資料7 「栄養教諭免許制度の在り方に関するワーキンググループ」での意見聴取における関係団体からの意見等の概要

主な検討事項 意見等の概要

1.栄養教諭養成・免許制度全般に関わる事項

  • 「栄養に関する専門性」のほかに、「教職に関する資質」が求められるため、教職の意義、教育課程、生徒指導・教育相談等に関する内容についての理解を深めることが必要である。【全国都道府県教育長協議会】〔同趣旨:中核市教育長連絡会、全国連合小学校長会〕
  • 大学等において、管理栄養士免許取得に必要な科目をベースに、1.保健、家庭科のうち必要なもの、2.生徒指導を行うための知識・技能、3.食に関する指導を行うために関係職員との連携を図るための組織や役割等の科目を修得させるべきである。【指定都市教育委員教育長協議会】〔同趣旨:全国都道府県教育長協議会、日本教職員組合〕
  • 栄養教諭の創設にあたっては、栄養士や管理栄養士の養成課程を置く大学等養成機関におけるカリキュラムの在り方等も含め、教員としての資質を担保する方策について十分検討することが必要である。【全国都道府県教育長協議会】
  • 栄養教諭は、養護教諭の職務形態に近いと思われるため、養護教諭を例として、教育職員免許法との整合性を図りつつ免許取得方法について検討することが適当である。【全国都道府県教育長協議会】〔同趣旨:日本教職員組合〕
  • 子どもに対する望ましい食習慣の指導充実強化が、学校教育の重要な課題となっているとともに、家庭に対する食生活の改善について啓発が必要である。【全国市町村教育委員会連合会】
  • 栄養教諭には、アレルギーなど、子どもへの個別指導とともに、保護者の栄養相談、さらに、栄養や食材提供者に関する情報を持っており、ネットワークを使った新たな指導や個別相談を期待したい。【全国連合小学校長会】
  • 学校給食の管理と食に関する指導の他にも校務分掌や学年分掌等、教員の一員としての職務を担当することが求められ、そのための研修や単位認定等の要件を満たしている必要がある。【全日本中学校長会】
  • 栄養教諭は、様々な子どもがいるので、個別指導や家庭への啓発を行うことが大事ではないか。また、単に知識を教えるということではなく、そういう意味での指導を期待したい。【全日本中学校長会】
  • 栄養教諭、養護教諭、家庭科等の教科を担当する教員との、それぞれの専門性の違いを明確にして養成する必要がある。【日本教育大学協会】
  • 学校における食教育を充実させるためには、家庭科担当教員と栄養職員との連携が必要であり、両者の資質向上策を考える必要がある。【日本教育大学協会】
  • 単に栄養的専門性と教職的専門性を別々に足しただけでない、たとえば、「食教育概論」のような科目を作り、必修させるなどの工夫が必要である。【日本教育大学協会】
  • 栄養教諭の養成の在り方として、食に関する指導、学校給食管理の栄養教諭の職務内容に対応した専門性の確保を図る必要がある。【社団法人全国学校栄養士協議会】
  • 栄養教諭の免許については、食に関するカウンセラーとしての役割だけでなく、児童生徒に対して授業を通して指導を徹底するこ とが必要であること、児童生徒の実態を把握し、発達段階を考慮するための資質が求められること、管理栄養士の資質を持っていることが望ましいが、栄養士資 格保持者も、教職として適格であるならば、免許状を授与すべきであることから、以下が必要である。【全日本教職員連盟】
    • 単独で授業を実施できるだけの資質を持てるものにすること。
    • 教育心理学や教育学、教育方法学などの単位を必修単位とすること。
    • 教育実習も必修とすること。
    • 管理栄養士の相当の資質が必要であること。
2.栄養教諭免許状の種類に関わる事項
