資料7 専門職大学院ワーキンググループにおける審議状況

1.審議経過

第1回 3月17日(木曜日)
 これまでの教員養成部会における議論の内容を踏まえて自由討議

2.第1回ワーキンググループにおける主な意見

(1)現在の大学・学部における教員養成の問題点

  • 教員養成大学や一般大学における教員養成について、一番の問題点は何か。座学が多すぎてオン・ザ・ジョブが弱いのか、教科教育は出来るが人間教育が弱いのか、それとも子どもが好きで情熱を持った人が集まることが少ないのか。
  • 教員養成大学の教員の中に、教育を語ることを嫌う人が多い。そのような人は、それぞれの学問分野においては、立派な論文を書き、国際的な学会に属して評価されている。しかし、本来、教員養成大学・学部における教育は、理学部や文学部など他の大学・学部における教育とは違うはずである。
  • 教員養成学部の教員が専門的な研究ばかり行っていると批判されるが、研究はするな、事例研究ばかりやれというのでは、教員としてモティベーションが出ない。研究をしながら自分自身のモティベーションをつけ、そのモティベーションを教育という場にどのように還元するかが今後の大きな研究課題になるのではないか。

(2)現在の大学院(修士課程)における教員養成の問題点

  • 現在、教員養成系大学院の修士課程を修了して専修免許状を取得した者に対して、教育委員会が全く信頼していない。これはなぜなのかを考えなければならない。
  • 既存の教員養成系大学院が抱えている問題として、研究志向の部分と実践志向の部分が混在しているという問題がある。ストレートマスター、現職教員のいずれについても、研究志向の学生と実践志向の学生が混在しており、指導の体制がうまく機能していない。
  • 既存の大学院における教科に関する研究的な機能と、スキルの高い教員を輩出していくという実践的な機能とを、うまく切り分けることが、現在の教員養成系の大学院の目指すべきところだと思う。ただ、教育学の研究を行っている立場から言うと、教育の現実は研究と実践が切り分けられないという点に本質的な問題がある。

(3)教員養成における専門職大学院の役割及び位置付け

  • 国際学力調査でフィンランドがトップになり、フィンランドの教員養成に関する関心が全国的に高まっている。フィンランドの教員は原則として修士号の取得が要件とされており、これが教員の資質のレベルアップに相当寄与していると聞いている。
  • 現在、小学校段階を中心として教員が不足している中で、質の高い教員を確保するにはどうしたらよいかが各県の最大の課題となっている。このような状況を考えると、卒業してすぐ免許を与えて採用して教壇に立つのが良いのか、あるいはもう少し現場経験を経た上で正規の教員として立つのが良いのか、その点を考えなければならない。
  • 教員採用については、教育委員会は即戦力を採用したいという方針になっている。大学新卒の人よりも、経験者の方が、採用試験における模擬授業においては強いし、新卒の人でも、高校や大学の時にボランティアなどで実際に子どもと関わったことのある人は、子どもをイメージしながら話や授業ができる。従って、新しい大学院制度をつくるのであれば、学校現場との関わりあいの中で教育を行うことが重要。
  • 教員養成に求められる「実践力」の中身は何かを深めなければならない。ややもすると座学が否定されるが、かといって体験を重ねるだけで実践力がつくわけではない。体験を振り返って分析をして次の課題を出していける力、これを実践力としてつけなければならない。
  • 教員養成においては、社会における新しい動きの中で自分の実践を捉えていくことが必要。長い間、現実社会との関わりは、政治的であるとして否定されたり歓迎されなかったりしたが、教員はその時代の社会の動きを把握しながら教材を作成したり、授業を展開していくことが必要。

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