指導要領を束ねたもの。それから、先日来お目通しをいただいております「審議のまとめ」に対しまして寄せられたご意見、あるいは関係団体における各団体からいただきました意見のまとめたもの等を机の上に置かせていただいております。適宜ご参照いただければと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入ります。
 前回21日の会議では、11月7日に決定いたしました「審議のまとめ」、その後のいろいろな団体のご意見、あるいは国民の多くの皆さんのご意見を踏まえて作成しました答申の素案につきまして、皆さんにご審議いただいたところであります。本日は、前回の審議を踏まえまして、必要な修正を加えました答申案を準備してあります。本日で教育課程部会としての議論を集約したいと考えております。
 今回の答申案は、前回も、あるいはずっと前からも強調されておりますけれども、今回の新しい学習指導要領をうまくやっていくためには、どうしても教育諸条件の整備が不可欠であるという認識の上に立ってまとめられてまいりました。そういう中で、この部会におきましても、来年度予算の概算要求がうまくいくだろうかというようなことにつきまして、何度も状況をご説明いただいたり、あるいは委員の皆さんから注文がついたりしてまいりました。ということで、ご承知のように、やっと来年度の政府予算案が閣議決定されておりますので、初等中等教育の関係部分につきまして、後でご説明もいただきたいと考えております。
 そして、今日で部会としては学習指導要領の審議、1つの大きな節目、まとまりになりますので、全体を振り返ってのご感想なり、あるいはこれをまさに円滑にうまく運用していく上での留意事項、こういうことを考えなきゃいけないんじゃないかということについて、最後に少し皆さんで意見をいただきたいと思っております。
 それでは、まず、前回の審議を踏まえて修正していただきました答申案につきまして、修正箇所を中心に、合田室長からご説明をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 失礼いたします。
 それでは、資料の2に基づきまして、答申案をご説明申し上げたいと存じます。
 この答申案は、前回、12月21日の教育課程部会においてお示しをいたしました答申素案について、委員の先生方からおおむね妥当との前提の上で、幾つか表現についてご指摘がございましたのを、部会長のご指示のもと、整理を行わせていただいたものでございます。
 以下、修正した点、追加した点につきまして、中心にご説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、資料2の5ページをお目通しいただければと思っております。一番下の○でございます。教育課程部会は引き続き中央教育審議会に常設し、審議を重ねることが適当であるという文章でございますけれども、これにつきましては、前回、何人かの委員の先生方から、中教審の教育課程部会としては、指導体制の確立や教科書の充実なども含めて、新しい学習指導要領の実施についてしっかりと注視をしていくということが必要ではないかというご指摘があったところでございます。このため、下線を引いてございますけれども、中央教育審議会としては、新しい学習指導要領等が指導体制の確立や教科書の充実といった教育条件の整備等を伴って、円滑かつ確実に実施されるように注視する必要がある。そういった観点からも、中教審の教育課程部会は引き続き常設をし、審議を重ねることが適当と考えるという趣旨で、文章を追加させていただいております。
 次に、22ページでございます。前回の教育課程部会におきまして、委員の先生から新しい学習指導要領の理念、あるいは考え方の共有に当たっては、まず、特に教師、あるいは保護者自身が立ち止まって考える必要がある。子どもたちは大人の考える姿を見て、自らも考えるようになるのではないかという大変貴重なご指摘がございました。そのご指摘を踏まえまして、22ページ目の2つ目の○でございますけれども、何よりも教師や保護者を含む大人自身が日々変化への対応が求められているということを前提に、子どもたちの「生きる力」をはぐくむことの必要性や「生きる力」の内容を教育関係者や保護者、社会が自ら考え、理解の上共有することは、まず行わなければならないことであるということで、文言を追加させていただいております。
 1枚おめくりをいただきまして、25ページでございます。前回の教育課程部会におきまして、思考力等をはぐくむ学習活動の例についての文章表現上の位置付けを明確にすべきである、教育課程部会としての意思を明確にすべきであるというご指摘があったところでございます。25ページ目の1つ目の○に下線を引いてございますが、思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、例えば、以下のような学習活動が重要であると考えた。このような活動を各教科において行うことが、思考力・判断力・表現力等の育成にとって不可欠であるということで、以下1から6の具体的な学習活動の例示という形で、文章を追加させていただいております。
 次に、27ページから28ページにかけてでございますが、前回の教育課程部会におきまして、子どもたちに自らの将来について夢やあこがれを持たせることが、その成長にとって重要とのご指摘がございました。このため、学習意欲の向上や学習習慣の確立というのがこの文脈でございますけれども、その中で、27ページ目の一番下の行にありますように、実験・観察やレポートの作成、論述など体験的な学習、知識・技能を活用する学習や勤労観・職業観を育てるためのキャリア教育などを通じ、子どもたちが自らの将来について夢やあこがれを持ったり、学ぶ意義を認識したりすることが必要であるということで、記述を追加いたしてございます。
 飛んでいただきまして恐縮でございますが、69ページをお目通しいただければと存じます。68ページから69ページにかけてはキャリア教育に関する記述でございますが、69ページ目の一番上でございます。先ほどお目通しをいただきました28ページと同様の観点から、特に、学ぶことや働くこと、生きることを実感させ将来について考えさせる体験活動は重要であり、それが子どもたちが自らの将来について夢やあこがれを持つことにつながるということで、子どもたちが将来について夢やあこがれを持つということの重要性について、強調する記述を追加させていただいております。
 なお、戻っていただきまして恐縮ですが、前のページ、68ページのものづくりに関する記述でございますが、前回の教育課程部会におきまして、ものづくりの基盤となる学習として、理科だけではなくて、算数・数学の位置付けも明確化すべきであるというご指摘をいただいたところでございます。そのような観点から、下線を引いておりますように、算数・数学での数量や図形に関する学習というものを追加させていただいているところでございます。
 また大変飛びまして恐縮でございますが、142ページ、上から3つ目の○でございますけれども、これも前回の教育課程部会におきまして、附属学校も含みます教員養成大学・学部の学校への支援については、より具体的に言及すべきとのご指摘があったところでございます。それを踏まえまして、教員養成大学・学部は、附属学校も含めて、効果的な指導方法についての研究成果などに基づいて、相互の交流等を通じた継続的な学校への支援が求められるとともに、特に市町村教育委員会の指導力の向上にも大きな役割を果たすことが期待されるという下線の部分の表現を改めておるところでございます。
 それから、147ページの下から2つ目の○の「また」という文章がございますが、企業のより積極的な、あるいは組織な学校教育活動への協力・参加についての文章を追加したところでございます。これにつきまして、前回、教育課程部会におきまして、このような企業の学校教育へのより積極的な協力・参加に当たって、その受け入れのコーディネート等の役割を教育委員会等が果たすべきことの重要性についてのご指摘があったところでございます。このような観点から、これらの取組が円滑に学校に受け入れられるための教育委員会等の仕組みの充実も期待をしたいということで、記述を追加させていただいております。
 最後、148ページでございますが、前回、高校と大学の接続につきまして、学力の担保等の観点から、学習歴の適切な評価が重要とのご指摘があったところでございます。このような観点から、中央教育審議会全体で高校の教育課程、大学入学者選抜、学士課程教育を見通し、学習歴の適切な評価等により学力の水準を確保するとともにということで、文言を修正させていただいているところでございます。
 これ以外、細かい文言の修正等はございますけれども、前回お示しをした答申素案というものが、今回、前提として整理をさせていただいているところでございます。これらについては細かい文言を除き、修正はいたしてございません。前回、おおむねこういう方向でいいのではないかということでご審議をいただきました答申素案の修正箇所について、ご説明申し上げました。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 前回、この文書そのものについてもご意見をいろいろといただきましたし、また、今後のことも随分いただきました。これはまた今日、最後残った時間で、皆さんにまたご意見を出していただきたいと思いますが、この文書そのもの、つまり本日、答申案として出ておりますそのものにつきまして、前回出てきましたご意見を14ぐらいのポイントに絞って、14のポイントそのものをどう入れていくかということで、事務局で工夫していただきまして、今皆さんにご説明いただいたような形で修正をさせていただいております。大体、私の感じでは、これで皆さんに出していただいたご意見がほぼ入ったかなと。パーフェクトというわけにいきませんけれども、趣旨は入ったかなと思っております。これを年明けに初等中等教育分科会を開いて、ここで了承していただき、そして総会を開いて、そこで中教審答申という形にしていただいて、文部科学大臣に提出していただくという運びになっております。ということでありますので、ここで皆さん、特に今この場でお気付きの点があれば、少しお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 もしなければ、文言の小さな修正はまた言っていただければ、その段階で修正させていただきます。あるいは変換ミスがあるとか、そういうようなことも含めて、これはまた見ていただきますが、いかがでしょうか。これを答申案として、初等中等教育分科会、総会に報告するということにつきまして、ご了承いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、今後の取り扱い、この辺、言葉をほんのちょっと直したほうがいいんじゃないかとか、変換ミスがあるとか、そういうようなことは事務局と私にご一任いただければありがたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、そういうことで進めさせていただきます。考えてみましたら、平成17年4月以降、2年9カ月、60回の審議ということになっております。これは専門部会での審議を加えれば、もっともっとたくさんになるわけですけれども、こういうことで、やっとこういう形でまとまったのは、私は非常にうれしいなと思っております。
 今はこんなもんかとお互い思っているようなところがありますけれども、私の極めて個人的な感想を言いますと、多分、戦後60年の教育の流れをずっと後付け、そしてこれから30年、40年流れていく中で、1つエポックメーキングな学習指導要領の改訂になるだろうと私は思っております。私もこれまでずっと最初の学習指導要領(試案)というところからもう一度後付けて、簡単な表を自分でつくってみたんですけれども、そういう中で、豊かな時代になってどうしても緩みがちな、そして目先のこと、個人的なことしか見なくなっている社会の中で、もう一度長い目、広い目で教育のことを考え直した。特に、これから子どもたちが育って活躍していく時代が、これは臨教審でも言われましたけれども、国際化が進むし、情報化は進むし、あるいは少子高齢化、そのほかあります。あるいは成熟社会だ、知識基盤社会だと言われるような面もあります。こういう1つの大きな流れの中で、しかし、私はあえて言いますと、教育の手の打ち方が後手後手に回っていたような気がいたします。今度の学習指導要領で、先手とまではいかないかもしれませんが、やっと時代に合った手を打てるということになったんじゃないかなと思っております。
 そこで一番大事なのはバランス感覚だと思っております。一点豪華主義でいけば、世の中にアピールすることはできます。そういう世の中であるということも、お互いよくわかっております。一点だけを言い立てて、ポピュリズムとよく言いますけれども、人気を博して、その人気だけで世の中を引っ張っていくということもできるでしょう。でも、教育というのはそういうふわふわしたことであれば、社会そのものが崩壊する、そういうものだろうと思います。ですから、やはり着実に、本当に地道に一歩一歩、バランス感覚を持ってやっていかなきゃいけない。そういう方向に向かっての学習指導要領がこれでできて、少なくともその概略といいますか、枠組みができたなと私は思っております。
 そういうことで、皆さん、長い2年9カ月、本当にご苦労さまでした。
 ここで、実質ずっと17年4月以降、部会長としてそれを引っ張っていただいたのは木村先生ですので、木村先生から一言お願いしたいと思います。

【木村副部会長】
 前回も最後に発言させていただきましたので、特に申し上げることはございませんが、一言だけ申し上げたいと存じます。私、平成8年に中教審の新米委員として、例の「ゆとりの中で生きる力を育む」のの答申にかかわりました。私は今でも「生きる力」の考え方は間違っていないと思っているのですが、今回の答申案と当時の答申を読み比べてみると、確かに基本的な概念としてはすばらしいことが記述されていますが、「生きる力」をどのように定義するのか、どのように育てるのかということについて具体的にはほとんど示されていないことに気がつきました。振り返ってみると、ああいう混乱が起きて当然だったかなという気がいたします。それに比べますと今回の答申案では、横串として体験と言語力が入りましたし、知識を獲得して活用力を増して、課題探究まで結び付けるというプロセスが非常にはっきり定義できたのではないかと思います。
 そういうことでありますが、問題はこれを具体的な学習指導要領にどう落とし込むのか、移行措置をどういうふうにうまくやっていくのか、その辺、非常に大きな課題があるように思います。
 今回のこの改訂で非常によかったと思いますのは、少なくとも平成10年のときの改訂を土台にして、それを乗り越えようとしたことだと思います。3年かけて議論しましたので、私自身の口から申し上げるのもいかがなものかとは思いますが、かなり理解しやすいものができたのではないかなと思います。これが、もしまた前の10年改訂のときと同じように世の中に指弾されたとしたら、これ以上のものができるのかなというのが私の正直な気持ちです。そういうことで、ぜひ今回の改訂をいい方向に持って行くため、事務局には相当頑張っていただく必要があるのではないかと思います。
 簡単ではありますけれども、私の感想を述べさせていただきました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 今、木村先生のお話にもありましたように、いい方向に持っていくその1つの要素が教育諸条件の整備というやつですね。中身も増えます。特に理数系は国際的な水準までやっと回復したという感じがございます。それに伴って、時間数も若干増えます。しかし、それを現場の精神力だけでやれというのは無茶な話であります。ということで、いろいろと条件整備をということはこの答申案の中にも書かれておりますが、特に教職員定数の改善、人の問題ということで、これまでもこの部会でもご報告がありましたけれども、財務省との調整がなかなかうまくいかなくて、非常識だと仰っているところに、どうやってこれが常識だということをわかってもらうかというのは大変だったわけですけれども、その最前線で取り組んでいただいたのが関財務課長であります。今日はご出席いただいておりますので、関財務課長から初等中等教育関係予算、また、一番焦点になりました教職員定数の改善、このあたりにつきまして、ご説明をお願いしたいと思います。

【関財務課長】
 財務課長の関でございます。
 今、部会長からお話がございましたように、これまでも数回にわたりまして、その状況につきましてご説明をしてきたわけでございますが、昨日、平成20年度の政府予算案につきまして、閣議決定をされたところでございます。
 お手元に資料の3といたしまして、予算額(案)主要事項、文部科学省初等中等教育局ということで資料を用意してございますので、こちらをご覧いただきながら、主に初等中等教育関係につきまして、今回の20年度予算の内容につきましてご説明を申し上げたいと思います。
 初中局の予算全体で、20年度につきましては対前年度比130億円増の1兆7,958億円となっております。
 1枚目をおめくりいただきますと、子どもと向き合う時間の拡充及び教員の適切な処遇とございますが、義務教育国庫負担金の教職員定数の改善につきましては、12月18日に財務大臣及び総務大臣と文部科学大臣との3大臣での事前協議を行いまして、行政改革推進法を改正しない範囲内で、純増1,000人を含みます1,195人の定数措置を行うこととなったところでございます。
 この概要のところにございますように、20年度におきましては、主幹教諭の授業負担の軽減を行って、その機能が発揮できるようにする、そのための教員の加配措置のための1,000人、それから特別支援教育につきまして、小中学校の通級による指導、それから食育の充実、栄養教諭の措置といったような内容で、定数の改善を行うこととしているところでございます。
 また、その下に教員の給与の関係を記載してございますけれども、教員の給与につきましては、一般の行政職に比べまして教員が上回っております2.76パーセントの縮減に着手をするということで、20年度は義務教育等教員特別手当の縮減に一部着手をすることとなりました。
 また、一方で、適切な処遇とめり張りある教員の給与体系の実現ということで、副校長、主幹教諭、指導教諭につきましては、来年の4月から学校教育法が施行されまして置くことができることになるわけでございますが、副校長につきましては、教頭と同じ級に位置付けた上で、管理職手当等によりまして教頭より高い処遇とすること。
 また、主幹教諭、指導教諭につきましては、給料につきまして、教頭と教諭の間に新しい級を設けまして、教頭と教諭の間の処遇とするというようなことで、その処遇を図ることとしております。
 また、部活動手当を含みます教員特殊業務手当、緊急補導業務でございますが、救急業務、その他の特殊業務につきましての手当でございますが、これらはいずれも倍増とするということで、処遇の改善を図ることとしているところでございます。
 次のページでございますけれども、子どもと向き合う時間を拡充するという観点から、教職員の定数措置とあわせまして、今回新たに20年度につきましては、学校に退職教員や経験豊かな社会人等を非常勤講師として配置する場合に、都道府県に対して3分の1の補助をするということで、7,000人の非常勤講師の配置を可能とする事業を新たに行うこととしております。この内容といたしましては、習熟度別少人数指導の充実、あるいは小学校高学年における専科教育の充実等々、ここに記載してございますけれども、社会人の活用を含めまして、幅広く各都道府県におきまして、学校や地域の状況に応じて活用していただければと思っているところでございます。
 3番目の事務の外部化でございますけれども、学校の様々な教員の活動等について支援をしていただき、地域の人々が学校運営を支援するということで、学校支援地域本部の設置を全国1,800カ所、全市町村を対象といたしまして、組織体制づくりを推進することとしております。
 また、その下でございますが、学力向上策の推進でございますけれども、学習指導要領が今年度中に改訂をされますと、20年度におきましてはその趣旨の周知を図るために、解説書の作成でございますとか、各種の説明会を開催いたします。また、学力向上そのものにつきまして、国語力の育成や理数教育の充実などを図るため、引き続き、学力向上アクションプランを推進することとしているところでございます。
 また、次の4ページでございますが、小学校における英語活動等の国際理解活動の推進でございます。これにつきましても、今年度に引き続きまして、拠点校におきまして、ALTや地域人材の効果的な活用を中心とした取り組みを推進することとしております。
 また、小学校の五、六年生の全児童に対しまして、英語ノート(仮称)といった教材を配付いたしますとともに、五、六年生の学級担任に研修の資料を配付いたしまして、全国共通の教育条件の整備を図ってまいりたいと考えております。
 その下の全国的な学力調査の実施でございますが、来年度は4月22日火曜日に実施を予定いたしまして、そのための所要の経費を計上しております。
 また、その調査を活用した学校の改善を図るための経費につきましては、先ほどの学力向上支援事業の一部といたしまして、都道府県指定都市への委託等を行うこととしております。
 それから、学校評価システムの構築でございますが、第三者評価の推進、また、調査研究の委託ということで、64地域、512校を指定いたしまして、実践的な研究を行いながら、適切な学校評価システムの構築を図ることとしているところでございます。
 次のページでございますが、教員の免許更新制の円滑な実施でございます。21年度から実施をされます免許更新の講習につきまして、これが円滑に行われ、質の高いプログラムとなりますように、そのプログラム開発を行うために、全国70件委託をいたしまして、その普及を図ることとしております。
 また、免許更新制の趣旨等について徹底をし、理解啓発をするための説明会や資料の作成・配付を行うこととしております。
 なお、ここに記載しておりませんが、免許管理システムの開発と免許状の原簿情報のデータの入力にかかります経費につきましては、平成19年度、今年度の補正予算におきまして、21億円ほどの予算を計上することとなったところでございます。これらによりまして、21年度からの円滑な実施に準備を進めてまいりたいと考えております。
 その下の豊かな心の育成と自立し挑戦する若者の育成の関係でございますが、道徳教育の充実につきましては、本年度中に予定をしております学習指導要領の改訂を踏まえまして、「心のノート」の内容を一層充実いたしますとともに、道徳教育の指導方法や指導体制等に関する実践研究、全国的な実施状況調査などを総合的に推進することとしております。
 次のページをご覧いただきたいと思います。体験活動の推進でございますが、特に農山漁村におきます生活体験活動等様々な体験活動を推進するということで、新規の事業といたしまして、農林水産省と連携をしてモデル地域を指定した事業を行うこととしております。
 また、いじめ問題等への対応や問題を抱える子どもの自立支援の関係でございます。いじめ対策緊急支援総合事業といたしまして、下の枠の一番上のところでございますが、新規の事業でございますが、問題行動が生じた際に外部専門家等の協力を得た効果的な取り組みの在り方や、児童生徒の適切な人間関係づくり、あるいはいじめ防止のための児童生徒の主体的な取組に係る教育実践についての調査研究を行うこととしております。
 また、その次にございますスクールソーシャルワーカー活用事業、新規事業でございますが、これは社会福祉等の専門的な知識技術等を用いて、子どもや保護者等の相談に応じたり、また、関係機関とのネットワークを活用して援助を行う専門家としてのスクールソーシャルワーカーの活用方法等について、調査研究を行うことといたしました。
 また、スクールカウンセラーの活用事業につきましては、補助率を2分の1から3分の1としておりますが、一方で、小学校への配置を新たに行いますとともに、子どもと親の相談員等の配置も統合いたしまして、実施をすることとしているところでございます。
 次の7ページをお開き願いたいと思います。キャリア教育・職業教育の推進でございますけれども、中学校を中心とした5日間以上の職場体験「キャリア・スタート・ウィーク」を普及啓発・定着を行いますキャリア教育実践プロジェクトを引き続き実施いたしますとともに、高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査を行います。また、職業教育の関係につきましては、目指せスペシャリストにつきまして対象校を拡充いたしますとともに、地域産業の担い手育成プロジェクトということで、関係省庁と協同いたしまして、ものづくりや食・暮らしを支え、地域産業を担う専門的職業人の育成を図ってまいることとしております。
 次のページでございます。幼児教育の関係でございますが、保護者の負担を軽減していくということで、幼稚園の就園奨励費補助につきまして、補助単価の引き上げや第2子以降の優遇措置に係る適用条件の緩和ということで、拡充を図っているところでございます。
 また、調査研究事業のほか、施設の整備費補助におきまして、認定こども園の認定を受ける施設の施設整備のための拡充、あるいは耐震化対策への対応を行うこととしているところでございます。
 次に、9ページをお開き願いたいと思います。特別支援教育の推進でございます。各種事業、新規あるいは拡充で実施をすることとしておりますけれども、一人一人の教育ニーズに応じた支援を行いますために、幼稚園から高等学校における適切な支援のための外部の専門家の活用を含めた体制整備を推進するということで、発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業をはじめ、一番下のところにございます特別支援学校等の指導充実事業ということで、理学療法士等の活用についての実践研究をさらに拡充して実施することとしております。
 また、その下のICT教育の一層の充実ということで、情報化推進総合プランにおきまして、新たに専門家の派遣等による教員のサポート体制の構築、あるいは教員のICT指導力の向上のための取組を促進する内容を含めて実施することとしております。
 それから、10ページでございますが、外国人児童生徒教育の充実の関係でございますけれども、日本語指導や適応指導を推進するために、新たに就学前の児童を指導するための初期指導教室(プレクラス)の実施、それから外国語のわかる人材を配置するための経費をこの中に盛り込みまして、その充実を図ったところでございます。
 そして最後に、コミュニティ・スクールの関係につきまして、指定校の拡充やフォーラムの開催、事例集の作成など、様々な広報活動等を通じまして、各地域における取組を積極的に支援することとしているところでございます。
 全体、以上、初等中等教育関係の予算の関係でございますが、冒頭にお話がございましたように、特に定数の改善につきましては、夏の概算要求以来、教育関係者をはじめ多くの皆様のご支援をいただきながら、その予算の獲得に努めてきたところでございます。結果といたしまして、大変厳しい状況の中でございますが、行政改革との整合性も図りながらということで、行政改革推進法を改正しない範囲内での定数の改善ということでございますが、あわせて非常勤の講師の事業も措置をされ、学校支援地域本部も立ち上げを支援していくということになったわけでございますので、これらの予算を有効に活用していただきまして、各学校におきまして、子どもたちに対するきめ細かな指導が行われるようにと考えているところでございます。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。本当に厳しい中で、随分頑張っていただいたなという印象を持っております。こういうことで、財政的に支えをしていただきつつ、この学習指導要領を今度実施していくわけですが、皆さんにこれからのことについてご意見、ご感想を伺う前に、今日答申案を本部会で決めて、来年、初等中等教育分科会・総会、その後という流れにつきまして、合田室長のほうからご説明をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 本日、こういった形で、今後の取り進めについて部会長にご一任いただいたわけでございますけれども、先ほど部会長からもお話がございましたように、年明け、初等中等教育分科会、中央教育審議会の総会でご審議をいただき、中教審全体として、この答申について見定めていただくということになろうかと思っております。まだその審議が残っておりますけれども、私ども答申を中央教育審議会から賜りましたら、それに基づきまして、新しい学習指導要領の具体的な中身について、事務的に詰めさせていただきたいと思っております。兼ねてから申し上げておりますように、今年度内、来年の3月末までに改訂をさせていただきたいということで、事務的な手続を進めさせていただきたいと思っております。
 また、先ほど部会長あるいは木村副部会長からもお話がございましたように、これまでの改訂の流れを踏みますと、21年度からいわゆる移行措置ということで、現在の学習指導要領を前提にしながら次の改訂を見据えて、教育課程上の特例措置を行う期間に入っていくわけでございますけれども、その具体的な在り方というのも、まず新しい学習指導要領の内容事項を詰めた上で、先生方にもご指導いただきながら、その中で何を移行措置期間中に指導するのかについて事務的に整理をし、できるだけ早くお示しをするという形で作業を進めさせていただきたいと思っております。なお、これも中教審全体でご答申という形で見定めていただいた後でございますけれども、前回の改訂と同様、今後とも教育課程部会の先生方には、例えば学習評価の在り方をどうしていくのかといったことについて、今回の改訂の趣旨を踏まえた形で、さらにご審議を深めていただく必要があると考えております。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。という流れの中で、今後、小学校は23年、中学は24年、高校は25年という完全実施までに、移行措置ということで部分的前倒しをしていくということがございます。それから、今の予算のところでご説明いただきましたように、次の学習指導要領のために必要な例えば小学校英語のための資料であるとか、そのほか、いろいろと準備も進んでいくということになります。そういう流れでございます。それを踏まえまして、皆さんにご感想でも結構ですし、あるいはこれからのこういうことに留意していくべきであるというご意見も含めまして、ご発言をいただきたいと思います。どういう点からでも結構でございます。いかがでしょう。
 では、加藤先生、草野先生。