  • 免許状の種類については、専修・一種・二種とすることが適当である。臨時免許状については、中間報告において栄養教諭の配置を義務的なものとはしていないことから、現行の特別非常勤講師制度の活用で対応が可能であるため必要がないと思われる。【全国都道府県教育長協議会】
  • 専修、一種、二種免許状の設定、上進制度は必要であるが、努力義務までは必要ない。【指定都市教育委員教育長協議会】
  • 栄養に関する相当高い専門性が必要であることから、免許状の種類を専修と一種に限定することが望ましい。【日本教育大学協会】
  • 栄養教諭の免許状は、専修、一種、二種の免許区分のもとに、栄養に関する専門的知識・能力はもとより、児童生徒の成長発達や この時期の心理の特性などを正しく理解した上で、食に関する指導・助言ができるような教育的資質を有する教員を養成する必要がある。【日本私立短期大学協 会】
  • 専修、一種、二種の教員免許状の種類で、職務を完遂できるものと考えられる。【社団法人全国栄養士養成施設協会】〔同趣旨:社団法人全国学校栄養士協議会〕
  • 免許状の種類は、現行の他の免許状の種類との整合性から、具体化を検討することが適当と考える。【全日本教職員組合】
3.栄養教諭免許状の基礎資格に関わる事項
  • 栄養教諭には、二種免許状以上、栄養士の免許が最低条件と考えるが、専門性を考えると、一種免許状及び管理栄養士相当の資質を併せ持つことが望ましい。【中核市教育長連絡会】
  • 国家試験の合格ではなく、在学時に科目を履修し、所定の単位数を満たせば、栄養教諭の資格が取得できるようにする必要がある。【日本教育大学協会】
  • 栄養教諭のすべてが最初から管理栄養士である必要はなく、制度が確立した上で、新規に採用する場合には、管理栄養士の有資格者を優先して採用するなどの方策を適用し、将来的にはほとんどが管理栄養士有資格者が栄養教諭として指導にあたるのが望ましい。【日本教育大学協会】
  • 管理栄養士の資質に相当する程度の専門性に関して具体的条件を明確化すべき。【日本私立大学団体連合会】
  • 管理栄養士相当の専門性を標準として考えることが必要。【社団法人全国学校栄養士協議会】〔同趣旨:日本教育大学協会〕
  • 栄養に関する科目および最低修得単位数については、管理栄養士の資格取得に必要な程度の科目および単位を履修することが求められると考えるが、管理栄養士国家試験の合否を、栄養教諭免許状の前提とすべきではない。【全日本教職員組合】
4.「栄養に関する科目」の修得に関わる事項
  • 栄養士資格を取得する際の履修科目については、栄養教諭免許状取得の際に必要な科目として可能な限り認められるようにする。【指定都市教育委員教育長協議会】
  • 食に関する知識はもとより、疾病との関連より基礎医学的知識も重要となる。さらに、食は「食文化」としての面も重要であり、 食生態学、食生活学、比較文化学なども必要になる。また、食についての法律、流通経済、消費者教育などの専門性も重要と思われる。【日本教育大学協会】
  • 栄養教諭の知識・技術の内容は、医学系(病理学、特に病変の機序、食材とのかかわり等)としての知識と、病態栄養学(発病(症)と治療の機序等)に習熟していること、さらには給食管理業務に精通していることが必要と考えられる。【社団法人全国栄養士養成施設協会】
5.「教職に関する科目」の修得に関わる事項
  • 「栄養に関する専門性」のほかに、「教職に関する資質」が求められるため、教職の意義、教育課程、生徒指導・教育相談等に関する内容についての理解を深めることが必要である。【全国都道府県教育長協議会】〔同趣旨:中核市教育長連絡会、全国連合小学校長会〕
  • 教育課程に関する科目や指導法に関する科目、児童心理、教育相談等に関する科目の履修が必要である。【全国連合小学校長会】
  • 教育に関する資質は、他の教諭の例を参考にしつつ、それぞれの年齢に相応しい教育内容と種々の状況への対応を検討することが望ましい。【日本私立大学団体連合会】
