資料1 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 (第20回) 議事要旨

1.日時

 平成15年9月22日(月曜日) 13時~15時

2.場所

 霞が関東京會舘 「ゴールドスタールーム」

3.出席者

 天笠委員、小野委員、川並委員、高倉委員、渡久山委員、西村委員、野村委員、橋本委員、平出委員、宮崎委員、森川委員、山極委員、山﨑委員、横須賀委員、横山委員、渡邉(三)委員、鳥居会長、國分部会長、田村副部会長

文部科学省

 近藤初等中等教育局長、樋口審議官、河野主任視学官、竹下教職員課長、山根企画・体育課長、大木学校健康教育課長、布村生涯学習政策局政策課長、その他の担当官

4.議事

(1)中央教育審議会「食に関する指導体制の整備について(中間報告)」について

 事務局より、中央教育審議会「食に関する指導体制の整備について(中間報告)」について資料に基づき説明の後、質疑応答。主な発言は以下のとおり。
 (○=委員、△=文部科学省)

委員
 初等中等教育分科会において、職務内容に対応した専門性についてきちんと議論しておくべきではないかとご指摘があった。教育職員養成審議会第1次答申をとりまとめる際、また、教員養成部会において、免許の総合化と弾力化について議論を行った際に、それぞれ、免許取得を希望するすべての者に、食に関する指導に係る科目を課すのはどうか、免許の総合化の中で検討できないかという論点が出されており、これを十分に整理した上で議論を進めていただきたい。

委員
 学校給食と食に関する指導が関連していると言われるが、学校給食を実施していない学校の児童生徒への指導についてはどう考えているのか。健康については、保健の免許を持っている教員と養護教諭の二者が授業を行っている。ところが、授業を担当しない教員免許というのは、実際に指導をする時間があるのか。食に関する指導を給食と結び付けるのではなく、やはり家庭科教育との関わりの中で考える必要があるのではないか。

委員
 それについて、中間報告ではどのようになっているのか。

文部科学省
 給食は、多くの小・中学校で実施されており、我々はそれを生きた教材と位置付け、子ども達が多く体験する場として重視してきている。肥満や成人病などにつながる食習慣や、近年のBSE、O-157の問題など食の危機があり、給食の時間を大事にしながら教科の時間も活用し、学校全体において食に関する指導を充実していこうというのが中間報告の考え方である。食に関する指導の専門性の向上の観点から、栄養について専門的なトレーニングを受けて学校に配置された学校栄養職員のノウハウを活用しようということ、また、従来の給食管理業務から、子どもに対する指導を行う教職に関する専門性を加味することで、学校における食に関する指導を充実させようというのが今回の構想である。直ちに授業をするのかは別の問題として、学校としての取組の重要性の中で、専門職員をきちんと資格化した方がよいのではないかとの発想である。

委員
 栄養教諭制度を創設するのであれば、身分保障をしなくてはならない。学校栄養職員は全学校にいるわけではない。制度として創設するのなら、その教育効果がしっかりと反映されるような形にして欲しい。栄養相談室などを作って各学校に栄養教諭を配置するのであれば意味があるが、そうでなければ、実質的に各地方公共団体の予算で採用されなかったり、資格を持っていても非常勤職員として各学校を巡回する確証もない。教諭の資格を作るのであれば授業を行うものとしないと、給食のない学校は栄養教諭はいらないということになる。給食に結び付けないで、児童生徒への食に関する指導という形をしっかり立てないと中途半端にならないか。

委員
 この教員養成部会は直接には教員養成や免許制度についてのものであるが、ただいまのご意見はより幅広に学校における教育との関わりという観点が強い。特に給食を行っていない学校では、食に関する指導をどう考えるのか。また、配置や身分取扱の問題もあり、初等中等教育分科会の教育課程部会や教育行財政部会においても議論していただく必要があるのではないか。