【加藤委員】
 ありがとうございます。
 ちょっと早く退席をさせていただきますので、最初に少し感想とお願いを申し上げたいと思うんですが、私も今回の議論に初めのところから参加をさせていただいて、梶田部会長が仰ったとおり、おそらく大きな流れを転換する第一歩になるのかなと感じているわけなんですが、そこで、いろいろなところでもこれまでも述べてきましたけれども、今回のこの答申について、片方で例えば教育再生会議というようなものがあって、非常にマスコミでも報道されていることもあって、本当に今、中教審が目指したものというのが、国民に方向性も含めて正しく理解をされていくのかということが非常に重要だと思います。この間もパブリックコメントの募集や、あるいは教員の皆さんへの理解浸透のためにパンフレット等もつくっていただいて、これまで以上にそういうことは配慮がされているなとは思っているんですが、まだまだそういう点でいいますと、国民の理解、特に今回は家庭・地域と学校の役割のところを非常に重視したと思いますので、そういう点で、そこの理解を深めるための努力、それからこれはペーパーだけではなくて、現実に地域や家庭と接する第一線は教員ですから、教員の皆さんの理解が非常に重要であると。これは幾ら汗をかいてもかき過ぎることがない部分だと思うんですね。
 現実に私も教員の皆さんの幾人かに話を聞いたり、あるいはやりとりもしているんですけれども、今回の授業数が増えることですとか、新しい項目が増えていくということについて、被害者意識をお持ちの教員は結構多いんですよね。これ以上忙しくして大丈夫だろうかと。そういう点では、皆さんがきちんと趣旨と中身を本当に自分のものにしていただくまで、学校単位できちんと読み込み、また議論もし、親たちと考え方を共有していくということが非常に重要だと思いますので、その辺をどのようにこれから図っていただくのか。PDCAの徹底というのがございますけれども、またいつかの時点でそういったことも聞かせていただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、草野先生、お願いします。

【草野委員】
 ありがとうございます。私は感想と今後のことについて、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 今回の答申について、極めて画期的な内容で、しかもすぐれた内容であると考えております。私自身がこの場にいられたということについて、梶田部会長、木村副部会長をはじめ、委員の皆様に感謝申し上げたいと思います。
 私どもの現場のほうから見ると、教育諸条件の整備について、あれほど全面に出していただいたことに本当に感謝申し上げたいと思います。それから、細かな点は幾つかありますけれども、とにかく学校現場にかなりご配慮いただいた内容であるということについては確かに言えるんじゃないかと思います。これについては、これを見ただけではもちろん理解できない校長もたくさんおりますから、私としましては、組織を挙げてこの答申の理解に努めたいと思っております。ありがとうございました。特に文部科学省の皆様については、非常に厳しい条件の中で予算を確保していただくことに、本当に感謝を申し上げたいと思います。これで私ども、希望が見えました。
 今後のことでございますけれども、私は3点、重要なことがあると思っています。
 1点目は、先ほどお話がございましたけれども、無理のない移行措置基準の設定でございます。これが1点目。2つ目、学習評価の改善。これは保護者とか子どもにもわかりやすい--今の段階では、残念ながら私どものせいもあるんですけれども、教員も最後までわかっていないのがおりますので、これももう少し改善したい。3点目が、これが一番大事だと思いますけれども、文部科学省、それから都道府県教委の皆さんの学校現場への適切な指導助言であります。これがないと、せっかくいいものをつくっても先に進みませんし、無駄になってしまいます。ですから、これについては極めて慎重にやっていただきたいし、特に都道府県教委がきちんと指導できるかどうかというところに勝負がかかっていると思います。ですから、これにつきましては、ぜひ文部科学省の先生方のご努力をお願いしたいと思っております。
 ありがとうございました。以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 ほかに。荒瀬先生、そして次、天笠先生。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。私も17年の春からこの会議に出させていただいて、今日が最後じゃないのでしょうけれども、最後なのかという思いが強くありまして、大変勉強させていただきましたし、こういうところにいさせていただいたというのも光栄に思っております。
 先ほどご説明いただきましたけれども、予算に関しましても、実は2カ月か3カ月ほど前に財務省の担当の主計官の方がうちに来られて、しばらく取組なんかもお話をして、こういうことをするにつけてもお金が要りますということを縷々申し上げたつもりではございましたけれども、お金がないというようなご指摘を厳しくなさっていたことからすれば、今回のことについては非常に大きなご努力の結果だろうと思っております。
 ただ、現場にそのお金が、例えば非常勤講師であるとか、人であるとかといった形で打たれた際に、どうも当然そういうことがあってしかるべきなんだという感じに受けとめられてしまうことが多いのではないかと思っています。私どもの学校でも、スーパーサイエンスハイスクールで最初2,500万円、毎年もらえるというのが、2,500万円もらえないじゃないかという、そっちばかりしか目がいかなくて、相当額をいただいているにもかかわらず、感謝の気持ちというのが失せていくというよろしくない傾向がございまして、どういうお金であるのか、どういうために使うものであるのかということがきちっと理解されない。これは先ほどからもお話が出ておりましたけれども、せっかくの予算が生きないということになっては元も子もありませんので、その点をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 予算のことも、今日答申案として確認をされたところの150ページにもわたるような文章につきましても、でき上がったというのはあくまでも担当した人間の思いでありまして、ここからは次にこれを具体化していく。先ほどのお金もそうですし、この学習指導要領の中身も具体化していくというのが非常に重要ではないかと思っています。
 大変口幅ったいことを申し上げますけれども、この中にある内容で、高等学校にかかわることにつきましても、小中学校にかかわることにつきましても、一定程度うちの学校では10年前から動きをしておりました。では、そうしたらどんな成果が上がるのかということですけれども、やっていけばやっていったで、問題とか課題とか、あるいは不十分なところにその都度その都度出くわすという、それは私たちの取組が稚拙な部分もあろうかと思うんですけれども、どんな立派な理念であっても、具体化していくといろいろな問題にぶち当たるのだと思います。
 その際に、私もこの内容は非常にすばらしいと思っておりますし、多分、梶田部会長が仰ったように歴史に残るようなものになるんじゃないかと思うんですけれども、でも、それが書けたからいいんじゃなくて、これが具体的に現場でごくごく当たり前のように、まさに鼓腹撃壌ではありませんけれども、本当に自然な状態で行われていって、かつ、その中であらわれてきた問題点などが、その現場現場において、これもまた具体的に解決・改善されていくという方向に動かなければ意味がない。できたということよりも、まだこの中には動かしていく中で足りないものがきっとあるでしょうし、それぞれの現場においてのみ足りないという部分もあるでしょうし、あるいはまた、何をはぐくむべきなのかというのを十分考えていかないといけないことも幾つも残っていると思っています。それらが動き出して解決されていって、あるいは改善の方向に向かっていって初めて、我々といいますか、この中教審として取組もまた、しっかりとした意味を持つと思います。
 教育の場面でよくありますけれども、先生は言ったと言い、生徒は聞いていないと言う。先生は確かに言ったんだし、生徒は聞いていないのも確かであると。要は、その間に連続性がなくなってしまっていて、言ったつもり、聞いていないつもりといいますか、お互いにお互いの立場といいますか、場所にしかいないと。そこに伝わるということが非常に重要であって、伝わって具体化するというためにどんなことをしていかなければいけないのかということを、ぜひ考えていかなければいけないなと思います。
 それともう一点、私が非常に心配しておりますのは、この会の議論でもよく出てまいりましたけれども、今までが「ゆとり教育」という言葉でくくられて、詰め込みではありませんけれども、しかし、これからはもっともっといろいろなことをやっていこうということで動いていく際に、学校が面倒見がいいかどうかということで評価されていくんじゃないかなと。面倒見がいいというのはいいように思うんですけれども、先ほど申しましたこの10年間、いわゆる総合的な学習の時間を軸にしたような教育活動を展開してきて、つくづく思いましたのは、与える教育というのは所詮限界がある。いいものを与えよう、与えようとしていくのには限界がある。まさに与えられるのを待つだけの子どもを育ててしまう。そうなると、本当に自ら考え、自ら課題を設定しというふうには全くつながらなくて、「生きる力」とは逆行の方向にしか動かなくなってしまうという経験といいますか、感想を持っています。
 ですから、これからの学校というのは、本当にそれぞれが学校がしっかりとして、マスコミですとか世間の評価ですとかにさらされるというのは当然なんですけれども、その際に与え続けるということが面倒見がいいんじゃないということをしっかりと考えていくことが必要だろうなと。そうなってくると、前回の会議でも出ましたが、ますますそういった学校を応援していく上でのカリキュラムセンターのしっかりとした位置付けですとか、取組ですとかが重要になってくるんだろうなということを思った次第です。
 長々と失礼しました。以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 天笠先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。3つ申し上げさせていただきます。
 まず1つ目は、先ほど部会長も仰られましたけれども、バランス感覚が大切だというのは、私も大変共感するところであります。この間、錯綜するいろいろな教育改革の路線があったりですとか、あるいはこういうものについては必ず教育観の様々なものがあるわけでありまして、それをこういう形で束ねていって、そして組み立てるということにおいては、私ども全体としてもバランス感覚が問われたのかなと私自身受けとめております。
 そういう点で、もう少し別の観点でバランス感覚という点も大切かと思うのは、とかくこの種の審議会、教育課程部会の場合というと、内容と方法のほうにどうしても重点を置かざるを得ない、これは当然であるわけですけれども、あわせて行政と経営という組み合わせのバランス感覚というのも大切なのかなと。過去に振り返りますと、当然ですけれども、どうしたって内容と方法のほうに重点を置いて、後の行政のほうは、ある意味でお任せするという形で来た部分があるのかなと思うんですけれども、今回はそういう点では条件整備ということで、そこのところに踏み込んだ議論・指摘があったのかなと思っております。
 ただ、私の立場からしますと、マネジメントの部分というのが、行政と内容と方法の間で、とかくまだ十分位置付けられないところがあるのかと。議論という意味じゃなくてです。これはこれからの課題ということになろうかと思うんですけれども、いかに各学校においてマネジメントを引き出していくのかということが課題としてあるのかなと思っております。要するに、当然、人とモノとカネをつけるというのが、これを実施するのに当然でありますけれども、それを動かしていくマネジメントの部分というのがあって、そういう意味で、内容と方法とマネジメントと行政、この全体としてのバランス感覚ということが、これから一層問われてくる部分があるんじゃないかと1つ目は思っております。
 それから、2つ目でありますけれども、これまでこういう学習指導要領の改訂の折には、それがどういう形で現場に受けとめられていくのかということを、折々に私なりにいろいろ取り組ませていただいた点があるんですけれども、その1つの傾向として、理念がいつの間にか置き去りにされていったり、あるいは理念が途中から雲散霧消という言い方はあれですけれども、そのかわりに何が出てくるかというと、教科のそれぞれの論理が大変強く現場に入っていくということで、理念と各教科のそれぞれの内容と方法の改善が、どううまくセットになり、組み立てて現場の中に受けとめられていくかということが、どういう時代であっても課題として現在に至っているのかなと。今回もそういう意味では、そこのところが今後問われようとしているのではないかと私は思っております。
 そういう点では、1つは先ほどのご説明もありましたけれども、これまでの理念ととかく教科が分解しがちなそれをどういうふうに束ねていくというんでしょうか、そして学校に受けとめていただくというところの説明会の運用の工夫が大変大きな意味を持ってくるんじゃないかと思っております。これまでのようなやり方でやっていると、申し上げたようなことがまた今後起こりかねないということでありまして、どんな動き方をしていくのかどうなのか、ぜひこの点についてはいろいろと工夫していただきたいということと同時に、もう一つは教科書の存在ということについて、あるいは副教材というんでしょうか、教材の作成とか教科書の編集ということが大きなかぎを握っているんじゃないかと思いますし、あわせて教科書とともに、教育課程の存在というのをしっかりと明確に位置付けていくということの必要性があるんじゃないかと思います。これが2つ目であります。
 もう一つ最後でありますけれども、3つ目として、今回の学習指導要領について、当然説明責任がそれぞれのレベルで生じているわけでありますけれども、私は前回申し上げたんですけれども、学校が保護者の方に説明するということの持つ意味は、大変大きな意味を持っているんじゃないかと思っております。そういう点で、学校の先生方のお立場に立ちますと、また仕事がという思いを抱かれる方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、学校と保護者の方をつなぐということの意味合いというのは、非常に大きな意味合いを持っているんじゃないかと思っております。ですから、そういう点で、今回の学習指導要領を間にしながら、学校と保護者の方がともに情報交換、コミュニケーションが図れる場を設けていく、そのために様々な支援を整えていく必要性があるんじゃないかと思います。
 以上です。どうも失礼いたしました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 渡久山先生、角田先生。

【渡久山委員】
 ありがとうございます。
 全体的に見たら、先ほど木村先生も言われたように、今まで現行学習指導要領の持っている確かな学力に裏付けされた「生きる力」という理念を、今度、「生きる力」をもう少し明確にしていった。それもPISA的学力といいましょうか、欧米、特にヨーロッパですけれども、リテラシーを含めた、そういうような学力ということについての内容がもっと明確になってきたという意味で、非常にいいだろうと思います。
 もう一つの特徴は、先ほど梶田先生も言われたんですが、教育条件の整備というものをきちっと入れているというようなことが、非常に大事なところだと思いますね。今もいろいろありましたように、最終的には結局、これが現場の中で子どもたちの中にどう生きていくか、あるいは到達度として定着していくかということが本当の最後の勝負ですから、そこをどうするかということが非常に大事なことだと思います。
 そういう意味では、先ほど関課長からも予算の説明があったんですが、前回の会議で梶田先生が80年代の教育の総括をされたんですけれども、イギリスも88年にサッチャーによって教育法を変えましたよね。アメリカの場合も、レーガンのときにネイション・アト・リスクというのをやった。それからまた日本は、中曽根さんのときに臨教審をつくってやった。そうすると、あのときの時代は、保守的な政権があえて新しい教育についての挑戦をしたんですが、ほかのところはその後、例えばイギリスは、メージャーのときはやらなかったんですが、ブレアになって教育予算をダーッとつけていったんですね。アメリカの場合もクリントン、または今のブッシュもずっと金をつけていっているんですね。しかし、日本は残念ながらついていないんですよね。
 それから言うと、今度の場合は、これだけの具体的な条件整備について非常に強調している、主張している、あるいはこれができなければできませんよと。特に武道なんかの必修化に伴っては、条件が整備しないと本当に実現できないというようなものもあるわけですけれども、ほかのところはもう少し努力すればできていく課題だと思うんですね。そういう観点から見れば、関課長を含めて、ここにいらっしゃる事務局の皆さんが非常に努力していただいて、財政難のところここまで来ただろうと思いますけれども、しかし、相変わらず日本の国のGDPに対する教育費は低いんですよね。そういう面では、日本という国が教育に対して財政措置をしていない、不十分だということは十分自覚していないといかんと思うんですね。
 例えば2005年のOECDがありますけれども、日本の場合は3.6ですけれども、例えばスウェーデンが7.6なんですよね。フランスも5.8、フィンランドも6.4、アメリカだって5.6なんですね。GDPですから、それに対する比率と見たらそうなんですね。だから、そういうことから言いますと、せっかくすばらしい教育課程、あるいは学習指導要領ができるんだろうけれども、それをどう実現していくかというときに、財政措置をきちっとしていかなければ、これは非常に厳しいだろうと思います。そういう意味では、国としてどうするんだということが今後は課題でありまして、そういう意味では、国民の教育に対する政策選択まで行かなければ、本当にGDPまで含めた改革はできないのかなというような気がいたしますものですから、そういう感想を述べたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 角田先生、お願いします。

【角田委員】
 ありがとうございます。
 夏のころだったと思いますけれども、鳥居前会長が中教審の役割ということで、オートノミーということを仰られて、本当にそうだなと思っています。今、この素案ができた段階で、本当に慎重に審議をし、いろいろなところからいろいろな意見があったけれども、しかし、中教審として自律的に審議をして、いい答申ができたなと思って、その会の一員としていられることを大変誇りに思っているところであります。
 私、今回一番大事だなと思うのは、「生きる力」という言葉、あるいは「生きる力」の理念というものをしっかりとまず教師が把握することなんだ、学校がそれをちゃんと把握し、そして、保護者に伝える、保護者も理解をする、マスコミの方々もそこに協力をしていただく、そういうことによって、日本の教育が私は変わってくるのではないか、あるいは地に足のついた教育が行われていくのではないかな。それこそがまさに鳥居先生が仰られたオートノミーということが実現をしていくもとになるのではないだろうかと思っているところです。
 と同時に、PDSあるいはPDCAのサイクルで言うと、いよいよこのプランが出されて、Doの段階で、学校現場に投げかけられる、あるいは地域の教育委員会に投げかけられてきたわけでございますけれども、先ほどの「生きる力」という理念の共有が第一でありながら、次には思考力・活用力というものをどうやって育てるのか。これはこの前もお話をしましたけれども、そんなに簡単にできることではない。しかし、これを今回はやっていかなければいけない。それが現場に課せられた大きな責任なんだと思っていますし、もう一つ心配なのは小学校の英語教育でございます。小学校の英語教育と中学校がどういうふうに接続をしていくのか、この辺のところで小学校は大きく話題になっているけれども、中学校や高等学校の体制がどういうふうに変わるのか、この辺についての議論は、この教育課程部会の中ではあまり議論がなかったわけでありまして、このところの小中高というつながりの中で、外国語教育、外国語活動というものをもう一回きちっとこの1年間、20年度をかけてやっていかなければいけないのではないかと思います。
 いずれにしても、大きな責任がこれで学校現場と地域の教育委員会に投げかけられたなと思って、今、非常に身の引き締まる思いでいるところでございます。本当に長い間ありがとうございました。ご苦労さまでした。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。梅田先生、市川先生、黒須先生。

【梅田委員】
 失礼します。
 今の渡久山先生のお話を聞いておりまして、学習指導要領をいかにして子どもたちに反映させるかが問題であるということなんですが、そこで私、ちょっと心配なことが1つ頭に浮かびました。といいますのは、この学習指導要領を現場の先生が知らない、見たこともないという話をよく聞くんですね。確かに採用試験のときはそれなりに勉強されたと思うんですが、それ以後は見たことないという話をよく聞きました。今でも聞いております。非常に残念なことであります。先程、天笠先生は保護者に説明すべきことの意味は大きいと仰いましたが、ぜひ実際に説明をしていただきたい。そのためにも学校の先生方にぜひきちっと読んでいただきたいということを切に思います。そうでなければ、先ほど荒瀬先生が仰いましたように、どんな良い理論を掲げても何もならないんだということにつながりますので、本当に失礼な言い方かもしれませんが、もし持っていらっしゃらない方、読んでいらっしゃらない方がいましたら、ぜひ早急に入手して読んでいただきたい。また、新しいものができたら、すぐに隅から隅までしっかり読んでいただきたい。ぜひこれはお願いしたいと思います。
 以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、市川先生、黒須先生、そして中村先生。

【市川委員】
 それでは、私も少し最初は感想のようなことなんですけれども、私自身は旧教育課程審議会に99年から入りましたので、そのときには98年の学習指導要領というのは既に出ていたところでした。その後1年間だけ評価のことをやって、それから教育課程審議会はなくなって、この中央教育審議会の教育課程部会となっていったわけです。それ以前、90年代ということになりますが、私はそのときまだ、あまり行政とか学校にもそんなに出入りしていなかったんですけれども、少し基礎的な研究をやっている中で当時の教育を見ていますと、一方では新学力観というのが随分言われた時代でした。私自身は新学力観という理念に非常に共鳴するところはあったんですが、実際には現場での雰囲気というのがやや行き過ぎのところがあって、どうも指導ということは非常に悪いイメージでとらえられる。知識が悪いこと、教えるということが悪いことのように受け取られてしまうような雰囲気が随分出てきたのは、私はかなり違和感がありました。新学力観でねらっているようなことというのは、しっかりした知識の基盤があってなされることだと思っていましたので、当時、知識の量は旧学力とかいって、どうもそれを軽視するような風潮も一方ではつい出てきてしまうというようなことは、何かまずいことになるのではないかという気を持っていました。
 その後、98年の学習指導要領もできて、直後に出てきたのが学力低下論でした。ただ、学力低下論が出てきた一方では、産業界のほうからも人間力というようなことも言われました。人間力というのもただ産業界で活躍する力だけではなくて、一般市民として生きていくという力、社会をつくる力をしっかり育てていくとか、大人になってからも文化的な活動に参加するような力というのをしっかり備えるという、かなり広い意味での人間力というのもありました。さらに、PISA調査というのが出てきたことも大きいと思います。私はPISAが入ってきたからという言い方はあまりしたくないんですけれども、確かに日本でも昔からそういう考え方はあったんですが、かなりはっきりとした課題を示して、こういう課題ができること、そしてそれを一応点数化して、国際ランキングというようなものまで出したものですから、衝撃はかなり大きかったんだろうと思います。
 そういうことを受けながら、今回の学習指導要領がいろいろなところに配慮したバランスのとれたものになったということは、私もかかわってきて、梶田先生が最初に仰ったように、エポックメーキングなことだったんだと思います。
 マスコミは、わりと転換とか、そういう言葉を使いたがるものですから、180度変わったかのような印象を持っている国民の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、むしろ新学力観的な理念、「生きる力」、確かな学力というようなこともちゃんと踏まえながら、基礎基本ももちろん大切であるということを当然のこととしてしっかり押さえただけのものなんだろうと思っています。しかし、教育界で両者をしっかりと押さえるということが、きっとエポックメーキングだったのかもしれません。
 そういう意味では、これがどんなふうに具現化されるのか。草野先生や荒瀬先生が現場の立場から仰ってくださったと思うんですが、せっかくこういう答申ができて、学習指導要領ができたとしても、これは青写真を描いただけです。それから、財政的な基盤ということも本当にご尽力いただいて、これだけしっかりした財政基盤ができたといっても、財政基盤はあくまでも必要条件なので、決して財政的基盤ができたから、急にすばらしい教育がなされるというわけではありません。その財政的基盤を無駄にしないように、どれだけ先生方がこれからすばらしい授業を展開されるか、すばらしい教育活動を展開されるか、最終的には子どもたちがどれだけすばらしい学習活動をするようになるかというところまでいかなければ意味がないです。そういう条件を整えてくださったことにも報いる意味で、私自身も教育心理を基盤とした教育実践研究という立場ですので、むしろそれをきちっと現場に浸透していくような、そこがこれからの大きな仕事なのかなと思っています。
 最後に、それに関連してですけれども、ぜひお願いしたいことです。1つは、学習指導要領の前書きなどに、教育のコンセプトといいますか、一種の教育憲章みたいなものだと思うんですが、これをしっかり書いていただけるとわかりやすいのではないかと思います。「生きる力」という基本的な理念がどういうものであるかということと、さらに、今回どういう点に配慮してつくったのかということですね。いろいろな意味でのバランス、基礎基本の習得ということと、さらに思考力・表現力・判断力などの育成に結びつくようなこと、こういう点に配慮してつくったんだということですね。活用ということもぜひというポイント。それから学校だけではなくて、学校教育と家庭や地域との連携というようなことにも配慮したのだということを、学習指導要領のできれば一番最初にコンセプトとして書き込んでいただけるといいかなと思いました。
 それともう一つは、具体的にどういう教育方法や教育実践があるのか。これは今後になりますけれども、学校の先生方にしても保護者にしても、具体例を見ないと、幾ら文章だけで書かれても、どういう教育なのかわからないということがあると思いますので、いろいろな実践例を紹介することによって、こういうことをぜひやっていきましょうというようなアピール。今回、文部科学省のほうでもパンフレットをつくったりなさって、私はあれは非常にわかりやすくていいと思っていますので、ぜひそういうパンフレットも含めて、理念と実践が紹介されて浸透していくようにしていただければと思いました。
 どうも失礼しました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 黒須先生、お願いします。