  • 教諭としての専門性を担保するために、教職に関する必要な単位を履修することが適当と考える。科目及び最低修得単位数については、養護教諭の例を参考にしつつ、検討されたい。【全日本教職員組合】
  • 教職の「専門性」が求められるため、例えば、「学校給食論」、「食文化論」、「食の歴史論」など学校現場で必要となる専門科目を採り入れることも重要である。【日本教職員組合】
6.栄養教諭養成機関に関する事項
  • 社会人が大学の栄養教諭養成課程を履修しやすい環境(夜間課程、通信課程、集中スクーリング等)を整え、一定数の単位を取得したものに免許を取得させる。(管理栄養士取得者は一部の単位を免除)【指定都市教育委員教育長協議会】
  • いかなる大学・学部が養成を担うのか。養護教諭の養成制度として特別別科があるが、そうした制度設計も視野に入れられているか。【日本教育大学協会】
  • 基礎資格として栄養士レベルの資格を求めれば、現状の国立大学教員養成学部での免許取得は不可能である。【日本教育大学協会】
  • 1.新しい養成システムを考える道と、2.教員養成課程を置く大学等と管理栄養士養成を行っている大学等とが連携し、相互に編(転)入学等の導入により免許取得を可能にするなど、既存の制度を活用する道の2つの道を考えるのが適当である。【日本教育大学協会】
  • 教職に関する科目の履修等を課す場合、出身大学での履修に限定することがないように望む。【日本私立大学団体連合会】
  • 栄養教諭の資質確保は、管理栄養士、栄養士養成をモデルとした養成期間の長短によって論じられるべきではなく、むしろ短期大学における教育課程と現職教員の研修制度の充実や免許状の上進制度に求められるべきである。【日本私立短期大学協会】
  • 2年制の短期大学では、現在の栄養士養成課程に教職課程を履修させることは、短期大学のカリキュラムが過重となるおそれがある。【日本私立短期大学協会】
  • 専門学校の卒業生で栄養士、管理栄養士の資格を持っている者にも栄養教諭免許が取得できるようにしてほしい。【社団法人全国栄養士養成施設協会】
  • より多くの大学で栄養教諭養成課程を開設する必要がある。そのため、現在管理栄養士養成課程をもつ大学における養成に加えて、教員養成課程をもつ大学での養成が不可欠である。【日本教職員組合】
7.上位の免許状等の取得に関わる事項
  • 現行の他の教諭の免許状と同様に、良好な成績で勤務した在職年数、及び栄養に関する科目、教職に関する科目の単位の修得により上位の免許状を取得できるようにするのが適当である。【全国都道府県教育長協議会】〔同趣旨:中核市教育長連絡会、社団法人全国学校栄養士協議会〕
  • 専修、一種、二種免許状の設定、上進制度は必要であるが、努力義務までは必要ない。【指定都市教育委員教育長協議会】
  • 上進制度は、現行の他の免許制度との整合性と関連において、具体化を検討することが適当と考える。実務証明責任者の証明により、経験年数を単位にかえることができる規定を設けることも必要と考える。【全日本教職員組合】
8.学校栄養職員の栄養教諭免許取得に関わる事項
  • 現在学校栄養職員として勤務する者が、栄養教諭免許を取得するには、認定講習等を修了した者に免許を授与する方策が適当であ る。その際、管理栄養士、また、それに加えて教員免許状を取得しているなど、学校栄養職員の免許所有状況を考慮した栄養や教職に関する科目の設定が必要で ある。さらに、管理栄養士と教員免許状を併せ持つ学校栄養職員については、新たな単位修得は求めず、申請により取得できるなどの措置が望まれる。【全国都 道府県教育長協議会】
  • 現在の教諭が(管理)栄養士免許を取得した場合や、現在の学校栄養職員が教員免許に必要な科目を履修した場合にも免許状を交付する。まず二種免許状を交付し、その後の勤務成績を勘案して一種免許状を交付する。【指定都市教育委員教育長協議会】
  • 教育委員会が学校栄養職員の資質向上を図るための特定研修会を開催し、受講を義務付ける必要あり。【指定都市教育委員教育長協議会】
  • 栄養士、管理栄養士と教員免許の両方の取得者には、新たな単位取得なしで栄養教諭の免許を授与する。(勤務をしながらの教育 実習は難しいので、特別非常勤講師としての授業を必要時間行い、学校で指導教諭を決め、管理職の証明で免除できるようにする。)【指定都市教育委員教育長 協議会】
  • 栄養士資格を持ち、学校栄養職員として一定の期間学校教育に携わっていることを条件に、教員免許の取得単位を軽減する等、現場での経験に対する配慮が必要である。【指定都市教育委員教育長協議会】〔同趣旨:社団法人全国栄養士養成施設協会〕
  • 学校栄養職員として行っている日常の業務に過度な負担をかけることなく免許を取得できる方策を検討してほしい。(認定講習、通信教育、学校栄養職員としての勤務経験考慮、管理栄養士資格取得支援)【中核市教育長連絡会】
  • 学校給食に係る栄養管理や衛生管理の職務の質を落とすようなことがあってはならない。【全国連合小学校長会】
  • 現在の学校栄養職員が教職に関する内容を履修することによって栄養教諭としての資格が付与されるシステムを作ることが望ましい。【全国連合小学校長会】〔同趣旨:指定都市教育委員教育長協議会、日本教育大学協会〕
  • 現在の学校栄養職員に栄養教諭の免許を付与するに際して、学校でこれまでの指導実績を考慮することも考えられるが、どの程度の指導をもって実績とカウントするか曖昧であり、公平性の原則から科目を履修することが望ましい。【全国連合小学校長会】
  • 免許取得のための講座は、各県の教員研修センターが手一杯の現状から、栄養士、管理栄養士を養成している短期大学や大学が開設することが望まれる。【全国連合小学校長会】
  • 現在の学校栄養職員には、教員免許状を有する者もいることから、そのことが活かされる制度とすることが必要。また、管理栄養 士等の資格や特別非常勤講師としての実績、経験年数を活かすこと、栄養教諭免許に不足する単位修得や認定講習の実施も必要。【社団法人全国学校栄養士協議 会】
  • 管理栄養士相当の科目および単位の修得については、一定の経験年数をもって替えることができる規定を設けることが適当と考え る。また、教職に関する科目および単位の修得については、演習・実習等に関する科目は、経験年数をもってあてることとし、その他の科目については、栄養教 諭制度発足までに、認定講習等必要な研修の機会を行政の責任において広く設け、希望するすべての学校栄養職員が、履修可能な機会を保障すること、その際、 現職のまま安心して研修を受けることができるための、必要な人員配置等、条件整備が図られるよう要望する。【全日本教職員組合】
  • 現在の学校栄養職員の多くの者が免許を取得できる条件整備を行うことが大切であるため、以下が必要である。【全日本教職員連盟】
    • 管理栄養士・栄養士の免許を持っている者に栄養教諭の免許取得のための講習を実施すること。
    • 教職面での適格性を十分に考慮すること。
    • 免許取得のための講習は給食のない夏休み中に開催すること。
    • 免許取得のための講習に関わる費用の半額は国が補助すること。
    • 教育実習で職場を離れる際には、代用職員を置くこと。
    • すでに非常勤講師として授業を行い実績を上げているものには配慮すること。
  • 現職の学校栄養職員の栄養教諭免許取得にあたっては、学校現場での経験や実践が適切に評価されるとともに、新たに修得しなければならない単位を本務に支障なく、すみやかに修得できる環境を整備する必要がある。【日本教職員組合】

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --