資料5 第49回教員養成部会後に寄せられた委員からの意見

委員名 意見 備考
北條委員 教員養成部会における従来の議論は、義務教育段階の公立学校の教員を念頭に置くものが大部分でした。私立学校には、建学の精神に基づく独自性があり、その点では公立の教員とは異なる資質が求められます。また学校種の違いにより求められる教員の資質は、当然異なっています。その中でも幼稚園と他学種との違いが、最も大きいと思われます。これらのことを意識した運用が行われる必要があります。  
30時間の講習内容については、答申で示された1.~4.の事項を含む5ないし6分野に分け、多様な開設者の参入を促進すべきです。「公立学校と私立学校それぞれの役割と独自性」について独立した分野とすることを是非ご検討ください。「最近の知見」についても、独立させるのが適当と考えます。 1.使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項、2.社会性や対人関係能力に関する事項、3.幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項、4.教科・保育内容等の指導力に関する事項
「私立学校(幼稚園を当然含む)の役割と独自性」の分野には、私学の研究団体等が開設主体として参加することが望ましいと思います。  
学校種の違いを踏まえる分野(答申の4.に含まれる)には、学校種別の公私研究団体等が開設主体として参加することが望ましいと考えます。 4.教科・保育内容等の指導力に関する事項
上記2点については、30時間全体としては、大学等との連携が図られることになります。  
横須賀委員 更新制実施の前提か「13受講し易い環境の整備」の項目かに、「更新制度を実施、円滑に進めるために既成の講習(義務化されているもの、準義務化されているもの)について再検討し、更新講習の円滑な実施に向けての環境を整備する」という趣旨を盛り込む。  
新任研修はその後の環境の変化、特に正式採用以前に相当数が講師等を経験していて、むしろ講師等の実質初任が放置されている。  
10年経験者研修、20年経験者研修の内容と予想される更新講習の内容は相当に重なることが予想される(現場の真面目で、更新制度を肯定している教師の間ではぜひ10年研、20年研との重複を避けてほしいと訴えられている)。  
八尾坂委員 養護教諭、栄養教諭、特別支援学校教諭等として勤務している場合、当該免許状に対応した免許更新講習(30時間以上のうち、「共通履修」を除いた場合)の受講・修了を課すことが妥当。  
管理職等、指導的立場の者は、免除が可能。(ただし、通常の教委・研修センターでの研修に「共通履修」的内容を考慮に入れる。)
他の者は、「免許管理者の判断」に一定の基準のもと委ねる。すぐれた教員評価結果を考慮。教職大学院等修了者も考慮。
 
35歳、45歳、55歳になる年度での割り振りは妥当(再雇用制で65歳程度まで勤務する教員も考慮に入れても妥当)。  
10年経験者研修等での「やむをえない事由」「延長すべき期間」を参照。分限休職の場合も可能ではないでしょうか。旧免許状の場合も同様。  
更新・延長に関する手続きは「免許状認定講習」などを参照できないでしょうか。  
講習開設者として、課程認定大学を中心に大学が開設するが、その際、大学との連携のもと、教育委員会や実績のある職能団体や財団法人等の開設も可能ではないでしょうか。認定大学の”地域に開かれた発想”もより必要。  
その時々で求められる教員として必要な資質能力を確実にリニューアルする内容を「共通履修」として入れてはどうでしょうか。(例えば、30時間以上のうち、4.5~6時間程度)  
開設認定要件は従来の認定講習要件等を参照。全国的に一定水準の確保、認定後の定期的チェック、開設者(代表)のマニフェストの必要。学校種、教科種に応じたバリエーションの科目のもと、ニーズや免許状に応じた選択を可能とする(例えば最低30時間講習のうち、24時間前後)。「更新制」と「上進制」の関連も検討が必要。  
教職志望者(非常勤を問わず)、免許状の保持を希望する者等も受講可能とすべき。  
講習の講師は、認定講習等を参照。ティーム・ティーチング方式で実践的指導者(指導主事、研修センター等の指導的立場にある者)も可能ではないでしょうか。  
一定の修了目標との関連で修了の可否の認定。認定講習例等を参照。筆記試験については、単に暗記ではない、paper and pencil テストであることが必要。実践的指導力(課題解決型の試験も一例)を問う試験。  
国立大学法人の公開講座の例(受講料は認定に基づく実質30時間程度で1万円ほど自己負担)。
更新講習の場合は本人の負担は3割前後でしょうか。(国、自治体の支援のもと)
 
日本の場合30時間の配慮であることから(アメリカの場合、120時間~150時間程度、代替履修措置も可)、これまでの他の機関等での経験は代替する必要がないと考えます。  
渡久山委員 複数免許状保有者については、教員への負担を考慮し、中教審答申にある「一の免許状について更新要件を満たせば、他の免許状の更新も可能とする」を基本にすべきである。種類の異なる免許状を有しているさまざまなケースがあると思うが、現在の勤務状況及び今後10年間を見据え、その主となる免許を更新することで対応する。特別支援免許状に関しては、別扱いとする旨の説明がなされたが、本年度から特別支援教育が開始されたことをふまえ、時代に応じた新たな課題として、受講者全員を対象とする共通課題として設定してはどうか。  
現職教員の持つ旧免許状については、「生年月日等に応じて文部科学省令で定める」となっており、35歳・45歳・55歳更新の例があげられている。学校現場の混乱を避け、大学の受け皿の問題からも、講習対象を毎年10万人に絞らざるをえないことは理解できるが、この年齢による線引きの根拠が明確ではなく、便宜的であり検討を要する。また、60歳に近い者の更新については、必要性があるのか疑問である。さらに、採用時期に応じて、10年研・初任研と重なることが予想され、その際の対応が問題となる。更新講習の延期や免除措置など弾力的な運用が必要である。  
教員が前向きに捉えられる制度となるかという点で、講習内容は大変重要である。現在、中教審で「使命感や責任感、教育的愛情」「社会性や対人関係能力」「幼児児童生徒理解・学級経営」「教科・保育内容等」などが示されているが、漠然としたものである。今、学校現場の教員は何を求めているのか、調査するのも1つの方法である。それにより、教員のニーズを把握するとともに、学校種・教科種等に応じた多様な内容の講習の開設につなげるようにすべきである。
また、講習の質の確保の点からも、受講者に対する事前調査・事後調査などをふまえ、講習内容への反映を行っていくべきである。
 
現職教員の勤務実態を考慮した多様な受講形態を確保することは、必要なことである。へき地等に勤務する教員、障害を有する教員への環境整備をふくめ、その具体として、長期休業中や夜間・週末の受講、サテライト教室、通信教育や放送大学の活用などがあげられているが、どれだけ実施が可能なのか疑問である。講習を開設する大学側とのつめの協議が必要である。また、現職教員は、土・日も持ち帰り業務や教材研究、部活動指導などで、子どもに関わる業務に携わっていることが少なくない。「教員の多忙化を解消し、子どもと向き合う時間を増やす」という点から、夜間・週末の受講は好ましくない。長期休業中においても、勤務時間中に安心して講習に行けるよう、服務の取扱いについて必要な配慮をすべきである。  
長期休業中、とりわけ夏季休業中は、初任研・10年研の法定研修に加え、都道府県・市区町村による現職研修などが集中する。さらに、更新講習が付加されるとすれば、自己研鑚であるはずの期間が、画一的な研修づけの期間となるのではないか懸念される。施行までの2年間で、研修の整理統合が不可欠である。とりわけ、10年研については、導入した経緯をふまえ、廃止を含めた見直しを検討すべきである。  
現職教員に対し、講習の受講を義務化したことから、3万円とも言われる受講費用については、全額国庫負担すべきである。受講者10万人として30億円の予算化で可能である。また更新講習は、個人の資格とは言え、現職教員にとっては、著しい既得権の制限や変更にあたり、研修同様の扱いとすべきである。交通費・宿泊費等の経費については、都道府県において費用負担を軽減するための手立てを講ずる必要がある。  
今、学校現場に求められていることは、「子どもと向き合う時間」の確保である。多くの中教審委員からも指摘されているように、教職員の定数改善や教育予算の充実を何よりも優先すべきである。また、「自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ていく制度」として、教員免許更新制を導入する際には、あわせて「専門職」に見合う待遇改善が必要である。
人材確保法の廃止を含めた教職員給与削減や自然減を上回る教職員の削減の動きに対し、財源の確保をふくめ改善策を前向きに検討すべきである。
 
平出委員 養護教諭が保健の教諭の免許状を有する場合、30時間の講習で両者の免許状の更新を認めることとする。
また、例えば3領域を担当しうる特別支援学校免許状を有する場合は、受講時点で担当する領域の30時間の受講で他の2つの領域の免許状の更新も認めることとする。
 
文科省として免除基準を定める必要がある。基本的には予定として挙げている1.、2.、3.となろうが、私立学校の教員の場合をどう考えるかの問題が残る。例えば現職教員多数が参加する全国規模の教科教育等研究会や国公私立学校等の実績ある、あるいは評価の高い教育研究諸組織が実施する個人表彰も1.に準ずるものとして扱うこととするかどうかである。また、3.の場合は免許状の有効期間満了直前の1年間の教員評価に基づくのか、2年間とするかなど議論する必要がある。 1.国又は都道府県・指定都市のレベルで優秀教員として表彰された者、2.校長、教頭、教育長等教員を指導する立場にある者。3.知識技能及び勤務実績が特に良好な者として、免許管理者が受講する必要がないと認める者。
講習の内容がどのようになるか不透明であるが、例えば少なくとも共通、教職、教科専門というような3領域に区分できるものであるなら、いずれか一部を免除するということがあっていい。  
免許状授与9年後に教員採用となった者は、1年間の初任者研修期間を過ぎると免許状の有効期間切れとなるため、その後2年間有効期間を延期し、更新講習を受講できるようにする。  
講習の一部の開設認定についてであるが、1時間単位の認定は認めない。全部開設か、上記例のような全体が3領域から構成されているなら、その1領域の開設なら可とするぐらいの大きな括りで取り扱うべきである。  
教育課程は上記の3領域か5領域(1.教職論・法規・今日の教育課題等、2.対人関係・学家地連携・学校運営協議会等、3.児童生徒の成長発達・道徳・特活・教育相談等、4.教科教育法・教材開発・指導法等、5.教科専門の知識技能等。前者の3つが共通領域、後者の2つが専門領域)にする。  
放送大学や通信制の開設も積極的に検討する必要があるが、座学で終始しない工夫が不可欠である。  
更新講習の担当を希望する大学等がある程度組織化される必要がある。それぞれの大学等が個々ばらばらに申請し認定されるような事態は避けるべきかと思う。都道府県や政令指定都市の教委と国立法人の教員養成大学・学部とが中核となって周辺の複数大学や独立行政法人、公益法人等希望する機関とコンソーシアム体制を構築することが望まれる。
文科省自身の講習開設は慎重に検討する必要がある。
 
一定程度の選択履修を許容する教育課程にする。  
講習担当の講師は、講習開設大学等の機関で集める。  
基本的には、出席状況と試験の結果によって修了認定をする。
試験の評価は講義等を直接担当した講師以外の複数者が行う。評価はA、B、Cの3段階で、Cの受講者を再履修者とする。
 
各講義には教育目標と到達目標を明記したシラバスを作成する。試験の政策評価は達成度項目をチェックすることで行う。成績は5年間保存とすることなど検討すべきことが多い。  
上記と関係あるが、受講者による選択履修の折に、開設者が主としてどのような教員を対象としてどのような内容の講習をするかを明示する(シラバスの作成が不可欠)。  
受講者に対する事前・事後のアンケート調査は実施することとするが、実施に伴う課題は多い。  
上記の事後アンケート調査も該当すると思われるが、受講者による授業評価は不可欠である。  
職務専念義務を免除する措置は必要である。  
ペーパーティーチャーは、当分の間は、受講対象者としない。  
有効期間が過ぎて失効中に教員に採用される場合、初年度は免許管理者が特別免許状を付与し次年度以降に更新講習を受講させることとする。  
この場合、初任者研修と更新講習とのだぶりの問題を解決しなくてはならない。  
講習の内容は、最新の知識技能を修得させるための課程でもあることから、教科専門の知識技能を扱う領域では、例えば中学校や高等学校の免許状種別に対応した講習を開設しなくてはならないことになる。ちなみに免許状種別の数は、中学校では職業実習の免許状を含むと15種類、高校では看護実習、家庭実習、情報実習、水産実習、福祉実習、商船実習の免許状を含めると実に26種類がある。これら全てに対応しうる講習の開講は不可能に近い。  
野村委員 7月13日の教員養成部会で、課程認定大学が、更新講習申請に消極的な大学が多く見られるというような意見があった。
今回の答申による教員免許制度改革によって、教職指導体制の確立や教育実習、教職実践演習(仮称)の必修化など、課程認定の条件が厳しくなり、再課程認定において、これまでと同じ程度の数の課程認定大学の確保が困難であることが予想される。それに加えて更新講習を申請する大学が限定されるとなると、更新制の実施が危ぶまれる。
そこで一つの提案であるが、再課程認定の際に、更新講習の可能性を視野に入れた審査をして、更新講習について改めて審査されるにしても、再課程認定された大学は、更新講習についても認定の可能性も高いものとする仕組みを検討することにしてどうであろうか。
 
「2.校長、教頭、教育長等教員を指導する立場にある者」の理由付けとして、「指導する立場」に加えて、さらに説得力のある理由付けがなされなくてはならないと思う。例えば、理由の一つとして、校長も教頭も、学校教員である以上、教員免許状を持っていることは、必須のことであるが、校長は教頭試験、校長試験を受験する際に、教員として必要な資質能力を有していることを判定した上で、管理者としての資質能力を判断・認定されて教頭試験、校長試験に合格して管理職となっている。教頭試験で審査され、校長試験で審査されておることからすれば、およそ10年ごとになる。
同様に、教頭も教頭試験で教員としての資質を審査された上で教頭としての管理能力を審査されており、校長試験を受験する時、教員としての資質能力の判定に上で、校長としての資格を認定される。およそ10年毎の昇格試験である。
民間人校長の場合は、教員免許状は有していないが、同様に教員としての資質能力を持った者として審査され、認定された上で、校長としての資質ありと判定されて任命されているのが現状である。
教員免許状を持っていない教育長の場合もこの論理で説明できる。
 
「35歳、45歳、55歳になる年度及びその前年度の2年間の受講」の実施によって、10年毎の全教員が講習を受ける状況は分かるが、36歳、37歳…、や46歳、47歳…、56歳、57歳…の者は、どの時点で受講するのか、分かりづらい。35歳以上の教員の10年ごとの受講がイメージできるような記述の仕方が欲しい。  
総理の「…教員免許が個人の資格であること、他方、更新制度が国が新たに教員に課すものである。‥」、銭谷政府参考人の「国、あるいは教育上の要請から導入されるもの」であることから費用についても検討することを明確にして国民の理解を得る。
教員免許状は個人の資格であり、本来的に言えば、教員免許状を取得することは権利である。更新講習を受けて教員免許を更新するのも権利である。また、更新講習を受けずに失効するのも権利である。権利の行使に国費を使うことに国民の理解を得られるために、総理の「更新制度が国が新たに教員に義務を課すものであること」や銭谷政府参考人の「国、あるいは教育上の要請から導入される」制度であるから、今後、費用などについては検討する点を強調するなど、国民を納得させる説明の仕方を詳細に記述する必要がある。
それと関わって、「山間、離島等に在住する教員への受講への配慮」とも関係するが、受講生が更新講習が受講しやすいように更新講習の実施機関の大学が、大学から遠距離にある場所での「出前更新講習」の開催を支援して、その場合には、会議費や講師の旅費など国の補助を出すなどの配慮を説明文に加筆してはどうであろうか。
 
更新講習を複数の大学で受講する場合には、受講した領域ごとに講習した大学が認定を行うことが、7月13日の教員養成部会で説明されたが、「修了認定基準」では、「‥更新講習を開設した教職課程を有する大学等で修了の時点で、筆記試験あるいは実技試験等の認定のための試験を行って、そして修了を認定するという制度を考えております」となっている。
これについて、受講した領域については領域ごとに認定を行った上で、いずれかの大学において、全体構造などについて、「筆記試験や技術試験等を実施するかどうかも含めて」、最終的に認定を責任を持って行う方式について説明することが必要ではあるまいか。
 

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-- 登録:平成21年以前 --