委員
 栄養教諭の専門性がはっきりしなければ、養成する大学の教職課程でどう位置付け、どう単位認定を行うべきかが定まらない。

委員
 食に関する指導は、これまで一般的に学級担任が扱い、それを養護教諭や学校栄養職員が手助けをしており、必要に応じて時間を設けて行っているのが現状ではないか。これから栄養教諭が加わると、どこでどう時間を生み出すか。給食は食事のための時間でしかないというのが現状であり、食に関する指導というところまで行き着けないのではないか。一方、そういう時間がどの学校でも必要なのかということも大事な視点ではないか。肥満や拒食等の問題への対応は今の学校でも行っている。

委員
 今の日本人の食生活そのものが非常に乱れており、それは望ましい食習慣が確立していないのが大きな原因である。家庭でも食の指導が十分に行われていない状況では、1日の1/3の食事を、99%の小学校でなされているのであれば、そこにおける正しい食生活や食習慣のための食に関する指導は非常に重要である。今の学校栄養職員の仕事も重要であるが、より教育的な専門知識を身に付けて子どもたちに接することで、教育効果はより上がっていく。授業についてはいろいろな形があり得る。学校によって、給食委員会等に学校栄養職員が中心に入っているところもあれば、複数の学校を兼務する場合には、学校栄養職員は学校では給食管理しかしていない。これは、今後大胆に改善していっていただきたい。実態からして、食育と言われる状況の中で非常に大事な制度を作ることには賛成である。養護教諭の免許を参考にしながら議論していただきたい。

委員
 現在の実態がいろいろあるということ、一方で養成する立場としては、どういう専門性が求められているかがはっきりしないとどう対応していいのかという問題もあり、その点中間報告の中で今後の在り方について触れている部分があるか。

文部科学省
 食に関する指導の実施状況は、小学校で7割、中学校で4割の学校が実施している。ティーム・ティーチングや特別非常勤講師による取組も年々増えてきている。一番多いのは給食の時間だが、学級活動、家庭科、総合的な学習の時間も活用されている。今後の方向性としては、栄養教諭の職務内容として、学級活動における担任と連携しての指導、教科における指導などが挙げられている。また、自らが指導にあたるというほかに、連携調整の役割を果たしていくべきとご指摘いただいている。学校給食全体の実施状況については、小学校では99.3%、中学校では82.0%、完全給食については小学校では98.5%、中学校では67.5%の実施率となっている。

文部科学省
 養成課程で専門性をどう確保するかという点は、これから当部会において教員養成カリキュラムを具体的に詰めていただく際に、教育職員免許法ないしは教育職員免許法施行規則の表に現れてくる形を想定しつつご検討いただくべきものと考えている。

委員
 9月10日の中央教育審議会総会で審議した際に、3つほど問題があった。資料に、学校栄養職員が約1万2千人、配置されている公立小学校が5,312校とある。公立小学校は約2万3千数百校ある、他の学校には配置されていない。公立中学校は1万1千数百校のうち、1,268校に配置されている。配置されていないところはどうするのか。現在の学校栄養職員数では足りないのではないか。将来の政策の方向性として増やすという方向で中央教育審議会として議論するのか、それとも程々に増えることを想定して議論を進めるのかによって全く変わってくる。方向性の議論だけはしていただいた方がいいのではないか。小学校で約半分、中学校で33%が単独調理場方式であり、残りは共同調理場方式である。おそらくかなりの方が共同調理場で働いている。ワーキング・グループでは、勤務形態、仕事の中身が問題になるのではないか。また、小・中学校の学習指導要領との関わりでは、家庭科に関わる仕事なのか、道徳にも関わるべき仕事をするのか。食事のマナーや食文化をどう教えるのか、本来家庭で行うべきところを学校で行うのだから、学習指導要領との関連も考えなければいけないのではないか。

