資料6 「教育職員免許法施行規則」の改正及び教員免許更新制に係る関係告示の整備に関するパブリックコメント結果について

1.教育職員免許法施行規則の改正について

(1)教職実践演習の導入について

番号 主な意見の概要 文部科学省の考え方
1  「教職実践演習」が新設される趣旨は了解できますが、開設時期については、柔軟性のあるものにしていただきたいと思います。
 (理由)
 当該科目については、中教審中間報告において「最終年次の配当科目とする」ことなどが示されています。
 科目の趣旨から、そのような規定が設けられるのは当然のことと思われますが、例えば「最終年次の『後期』とする」などの限定は避けていただきたいと思います。
 大学によっては、協力校との日程調整の関係もあり、通年科目として開設することもありえ、後期(通常10月~)に限定してしまった場合、協力校の各行事や授業に参加しやすい9月に当該科目の授業を行うことができなくなってしまうわけです。
 カリキュラムを組むにあたって、各大学が主体性を以て運用できるようにご配慮願います。
 平成18年7月の中央教育審議会答申において「通常は4年次の後期」とされていることを踏まえ、原則として、他のすべての教職科目を修得した後の4年次後期に実施していただきたいと考えております。
2  教職実践演習の新設については、反対します。
 大学の教職課程の中心は、教科に関わる科目の充実であるべきです。とりわけ、いわゆる「ゆとり教育」のもとで教育を受け、「学力が低下した」といわれる人たちが大学に入学し教職課程を履修し教師になっていく、これからの時代にあっては、教師の教科にかかわる力の育成が教職課程の中心にならなければならないと考えます。教職実践演習がねらう事項については、初任者研修のさらなる充実で対処すべきです。
 しかしながら、教職実践演習の導入に変更がない以上、これをできる限り有益なものにするためにも、以下のことをぜひ検討してもらいたいと思います。
  1. 中教審答申は「特に教科に関する科目の担当教員の積極的な参画」を求めていますが、実際に授業担当を義務づけなければ、教職実践演習のねらいが達成できるようには思われません。彼らの授業担当を義務づけない場合、中教審答申が言うように、「特に教科に関する科目の担当教員の教員養成に対する意識が低い」大学が少なくない状況のもとでは、授業運営にあたって、せいぜい形式的に意見や協力を得るだけで、現実には教職に関する科目の担当者だけが運営にあたり、実際に授業をおこなうことになるでしょう。
  2. 養護教諭と栄養教諭以外の教諭について、教科にとらわれず授業開設ができるのではなく、授業の性格上、教科ごとに授業を開設すべきと考えます。
  3. 担当教員について、科目区分に関わらず教職に関する科目の担当資格があれば担当可能とするのではなく、きわめて実践的、かつ学校現場を意識して進めなければならない授業である以上、教職実践演習担当のための審査基準を設けなければならないと考えます。実際の授業では、複数の教員が分担しながらおこなうケースが多いと思われますが、この場合、授業の核となる教員の審査を厳格におこなうことが最低限必要です。
    教科に関する科目の担当教員の授業担当を義務づけず、教科ごとに開設せず、そして厳格な教員審査もおこなわれない場合は、教職実践演習は、そのねらいが達成されることは困難であると考えます。
 ご指摘の内容を参考としつつ、適切な課程認定に努めて参ります。
3  「担当は現場経験者とすること」、「演習なので1クラス30人以下とすること」などについては、大学にとってはかなりの負担増となることが予想され、地方の小規模大学の場合は運営が困難となります。再度、導入には慎重にご検討下さるようご要望申し上げます。  ご指摘の内容を参考としつつ、制度の運用を行って参ります。

(2)総合演習の廃止について

番号 主な意見の概要 文部科学省の考え方
1  「総合演習」を単純に廃止しないでほしいと思います。
 本学では、「総合演習」は2年次に充実した体制・内容で行われており、「総合的な学習の時間」の在り方を具体的に考えることを通して、教員を志望する学生にとって、初めて本格的に教職について実践的に学ぶ授業となっています。
 したがって、この科目が単純に廃止となったのでは、ここで育ててきたものをどう育成して、教職課程の最終段階の「教職実践演習」にどう結び付けるか、カリキュラム上の大きな工夫が必要になります。
 なお、大半の大学で、教養科目として定着しているとされていますが、その程度では、教職として必要な力量形成には至らないと考えます。
 「総合演習」については、「教職に関する科目」に準ずる科目として、「教科又は教職に関する科目」の中に位置づけた上で、引き続き開設することを可能としたいと考えております。
 なお、「総合演習」は、人間尊重・人権尊重の精神、地球環境、異文化理解など人類に共通するテーマや少子・高齢化と福祉、家庭の在り方など我が国の社会全体に関わるテーマについて、教員を志願する者の理解を深めその視野を広げるとともに、これら諸課題に係る内容に関し適切に指導することができるようにすることを目的としたものであり、総合的な学習の時間の在り方を考えるための科目として実施するものではありません。

(3)教職課程の是正勧告・認定取消しの制度化について

番号 主な意見の概要 文部科学省の考え方
1  文部科学大臣が大学の教職課程の是正勧告や認定取り消しを可能にすることは、学問の自由を侵害するものとなるのではないでしょうか。  本措置導入の趣旨は、平成18年7月答申において述べられているとおりであり、学問の自由を侵害するものではありません。

(4)小学校教育課程への外国語活動の追加に伴う制度の改正について

番号 主な意見の概要 文部科学省の考え方
1  中学校・高等学校の教諭が小学校の外国語活動を教えることができるようにすることは、中学校・高等学校の教員が、多忙で子どもと向き合う時間がない中、一層の負担増となると考えます。  本措置は、中学校及び高等学校の教員を中心として外国語活動を担当させようとする趣旨ではありません。
 本措置は、現在、中学校又は高等学校の免許状を有する者については、小学校で、それぞれその免許状に係る教科に相当する教科及び総合的な学習の時間の教授又は実習を担当する教諭等となることが既に可能となっており(教育職員免許法第16条の5第1項及び免許法施行規則第66条の3第1項)、今回の施行規則改正は、外国語活動の導入に伴い、当該特例を外国語活動にも広げようとするものに過ぎません。
2  中学校・高校の英語の教員が小学校の外国語活動を教えることができるとあるが、そもそも中学校.高校の英語の教員は教科としての英語を教えているのであるから、国際理解のための活動やコミュニケーションを図ろうとする態度の育成などの趣旨からはずれ、「英語教育」に特化されることが懸念されます。  小学校学習指導要領において、外国語活動の目標は、「外国語を通じて,言語や文化について体験的に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。」とされています。
 一方、中学校学習指導要領における外国語の教科の目標は、「外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う。」とされており、また、高等学校学習指導要領における外国語の教科の目標は、「外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う。」とされています。
 したがって、ご指摘の「国際理解のための活動やコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」という趣旨は、中学校及び高等学校の外国語の授業においても共通するものであると考えられます。
3  中学校・高校で普段行われている外国語の授業と小学校の「外国語活動」の内容について、中高の先生方に十分周知されているとは言いがたい中、来年4月から導入するには急すぎると考えられます。  今回の制度改正は、中学校又は高等学校の外国語の免許状を有する者が小学校において外国語活動の専科教員となることも可能とするものであり、実際に当該制度を活用するかどうかは、任命権者が、活用の必要性や実現可能性を踏まえて判断するものと考えられます。
 そのような条件が整っている場合には、平成21年4月の外国語活動の導入の先行実施のタイミングに合わせて活用することを可能とすることが適当であると考えます。
4  小学校での外国語活動を、非常勤講師が行えるようにするという点について、異議があります。
 非常勤講師ではひとりひとり子どもの実態に即した指導が困難であり、結果として、実技的な内容=単に「英語をしゃべる」ことに特化した指導になり、国際理解のための活動がおろそかになる可能性があるからです。
 今回の改正は、他の教科等と同様、外国語活動の一部を特別非常勤講師が担当できることとするものであり、その全体を担当できるものとするものではありません。

2.文部科学省告示について

免許状更新講習の免除対象者として文部科学大臣が定める者について

番号 主な意見の概要 文部科学省の考え方
1  免許状更新講習の免除対象者を文部科学大臣が定めることに関して、教員免許を個人の資格とするならば、本来免除対象者を定めるべきではないのではないでしょうか。
 また、文部科学大臣が講習の免除対象者を定めることは、恣意的な意図がはたらく危険性があると考えられます。
 免許状更新講習の免除対象者については、教育職員免許法第9条の2第3項において、「知識技能その他の事項を勘案して免許状更新講習を受ける必要がないものとして文部科学省令で定めるところにより免許管理者が認めた者」とされており、法律によって、具体的な対象者が文部科学省令に委ねられているところです。
 これは、教員としてその時々に必要な最新の知識技能を保持するという教員免許更新制の趣旨に鑑み、すでにそのような知識技能を備えている者については、免許状更新講習の受講を免除しようとする趣旨によります。
 平成20年3月31日に公布した「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(平成20年文部科学省令第9号)」において免許状更新講習の免除対象者が規定されたところですが、この度の文部科学省告示は、その中で、「文部科学大臣が定める者」とされたものを具体的に定めるものです。
 当該告示を定めるにあたっても、上記省令を整備した場合と同様に、1.教育に関しての必要な知識技能を有する者が任用されているとともに、2.日ごろから最新の知識技能を身に付けるよう研鑽を積むことが求められる者に該当するかどうかを慎重に検討し、定めようとしているところです。
2  免許状更新講習の免除対象者に文部科学省の調査官を加え、一部文部科学省関係者を保護するのは何故でしょうか。  国立教育政策研究所及び文部科学省に置かれる視学官及び調査官等で、教育に係る専門的、技術的な指導及び助言に当たることをその職務としている者については、その職務に照らして、教育に関しての必要な知識技能を有する者が任用されているとともに、日ごろから最新の知識技能を身に付けるよう研鑽を積むことが求められるため、免除対象者として認めようとするものです。
3  ある地位についているから更新しなくてよいというのは、例えていうなら「運転免許試験場の試験官は運転免許の更新をしなくてよい。」と言っているのと同じであり、適当ではないと考えられます。  教諭を指導する立場にある者であって、最新の知識技能を有していると認められる者については、免許状更新講習を受講しなくとも教員免許更新制の目的は達せられるため、免許状更新講習の受講を免除することとなっていますが、その場合でも、更新の手続き自体は必要となります。

 ※ 上記「主な意見の概要」には、今回パブリックコメントに付した内容に対する意見以外のもの(教員免許更新制の導入や外国語活動の導入そのものについての意見等)は含まれていない。

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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --