資料6 教員養成部会において出された主な論点と意見

(下線部分は第31回教員養成部会における意見等を踏まえて追加・修正した部分)

  主な論点 主な意見
1.基本的な事項 今後の教員養成・免許制度の在り方
  • 教員養成のどこまでを学部段階、どこからは修士課程で行うかを明確にしておくことが必要。
  • 今の4年制が良いのか、6年制が良いのかを論じなければならないが、当面の審議事項を踏まえると、現行制度を前提に考えるのが実際的。
  • 専修免許状が十分活用されていない中で、6年制を前提に議論するのは非現実的。
  • 現在の日本は、教育者が尊ばれる社会とはなっていないため、頑張る教員を励まし、やる気を高め、さらに教職を目指す若者を増やしていくような取組みが必要。
  • 教職が社会的に尊敬を得られるかが大きなポイントであり、全体の方向として高学歴化や資格の向上など、外から見えるものにすべき。
2.教員養成における専門職大学院の在り方について 1.教員養成分野における専門職大学院の活用について
(1)専門職大学院制度の活用の基本的な考え方
  • 専門職大学院を創設する場合、学部との関係を一貫にするのか、切り離すのかについて検討することが必要。
(2)専門職大学院に期待される主な目的・機能
  • 専門職大学院は、少数の高度な専門性を有する教員を養成するためのものなのか、現職教員が現場の課題に対応するためのものなのか。
  • 専門職大学院は、教員一般について、高い専門性や高度な実践的指導力を育成するということを考えて構想すべき。
  • 専門職大学院は、管理職やマスターティーチャーを養成し、資格を付与するなど、教職のキャリアをシステム化するものとして位置づけるべき。
  • 校長のリーダーシップやマネジメント等は極めて大切であり、専門職大学院が一つの提起となるのではないか。
  • 専門職大学院には、教育のアドミニストレーターのコースを設け、その修了者が教育委員会に配置されるようなシステムを作るべき。
  • 専門職大学院は、現職教員、ストレートマスター、社会人のそれぞれに履修コースや教育プログラムが考えられる。
  • 専門職大学院を考える場合、小学校の教員養成はどうするか、中・高等学校の教員養成はどうするかを、あわせて検討することが必要。
  • 専門職大学院は、色々なコースがあって良いが、地域とのコラボレーションがないと発展しない。
(3)既存の教員養成系大学・学部・大学院との関係
  • 国立大学の教員養成学部の大学院や新教育大学の目的、教育内容・方法等を検証した上で、専門職大学院との違い等について、検討することが必要。
  • 教員養成系大学の修士課程でも、教育実践にあまり重点を置かない教育が行われているという問題がある。
2.専門職大学院を活用する場合の具体的方策
1.入学資格
  • 社会経験を積んだ者が教員を目指す時に、専門職大学院が機能することは社会的に意味がある。
  • 工学部や農学部の出身者にも門戸を開き、実践力のある大学院をつくることが必要。
  • 何らかの教職経験や素養がある者が専門職大学院の対象となるのではないか。
2.標準修業年限
  • 幅広く社会人を受け入れる場合、修業年限をどうするかについて検討することが必要。
  • 法科大学院の2年制課程と3年制課程のカリキュラムの違いは何か、現職教員にマネジメント能力を身に付けさせるのであれば1年制課程でもよいのではないか等について検証すべき。
3.教員組織
  • 専門職大学院の教員は、学部や大学院の教員とはなれないが、教員に関する制約の弾力化が一つの論点である。
4.教育課程・方法
  • 専門職大学院は、より資質の高い教員の養成を目指すものであり、教科専門科目、教職専門科目について、一定の教育内容を学生に義務付けるという特色を出すことが必要。
  • 教職課程においては、実習や学校以外の体験もできるようにすべき。
  • 校長、教頭、指導主事などが全体の教育課程や組織のマネジメント等の専門性を付加できるようなものとすべき。
  • 体験に基づいた問題解決能力を身に付けた人が教えるようにすべき。
  • 各地域の研修所や研究所での研修についても、大学の単位として評価する仕組みをつくることが必要。
5.修了者に授与する教員免許状
  • 専門職大学院修了相当の免許状を授与することは当然である。
6.修了者の処遇
  • 修了後の採用面の保証について考えることが必要。
  • 資格とリンクさせようとした場合、制度としてよりベターかどうかという観点で論じることが必要。
  • 自然な結果として、専門職大学院修了者が管理職のほとんどを占めることになれば良い。
7.その他
  • 専門職大学院について、2つの大学による共同設置や、大学と教育機関との共同設置など、様々な形態が考えられる。
  • 専門職大学院は、ある程度数のボリュームを持つことが必要。
3.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について 1.教員養成・免許制度の改革の基本的な考え方
(1)教員養成・免許制度の改革の基本的な視点
  • 教員としての適格性、専門性、信頼性の確保が免許制度全体における大きな問題であり、更新制もこの観点から議論することが必要。
  • 養成・採用・研修の中で、更新制がどのような位置づけとなるのかを議論すべき。
  • 現在の上進制度は、教員の資質能力と関係なく免許状が授与される仕組みとなっており、再検討することが必要。
(2)教員免許更新制について
  • 今の社会は、経験が通じなくなってきており、新しい流動する社会に対応する仕組みとして、更新制を導入することは考えられないか。
  • 教育改革国民会議で更新制が取上げられたのは、社会の目を導入することで、更新制により保証される教員であれば、教員の尊敬は回復するのではないかというねらいがあったが、このような視点も必要。
  • 大学に期待される役割は教員として最小限必要な資質能力の養成であり、教員となった後にどのように育てるかという観点から、更新制のメリットを考えることが必要。
  • 教員免許状の価値や重みに鑑みて、終身有効でよいのかという問題がある。
  • 現行の免許制度では上進制度が取られており、これとの関係で更新制にどのようなメリットがあり、どうすれば機能するのかを議論すべき。
  • 更新制は、1.自己又は教員全体の資質能力を高めるためのインセンティブとして、2.教員の能力が高まっていくという考えに相応しくない、あるいは免許状の信頼を損なうような場合のチェックとして、機能させることが考えられる。
  • 教員の意欲を高めるようなプラスの評価と同時に、きちんとして欲しいという観点での外部評価も必要であり、その方策の一つとして、更新制を議論することは重要。
  • 更新制は、今の評価や分限に関する取組みにさらにメリハリをつけていく上で、良い方向に機能するならば、検討の価値はある。
  • 更新制は、不適格教員の排除ではなく、キャリアの中の節目節目で、専門性を高めていくためのものとすべき。
  • 研修の機会をオープンにした上で、教員が自ら職能開発の計画や研修計画を立案して受講するなど、裁量を拡大することが、更新制の可能性を検討することに値する。
  • 教員は、教職経験を積むことで新たな課題やニーズが出てくるので、これに対応する更新制が必要。
  • 上級免許状やマスターティーチャー、管理職等、特別な資格を付与する免許状への上進のための更新制は考えられる。
  • 更新制で教員を排除するのではなく、再度チャレンジできるシステムを作ることが大切。
  • 更新制は、教員の自覚を高め、自己啓発を促すという意味もあるが、排除の論理が不可欠。
  • 更新制の導入により、教職を魅力ある職業として維持するためにはどうすれば良いのかという視点も大切。

(3)教員免許更新制と他の制度(現職研修、公務員法制、他の資格制度等)との関係

  • 更新制と教員の自主性や創造性を高めていく取組みをどのように連動させていくかがポイント。
  • 更新制の代わりとしての10年経験者研修の意義・目的について理解されていない。更新制と研修との乖離が出ている中で、両者の関係について吟味することが必要。
  • 今の分限制度など公務員法制との関係について整理することが必要。
2.改革の具体的方策
(1)教員免許状の授与の仕組みの見直し
  • 大学の教職課程は単位認定をするだけとし、採用選考試験に合格し、1年間の条件附採用期間を経ることで、免許状を与えるという形にすべき。
  • 初任者研修終了後に正規の免許状を授与し、これらの教員を更新制の対象とすべき。
  • 1~2年の仮免許状の期間を設けることが考えられる。
  • 最初は全て仮免許状とし、2~3年の条件附採用期間を経た後に、パーマネントの免許状を授与する仕組みがうまく機能するのではないか。
  • 大学の教職課程の履修者を対象に、統一テスト等を行うなど、入り口の検討を行う必要がある。
(2)教員免許更新制の導入
1.教員免許更新制についての基本的な考え方
  • 更新制と資格認定とを連動させ、最初の更新をした人に認定教諭、次のステップとして専門教諭、さらに指導教諭の資格を与えることとし、校長となるためには指導教諭の資格が必要としてはどうか。
  • 免許や学歴を超えたところで立派な教員がいる一方、逆に免許や学歴が立派なだけの教員など、様々であるため、制度設計の際は、柔軟な要素を入れる必要がある。
  • 免許状の更新の問題と教員の人事や採用、キャリアパスとは切り離して考えて良いのではないか。
2.教員免許更新制の具体的な制度設計
  • 教科の指導力以上に大切なのは、児童生徒の扱いができるかであり、ペーパーテストでどこまで見ることができるか疑問。
  • 管理職の判定やペーパーテストで基準以下の人を絞り、その人を対象に教員や子どもの目で評価するという2段階の判定とすることも考えられる。
  • 米国の更新制においては、ペーパーテストで判断するのではなく、専門性を高めるような研修を課している。
  • 米国では、免許更新の際の研修について、教科のみならず、カウンセリング、学級経営、生徒指導、学習指導全般など様々なものがある。
  • 更新制の基準として、授業力や子どもを見る目に加えて、学校を率いていくのに必要な能力も必要。
  • 更新制を上進制と組み合わせることで、大学における講習や公開講座を一層充実させて、教員が大学で受講し、上進していくという取組みを行うことが必要。
  • 大学だけでなく、他の様々な機関の履修を認めるような、教員側のニーズが高まるような選択の余地のあるコースが必要。
  • ペーパーティーチャーについては、免許状が自動的に失効するような仕組みが必要。
  • 毎年20万人の免許状取得者を対象にペーパーテストを行うことができるのか。
  • 現行の終身の免許状を有する者に対して、更新制をどのように適用するのか、代替的な要件を課すのか。
(3)教員免許状の種類の在り方
  • 幼稚園教員の80パーセントは短期大学卒であり、資質能力を高める観点から、抜本的に改革することが必要。
  • 二種免許状は当分の間、存続させる必要があるが、教員の資質能力の向上が期待される昨今、いずれかの段階で廃止することも検討して良いのではないか。
  • 二種免許状は、教員の資質能力の向上を図る上でも有効であること、また特殊教育免許状の保有率が低い現状において、今後ともその仕組みを維持していくのが良い。
  • 専門職大学院修了相当の免許状を授与することは当然である。
(4)教職課程の改善・充実
  • 課程認定の在り方について、開放制の原則は大切だが、節度ある開放制を前提にすべき。
  • 米国では、教員免許状の取得にあたり、一定以上の成績を必要とするなど要件を課している。
  • 大学の教職課程のシラバスのモデルをつくることも考えるべき
  • 学生が最小限必要な資質能力を身に付けたことを評価して単位を与えるべきだが、それが不十分な大学も少なくなく、成績評価の問題も検討する必要がある。
  • 専修免許状の基準が、一種免許状に量的な基準をプラスしたものとなっており、質的な基準を議論することが必要。
  • 専修免許状は、自らの得意分野をつくる上で、今後とも十分に機能させる必要があるが、修士課程の教育は抜本的な改善が必要。

(5)その他


  • 専修免許状を取得しなければ教頭や指導主事などになれないという方向を示すべき。
  • 校長や教頭の資格を一律に定めることは、適任者を幅広く登用するという観点から、慎重に検討することが必要。
  • 普通の教員と指導資格を持つ教員とでは給与、処遇、学校内の役割が異なるようにすべき。
  • 学習指導要領の見直しがなされる中で、現行の養成における教職専門、教科専門、それぞれの必要単位数について、もう一度見直すことが必要。

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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --