資料9 教員養成・免許制度に関する審議会の主な提言

  1. 教員の資質能力の向上方策等について 教育職員養成審議会答申(昭和62年12月18日)
  2. 新たな時代に向けた教員養成の改善方策について 教育職員養成審議会第1次 答申(平成9年7月28日)
  3. 修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方について 教育職員養成審議会 第2次答申(平成10年10月29日)
  4. 養成と採用・研修との連携の円滑化について 教育職員養成審議会第3次答申 (平成11年12月10日)
  5. 今後の教員免許制度の在り方について 中央教育審議会答申(平成14年2月 21日)

教員の資質能力の向上方策等について-教育職員養成審議会答申(昭和62年12月18日)-ポイント

1.教員の養成・免許制度の改善

(1)教員の養成と教員免許状

  • 普通免許状の種類の改善
    専修免許状(修士修了)、標準免許状(学部卒業)、初級免許状(短大卒業)の3種類の創設
  • 特別免許状の創設

(2)免許基準の改善等

  • 教科に関する専門教育科目及び教職に関する専門教育科目等の改善
  • 大学における教員養成の改善

(3)教員の養成・免許制度の弾力化

  • 1年程度の期間で、標準免許状に係る教職に関する専門教育科目の単位を修得させることができる教職特別課程の設置

(4)社会人の活用

  • 特別非常勤講師制度の創設
  • 特別免許状制度等の適切な運用

(5)今後の課題

  • 教員養成の年限の延長等教員養成・免許制度の基本的な在り方
  • 教員免許状に期限を付し、当該期限の到達時に、一定の研修を義務付けることによりその更新を認める制度の導入

2.教員の現職研修の改善

  • (1)初任者研修制度の創設
  • (2)現職研修の体系的整備

3.6年制中等学校の教員資格

(略)

新たな時代に向けた教員養成の改善方策について-教育職員養成審議会第1次答申(平成9年7月28日)-のポイント

1.大学での教員養成の改善

1 ねらい

 使命感,得意分野,個性を持ち,現場の課題に適切に対応できる,力量ある教員の養成。

2 教員養成カリキュラムの大幅な弾力化

 大学が,教員養成に対する社会的要請を踏まえ,主体的にカリキュラム編成を工夫できるよう,教員養成カリキュラムに選択履修方式を導入するなど,大幅に弾力化。

3 教職に関する科目の格段の充実

 専門分野の学問的知識よりも,教え方や子どもとのふれあいを重視し,教員としての学校教育活動の遂行に直接資する「教職に関する科目」を格段に充実(中1種免許状の場合19単位→31単位)。教授方法としては体験や演習を重視。

  1. 「教職への志向と一体感の形成に関する科目」(2単位)を新設
  2. 「総合演習」(2単位)を新設
  3. 中学校の「教育実習」を充実(2週間→4週間)
  4. 「生徒指導,教育相談及び進路指導に関する科目」を充実(小・中・高2単位→4単位,幼新設,教育相談にはカウンセリングを含める)
  5. 教科教育法の充実(中2単位程度→8単位程度,高2単位程度→4単位程度)
  6. 子どもとのふれあい,福祉,ボランティア等体験に係る科目の奨励
  7. 「外国語コミュニケーション」「情報機器の操作」を必修化(各2単位)

4 その他の免許制度の弾力化

 盲・聾・養護学校免許状の複数取得の容易化,学位授与機構認定の短大専攻科での一種免許状の取得など。

2.学校での社会人の活用の促進

 社会人が教壇に立てる制度(特別非常勤講師制度)や,意欲・能力ある社会人を常勤教員に採用する制度(特別免許状)を改善(対象教科拡大,手続き簡素化等)。

 [参考表]単位数の新旧対照表(1種免許状[学部卒レベル]の場合)

(現行制度)
区分 小学校 中学校 高校 幼稚園
教科 18 40 40 16
教職 41 19 19 35
教科又は教職
合計 59 59 59 51
 → 
(改正後の制度)
区分 小学校 中学校 高校 幼稚園
教科 8 20 20 6
教職 41 31 23 37
教科又は教職
(選択履修枠)
10 8 16 8
合計 59 59 59 51

修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方について-教育職員養成審議会第2次答申(平成10年10月29日)-のポイント

1.基本的考え方

 現職教員の資質能力の向上を図るため、可能な限り多くの現職教員が多様な形態で修士レベルの教育を受けることができるよう、条件整備を進めるとともに、修士号・専修免許状取得者に対し所要の処遇改善を行う。

2.具体的施策

1.修士課程の改善等に関する措置

  • (1)修士課程の修業年限の弾力化
  • (2)校務に従事しながら修士課程に在学する機会の整備
  • (3)修士課程への入学前における適切な指導等
  • (4)修士課程における教育研究の充実
  • (5)カリキュラム開発研究の推進等
  • (6)修士課程での学修修了後の連携の確保
  • (7)大学と任命権者の連携協力

2.上進制度の改善等

(1)上進制度の改善

 専修免許状の質の確保を図るため、在職6年で6単位まで逓減する専修免許状への上進制度の見直し

(2)専修免許状に係る免許法認定講習の見直し

 主催を大学に委ねるなど計画・実施に大学を適切に関与させ、質を確保

3.修士課程への在学を容易にするための措置

  • (1)修士課程へのフルタイム在学を容易にするための措置
  • (2)修士課程への長期在学を容易にするための条件整備

4.修士レベルの教育機会の計画的・重点的な提供

5.修士レベルの教育を受けた者を対象とした処遇改善

6. その他修士課程を活用した教員養成の改善のための施策

  • (1)6年一貫による教員養成教育は今後の検討課題
  • (2)教員養成教育を受けていない者の修士課程への受入れ
  • (3)専修免許状取得に当たっての履修内容の免許状への反映

養成と採用・研修との連携の円滑化について-教育職員養成審議会第3次答申(平成11年12月10日)-のポイント

1.採用の改善

  • 教員の採用については,多面的な人物評価を積極的に行う選考に一層移行する。
  • 採用側において,採用選考に当たり重視する視点を公表することにより,求める教員像を明確化する。
  • 条件附採用制度の一層の運用の改善を図る。

2.研修の見直し

  • 個々の教員の自発的・主体的な研修意欲に基づいた研修を奨励し,そのための支援体制の整備を図る。
  • 初任者研修については,校内研修及び校外研修の内容及び方法を見直して一層の充実を図るとともに,その運用等の改善を図る。養護教諭の新規採用者研修に関しては,初任者研修の改善の方向に可能な限り沿いながら条件整備に努める。
  • 職務研修については,現場の課題に適切に対応する上で必要な内容等に精選するとともに,研修の実施方法についても,選択制の導入,参加型の研修の導入等を基本的な視点として見直しを図る。
  • 社会体験研修については,長期の研修の機会を拡充するとともに,すべての教員に短期の研修の機会を提供する。
  • 学校栄養職員の研修については,食の指導の充実を図る等の観点から改善を図る。
  • 学校事務職員の研修については,学校の機能的運営に資する観点から改善を図る。

3.大学と教育委員会等との連携方策の充実

  • 大学と教育委員会等とのこれまで以上の連携を進めるため,大学と教育委員会等との間で,組織的・継続的・相互的交流を含めて体制づくりを図る。
  • 大学と教育委員会等との連携のための協議会等については,教員の養成・採用・研修の改善を図るための具体策を策定・実施する取組を通じて一層連携を深める方策を,都道府県段階等で検討する。

4.教職課程の充実と教員養成に携わる大学教員の指導力の向上

  • それぞれの大学が養成しようとする教員像を明確に持ち,それを達成するための組織を構成してカリキュラムを編成する。
  • 教員養成に携わる大学教員は,自分の専門の授業と教員養成とのかかわりを考えた授業を行っていくこと,学生が課題探求能力を身に付けることができる授業を行っていくことが必要。
  • 大学の教育について実効ある自己点検・評価を実施するとともに,外部評価を積極的に導入していく。
  • 教員養成を主たる目的とする学部の大学院において,教科教育学を担当する大学教員や教員養成大学・学部において教員養成に携わる大学教員の養成を進めていくことを一層期待。

今後の教員免許制度の在り方について-中央教育審議会答申(平成14年2月21日)-のポイント

1.教員免許状の総合化・弾力化

  1. 中学校又は高等学校免許状等による小学校専科担任の拡大
  2. 現職教員の隣接校種免許状の取得を促進する制度の創設
  3. 特殊教育総合免許状の創設について早急に検討
  4. 専修免許状に記載する専攻分野の区分の規定

2.教員免許更新制の可能性

1.教員免許更新制の可能性の検討

 現時点における我が国全体の資格制度や公務員制度との比較において,教員にのみ更新時に適格性を判断したり,免許状取得後に新たな知識技能を修得させるための研修を要件として課すという更新制を導入することは,なお慎重にならざるを得ないと考える。
 今後,科学技術や社会の急速な変化等に伴い,我が国の資格制度全体について,一度取得した資格が生涯有効でよいかという議論も生じる可能性があると考えられる。このような状況が生じ,教員免許の更新制を検討する場合には,我が国全体の資格制度や公務員制度との調整という問題に加え,一定の単位の修得のみをもって一般大学・学部においても教員養成を行っている現行の開放制を含めた教員免許制度全体の抜本的見直しも視野に入れた検討が必要となろう。

2.教員の資質向上に向けての提案

(1)教員の適格性を確保するために
  1. 指導力不足教員等に対する人事管理システムの構築
  2. 教員免許状の取上げ事由の強化
  3. 人物重視の教員採用の一層の推進
(2)教員の専門性の向上を図るために
  1. 新たな教職10年を経過した教員に対する研修の構築
  2. 学校における研修の充実や自主研修の活性化
  3. 研修実績の校務分掌等への活用
(3)信頼される学校づくりのために
  1. 学校からの情報提供の充実や授業の公開の拡大
  2. 学校評議員制度等の活用
  3. 学校評価システムの確立
  4. 新しい教員評価システムの導入

3.特別免許状の活用促進

  1. 授与要件の緩和
  2. 授与手続の簡素化
  3. 有効期限の撤廃
  4. 社会人特別選考の実施の促進

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初等中等教育局教職員課

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