資料2 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 (第24回) 議事要旨(案)

1.日時

 平成16年6月23日(水曜日) 10時30分~13時

2.場所

 如水会館 「松風の間」

3.出席者

 國分部会長、田村副部会長、小栗委員、川並委員、高倉委員、角田委員、永井委員、西嶋委員、野村委員、橋本委員、平出委員、藤崎委員、宮﨑委員、森川委員、山極委員、山﨑委員、横須賀委員、横山委員、鷲山委員

文部科学省

 近藤初等中等教育局長、樋口審議官、竹下教職員課長、勝野初等中等教育局視学官、宮内教員研修企画官、藤江健康教育企画室長その他関係官

4.議事

(1)栄養教諭の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程認定について

 事務局より栄養教諭の免許制度創設を踏まえた「教員免許課程認定の審査基準」の改正について説明の後、課程認定委員会主査の野村委員より補足説明。質疑応答の後、了承。発言内容は教員養成部会運営規則等に基づき非公開。

(2)その他

 教員の資質能力の向上に関する自由討議が行われた。主な発言は以下の通り。
 (○=委員、△=文部科学省)

委員
 教育職員養成審議会の第一次答申をとりまとめるに当たっては、昭和62年の答申がどのように反映されているか調査を行った経緯があるが、今後、教員免許制度について見直す際には、その後の答申の反映状況についても継続的に調査を進めて、問題点を積み重ねていくことが必要と考えている。

委員
 専科担任制度について質問したいのだが、中学校から小学校に教員が異動するような形で小学校の教員に充足できるのか。また、専科担任を行う科目以外の科目は誰が担任しているのか。

文部科学省
 専科担任を行う科目以外の科目については通常の小学校教員で対応する。全科目を中学校教員が教えるわけではない。

委員
 現状として、小学校教員を充足できるほど教員の採用者数がいるのか。

委員
 ピークの波が違うが、小学校は教員採用の氷河期は超えてきている。問題となっているのは、小学校の教員免許状取得者数ではなく、採用者の質の面である。数の面で充足できないことは考えられない。

委員
 大学教員の質の向上について、国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会で議論されたことも踏まえ、博士課程を持つ大学院について前向きに検討していただければと思う。教育職員養成審議会第二次答申においては、修士課程修了者に対する給与等の措置については各都道府県で対応可能とされた。教員免許状については、一種免許状ではなく専修免許状を標準とすることを検討してはどうか。

委員
 近年、英語教育を積極的に行っている地域では、英語の学習はオーラルで小学校から進めていく。現在の日本の英語教育ではオーラルはできていない。諸外国では英語教育はオーラルからというのが一般的である。法改正に伴い、教職課程における教科に関する科目が少なくなり、大学においてもオーラルに触れる機会が減少している。また、授業計画には記載があるが、授業内容ではオーラルを行っていないケースもある。
 隣接校種の免許状取得についてだが、採用に有利になるために、隣接校種の教員免許を取得しようとする者もいる。しかし、2種類の免許を取得するには大変な学習生活を送る必要があるのが現状である。また、隣接校種の学校で児童生徒を教える例をみると、幼小の場合には幼稚園教員が、小中の場合には小学校教員が授業を行う場合は適応しやすいという話がある。子どもの育ちの中で、共同で学びを行うという授業の基礎が幼稚園・小学校という下の学年ほど多く必要とされるためと考えられる。隣接学校種の教員免許状でクラス担任を持つことができるような対応策を検討する必要がある。
 教員免許の更新制については捨てきれない。更新をしないのであれば教員を評価し、結果を公開していく必要がある。教員免許制度についても時代の変化に柔軟に対応し、教員の質の問題は国が対応すべき。教授内容の具体についても放置するのはよくない。地方分権の流れがあるとはいえ、ドイツのように失敗した例もある。

委員
 教員養成はトータルプランで考えていかないといけない。大学院の修士課程、あるいは6年制で2年間現場で鍛えた上で国家試験をしてはどうか。教員免許の更新制も再検討すべき。現在、自己点検・評価制度などが取り入れられつつあるが、第三者評価についても行うべき。競争がなさ過ぎることから保護者などから不満が出てきている。今後、中国などと比べ技術者が減ってくる中で国際競争していかなければならない。特定の教科というわけではないが、国家の将来像からどういう教科を重視すべきかという点についても考えていくべきではないか。

委員
 教員免許状は教員になりたいものだけに与えていただきたい。教員採用について言えば、どうしても一次選考で行われる筆記試験が重視される。15分程度の面接試験では教員としてふさわしいのかどうかまでは見極められない。結局のところ、児童生徒に対する指導能力は教科についての専門的知識で決まるのではなく、その学生の育ってきた環境等に起因しているのではないか。現在、高等学校教員の採用については13倍程度の競争倍率となっているが、実際に児童生徒に対する指導能力を有するのは受験者全体の一部にすぎない。教員の資質としては、児童生徒のわからないという気持ちがわかる能力が必要である。本人が教員に適していないということがわかるには3年程度はかかる。条件附任用期間を延ばす等の対応策を講じるのが適当ではないか。また、教員の評価については生徒による評価なども有効ではないか。実際に授業を受けているものから評価を受けることが教員にとって最も効果がある。

委員
 大学院を教員養成の中心にすることは真剣に考えていくべき。保護者で大学院卒の者が相当数おり、学部卒の教員が保護者の尊敬を受けることができなくなっている上に、学生も幼稚になってきている。

委員
 養成と現職教育をしっかりとしていくことが必要。現職教育を行う方法としては、条件附採用として1年間実務の中で研修を積ませる方法や、養成段階においてインターンシップとして学生を現場に派遣するなど様々な方法があるが、採用後もある程度長い目で見ていく必要がある。また、教員の多忙化により現場における教員同士の自主研修等を行うことが難しくなってきている。国などによる全教員を対象とした一斉研修は行われているが、都道府県等の教員研修センターの業務は研修で手一杯の状況であり、研修センターの本来の役割の1つである教育内容の研究が行われないため、研修の内容を深めていくことができなくなってきた。研究事業をもっと重視し、教員研修を実施する市町村などをサポートする体制を整備しなくてはならない。また、これから指導主事などが校長になって行く際に、管理能力を向上させていくためにも、もう少し研修等を厚くしていく必要があるのではないか。また、小学校の定数を見直し、多忙感から研修に時間を割くことができない現状を改善する必要もある。

委員
 免許更新制の代わりに10年経験者研修を設けたが、果たして更新制に代わることができるものなのか。都道府県教育委員会によって異なるので、調査をしていただきたい。指導力不足教員については管理職が放置してきたのではないか。更新制は教員を切り捨てるためのものであってはならない。指導力不足教員の実態を具体的に調査していく必要がある。課程認定委員会では実地視察を行っているが、近年は問題のある大学だけではなく、質の高い大学にも行くようになった。大学によっては教員を養成するために研究科を設けたり、全教科担任制をイメージして教科を中学校レベルから再学修させ、そのための専任の教員を雇用しているケースがある。

委員
 社会の常識に欠ける先生が多いと考える。一般の企業では、OJTの中で3年くらい経ってようやく一つの仕事を任せるところであるが、教員は一人前と評価するのが早いのではないか。採用後の教員の育成についても仕組みをつくっていかなければならない。

(3)今後の日程について

 事務局より今後の日程について説明の後、閉会となった。

5.閉会

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初等中等教育局教職員課

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