委員
 食に関する指導は大変重要なことと受けとめている。学校栄養職員が配置されていない学校がかなりあるが、食に関する指導は実際行われている。中学校では、技術・家庭科の家庭分野で1学期当たり20~35単位を修得している。資料の中に、指導の状況調査があるが、実際、1学級に1回指導を行ったとしても、その学校に15学級あれば年間15回行ったことになるので、教える側の回数なのか、子ども達側の回数なのか、調査結果の意味が読みとりにくい。給食の時間に指導を行っているという話をされるが、給食の時間は、子ども達が一番楽しい時間である。給食を一生懸命食べているときに学校栄養職員が指導しても子ども達の心に入っていかないのではないか。将来にわたって、食の重要性をしっかり学び、自分自身で日常の生活で何を改善すべきか、どういうことが健康によいのか考えさせることが必要ではないか。どのような時間をとってどのような指導を行えばよいのか疑問である。

委員
 食に関する指導の重要性と栄養教諭の創設、栄養教諭を具体の学校教育とどう関連させるかは別問題である。中間報告において、配置は地方公共団体の判断に委ねることとなっている。学校教育の中で、学習指導要領で定められているような義務的に行うべき教科と、それぞれの判断で付加する教科とがあり、食に関する指導の内容は後者に属すると思う。そういう意味で、各地方公共団体が必要と思えば配置すればよく、他の教科が重要と思えば配置をしない。義務教育における地方分権の流れからいえば、義務的に配置することを前提にするのは、非現実的な話である。

(2)「栄養教諭免許制度の在り方に関するワーキンググループ(仮称)」の設置について

 事務局より設置の趣旨や委員について説明の後、了承された。

(3)その他

 事務局から平成16年度概算要求の概要(教員の資質向上関係部分)及び指導力不足教員等の人事管理に関する各都道府県・指定都市教育委員会の取組状況について説明の後、質疑応答。(○=委員、△=文部科学省)

委員
 独立行政法人教員研修センターについて、今年度に中期目標期間が終わるが、現状はどうなっているのかお伺いしたい。もう一つは、指導力不足教員への対応について、分限処分としての降任があるが、校長から教頭への降任など詳細を教えていただきたい。また、資料の表中、条件附き採用期間の依願退職のうち、病気、不採用の決定を受けてという以外の理由の欄があるが、これは転職や自分には向いていないという自己判断なのか、教えていただきたい。

文部科学省
 中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについてさる8月1日に閣議決定がされた。この閣議決定は、独立行政法人は中期目標期間が終わった後に見直しを行うものとされているが、それでは見直しの前に新たな中期目標期間が始まってしまうため、事前チェックが必要ではないかとの趣旨でなされたものである。これを踏まえ、教員研修センターについては、文部科学省の評価委員会の評価を受け、その結果が、現在総務省の評価委員会で審議されている。そこで、勧告の方向性が示されることになっており、それを受けて、文部科学省で見直しを検討し、政府の行政改革推進本部の議を経た上で決定するとの手続が今後必要になる。一方、自民党行政改革推進本部の特殊法人・独立行政法人化委員会においても、独立行政法人についてしっかりと見直しをするべきではないかということをご指摘いただいており、それへも対応して見直しを検討しているところである。

文部科学省
 分限処分の降任の内訳については、個別具体には調査をしていないが、希望降任の制度とは別に、分限処分の中でどういう措置を行ったかということを調べた資料である。条件附採用期間の依願退職の病気、不採用の認定以外の理由については、自分で他の仕事に向いている、または教職に向いていないなど判断し依願退職したことが考えられる。

委員
 初任者研修について、義務教育費国庫負担金の対象教職員数は増えているのか、減っているのか。

文部科学省
 義務教育諸学校のみでは、平成16年度は16,149人、平成15年度は13,910人であり、2,239人増となっている。一方、初任者研修事業費補助を拠点校方式に変えていることによって、予算額としては減っている。

(4)今後の日程について

 11月10日(月曜日)以降の日程について事務局から連絡。

5.閉会

以上

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --