資料7 学校教育法等の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(抄)

平成十九年五月十七日
 衆議院教育再生に関する特別委員会

  • 七 教員免許更新制の円滑な実施に向け、教員及びその他の免許状保持者等に対して制度の十分な周知を図ること。
  • 八 免許状更新講習の受講負担を軽減するため、講習受講の費用負担も含めて国による支援策を検討するとともに、へき地等に勤務する教員のための講習受講の機会の確保に努めること。
  • 九 大学における教員養成課程の見直しなど、養成・採用・研修を通じた教員の質の向上に努めるとともに、現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修の在り方について検討すること。

平成十九年六月十九日
 参議院文教科学委員会

  • 十一、教員免許更新制の円滑な実施に向け、教員及びその他の免許状保持者等に対して制度の十分な周知を図ること。また、更新制の導入に伴う免許状授与原簿の管理システムの構築と運用に当たっては、遺漏なきよう万全を期すること。
  • 十二、国公私立のすべての教員の免許状更新講習の受講に伴う費用負担を軽減するため、受講者の講習受講の費用負担も含めて、国による支援策を検討すること。
  • 十三、教員の資質能力の向上という免許状更新制度の趣旨を踏まえ、任命権者は、学校現場の実態に即し、各教員の受講期間を的確に把握し、教員の安全と健康に配慮しながら受講機会の確保とともに受講時の服務の取扱いについても必要な配慮を行うこと。
  • 十四、免許状更新講習の内容については、受講者に対する事前アンケート調査の実施、講習修了後の受講者による事後評価及びこれらの公表を行うなど、受講者のニーズの反映に努めること。また、多様な講習内容、講習方法の中から受講者が選択できるような工夫を講ずること。
  • 十五、へき地等に勤務する教員や障がいを有する教員が、多様な免許状更新講習を受講できるよう努めること。
  • 十六、現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修の在り方について検討すること。
  • 十七、法施行後の実施状況を見極めた上で、現職教員以外の者であって教員免許状を授与されたことのある者の免許状更新講習の受講要件を拡大する方向で検討すること。
  • 十八、大学における教職課程の見直し、社会人の教員採用など、養成・採用・研修を通じた教員の質の向上に努めること。

参考:第166回通常国会議事録(抄)

修士課程

 教員についても原則として大学院修了後に採用すべきではないのか
 (平成19年5月7日 衆・教育再生に関する特別委員会 対 横山 北斗 議員(民主))

伊吹国務大臣

 法科大学院の話とは少し筋が違うと思いますね。司法試験の受験資格というのは、一般的な教養試験を通れば別に小学校卒業生だって受験資格はある、それを、二十二年から、原則として法科大学院卒業生に限定をしたということだと思いますから、少しこれとは性格が違うと思うんですが、先生がおっしゃったような立場から考える考え方と、私はむしろ、教員の資質向上という面から、修士を将来的には受験資格にするというのは一つの考え方だと思うんです。
 ただ、現実問題からいたしますと、六十歳定年を前提として人事管理が行われているわけですね。そうすると、六年と四年で二年のブランクができますね。六十歳でやめていったときに、大学院の修士課程を受験資格とした場合、二年間のギャップが生ずるわけですよ。その間の教員の人事の管理をどうするかという問題が一つ当然出てきますね
 それから、大学院修士課程まで行って、二年分余分に授業料を払って教師になるんだという方がどの程度なんだろう、これは現在の教職課程の大学院修士課程卒業者の採用割合から見るとかなり難しい問題が出てくるなという二つの観点があると思います。
 ですから、将来的に、修士課程を終えても教師になりたいという教師の処遇、それから社会的な評価の確立、こういうものと両々相まって、先生の御提言が現実のものとなってくるんだと思います。
 ですから、私は、理想論としては、教師の資格を考えるときに、修士を受験資格とするという参考人の方の御意見の陳述はある程度理解しますけれども、行政を預かっている立場からすると、理想と現実の調和を常に求めながら現実に対処していかねばなりませんので、やはり将来の検討課題として御提言を受けとめさせていただきたいと思っております。

(6年制)

 大学における教員養成課程を一律6年制に引き上げるべきではないか。
 (平成19年5月22日 文教科学委員会 対 鈴木 寛 議員(民緑))

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 民主党案にございます教員養成の一律六年制への移行でございますが、ただ実現のためには課題も多いと思うわけであります。具体的には、現行の教員養成は短大と学部、そして修士レベルでそれぞれ教員の養成が行われています。現行の修士課程における教員養成数と教員採用数との比較においてはまだこれは大分乖離があることでありまして、直ちに対応するというのは困難であると、こう思います。
 また、修士課程への移行のための財源確保や、大学の指導体制の構築が必要であります。そのための修士課程のこの受入れの学生の数を増やすためには、その予算も必要ですし、それを教える体制もつくっていかなければいけないという中において、慎重な検討が必要ではないか、こう思います。なお、大学における教員養成課程の改善を図っていくことはもちろん大切であると、こう認識をしております。
 政府としては、教員養成カリキュラムの改善、そして教職大学院制度の創設などを実施をして質の高い教員の確保に努めてまいりたいと、このように思っております。

鈴木寛君

 今ほとんどのこうした専門職ですね、プロフェッショナルが六年制になっていると。この実態を踏まえて私たちは真剣に予算のことも提案をさせていただいていますんですが、もう一度、積み上げの議論ではなく、正にリーダーシップをここで発揮していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 鈴木委員は常に建設的な御議論をされていると、敬服をする次第であります。
 この修士化の問題についても、大変今委員の御議論を拝聴させていただきまして、言わばどれぐらいの専門性を求めていくかということなんだろうと、このように思うわけでございます。
 修士化、まず、修士化そのものが本当にどれぐらい必要かどうかということも議論もしなければならないと、このように思うわけでございますが、いずれにせよ、レベルを上げていく、そしてその中で、やはりそのためにこの限られた財源の中でどう効果的に対応していくかという観点もあるわけでございまして、その中で我々、更にやはり検討をしていく必要があると、このように認識をしているところであります。また、フィンランドの例等も更に掘り下げておく、勉強していく必要もあると、こう認識をいたしております。

(教員養成・課程認定)

 大学における教員養成の充実と課程認定の在り方について
 (平成19年6月7日 文教科学委員会 対 岸 信夫 議員(自民))

政府参考人(銭谷眞美君)

 大学におきます教員養成につきましては、文部科学大臣が課程認定ということを行って、その課程認定を受けた大学が教職課程として学生の養成を行うということを行っているわけでございます。現在、この課程認定につきましては、中央教育審議会の教員養成部会におきまして審査をいたしまして、その結果に基づいて認定をしているということでございます
 ただ、ただいま先生からお話ございましたように、大変遺憾ではございますけれども、御指摘のような批判があるというのも事実でございますので、それを払拭するためにも、文部科学省として、この教員養成課程の充実ということは大切な課題だと考えております。具体的には、免許更新制の導入とともに、教員養成につきましても幾つかの改善を講ずるということといたしております。
 第一点は、先ほども申し上げましたけれども、大学等における教員養成課程の質の向上を図るために、教員養成を行う大学に対しまして是正の勧告とか認定の取消しを行えるような制度化を今検討して、省令改正でもってこれを実現しようと考えております
 また、教職課程そのものにつきまして、総仕上げの科目として教職実践演習という科目の必修化を検討いたしております。これは、教職の意義や生徒理解、教科指導力等の教員に必要とされる基礎的な資質能力について最終的に確認を行う科目として考えております。これも省令改正で実施をしたいというふうに思っております。なお、このほか、教育実習の改善充実ということにつきましても取り組んでまいりたいと思っております
 それから、これも先ほども申し上げて恐縮でございますが、いわゆる専門職大学院、これを制度化をいたしまして、二十年度から開設できるように今必要な措置を講じているところでございます
 なお、今回の免許更新制の導入におきましても、免許更新講習の質の確保を図るために、講習開設に当たっては文部科学大臣の認定を受けることや、受講者のニーズを反映した内容を確保できるような方策などについても検討していくことといたしております。

(教育実習)

 教育実習の在り方を見直すべきではないか。(例えば、大学における教育実習を6単位にし、3年と4年の2回に分けて実施するなど)
 (平成19年5月10日 衆・教育再生に関する特別委員会 対 井脇 ノブ子 議員(自民))

銭谷政府参考人

 教育実習でございますけれども、平成十年に免許法を改正いたしまして、事前事後の指導を含めまして、中学校についてそれまで二単位プラス一単位の三単位だったものを五単位に増加をして、小学校と中学校は五単位、高等学校は今三単位ということで教育実習を実施しているところでございます。
 また、今先生お話ございましたように、教育実習は四年生だけじゃなくて三年生からやるというのが国立の教員養成系の大学学部ではかなり一般的になりまして、一年生から少しずつ現場に行くという大学もふえつつございます教育実習につきましては、こういったことから、内容の改善充実ということを図っていく必要があろうかと思っております
 ただ、単位の増加ということにつきましては、受け入れ体制などの課題もございますので、これは今後の検討課題というふうに思っております
 なお、今回、法案ではございませんけれども、大学の教員養成につきましては、昨年の七月の中教審答申を踏まえまして、今後、省令で行うことになろうかと思いますけれども、教職実践演習という新しい科目をつくりまして、大学における教員養成教育の最後に課される科目として、教員として本当に必要な資質能力の全体を確認するといった内容の科目を設けることといたしているところでございます。
 また、教員養成を行う大学につきまして、きちんと教職課程の運営をしているのかどうか、このことについての是正勧告とか認定の取り消しの制度化といったことも考えて、しっかりとした教員養成が行われるように、省令以下でございますが、制度改正を今考えているところでございます。

(教員養成・初任者研修)

 教員養成及び初任者研修の見直しについて
 (平成19年6月5日 文教科学委員会 対 中島 啓雄 議員(自民))

政府参考人(銭谷眞美君)

 教員の養成制度、それから初任者研修にかかわってお尋ねがございました。
 今回、私ども、免許更新制の導入とともに、教員養成につきましても昨年七月の中教審の答申を踏まえましてその改善充実を図ることといたしております。
 ちょっと具体的に四点ほど申し上げさせていただきますと、第一点は、教職課程の総仕上げの科目として教職実践演習という科目を必修化をいたしまして、教職の意義や生徒理解、教科指導力等、教員に必要とされる基礎的な資質能力について最終的に養成課程で確認をしていただくということをやろうと思っております。それから第二点は、大学等における教員養成課程の質の向上を図るために、教員養成を行う大学に対する是正の勧告や認定の取消し等の制度化を行いまして、教員養成課程をしっかりと運営していただくということを考えております。これらは免許法の施行規則の改正というものを予定をいたしております。さらに、大学と学校、教育委員会が教育実習につきまして十分な機会の確保に努められるよう連絡協議会の設置等を促すということを考えております。最後に四点目でございますけれども、高度な専門性を備えた力量ある教員を養成するために、平成二十年度から教職大学院を開設すべく既に必要な所要の改正を実施をしているところでございます。こういったことを通じまして教員養成課程につきましても充実を図っていきたいと思っております。
 なお、初任者研修は平成元年度から実施をされているものでございまして、既に相当研修の積み重ねがあるわけでございますけれども、モデルカリキュラムを示したり詳細な研修の目標、内容例を示したりしながら、引き続きこの初任者研修の内容に関する充実に努めていきたいと思っております。

(教員採用)

 教員採用の改善について
 (平成19年6月5日 文教科学委員会 対 坂本 由紀子 議員(自民))

政府参考人(銭谷眞美君)

 教員採用におきまして、ただいま先生がお話しのような観点から各都道府県、指定都市の教育委員会においてやはり様々な工夫改善を行っているわけでございます。本当に教員としてふさわしい資質や使命感、意欲、適格性、実践的な指導力が評価をされて、本当にいい方に教員に来ていただけるように、実際の採用に当たります六十二の各都道府県、指定都市の教育委員会ではいろいろな工夫をしているというのが実態でございます。
 ちょっと一、二例を申し上げますと、採用試験、一次試験、二次試験とあるのが通例でございますけれども、一次、二次両方で面接試験を実施をするというところが四十四県市ということで大分増えてきております。それから、面接官に民間人を起用いたしまして採用に当たっていただくと、これが四十二県市でございます。それから、面接官に臨床心理士などの他分野の専門家の方を起用しているという県市も二十四県市ございます。それから、実際の模擬授業とか場面指導を実施をする教育委員会が増えてきておりまして、模擬授業は四十八県市で実施をいたしております。あるいは、場面指導は二十七県市で実施をしているという状況でございます。このほか、受験年齢制限の緩和、あるいは社会人経験者を対象とした特別選考などの工夫改善も見られることでございます。いい方に教職に就いていただきたいというのは採用側の願いでございます。
 文部科学省としても、こういった取組につきまして毎年取組事例を作成をし、各都道府県・指定都市教育委員会に配付をしているところでございますいいやり方は共有できるようにしようということでございます
 引き続き、教員採用選考の工夫改善を促してまいりたいと思っております。

(初任者研修)

 非常勤講師として一定年数以上の勤務経験を有する者は初任者研修を免除するなど、制度を見直すべきではないか。
 (平成19年3月27日 参・内閣委員会 対 木俣 佳丈 議員(民緑))

副大臣(池坊保子君)

 おっしゃる意味はよく分かりますし、柔軟性を持つことは大切であるというふうに思います。ただ、私も学校現場をよく見ておりますので、学校の先生は体験いたしておりませんけれども、実情は把握しているつもりでございます。確かに夏休みは忙しいから研修には充てることはできないよというお話ですが、研修が大切ならば、それは平日にやるよりははるかに夏休みなどにかける方がいいと私は思っております。
 それから、この先生は担任を持っていて優秀だから初任者研修は要らないよと、この人は初任者研修が必要だという線引きは、一体じゃだれがするのかというと、これは大変難しい問題になってくると思うんですね。校長だけのこれは権限でいいのかと。それらのことをもしもうちょっと整理をしてほしいということでございましたら、しっかりと検討はしたいと思います

(10年経験者研修)

 免許状更新講習と10年経験者研修との関係について
 (平成19年6月5日 文教科学委員会 対 那谷屋 正義 議員(民緑))

政府参考人(銭谷眞美君)

 十年経験者研修は、公立学校の教員につきまして、十年を経た方について各教員の得意分野づくり、専門性を高めるといった観点からの研修として運用されているところでございます。実施の主体は教育委員会でございまして、また校外研修の場所も主として教育センター、都道府県の教育委員会の教育センターなどが中心でございます。また、主な指導者としては指導主事の方などが中心でございまして、特に修了認定というのはないわけでございます。
 これに対しまして更新講習は、免許を取得して十年までの国公私立すべての教員に基礎的な資質能力を共通的に身に付けていただくと、そして、また自信を持って教職生活を送っていただくための制度でございまして、研修の時間は更新講習の方が十年経験者研修と比べて短いわけでございますが、国公私立すべての教員が対象になり、また研修を実施をするところも教員養成大学を中心とした大学が中心でございますし、また講習の修了認定もあるということで、それぞれ十年経験者研修と更新講習は目的を異にしているものでございます。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --