資料2 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 (第29回) 議事要旨(案)

1.日時

 平成17年3月4日(金曜日)10時~13時

2.場所

 如水会館3階 「松風の間」

3.出席者

 梶田部会長、横山副部会長、安彦委員、天笠委員、門川委員、川並委員、河邉委員、甲田委員、佐々木委員、高倉委員、田村委員、渡久山委員、永井委員、西嶋委員、野村委員、平出委員、北條委員、宮﨑委員、八尾坂委員、山極委員、山﨑委員、横山委員、渡辺委員

文部科学省関係者

 近藤文部科学審議官、銭谷初等中等教育局長、樋口審議官、徳永審議官、戸渡教職員課長、杉野専門教育課長、勝野視学官、伊藤専門官 他

4.議事

(1)部会長の選任

 委員の互選により、梶田 叡一兵庫教育大学学長を部会長に選任した。また、梶田部会長の指名により、横山 洋吉東京都教育委員会教育長を副部会長に選任した。

(2)初等中等教育分科会教員養成部会運営規則等について

 事務局から説明の後、運営規則及び会議の公開について案のとおり、了承された。

(3)今後の教員養成・免許制度の在り方について

 事務局からの配付資料の説明の後、自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり。
 (○=委員)

委員
 教員の中にもステージがあり、更新がいつ、どのように、何回行われるかということが気になる。更新の基準として、学校を率いていく能力を加えていけるかが課題になる。

委員
 ステージがあるという事、その通りだと思う。教員になりたて、3年後位、5年から10年後位の段階があり、多分10年目ということで、10年経験者研修が出てきたと思うが、適切だと思っている。その次の段階を設定しなければならない。

委員
 課題は出尽くしている。これをどうまとめていくかであるが、教員の自主性、創造性、やる気、意欲を高めていかなければならない。京都市の研究団体は、土曜日も日曜日も夜も自主的に活動している。一方、教育委員会主導のもとに、決められた研修はきちんと受けてもらう。教育行政が、或いは更新制等が作るカリキュラムと、自主性、創造性を高めていく取り組みとをどう連動させていくかがポイントではないか。がんじがらめの制度設計をしないように気を付ける必要がある。優秀な校長は、現場でたたき上げられ、学んできた。大学や大学院に行くことも必要だが、両方見ていく必要がある。もう一点、いい教員を奨励していく制度を作っていく。一方で、この6年間に80人の教員に去ってもらった。これも両方やらなければならない。日本の教員は、優れた能力とやる気を持っており、処遇が悪くても、勤務を一生懸命こなしている。しかし、教育者が尊ばれる社会になっていない。この論議が、頑張っている教員を励まし、やる気を高め、教職を目指す学生を増やしていくようにして欲しい。

委員
 今までの審議で、ほぼ論点は出尽くしていると思う。ただ、使われている言葉が、まだはっきりしていない。言葉の中身・定義を明確にして、詰めて頂きたい。教職を専門職として捉える時、どのような条件を掲げていくのか議論が必要。この部会全体としては、諮問にあったように、教員の資質向上がねらいであり、それを外から見える形にしたい。保護者や多くの方の尊敬を得られるかが、大きなポイントになる。外から見える形としては、何らかの高学歴化や資格の向上など、見えるものにすべきである。資質の向上でこれまで欠けていたのは、外部評価であり、表彰制度は、そういうものがある方が良い。

委員
 大抵の場合、学校と家庭がやり玉にあがって、親が悪い、教員が悪いとなりやすいが、理性的に話を分けて考えなければならない。学校に収斂できないことも学校のせいにされる。教員の在り方は、地域や時期により違い、一概に言えないところがある。教職生活の中で、どういう形で資質を向上させ、学校や教育界の中でどういう役割をどの段階でどのように持ち、研修や養成でどういう資格や研修経験を求めるかということを体系的に考えなければならない。ある種の研修や免許制度を導入すれば一挙に全て良くなるということはない。一人の教員の全体の中で、キャリアパスの構造的な背景を考えて議論しなければならない。教員の世界は、最後は使命感と熱意がものをいう。免許や資格や学歴を越えたところで立派な教育をする人がいる一方、資格だけが立派な教員もいる。制度設計の中に柔軟な要素を入れる必要がある。

委員
 教育改革国民会議で、専門職大学院の問題も議論され、答申の中に書かれている。その趣旨は、昔は教員が尊敬されていたが、今は親の方が学歴が高く尊敬されなくなった。戦前は師範学校を出た後、高等師範等高いレベルの途が用意されていて、それが社会的に認知されていた。更新制を議論したのは、更新制で保証されている教員であれば、教員の尊敬度が回復してくるというねらいもあったので、このような視点も必要である。

委員
 平成13年の諮問の表現は、柔らかだった。つまり、更新制の導入の可能性を検討するという、非常に回りくどい文学的な表現であった。今回の諮問は、まさに導入について検討するんだという、非常な前向きの諮問である。これは言葉だけの問題ではなくて、2、3年の間に、教育界を巡って、急激かつ深刻な事態が進行していることを率直に認めざるを得ないのではないか。そういう背景を前提にした上で、諮問の意味を考えるべきではないか。14年答申の時には、更新制を導入しないことのメリットに議論が集中したのではないか。今回は、導入のメリットを積極的に議論する姿勢が必要である。

委員
 前回議論した中味は、少しずつ言葉の概念が違って混乱気味だった。改めて、教員養成のあるべき姿を時代背景の中で考えるべきである。更新制が出てきたのは、児童・生徒、我々を含む社会の大きな変化と教職が持つ課題である。平成10年の改正の時、大学における教職は最小限必要な資質能力とする条件の下で、教員免許を議論した。すると、教員になってからどう育てるかという問題が出て、更新制のメリットを考える時代に入った。制度の課題をもう一度整理していく必要がある。更新制とキャリアパスは、分けて考えていく必要がある。キャリアパスをラダーと見ないように、専門化していく意味を捉え直す必要がある。

委員
 法科大学院は、大学院部会で議論され、様々な観点から検討された上で実現した。これを検証してみると良いのではないか。例えば、2年制と3年制課程のカリキュラムの違いはどうしているのか、教員養成の専門職大学院に使えるのかどうか。現職教員のマネジメント能力を付けるのなら、1年制課程もあるのではないか。法科大学院と修士課程のカリキュラムはどう違うのか。学部の専門教育と法科大学院のカリキュラムは、どのように連動され、また、違うのか。学位が法科大学院を出ると法務博士になるが、法学研究科を出ると修士になる。法科大学院について研究することにより、教員養成の専門職大学院のヒントが出てくるのではないか。

委員
 戦後の教員養成制度が作られた経緯を踏まえ、小学校の教員養成の在り方について、教育実習の在り方等も含めて、検討する必要があるのではないか。義務教育の教員は幼稚園と一緒で、知が勝るのではなくて仁の方がきちんとできる教員を養成する必要があるのではないか。

委員
 師範学校や師範教育が悪者にされたが、今、師範学校や師範教育の良さ、使命感を初めから持つ目的養成の良さを見直すべきという考え方が強くなってきたような感じがする。専門職大学院にも関わる問題なので、これから議論していきたい。

委員
 免許法で定める教職に関する科目は、ナショナルカリキュラムなのか。ある大学では、特別活動の指導法の講義を15回位座学で行う一方、別の大学では現場での活動を行っている。道徳も同じで、大学によって幅がある。シラバスのモデルを作った方が良いのではないか。教職の場合、大まかな定めがあるだけで、内容に立ち入らないということが師範教育の時代からあった気がする。専門職大学院はシラバスのモデルを示した方が良いのか。

委員
 道徳教育について、物知りになるような授業を受ければいいのか、道徳性が育成できる手段・方法をマスターする授業をやらなければいけないのか。似ているが全く性格の違うものが、同じような名前で、ある大学はこちらをやり、ある大学はこちらをやるということがある。これはかなり大きな問題だと思うので、頭の中に置いておきたい。

委員
 何故日本の資格制度の中で教員だけに、更新制を導入しようとするのか。公務員制度について、国民的合意ができていない中で、何故行う必要があるのか。国民会議から提起された問題については、平成14年の答申の中で、不適格教員、指導力不足教員について排除のシステムができた。今後、教員が大量に減って、不足する。そうすると教員を大量に養成しなければならなくなる。その際に、更新制を導入することでネガティブな側面が出てくる。免許の制度設計は、今の日本における教員の状況とリンクして考えなければならない。

委員
 義務教育特別部会でこの問題は、詳細にデータを出して議論すると伺っている。ここに資料を出して頂いて、その関連で議論していきたい。

委員
 教員が尊敬される存在となるような更新制を考えるということは、その通りである。教員が不足する時代に対応した更新制が求められる。現在の上進制度は、教員の資質と関係なく免許状が授与さる仕組みになっている。上進制度が現在の教員の能力にマッチしていないという問題がある。この問題を整理することが大切ではないか。まずは、入り口の教員養成をどうするか、その時の資格というものを改めて考える必要がある。更新制と資格認定を連動させるという考え方を取る必要があるのではないか。そうすれば、教員の資質能力をレベルアップしていけるのではないか。

委員
 知、徳においては、教員の資質は高いレベルだと思うが、地域差、学校差、個人差があり、特定の地域だけを念頭に置いて審議すると問題がある。子どもを被害者にしないために、更新制を導入しなければならない。教養審で第1次、第2次、第3次答申を出したが、学長、教務委員すら答申を読んでいない現状がある。大学が全入となり、学力の低い学生が入り、その学生が授業に出てきたから可を付けるというのでは困る。最小限必要な資質能力を持った学生を可にするという、優良可の問題も本部会で検討すべきだと思う。二種免許、一種免許、専修免許は、質的な違いがあるはずなのに、単位数だけの違いとして、免許を授与していないか。

委員
 学習指導要領の全面的見直しが動き始めており、その方向性が出ると思うが、学習指導要領の改訂が先に来て、教員養成カリキュラムがついてくるという実態になっている。人を先に養成しつつ、次の学習指導要領の精神を持った人が、現場に送り出されることを考えなければならない。学習指導要領と教員養成カリキュラムが、いい意味で連動していくシステムを考えることが必要。学習指導要領が不断の見直しで動こうとしているが、教員養成カリキュラムが、それをどのように受け止めて、どういう形で考えるかを、視野に入れるべきだと思う。

委員
 教員養成の在り方を考える時に、大学教育という視点からどう考えるかも必要である。大学における専門教育として、どこまで学部段階でやり、修士課程ではどこまでやるかを明確にする必要がある。また、社会の要請にどこまで応えられるか明確にしていく必要がある。この問題は制度論として考えていく必要がある。専門職大学院と資格をリンクさせることを制度としてみた時に、よりベターであるかという観点で論じなければならない。更新制を導入する場合に、専門性や指導力の向上とリンクさせようとすると、更新制を導入しないと教員の専門性や指導力が向上しないのか、更新制の下での研修でなければ実があがらないのか、更新制を導入することで研修の効果があがり、教員の資質が向上するのか、確実性があるのか、制度論としてこれらの問題を考えていかなければならない。従来の免許制度の改正は、学習指導要領の改善とリンクして行ってきた経緯がある。従って、今回も学習指導要領の見直しがなされる状況の中で、現行の教職専門、教科専門、相互の必要単位数について、見直すことも考える必要がある。

(4)「専門職大学院ワーキンググループ」及び「教員免許制度ワーキンググループ」の設置について

 事務局から説明の後、設置が了承された。

5.閉会

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

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