4.教員養成・免許制度の改革の基本的な視点

 以上のような学校教育や教員をめぐる現状、教員に求められる資質能力等を踏まえると、大学における教員養成と開放制の原則は、今後とも尊重することが適当であるが、同時に、これからの社会の進展や学校教育をめぐる状況の変化等に迅速かつ適切に対応できる教員を養成するため、教員養成・免許制度のリニューアルを図っていくことが必要である。

 教員養成・免許制度の改革を図る場合、最も重要なのは、児童生徒や保護者はもとより、広く国民や社会から尊敬と信頼を得られる質の高い教員を養成・確保することである。教職は国民の尊敬と信頼の上に成り立つ職業であるが、現在、それが揺らぎつつある。今後、信頼され、安心して子どもを託すことのできる学校づくりを進めていくためには、何よりも教員自身が尊敬される存在とならなければいけない。

 そのためには、一人一人の教員が、教職課程の履修や自己研鑽を通じて、教員たるにふさわしい資質能力を確実に身に付けることが基本であるが、同時に、教員免許状が教員に必要な資質能力を身につけたことを証明するものとして、適切に機能するよう改善を図る必要がある。このような視点に立って、教員養成・免許制度の改革を進める場合、具体的には次の3点が重要である。

  • 教員免許状が教科等の指導力や適格性等を含めた教員としての全体的な資質能力を確実に保証するものとなるようにすること
  • 教職生活全体を通じて、教員としての専門性の向上が図られるとともに、それが免許状に適切に反映されるようにすること
  • 教員養成・免許制度の改革により、教員免許状が社会的に適切に評価され、教職に対する尊敬と信頼の確立につながること

 一方、現在の学校教育や教員を取り巻く状況等を考慮すると、教員養成・免許制度の改革にあたっては、次のような点に留意することが必要である。

  • 質の高い人材を迎え入れるためには、教職そのものが魅力ある職業であることが不可欠であり、こうした観点から、現職教員や教員を目指す者の意欲を高めるような制度となるよう留意する必要があること
  • 努力している教員が適切に評価され、処遇されるよう、教員の評価や処遇等の在り方に留意する必要があること
  • 教員が本来の教育活動に専念できるよう、業務の見直しや事務処理体制の整備などの環境整備に留意する必要があること
  • 今後、退職者数の大幅な増加に伴い、教員採用者数の増加が見込まれることから、質及び量の両面から、優れた人材を養成・確保することに留意する必要があること

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