資料2 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 (第31回) 議事要旨(案)

1.日時

 平成17年3月29日(火曜日) 10時~13時

2.場所

 霞ヶ関東京會舘35F 「ゴールドスタールーム」

3.出席者

 梶田部会長、安彦委員、天笠委員、大南委員、小原委員、門川委員、川並委員、甲田委員、高倉委員、田村委員、角田委員、野村委員、横須賀委員、中嶋委員、西嶋委員、平出委員、北條委員、宮﨑委員、八尾坂委員、山極委員、山﨑委員、鷲山委員

文部科学省関係者

 板東審議官、山中審議官、徳永審議官、戸渡教職員課長、杉野専門教育課長、高口企画官、勝野視学官、伊藤専門官他

4.議事

(1)平成16年度の教員免許課程認定大学の実地視察について

 主査の野村委員から平成16年度教員免許課程認定大学実地視察について報告の後、質疑応答が行われた。(非公開)

(2)平成16年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について

 主査の野村委員から、平成16年度課程認定申請大学等数と教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に関する審査について報告があり、本報告どおり答申を行うことが承認された。(非公開)

(3)教員免許課程の認定に係る審査上の課題について

 主査の野村委員から説明の後、引き続き、課程認定委員会において検討することが了承された。

(4)各ワーキンググループの検討状況について

 専門職大学院ワーキンググループ及び教員免許制度ワーキンググループの検討状況について、それぞれの主査の横須賀委員及び野村委員から報告が行われた。
 また、義務教育特別部会の審議状況について事務局より報告の後、自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり。(○:委員、●:事務局)

委員
 問題点や課題はほぼ出尽くしている。各大学では、専門職大学院について構想を練っているが、専門職大学院の教員は学部や大学院の教員となれないため、そこまで犠牲にして専門職大学院を設置するのは難しい。専門職大学院を改革のチャンスにしたいという気持ちはあるが、結局設置できるのは幾つかで良いとなってしまう。教員養成は複線的であるべきで、専門職大学院は大きな可能性があるため、多くの大学が可能性を共有した方が良い。このためには、教員に関する制約の弾力化が一つの論点である。大学院を柔軟にすることも考えられるが、現行の修士課程の教育学研究科との区別が曖昧となるので、その辺りをワーキンググループで詰めていただきたい。
 また、更新制について、小学校の場合はクラス担任であるため、教員の適格、不適格は1年でわかるが、中学校の場合は教科担当であり、2~3年目くらいで適切な評価ができるという。早い時期に適格性が評価されて方向転換できるのであれば良いが、10年たって不適格といわれるのは困る。条件附採用期間を延長することが一つのポイントではないか。採用したら、教育委員会がしっかり研修をして責任を持つというのがスムーズだと考える。免許制度ワーキンググループの報告では、条件附採用期間を2年とする意見も出ていたということだが、2~3年に延長する可能性を探っていただくのが良いのではないか。仮免許等の話が出ていたが、これらと絡めると展望が開けてくると思われるので、ワーキンググループで議論していただきたい。

事務局
 専門職大学院については、分野を問わず教員組織の充実を図るという観点から、設置申請にあたり、専任教員として数えられる教員は、学部や他の修士課程の必要専任教員と重複して数えることができないことになっている。この制度は平成25年までの間は、一部重複して数えることができるという経過措置が設けられているが、原則は重複できないことになっている。

委員
 教育分野の専門職大学院については、専任教員の取扱いについて、柔軟な措置があっても良いのではないかという意見が出てくるかもしれないので、その時は、本部会で検討することになるのではないか。

委員
 現在、専修免許状を取得しても、教育委員会から信頼されていない。このことは、専門職大学院の検討にも関係してくる。これまで、地域や教育委員会とのパートナーシップを築けないまま、大学主導で教員養成を行ってきたことが課題としてあるのではないか。専門職大学院は色々なパターンがあっても良いが、地域とのコラボレーションがないと発展しないだろう。また、更新制については、これから免許状を取得する者は対象にできるが、現行の終身の免許状を有する者にどのように適用するのか、あるいは代替的な要件を課すかは検討課題である。

委員
 大学院では、一種免許状を取得していないと専修免許状は取得できないのではないか。教員養成の大学院には、小学校の現職教員が多いが、その現状と、今回の専門職大学院との関係がよく理解できない。専門職大学院は新しくつくることになるのか。現行の大学院をより充実させるというのであればできるが、新たにつくるというのはどうか。専門職大学院の教員のダブルカウントを認めないと、私立大学の経営は成り立たないのではないか。

委員
 専門職大学院修了者に、現行の専修免許状とは別の免許状を授与するかどうかについては決まっていない。一種免許状を取得していなければ専修免許状は取得できないのか。例えば、他学部出身者で、一種免許状を取得するための単位を修得していない者が、大学院で専修免許状を取得することができるのか。

事務局
 大学院で初めて教職を履修する者については、例えば、教職特別課程を開設している大学で1年で一種免許状を取得する、通信教育で取得する、あるいは学部で科目等履修生として必要な単位を履修しながら、大学院で追加履修して、大学院修了時に、一種免許状及び専修免許状の両方を取得することなどが考えられる。

委員
 平成14年答申の際、更新制に代わるものとして10年経験者研修が提言されたが、今回、更新制の導入の検討を行うにあたっては、10年経験者研修の現状と課題の検討を行い、その上でどのような形での導入が有効なのかを検討していただきたい。

委員
 今後、教員が大量に採用される時代を考えると、更新制の制度設計の前に、免許状授与の入口の検討が必要だと考える。その点では、大学の教職課程を履修して、すぐに免許状を与える仕組みではなく、何らかの統一テスト等、入口の検討を行う必要があるのではないか。課程認定の現状を考えた時、少なくとも能力を揃える必要がある。1年間の条件附採用期間があるだけでは、学校現場で十分対処できない部分があるのではないか。

(5)特殊教育免許の総合化(審議のまとめ案)について

 主査の大南委員より説明の後、質疑応答が行われれ、了承された。主な意見は以下のとおり。(○:委員、●:事務局)
 また、本まとめについては、パブリックコメントを実施することとなった。

委員
 障害の重度重複化に対応して、盲・聾・養護学校の3本立ての免許を統合する必要があるが、それぞれの専門性を強く主張されることがあり、統合が難しかった。専修免許状は、特定障害に対する深い専門的知識に加え、ピークを立てることで専門性を担保していくことは重要だが、全体として統合するということがうまくまとめられている。一種免許状の選択科目8単位において、特定の障害種に関する一定の専門知識など、ピークは立てている。統合と専門性の確保という二つの要望をうまくまとめている。現実にこれらをどのように教職課程に反映させていくのかが問題となるが、当分の間、免許状を持たなくても良いということが何十年も続いたのは問題であった。現状をいつから改めるのかという課題は残るが、きちんと提言していただいて良かった。将来的な課題として、小・中学校等の教員養成カリキュラム全体の見直しの中で、特別支援教育に関する科目の適切な位置付けが必要ということだが、「将来的な課題」という表現ではなく、もう少し差し迫った書き方であっても良い。

委員
 特別支援教育については、幼稚園の現場も大変関心を持っている。義務教育段階が先行するのは仕方がないが、まとめの中には、小・中学校等というように「等」が入っており、また、「幼児」という表現も見受けられる。LDやADHD等は、低年齢での判断は難しいが、早期段階で対応できれば、子どもの将来に良い環境をつくっていける。免許の総合化が幼稚園教育とどのように関係するのかが今後の課題だが、幼児教育段階にも特別支援教育の考え方を発展させ、免許の在り方も検討していくという課題もあることを、まとめの中で触れていただきたい。

委員
 この検討は、初等中等教育の包括諮問の中から始まったので、必然的に義務教育段階を中心に議論されたが、第1回から義務教育に限定せず、幼児教育、高校教育も合わせて考えていくこととされた。したがって、このまとめ案において、小・中学校等の「等」は、幼児教育や高等学校も視野に入れていると捉えていただきたい。なお、中間報告のとりまとめにあたり、総会では、幼児教育は、幼稚園だけでなく保育所も視野に入れるべきとの意見があり、中間報告は、そのような文言に書き換えている。高等学校の問題は、大学進学や就労の問題も視野に入れた議論を行ってきた。小・中学校に重点を置いてはいるが、幼児教育、高等学校、さらには就労までを視野に入れている。幼稚園の免許の問題等についても、何か書き込んでいくことになるのではないか。

委員
 総合施設が、平成18年から動き出す。免許状の問題は、所管省庁を含めて、いまだ解決していないが、就学前教育に対する言及をしておかなければいけない。

事務局
 幼児教育については、特別支援教育特別委員会でもご審議いただき、LD/ADHD、高機能自閉症等への対応については、幼児教育段階での早期発見、早期支援が重要であることから、幼稚園及び保育所との連携を考慮しながら、幼児教育段階における特別支援教育の検討が必要であるということで、中間報告がなされている。

事務局
 幼稚園、小・中学校等を含めて、特別支援学校が、センター的機能を発揮して特別支援教育を行っていくこととされている。特別支援学校の教員の免許状という前提でご審議いただいた。「将来的課題」ではニュアンスが弱いのではないかとの指摘があったが、教職に関する科目の中で、従前から扱わなければならない障害のある児童生徒の心理及び発達の過程について、内容の充実を徹底し、将来的課題として、現行では幼児・児童・生徒の学習の過程の中に含んで実施することとなっているものを独立の科目とするかについては、小・中学校の教員養成カリキュラム全体の見直しを見ながら、今後の課題としてまとめていただいた。

5.閉会

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

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