資料2 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 (第25回) 議事要旨(案)

1.日時

 平成16年11月8日(月曜日) 10時~12時10分

2.場所

 如水会館 「松風の間」

3.出席者

 鳥居会長、木村分科会長、國分部会長、田村副部会長、天笠委員、石原委員、大南委員、小川委員、小栗委員、梶田委員、川並委員、佐々木委員、高倉委員、渡久山委員、永井委員、西嶋委員、橋本委員、平出委員、藤崎委員、森川委員、松尾澤委員、八尾坂委員、山極委員、山崎委員、横山委員、鷲山委員、渡辺委員

文部科学省関係者

 樋口審議官、山中審議官、板東審議官、戸渡教職員課長、勝野視学官、佐野主任大学改革官 他

4.議事

(1)新委員の紹介

 事務局より4名の新委員を紹介した。

(2)今後の教員養成・免許制度の在り方について

 今後の教員養成・免許制度の在り方について、事務局からの説明の後、自由討議が行われた。主な発言は以下の通り。
 (○=委員、△=文部科学省)

教員養成における専門職大学院の在り方について

委員
 教員養成の専門職大学院の場合、専門職として何を想定すべきか。また、既成の大学院との性格付けの違いをクリアにしなければならない。

委員
 専門職大学院は、専門職としての教員の養成を目指すものなのか、個々の学校現場の課題に対応するものなのか。教員の資質能力に関連して、専門職大学院の問題を諮問した理由をご説明願いたい。

文部科学省
 大学院修士課程を視野に入れて、どのような形で高度な専門性と実践的な指導力を有する教員の養成と、現職教員の再教育の充実を考えたらよいかという中で、専門職大学院制度の活用やその在り方についてご検討いただきたいというのが諮問理由である。

委員
 医学や法学は専門性がはっきりしているが、教員の専門職性には、様々な議論がある。教師教育における専門性とは何かをきちんと確立するべきではないか。教員養成の場合、専門職大学院の枠組みだと学部を持つことができなくなるが、学部の卒業生も先生になっているため、その辺をどうするかが問題である。

委員
 教員養成について、4年制を原則とするのか、6年制を原則とするのかが論じられなければいけない。専門職大学院が設置される分野は広がりを見せており、教職についても専門職大学院を設置し、必要な免許状を与えたいという動きは強まると思われる。現行の専修免許状と比較した場合、専門職大学院修了者に相当の教員免許状を出すことは必然であり、専門職大学院としてどのような免許状がふさわしいのか、そのためにどのような教育内容、方法が考えられるのかを論じることが実際的ではないか。

委員
 本来、専門職大学院を目指したはずの新教育大学が、なぜ今専門職大学院を目指すような改革案を掲げなければならないのかを整理しなければ、専門職大学院へのランディングは難しいと考える。また、これまで、専門大学院若しくは専門職大学院という議論の流れと、修士課程若しくは専修免許状という議論の流れは必ずしもかみ合ってこなかったが、これをどのようにマッチングさせるかが大きな課題になる。

委員
 現場は、大学院を修了しているからといって、良い教員ではないという意見が強く、この点は無視できない。一方で、学校の置かれている社会環境も変わってきており、教員も今までとは違った専門性を身につけなければならない。そこで、学部では十分でない部分を新しい大学院で身に付けさせることを考えるべきではないか。実際に専門職大学院で何を教えるのか、卒業生が現場で有用な人材になるのかどうかを議論していくことが大事である。

委員
 現在の教員政策がどうなっているかを考えなければいけない。教員の資質向上が期待される一方で、民間の人材の登用を進めている。また、非常勤講師や臨時採用の教員が増え、学校の教育力が相対的に落ちてきている。専門性に関しては、現場のニーズと教育活動における専門性の必要性について考える必要がある。大学院卒の教員の率が低いため、何らかの形で増やしていくことは必要かもしれないが、現在の教員構成を分析した上でなければ、何のための専門職大学院かということになる。

委員
 専門職大学院の入学生は誰なのか、どのような目的で作るのか、現在の教育学部の大学院は何のためにあるのかがはっきりしない。国立大学の教育学部の大学院と専門職大学院とはどこが違うのかを、兵庫教育大学、鳴門教育大学、上越教育大学の見直しとあわせて、検討した方がよい。

委員
 専門職大学院の目的、ターゲットをどこに絞るのかが肝心である。基礎資格6年制を前提に専門職大学院を議論するのは、非現実的である。基礎資格は4年として、現場の活性を図るための資格を付与する、あるいは教職のキャリアアップをシステム化する中に、専門職大学院を意味づけていく方が現実的ではないか。管理職の養成を行うとか、マスターティーチャーの資格を付与するなど、更新制の問題ともリンクして専門職大学院の問題を考えるといろいろな議論ができる。

委員
 現場では、小・中・高等学校で求められる専門性が異なる。教職面を重視した改革により、特に、外国語や理数系などは、専門学部卒の教員の方が、優れた授業ができる。専門職大学院では、子どもの発達段階や年齢という視点が大事である。また、これから学校が地域の中で、教育機関として確立するためには、校長や教頭、指導主事などが専門性を向上させることを担保する仕組みを作るべきである。

委員
 学校の組織力低下の一因として、リーダーシップ機能やマネジメント機能が浸透していかないことがあるのではないか。学校組織を動かしていくリーダーの養成をどのように進めていくかが重要な課題。既存のシステムや組織を生かしていくことも考えられるが、専門職大学院も一つの提起ではないか。

委員
 教員には、人格形成の支援、基礎的な知識・技術の定着、一人一人の学ぶ姿勢や意欲を高めること、生きて働く力の基礎を支援すること、子どもや保護者の支援や地域との関わり、社会の変化への対応や柔軟な発想、教育愛があることなどが求められている。専門職大学院については、制度を変えることで、一部の教員の養成だけでなく、全体の資質向上につながらなければいけないので、その辺は、慎重に議論する必要がある。

委員
 開放制の教職課程の教育を見た限りでは、大教室で文学などの授業を受けるだけで、人格形成や学習の仕方の支援、知識の教え方等について教わったとは言えない。何年かの移行期間を経た上で、免許制度を抜本的に改正することを考えなければいけない。

教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

委員
 新しい免許制度が施行されてから年数が経っていない。研修の在り方に加えて、教育系の大学院も、実践能力重視のカリキュラムを作り実施しつつある時に、この問題を検討するというのは、若干急ぎすぎではないかという印象がある。ただし、見直しの検討はしていかなければいけない。

委員
 大学で学んだことが現場で役に立っているのか疑問である。教員としてより重要なのは、一人一人の子どもをどう見るかであり、この部分を免許更新で問える制度としなければならない。管理職が授業を見るというのが、教員に対して一番効果がある。教員の条件附採用期間は1年だが、この間に教員に向いていないとわかるのは管理職だけである。条件附採用期間をもう少し延ばせば、更新制に代えられるのではないか。

委員
 免許更新制をペーパーテストでチェックする仕組みとするならプラスにはならない。更新制の議論に意味があるのは、社会が大きく変化しており、これを無視して良いのかということである。教員養成の流れの中で、教科よりも教職を重視するという考え方は、明らかに社会の変化に対応するためであった。従来学んでいないことが現在の教員には求められることを考えると、何らかの形で更新制を考えなければならない。

委員
 基本的に更新制は行うべきである。本物志向の時代であり、本物の教員になってもらうには、更新制が必要である。その場合、一律に同じ尺度で判断するのではなく、教員によって、弾力的に考えてよいのではないか。また、専門職大学院は、工学部や農学部の出身者に実践力をつけるような大学院を設けるくらいにしなければいけない。

委員
 更新制について、米国の場合、ペーパーテストというより、研修により、職能成長を目指したものであり、不適格教員の排除目的とするものではない。初任者研修や10年経験者研修とどのように関連づけるのかも検討する必要がある。専門職大学院とリンクした場合、新たな上級免許状と更新制とを結びつけて考えることもできる。教職生活の中で、専門職大学院や更新制、上進が入ってくる方がメリットがあるのではないか。採用や処遇についても考慮しなければならない。また、専門職大学院の効果を考えると、教育委員会との連携によるカリキュラム作りが大切である。

委員
 教員自ら資質能力を向上させる機運が生まれてきつつあり、教員に問題ありと固定して議論すると誤るおそれがある。問題教員を排除するというのは必要であるが、これらの教員への対応は、現実に行っている。圧倒的多数の教員はきちんとやっているという前提で、ご議論いただきたい。

委員
 現在の免許制度においては、上進制がとられており、教員の資質能力は、現場で教育に従事することにより次第に向上していくという考え方をとっている。この中に、更新制を導入するのであれば、なぜ導入するのかについての明確な理由が必要である。また、更新する観点は何かをはっきりさせることが必要である。更新制は問題である、すべきでないという観点からではなく、更新制によってどのようなメリットがあるのか、どういう観点から考えればよりよく機能するのかという点から論じていくことが必要である。

委員
 初任者研修は、研修の仕方を見直して、大きな成果を上げている。10年経験者研修は7年目頃に、25年目研修は20年目頃に行った方がよい。この年代の教員は学校の柱となっている人であり、一人一人のニーズにあった研修、研修者にとって自らの専門性をどのように高めていくのかを考えながらできる研修があったらよい。

委員
 研修の在り方も根本的に考えるべきである。研修を受けた先生がきちんと評価され、評価の結果が校長に届き、その結果が授業改善にどうつながっていくのか、明らかでない。研修後にきちんと評価をする、あるいは免許更新があるなど、あらゆる手段を使って学校や教員に緊張感を持たせることが必要である。

委員
 10年経験者研修の成果を集約して、課題があれば、更新制と結びつけて検討することが必要である。

委員
 更新制と10年経験者研修の在り方についての乖離が起こってきており、研修の手法などの面で検討課題があるのではないか。10年経験者研修は進めていく意味はあるが、両者の関連についてもう一度吟味してもよい。

委員
 教員評価や分限制度などで、教員の適格性は確認でき、更新制は慎重であるべきである。ただし、今の取り組みにメリハリをつけていく点で、更新制が良い方向に機能するなら、検討する価値はある。その場合、更新制の具体的イメージの確認が必要である。更新制が機能する可能性があるとすれば、教職に入る段階では全ての人が仮免で、2~3年の仮採用を経て、パーマネントの免許になるという方策が考えられる。

委員
 日常の評価がうまく動いていけば、教員の抱える問題はカバーされるのではないか。大学の教員は、実際の教育現場をどの程度経験し現在の問題をどのくらい認識しているのか。インターンや実習の期間はもう少し長くし、その中で、不適格と判断されてもよいのではないか。また、採用側は求める教員像をきちんと示しているのか。

委員
 現実の教育課題が解決されないままに、更新制が出てきている。諸外国でも、アメリカでしか更新制は導入されていないが、免許授与の仕組みが異っており、我が国では必然性があるのか。学校評価や学校運営協議会などは、まだ十分に機能しておらず、これまでの制度改革がもう少し定着して一定の評価が出てから、更新制に必然性があるかどうかを審議していただきたい。

委員
 更新制は、不適格教員の排除ではなく、教員としての専門性を高めていく、管理職になることや、生徒指導の専門性を磨くなど、キャリアアップの節目作りという意味では、あってもいい。免許というからには、教員は当然、専門職であり、きちんとしたプロセスを経ないと免許が取れないような仕組みとすべきである。1~2年の仮免の期間を設けて、現場に出て鍛えられるということもありえる。現職教育はおざなりになっており、議論すべき点である。

委員
 大学でも、学生が多様化し、教員がついていけないという現状がある。教員に求められる資質能力は高まっており、これは世界的潮流である。そういう意味で、専門職大学院や更新制が出てくるのは当然である。また、教員について、大学院修了者が歓迎されないという状況は考えなければいけない。

(3)今後の開催日程について

 事務局より今後の日程について説明の後、閉会となった。

5.閉会

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --