4.教員養成・免許制度の現状と課題

  • 我が国の教員養成は、戦後、「大学における教員養成」と、いわゆる「開放制の教員養成」を原則として行われてきた。これらの原則は、幅広い視野と高度の専門的知識・技術を兼ね備えた多様な人材を広く教育界に求めることを目的としたものであり、これにより、質の高い教員が養成され、我が国の学校教育の普及・充実や社会の発展に大きな貢献をしてきた。
  • その一方で、現在、大学の教職課程については、例えば、特に以下のような課題が指摘されている。
    • 教養審第三次答申において、各大学が養成しようとする教員像を明確に持つことが必要であるとされながら、現状では、教員養成に対する明確な理念(養成する教員像)の追求・確立がなされていない大学があるなど、教職課程の履修を通じて、学生に身に付けさせるべき最小限必要な資質能力についての理解が必ずしも十分ではないこと
    • 教職課程が専門職業人たる教員の養成を目的とするものであるという認識が、必ずしも大学の教員の間に共有されていないため、実際の科目の設定に当たり、免許法に定める「教科に関する科目」や「教職に関する科目」の趣旨が十分理解されておらず、シラバスの作成が十分でなかったり、科目間の内容の整合性・連続性が図られていないなど、教職課程の組織編成やカリキュラム編成が、必ずしも十分整備されていないこと
    • 大学の教員の研究領域の専門性に偏した授業が多く、学校現場が抱える課題に必ずしも十分対応していないこと。また、指導方法が講義中心で、演習や実験、実習等が十分ではないほか、教職経験者が授業に当たっている例も少ないなど、実践的指導力の育成が必ずしも十分でないこと。特に修士課程に、これらの課題が見られること
  • また、教員免許制度についても、これまで免許状の種類の見直しや「教職に関する科目」の充実など、逐次、改善・充実が図られてきたところである。しかしながら、平成16年10月の文部科学大臣からの諮問の際の説明でも指摘されたように、教員免許状が教員として最小限必要な資質能力を保証するものとして評価されていないことや、専修免許状の取得が学校現場で必ずしも十分評価されていないこと等、様々な制度的課題が生じてきている。特に近年、学校教育をめぐっては、2.2において述べるように、これまでの知識・技能だけは対応できない本質的な変化が、恒常的に生じており、教員免許状が保証する資質能力と、現在の学校教育や社会が教員に求める資質能力との間に、乖離が生じてきている。

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