本ペーパーは、第1回検討会議において討議資料作成のため主査から指定された委員各位の打合せ会における意見を中心に、検討会議での各委員の意見、新聞報道、都道府県教育委員会の意見等を主な論点ごとに便宜整理したものである。
更新制の対象を現職教員(常勤・非常勤を問わず教員として任用されている普通免許状保有者)に重点化すべきとの意見が多い。
ペーパーティーチャー(教員免許状を保有するものの、教職には就いていない者)の免許状を全て更新することとした場合、コストは膨大なものとなるため、彼らを更新制の対象とするならば、採用内定者など実際に教職に参入する見込みのある者に限定すべきとの意見が多い。
また、複数免許状保有者や上進等による免許状取得者の負担軽減について、配慮を求める意見がある。
講習の開設者については、原則は課程認定大学を含め広く大学一般とする。他方、受講機会を広く確保する観点から、文部科学省の個別審査を経るのであれば、大学からの委託や連携協力のもと、教育センターなどその他の機関も広く講習の一部開設を例外的に認めてよいとの意見があるほか、広く認めるとしてもせめて校長会はじめその他相当の研修実施実績のある全国的な職能団体までとすべきとの意見、職能団体を認めることすら慎重な意見などがある。
また、開設者の認定に当たっては、講習の目的、内容、留意点等について国が定めた基準による認定を行い、全国的な水準を確保することが必要との意見が多い。
今後の10年の資質能力を保証するとともに、自己にとって何が課題であるかを自覚させ、受講した者が教員としてのモチベーションを高めるようなものとすべき意見が多数だが、結果として潜在的な不適格教員が浮かび上がってくるような効果を求める意見もある。
また、更新講習の実施に伴い、10年経験者研修については、現職教員の負担軽減の観点から廃止・見直しを行うべきとの意見や、更新講習の一部として代替してはどうかという意見もある。
課すべき具体的な内容についてはまだ十分な意見の一致を見ていないが、答申で示された以下の4事項を基本とすべきとの意見が大勢である。(3名の委員が作成したモデルカリキュラム例は別添)
最新の知見について、1~4の中に含めるか、5として独立させるかなど、検討の余地あり。
全免許種に共通する内容のほか、免許種により講習内容に差異を設けることについては、ほぼ異論がないが、最小限の差異を設けることは前提としつつも、評価・判定を伴うことを考慮すれば可能な限り簡素な体系とすべきとの意見がある。経験年数や職種に応じた差異を求める意見もある。
示された30時間の講習時間は、テーマごとにいくつかの領域に分けて編成(1日6時間で5テーマなど)すべきとの意見が多い。この場合、講習の開設主体からすれば、30時間分全てを開設しなくても、領域ごとの開設が可能となり、多様な開設者の参入を促進する効果が期待できる。
演習、実習、研究授業等実践的な方法を積極的に採用し現場での力量を確認できるものとすべきとの意見がある一方、限られた時間、教授すべき内容、一度に実施できる規模、手間等を総合的に勘案して、現実的にどのような方法を採ることが可能なのか明らかにすべきとの意見もある。
訴訟等に十分耐えうるものであるなど客観的かつ公平な評定基準が必要という点で意見が一致しているが、その具体的な方法についてはまだ十分な意見の一致を見ていない。
少なくとも領域ごとの評定方法は相対評価より絶対評価が好ましいとする意見が多数だが、その場合も、到達目標や確認指標を明確に規定したうえで、到達段階別の評定も可能とすることが必要との意見もある。不合格となった領域については、異なる開設主体による講習なら再受講を認めるべきとの意見がある。
領域ごとの評定をペーパーテストによるものとするか、出席、レポート等で総合判断にするかなどについては、意見が分かれている。
領域ごとの評定を総合した最終的な合否判定については、各領域をすべて合格しないと更新できないとするのか、総合点で判定するのかなどの意見がある。また、校長、児童生徒、保護者等による評価を加味したものとすべきなどの意見があるが、他方で判定の際の客観性に欠けるとする意見もあり、判定の在り方については、今後更に議論が必要である。
受講の便宜のため、長期休業中の集中実施、現場を離れる影響が分散される通年実施、夜間・週末、双方向的なインターネット活用など、現職教員の勤務実態、休職等の特別な事情等を考慮した多様な形態を求める意見が多い。
免許状は個人の資格であることから、研修命令には馴染まず、そうかといって職務と無関係でもなく、それらを総合的に考えれば職務専念義務免除というところか、といったことが話題に上った。
原則として免除は想定すべきではなく、安易な免除で必須の内容まで疎かになるおそれがあるため、慎重に考えるべきとの意見がやや多い。特に勤務実績を評価しての受講免除については、現実問題として実施が困難との意見が多い。その一方、研究指定校での勤務実績、研修講師の経験等を評価してもよいとの意見もある。
過去の研修歴による講習の一部免除についても、研修の内容、評定方法、教職歴、受講時期等が個々の事案により様々であることから、これもまた現実的でないとの意見が多い。その一方で、大学院での学修などの長期研修、表彰・受賞歴、教育実践に係る研究業績、自己研修歴等について、講習の一部とみなしてよいとする意見もある。特に熱意のある教員ほど休業中等に多忙で、講習を受講しにくいことを考慮すべきとの意見もある。
このほか、校長、指導主事等役職による講習の全部免除が、少なくとも現職者に関しては認められてもよいとの意見がある。他方で、役職で免除可能とするのではなく、恒常的に授業を担当しているのであれば、免除すべきでないとの意見もある。
必要となる事務を質的・量的に明らかにし、必要に応じ事務の合理化や国による条件整備を進める必要があるとの意見が多い。特に、全国的な免許管理システムをはじめ免許事務合理化のための条件整備や現職教員への対応に伴う免許事務の軽減を求める声が強い。
また、現職教員の受講費用や手数料の負担、講習開設のための経費等についても全国的な平準化を図るため、開設者側、受講者側を問わず、国による財政的支援等を求める意見や、広報や苦情処理の体制整備を求める意見がある。
(なお、本論点については、事務局において全国の都道府県教育委員会に照会を行ったところであるが、要望や意見等が具体的かつ多岐に渡るため、現在事務局において別途とりまとめ中。次回第3回会議において一覧にしたものを提示予定。)
初等中等教育局教職員課
-- 登録:平成21年以前 --