【黒須委員】
 どうもありがとうございます。
 私は一自治体の長として参加をさせていただいたわけでありまして、教育の専門家では全くないわけですけれども、教育、あるいはまた子育てという部門には、人一倍関心を持っているつもりで自分はおりましたので、こういう場に参加をさせていただいたというのは、自分自身、非常に意義を感じておりまして、感謝をしたいと思います。
 まず、ここで文科省の皆さんが頑張っていただいて、特に人員増、増員には大変努力をしていただいた。まだまだ不十分だとは思いますけれども、ある意味では政治的な決着なんじゃないかなと思いますけれども、風穴をあけていただいたということは、私は大変意義があることだと思っておりまして、ぜひこの姿勢を継続していただきたいと思います。
 それから、外部人材の活用ということで、7,000名確保できるということで、これは私、非常に意義があることだと思っておりまして、これの活用について、ぜひ具体的に示していただいて、こういうふうに使ったらいいんじゃないかということを現場に示していただくということも大事なことなんじゃないかと思います。
 それから、今までの審議の中で気になっていたことの1つに、教員が子どもと向き合う時間が3割とかという話がありましたね。あと7割はそのほかの雑事に追われてしまって、その雑事というのはいろいろあるでしょうけれども、そういう中で、何学級がいいのかわかりませんけれども、これは今後の問題ですけれども、例えば18学級ぐらい以上になったら副校長は2人にするとか、そういうことは考えられるんじゃないかと思うんですね。例えば自治体でも、一定規模になると、副市長を2人置いているんですよね。小さい市は1人で済ませられるわけですけれども、そういうことを考えると学校もいろいろ規模がありますから、一定規模以上の学校というのは1人は内部、1人は外部担当というような、そういうことを明確にしていくということも、今後の問題としては必要なんじゃないのかなという感じがするのが1つです。
 それから、免許の更新が随分話題になりましたけれども、これも梶田先生はこれはリニューアルだと仰いましたよね。私はもうちょっときついことを言っていたわけですけれども、これはリニューアルという表現でも現場の声としては適当なのかなと思いますけれども、現実に指導力不足とか、適性に欠く教員がいることも事実です。ですから、そういう点も現実は現実として受けとめて、しっかり10年の更新というものを実のあるものにしなければいけないんじゃないかと思いました。
 それからもう一つ、総合的な学習の時間についても削減をするということで、結局、総合的な学習の時間を有効に活用し得なかった。だから、「ゆとり教育」が「たるみ教育」になってしまったという批判があったわけですよね。でも、実際に総合的な学習の時間を活用している学校、あるいは教員もいるわけですよね。そういったものを文科省のほうでは言うならばチョイスをして、1つの指針というようなものを参考までに示すことが必要なんじゃないかと思うんですね。学校ごとに自主性を持って自由に活用しなさいといっても、活用し得ない学校が実はあるんですよ。私はどうも現場に対して批判的な部分もあるんですけれども、ですから、そういった手助けをする意味でも、いい取組をしているのもたくさんあるんですね。
 例えば我々がやっていることの1つに、これはいいことをやっているなと思っているんですけれども、租税教育に取り組んでいるんですね。租税教育を受けた生徒と受けない生徒ではまるで違うわけです。社会の成り立ちそのものを税を通して学ぶことができるわけですね。作文コンクールなんかをやっても、これはいい教育をやっているなという感じがしているわけですよ。ですから、学校の教科とは別なもので、使い方によってはすごく重要だと思うんですね。
 ですから、取り組んでいる学校がたくさんあるわけですから、そういったものを1つの指針として、かつては、これは学校の自主性を損ねるものだ、国がリードをするのはけしからんじゃないかという議論も一時あったと伺ったこともあるんですけれども、まだ十分に時間は残っているわけですから、これを十分に活用できるような指針というものを示していく必要もあるんじゃないかと思います。
 それからもう一つ、最後にですけれども、今、道徳教育について、再生会議ではいまだに教科とすべきだと言っているわけですけれども、確かに今の規範意識が低下をしているという世の中なんかを見ますと、そういうことを声高に言うということは受けるわけです。でも、現実の問題として、教科としては評価をしたりとか、なかなか難しい面があるわけですね。道徳教育の必要性というのは、私は絶対必要だと思うんです。ただ、それを教科化するということでは、私はうーんと思っちゃうんですよね。ですから、この辺のところは、中教審としての考え方というのをきちんと持っていくべきなんだろうなと思いました。
 まとまらない話で恐縮ですけれども、以上です。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 中村先生、お願いします。

【中村委員】
 先ほど市川先生からお話がありましたように、これをどうやって広報、PRしていくかというのは非常に難しいんですね。梅田委員からも、学校の教員が学習指導要領を読んだことも見たこともない、これは事実でございまして、見たことがないということはないんですけれども、眺めたことはあるけれども読んだことはないという教員が非常に多うございます。だから、これは我々教育委員会の仕事、責務として、教員にぜひこれを読ませなきゃいけないですし、ただ、それにしては、現在の文科省がつくられたものだと、箇条書きといいますか、何でこう変わったのかが書いていないものですから、読んでいてもおもしろくないんですよね。自分の教科しか見ない。
 そういう意味では、今日の答申案にあります改訂の基本的な考え方とか、あるいは教育の現状だとか、こういうものもぜひこの中に入れて、これだから基本的に考え方が変わって、自分が担当する教科がこうなったんだなというスタイルにしていただければ、我々も教員に学習指導要領が変わったよ、読みなさいよと言いやすいんですね。これが1点でございます。
 それから、これは非常に難しいんですけれども、今日プレスの方もお見えですけれども、国民の方にこれをどうやってPRしていくのか。多分ほとんどの保護者の方々は、今度は学校でここまでやってくれるんだという感じで受け取られると思うんですね。私はこの部会だと思うんですけれども、当初も言いましたように、学校ではこういうことはやりませんという宣言をしていただければ、学校現場、特に小学校はやりやすいと思うんですけれども、小学校の指導要領は変えるんだけれども、家庭・地域では何を期待するのか、これはぜひ発信すべき必要があるんじゃないのかと考えております。
 それから、今後の問題ですけれども、ここで改訂になって、22、23、24とかけて順次やっていくと。5年じゃ見直しは早いから、10年だと。この答申の中にも不断の見直しがという言葉が出ておりますけれども、これからの10年という長いスパンで見ますと、国際情勢も変わってきているでしょうし、外国人がどの程度日本に入ってくるのかもわかりません。産業構造は完全に変わっているんだろうと思います。そういうことを考えると、少なくともこの委員会は、途中でこういう課題があるという共通認識を持っておく必要があるのかなということで、課題抽出のための部会とか、何か今後やっていったほうがいいんじゃないのかなと。
 私が今思っていますのは、特別支援教育の対象児童が年々非常に増えている。一番我々が戸惑うのは、教育と福祉の切り分けといいますか、どういうふうに仕切っていくのかというのが、今後人数が増えれば増えるほど、教員の数の問題にも響いてきますし、課題になってくると思うんですね。こんな問題、それから外国人、フィリピン、インドネシアから介護士の方々がおいでになる。その方々が子どもを生んだ場合に--産まない場合もあるんでしょうけれども--どういうふうに教育していくのか、日本人として教育していくのか、あるいは違うのか、あるいは住所不定の外国人の子どもに義務教育をさせるのか、させないのか、教育課程部会以外の話にもなりますけれども、そういう話題を、ぜひ次の改訂以前でも、課題抽出のための部会、委員会を開いていったほうがいいんじゃないかと思います。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 宇佐美先生、次、石井先生。

【宇佐美委員】
 私は教育の全くの素人で、現場もよく知らないまま、審議の当初から参加をさせていただいて、いわば産業界と教育界といいますしょうか、いろいろな違いだとか、戸惑いながら参加をさせていただいておりました。この答申に関しましては、皆様方の仰るとおり、これを実際にやることによってまさしく大きな前進が図れるなという感じを非常に強く持っております。
 今、いろいろな趣旨の徹底だとかいう話がありますが、具体的に思いますと、学習指導要領なんかの体裁もよく考えたほうがいいかなと。私、会社の中で宣伝担当をしたことがあるんですが、見やすい、読みやすい、あるいは統一のとれたもの、これもまた予算との関係もあろうかと思いますけれども、そこへも一工夫が要るんじゃないかなと思います。
 それともう一つは、WEBの活用という部分で、今、予算でも学校のICT教育はまだまだ足りないんだということじゃないかと思うんですけれども、皆様方が仰った実践例というのがものすごく重要じゃないかなと思いますが、これがどの先生からも、場合によっては保護者からも見れるようなWEBだとか、あるいは学習指導要領は一方ではコンパクトにまとめている必要があろうかと思いますが、その背景になっているものの説明だとか、いろいろな詳細部分がWEBでわかる、あるいはお互いに意見交換できるというようなWEBが1つ要るんじゃないかなという感じがいたします。
 それと、産業界と教育界というのがあるのかないかあれなんですが、感じたことだけ二、三申し上げますと、1つは全体と個という関係が、教育のほうでは現場主義といいましょうか、非常に現場へ現場へというのが強過ぎるような気がいたします。中央は何をして、現場では何をする。そこに相互理解があるというのが非常に重要かなと思っておりまして、これは人的交流も含めて、例えば情報でも、重要なのはみんな中央に集まるということにしておきませんと、普及力もないわけでございまして、そういう意味では、全体と個の在り方というのもひとつお考えになったほうがいいかなと。
 と同時に、それにつながって、組織自体もどういう組織が一番効率的なのか、現場、教育委員会、あるいは文科省。教育委員会でも、県レベル、市レベル、いろいろあるわけでございますが、そういうこと。それからもう一つは、ラインとスタッフということを我々はよく言うんですが、相互協力の中で、いい教育ができるためのラインが何で、スタッフがどういう仕事をしていくのか、その中の効率がどうあるべきかということも、重要な1つの課題になりはせんかなと思います。
 それからもう一つは、マネジメントというのも、おそらく産業界のマネジメントと教育界のマネジメントというのが違うんじゃないかと思うんですけれども、どこがどう違って、どういうのが一番いいのかというのが、実はずっと出ていて自分なりに考えてみてもなかなかよくわかりません。ひとつマネジメントというときの教育におけるマネジメントとは何なのか、どういう権限を持って、どういうふうにやっていくのか、そこは今後この教育がうまく機能するための重要なポイントの1つじゃないかなという感じがいたしました。
 それと最後になりますが、先生と向かい合う時間の確保は本当に重要です。雑用が多いだとか何とか、それを効率化するためにどうしたらいいのか、教育委員会の役割とか、あるいは事務職員の役割だとか、あるいは地域社会の役割だとか、そういう意味で、そこについてももっともっと効率化という知恵が出せる余地がかなりあるんじゃないかという気がいたしました。
 感想だけで恐縮でございますが、以上でございます。

【梶田部会長】
 今、ちょっとお話に出ましたけれども、教育の世界のボキャブラリーに業界用語がかなりあるんですね。マネジメントだとか、経営だとか。これは私も若干企業の世界に首を突っ込んだことがありますが、全く違う感じで使っているところがありました。ほかにもいろいろとあります。これからPRしていただくときに、場合によっては言葉の使い方をそういう意味では気を付けて、つまり保護者とか地域の方にもわかっていただくということが今出ておりましたから、言葉の使い方に気を付けてもらうのと、教育界の用語を使っていいんですけれども、しかし、その場合に注釈をつけていただくなり何なり、これはこまめに考えておいていただくといいなと。私自身が昔、外から飛び込んで、かなりその違いを感じましたので、私からもお願いしておきます。
 石井先生、お願いいたします。

【石井委員】
 私は全く素人で、この会に加えていただいても、ほとんど何も貢献できなかったのですけれども、概算要求等で大変成果が上がったということ、それから、学習指導要領の改訂についても見事な仕事がなされたということを大変喜んでおりますし、また、ここに加えていただいたことを誇りに思っている次第でございます。
 ただ、実は前回、大変乱暴な表現を用いて申し上げましたことを、もう一度ここで残念ながら繰り返さざるを得ない。つまり、本当に日本は先進国なんだろうか。財務省のお役人のさじ加減1つ、天秤のかけ方次第で、初等中等教育の予算と高等教育の予算が大きく振れるということを危惧して、前回申し上げたのでございますが、全くそれが現実のものとなったということを申し上げたいわけでございます。
 国立大学法人は、遺憾ながらすでに毎年1パーセントずつ運営費交付金が減っていくことになっておりますが、これが今度の20年度に関しましては1.9パーセントでございます。一気に2倍近い減を課せられたという事実。これはほかの独立行政法人がマイナス1パーセントでずっと来ているというのに比べまして、明らかにこれは教育予算の中で初等中等教育に重みがついた分、高等教育が軽く扱われたということを申し上げざるを得ないだろうと思うわけでございます。
 無論、私よくわかりませんけれども、予算についてはいろいろなからくりがございまして、マイナス1.9でもそう心配することはないよと、多分そちらのほうから後からご説明があるのかもしれませんけれども、この1年で突然、1パーセントが1.9パーセントになった。この数字の実績というのはものすごく大きいことでございまして、埋蔵金がどうのこうのという話ではない深刻な問題でございます。
 なぜここで私がそういうことを申し上げるか、何もうらやましくて言っているんでないわけです。先生方が頑張ってつくられた学習指導要領で育った子どもたちが大学に来るころには、日本の大学はがたがたになっておりますよと申し上げざるを得ないわけでございます。そういたしますと、日本の子どもは、できのいい子、あるいは恵まれた家庭の子どもは外国の大学へ多分行く、ねらうことになるでしょうね。そのための学習指導要領の改訂をまた考えなきゃならない。もっと国際化した初等中等教育を考えないと、アメリカの大学にも入れない。中国にも入れない。韓国にも入れない。シンガポールにも入れないということに必然的になっていくんです。大学というのは国際競争ですから、そういう問題が実はこの背後に忍び寄っているというか、実際に現実化しているということを我々は気にとめておかなければならないんではないか。
 大変いいタイミングで文部科学次官がおいでになりました。ぜひこのことは教育全体の大きな問題として取り組んでいただかなきゃならないし、前回も申し上げたように、これは役人のさじ加減の問題ではなくて、国民的な議論として、教育予算を全体としてどう考えるのか、日本の教育のデザインをどうするのかということを国民的な問題として訴えていく、これも中教審の役目ではないかなと感じている次第でございます。
 教育課程部会の一委員として過ぎたことを申し上げましたけれども、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 大体今日、お話しいただきました。皆さん、あとお一人か二人。
 じゃ、甲田先生。

【甲田委員】
 今日のような日になかなか言いにくい意見があったので、ちょっと躊躇しておりましたけれども、高等学校ということで申し上げるわけでございますが、先日、教え子たちの同級会に出たときに、こういう話があったんですね。今年入ってきた新入社員に「こんなことも知らないの?ゆとり世代だからね」と言われたんですね。「うんうん、そうそう」って、その友達なんかも「こんなことも知らない、あんなことも知らない」、そういうような括り方を今しているのかなと思って、ぞっとしたわけですけれども、僕も当然それに対する反論をものすごくしたわけです。あなたにないものをみんな持っているかもしれないよということは言ってはありますが、非常に残酷な私たち国民だなということは、非常に感じたところであります。
 高等学校としては97パーセントの進学率でありますと、5,500~5,600、高等学校があるわけですけれども、教育困難校と俗に言われているところとか、あるいは不本意入学で中途退学とか、そういった言葉、あるいはそういった状況を抱える学校というのは当然必要なわけであります。また、高等学校全体でそれを背負っていかなければいけない。背負うというのは言葉は悪いですけれども、一緒に教育していかなければならないわけです。
 今回の改訂で一番強調されているところが、そういったところにも目が行って、いわゆる学習習慣の確立、それから学習意欲をかき立てていかないとだめなんだということが、強く筋が通っております。特に小学校、中学校、高校の系統性みたいなものが、各教科、非常にうまく調和されているなと思います。したがって、こういったことをきちんと現場の教師たち、あるいは今言ったような生徒を受け持つ学校にしても、どういう学習歴を持ってきちんとやってきているのか、それともどこが抜けているのかということをきちんと把握しながら、高等学校教育を柔軟な教育課程で意欲をかき立てながら、この答申の考え方をきちんと理解した上で進めていく必要があるなということをすごく感じたわけでございます。そういったことを、これからそういった学校等の話の中には当然含めていかなければいけないなと思っているところであります。
 ただ、高校教師はどうしても分捕り合戦をやりますので、土曜日の活用ということについて、相当膨らむのかなという気はいたします。高等学校の教師は、地理にしても家庭科にしても、時間が足りない、時間が足りないの合唱でございますから、これはこの10年、またずっと聞いて学校経営をやっていくのかなという気はいたしますけれども、ぜひともいい教育課程を組みたいなと思っているところであります。
 それから、ちょっと視点が違うんですけれども、今日の予算について1点だけ申し上げたいと思います。主幹教諭、指導教諭の配置ということでありますが、今、東京都もそうなんですけれども各地方、管理職のなり手がない、あるいは主幹のなり手がないということが非常に深刻な問題であります。いわゆる倍率が出ないとか、主幹なんかに満たないとか、申しわけない話なんですけれども、そういったようなことを聞きます。なぜそうなのか、なぜなりたがらないのかということですが、教育観の違いもあるでしょうけれども、やはり処遇の問題、あるいはやりがいの問題、それから労働時間が7~11といったような勤務の状況みたいなものがあろうかと思いますが、各都道府県にしても、幹部育成を本気でプログラムを組んでやっていないというか、薄いんですよね。少し仕事をさせて、一本釣りして、少し仕事のできる者を副校長にどうと。私も含めていわゆる教員の成れの果てみたいな感じで校長になってくるみたいな、そういうようなシステムがあると言わざるを得ないわけです。幹部育成プログラムを計画的に各都道府県、文科省も含めてやらなきゃいけないだろうなと。
 聞くところによりますと、筑波の幹部の研修がございますよね。あれの倍率もなかなか出ない。県で何で推薦してこないんだというようなことも聞きますので、その辺についてももっともっと真剣に考えていかないと、学校全体の運営がうまくいかないかなと。もちろんやりたくないという空気も問題であります。
 あまりそぐわない意見かもしれませんけれども、申し上げました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 どうしてもという方、おられますでしょうか。田村先生、一言。

【田村副部会長】
 どうもありがとうございます。
 最後になってしまったんですが、率直な私の意見を申し上げさせていただきますと、世の中がものすごく複雑になってきている。これは国際化という言い方がされていますから、簡単にはいい方法が見つかるとか、簡単にはこうなればこうなるという、こういうことには今はもうなっていないということを、まず我々としては確認する必要があるんだろうと思うんですね。率直な話、教育の現場の方が学習指導要領をご覧にならないという話が出ましたが、それは下手に見られるより見ないほうがいいと思いますね。なぜかといいますと、今回の学習指導要領の改訂でも、随分多くのマスコミの方とか現場のいろいろな方々の話を聞くんですが、非常に単純なんですね。いわゆる主要教科と言われる時間が増えて、その分、総合が減ったねという切り口で、一生懸命やってきた議論の中身を判断されるわけです。ということは、そういう先生にされると、前の時間に戻ったんだから、前の授業をすりゃいいやという非常に単純な話で現場が学習指導要領の改訂の受けとめ方をされてしまうと、何のためにこれを議論したかわからないという、非常に心配があります。
 ですから、例えば学力1つとっても、学力ということがものすごく複雑なんですね。複雑に考えなきゃいけない要素がいっぱいある。今回はその複雑にする要素の1つとして、あえて意欲というものを取り上げているわけですね。もしかすると、アプティテュードという学力のもとになる概念の主要構成要素というのは、実は意欲なんですね。学力というのはごく一部でしかないんです。人間の生き方としては、アプティテュード、つまり適応能力ですから、その部分を考えた場合には、学力という考え方で学習指導要領を考えられては実は困ると私などは思っているんですけれども、それはよく読めばちゃんとここに書いてあるんです。おそらくそれは、現場の先生方は全然お読みにならないでしょう。だから、その点は校長先生がやっていただくよりしようがないと思いますね。
 主幹とか校長とか、なり手がないというようなことがございました。そんな人になってもらう必要は全くないわけですよね。もともと子どもを育てるのが好きで、一緒の仕事をして教員になっている人なんですから、よく話をしてあげる必要があると思いますね。希望もしないのにする必要は全くないと思います。教育委員会の中村先生の顔を見て申しわけないんですけれども、教育委員会ががっちりと話をして、なりたくない人なんかにならせる必要は全然ないわけですから、それこそ大人が夢を持って、次の世代を考えて、教育の仕組みを組み立てていくということが何よりも大事だろうと思います。
 それから、高等教育は石井先生が非常に厳しいご意見を仰られたんですが、しかし、国際的な影響を一番最初に受けるのは高等教育であることは間違いないだろうと思います。そうすると、その国際競争にちゃんと立ち向かっているんだろうか、国立大学はどのぐらいの授業を英語でやっているんだろうかとか、どれぐらいの外国人を教員に入れているのか、あるいは学生に入れているんだろうか。その現状に対する反省はあっても、予算が少ないということはその後に来ることじゃないかという気がして、外部から見ているとそんな感じがするんです。石井先生は違った意味で仰ったんだと思いますけれども、そういう厳しい世の中になってきているんで、単純にはいかないんだから、1つずつ積み重ねていくよりしようがないかなと。
 1つずつ積み重ねていくということの1つの意思としては、今回の改訂、それから初等中等教育に予算をつけて、関係した役人の方が財務省に行くと、法律違反をするやつが来たと言われたという話を聞きまして、気の毒だなと思いました。それは法律がある以上、そう言われてもしようがないんだけれども、しかし、そういう言い方はないだろうと思いますよね。だって、教育のために予算の要求をしているわけですから、もうちょっと違った言い方をしてあげればいいのになと思いましたが、それを乗り越えて、今回こういうふうにやり遂げたわけですから、できるだけ現場にいる人間としては、現在の努力を応援してあげて、できれば高等教育にもたくさん予算をつけていただくように、今後頑張っていただいてと思って、応援を少しさせていただきました。応援するのはあまり好きじゃないんですけれども、現状ではそこから出発するよりしようがないだろうと思っていますので、感想を申し上げさせていただきました。ありがとうございました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 今日は無事に答申案がこの部会で了承され、そして今、いろいろと感想、あるいは将来に向かっての考え方を表明していただきました。
 本日は、国会等、非常にお忙しい中を銭谷次官がご出席してくださいました。最後に、銭谷次官のほうからご挨拶をお願いしたいと思います。

【銭谷事務次官】
 事務次官の銭谷でございます。
 今日は遅れて参りまして、大変失礼をいたしました。また、教育課程部会の先生方には、年末の大変お忙しい中、部会長、両副部会長をはじめ、ご参集を賜りましたこと、まずもって御礼を申し上げたいと存じます。
 今日、いろいろご議論があったと思いますけれども、思い出しますと、平成17年の4月に教育課程部会が学習指導要領の改訂についてご議論を開始していただきまして以来、2年9カ月になりますか。60回にわたりまして、大変濃密なご審議を重ねていただきましたことに対しまして、まずもって御礼を申し上げたいと存じます。
 この2年9カ月の間に、実は教育の世界、いろいろなことがございました。いわゆる三位一体の改革ということで、義務教育費をめぐります大きな議論もございまして、教職員給与費について、国庫負担は堅持はするけれども、国の負担率が3分の1になるというようなことがまずございました。その後、教育基本法の改正、あるいはこの部会でもいろいろご議論いただきました教育三法の改正など、大きな改革も進められたところでございます。
 さらに昨年は、高等学校における必履修科目の未履修の問題でございますとか、あるいは小・中・高等学校を通じましたいじめ自殺の問題が大いに社会的な関心を集め、この部会ではこういったことも踏まえたご検討をいただいたところでございます。この2年9カ月の間の先生方のご労苦に対しまして、重ねて御礼を申し上げたいと存じます。
 部会としては、昨年の2月に「審議経過報告」をお取りまとめいただきまして、今年の1月には第3期教育課程部会の審議の状況について取りまとめをいただき、さらに第4期の教育課程部会では、特に今年の夏以降、ほぼ週1回という集中的な詰めのご審議をいただいて、去る11月7日にこれまでの審議のまとめをお取りまとめいただいたところでございます。そして本日、この2年9カ月にわたる長いご審議を集約いただきまして、1つの区切りを迎えることができたわけでございます。本当に感謝申し上げたいと存じます。
 中央教育審議会としては、この後、初等中等教育分科会、総会と審議が続くわけでございますけれども、教育課程部会の先生方には、それぞれの分野でお忙しい中、長い間にわたりましてご審議をいただいたことに、改めて感謝を申し上げたいと存じます。
 ちょっと長くなって恐縮でございますが、私の個人的なことを申し上げますと、私は昭和52年の学習指導要領の改訂の直後から初等中等教育局で仕事をするようになりまして、当時係長でございましたけれども、52年のいわゆるゆとりある充実した学校教育を目指したこの改訂の各県への説明会等に出席したのを覚えております。そのときは、大変新しい教育課程を創造するということで、説明をする教科調査官の先生方、また、ご一緒にその会に参加した指導主事の先生方、各学校の先生方が非常に意欲に燃えていたというのを覚えております。
 それから、平成元年の学習指導要領の改訂の際は、高等学校課の課長補佐をしておりまして、当時、高等学校の世界史の必修、あるいは社会科を地歴科・公民科に分けるといったような問題にかかわらせていただきまして、当時は教育課程審議会でございましたが、このときも先生方といろいろなご議論をさせていただいたのを覚えております。
 平成10年の現行の学習指導要領の改訂の際は、初中局で審議官をいたしておりまして、答申を受けまして、学習指導要領の作成に当たったのを記憶いたしております。できるだけ審議会の答申の趣旨というのが学習指導要領に生きるように、視学官、教科調査官の先生方と文案についていろいろ議論したのを覚えております。
 それからもう10年近くたったわけでございますが、現行の学習指導要領につきましては、いろいろな見方がございまして、今回の教育課程部会の中でそこを整理していただいたと思っております。私は、現行の学習指導要領の「生きる力」を育てるという考え方は、ある意味では今後も変わることのない大切な教育の理念であると思っているところでございます。
 なお、先ほど財務課長等からもご説明があったかと思いますが、20年度の政府予算案について、初等中等教育につきましては、教職員定数をはじめとする教育条件の整備につきまして、現行法の枠の中ではございますけれども、精一杯の対応をし、成果が出たと思っております。もちろん私どもはもっとそれ以上のことを望んでいたわけでございますが、現実的にこういう結果になったということでございます。ここに至りますまでの間の教育課程部会の先生方のご支援に感謝を申し上げたいと存じます。
 この上は、充実した学校教育の実現のために、今回の20年度政府予算というものの成立を期し、それぞれの学校で十分に活用していただけるようなことを考えいかなければいけない。また、21年度以降の問題についても、引き続き課題が残っておりますので、検討を加えていかなきゃいけないと思っているところでございます。
 なお、石井先生から国立大学の予算についてのお話がございました。国立大学の運営費交付金についてはマイナス1パーセントという枠がはめられているわけでございますけれども、20年度予算につきましても、今年はまず運営費交付金についてはマイナス1パーセントということをした上で、言い訳がましい話に聞こえると恐縮でございますけれども、国立大学運営費交付金の中の退職手当の引当金というものが過重に見積もられて、実際、随分余っているということがございまして、それについて減額をしたということで、先ほど石井先生がお話のような額になっているわけでございますが、基本の運営費交付金については、マイナス1パーセントというラインは私ども堅持をしているところでございます。
 加えて、退職手当の引当金等が予算上、減額になっているわけでございますが、それ以外に医学部、あるいは病院の教育充実のための経費でございますとか、あるいは国交省を通じた競争的資金の確保ということが今回、図られておりますので、国立大学全体から見た場合には、私どもとしては可能な基盤的経費の確保ができていると思っているところでございます。
 なお、私立の大学、あるいは中学校、高等学校につきましても、骨太の方針2006でマイナス1パーセントという枠がはめられておりまして、昨年に引き続き、今年も私学助成もマイナス1パーセントという結果になったわけでございます。なお、この点についても、例えば科研費の若手研究者の研究費について、間接経費と私学分とを考えますと、実質的に私学に出すことができる経費については、必要な額は確保できていると思っているところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、マイナス1パーセントということがずっと続きますと、これは日本の国立大学、あるいは私立大学、あるいは私立の中学校、高等学校の教育について大きな影響がございますので、この点について今後どうするかというのは、引き続き私ども、大きな課題だと思っております。
 いずれにしても、今年は3年ぶりに義務教育につきましては定数増ができた。それから、平成13年以来7年ぶりと言っていいと思いますけれども、文教関係の予算が増額に転じた。これは幼稚園から高校、大学、生涯学習まで通じました文教予算でございますけれども、ずっと13年以降減額で来たものが、20年度、増額に転じたということで、私どもとしては引き続き、この教育予算の充実ということは大きな課題として取り組んでいきたいと思っているところでございます。
 いずれにしても、年の瀬、最後までお時間をいただきまして、大変恐縮でございました。今日1つの区切りを迎えることができたというのは、私自身にとりましても大変感慨深いものがございます。
 なお、余計な話ですけれども、文部科学省も来年の1月4日から新しい庁舎に入りまして、元のところへ戻るわけでございますけれども、私ども、新しい庁舎でまた教育課程部会のご審議をしっかり受けとめまして、学習指導要領の改訂その他、施策の実施に邁進してまいりたいと考えております。本当に2年9カ月にわたりましてありがとうございました。どうか先生方、よいお年をお迎えいただければと思う次第でございます。ありがとうございました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、時間が参りましたので、本日はこのあたりにしたいと思います。
 今後の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 本日は長い間にわたりご審議をいただき、ありがとうございました。また、この教育課程部会の事務局を務めさせていただきます教育課程課といたしましても、これまでの様々な不行き届きをお詫び申し上げますとともに、先生方のご尽力に厚くお礼を申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 なお、今後の日程につきましては、部会長とご相談の上、ご連絡申し上げたいと存じます。本日は本当にありがとうございました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。皆さん、よいお年をお迎えください。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --