資料1 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 (第33回) 議事要旨(案)

1.日時

 平成17年6月17日(金曜日) 13時~16時30分

2.場所

 KKRホテル 10階「瑞宝」

3.出席者

 梶田部会長、安彦委員、大南委員、小原委員、門川委員、川並委員、河邉委員、郷委員、甲田委員、田村委員、角田委員、渡久山委員、永井委員、中嶋委員、野村委員、平出委員、八尾坂委員、山極委員、鷲山委員

文部科学省関係者

 銭谷初等中等教育局長、樋口審議官、徳永審議官、戸渡教職員課長、勝野視学官 他

4.議事

(1)今後の教員養成・免許制度の在り方について

 専門職大学院ワーキンググループ、及び教員免許制度ワーキンググループの審議状況について、関係団体から意見書に沿って意見発表が行われ、その後、質疑応答を行った。主な発言は以下のとおり。

1.全国町村教育長会

委員
 更新制の適用は新採用からにするとの意見だが、その場合、現職教員全てに更新制が適用されるまで何十年もかかることとなるが、どう考えるか。

関係団体
 現職も含めて適用する形がより良いが、現職にはすでに人事評価制度があるので、適度な緊張感を持たせることは可能である。

委員
 更新制が適用されている教員とそうでない教員が混在する状況が続くが、人事管理上、混乱は生じないか。

関係団体
 制度の趣旨を教員に理解させれば対応可能と考える。

委員
 適格性の評価に客観性を持たせるため、2年間の暫定免許状のうちに2~3校経験させるとの意見だが、学校内に客観性を保証させるよう適格性を判断する組織をつくることは考えられないか。

関係団体
 判断に自信の持てない校長のいる学校では、曖昧な評価となる。そのような組織を学校内につくったとしても、最終的な判断の責任は校長にあるため、うまく機能しないのではないか。自信を持って適格性を判断するには、複数の校長が見ることが大切ではないか。

委員
 2~3年の期間で適格性を判断する場合、そこで適格性がないとされたら、その期間適格性のない教員に教えられた子どもは犠牲者となる。そういう教員には、早く辞めてもらいたいというのが保護者や国民の想いだと思うが、それについてはどう思うか。

関係団体
 1年間で適格性を判断するのであれば、現行の条件附採用期間の制度で対応できる。短期間で適格性を客観的に判断ができる組織ができれば、それでも良いのではないか。

委員
 教員としての適格性がない者を出さないという強い信念で、専門職大学院の在り方を検討している。専門職大学院では、入学時に、学生の資質や熱意、使命感をチェックする。2年間の課程で、適格性と専門性、信頼性を身に付けさせる教育を責任を持って行い、卒業後の道も保障する。また、第三者評価システムを導入して、実践力、即戦力の備わった優れた教員として、学校に送り込むことができる者を修了者として認めていくという考え方で検討している。

関係団体
 優秀な校長がいれば、適格性のない教員も適格性がある教員として変えることができる場合もある。

委員
 更新制では、校長が更新に大きく関わることから、校長や教頭は専修免許状を取得する必要があるとの意見だが、この意味は、上進制に基づいて認定講習等を受けて専修免許状を取得することを指すのか、専門職大学院を修了して、専修免許状のようなものを取得することを指すのか。

関係団体
 校長が他の教員より一歩出た形でなければ、教員は納得しないであろう。能力のない校長の評価では、納得しない。そのために、上級免許状を取得するべきであるという意味であって、取得方法は、上進制でも専門職大学院でも構わない。

委員
 更新制の導入により、教員の希望者を多く確保できると思うか。

関係団体
 更新制が導入されることで、優秀な学生が教職を目指すことを諦める可能性も否定できず、心配しているのも事実である。

2.全日本中学校長会

委員
 専門職大学院で成果の上がる教育がなされるポイントは何だと思うか。

関係団体
 即戦力としての新人教員の養成が上げられているが、机上の学習でそのような者が育成できるのか疑問である。教員は、子どもたちと接する中で、資質や能力が高まっていく。

委員
 優れた教員を養成するためには、教育現場の全面的な協力が必要だが、学校現場側からの意見を伺いたい。

関係団体
 学校側も、教育実習生だけでなく、学生受入れの協力をしようという気持ちは十分ある。ただし、教育実習生の中には、免許取得だけが目的の者、民間企業と掛け持ちで教育実習を受けている者もいる。そのような態度の者には、教育実習を受けて欲しくない。

3.全日本私立幼稚園連合会

委員
 団体に示した資料の中で、幼稚園の記述がない部分については、幼児教育の特性を念頭に置いて別立てで記述しようとしているのか、単純に記述が抜けているだけなのかを、これからの議論の中で確認しておきたい。

委員
 更新制を導入することとなれば、当然、私学の教員が別に取り扱われることにはならないが、どのように考えるか。また、これから就学前の教育・保育を一体として捉えた総合施設の実施が予定されているが、その中でどのような形の免許状が良いと考えるか。

関係団体
 更新に際して、更新の条件やその判断が示されることになれば、誰がどのように行うのか。更新時に、教育委員会が主催する更新のための講習を、必ず受けなければならないだろうと思われるが、その中で、講習の修了についての判断を教育委員会のみで行い、私学が独自に判断できないのであれば、私学の持つ建学の精神に対して影響を及ぼすものになる。私学団体は独自に研修制度を持っており、また、評価制度も持っている。その点も考慮しながら、更新制を検討していただきたい。幼保一元化を考えるにあたっては、まず、教える側の資格が、幼稚園教員の免許状と保育士資格の形に分かれていることに意味があるのかという根本から、本来は議論しなければならない。資格取得の現状として、養成機関において、資格を取得することのみを目的としているところがあるため、現場の感覚に合致しない教員が養成されていることが問題となっている。

委員
 子どもが、適格性のない教員に教えられることがないよう、教員の資質向上が図れることを目的として更新制を検討しているが、更新制を排除の機会とするのではなく、教員の資質向上の機会とするのであれば、賛成できるのか。

関係団体
 私立幼稚園で、子どもにとってマイナスの影響を与える教員を多く抱えていれば、幼稚園自体がつぶれることとなる。幼稚園教員は、二種免許状の保有者の割合が多い。一定の研修を私学の内部に課すことで、教員が知識を深め、一種免許状の取得につながるというスキルアップの形を目指すのであれば、検討に値する。

委員
 幼稚園は女性が多い職場であり、研修システムがしっかりしていても、子育ての時期に重なると、できない状況になる。子育てしながら、働く教員をどう支えていくかについて、どのような意見を持っているのか。

関係団体
 現在、育児休暇を取得し、子育てを終えて教育現場に戻ってくる教員が増えてきている。幼児教育の世界を見れば、教員にとって自分の子どもを育てることはマイナスにはならず、大きなスキルアップにつながっている。子育てを支援する制度や組織の保障をきちんと検討しなければならないし、研修や更新制のようなスキルアップの制度を、それに重ねて構築しなければならない。

4.社団法人国立大学協会

委員
 質の保証をどのように図っていくのか、評価の方法等の具体的な議論をしたのか。

関係団体
 国立大学協会の特別委員会としては、まだ具体的な方向性について議論できていない。個人的意見として、内部評価では評価が甘くなる可能性があるので、教員の質の評価を外部機関に委託する方法もあるのではないか。

委員
 専門職大学院の学習の場のベースを学校にすることにウェイトを置いているわけだが、大学教員はどのように関わるのか。学校現場の指導教員に全ての教育を任せることにはならないと思うが、その点についてどのような意見か。

関係団体
 学部教育と大学院教育が乖離してはいけないのであって、専門職大学院が学部教育に影響を与えなければならない。学部段階から現場を体験し、体験を踏まえて、教育の理論立てをつくっていかなければならない。そういった学部の上にある大学院であれば乖離することはないのではないか。しかし、現場の実習にウェイトを置きすぎると、学校に負担をかけることとなるので、この辺りは慎重に検討する必要がある。

5.日本教育大学協会

委員
 学部段階で教員養成を行わない機関が、専門職大学院のみに参入することによって、教員養成全体のバランスが崩れることが懸念されるとの意見だが、どのような意味か。

関係団体
 これは、国立の教員養成大学・学部の既得権に対する懸念を言っているのではない。すでに学部段階で多くの教員を輩出してきており、その者たちを仲介して、教育現場と大学の間で教育研究していくシステムがつくられてきている。そのような土台がない中で、専門職大学院を設置することに、危惧しているということである。

委員
 それは、学校教育法第68条と関わってくる。団体の意見は、一般の専門職大学院と教員養成のための専門職大学院は異質であることを言いたいと思われるが、それについては同感である。教員養成を学部段階で行っていない大学が、専門職大学院を設置して大丈夫なのか。開放制と矛盾しない形で、検討する必要がある。

委員
 適格性は現場で見るものであり、大学における養成段階では、人格的要素に踏み込む選別を大学の責任で行うことになりかねないとの意見だが、教育というのは、そもそも人格の陶冶のために行うものであるので、その意見の発想はいかがか。そのような考え方の大学は、専門職大学院をつくっても、実質的な教員養成を学校現場に依存して、大学としての責任を持たなくなる。更新制の検討にあたっては、大学において適格性をきちんと判定していかなければならないということも議論されている。この辺りについてどう考えるか。

委員
 平成9年の教養審第一次答申において、養成段階では、教科や生徒指導等に特段の支障が生じない程度の最小限必要な資質能力を持った教員を送り出すことが謳われている。この観点と今の意見はどのような関わりがあるのか。

関係団体
 ある学校では優れた指導力を発揮できても、別の学校では必ずしもうまく対応できない場合があり、学校現場が持っている多様な性質を、養成段階でどこまで判断できるかについては慎重にならざるを得ないという考え方である。大学が、教員としての人間性等の資質に係る製造責任があることを否定するつもりはない。

委員
 大学は専門性を高めていくことと合わせて、4年次の教育実習だけではなく、1~3年次の課程の中で、学外での体験活動や学校現場での実践、教育実習等、あらゆる機会を学生に提供し、教員に向いているのか自己評価させる場をつくらなければならない。そういう意味で、適格性というものを捉えていただきたい。

関係団体
 学生に教育実習やインターンシップ等を体験させ、多面的に判断し、さらに自己評価や教員との相互の関わりの中で、教職に向いているかどうかを考えていけるように、変わってきている。しかし、最終的に大学が、学生が教員に向いているかどうかを判断することについては、大学の評価の在り方として難しいということである。

6.日本私立短期大学協会

委員
 専門職大学院については、どのような考えを持っているか。

関係団体
 専門職大学院の有効性は否定しない。重要なのは、教える側の人間性等の資質である。短期大学であろうと専門職大学院であろうと、教える側の人間性そのものが、教科の興味を引き出すのであって、教育に対して与える影響は大きい。人間性の教育というのが、専門職大学院が基本的に持つべき特性ではないか。人間教育から始まり、生徒が砥石となって教員を研いでもらい、教員自身が成長していくという、教育の最も根源的なところが、短期大学の二種免許状の特性ではないだろうか。このことは、学習歴だけで測れない。教員の持っている資質そのものが、いかに人間らしさを兼ね備えているかが大切である。

委員
 専門性を高めることが求められている中で、短期大学の2年間は短く感じる。そこで、3年制の専攻科をつくることや、将来4年制を目指すことを考え、その規制緩和を要望したいと思っているのか。また、二種免許状保有者の専門職大学院への入学を認めて欲しいという意見はあるのか。

関係団体
 短期大学には専攻科があり、4年制大学と同じ学位を取得できる。本当に勉強したい者は、現場から戻ってきて、専攻科を修了することもできる。

委員
 大学全入時代になり、定員割れを起こしている大学もある。短期大学においても、そのような状況の中で、学力の低い学生を受け入れざるを得ないと思うが、一方で、平成9年答申において、最小限の資質能力を持った者を養成しなければならないとなっている。そのような中で、教員としての適格性を確認するために、大学において、教育実習や適格性に関する科目の新設、さらに教職課程の履修全体を通じて身に付けた資質能力を総合的に評価する新たな方策を講ずるべきという意見がワーキンググループで出ているが、それについての意見をいただきたい。

関係団体
 教員養成に関しては、小学校・幼稚園等の教員を養成する学科の志願者は、依然として多い。短期大学を卒業して二種免許状を取得し、教職実務を踏まえながら、一種免許状を目指している学生も多くいる。そのため、短期大学の学科教育では、各学科の特性に合わせて、学生に身に付けさせる学力の目標設定をして、一定の実力を備わせて社会に送り出せるように、積極的に取り組んでいる。また、定員割れを起こしている短期大学ほど、学生と教員とのコミュニケーションが良く、定員割れの学科の卒業生が、教員として採用されている事実もある。人間教育が徹底して行われれば、教員として適格な者が育成されていく。

7.社団法人経済同友会

委員
 専門職大学院については、どのように考えているか。

関係団体
 教える技術の部分で、教員によって濃淡があるので、専門職大学院はそこをカバーする意味で重要となる。しかし、現行の教員養成大学の中に優れた教員が本当にいるのかは疑問である。その意味で、専門職大学院の教員の在り方については柔軟に考えていただきたい。例えば、教える技術では、予備校に優れたノウハウがあるので、そのような者も専門職大学院の教員の役割を果たすのではないか。また、専門職大学院に教員養成大学の卒業者が、ストレートに入るのはあまり賛成できない。実務経験を経た数年後に、専門職大学院に入ることによってスキルアップするのではないか。したがって、最初は、仮免許状に近いものだと認識しており、ベテラン教員と一緒に授業経験を持った上で、更にスキルアップのために専門職大学院に入る形が良いのではないか。更新制についても、単なる更新ではなく、教員の能力如何によって、免許状の種類分けをして、その種類に応じて給与体系も変わるのが良いのではないか。その中で、教員が向上心を持って、生き生きと教育活動を行えば良い。

委員
 企業が目標をつくる場合は、利益という明確な目標があるが、教育における目標は、様々な尺度で見なければならず、評価が出るまでに時間がかかる。その辺りについてはどのように考えるか。

関係団体
 企業にも短期的に利益がでない事業が多くあるが、長期間評価しないということではなく、その間にも目標を持って評価を行う。企業の役目とは、最終的に利益に結びつけていくものの、消費者にとって新しい価値を生み出すことである。我々が企業で働いているのは、働き甲斐があるからであって、必ずしも利益を生むことを目的としていない。新しい価値を消費者に提供することによって、世の中に役立っているという意識が働き甲斐に結び付き、自ら向上していくことができるわけである。学校においても、例えば、小学生が20年後にどのような大人になっているか、その時に初めて成果が出るということはわかるが、それでも短期的な目標があり、例えば、ある生徒が今の学力がこのレベルであれば、1年間で伸ばす学力の目標はつくることができる。目標管理とは、個々の児童生徒に合わせて、話し合いの下できちんとつくることが大事であり、その目標に対して、1年間の成果がどうだったかという評価であるので、必ず目標に至らなければ評価は悪いということではないのではないか。

8.全国都市教育長協議会

関係団体
 専門職大学院で考えている実践力・応用力等については、学校での実践教育を重視して欲しい。子どもたちに豊かな人間性を求める以上、教える側の教員が豊かな人間性を持ち合わせていなければならない。既存の教員養成大学の見直しも行われているが、専門職大学院と連動した改革を行って欲しい。現職教員が専門職大学院に入学すると、長期間現場を離れることとなるので、現場が手薄にならないよう補助教員等の手当てが望まれる。教育改革の一環として、専門職大学院に取り組むことは、教職員の意識改革にもつながるので期待している。更新制は、教員の意識改革に十分つながるものである。現職教員に適用させることに対しては問題があるが、一定期間ごとに免許状の適格性を証明する手立てをすることも必要である。

9.全国定時制通信制高等学校長会

委員
 更新制と他の制度等との関係で、現状では処遇に反映できないとの意見はどういう意味か。

関係団体
 更新制をもって、処遇に反映する必要はないと考える。立派な免許状を持っているからといって、処遇に反映する必要はないのではないか。

委員
 新教育大学大学院、大学設置基準第14条適用の大学院の成果を検証することとあるが、現場の校長として、今までの大学院修了者について、どう評価しているのか。

関係団体
 大学院に行っているうちに、学生に戻ってしまう教員も多い。学生に戻ることも大事だが、何のために行ったのかを忘れてしまう教員がいる。また、研究に傾注しすぎて、本来持っていた課題の研究が進まないこともある。本人にも問題はあるが、大学院の教え方、指導体制にも問題があるのではないか。ある程度の成果があったとは言いがたい。14条適用大学院の場合は、1年間の短期間で現場から離れずに研究できるので、教員としては負担が大きいが、この形は良い。

委員
 現職教員が大学院に行くと、同じところに戻る場所がないと聞いたことがあるが、そのことについてはどう思っているか。

関係団体
 大学院に行った時点で後任が補充されるので、その教員は今までいた学校には戻れないという覚悟で行く。

委員
 専門職大学院をどのように制度設計すれば、教員が本当に使えると思うか。

関係団体
 連携学校という形を義務付けて、大学が小・中・高・特殊教育学校とタイアップして、現場に即した教育を徹底して行えば良いのではないか。

委員
 ストレートマスターを専門職大学院で受け入れる必要はないという考えか。

関係団体
 専門職大学院の中に現職教員が多くいるという環境の中で、教員の成長が期待できる部分があるが、ストレートマスターと現職教員が混ざり合えば良いのではないか。しかし、あまりにも現役学生が中心となると、目的が違ってくるのではないかと心配している。

10.全国特殊学校長会

委員
 特別支援教育の課程を置く専門職大学院を20校程度欲しいという考えなのか。また、二種免許状についてだが、本部会で4月に特殊教育免許の総合化について報告をまとめ、その中で特別支援学校教諭免許状(仮称)という形にしようとしているが、そのことも含めて、二種免許状を残していくということか。

関係団体
 特別支援教育の課程を持った専門職大学院は、全国的見地から、それくらい必要ではないか。各障害に対する教育課程を持ったものも必要だと考えている。二種免許状については、特殊教育免許の総合化で、特別支援学校(仮称)の教員免許状は一種を基本とすることになっている。そのことは構わないが、特殊学級ではなく、通常の小・中学校の教員が、LD等の障害のある子どもたちを担任・指導する機会が多くなると思われるので、少なくとも担当教員については、最低二種免許状を取得して、障害のある児童生徒の理解を深めていただきたいと思っている。さらにそこから、上級免許状に進んでもらえば良いのではないか。

委員
 二種免許状でも、特別支援学校教諭免許状でも良いが、そういう免許状を取得できる課程は、全国にどれくらいあるのか。また、20校程度の開設が必要となった時に、そこで指導できる人材を確保できるのか。

関係団体
 特別支援学校教諭免許状が検討されているが、現在もそのような免許状は、教員養成大学で取得できる。特別支援学校教諭免許状も、既存の教員養成大学の中で取得できる仕組みをつくる必要がある。専門職大学院については、既存の仕組みをそのままスライドさせ、拡充させることで良いのではないか。指導できる人材については、盲・聾・養護学校と専門職大学院との連携により、深い専門性が身に付くのではないか。実際に子どもを担当したり、現場の教員と一緒に研究することによって、指導力や専門性が身に付くのではないかと考えている。

11.全国公立短期大学協会

委員
 更新制で、幼稚園教員免許状における適格性を判定する基準をどのように考えているか。幼稚園教員の専門性とは、小・中学校とは違うものであり、判定基準も自ずと変わってくるのではないか。また、研修機会が減り、専門的な資質を高める機会も少なくなっていると聞く。そのような状況の中で、どのような形で専門性を高め、どれだけの研修を行えば、適格性があると判定できるのか。

関係団体
 小・中・高等学校の教員とは違い、幼稚園教員には、幼児に対応できる能力が要求されている。これは、感覚的な部分も多くあり、人間的な要素も高いのではないか。その意味で、適格性の判断や基準を考えることは難しい。同時に、研修制度の在り方も難しい。4年制大学や専門職大学院で研修することだけが、専門性を高めることではない。現場における経験の積み重ねや、現場教員等からそれを受け継いでいくことも、大事な研修ではないのか。そういったところから、適格性の判断が要求されてくるのではないか。

委員
 県によっては、園長が小学校の校長を兼ねている場合があり、主任が園長と同じ役目をしているところもある。その場合、適格性を判定する者は誰で、どのような形で判定することとなるのか。

関係団体
 小学校長を園長として兼務させていること自体が、幼児教育に十分な力を注いでいないことにつながる。園長は、専門性のある者が就くべきではないか。園長だけで、教員の適格性・専門性を判断するシステムは問題があるので、別の組織や体制が必要なのではないか。

委員
 公立幼稚園の教員は年齢構成はかなり高いが、私立幼稚園の教員は平均して低いとのデータがある。実際、公立幼稚園では採用がない状況が何年も続いている地域もあり、最低年齢が30歳代のところもある。幼稚園教員を養成した後の出口の問題をどう考えるのか。

関係団体
 私立幼稚園の教員の年齢が低いのは、経営者自体が高齢化を望んでいないことにも一因がある。また、公立幼稚園の教員の採用数は、教員定数の問題があるが、今後、保育所との一体化が実施されるので、大きな変動が起こってくるのではないか。ただし、幼稚園と保育所については、半々程度の採用が続くと推測される。幼稚園教員の法的な養成数が特に多すぎるということではないと感じているし、採用数が比較的少ないということを、それほど問題視していない。

その後、以下の通り、自由討議が行われた。

委員
 専門職大学院について、ワーキンググループで検討してきた対象が小・中・高であったということを感じた。公私立の短期大学の立場、幼稚園教員の専門性の問題の検討が不十分であったので、今後、その辺りを含めて議論していかなければならない。

委員
 教員養成大学の意見を聞くと、専門職大学院の対象は、スクールリーダーの養成という方向に絞られていると感じるが、目指すべき方向はむしろ逆で、様々なことを学んだ者や一般学部出身者といった、教育系以外の者が専門職大学院で学び、教員の中に、多様な人材を取り入れていくという方向であると思うが、その辺りに懸念を感じた。

委員
 保育所の方が幼稚園より多いという話を聞いたが、そういうデータを調べてもらえると、議論に役立つ。

委員
 幼児教育にも視野を広げて専門職大学院を検討する際には、幼児教育に独自の専門性があるという焦点化や特化をせず、教育の一環で検討して欲しい。幼稚園教員は感性が豊かであれば専門性は重要でないということではなく、長期的な視野を持って幼児教育を考え、地域や家庭を包括的に見なければならないといった、幅広い理解力が必要なので、その意味で、切り離して検討しないようにして欲しい。

5.閉会

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --