資料7 教職課程の改善・充実に関する協力者グループにおける検討状況について

1.検討の経緯

第1回会議(平成18年2月13日)

第2回会議(平成18年3月1日)

  • 大学関係の委員が「教職実践演習(仮称)」の試案を、また、教育委員会及び学校関係の委員が「大学の教職課程に望むもの」に関するレポートをそれぞれ準備し、「議論のためのメモ」(別紙)に沿って全体討議

2.検討課題

 (別紙参照)

3.これまでの議論の方向

 以下は、各委員の試案やレポート、全体討議における主な意見等をもとに整理したものである。

(1)「教職実践演習(仮称)」について

1.科目の趣旨・ねらい

  • a)各大学が、学生が当該免許に相当する知識と実践的技能を身に付けている状況について最終的な確認を行い、あわせて学生が教職に就くに際しての課題を確認する。
  • b)教員として最低限必要となる資質能力(特に実践的指導力)を確認し、学生が教員としての自覚を持ち、即戦力として学校現場に入っていけるよう指導することを目的とする。
  • c)教員として最小限必要な資質能力を身につけているかを確認し、演習方式によって、教員として最小限必要な資質能力の定着化を図る。
  • d)大学四年間で履修する教科に関する科目と教職に関する科目を統合し、自らの学びの軌跡を“位置づける”ことを趣旨とする。教職課程修了時の“完成像”を求めるのではなく、自らの“到達点”を捉え、確認する営みとする。

2.内容例

  • a)学生の身につけた知識(何を知り、何を知らないか)、身につけた実践的技能(実際に何ができ、何ができないか)の双方についての確認を行い、その結果を明示的にする。
  • b)
    • 教職実践演習a (すべての学校種や免許に共通する教師としての基本的な指導力を確認する内容として構想)
    • 教職実践演習b (主として、表現系の教科の免許に対応)
    • 教職実践演習c (主として、認識系の教科の免許に対応)
  • c)現行の教育実習における事前事後指導の内容を充実させる方向で構成する。具体的には、事前事後指導の単位を2単位とする、あるいは、事前事後指導とは別に1単位の「教職実践演習」を設ける(事前指導、教育実習との関連性を重視しつつ、事後の指導に重点を置く)。
  • d)学級経営や、担当教科の課程の構想構築を軸にして、その軸に、個々の学びを結びつけ、意味づけていく。具体的には、教科理解、子ども理解、教職についての理解、その他の活動や経験(インターンシップやボランティアなど)といった各知見が有機的に結びつきうることを確認する。

3.授業方法等

  • a)2a)の確認は、ポートフォリオ等による「学びの履歴」の確認→学びの履歴」と実際の業務との対照→実践的技能の水準に関する確認→教職に就くにあたっての課題の確認により行う。
     実施にあたっては、複数の教員(教科に関する科目と教職に関する科目の担当者双方を含む)による組織を設けて単位認定をする。複数教員と当該学生が面接を行い、学生の「学びの履歴」の確認と、今後の課題の確認を行うことが基本となる。また、入学直後から「学びの履歴」を管理する。
  • b)例えば、教職実践演習aについては、教師としての基本的な表現力の確認、子どもへの表現に関する基本的な指導法の習得の確認等を目標として、「行進」「呼吸法」「発声」「朗読、群読表現」「話しかけ」「身体表現」「ノート指導、日記、作文」等を内容とする演習を行う。
  • c)教育実習の事後指導において、教職課程委員会が学生の課題を踏まえて、補填すべき資質、それに関わる学習内容などを整理し、実習校の教員などを招聘するなど大学の担当教官と連携しながら、指導案の作成や模擬授業、場面指導、事例研究、グループ討議などの方法により、学生の課題を克服する。
  • d)2d)の確認は、具体的には、課題に対する学生自身による現場の取材や参与観察などの手段を用いて、レポートの作成、あるいは模擬試演により行う。そして、それに対する現職教員からの指導が加わったものを、最終的なレポートにまとめる。現職教員の指導には、同一課題に対する対応策の幅を理解し、同僚に対するコミュケーション感覚の糧となることをねらいとして、学生同士の見解の突き合わせや検討を伴うものとする。

4.その他

  • a)当該科目の認定に際して確認された学生の課題についての情報は、採用側・研修の実施者に対して、参考として供することも検討する。

(2)大学の教職課程に望むもの

  • 期待する教員像
    • 社会人として優れた識見を有する教員
      例)
      • 目的や場に応じた挨拶、服装、言葉遣いができる
      • 子どもや保護者の相談や意見に真摯に対応できる
    • 高い専門性(実践的指導力)を有する教員
      例)
      • 子どもの発達段階を考慮した内容を教えることができる
      • 子どもの興味関心に応じて授業を工夫することができる
      • 声の大きさが適切で、話し方に抑揚がある
    • 教育に対する熱意と使命感を有する教員
      例)
      • 子どもに対する愛情や使命感が強く、子どもの指導に時間を惜しまない
    • 豊かな人間性と思いやりを有する教員
      例)
      • 子どもから学び、共に成長しようとする
      • 困難に立ち向かう強い意志をもつ
      • 子どもの気持ちに配慮し、公平に対応する
  • 教育実習における大学の指導の充実
  • 現職教員や教育委員会関係者等による大学での講義の実施
  • 学生の放課後ボランティアへの参加など、子どもとの触れあいの機会の促進

4.今後の予定

  • 次回の教員養成部会に、「教職実践演習(仮称)」のカリキュラムイメージを報告できるよう、検討を進める予定。

教職課程の改善・充実に関する協力者グループ名簿

敬称略・五十音順

  岩田 康之 東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター助教授
  大橋 久芳 東京都台東区立忍岡中学校長
  狩野 浩二 鹿児島大学教育学部助教授
  野村 晃男 群馬県教育委員会学校人事課義務教育人事グループ管理主事
  堀井 啓幸 山梨県立大学人間福祉学部教授
  向山 行雄 東京都中央区立阪本小学校長
  矢野 博之 大妻女子大学家政学部講師
山極 隆 玉川大学学術研究所教授

(◎:研究代表者)
(以上 8名)

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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --